JP2004092017A - 鋼管杭及び鋼管杭の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よく鋼管杭の運搬を行う。
【解決手段】鋼管杭は鋼管10と、鋼管10とは別体の先端部20と、4枚の回転ストッパプレート30とからなる。鋼管10の外周面には鋼管側係止プレート11が溶接され、先端部20の円筒部材21の内周面には先端部側係止プレート25が溶接されている。鋼管10を円筒部材21内に差し込んでから鋼管10を回転させ、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とを軸線方向に重ね合わせ、間隙に回転ストッパプレート30を差し込むことにより、先端部20が鋼管10の先端に、相互に回転及び離反しないように装着される。
【選択図】 図1
【解決手段】鋼管杭は鋼管10と、鋼管10とは別体の先端部20と、4枚の回転ストッパプレート30とからなる。鋼管10の外周面には鋼管側係止プレート11が溶接され、先端部20の円筒部材21の内周面には先端部側係止プレート25が溶接されている。鋼管10を円筒部材21内に差し込んでから鋼管10を回転させ、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とを軸線方向に重ね合わせ、間隙に回転ストッパプレート30を差し込むことにより、先端部20が鋼管10の先端に、相互に回転及び離反しないように装着される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭及びその施工方法に関し、特に効率よく運搬が可能な鋼管杭及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭が実用されている。このような鋼管杭は、鋼管に1枚以上の羽根が溶接されており、製造工場において溶接が行われ、保管場所を介し、あるいは介さないでトラックや船舶に載せられて施工現場に搬送される。施工現場では、鋼管杭はクレーンで吊り上げられて、羽根の取り付けられた先端を下方に向けてアースオーガ駆動機にセットされ、回転圧入される。このような鋼管杭は、長尺物の先端に羽根が取り付けられた形状なので、非常に嵩張り、一度に運搬できる数量が限定されており、また積み卸し作業が面倒で荷台上に固定することも難しかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明の目的は、効率よく運搬が可能な鋼管杭及びその施工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明に係る鋼管杭は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭において、前記羽根が突設された先端部と前記鋼管とは別体であり、前記先端部が前記鋼管の先端に、相互に回転及び離反することがないように装着可能であるように構成されている。
【0005】
このような構成によると、本発明に係る鋼管杭は、鋼管と、羽根が突設された先端部とは別体であって、装着されていない状態で工場から施工現場まで運搬することができる。先端部は施工現場で相互に回転及び離反することがないように鋼管の先端に装着することができ、これにより鋼管杭が完成する。従って、先端に羽根が取り付けられた鋼管杭を運搬する場合に比較して効率よく運搬することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着される請求項1に記載の鋼管杭である。この鋼管杭においては、鋼管は先端を円筒部に差し込んで装着されるので、鋼管と円筒部とは軸線を共通にして正確かつ堅牢に装着される。
【0007】
請求項3に記載の発明に係る鋼管杭は、前記鋼管を上方から相対的に降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに相対的に回転させる過程とを含む装着過程により前記先端部が前記鋼管の先端に装着可能である。このような構成によると、先端部は上端面を上に向けて例えば地面上に配置しておき、鋼管は例えばクレーンにより吊り上げてアースオーガ駆動機にセットしておき、先端部の上方から鋼管を降下させて(もしくは鋼管の先端に向けて先端部を上昇させて)先端を円筒部内に差し込み、続いて鋼管を回転させる(もしくは先端部を回転させる)ことにより鋼管の先端に先端部が装着される。あるいは先端部を地上据え置き型の回転圧入機にセットしておき、クレーンにより先端部の上方から鋼管を降下させて先端を円筒部内に差し込み、先端部の方を回転させることにより、鋼管の先端に先端部を装着する。よって、アースオーガ駆動機や地上据え置き型の回転圧入機等の鋼管杭を回転圧入させる装置により装着を行うことができ、その他、クレーンなど通常の鋼管杭の施工に使用する装置の他に、装着のための特別な装置を用意する必要がない。
【0008】
請求項4に記載の発明に係る鋼管杭においては、前記鋼管は、先端近くの外周面に固定され、軸線を共通にしたときの前記鋼管の外周面と前記円筒部の内周面との間隙の距離と略同一の厚さであり、周方向に相互に間隔を空けて配置された複数の鋼管側係止プレートを有し、前記先端部の前記円筒部は、上端近くの内周面に固定され、前記鋼管側係止プレートと略同一の厚さであり、周方向の幅が前記鋼管側係止プレートの配置間隔よりも短く、周方向に相互に前記鋼管側係止プレートの幅よりも長い間隔を空けて配置され、下端の形状が前記鋼管側係止プレートの上端の形状に対して前記鋼管と前記円筒部とが共通する軸線回りに相互の回転するのを少なくとも一方向について妨げることがないように形成された複数の先端部側係止プレートを有する。このような鋼管によると、鋼管の先端近くの外周面には鋼管側係止プレートが設けられ、円筒部の上端近くの内周面には先端部側係止プレートが設けられている。鋼管の先端を先端部の円筒部の上端から差し込むとき、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとは、相互の間隔を通り抜けることができる。鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが完全にすれ違うまで鋼管の先端が円筒部内に入り込んだら、鋼管を軸線回りに回転させると、先端部側係止プレートは、下端の形状が前記鋼管側係止プレートの上端の形状に対して前記鋼管と前記円筒部とが共通する軸線回りに相互の回転するのを少なくとも一方向について妨げることがないように形成されているので、軸方向について鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが重なり合う。これにより軸線方向及び半径方向への離反が規制されて鋼管と先端部とが装着された状態となる。この状態で、鋼管と先端部とが相互に軸線回りに回転するのを規制することにより装着が完了する。
【0009】
請求項5に記載の発明に係る鋼管杭は、前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの両側部は前記鋼管及び前記円筒部の軸線とそれぞれ平行であり、前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの幅及び配置間隔は略同一の長さであり、前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとのそれぞれの両側部が軸方向について重なり合ったときに、それぞれの前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとの間に形成される間隙に適合する形状である複数の回転ストッパプレートをさらに含むように構成された。このような鋼管杭によると、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとの間隙に回転ストッパプレートを差し込むだけで、鋼管と先端部とが相互に軸線回りに回転するのを制限することが可能である。
【0010】
請求項6に記載の発明に係る鋼管杭は、前記円筒部の下端は、少なくとも前記鋼管の先端が当接できるように閉塞されており、前記鋼管側係止プレートの上端と前記先端部側係止プレートの下端とが、前記鋼管の先端が前記円筒部の下端に一致したときに略同じ高さとなるように、前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとが配置されている。よって鋼管を円筒部に差し込んで先端が円筒部の下端に突き当たるまで鋼管を下降させ、突き当たったら鋼管若しくは先端部を軸線回りに回転させれば、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが相互に係止し合うので、装着作業が容易である。
【0011】
請求項7に記載の発明に係る鋼管杭においては、前記鋼管側係止プレートの上端は周方向について一方に傾斜した傾斜面であり、前記先端部側係止プレートの下端は前記鋼管側係止プレートの上端の傾斜面に対応する傾斜面である。これにより、鋼管と先端部とが軸線回りに相互に回転して傾斜面同士が一致した位置に達すると、それぞれの係止プレートが軸線方向に移動しない限り、一方向には相互に回転できるが他の方向には回転できない。従って、一方向の回転が傾斜面の作用により停止した状態で他方向への回転を制限すれば、両者は軸線回りの回転について固定される。傾斜面以外にも、1段以上の段や、相互に対応する凹凸が鋼管側係止プレートの上端と先端部側係止プレートの下端に設けられていてもよい。これらにより、鋼管と先端部との回転方向における位置決めも容易になる。
【0012】
また本発明は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含む鋼管杭を回転圧入することにより地中に貫入する鋼管杭の施工方法において、前記羽根が突設され、前記鋼管とは別体であって、前記鋼管の先端に装着可能な先端部を貫入しようとする箇所に配置する配置過程と、前記鋼管の先端に前記先端部を相互に回転及び離反することがないように装着する装着過程と、前記先端部が装着された前記鋼管を回転圧入する回転圧入過程とを含んで鋼管杭の施工方法を構成した。
【0013】
このような鋼管杭の施工方法によると、先端部と鋼管は別体のままで施工現場まで運ばれてきて、先端部が所定の箇所に配置される。鋼管は配置された先端部に装着され、鋼管を回転圧入することにより鋼管杭が貫入される。これにより、先端部と鋼管を別体のまま施工現場まで運搬することができるので、良好な運搬効率を実現することができる。
【0014】
請求項9に係る発明においては、前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着され、前記装着過程は、前記鋼管を上方から降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに回転させる過程とを含むように鋼管杭の施工方法を構成した。これにより、従来の鋼管杭を回転圧入する装置、例えばアースオーガ駆動機や地上据え置き型の回転圧入機を普通に操作することにより装着過程を実行することができ、特別な装置や複雑な操作を要しない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明は発明をより深く理解するためのものであって、特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【0016】
図1(a)(b)はそれぞれ、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態を示す平面図及び正面図であり、別体である鋼管と先端部とが相互に装着される前の状態を示す。図1(b)において、先端部の一部は切り欠いて示してある。但し、ハッチングは省略して示す(図3以下も同様)。
【0017】
図1において、鋼管杭は鋼管10と、鋼管10とは別体の先端部20と、4枚の回転ストッパプレート30とからなる。先端部20は上面が開口した円筒部材21と、円筒部材21の外周面に傾斜して溶接された2枚の羽根22、22と、円筒部材21の下面を部分的に閉塞するドーナツ状の閉塞板23と、閉塞板23の下面から下方に突出した2枚のガイドプレート24、24とを含む。
【0018】
羽根22、22が突設された先端部20と鋼管10とは別体であり、先端部20が鋼管10の先端に、相互に回転及び離反することがないように装着可能である。鋼管10と先端部20とは熱圧着や溶着ではなく、別体のまま機械的に装着される。
【0019】
先端部20の円筒部材21は鋼管製であり、鋼管10の外径よりも大きい内径を有する。鋼管10は、円筒部材21内に鋼管10の先端を差し込んだ状態で先端部20が鋼管10の先端に装着される。
【0020】
鋼管10と先端部20とは、鋼管10を上方から相対的に降下させて円筒部材21内に鋼管10の先端を差し込む過程と、続いて鋼管10を鋼管10の軸線回りに相対的に回転させる過程とを含む装着過程により相互に装着可能である。そのために、鋼管10及び先端部20には以下のような機構が備えられている。
【0021】
鋼管10の先端近くの外周面には、軸線を共通にしたときの鋼管10の外周面と円筒部材21の内周面との間隙の距離とほぼ同一で僅かに短い厚さであり、周方向に相互に間隔を空けて配置された4枚の鋼管側係止プレート11が溶接されている。各鋼管側係止プレート11の両側面は鋼管10の軸線に平行であり、各鋼管側係止プレート11の周方向の幅及び各間隔は外周のそれぞれほぼ45°を占める。
【0022】
円筒部材21の上端近くの内周面には、鋼管側係止プレート11と略同一の厚さであり、周方向の幅が鋼管側係止プレート11の配置間隔とほぼ同一で僅かに短く、周方向に相互に鋼管側係止プレート11の幅とほぼ同一で僅かに長い間隔を空けて配置された4枚の先端部側係止プレート25が溶接されている。各先端部側係止プレート25の両側面も円筒部材21の軸線に平行であって、各先端部側係止プレート25の周方向の幅及び各間隔も、内周のそれぞれほぼ45°を占めている。
【0023】
各鋼管側係止プレート11の上端面と、各先端部側係止プレート25の下端面とは、対応する形状に形成されている。すなわち鋼管側係止プレート11の上端は周方向について一方に傾斜した傾斜面であり、先端部側係止プレート25の下端は鋼管側係止プレート11の上端の傾斜面に対応する傾斜面となっている。これにより、鋼管10と先端部20とが軸線回りに相互に回転して傾斜面同士が一致した位置に達すると、鋼管側係止プレート11か先端部側係止プレートのいずれかが軸線方向に移動しない限り、一方向には相互に回転できるが他の方向には回転できない。従って、一方向の回転が傾斜面の作用により停止した状態で他方向への回転を制限すれば、鋼管10と先端部20とは軸線回りの回転について固定される。他方向への回転の制限は、後述するように回転ストッパプレート30によりなされる。
【0024】
このような鋼管杭にあっては、後に詳述するように、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは相互の間隔を通り抜けることができるので、鋼管10の先端を先端部20の円筒部材21の上端から差し込むことができる。鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とのそれぞれの軸線方向の長さはほぼ同一であり、円筒部材21の長さのほぼ半分である。鋼管10の先端が閉塞板23に突き当たるまで鋼管10を降下させると、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とがほぼ完全にすれ違い、鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端とがほぼ同じ高さになる。この状態で鋼管10を軸線回りに回転させると、軸方向について鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とが重なり合い、間隙同士も重なり合うので、4つの間隙それぞれに回転ストッパプレート30を挿入し、鋼管と先端部20とが相互に軸線回りに回転するのを制限する。回転ストッパプレート30は、軸方向に重なり合った鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25との間に形成される間隙に適合する形状である。
【0025】
なお鋼管側係止プレート11、先端部側係止プレート25及び回転ストッパプレート30は、同じ鋼管から製造することができる。すなわち、外径が円筒部材21の内径とほぼ同一で僅かに小さく、内径が鋼管10の外径とほぼ同一で僅かに大きい鋼管を、円筒部材21の長さよりもやや短く切断し、さらに、軸線を中心に45°の間隔で、軸線を含む切断面により8つの部分に切断する。このうち4枚を回転ストッパプレート30とし、残りの4つを軸線方向の中心で斜めに切断することによりそれぞれ4枚ずつの鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25を作成することができる。この実施の形態では各プレートは4枚ずつとしたが、別の実施の形態においては、例えば60°の間隔で切断すれば3枚ずつとなり、30°ならば6枚ずつとなる。また鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端とは傾斜面としたが、他の実施の形態においては、1段以上の段や、相互に対応する凹凸が鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端に設けられていてもよい。
【0026】
以下、本実施の形態に係る鋼管杭の施工方法について、図を参照しつつ説明する。
【0027】
本実施の形態に係る鋼管杭は、鋼管10と先端部20と回転ストッパプレート30とが別体のまま施工現場まで搬送される。従って、径方向に大きなスペースを占める羽根がついた長尺物である従来の鋼管杭を搬送する場合に比較して、運搬効率が優れており、例えば同じトラックにより多くの本数の鋼管杭を載せて施工現場に搬送することができる。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る鋼管杭を回転圧入することのできるアースオーガ駆動装置を示す正面図である。アースオーガ駆動装置40は無限軌道機構により走行するベースマシン41に搭載されて地面G上を移動する。アースオーガ駆動装置40は鋼管10の上端近くを把持している。鋼管10の姿勢は、アースオーガ駆動装置40とベースマシン41との相対的角度を制御することにより、例えば鉛直に調整される。
【0029】
先端部20は、地面G上の鋼管杭を貫入させようとする箇所に配置される。この時点で先端部20は半ばまで地中に埋められ、鉛直確認されてもよい。アースオーガ駆動装置40に把持された鋼管10は、先端部20の円筒部材21の直上の、鋼管10と円筒部材21との軸線が共通になる位置に配置される。この状態を図3に示す。このとき、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは、それぞれ軸線方向に重ならないように、45°ずらされた回転位置に配置される。
【0030】
次に、図3の状態から、アースオーガ駆動装置40を駆動して、鋼管10が円筒部材21内に差し込まれ、鋼管10の下端が閉塞板23の上面に当接するまで鋼管10を下降させる。この状態を図4に示す。上述のように、鋼管10の外周面には鋼管側係止プレート11が溶接され、円筒部材21の内周面には先端部側係止プレート25が溶接されているが、それぞれの間隔を通り抜けてすれ違うことができる。
【0031】
次に、図4の状態から、アースオーガ駆動装置40を駆動して、鋼管10を平面図視時計回りに45°回転させる。この状態を図5に示す。このとき、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは軸線方向に重なり合い、両側部が一致して直線を構成している。かつ鋼管側係止プレート11の上端面と先端部側係止プレート25の下端面とは周方向に傾斜する傾斜面なので、この位置から鋼管10が先端部20に対してさらに時計回り方向に回転することはできず、また軸線方向に相対的に移動することもできないことは明白である。
【0032】
次に、図5において各鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25相互の間に形成された円筒部材21の上端から下端にまで続く4つの間隙それぞれに、回転ストッパプレート30が挿入される。この状態を図6に示す。これにより、鋼管10が先端部に対して反時計回り方向に回転するのを制限することができる。
【0033】
図7に完成した状態の鋼管杭を示す。図7においては鋼管10と先端部20とは、相互に回転も離反もできないように装着されている。この状態でアースオーガ駆動装置40を駆動して鋼管10を回転圧入することにより、鋼管杭を地中に貫入することができる。
【0034】
上記のような施工方法における熱圧着も溶着も伴わない機構的な装着は、鋼管杭を回転圧入するために従来から用いられているアースオーガ駆動装置40を普通に操作することにより、特別な装置や操作を要することなく、施工現場で容易に行うことができる。よって先端部20と鋼管を別体のまま施工現場まで運搬することができるので、良好な運搬効率を実現することができる。
【0035】
以上のように本実施の形態に係る鋼管杭は、鋼管10と、羽根22、22が突設された先端部20とは別体であって、装着されていない状態で工場から施工現場まで運搬することができる。先端部20は施工現場で相互に回転及び離反することがないように鋼管10の先端に装着できる。従って、先端に羽根が取り付けられた鋼管杭を運搬する場合に比較して嵩張らないので、効率よく運搬することができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、適宜変形実施が可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る鋼管杭及びその施工方法によると、効率よく鋼管杭の運搬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)(b)はそれぞれ、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態の組み立て図である。
【図2】図2は、図1に示した鋼管杭の施工の過程を示す正面図である。
【図3】図3は、図1に示した鋼管杭の鋼管と先端部との装着の過程を示す正面図であり、円筒部材の一部を切り欠いて示す。
【図4】図4は、図3の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図5】図5は、図4の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図6】図6は、図5の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図7】図7は、図6の次の過程を示す図3と同様の図である。
【符号の説明】
10 鋼管
11 鋼管側係止プレート
20 先端部
21 円筒部材
22、22 羽根
23 閉塞板
24、24 ガイドプレート
25 先端部側係止プレート
30 回転ストッパプレート
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭及びその施工方法に関し、特に効率よく運搬が可能な鋼管杭及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭が実用されている。このような鋼管杭は、鋼管に1枚以上の羽根が溶接されており、製造工場において溶接が行われ、保管場所を介し、あるいは介さないでトラックや船舶に載せられて施工現場に搬送される。施工現場では、鋼管杭はクレーンで吊り上げられて、羽根の取り付けられた先端を下方に向けてアースオーガ駆動機にセットされ、回転圧入される。このような鋼管杭は、長尺物の先端に羽根が取り付けられた形状なので、非常に嵩張り、一度に運搬できる数量が限定されており、また積み卸し作業が面倒で荷台上に固定することも難しかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明の目的は、効率よく運搬が可能な鋼管杭及びその施工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明に係る鋼管杭は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭において、前記羽根が突設された先端部と前記鋼管とは別体であり、前記先端部が前記鋼管の先端に、相互に回転及び離反することがないように装着可能であるように構成されている。
【0005】
このような構成によると、本発明に係る鋼管杭は、鋼管と、羽根が突設された先端部とは別体であって、装着されていない状態で工場から施工現場まで運搬することができる。先端部は施工現場で相互に回転及び離反することがないように鋼管の先端に装着することができ、これにより鋼管杭が完成する。従って、先端に羽根が取り付けられた鋼管杭を運搬する場合に比較して効率よく運搬することができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着される請求項1に記載の鋼管杭である。この鋼管杭においては、鋼管は先端を円筒部に差し込んで装着されるので、鋼管と円筒部とは軸線を共通にして正確かつ堅牢に装着される。
【0007】
請求項3に記載の発明に係る鋼管杭は、前記鋼管を上方から相対的に降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに相対的に回転させる過程とを含む装着過程により前記先端部が前記鋼管の先端に装着可能である。このような構成によると、先端部は上端面を上に向けて例えば地面上に配置しておき、鋼管は例えばクレーンにより吊り上げてアースオーガ駆動機にセットしておき、先端部の上方から鋼管を降下させて(もしくは鋼管の先端に向けて先端部を上昇させて)先端を円筒部内に差し込み、続いて鋼管を回転させる(もしくは先端部を回転させる)ことにより鋼管の先端に先端部が装着される。あるいは先端部を地上据え置き型の回転圧入機にセットしておき、クレーンにより先端部の上方から鋼管を降下させて先端を円筒部内に差し込み、先端部の方を回転させることにより、鋼管の先端に先端部を装着する。よって、アースオーガ駆動機や地上据え置き型の回転圧入機等の鋼管杭を回転圧入させる装置により装着を行うことができ、その他、クレーンなど通常の鋼管杭の施工に使用する装置の他に、装着のための特別な装置を用意する必要がない。
【0008】
請求項4に記載の発明に係る鋼管杭においては、前記鋼管は、先端近くの外周面に固定され、軸線を共通にしたときの前記鋼管の外周面と前記円筒部の内周面との間隙の距離と略同一の厚さであり、周方向に相互に間隔を空けて配置された複数の鋼管側係止プレートを有し、前記先端部の前記円筒部は、上端近くの内周面に固定され、前記鋼管側係止プレートと略同一の厚さであり、周方向の幅が前記鋼管側係止プレートの配置間隔よりも短く、周方向に相互に前記鋼管側係止プレートの幅よりも長い間隔を空けて配置され、下端の形状が前記鋼管側係止プレートの上端の形状に対して前記鋼管と前記円筒部とが共通する軸線回りに相互の回転するのを少なくとも一方向について妨げることがないように形成された複数の先端部側係止プレートを有する。このような鋼管によると、鋼管の先端近くの外周面には鋼管側係止プレートが設けられ、円筒部の上端近くの内周面には先端部側係止プレートが設けられている。鋼管の先端を先端部の円筒部の上端から差し込むとき、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとは、相互の間隔を通り抜けることができる。鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが完全にすれ違うまで鋼管の先端が円筒部内に入り込んだら、鋼管を軸線回りに回転させると、先端部側係止プレートは、下端の形状が前記鋼管側係止プレートの上端の形状に対して前記鋼管と前記円筒部とが共通する軸線回りに相互の回転するのを少なくとも一方向について妨げることがないように形成されているので、軸方向について鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが重なり合う。これにより軸線方向及び半径方向への離反が規制されて鋼管と先端部とが装着された状態となる。この状態で、鋼管と先端部とが相互に軸線回りに回転するのを規制することにより装着が完了する。
【0009】
請求項5に記載の発明に係る鋼管杭は、前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの両側部は前記鋼管及び前記円筒部の軸線とそれぞれ平行であり、前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの幅及び配置間隔は略同一の長さであり、前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとのそれぞれの両側部が軸方向について重なり合ったときに、それぞれの前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとの間に形成される間隙に適合する形状である複数の回転ストッパプレートをさらに含むように構成された。このような鋼管杭によると、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとの間隙に回転ストッパプレートを差し込むだけで、鋼管と先端部とが相互に軸線回りに回転するのを制限することが可能である。
【0010】
請求項6に記載の発明に係る鋼管杭は、前記円筒部の下端は、少なくとも前記鋼管の先端が当接できるように閉塞されており、前記鋼管側係止プレートの上端と前記先端部側係止プレートの下端とが、前記鋼管の先端が前記円筒部の下端に一致したときに略同じ高さとなるように、前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとが配置されている。よって鋼管を円筒部に差し込んで先端が円筒部の下端に突き当たるまで鋼管を下降させ、突き当たったら鋼管若しくは先端部を軸線回りに回転させれば、鋼管側係止プレートと先端部側係止プレートとが相互に係止し合うので、装着作業が容易である。
【0011】
請求項7に記載の発明に係る鋼管杭においては、前記鋼管側係止プレートの上端は周方向について一方に傾斜した傾斜面であり、前記先端部側係止プレートの下端は前記鋼管側係止プレートの上端の傾斜面に対応する傾斜面である。これにより、鋼管と先端部とが軸線回りに相互に回転して傾斜面同士が一致した位置に達すると、それぞれの係止プレートが軸線方向に移動しない限り、一方向には相互に回転できるが他の方向には回転できない。従って、一方向の回転が傾斜面の作用により停止した状態で他方向への回転を制限すれば、両者は軸線回りの回転について固定される。傾斜面以外にも、1段以上の段や、相互に対応する凹凸が鋼管側係止プレートの上端と先端部側係止プレートの下端に設けられていてもよい。これらにより、鋼管と先端部との回転方向における位置決めも容易になる。
【0012】
また本発明は、鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含む鋼管杭を回転圧入することにより地中に貫入する鋼管杭の施工方法において、前記羽根が突設され、前記鋼管とは別体であって、前記鋼管の先端に装着可能な先端部を貫入しようとする箇所に配置する配置過程と、前記鋼管の先端に前記先端部を相互に回転及び離反することがないように装着する装着過程と、前記先端部が装着された前記鋼管を回転圧入する回転圧入過程とを含んで鋼管杭の施工方法を構成した。
【0013】
このような鋼管杭の施工方法によると、先端部と鋼管は別体のままで施工現場まで運ばれてきて、先端部が所定の箇所に配置される。鋼管は配置された先端部に装着され、鋼管を回転圧入することにより鋼管杭が貫入される。これにより、先端部と鋼管を別体のまま施工現場まで運搬することができるので、良好な運搬効率を実現することができる。
【0014】
請求項9に係る発明においては、前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着され、前記装着過程は、前記鋼管を上方から降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに回転させる過程とを含むように鋼管杭の施工方法を構成した。これにより、従来の鋼管杭を回転圧入する装置、例えばアースオーガ駆動機や地上据え置き型の回転圧入機を普通に操作することにより装着過程を実行することができ、特別な装置や複雑な操作を要しない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明は発明をより深く理解するためのものであって、特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【0016】
図1(a)(b)はそれぞれ、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態を示す平面図及び正面図であり、別体である鋼管と先端部とが相互に装着される前の状態を示す。図1(b)において、先端部の一部は切り欠いて示してある。但し、ハッチングは省略して示す(図3以下も同様)。
【0017】
図1において、鋼管杭は鋼管10と、鋼管10とは別体の先端部20と、4枚の回転ストッパプレート30とからなる。先端部20は上面が開口した円筒部材21と、円筒部材21の外周面に傾斜して溶接された2枚の羽根22、22と、円筒部材21の下面を部分的に閉塞するドーナツ状の閉塞板23と、閉塞板23の下面から下方に突出した2枚のガイドプレート24、24とを含む。
【0018】
羽根22、22が突設された先端部20と鋼管10とは別体であり、先端部20が鋼管10の先端に、相互に回転及び離反することがないように装着可能である。鋼管10と先端部20とは熱圧着や溶着ではなく、別体のまま機械的に装着される。
【0019】
先端部20の円筒部材21は鋼管製であり、鋼管10の外径よりも大きい内径を有する。鋼管10は、円筒部材21内に鋼管10の先端を差し込んだ状態で先端部20が鋼管10の先端に装着される。
【0020】
鋼管10と先端部20とは、鋼管10を上方から相対的に降下させて円筒部材21内に鋼管10の先端を差し込む過程と、続いて鋼管10を鋼管10の軸線回りに相対的に回転させる過程とを含む装着過程により相互に装着可能である。そのために、鋼管10及び先端部20には以下のような機構が備えられている。
【0021】
鋼管10の先端近くの外周面には、軸線を共通にしたときの鋼管10の外周面と円筒部材21の内周面との間隙の距離とほぼ同一で僅かに短い厚さであり、周方向に相互に間隔を空けて配置された4枚の鋼管側係止プレート11が溶接されている。各鋼管側係止プレート11の両側面は鋼管10の軸線に平行であり、各鋼管側係止プレート11の周方向の幅及び各間隔は外周のそれぞれほぼ45°を占める。
【0022】
円筒部材21の上端近くの内周面には、鋼管側係止プレート11と略同一の厚さであり、周方向の幅が鋼管側係止プレート11の配置間隔とほぼ同一で僅かに短く、周方向に相互に鋼管側係止プレート11の幅とほぼ同一で僅かに長い間隔を空けて配置された4枚の先端部側係止プレート25が溶接されている。各先端部側係止プレート25の両側面も円筒部材21の軸線に平行であって、各先端部側係止プレート25の周方向の幅及び各間隔も、内周のそれぞれほぼ45°を占めている。
【0023】
各鋼管側係止プレート11の上端面と、各先端部側係止プレート25の下端面とは、対応する形状に形成されている。すなわち鋼管側係止プレート11の上端は周方向について一方に傾斜した傾斜面であり、先端部側係止プレート25の下端は鋼管側係止プレート11の上端の傾斜面に対応する傾斜面となっている。これにより、鋼管10と先端部20とが軸線回りに相互に回転して傾斜面同士が一致した位置に達すると、鋼管側係止プレート11か先端部側係止プレートのいずれかが軸線方向に移動しない限り、一方向には相互に回転できるが他の方向には回転できない。従って、一方向の回転が傾斜面の作用により停止した状態で他方向への回転を制限すれば、鋼管10と先端部20とは軸線回りの回転について固定される。他方向への回転の制限は、後述するように回転ストッパプレート30によりなされる。
【0024】
このような鋼管杭にあっては、後に詳述するように、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは相互の間隔を通り抜けることができるので、鋼管10の先端を先端部20の円筒部材21の上端から差し込むことができる。鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とのそれぞれの軸線方向の長さはほぼ同一であり、円筒部材21の長さのほぼ半分である。鋼管10の先端が閉塞板23に突き当たるまで鋼管10を降下させると、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とがほぼ完全にすれ違い、鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端とがほぼ同じ高さになる。この状態で鋼管10を軸線回りに回転させると、軸方向について鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とが重なり合い、間隙同士も重なり合うので、4つの間隙それぞれに回転ストッパプレート30を挿入し、鋼管と先端部20とが相互に軸線回りに回転するのを制限する。回転ストッパプレート30は、軸方向に重なり合った鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25との間に形成される間隙に適合する形状である。
【0025】
なお鋼管側係止プレート11、先端部側係止プレート25及び回転ストッパプレート30は、同じ鋼管から製造することができる。すなわち、外径が円筒部材21の内径とほぼ同一で僅かに小さく、内径が鋼管10の外径とほぼ同一で僅かに大きい鋼管を、円筒部材21の長さよりもやや短く切断し、さらに、軸線を中心に45°の間隔で、軸線を含む切断面により8つの部分に切断する。このうち4枚を回転ストッパプレート30とし、残りの4つを軸線方向の中心で斜めに切断することによりそれぞれ4枚ずつの鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25を作成することができる。この実施の形態では各プレートは4枚ずつとしたが、別の実施の形態においては、例えば60°の間隔で切断すれば3枚ずつとなり、30°ならば6枚ずつとなる。また鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端とは傾斜面としたが、他の実施の形態においては、1段以上の段や、相互に対応する凹凸が鋼管側係止プレート11の上端と先端部側係止プレート25の下端に設けられていてもよい。
【0026】
以下、本実施の形態に係る鋼管杭の施工方法について、図を参照しつつ説明する。
【0027】
本実施の形態に係る鋼管杭は、鋼管10と先端部20と回転ストッパプレート30とが別体のまま施工現場まで搬送される。従って、径方向に大きなスペースを占める羽根がついた長尺物である従来の鋼管杭を搬送する場合に比較して、運搬効率が優れており、例えば同じトラックにより多くの本数の鋼管杭を載せて施工現場に搬送することができる。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る鋼管杭を回転圧入することのできるアースオーガ駆動装置を示す正面図である。アースオーガ駆動装置40は無限軌道機構により走行するベースマシン41に搭載されて地面G上を移動する。アースオーガ駆動装置40は鋼管10の上端近くを把持している。鋼管10の姿勢は、アースオーガ駆動装置40とベースマシン41との相対的角度を制御することにより、例えば鉛直に調整される。
【0029】
先端部20は、地面G上の鋼管杭を貫入させようとする箇所に配置される。この時点で先端部20は半ばまで地中に埋められ、鉛直確認されてもよい。アースオーガ駆動装置40に把持された鋼管10は、先端部20の円筒部材21の直上の、鋼管10と円筒部材21との軸線が共通になる位置に配置される。この状態を図3に示す。このとき、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは、それぞれ軸線方向に重ならないように、45°ずらされた回転位置に配置される。
【0030】
次に、図3の状態から、アースオーガ駆動装置40を駆動して、鋼管10が円筒部材21内に差し込まれ、鋼管10の下端が閉塞板23の上面に当接するまで鋼管10を下降させる。この状態を図4に示す。上述のように、鋼管10の外周面には鋼管側係止プレート11が溶接され、円筒部材21の内周面には先端部側係止プレート25が溶接されているが、それぞれの間隔を通り抜けてすれ違うことができる。
【0031】
次に、図4の状態から、アースオーガ駆動装置40を駆動して、鋼管10を平面図視時計回りに45°回転させる。この状態を図5に示す。このとき、鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25とは軸線方向に重なり合い、両側部が一致して直線を構成している。かつ鋼管側係止プレート11の上端面と先端部側係止プレート25の下端面とは周方向に傾斜する傾斜面なので、この位置から鋼管10が先端部20に対してさらに時計回り方向に回転することはできず、また軸線方向に相対的に移動することもできないことは明白である。
【0032】
次に、図5において各鋼管側係止プレート11と先端部側係止プレート25相互の間に形成された円筒部材21の上端から下端にまで続く4つの間隙それぞれに、回転ストッパプレート30が挿入される。この状態を図6に示す。これにより、鋼管10が先端部に対して反時計回り方向に回転するのを制限することができる。
【0033】
図7に完成した状態の鋼管杭を示す。図7においては鋼管10と先端部20とは、相互に回転も離反もできないように装着されている。この状態でアースオーガ駆動装置40を駆動して鋼管10を回転圧入することにより、鋼管杭を地中に貫入することができる。
【0034】
上記のような施工方法における熱圧着も溶着も伴わない機構的な装着は、鋼管杭を回転圧入するために従来から用いられているアースオーガ駆動装置40を普通に操作することにより、特別な装置や操作を要することなく、施工現場で容易に行うことができる。よって先端部20と鋼管を別体のまま施工現場まで運搬することができるので、良好な運搬効率を実現することができる。
【0035】
以上のように本実施の形態に係る鋼管杭は、鋼管10と、羽根22、22が突設された先端部20とは別体であって、装着されていない状態で工場から施工現場まで運搬することができる。先端部20は施工現場で相互に回転及び離反することがないように鋼管10の先端に装着できる。従って、先端に羽根が取り付けられた鋼管杭を運搬する場合に比較して嵩張らないので、効率よく運搬することができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、適宜変形実施が可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る鋼管杭及びその施工方法によると、効率よく鋼管杭の運搬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)(b)はそれぞれ、本発明に係る鋼管杭の一つの実施の形態の組み立て図である。
【図2】図2は、図1に示した鋼管杭の施工の過程を示す正面図である。
【図3】図3は、図1に示した鋼管杭の鋼管と先端部との装着の過程を示す正面図であり、円筒部材の一部を切り欠いて示す。
【図4】図4は、図3の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図5】図5は、図4の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図6】図6は、図5の次の過程を示す図3と同様の図である。
【図7】図7は、図6の次の過程を示す図3と同様の図である。
【符号の説明】
10 鋼管
11 鋼管側係止プレート
20 先端部
21 円筒部材
22、22 羽根
23 閉塞板
24、24 ガイドプレート
25 先端部側係止プレート
30 回転ストッパプレート
Claims (9)
- 鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含み、回転圧入することにより地中に貫入される鋼管杭において、
前記羽根が突設された先端部と前記鋼管とは別体であり、前記先端部が前記鋼管の先端に、相互に回転及び離反することがないように装着可能であるように構成されていることを特徴とする鋼管杭。 - 前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着される請求項1に記載の鋼管杭。
- 前記鋼管を上方から相対的に降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに相対的に回転させる過程とを含む装着過程により前記先端部が前記鋼管の先端に装着可能な請求項2に記載の鋼管杭。
- 前記鋼管は、先端近くの外周面に固定され、軸線を共通にしたときの前記鋼管の外周面と前記円筒部の内周面との間隙の距離と略同一の厚さであり、周方向に相互に間隔を空けて配置された複数の鋼管側係止プレートを有し、
前記先端部の前記円筒部は、上端近くの内周面に固定され、前記鋼管側係止プレートと略同一の厚さであり、周方向の幅が前記鋼管側係止プレートの配置間隔よりも短く、周方向に相互に前記鋼管側係止プレートの幅よりも長い間隔を空けて配置され、下端の形状が前記鋼管側係止プレートの上端の形状に対して前記鋼管と前記円筒部とが共通する軸線回りに相互の回転するのを少なくとも一方向について妨げることがないように形成された複数の先端部側係止プレートを有する請求項2または3に記載の鋼管杭。 - 前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの両側部は前記鋼管及び前記円筒部の軸線とそれぞれ平行であり、前記鋼管側係止プレート及び前記先端部側係止プレートのそれぞれの幅及び配置間隔は略同一の長さであり、
前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとのそれぞれの両側部が軸方向について重なり合ったときに、それぞれの前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとの間に形成される間隙に適合する形状である複数の回転ストッパプレートをさらに含む請求項4に記載の鋼管杭。 - 前記円筒部の下端は、少なくとも前記鋼管の先端が当接できるように閉塞されており、前記鋼管側係止プレートの上端と前記先端部側係止プレートの下端とが、前記鋼管の先端が前記円筒部の下端に一致したときに略同じ高さとなるように、前記鋼管側係止プレートと前記先端部側係止プレートとが配置されている請求項4または5に記載の鋼管杭。
- 前記鋼管側係止プレートの上端は周方向について一方に傾斜した傾斜面であり、前記先端部側係止プレートの下端は前記鋼管側係止プレートの上端の傾斜面に対応する傾斜面である請求項4ないし6のいずれかに記載の鋼管杭。
- 鋼管と、前記鋼管の先端の外周から半径方向に突出した羽根とを含む鋼管杭を回転圧入することにより地中に貫入する鋼管杭の施工方法において、
前記羽根が突設され、前記鋼管とは別体であって、前記鋼管の先端に装着可能な先端部を貫入しようとする箇所に配置する配置過程と、
前記鋼管の先端に前記先端部を相互に回転及び離反することがないように装着する装着過程と、
前記先端部が装着された前記鋼管を回転圧入する回転圧入過程とを含むことを特徴とする鋼管杭の施工方法。 - 前記先端部は少なくとも上端面が開口し、前記鋼管の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有し、前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込んだ状態で前記先端部が前記鋼管の先端に装着され、
前記装着過程は、前記鋼管を上方から降下させて前記円筒部内に前記鋼管の先端を差し込む過程と、続いて前記鋼管を前記鋼管の軸線回りに回転させる過程とを含む請求項8に記載の鋼管杭の施工方法。
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JP2009035937A (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-19 | Mikio Umeoka | 鋼管杭 |
CN105821878A (zh) * | 2016-04-07 | 2016-08-03 | 隋付仁 | 预应力砼管桩沉桩方法 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002250477A patent/JP2004092017A/ja active Pending
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CN105821878A (zh) * | 2016-04-07 | 2016-08-03 | 隋付仁 | 预应力砼管桩沉桩方法 |
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