JP2004091492A - アミロイドベータタンパク質(球状アッセンブリーおよびその使用) - Google Patents

アミロイドベータタンパク質(球状アッセンブリーおよびその使用) Download PDF

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Abstract

【課題】 新規なアミロイドβオリゴマー構造体の提供。
【解決手段】 少なくとも3〜12個のアミロイドβタンパク質を含んで成り、神経毒性を示す、単離された可溶性の球状非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、アミロイドベータ由来痴呆リガンド(ADDL)である物質の新規の組成物に関する。ADDLは、特定の細胞過程を活性化し得る可溶性球状非原繊維性オリゴマー構造に組み立てられるアミロイドβペプチドを含んで成る。本発明は、ADDLの生成、存在、受容体タンパク質結合および細胞活性の検定方法も提供する。本発明は、ADDLの生成または活性を阻止する化合物、およびこのような化合物の同定方法も記載する。ADDLの生成および活性は特に、学習および記憶に関連する。したがって、ADDL生成または活性の調節は、本発明にしたがって、学習および記憶障害、ならびにADDLの作用によるその他の疾患、傷害または症状の治療に用い得る。
 アルツハイマー病は、例えば神経原繊維もつれ、神経炎性プラーク、ニューロン萎縮、樹状突起剪定およびニューロン死を含めた異なる病状を特徴とする進行性神経変性疾患である。歴史的展望から、アルツハイマー病の明確な診断は、特定の病理的特質、即ち死んだまたは死にかけたニューロンの虚脱化細胞骨格を表す神経炎繊維もつれ、そして種々のタンパク質、脂質、炭水化物および塩化合物の細胞外沈着物であり、その主要タンパク質成分がアミロイドβとして既知の39−43残基ペプチドである神経炎性プラークの同定に、常に頼ってきた。
 しかしながら、疾病衝撃の見地から、それは、アルツハイマー病における病状発現、即ち記憶の損失、認識機能の侵食、ならびに人格および行動の有意の変化であり、これらが最も有意である。これらの病状変化の根元にあるのは、神経細胞を機能不全にし、そして最後には変性させ、死なせる特定の細胞メカニズムである。これらの細胞メカニズムは疑いなく、防護のかなりのレベルに様々に影響を及ぼし、あるいは寄与および増悪作用を発揮する背景環境内で働く。結果は非常に広範な年齢/発生数分布曲線であり、特定の原因を示す集団試験からの糸口はほとんどない。
 分子遺伝学は、家族性アルツハイマー病の明瞭な臨床像が明らかになりつつある研究の一分野を示す。以下で詳細に説明するように、アルツハイマー病を引き起こす最終的一般経路はアミロイドβ1−42(ならびにアミロイドβ1−43)の産生増大であるということが、3つの異なるタンパク質、即ちAPPならびにプレセニリン1および2における突然変異を同定する研究から、目下明らかであり、これは、これらの異なる家族性AD突然変異のすべてで起きる。これは、本明細書に記載した本発明の中心目標であるADDLのみがこのより長い形態のアミロイドから安定した存在として生成し、より一般的な短い形態のAβ1−40からは生成しないために、特に注目に値する。
 アルツハイマー病におけるアミロイドβ
 1984年に、Glenner とWongは、アルツハイマー病に関連した脳血管性アミロイドの単離および同定に成功した(Glenner et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 120, 885-890,1984a)。その後、アミロイドβとして現在知られている同じ39−43残基ペプチドが、アルツハイマー病神経炎性プラークの主要タンパク質成分として同定された( Glenner et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 122, 1131-1135,1984b; Masters et al., EMBO J., 4.2757-2764, 1985a; Masters et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 4245-4249, 1985b)。これが、それまでは神経解剖学的および神経病理学的説明によってのみ特性化されていた疾患であるアルツハイマー病に、別々の分子が結びつけられた最初である。
 アミロイドβは、ダウン症候群個体におけるプラーク成分としても同定され( Glenner et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 122, 1131-1135,1984b; Masters et al., EMBO J., 4.2757-2764, 1985a; Masters et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 82, 4245-4249, 1985b)、それをコードする遺伝子が第21染色体上に存在する、という示唆をもたらした。1987年までに、多数のグループがアミロイドβ配列情報および分子遺伝学的技法を用いてその示唆を確認し、アミロイド前駆体タンパク質に対する遺伝子を同定した(Kang et al., Nature, 325, 733,1987; Tanzi et al., Science, 235, 880-884, 1987 )。
 APP遺伝子は、区別的に多数のAPPにスプライシングされる大型の多エキソン遺伝子である(Selkoe, Annual Review of Neuroscience, Cowan(Ed. ), 17, ix+623p, 489-517, 1994で再検討されている)。タンパク質は、その1又はそれより多くがアミロイドβを生成し得るいくつかの経路によりプロセッシングされることが現在分かっている大型の膜貫通タンパク質である。APPプロセッシングの初期研究はアミロイド生成が正常過程ではないと示唆した(Esch et al., Science, 248, 1122-1124, 1990; Sisodia et al., Science, 248, 492-495, 1990 )が、しかし培養細胞ならびに血清および脳脊髄液の分析のその後の研究は、アミロイドβ生成が多数の種類の細胞で正常過程として起きるが、その生成は主要な全体的経路を表し得ない、ということを示した。
 家族性アルツハイマー病の早期開始に苦しめられた個体からのDNAの重要な遺伝学的研究は、単一遺伝子、即ちこの同一APP遺伝子における突然変異がこの非常に重症形態の疾患の原因となったことを明らかにした。興味深いことに、Val 717での3つの異なる単一残基置換、アミロイドβ 1−42C末端の下流の4つの残基(Goate et al., Naturea, 349, 704-6, 1991; Chartier-Harlan et al., Nature, 353, 844-6, 1991; Murrell et al., Science, 254, 97-9 ), 1991およびスウェーデンの家族の早期開始家族性アルツハイマー病に関連したアミロイドβN末端のすぐ上流の2つの残基突然変異(670−671)を含めた、APP遺伝子におけるいくつかの異なる突然変異(Mullan et ala., Nature Genetics 1, 345-347, 1992)が見出された。
 スウェーデン突然変異体APP遺伝子のcDNAをコードするベクターを細胞株にトランスフェクトして、APPプロセッシングを評価したところ、野生型APPの場合と比較して、6〜8倍のアミロイドが生成されるということが判明した(Citron et al., Nature, 360, 672-674,1992; Cai et al., Science, 259, 514-516,1993)。生来のヒト脳プロテアーゼ活性を含有する脳組織抽出物は、スウェーデン突然変異を包含する蛍光原性オクタペプチド基質を、野生型配列を基礎にした対応する基質より100倍以上速くプロセッシングし得る、ということも実証された(Ladror et al., J. Biol. Chem., 269, 18422-8, 1994)。
 これらの結果は、スウェーデン突然変異が早発性家族性アルツハイマー病を引き起こすメカニズムがアミロイドβの実質的過剰産生を伴う、ということを示唆する。717突然変異体APPでトランスフェクトした細胞におけるアミロイド産生についての同様の試験も実施されたが、しかし産生されたアミロイドβのレベルは野生型APPにより産生されたレベルと異ならなかった。これは、アミロイドβ産生以外の何かがこれらの突然変異の病原であるというメカニズム的推測をもたらした。APP717突然変異体と、Younkin および共同研究者によるスウェーデン突然変異体APP(Suzuki et al., Science, 264, 1336-1340, 1994)のプロセッシングのより類似した評価は、この遺伝的アルツハイマー病症例の臨床像の一様化を提供した。
 この研究では、アミロイドβ産生の総レベルが評価されただけでなく、産生された特定の長さのアミロイドβペプチドも分析された。結果は、総アミロイドβレベルは変わらなかったとしても、717突然変異がアミロイドβ 1−42対アミロイドβ 1−40(生理学的条件下で高可溶性のペプチド)の比を2:1以上にすることを確証した。それぞれ第14染色体(Sherrington et al., Nature, 375, 754-758, 1995)および第1染色体(Levy-Lahad et al., Science,269, 970-973, 1995 )上に存在する遺伝子で近年発見されたプレセニリン1および2家族性アルツハイマー病突然変異も、アミロイドβ 1−42の有意の過剰産生に結びつけられた(Mann et al., Annals of Neurology, 40, 149-56, 1996; Schuener et al., Nature Medicine, 2, 864-70,1996)。
 これらの知見に基づいて、これらの明瞭に異なる家族性アルツハイマー病突然変異により媒介される病原性過程は、アミロイドβ 1−42のより高レベルの産生である、と思われる。これは、最も容易に集合し(Synder et al., Biophys. J., 67, 1216-28,1994)、アミロイドβの集合を接種して神経炎性プラークを形成する(Roher et al., Neurochem., 61, 1916-1926, 1993; Tamaoka et al., Biochem. Biophs. Res. Commun., 205,834-842, 1994 )アミロイドの形態であり、そして、本明細書に記載したように、「ADDL」と呼ばれる安定でより高水準のアッセンブリーを予想外に生成する形態である。
 アルツハイマー病における非アミロイドプラーク成分
 アミロイドβは総タンパク質の70%以上を構成する、プラークの主要タンパク質成分である。しかしながら、α1−アンチキモトリプシン(ACT)、ヘパリンスルフェートプロテオグリカン(HSPG)、アポリポタンパク質EおよびJ、ブチリルコリンエステラーゼ(BChE)、S−100Bおよびいくつかの補体成分を含めた種々のその他の成分も存在する。アルツハイマー病の開始および進行におけるこれらの成分の重要性は確定されていないがしかし、本疾患におけるアポEアイソフォームの関与は、Roses と同僚(Strittmatter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 1977-81,1993 )の遺伝学的研究により確定されており、彼等は、アポリポタンパク質E遺伝子、即ちアポE4の多形性が、大きい一組の後期開始家族性アルツハイマー病症例におけるアルツハイマー病の早期開始と相関する、ということを発見した。
 その後の研究は、アポE4を有する個体の群がアルツハイマー病の有意に大きい危険性を有し、そしてアルツハイマー病の開始がアポEに関する遺伝子量にほぼ平行する、ということを確証した。メカニズムレベルでは、アミロイドβに対してアポE4は、アルツハイマー病のより後期の開始に関連するアイソフォームであるアポE3またはアポE2よりも低い親和性で結合する、ということが研究から明示された。これらのアイソフォームは、アミロイドβ 1−42沈殿物のより有効なクリアランスにより防護作用を発揮し得る、ということが示唆された(Ladu et al., J. Biol. Chem., 269, 23403-23406, 1994; Ladu et al., J. Biol. Chem., 270, 9039-42, 1995)。
 その他のプラーク成分の役割は明らかではないが、しかし近年の研究(Oda et al., Exptl. Neurology, 136, 22-31, 1995)は、アポJ(クラステリン)がin vitroで集合化アミロイドβ 1−42の毒性を有意に増強し得る、ということを示した。HSPGは、ラット脳に注入されると、アミロイドβ 1−40の毒性を増強する、ということも報告されている(Snow et al., Soc. Neurosci. Abstr., 18, 1465, 1992)。Wright等(Ann. Neurol., 34, 373-384, 1993 )は、アルツハイマー病の脳からのアミロイドプラークは有意レベルのBChEを含有するが、一方、初老性非痴呆性個体からのアミロイドプラークは含有しない、ということを実証した。急性期炎症タンパク質ACTもアルツハイマー病脳中で上向き調節され、そしてアミロイドβのN末端16残基と関連することが知られている。Ma等(Ma et al., Nature, 372, 92-94, 1994 )は、ACTはアミロイドβ 1−42の集合を増強し得る、と報告しており、これらの筆者等は、集合増強がその神経毒性に関与する、と推測している。
 アミロイドβ細胞性反応およびin vivo 病状
 アルツハイマー病の特質であるプラークおよびもつれ(tangle)以外に、ニューロンと随伴するグリア細胞の両方において、一連の細胞性反応が誘発されていたことは明らかである。生化学的レベルでは、タウプロテインの高リン酸化は明白で、それはキナーゼ/ホスファターゼ平衡と同様に起因する。転写レベルでは、種々の遺伝子が活性化されて、脳には通常は存在しないか、または低レベルでのみ存在するある範囲のタンパク質を産生する。炎症過程が活性化された、という有意の証拠も存在する。
 特に、タウリン酸化は、分化SH−SY5Y細胞中の集合化アミロイドβ 1−42により誘発されることが実証されており(Lambert et al., J.Neurosci. Res., 39, 377-384, 1994 )、この結果は、Busciglio 等(Neuron, 14, 879-88, 1995)によるさらに最近の報告で確証されたが、この場合、アミロイドβが培養一次ラット海馬ニューロンにおけるタウリン酸化を活性化した。
 アルツハイマー病における原繊維アミロイドβおよび神経変性
 アミロイドβ 1−42がアルツハイマー病を引き起こすメカニズムは明らかにされていないが、しかし文献には200以上ものアミロイドβ神経毒性が含まれており、その多くが近年総説されている(例えば、Yankner et al., Neuron, 16, 921-32, 1996; Iversen et al., Biochemical Journal, 311, 1-16, 1995)。合意された見解は、アミロイドβが毒性であるために、それは原繊維構造に集合するに違いない、というものである(Pike et al., J.Neurosci., 13, 1676-87, 1993 )。単量体アミロイドのみを含有する溶液は、培養中のニューロンに有害な影響を及ぼさないことが繰り返し実証されてきた。
 さらに、研究は、円二色性および電子顕微鏡のような技術を用いて、アミロイドβシート含有原繊維と毒性の時機および程度とを相関させた(Simmons et al.,Molecular Pharmacology, 45, 373-9,1994 )。ある研究は、アミロイドβは、それが有毒であるために、原繊維形態で存在するに違いない、ということを明確に推断した(Lorenzo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 12243-12247, 1994 )。アミロイドの構造および活性に関するこの合意にもかかわらず、アミロイド毒性に関与する発表済みの実験的研究(Brining, Neurobiology of Aging, 18, 581-589, 1997 )の再現可能性、ならびに同一化学組成物であっても、アミロイドの異なるバッチを用いて得られる、または同一バッチでさえ、わずかに異なる方法で取り扱って得られる活性の広範な変動性(May et al., Neurobiology of Aging, 13, 1676-87, 1993)の問題が引き続き存在する。これは、その活性に関与するアミロイドβの正確な構造に関する問題を提起している。
 本発明は、従来技術における問題を克服しようとしている。したがって、予期せぬことに神経毒性であるアミロイドβペプチドの可溶性小球性非原繊維性オリゴマー構造(ADDL)に集合された物質の新規の組成物を提供することが、本発明の目的である。本発明のこれらのそしてその他の目的および利点、ならびにさらに別の本発明の特徴は、以下の説明から明らかになる。
 本発明は、アミロイドベータ由来痴呆リガンドまたはアミロイドベータ由来拡散性リガンド(ADDL)と呼ばれる物質の新規の組成物を包含する。ADDLは、特定の細胞過程を活性化し得る可溶性非原繊維性オリゴマー構造に組み立てられるアミロイドβペプチドから成る。本発明の別の局面は、ADDLの生成、存在、受容体タンパク質結合および細胞活性の検定方法から成る。本発明は、ADDLの生成および/または活性を調節する(増大または低減する)化合物の検定方法および同定方法も包含する。このような化合物は、ADDLの作用による疾患、障害または症状の治療に用い得る。
 アミロイドβの神経毒性試料は、原繊維構造が存在するだけでなく、予期せぬことに、神経毒性に関与すると思われるいくつかの小球状タンパク質構造が存在する、ということが発見された。新規の方法を用いて、主にこれらの可溶性球状タンパク質アッセンブリーを含有し、原繊維構造を含有しない試料が、本明細書中に記載したように生成された。種々の方法により調製される異種試料では、遠心分離による大型原繊維形態のアミロイドβの除去は、上清分画中のアミロイドβのこれらの可溶性球状アッセンブリーを除去しない。これらの上清分画は、文献条件下で集合された非分別化アミロイドβ試料より有意に高い神経毒を示す。
 これらの新規の、そして予想外の神経毒性可溶性球状形態を、本明細書中ではアミロイドβ由来痴呆リガンドまたはアミロイドβ由来拡散性リガンド(ADDL)と呼ぶ。3週間以上、標準文献条件(例えば、Pike et al., J. Neurosci., 13, 1676-1687, 1993)下で「時間を経た」アミロイドβの試料は、これらの試料がADDLをほとんどまたは全く含有せずに主要原繊維構造を含有する場合でも、それらの神経毒性を損失する。球状ADDLが神経毒性であるというこの発見は、有毒形態のアミロイドβを構成するのは原繊維構造であると、最近考えられているため(Lorenzo et al., Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 12243-12247,1994; Howlett et al., Neurodegen. 4, 23-32, 1995)、特に意外である。
 ADDLは、in vitroで生成され得る。単量体アミロイドβ 1−42(または本明細書中にさらに記載されているようなその他の適切なアミロイドβ)を含有する溶液(例えば、DMSO溶液)が冷組織培地(例えば、F12細胞培地)中で希釈される場合には、約4℃で約2〜約48時間インキュベートさせて、4℃で14,000gで約10分間、遠心分離すると、上清分画は、例えばニューロン細胞および脳薄片培地中で、高神経毒性である小型の可溶性オリゴマー小球を含有する。ADDLは、ある種の適切な薬剤、例えばクラステリン(ApoJとしても知られている老人性プラークタンパク質)を用いてアミロイドβと同時インキュベートすることによっても生成され得る。
 このような上清分画の原子間力顕微鏡分析(AFM)は、分画中に存在する多数の異なるサイズの小球を明示する。これらの小球は、約4.7nm〜約6.2nmの範囲内である。この範囲内に入る小球の異なる種が存在し得る。即ち、高さ面のわずかな変異は、分析時に雲母表面に特定の種がどのように収容されるかに起因する。しかしながら、このわずかの変異にもかかわらず、主に2つのサイズ、即ち約4.9nm〜約5.4nmと約5.7nm〜約6.2nmが、典型的試料中のオリゴマー構造の約50%を構成する、と考えられる。
 約5.3nm〜約5.7nmの寸法を有する異なるサイズ種の小球も存在し得る。AFMでの約4.7nm〜約6.2nmの寸法の小球は、五量体および六量体形態のオリゴマーアミロイドβタンパク質を包含すると思われる。約4.2nm〜約4.7nmのAFMサイズ小球は、Aβ四量体に対応すると考えられる。約3.4nm〜約4.0nmのサイズ小球は、三量体に対応すると思われる。約2.8nm〜約3.4nmのサイズ小球は、二量体に対応する(Roher et al., J. Biol. Chem., 271, 20631-20635, 1996)。AβモノマーAFMサイズは、約0.8nmから約1.8〜2.0nmまでの範囲である。単量体および二量体アミロイドβは、ニューロン細胞培養中、または器官型脳薄片培養中では神経毒性でない。
 したがって、本発明は、好ましくは少なくとも約3〜約12個のアミロイドβタンパク質を含んで成り、望ましくは少なくとも約3〜約6個のアミロイドβタンパク質を含んで成る単離可溶性非原繊維性アミロイドβタンパク質アッセンブリー(即ちADDL)を提供する。特に、本発明は、アッセンブリーが、好ましくは、三量体、四量体、五量体および六量体からなる群から選択されるオリゴマー形態を含んで成る単離アミロイドβタンパク質アッセンブリを提供する。タンパク質アッセンブリーは、最適には、神経毒性活性を示す。高次構造のアミロイドβタンパク質は、アミロイドβ 1−42からだけでなく、可溶性非原繊維性アミロイドβタンパク質アッセンブリーを安定に生成し得るあらゆるアミロイドβタンパク質からも生成され得る。
 特に、アミロイドβ 1−43も用い得る。位置1にビオシチン(biocytin)を有するアミロイドβ 1−42も用い得る。N末端にシステインを有するアミロイドβ(例えば、β 1−42またはβ 1−43)も用い得る。同様に、アミノ末端で切除されたAβ(例えば、特に、Aβ 1−42またはAβ 1−43のアミノ酸残基1〜8の配列の1つ又はそれ以上、全部までを失った)、またはカルボキシル末端に1または2つの余分のアミノ酸残基を有するAβ(例えば、Aβ 1−42または1−43)を用い得る。対照してみると、アミロイドβ 1−40は、有毒であり得ないADDL様構造を一時的に生成し得るが、しかし、おそらくはタンパク質の短縮化性のために、これらの構造は安定でなく、そして水性溶液として単離され得ず、このことが、安定様式でこのような高次アッセンブリーを形成するその能力を制限する。
 望ましくは、本発明の単離されたアミロイドβタンパク質アッセンブリーは、原子間力顕微鏡で測定した場合に約4.7nm〜約6.2nmの寸法の小球を包含する。さらに、好ましくは単離されたアミロイドβタンパク質アッセンブリーは、原子間力顕微鏡で測定した場合に、約4.9nm〜約5.4nm、または約5.7nm〜約6.2nmの寸法の小球を包含する。特に、好ましくは本発明の単離されたアミロイドβタンパク質アッセンブリーは、アッセンブリーの約30%〜約85%、さらに好ましくは約40%〜約75%が主に2つのサイズの小球、即ち原子間力顕微鏡で測定した場合に約4.9nm〜約5.4nmと約5.7nm〜約6.2nmのサイズの小球を包含する。しかしながら、タンパク質アッセンブリーが約5.3〜約5.7nmのAFMサイズ小球を包含するのも望ましい。
 非変性剤ゲル電気泳動により、ADDLに対応するバンドは、約26kD〜約28kDで泳動する。変性条件下(例えば、15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上)では、ADDLは、約22kD〜約24kDで泳動するバンドを含み、そして約18〜約19kDで泳動するバンドも含み得る。したがって、本発明は、好ましくは、非変性剤ゲル電気泳動で測定した場合に約26kD〜約28kDの分子量を有する単離アミロイドβタンパク質アッセンブリー(即ちADDL)を提供する。本発明は、好ましくは、15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動により測定した場合に約22kD〜約24kDまたは約18〜約19kDの分子量に対応するバンドとして泳動する単離アミロイドβタンパク質アッセンブリー(即ちADDL)を提供する。
 本発明はさらに、単離された可溶性非原繊維性アミロイドβタンパク質アッセンブリーの製造方法を提供する。この方法はさらに任意に、
 (a)単量体アミロイドβタンパク質の溶液を生成し;
 (b)タンパク質溶液を適切な培地中に希釈し;
 (c)約4℃で工程(b)から得られた培地をインキュベートし;
 (d)約4℃で約14,000gで培地を遠心分離し;
 (e)アミロイドβタンパク質アッセンブリーを含有する場合は遠心分離から得られた上清を回収する;
工程を含んで成る。
 この方法の工程(c)では、溶液は、望ましくは約2時間〜約48時間、特に約12時間〜約48時間、さらに好ましくは約24時間〜約48時間、インキュベートされる。本方法の工程(d)では、遠心分離は、好ましくは約5分間〜約1時間、特に約5分間〜約30分間、最適には約10分間、実施される。しかしながら、一般的には、これは、あらゆる発生期の原繊維またはプロトフィブリル構造を除去するためのまさに予告測定であり、そしてADDL調製の長期安定性が問題でない場合には特に、必要でない。
 Aβタンパク質を工程(b)で希釈して、望ましくは最終濃度を約5nM〜約500μM、特に約5μM〜約300μMの範囲、特に約100μMとする。Aβタンパク質溶液が工程(b)においてその中で希釈される「適切な培地」は、好ましくは、ADDL生成を、促進しないならば、支持するあらゆる培地である。特に、F12培地(市販されており、ならびに実験室で容易に処方される)が、本発明のこの方法に用いるのに好ましい。同様に、「代用F12培地」も、望ましくは用い得る。代用F12培地は、市販されている、または実験室で処方されるF12培地とは異なる。本発明によれば、代用F12培地は、好ましくは以下の成分を包含する:N,N−ジメチルグリシン、D−グルコース、塩化カルシウム、硫酸銅五水和物、硫酸鉄(II)七水和物、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムおよび硫酸亜鉛七水和物。
 特に、本発明の合成F12培地は、任意に以下の物質を包含する:N,N−ジメチルグリシン(約600〜約850mg/L)、D−グルコース(約1.0〜約3.0g/L)、塩化カルシウム(約20〜約40mg/L)、硫酸銅五水和物(約15〜約40mg/L)、硫酸鉄(II)七水和物(約0.4〜約1.2mg/L)、塩化カリウム(約160〜約280mg/L)、塩化マグネシウム(約40〜約75mg/L)、塩化ナトリウム(約6.0〜約9.0g/L)、重炭酸ナトリウム(約0.75〜約1.4g/L)、リン酸水素二ナトリウム(約120〜約160mg/L)および硫酸亜鉛七水和物(約0.7〜約1.1mg/L)。
 最適には、本発明の合成F12培地は以下を包含する:N,N−ジメチルグリシン(約766mg/L)、D−グルコース(約1.802g/L)、塩化カルシウム(約33mg/L)、硫酸銅五水和物(約25mg/L)、硫酸鉄(II)七水和物(約0.8mg/L)、塩化カリウム(約223mg/L)、塩化マグネシウム(約57mg/L)、塩化ナトリウム(約7.6g/L)、重炭酸ナトリウム(約1.18g/L)、リン酸水素二ナトリウム(約142mg/L)および硫酸亜鉛七水和物(約0.9mg/L)。さらに、代用F12培地のpHは、例えば、0.1M水酸化ナトリウムを用いて、望ましくは約7.0〜約8.5、好ましくは約8.0のpHに調整される。
 前記の方法は、さらに望ましくは、適切な薬剤、例えばクラステリンの存在下で、緩徐沈降タンパク質アッセンブリーを形成することにより実行し得る。これは、例えば工程(c)にクラステリンを付加することにより成され、そして以下の実施例に記載される。
 10%ビオチニル化アミロイドβ 1−42(または他の適切なビオチニル化アミロイドβタンパク質)の混入によりADDLが調製される場合、それらは神経細胞を用いた、そして、例えば蛍光アビジン複合体による標識化を用いる蛍光標示式細胞分取(FACS)器で実行される受容体結合検定に利用可能である。あるいは、アミロイドβタンパク質中にビオチンを混入する代わりに、ADDLを結合して蛍光的標識化分子を生成し得る、そしてすでに蛍光標識化複合体の一部である、別の試薬を用い得る。例えば、タンパク質アッセンブリーは、アミロイドタンパク質が別の結合部分を含むように形成され得る。
 ここで、「結合部分」とは、本明細書中では、試薬を結合して蛍光的標識化化合物または複合物を生成するために用い得る分子(例えばアビジン、ストレプトアビジン、ポリリシン等)を包含する。タンパク質アッセンブリーが結合する「蛍光試薬」はそれ自体が直接蛍光を発する必要はないが、しかし代わりに、別の薬剤との結合により蛍光発光を可能にするだけである。例えば、タンパク質アッセンブリーと結合する蛍光試薬はβアミロイド特異的抗体(例えば6E10)を包含し、蛍光は蛍光二次抗体の使用に世って発生される。
 他の実験とともに、ラットCNS B103細胞のFACSスキャン分析を、ADDLインキュベーションを用いない場合と用いた場合とで、実施した。これらのそしてさらに別の試験の結果は、細胞表面との結合は飽和可能であり、トリプシンによる短時間処理は、細胞表面のサブセットを選択的に除去し、ADDLの結合を排除する、ということを確証する。トリプシンを用いた短時間処理によりB103細胞の表面から切断可能なタンパク質は、B103細胞または培養一次ラット海馬ニューロンとのADDL結合も防止し得る。これらの結果はすべて、ADDLが特定の細胞表面受容体を介して作用し、そしてADDLにより媒介される早期事象(即ち殺細胞前の事象)がADDLの生成および活性(受容体結合を含む)を阻止する化合物により有益に制御され得る(例えば、治療または研究のために)、ということを支持する。
 したがって、本発明は、ADDLの受容体結合を調節する(即ち促進するかまたは阻止する)化合物を同定するための方法を提供する。この方法は、好ましくは以下の工程からなる:
 (a)試験物質との接触の存在下または非存在下で、ニューロン細胞の別々の培養物をタンパク質アッセンブリーと接触させ;
 (b)タンパク質アッセンブリーと結合する、蛍光性である試薬を付加し;
 (c)蛍光標示式細胞分類により別々の細胞培養物を分析し;
 (d)培養物の蛍光を比較し、被験化合物の非存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養と比較して、タンパク質アッセンブリーの受容体結合を阻止する化合物を培養の蛍光低減を引き起こすものと同定し、そして受容体結合を促進する化合物を培養の蛍光増大を引き起こすものとして同定する。
 培養物の蛍光を比較する。あるいは、タンパク質複合体にそこにおよびそれ自体結合する蛍光物質を添加する代わりに、望ましくは、タンパク質アッセンブリーが、蛍光試薬を結合し得る結合部分を含有するように調製されたアミロイドβ 1−42タンパク質(または別のアミロイドβ)から形成されるように、本方法が実行される。
 同様に、タンパク質アッセンブリーの形成または受容体結合を調節する(即ち、促進または阻止する)化合物を同定するための方法であって、以下の工程から成る方法を用い得る:
 (a)被験化合物と混合された、またはされていないアミロイドβの別々の試料を調製し;
 (b)別々の試料中にタンパク質アッセンブリーを形成し;
 (c)ニューロン細胞の別々の培養を別々の試料と接触させ;
 (d)タンパク質アッセンブリーと結合する、蛍光性である試薬を付加し;
 (e)蛍光標示式細胞分類により別々の細胞培養を分析し;
 (f)培養物の蛍光を比較し、被験化合物の非存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養と比較して、タンパク質アッセンブリーの形成または受容体結合を阻止する化合物を培養の蛍光低減を引き起こすものと同定し、そしてタンパク質アッセンブリーの形成または受容体結合を促進する化合物を培養の蛍光増大を引き起こすものとして同定される。
 さらに、タンパク質複合体におよびそれ自体結合することができる蛍光試薬を付加する代わりに、望ましくは、タンパク質アッセンブリーが、蛍光試薬を結合し得る結合部分を包含するように調製されたアミロイドβタンパク質から形成されるように、本方法は実行され得る。
 さらに任意には、同一様式で、但しタンパク質アッセンブリーの形成前に被験化合物を付加するかまたは付加しないで、被験化合物をタンパク質アッセンブリーの形成後に付加するかまたは付加せずに、培養物の蛍光を処理した培養物の蛍光と比較する。この情況では、化合物がタンパク質アッセンブリー前に付加される場合にのみ、被験化合物の非存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養物と比較して、タンパク質アッセンブリーの形成を阻止する化合物が培養の蛍光低減を引き起こすものとして同定され、そしてタンパク質アッセンブリーの形成を促進する化合物が培養の蛍光増大を引き起こすものとして同定される。
 これに対して、化合物がタンパク質アッセンブリーの前または後に付加される場合、被験化合物の非存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養物と比較して、タンパク質アッセンブリーの受容体結合を阻止する化合物が、培養の蛍光低減を引き起こすものとして同定され、そしてタンパク質アッセンブリーの受容体結合を促進する化合物が、培養の蛍光増大を引き起こすものとして同定される。
 同様の様式で、細胞ベースの検定、特に細胞ベースの酵素結合免疫吸着剤検定(ELISA)を、本発明にしたがって用いてADDL結合活性を査定するために使用し得る。特に、本方法は、細胞表面受容体とのタンパク質アッセンブリーの結合を検出するために用い得る。この方法は、好ましくは以下の工程から成る:
 (a)アミロイドβタンパク質からタンパク質アッセンブリーを形成し;
 (b)ニューロン細胞の培養物をタンパク質アッセンブリーと接触させて;
 (c)前記のタンパク質アッセンブリーと結合する(複合体形成成分(例えばビオチンまたはその他の適切な薬剤)を含めた)抗体(例えば6E10)を付加し;
 (d)非結合抗体を洗い落とし:
 (e)前記の複合体形成成分により、前記のタンパク質アッセンブリーに結合される前記の抗体に酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ)を結合せしめ;
 (f)前記の酵素により切断される無色基質(例えばABTS)を付加して変色を生じさせ;そして
 (g)前記のタンパク質アッセンブリーの受容体結合の測定と同様に、前記の変色(例えば分光測光的に)または変色の速度を確定する。
 前記のように、抗体はADDLを検出し得る任意の抗体(例えば、アミロイドβ上の曝露部位に向けられる抗体)であり、そして抗体複合体形成成分は検出の手段と結合し得る任意の薬剤(例えば、酵素)である。酵素は、検出の手段(例えば、基質の切断による変色)を提供する任意の成分(例えば、おそらくはタンパク質以外のものでも)であることができ、さらに別の成分(例えば二次抗体)により、タンパク質アッセンブリーに結合される抗体に結合され得る(例えば、共有または非共有)。
 さらに、好ましくは本発明により、検定実施前に、細胞を固体基体(例えば、組織培養プラスチック)に付着させる。望ましくは、工程(b)は、ADDLが細胞と結合し得るように、前記と同様に実施すべきであることは、言うまでもない。同様に、好ましくは工程(c)は、抗体をADDLに結合させるのに十分な時間(例えば約10分間〜約2時間、望ましくは約30分間)、そして適切な条件(例えばほぼ室温で、好ましくは静かに攪拌しながら)下で、実行すべきである。さらに、適切な遮断剤を用いて、当業者に既知のような適切な遮断工程を実行して、抗体のあらゆる非特異的結合を低減し得る。ELISAは当業者によく知られており、当業界で既知のように検定に対する修正を成し得る。
 検定はまた、望ましくは、タンパク質アッセンブリーの形成または受容体結合を調節する(即ち促進または阻止する)化合物を同定するために実行し得る。この方法では、被験化合物に関する前記の検定と同様に、被験化合物は、細胞をADDLと接触させる前に、ADDL調製物に付加される。したがって、この検定は、タンパク質アッセンブリーの形成を調節する化合物を検出するために用い得る(例えば、前記と同様に)。さらに、被験化合物は、細胞を接触させる前に(しかしADDL生成の後に)ADDL調製物に、あるいはADDLと接触する前に細胞に添加される。
 この方法(例えば前記と同様に)はさらに、細胞表面とのADDL結合を調節する化合物を検出するために用い得る。さらに、被験化合物は、細胞+ADDLの混合物に添加され得る。この方法(前記と同様に)は、ADDL受容体結合の下流に生じるADDL媒介事象に影響を与える化合物を検出するために用い得る。ADDL媒介下流作用に作用するための化合物の特異性は、例えば、ADDLとの同時インキュベーションの非存在下で被験化合物を単に付加することにより確証し得る。もちろん、さらなる適切な制御(例えば以下の実施例に記載するような、そして当業者には既知の)が、すべての検定とともに含まれるべきである。
 タンパク質アッセンブリーの形成および/または受容体結合を含めた活性を調節する(即ち、促進または阻止する)化合物に関する情報は、ADDL媒介性疾患、症状または障害の研究および治療に用い得る。本発明の方法は、ADDLそれ自体の活性および神経毒性を調べるために用い得る。例えば、20nLのADDL調製物を成熟マウスの海馬領域に、長期増強(LTP)実験(例えば、Namgung et al., Brain Research, 689,85-92, 1995 )の実施前60〜70分に注入すると、実験の刺激期が食塩水対照注入と同一の態様で起きたが、しかし、刺激期中に示されたレベルに匹敵するレベルでシナプス活性が残存した対照動物と比較して、一緒の(corsolidation )期は、その後2時間に亘って、細胞体スパイク振幅により測定した場合、有意の継続的減少を示した。実験後の脳薄片の分析は、細胞死が全く起きなかったことを示した。これらの結果、ならびに以下の実施例に記載した別の結果は、ADDL治療がLTP反応を弱化したことを確証する。これは、神経細胞死の誘発によるというよりむしろ、ニューロンシグナル過程を妨害することにより、アルツハイマー病で観察される学習および記憶の弱化にADDLが関与することを示す。
 ADDLの作用に関するさらに別の情報(ADDLの生成および/または活性を潜在的に調節する被験化合物の存在下または非存在下で)は、本発明によるさらに別の検定を用いて得られる。例えば、本発明は、好ましくは以下の工程を含んで成るADDLの作用の検定方法を提供する:
 (a)動物の海馬にタンパク質アッセンブリーを投与し;
 (b)電気的刺激を適用し;そして
 (c)長期増強反応を確定するために長期間にわたり、細胞体スパイク振幅を測定する。動物の長期増強反応を同一様式で、但し電気的刺激の適用前にタンパク質アッセンブリーの代わりに食塩水を投与して、処置した別の動物の長期増強反応と比較する方法を、任意に実行する。この方法はさらに、例えばADDLを単独で、または被験化合物と一緒に投与した動物におけるLTP反応を比較することにより、ADDLの作用を調節する(即ち増大または低減する)化合物を同定するために用い得る。
 これらの線に沿って、本発明は、ADDLタンパク質アッセンブリーの作用を調節する化合物を同定する方法を提供する。方法は、好ましくは以下の工程から成る:
 (a)動物の海馬に食塩水または被験化合物を投与し;
 (b)電気的刺激を適用し;
 (c)長期増強反応を確定するために長期間、細胞体スパイク振幅を測定し;そして
 (d)食塩水を投与した動物の長期増強反応を、被験化合物を投与した動物の長期増強反応と比較する。本方法はさらに、食塩水または被験化合物の投与の前に、一緒に、または後に、海馬にタンパク質アッセンブリーを投与することを任意に包含する。
 同様に、本発明は、ADDLタンパク質アッセンブリーの神経毒性を調節する(即ち増大または低減する)化合物を同定するための方法であって、以下の工程から成る方法を提供する:
 (a)被験化合物との接触の存在下または非存在下で、ニューロン細胞の別々の培養物をタンパク質アッセンブリーと接触させ;
 (b)各培養物中の成育可能な細胞の割合を測定し;そして
 (c)各培養物中の増殖可能細胞の割合を比較する。タンパク質アッセンブリーの神経毒性を阻止する化合物は、例えば、被験化合物の非存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養物と比較した場合の培養中の増殖可能細胞の割合の増大を引き起こす場合に、同定される。タンパク質アッセンブリーの神経毒性を増大する化合物は、例えば、被験化合物の存在下でタンパク質アッセンブリーと接触させた対応する培養と比較した場合の培養中の成育可能細胞の割合の低減を引き起こす場合に、同定される。
 本発明の方法は、被験物質中でADDLを(例えば、研究、診断および/または治療の一部として)検出するのに用い得る。例えば、ADDLは血清飢餓化B103細胞における急速な形態学的変化を引き起こし、そしてさらにADDL処置の30分以内にこれらの細胞におけるFynキナーゼ活性を活性化する(データは示されていない)。ADDLは、Fynと局所的付着キナーゼとの間の迅速な複合体形成を(FAK;Zhang et al., Neurosci. Letters, 211, 1-4, 1996 )、そしていくつかのリン酸化タンパク質およびFyn−Fak複合体のトリトン不溶性分画へのトランスロケーションも誘発する(Berg et al., J. Neurosci. Res., 50, 979-989, 1997 )。これは、Fynおよびその他の活性化信号伝達経路がADDLにより誘発される神経変性過程に関与することを示唆する。これは、機能性fyn遺伝子を欠く遺伝的に変えられたマウスからの脳薄片培養における実験により確証されたが、この場合、ADDFの付加は、ビヒクル対照と比較して、神経毒性の増大を引き起こさなかった。
 したがって、1つ又はそれ以上のFynの機能またはFyn再局在化を阻止する、言い換えればADDLに影響を及ぼすことによる化合物は、アルツハイマー病に対する重要な神経防護剤であり得る。同様に、ADDLを一次星状膠細胞の培養物に添加すると、星状膠細胞は活性化されて、IL−1、誘導性酸化一酸化窒素シンターゼ、ApoE、ApoJおよびα1−アンチキモトリプシンを含めたいくつかのタンパク質に対するmRNAが増大される。これらの現象は、望ましくは、被験物質中のADDLタンパク質アッセンブリーを検出するための方法に、本発明にしたがって用いられる。
 このような方法は、任意に以下の工程から成る:
 (a)被験物質を抗体(例えば、6E10抗体又は別の抗体)と接触させ;そして
 (b)抗体のタンパク質アッセンブリーとの結合を検出する。
 同様に、以下の方法が、望ましくは用いられる:
 (a)被験物質を血清飢餓化神経芽細胞腫細胞(例えば、B103神経芽細胞腫細胞)と接触させ;そして
 (b)被験物質と接触されなかった神経芽細胞腫細胞に対する細胞の形態学的知見と比較することにより、細胞における形態学的変化を測定する。
 以下の方法も、好ましくは用いられる:
 (a)被験物質を脳薄片培養物と接触させ;そして
 (b)被験物質と接触されなかった脳薄片培養物に対して比較することにより、脳細胞死を測定する。さらに望ましくは、以下の方法も実施し得る:
 (a)被験物質を神経芽細胞腫細胞(例えば、B103神経芽細胞腫細胞)と接触させ;そして
 (b)被験物質と接触されなかった神経芽細胞腫細胞におけるfynキナーゼ活性に対して細胞中のfynキナーゼ活性を比較することにより、fynキナーゼ活性の増大を測定する。特に、Fyn活性は、市販のキット(例えば、Oncogene Research Products,Cambridge, MAからのKit #QIA-28 )を使用して、またはBorowski et al., J. Biochem.(Tokyo ), 115, 825-829,1994 に記載されているのと類似の検定を用いて、比較し得る。
 被験物質中のADDLの検出方法のさらに別の好ましい実施態様では、方法は、望ましくは以下の工程から成る:
 (a)被験物質を一次星状膠細胞の培養物と接触させ;そして
 (b)被験物質と接触されなかった一次星状膠細胞の培養物と比較した場合の星状膠細胞の活性化を確定する。この方法の変法では、任意に以下の工程が包含される:
 (a)被験物質を一次星状膠細胞と接触させ;そして
 (b)被験物質と接触されなかった一次星状膠細胞の培養物中のmRNAレベルを比較することにより、インターロイキン−1、誘導性酸化一酸化窒素シンターゼ、ApoE、ApoJおよびα1−アンチキモトリプシンから成る群から選択されるタンパク質に対するmRNAの増大を星状膠細胞で測定する。特に本明細書中の開示の点から見て当業者に明らかになるその他の検定方法も、そしてさらに、前記の方法の変法ももちろんある。
 したがって、明らかに、本発明のADDLはin vitroでの用途を有する。このようなADDLは、ADDL結合および細胞内相互作用の試験における、そしてADDL活性の検定方法における探索道具として、とりわけ用い得る。同様に、ADDLおよびADDLの生成、活性および調節の試験は、in vivo で用い得る。
 特に、本発明の方法を用いて同定された化合物を用いて、認識または学習の欠損(即ち、記憶の不全による)、および/または記憶それ自体の欠損を引き起こす多数の疾患、障害または症状のいずれかを治療し得る。このような治療または予防は、ADDLの生成および/または活性を防止する、あるいはADDLと相互作用する(例えば、いわゆる「下流」事象)細胞作用物質を調節する(即ち、望ましくはADDLに影響を与えた結果として活性を増大または低減する)化合物を投与することにより、実施し得る。ADDLに影響を及ぼす能力を有するこのような化合物は、本明細書中では「ADDL調節化合物」と呼ばれる。ADDL調節化合物は、負に作用するだけでなく、いくつかの症例では、好ましくは、ADDLの生成および/または活性を増大するために用いられる。
 望ましくは、in vivo で用いる場合、ADDLタンパク質アッセンブリーの作用により、認識、学習または記憶の低減から動物を防護するための方法が用いられる。この方法は、ADDLの生成または活性を阻止する化合物を投与することを包含する。同様に、ADDL生成および/または活性のために認識、学習および/または記憶の欠損が結果として生じる程度までは、ADDの活性(および/または生成)が一旦阻止されれば、このような欠損は逆転されるかまたは回復され得る。したがって本発明は、好ましくは、本発明のタンパク質アッセンブリーの作用による認識、学習または記憶の低減を動物において逆転(または回復)するための方法を提供する。本方法は、好ましくは、ADDLの生成または活性を阻止することを包含する。
 特にこの方法は、認識、学習および/または記憶の欠損として表れ、ADDLの生成または活性によるものである疾患、障害または症状、特にアルツハイマー病、成人性ダウン症候群(即ち年齢40歳以上)および老人性痴呆症から成る群から選択される疾患、障害または症状の治療または予防に適用され得る。
 さらに、この方法は、望ましくは、疾患、障害または症状それ自体の発症前に出現し得る細胞活性、認識、学習および記憶に及ぼす早期有害作用で、疾患、障害または症状それ自体の発症に関与し、あるいは最終的にはそれらを構成する有害作用の治療または防止に適用され得る。特に、本方法は、好ましくは、ADDLの生成または活性の結果として生じ得る神経細胞またはその他の脳細胞の早期機能不全の治療または予防に適用され得る。同様に、本方法は、好ましくは、文献(例えば、Linn et al., Arch. Neurol., 52, 485-490,1995)に記載されているような、ADDLの生成または活性のための病巣性記憶欠損(FMD)の治療または予防に適用され得る。本方法はさらに、望ましくは、ADDLの生成または活性の結果として派生するADDL誘発性異常型ニューロンシグナリング、高次筆記技能(例えば、Snowdon et al., JAMA, 275, 528-532, 1996)またはその他の高次認識機能、長期増強の低減(または非存在)の治療または予防に用い得る。
 本発明によれば、「ADDL誘発性異常型ニューロンシグナリング」は、種々の手段により測定し得る。例えば、正常ニューロンシグナリング(ならびに長期増強反応の観察)に関しては、他のことの中で、Fynキナーゼは活性化されねばならず、FynキナーゼはNMDAチャンネルをリン酸化せねばならず(Miyakawa et al., Science, 278, 698-701, 1997; Grant, J. Physiol. Paris, 90, 337-338, 1996 )、Fynは適切な細胞位置に存在しなければならない(これは、例えばADDLにより誘発されたある細胞骨格再編成において起きる場合、Fyn−FAK複合体形成により妨害され得る)。
 これに基づいて、ADDL誘発性異常型ニューロンシグナリング(これはADDLによる細胞性経路の異常型活性化により誘発されるシグナリング機能不全である)およびその知識は、当業者には明らかになるように、本発明の方法で用い得る。例えば、ADDL誘発性異常型細胞シグナリングは、例えば、Fynキナーゼ活性化(またはその変化)、Fyn−FAK複合体形成(またはその変化)、細胞骨格再編成(またはその変化)、Fynキナーゼ細胞下レベル局在化(またはその変化)、NMDAチャンネルのFynキナーゼリン酸化(またはその変化)といった、これらのあらゆる測定値を用いて、または当業者に明らかになるように、査定し得る(例えば、神経細胞をADDLと接触させた結果として。これは、ADDL調節活性に関して試験される化合物の存在下または非存在下でも実施し得る)。
 さらに、ADDLそれ自体は、治療に適用され得る。本明細書に記載したこれらの新規のアッセンブリーは、おそらくは治療に適用され得る多数の予期せぬ作用を細胞に及ぼす、ということが発見された。例えば、ADDLは、血管細胞と相互作用することが、中でも知られている内皮細胞を活性化する。ADDLは、例えば創傷治癒に用い得る。さらに、例を挙げれば、ボツリヌスA型毒素(BoTox)は、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻止することにより作用するボツリヌス菌Clostridium botulinum により産生される神経筋肉接合部遮断剤である。
 Botoxは、ジストニーを含めた無力性筋痙攣の治療に有益であることが立証されている。ADDLそれ自体は、理論的に、神経細胞機能に命令するために、または標的化神経細胞を選択的に破壊するために(例えば、中枢神経系、特に脳の癌の場合に)、適用され得る。ADDLは、それらが非常に早期に細胞に影響を及ぼすという点、そして細胞に及ぼすそれらの作用(その殺細胞作用とは別に)が可逆的であると思われる点でも、有益であると思われる。
 前記のように、本発明のADDL調節化合物、ならびにADDLそれ自体は、細胞をin vitroまたはin vivo で接触するのに用い得る。本発明によれば、細胞はあらゆる細胞、好ましくは真核細胞である。真核細胞は、典型的には、その障害のある段階で、核膜に取り囲まれた核を保有する細胞である。好ましくは、真核細胞は、多細胞種の細胞(例えば単細胞酵母菌細胞と対照したものとして)であり、好ましくは哺乳類(任意にヒト)細胞でさえある。
 しかしながら、本方法は、広範囲の細胞型、例えば鳥類細胞および哺乳類細胞、例えば齧歯類、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、類人猿、ゴリラ、オランウータンまたはテナガザル)、ネコ類、イヌ類、有蹄類(例えば反芻類またはブタ)、ならびに、特にヒト細胞を用いても有効に実施し得るが、これらに限定されない。好ましい細胞型は、神経細胞およびグリア細胞を含めた脳を構成する細胞である。本発明の特に好ましい細胞型は、神経細胞(正常または異常型、例えば形質転換化または癌性)である。組織培養に用いる場合、望ましくは、神経細胞は神経芽細胞腫細胞である。
 細胞は単一実体として存在するか、または細胞の大形集合の一部として存在し得る。このような「細胞の大形集合」は、例えば細胞培養(混合または純粋)、組織(例えば神経またはその他の組織)、器官(例えば脳またはその他の器官)、器官系(例えば、神経系mたはその他の器官系)、あるいは生物体(例えば哺乳類等)を包含し得る。好ましくは、本発明の情況での当該する器官/組織/細胞は、中枢神経系(例えば、神経細胞)である。
 さらに、本発明によれば、「接触する」とは、これらの薬剤が物理的に細胞に触れるあらゆる手段を包含する。本方法は、導入のいかなる特定の手段にもよらず、そしてそのように解釈されない。導入の手段は、当業者には周知であって、本明細書中に例示されてもいる。したがって、導入は、例えばin vitro(例えば、ex vivo 型治療方法でまたは組織培養試験で)またはin vivo で実行され得る。他の方法も利用可能であり、当業者には既知である。
 このような「接触」は、当業者に既知の、そして本明細書に記載したあらゆる手段により実行され、それにより、ADDLおよびADDL調節化合物、ならびに細胞の見かけの接触または相互の接触が実行され得る。例えば、接触は、小容量の同一溶液中でこれらの素子を混合することにより、実行され得る。任意に、要素はさらに、例えば当業者に既知の化学的手段により、またはその他の手段によって、共有結合されるか、または、好ましくは非共有的相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力および/または非極性相互作用)によって結合され得る。
 比較した場合、影響される細胞およびADDLまたはADDL調節化合物は、例えば、ADDLまたはADDL調節化合物が宿主に投与され、複合体が血流またはその他の体液、例えば脳脊髄液によりそれと結合する細胞に運ばれる場合には、必ずしも小容量中で接触させる必要はない。細胞のADDLまたはADDL調節化合物との接触は、時として、当該の別の化合物が投与される前、それと一緒に、またはその後に実行される。望ましくは、この接触は、同時投与薬剤が細胞またはADDLにその作用を同時に発揮する少なくとも多少の時間が存在するように、実行される。
 治療および/または診断、探求または研究のために動物に本発明の薬剤(例えば、ADDLまたはADDL調節化合物)を投与する適切な方法が利用可能であって、投与には1つより多い経路を用い得るけれども、特定の経路が別の経路より直接的且つより有効な反応を提供する、と当業者は理解する。製薬上許容可能な賦形剤も当業者には周知であり、容易に入手可能である。賦形剤の選択は、薬剤を投与するために用いられる特定の方法により、一部は確定される。したがって、本発明の情況で用いるための広範な種々の適切な処方物が存在する。以下の方法および賦形剤は単に例示するためのものであって、これらに限定されない。
 経口投与に適した製剤は、(a)有効量の化合物が希釈剤中に溶解されるような液体溶液、例えば水、食塩水またはオレンジジュース;(b)カプセル、サッシュまたは錠剤。各々、予定量の活性成分を固体または粒子として含有する;(c)適切な液体中の懸濁液;そして(d)適切なエマルションで構成され得る。錠剤形態は、1つ又はそれ以上のラクトン、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微晶質セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド二酸化珪素、croscarmelloseナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびその他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、風味剤、ならびに薬学的に相溶性の賦形剤を包含し得る。ロゼンジ形態は、風味剤、通常はスクロース、アラビアゴムまたはトラガカントゴム中に活性成分を含有し、ならびに香錠剤は、不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、エマルション、ゲル等の中に活性成分を含未、活性成分の他に例えば当業界で既知の賦形剤を含有する。
 本発明の薬剤は、単独でまたは他の適切な成分と組合せて、吸入により投与されるエアゾール処方物に作製し得る。これらのエアゾール処方物は、加圧許容可能噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の中に入れられる。それらは、例えば噴霧器またはアトマイザー中の非加圧調製物のための製剤として処方され得る。
 非経口投与に適した処方物は、本発明により選択され、その例としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、そして処方物を意図されるレシピエントの血液と等張にさせる溶質を含有し得る水性および非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに沈殿防止剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および防腐剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。処方物は、単位用量または多重用量密封容器中、例えばアンプルおよびバイアル中に存在し、滅菌液体賦形剤、例えば注射用には水を、使用直前に付加するだけでよい冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存し得る。即席注射溶液および懸濁液は、前記の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製し得る。
 本発明の情況で動物、特にヒトに投与される用量は、当該薬剤、用いられる組成物、投与方法および処置される特定部位および生物体によって変わる。しかしながら、好ましくは、薬剤(例えば本発明のADDLまたはADDL調節化合物)の有効量に対応する用量が用いられる。「有効量」とは、宿主中で所望の効果を生じるのに十分な量であり、これは当業者に既知のいくつかの終点を用いてモニタリングされ得る。所望の作用のいくつかの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:学習、記憶、LTP反応、神経毒性、ADDL生成、ADDL受容体結合、抗体結合、細胞形態学的変化、Fynキナーゼ活性、星状膠細胞活性化、ならびにインターロイキン−1、誘導性酸化一酸化窒素シンターゼ、ApoE、ApoJおよびα1−アンチキモトリプシンに関するmRNAレベルの変化。記載されたこれらの方法は、決して包括的ではなく、特定の適用に適したさらに別の方法も当業者には明らかになる。
 さらに、特定の適用(例えば、in vitroまたはin vivo )に関しては、ADDLまたはADDL調節化合物の実際の用量および投与計画は、組成物が他の製剤組成物と組合せて投与されるか否かによって、または薬物動態、薬剤の性質、および代謝における個体間差によって変わり得る。同様に、量は、用いられる細胞型、あるいはADDLまたはADDL調節化合物が培養に移される手段または溶液によって、in vitro適用では変わり得る。当業者は、特定の情況の要件にしたがって、あらゆる必要な調整を成し得る。
 前記の説明(ならびに以下の説明)は、例示のためだけのものである。本発明の方法および成分のその他の適用は、当業者には明らかである。したがって、以下の実施例により本発明をさらに説明するが、もちろん、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
 実施例1アミロイドβオリゴマーの調製
 本発明にしたがって、44μLの無水DMSO中に1mgの固体アミロイドβ 1−42(例えばLambert et al., J. Neurosci. Res.,39, 377-395,1994に記載されたように合成した)を溶解して、ADDLを調製した。次にこの5mM溶液を冷(4℃)F12培地(Gibco BRL, Life Technologies)中に希釈して、総容量を2.20mL(50倍希釈液)とし、約30秒間攪拌した。混合物を約0℃〜約8℃で約24時間インキュベートさせた後、14,000gで、4℃で約10分間、遠心分離した。
 上清を特定の限定培地中で1:10〜1:10,000の倍率で希釈し、その後、脳薄片培養、細胞培養または結合タンパク質調製物と一緒にインキュベートした。しかしながら、概して、ADDLは100μMのAβタンパク質濃度で生成された。典型的には、実験に用いられる最高濃度は10μMで、いくつかの場合には、ADDL(初期Aβ濃度として測定)は1nMに希釈された(例えば、細胞培地中)。原子間力顕微鏡(AFM)による分析のために、1:100希釈物のアリコート 20μLを新たに切断した雲母円板の表面に適用して、分析した。その他の走査は、下記と同様であるか、または明らかである。
 あるいは、前記と同様にADDL生成を実施したが、但し、F12培地は、以下の成分を含有する緩衝液(即ち「代用F12培地」)に取り換えた:N,N−ジメチルグリシン(約600〜約850mg/L)、D−グルコース(約1.0〜約3.0g/L)、塩化カルシウム(約20〜約40mg/L)、硫酸銅五水和物(約15〜約40mg/L)、硫酸鉄(II)七水和物(約0.4〜約1.2mg/L)、塩化カリウム(約160〜約280mg/L)、塩化マグネシウム(約40〜約75mg/L)、塩化ナトリウム(約6.0〜約9.0g/L)、重炭酸ナトリウム(約0.75〜約1.4g/L)、リン酸水素二ナトリウム(約120〜約160mg/L)および硫酸亜鉛七水和物(約0.7〜約1.1mg/L)。最適には、本発明の合成F12培地は以下を包含する:N,N−ジメチルグリシン(766mg/L)、D−グルコース(1.802g/L)、塩化カルシウム(33mg/L)、硫酸銅五水和物(25mg/L)、硫酸鉄(II)七水和物(0.8mg/L)、塩化カリウム(223mg/L)、塩化マグネシウム(57mg/L)、塩化ナトリウム(7.6g/L)、重炭酸ナトリウム(1.18g/L)、リン酸水素二ナトリウム(142mg/L)および硫酸亜鉛七水和物(0.9mg/L)。0.1M水酸化ナトリウムを用いて、緩衝液のpHを約8.0に調整した。
 実施例2アミロイドβオリゴマーの架橋
 グルタルアルデヒドは、種々の生化学系に首尾よく用いられている。グルタルアルデヒドは、非特異的反応に対照するものとして、高濃度の単量体タンパク質と直接接触するタンパク質を架橋する傾向がある。本実施例では、アミロイドβのグルタルアルデヒド指令架橋を調べた。
 代用F12培地を用いて、実施例1と同様に、オリゴマー調製を実施した。遠心分離(いくつかの場合には分別)後に得られた上清をグルタルアルデヒド(Aldrich )の25%水性溶液 0.22mLで、その後、0.1M Na大H中の0.175M 水素化ホウ素ナトリウム 0.67mLで処理した(Levin, Neurobiology of Aging, 1995の方法により)。混合物を4℃で15分間攪拌し、20%水性スクロース 1.67mLを付加して反応を停止させた。SpeedVac上で混合物を5倍に濃縮し、透析して、1kDより小さい成分を除去した。
 SDS PAGEにより物質を分析した。以下の手順にしたがって、ゲル濾過クロマトグラフィーを実行した:セファロース75PC 3.2/3.0カラム(Pharmacia )を、濾過および脱気した0.15%炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH=7.8)を用いて、0.02mL/分の流量で、室温で18時間に亘って平衡させた。流量を0.04mL/分に変えて、溶媒 20mLを溶離した。反応溶液 50μlをカラムに投入し、流量は0.04mL/分を再び用いた。220nmでのUV検出により、化合物溶離をモニタリングし、クロマトグラフィーの途中で0.5〜1.0mLの分画を収集した。UV吸収の第三ピークに対応する分画No.3を単離し、AFMにより小球4.9+/−0.8nm(幅分析による)を含有することを実証した。この分画は、以下の実施例に記載したように、脳薄片ニューロンと接触した場合、高神経毒性を示した。
 実施例3ADDLのサイズ特性決定
 本実施例は、実施例1と同様に生成されたADDLの、種々の方法(例えば、ネイティブゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、AFM、フィールドフロー分別および免疫識別)を用いたサイズ特性決定を記載する。
 本質的に従来の記載(例えば、Stine et al., J. Protein Chem., 15, 193-203,1996)と同様に、AFMを実施した。即ち、150μのxy範囲を有するJ−スキャナーを用いて、 Digital Instrument (Santa Barbara, CA ) Nanoscope IIIa Multimode原子間力顕微鏡を用いて、画像を得た。蝕刻ケイ素TESPNanoprobes(Digital Instrument)を用いて、全画像に関してタッピングモードを用いた。Nanoscope IIIaソフトウエアおよびIGOR Pro波形分析ソフトウエアを用いて、AFMデータを分析した。AFM分析に関しては、4μスキャン(即ち4μmx4μm平方の査定)を実施した。
 典型的には、報告された寸法は、断面分析により得られたもので、この場合、幅分析を用いて、それを特殊化する。断面および幅分析は、 Nanoscope IIIa ソフトウエアの別個の分析モジュールである。一般に、ADDL分析に関しては、断面分析により得られたサイズと幅分析により得られたサイズとの間に系統的偏差が認められる。即ち、4μスキャンに関しては、断面分析は通常は約0.5nm高い高さを生じ、したがって、小球のサイズに関して得られた値で約0.5の偏差を生じた。
 ゲル電気泳動による分析を、15%ポリアクリルアミドゲル上で実施し、クーマシーブルー染色により可視化した。非変性条件下での4〜20%トリス−グリシンゲル(Novex )上で、ADDLを分解した。20mAで約1.5時間、電気泳動を実施した。Zhang et al., J. Biol. Chem., 269, 25247-25250,1994 に記載されているように、SDS−PAGEを用いてタンパク質を分解した。次に、銀染色を用いてタンパク質を可視化した(例えば、Sherchenko et al., Anal. Chem., 68, 850-858, 1996 )。ネイティブおよびSDSゲルの両方からのゲルタンパク質を、 Zhang et al., J. Biol. Chem., 269, 25247-25250,1994にしたがって、ニトロセルロース膜に移した。1:5000でビオチニル化6E10抗体(Senetak, Inc., St. Louis, Missouri)を用いて、イムノブロットを実施し、ECL(Amersham)を用いて可視化した。典型的には、濃度計を用いてゲルを走査した。これにより、ゲルのコンピューター処理画像が得られた(例えば、ゲルそれ自体の写真に対して)。
 AFM断面分析(例えば、Stine et al., J. Protein Chem., 15, 193-203,1996に記載されているように)または幅分析(Nanoscope III ソフトウエア)によるADDLのサイズ特性化は、主要素を成す種はz軸に沿って約4.7nm〜約6.2nmの小球であることを示した。小型小球タンパク質(Aβ 1−40単量体、アプロチニン、bFGF、無水カルボン酸)は、ADDLが17〜42kDの質量を有することを示した。異なる種であると思われるものも、認識され得る。これらは、約4.9nm〜約5.4nm、約5.4nm〜約5.7nm、そして約5.7nm〜約6.2nmの寸法の小球に対応すると思われる。約4.9nm〜約5.4nmおよび約5.7nm〜約6.2nmの寸法の小球が、小球の約50%を構成すると思われる。
 AFM分析と調和して、ADDLのSDS−PAGEイムノブロットは、約17kD〜約22kDのAβオリゴマーを同定した、存在した豊富な4kDは、おそらくは分解産物を思われる。この解釈と一致して、ADDLの非変性ポリアクリルアミドゲルは、不十分な単量体を示し、第一バンドが30kD付近、低濃度バンドが〜17kDに認められ、原繊維または集合体の証拠は認められなかった。銀染色ネイティブゲルおよびクーマシー染色SDS−ポリアクリルアミドゲルのコンピューター処理画像を、それぞれ図1および図2に示す。SDSおよび非変性ゲル間の対応は、小オリゴマーサイズのADDLが洗浄作用のためでなかったことを確証する。ADDL調製物中に認められるオリゴマーは、低クラステリン濃度(1/40対Aβ、これは1:1Aβ−クラステリン複合体としてのAβの関連を排除した)の使用から予測されるように、クラステリンより小さかった(Mr80kD、40kD 変性ゲル中)。
 Superdex 75 カラム(Pharmacia, Superose 75PC 3.2/3.0カラム)上で、本発明のADDL調製物を分別した。ADDLをがYする分画は、カラムから溶離するUV吸収の第三分画であり、AFMおよびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。分画3の代表的AFM分析を、図3に示す。分別により、ADDLに関してより大きい均質性が生じ、小球の大多数は約4.9nm〜約5.4nmの寸法を有した。分画のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、単量体/二量体形態のAβに対応する重低バンドを実証した。ADDLの非分別化調製物に関しても観察されたように、これは、ADDLの分解産物であると思われる。分画のより重い負荷は、大型サイズの広範なバンドを明示した(おそらくは二重線)。これはさらに、SDSに対する非原繊維性オリゴマーAβ構造
の安定性を確証する。
 実施例4アミロイドβのクラステリン処理
 原繊維構造はAβの毒性形態を表すと提案されている(Lorenzo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 12243-12247, 1994; Howlett et al., Neurodegen. 4, 23-32, 1995 )けれども、沈降性原繊維として行動しない新規の神経毒素は、Aβ 1−42を低用量の「アポJ」としても知られているクラステリンとともにインキュベートした場合に生成する(Oda et al., Exper. Neurol., 136, 22-31, 1995; Oda et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 204, 1131-1136, 1994)。これらの徐々に沈降する毒素が依然として小さなまたは発生期の原繊維を含有し得るか否かを試験するために、クラステリン処理Aβ調製物を原子間力顕微鏡により調べた。
 実施例1に記載のインキュベーションにクラステリンを付加することにより、基本的にはOda 等( Exper. Neurol., 136, 22-31, 1995 )に記載されているのと同様に、クラステリン処理を実施した。あるいは、出発Aβ 1−42をDMSOでなく0.1N HClに溶解し、この出発Aβ 1−42は、最初に原繊維構造ですら有し得る。しかしながら、37℃の室温で24時間、クラステリンとともにインキュベートすると、その遅い沈降に一致して、主要素を成す原繊維を含有しない調製物を生じた。これは、付加されるクラステリンの量が増大すると、原繊維生成は低減する、ということを示す実験により確証された。
 クラステリン処理により得られる調製物は、Superdex 75 ゲルカラム上で分別されたADDLのAFM分析により確定した場合に、約5〜6nmの小型小球構造を専ら包含した。従来の電子顕微鏡により、等価の結果が得られた。これに対比して、クラステリンの非存在下で標準条件下(Snyder et al., Biophys. J.,67, 1216-28, 1994)で自己会合したAβ 1−42は、主に大型の非拡散性原繊維種を示した。さらに、その結果生じたADDL調製物は、Centricon 10kD遮断膜を通り抜け、SDS−ポリアクリルアミド勾配ゲル上で分析された。図4に示すように、単量体だけがCentricon 10フィルターを通り抜け、一方ADDLはフィルターに保持される。分離後に見出される単量体は、フィルターに保持された高分子種から生成されるだけである。
 これらの結果は、毒性ADDL調製物がAβ 1−42の原繊維無含有小型オリゴマーを包含し、そしてADDLがアミロイドβの適切なクラステリン処理により得られる、ということを確証する。
 実施例5ADDLの生理学的生成
 実施例4の毒性部分は、オリゴマーAβおよびクラステリンを含有するまれな構造を包含し得る。 Oda等( Exper. Neurol., 136, 22-31, 1995 )はクラステリンがAβ 1−42溶液の毒性を増大することが判明したと報告したが、一方他の人達は、化学量論的レベルのクラステリンがAβ 1−40毒性に対して防護することを見出した(Boggs et al.,J. Neurochem. 67, 1324-1327, 1997)。したがって、クラステリンの非存在下でのADDL生成を、本実施例でさらに特性化した。
 単量体Aβ 1−42溶液を適切な培地中で低温で保持すると、沈降性Aβ原繊維の生成は、ほぼ完全に阻止された。しかしながら、Aβはこれらの低温溶液中で自己会合して、クラステリンに付き添われたものと本質的に見分けがつかないADDLを生成した。最後に、ADDLは、単量体Aβ溶液が脳薄片培地中で、しかし低濃度(50nM)で、37℃でインキュベートされても生成したが、これは、生理学的に生成する能力を示す。ADDL調製物はすべて、24時間組織培養実験中は、相対的に安定で、原繊維への変換を示さなかった。
 これらの結果は、ADDLが生成し、生理学的条件下で安定であることを確証し、そしてそれらがin vivo で同様に生成し、安定であり得ることを示唆する。
 実施例6ADDLは拡散性で、非常に強力なCNS神経毒素である
 ADDLがクラステリン、低温または低Aβ濃度のいずれにより誘発されても、生成する安定オリゴマーは強力な神経毒素であった。成熟CNSに関する生理学的関連モデルを提供する、器官型マウス脳薄片培養で毒性を調べた。対照における高生存能力を保持するために、濾過により大気−培地界面で脳組織を支持した。
 これらの実験のために、B6 129F2およびJR 2385系統(Jackson Laboratories)から脳薄片を得て、従来の記載()に修正を加えて、群生させた。即ち、成熟マウスを二酸化炭素吸入後に、迅速に断頭して屠殺した。頭部を冷却滅菌解体緩衝液(94mL Gey の平衡塩溶液,pH7.2。0.5M MgCl2 2mL、25%グルコース 2mLおよび1.0M Hepes 2mLを補充)中に浮かべて、その後、脳を摘出し、滅菌Sylgard 被覆プレート上に載せた。小脳を取り出し、正中線切開を施して大脳半球を分離した。各半球を別々に切片にした。半球を置き、正中線切開で切り下げて、背側からの30°薄片を作って、半球を配向した。Campden 組織チョッパー(エタノールで予め拭っておく)のプラスチック台上に切断面を下にして、半球をくっつけ、氷冷滅菌緩衝液中に浸ける。外側から中央方向に、厚さ200μmの薄片を作製し、それらを収集して、海馬を可視化した。
 各薄片を、滅菌ピペットの上端で、10%ウシ胎仔血清、2%S/P/F(ストレプトマイシン、ペニシリンおよびフンギゾン;Life Technologies (Gibco, BRL), Gaithersburg, MD)を含有するダルベッコの変法イーグル培地(DMEM)を含入する小型ペトリ皿に移して、顕微鏡で観察して海馬の存在を立証し、深型ウエル組織培養皿(Falcon, 6ウエル皿)中のMillicell-CM挿入物(Millipore )上に載せた。各ウエルは1.0mLの増殖培地を含入し、通常は、2つの薄片を各挿入物上に載せた。薄片を、インキュベータ(6%CO2 、湿度100%)中に一夜入れた。増殖培地を除去し、ウエルを1.0mL温Hanks BSS(Gibco, BRL, Life Technologies )で洗浄した。アミロイドβオリゴマーを含有し、阻害剤化合物を含有するかまたは含有しない制限培地(DMEM、N2サプリメント、SPF、例えば、Bottenstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 76, 514-517, 1979 )を各ウエルに付加し、インキュベーションを24時間継続した。
 LIVE/DEAD 検定キット(Molecular Probes, Eugene, OR)を用いて、細胞死を測定した。これは、カルセイン−AMをカルセインに切断して緑色蛍光を生じるエステラーゼの存在により細胞を検出するこの二重標識蛍光検定である。死細胞は、DNAを間に挿入し、赤色蛍光を有するエチジウムホモ二量体を吸収する。メーカーの指示にしたがって、2μMエチジウムホモ二量体および4μMカルセインで、検定を実施した。エピ蛍光を装備したNikon Diaphot 顕微鏡を用いて、30分以内に画像を得た。MetaMorph 画像分析系(Universal Imaging Corporation, Philadelphia, PA )を用いて、緑色または赤色蛍光を示す数および/または面積を定量した。
 これらの実験に関しては、ADDLは最大5μM用量の総Aβで24時間存在した(即ち、総AβはいかなるADDL実験においても、5μMより大きくはなかった)。細胞死は、「擬黄色染色」により示されるように、ほぼ完全に錐体層(CA3−4)および歯状回に局限され、このことは、海馬の主なニューロン(それぞれ、錐体および顆粒細胞)がADDL誘発性毒性の標的である、ということを強く示唆する。
 さらに、グリア生存能力は、トリパンブルー排除およびMTT検定(Finch et al., 未発表)により確定した場合、一次ラット脳グリアの24時間ADDL処理による影響を受けなかった。歯状回(DG)およびCA3領域は特に敏感で、P20(離乳期)〜P84(青年期)の動物から得られたすべての培養で、ADDL喚起性細胞死を示した。この領域の細胞の40%までが、ADDLに対する長期曝露後に死亡する。ニューロン死のパターンは、NMDAに関して観察されたものと同一ではなく、その場合、DGおよびCA1のニューロンは死亡したが、CA3は生き延びた。
 20日齢以上の動物の海馬DGおよびCA3領域からのいくつかの培養を、原繊維Aβの従来の調製物で処理した。原繊維の非拡散性と一致して、細胞死(黄色染色)は、20μMでもはっきり見えなかった。この培養中の生細胞に関する染色パターンは、海馬のCA3/歯状回領域が検査された存在であったことを立証した。従来のAβ処理(即ち、原繊維Aβ調製物)後に観察された細胞死の程度は、培養が既定培地またはクラステリン補充培地であった陰性対照と区別がつかなかった。典型的対照では、細胞死は5%未満であった。実際、対照における高生存能力は、典型的実験より数日間以上長く保持された培養中でも見出され、これは、細胞生存が標準培養条件により弱体化されなかったことを確証する。
 用量−反応実験を実施して、細胞死を喚起する場合のADDLの効力を確定した。画像分析を用いて、DG/CA3面積を含有する領域での死細胞および生細胞染色を定量した。図5は、%死細胞対初期アミロイドβ 1−42濃度(nM)として測定されたADDL濃度を示す。脳薄片の定量が難しいために、結果は正確にEC50を確定するのに十分には詳述されていない。しかしながら、図5で分かるように、1000倍希釈(〜5nM Aβ)後でも、ADDL喚起性細胞死は20%より多かった。毒性は、0.3nM ADDLを用いた場合でも観察された。これは、約20〜約50μMで培養中のニューロンに対して有毒である慣用的熟成Aβを用いて得られた結果と対照を成す。これらのデータは、ADDLが、原繊維Aβ実験に用いられたものより約1,000〜10,000倍低い用量で有効であることを示す。
 したがって、海馬薄片からのこれらのデータは、ADDLの超毒性を確証する。さらに、ADDLは培養支持フィルターを通過して細胞死を引き起こさねばならなかったために、結果は、ADDLが拡散性であることを確認しており、このことはそれらの小オリゴマーサイズと一致する。さらに、本明細書中に記載した方法は、細胞生存能力のADDL媒介性変化に関する検定として用い得る。特に、本検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例7MTT酸化ストレス毒性検定−PC12細胞
 本実施例は、アミロイドβオリゴマーに対する早期毒性変化を検出するために用い得る検定を記載する。
 これらの実験のために、PC12細胞を96ウエル培養プレート上で4x104 細胞/ウエルで継代接種し、DMEM+10%ウシ胎仔血清+1%S/P/F(ストレプトマイシン、ペニシリンおよびフンギゾン)中で24時間増殖させた。プレートを200μg/mLのポリ−1−リシンで処理した後に、細胞を平板培養し、細胞付着を増強した。1組の6ウエルは未処理のままで置き、新鮮な培地を供給し、一方別の組のウエルはビヒクル対照(10% 0.01N HClを含有するPBS、RTで熟成0/n)で処理した。
 陽性対照を正常増殖培地中のトリトン(1%)およびアジ化Na(0.1%)で処理した。実施例1と同様に調製した、または存在する阻害化合物を用いてそして用いずに同時インキュベーションで得られたアミロイドβオリゴマーを細胞に24時間付加した。24時間インキュベーション後、MTT(0.5mg/mL)を細胞に2.5時間付加した(PBS中に溶解した5mg/mlストック 11μLを培地100μL中に)。健常細胞はMTTをホルマザンブルー着色生成物に還元する。MTTとともにインキュベーション後、培地を吸引し、100%DMSO 100μLを付加して細胞を溶解し、青色結晶を溶解した。プレートを室温で15分間インキュベートし、550nMでプレート読み取り器(ELISA)で読み取った。
 このような実験の一つの結果を図6に示す。この図から分かるように、ADDLに曝露されなかった対照細胞(「Cont.」)、クラステリン単独に曝露された細胞(「アポJ」)、および単量体Aβに曝露された細胞(「Aβ」)は、細胞毒性を示さない。これに対して、クラステリンと凝集したアミロイドβに曝露され、1日熟成された細胞(「Aβ:アポJ」)はMTT還元の低減を示し、早期毒性変化を立証している。最後のアミロイド調製物は、AFMによりアミロイド原繊維を欠くことが確証された。
 したがって、この実験の結果は、クラステリンにより媒介されるAβの同時凝集から得られるADDL調製物が毒性を増強した、ということを確証する。さらに、結果は、PC12酸化ストレス反応がADDLによる早期細胞変化を検出するための検定として用い得る、ということを確証する。検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例8MTT酸化ストレス毒性検定−HN2細胞
 本実施例は、ADDL媒介性細胞変化のさらに別の検定を記載する。即ち、前記実施例に示したMTT酸化ストレス毒性検定を、PC12細胞の代わりにHN2細胞を用いて実施し得る。その他の適切な細胞も、同様に用い得る。
 これらの検定のために、HN2細胞を96ウエル培養プレート上で4x104 細胞/ウエルで継代接種し、DMEM+10%ウシ胎仔血清+1%S/P/F(ストレプトマイシン、ペニシリンおよびフンギゾン)中で24時間増殖させた。プレートを200μg/mLのポリ−1−リシンで処理した後に、細胞を平板培養し、細胞付着を増強した。5μM レチン酸を用いて細胞を24〜48時間、分化させ、1%血清で増殖を抑制させた。1組のウエルは未処理のままで置き、新鮮な培地を与えた。別の組のウエルはビヒクル対照(0.2%DMSO)で処理した。
 陽性対照を正常増殖培地中のトリトン(1%)およびアジ化Na(0.1%)で処理した。実施例1と同様に調製したアミロイドβオリゴマーを、存在する阻害化合物を用いてそして用いずに細胞に24時間付加した。24時間インキュベーション後、MTT(0.5mg/mL)を細胞に2.5時間付加した(PBS中に溶解した5mg/mlストック 11μLを培地100μL中に)。MTTとともにインキュベーション後、培地を吸引し、100%DMSO 100μLを付加して細胞を溶解し、青色結晶を溶解した。プレートを室温で15分間インキュベートし、550nMでプレート読み取り器(ELISA)で読み取った。
 この検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例9位相差顕微鏡による細胞形態学
 本実施例は、位相差顕微鏡による細胞形態のADDL媒介性細胞変化検定のさらに別の検定を記載する。
 本検定のために、培養を低密度(50〜60%交会)に増殖させた。実験を開始するために、F12培地中で1時間、細胞を血清飢餓させた。次に細胞を、実施例1と同様に調製したアミロイドβオリゴマーとともに3時間インキュベートし、阻害化合物を用いてそして用いずに、化合物を細胞に24時間付加した。3時間後、形態学的差に関して細胞を検査し、免疫蛍光標識化のために固定した。MetaMorph 画像分析系およびMRIビデオカメラ(Universal Imaging, Inc. )を用いて試料を検査した。
 このような検定の結果は、以下の実施例に示されている。特に、本検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例10ADDLの細胞表面との結合に関するFACスキャン検定
 細胞表面受容体は、近年、慣用的に調製されたAβに関してグリア細胞上で同定されており(Yan et al., Nature, 382, 685-691, 1996; El Khoury et al., Natue, 382, 716-719, 1996 )、低ADDL用量でのニューロン死がシグナリングメカニズムの考え得る関与を示唆したために、ニューロン上の特異的細胞表面結合部位がADDLに関して存在するか否かを確定するために、実験を実施した。
 フローサイトメトリーのために、細胞を0.1%トリプシンで解離し、低密度で、組織培養プラスチック上で少なくとも一夜プレート化した。冷リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/0.5mM EDTAを用いて細胞を取り出し、3回洗浄して、氷冷PBS中に再懸濁して、最終濃度を500,000細胞/mLとした。実施例1と同様に調製したアミロイドβオリゴマーとともに冷PBS中で細胞をインキュベートしたが、但し、アミロイドβの10%は、アスパラギン酸の代わりに位置1にビオシチンを含有するアミロイドβ 1−42類似体である。存在する阻害剤化合物とともに及び伴わずに、オリゴマーを細胞に24時間付加した。細胞を冷PBS中で2回洗浄して、遊離、非結合アミロイドβオリゴマーを除去し、フルオレセインと共役したアビジンの1:1,000希釈液中に再懸濁して、静かに攪拌しながら4℃で1時間インキュベートした。あるいは、アミロイドβ−特異的抗体および蛍光二次抗体をアビジンの代わりに用いて、10%のビオチニル化アミロイドβ類似体を混入する必要をなくした。即ち、ビオチニル化6E10モノクローナル抗体(1μL Senetedc, Inc., St. Louis, Missouri )を細胞懸濁液に付加し、30分間インキュベートした。細胞をペレット化し、500μL PBS中に再懸濁後に、FITC共役ストレプトアビジン(1:500,Jackson Laboratories)を30分間用いて、結合抗体を検出した。
 Becton-Dickenson蛍光活性化細胞スキャナー(FACスキャン)により、細胞を分析した。前方分散(サイズ)および蛍光強度の両方に関して、10,000または20,000事象を、典型的には収集し、Consort 30ソフトウエア(Becton-Dickinson)により、データを分析した。平均蛍光に総事象数を掛け、6E10およびFITし存在下でのバックグラウンド細胞蛍光を差し引いて、結合を定量した。
 これらの実験のために、FACスキャン分析を実施して、対数期酵母菌細胞(主として炭水化物表面)のおよびB103CNSニューロン細胞株の懸濁液中のADDL免疫応答性を比較した(Schubert et al., Nature, 249, 224-227, 1974 )。B103細胞に関しては、図7に示したように、ADDLの付加は細胞関連蛍光の大増大を引き起こした。B103細胞を1分間トリプシン処理すると、ADDL結合が排除された。これに対比して、対照酵母菌細胞(データは示されていない)はADDL結合を実証せず、このことは細胞表面に存在するタンパク質に対するADDLの選択性を立証する。海馬細胞(トリプシン処理組織。その後2時間代謝回収)の懸濁液もADDLを結合したが、しかし標識化ピークの蛍光強度の低減により立証されるように、B103細胞と比較して、結合事象の数は低減した。これは、標識化ピークの左方移動として、図8に表れる。
 したがって、これらの結果は、特異的細胞表面受容体との結合により、ADDLがその効果を発揮する、ということを示唆する。特に、B103細胞のトリプシン感受性は、それらのADDL結合部位が細胞表面タンパク質であり、結合はこれらのタンパク質ないの特定のドメインのサブセットに対して選択性である、ということを示した。
 さらに、本検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例11ゴシポールによるADDL生成の抑制
 本実施例は、ADDL生成が、例えばゴシポールを用いて抑制され得る方法を記載する。
 これらの実験のために、実施例1と同様に、ADDLを調製した。ゴシポール(Aldrich )を、ADDLを生成するためのAβタンパク質のインキュベーション中に100μMの濃度に付加した。その結果生じた調製物を、前記のようなLIVE/DEAD 検定キットを用いて、神経毒性に関して査定した。ゴシポール/ADDL調製物に24時間曝露後に起きた細胞死の量は、5%未満であった。これは、対応するDMSO対照調製物(即ち、6%)、またはいかなるADDLも含有しないゴシポール対照調製物(即ち、4%)に関して得られた毒性のレベルに匹敵する。
 したがって、これらの結果は、ゴシポールのような化合物はADDL生成を抑制するために用い得る、ということを確証する。
 実施例12トリプシンペプチドによるADDL結合の抑制
 B103細胞トリプシン処理はその後のADDL結合を阻止することが判明したため、本実施例に記載したように実験を実施して、細胞表面から放出されたトリプシン断片がADDL結合活性を遅延させるか否かを試験した。
 約3分間のトリプシン処理(0.025%、Life Technologies)により取り出された、4つの100mm皿からの融合性B103細胞を用いて、トリプシンペプチドを調製した。トリプシン−キモトリプシン阻害剤(Sigma,ハンクス緩衝化生理食塩水中に0.5mg/mL)を付加し、500xgで5分間の遠心分離により細胞を取り出した。上清(〜12mL)をCentricon 3 フィルター(Amicon)を用いて約1.0mLに濃縮し、タンパク質濃度が確定された後、凍結した。実験を遮断するために、滅菌濃縮トリプシンペプチド(0.25mg/mL)を、ADDLを付加するのと同時に、FAC検定に、器官型脳薄片または懸濁B103細胞に付加した。
 FACスキャン検定では、培地中に放出されたトリプシンペプチド(0.25mg/mL)は、図9に示したように、>90%だけADDL結合を抑制した。比較すると、BSAに曝露された対照細胞は、100mg/mLでも、結合の損失を示さなかった。トリプシンペプチドは、ADDLが細胞にすでに付着した後に付加された場合、蛍光強度を有意に低下させなかった。これは、ペプチドが、結合ADDLを定量する検定の能力を弱めなかったことを示す。ADDL結合を阻止する他に、トリプシンペプチドはADDL喚起性細胞死の拮抗剤でもあった。即ち、図9に示したように、トリプシンペプチドを付加すると、細胞死の75%低減が生じた(p<0.002)。
 これらのデータは、特定の細胞表面タンパク質がADDL結合を媒介し、そして細胞表面からの可溶化トリプシンペプチドは神経防護性ADDL中和活性を提供する、ということを確証する。さらに、本発明の検定は、ADDL細胞結合または細胞活性に及ぼすADDL作用を媒介する薬剤に関する検定としても用い得る。特に、本検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。さらに、細胞表面とのADDLの結合の前または後の薬剤の付加を比較して、このような結合に影響を及ぼす、または結合が起きた後に作用する薬剤を同定し得る。
 実施例13ADDL細胞結合に関する用量反応曲線
 本実施例は、細胞表面とのADDL結合が飽和可能か否かを確定するための用量反応実験を記載する。このような飽和可能性は、ADDLが実際に特定の細胞表面受容体と相互作用する場合に予測され得る。
 これらの試験のために、B103細胞を漸増量のADDLとともにインキュベートし、ADDL結合をFACスキャン分析により定量した。結果を図10に示す。これらの結果は、ADDL結合に関して、異なるプラトーが達成されることを確証する。ADDLの飽和可能性は、約250nmの相対的Aβ 1−42濃度(即ち、Aβに対するADDL濃度)で起きる。
 したがって、これらの結果は、ADDL結合が飽和可能性であることを確証する。ADDL結合のこのような飽和可能性は、特にトリプシンペプチドの結果とともに考えた場合に、特定の細胞表面受容体を介してADDLが作用していることを確認する。
 実施例14ADDL結合活性に関する細胞ベースのELISA
 本実施例は、ADDL結合活性を査定するために用い得る細胞ベースの検定、特に細胞ベースの酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)を記載する。
 これらの試験のために、試験の実施48時間前に、100μLのDMEM中の懸濁液として存在する2.5x104 B103細胞を96ウエル微小滴定プレートの各検定ウエル中に入れて、37℃でインキュベータ中に保持し、実験実施の24時間前に、実施例1に記載した方法にしたがって、ADDLを調製した。検定を開始するために、細胞を含入する各微小滴定プレートウエルを50μLの固定液(DMEM中の3.7%ホルマリン)で、室温で10分間処理した。この固定液/DMEM溶液を除去し、50μLのホルマリン(DMEM含有せず)による二次処理を室温で15分間実施した。固定液を除去し、各ウエルを100μLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。
 200μLの遮断剤(PBS中1%BSA)を各ウエルに付加し、室温で1時間インキュベートした。100μLのPBSで2回洗浄後、50μLのADDL(予めPBS中で1:10に希釈)を適切なウエルに付加するか、またはPBS単独を対照とし、その結果得られたウエルを37℃で1時間、インキュベートした。100μLのPBSで3回洗浄を実施し、1%BSA/PBS中で1:1000に希釈したビオチニル化6E10(Senetek )50μLを適切なウエルに付加した。他のウエル中には、PBSを対照として付加した。回転機で室温で1時間インキュベーション後、ウエルを50μLのPBSで3回洗浄し、50μLのABC試薬(Elite ABC キット、Vector Labs )を付加して、回転機上で室温で30分間インキュベートした。50μLのPBSで4回洗浄後、50μLのABTS基質溶液を各ウエルに付加し、プレートを室温で暗室中でインキュベートした。405nmでの漸増吸光度に関して、プレートを分析した。ADDL、細胞および6E10が存在する場合のみ、図11に示したように、有意のシグナルが認められた。
 これらの結果は、細胞ベースのELISA検定がADDL媒介性細胞結合に関する検定として用い得る、ということをさらに確証する。特に、本検定は、ADDL生成および/または活性を増大または低減し得ると考えられるADDL剤とともに同時インキュベートまたは同時投与することにより、実施し得る。このような同時インキュベーションまたは同時投与を用いて得られた結果を、ADDL単独の含有物を用いて得られた結果と比較し得る。
 実施例15FynキナーゼノックアウトはADDL神経毒性似対して防護する
 ADDL毒性におけるシグナル伝達の強力な関与をさらに調べるために、本実施例の実験を、同系fyn−/−およびfyn+/+動物からの脳薄片に及ぼすADDLの影響と比較した。Fynは、Src族のタンパク質トリプシンキナーゼに属し、これは中枢から多数の細胞へのシグナルおよび応答である(Clarke et al., Science, 268, 233-238)。Fynは、AD−罹患ニューロンにおいて上向き調節されるため、特に興味深い(Shirazi et al.,Neuroreport, 4, 435-437,1993 )。その後、AFMによりADDLを含有することが明らかにされた従来のAβ調製物(Zhang et al., Neurosci. Letts., 211, 187-190,1996 )によってもそれは活性化されると思われる。さらに、Fynノックアウトマウスは、発症中の海馬のアポトーシスを低減した(Grant et al., Science, 258, 1903-1910, 1992 )。
 これらの試験のために、Fynノックアウトマウス(Grant et al., Science, 258, 1903-1910, 1992 )を前記実施例と同様に処理し、ADDLで24時間処理したまたは非処理のマウスの脳薄片の画像を比較して、DGおよびCA3領域の死細胞を確定した。定量比較(図12に示した)は、4〜7薄片に関する平均+/−SEMを示すエラーバーにより得られた。
 野生型動物からの培養に対比して、fyn−/−動物からの培養は、図12に示したように、無視できるADDL喚起性細胞死を示した。ADDLに関しては、fyn+/+薄片中の細胞死のレベルは、fy超N−/−培養中より5倍も多かった。fyn−/−培養では、ADDLの存在下での細胞死はバックグラウンドレベルであった。神経防護反応は選択的であった;NMDA受容体作動薬により喚起される海馬細胞死(Bruce et al., Exper. Neurol., 132, 209-219, 1995; Vornov et al., Neurochem., 56, 996-1006, 1991
)は、影響を受けなかった(示されていない)。Tukey 多重比較を用いる分析(ANOVA)は、他のすべての条件に比して、ADDL fyn+/=+データに関してP<0.001の値を示した。
 これらの結果は、Fynキナーゼの損失が、ADDLによって誘発される細胞死からDGおよびCA3海馬領域を防護したことを確証する。結果は、ADDL毒性が、Fynタンパク質チロシンキナーゼのノックアウトにより遮断されたメカニズムにより媒介されることを確認する。これらの結果は、Fynタンパク質チロシンキナーゼの活性またはFynタンパク質キナーゼをコードする遺伝子の発現を妨げる治療により、神経防護利点が得られる、ということも示唆する。
 実施例16星状膠細胞活性化実験
 ADDL毒性におけるシグナル伝達の強力な関与をさらに調べるために、本実施例の実験を、星状膠細胞の活性化に及ぼすADDLの影響と比較した。
 これらの実験のために、従来の記載通りに(Hu et al., J. Biol. Chem., 271, 2543-2547,1996)、Levison とMcCarthyの方法(Levison et al., In: Banker et al.,(Eds.), Culturing Nerve Cells, MIT press, Cambridge, MA,, 309-36, 1991)により、新生児(1〜2日齢)Sprague-Dawleyラット仔から皮質星状膠細胞培養を調製した。要するに、大脳皮質を切り出して、トリプシン処理し、細胞を、10%ウシ胎仔血清(Hyclone Laboratories Inc., Logan UT)および抗体(100U/mLペニシリン、100mg/mLストレプトマイシン)を含有するα−MEM(Gibco, BRL)中で培養した。培養中で11日後、細胞をトリプシン処理し、〜6x105 細胞/プレートの密度で100mmプレート中に再プレート化して、融合するまで増殖させた(Hu et al., J.Biol. Chem, 271,2543-2547,1996 )。
 実施例により調製したADDL、またはAβ 17−42を用いて、星状膠細胞を処理した(Lambert et al., J. Neurosci. Res., 39, 377-384, 1994により合成; 市販もされている)。星状膠細胞の融合培養をトリプシン処理することにより処理を実行し、60mm組織培養皿上に1x106 細胞/皿(例えば、RNA分析およびELISAのために)、4ウエルチェンバースライドに5x104 細胞/ウエル(例えば、免疫組織化学用)で、または5x104 細胞/ウエル(例えば、NO検定用)の密度でプレート化した。
 24時間インキュベーション後、細胞をPBSで2回洗浄して血清を除去し、培養をN2サプリメントを含有するα−MEM中でさらに24時間インキュベート後、Aβペプチドまたは対照緩衝液(即ち希釈剤を含有する緩衝液)を付加した。
 Javelin SmartCamカメラ、Sonyビデオモニターおよびカラービデオプリンターを装備したNikon TMS 倒立顕微鏡下で細胞を検査することにより、星状膠細胞形態の検査を実施した。典型的には、4つの任意に選択された顕微鏡視野(倍率20X)を、各実験条件に関して写真撮影した。形態学的活性化は、NIH画像による写真から、4つの視野中の活性化細胞(少なくとも1細胞体の長さで1つ又はそれ以上の過程を有する細胞と定義)の数を計数することにより、定量した。
 ノーザンブロットおよびスロットブロットを用いて、培養中のmRNAを確定した。これは、ADDLまたは対照緩衝液に細胞を24時間曝露することにより、実行した。その後、細胞をジエチルピロカルボネート(DEPC)処理PBSで2回洗浄し、メーカーの推奨通りに、RNeasy精製ミニカラム(Qiagen, Inc., Chatsworth, CA)により、総RNAを単離した。RNAの典型的収量は、総RNA8〜30mg/皿であった。ノーザンブロット分析に関しては、5mgの総RNA/試料をアガロース−ホルムアミドゲル上で分離し、毛管作用によりHybond-N膜(Amersham, Arlington Heights IL)に移して、UV架橋した。スロットブロット分析に関しては、200ngの総RNA/試料を、真空下でDuralon-UV膜(Stratagene, La Jolla CA )上にブロッティングし、UV架橋した。等価RNA負荷は、エチジウムブロミド染色により、またはGAPDHを用いたハイブリダイゼーションおよび平均化により、実施した。
 プラスミドの制限酵素消化によりプローブを生成し、その後、適切な断片をゲル精製した。即ち、ラット皮質星状膠細胞からの総RNAを用いて、RT−PCRによりcDNA断片を調製した。Superscript II系(Gibco/BRL )を用いてRNAを逆転写し、そして以下のように:52℃で40秒;72℃で40秒;96℃で40秒と設定して、これを35回、PTC−100熱コントローラー(MJ Research Inc, Watertown, MA)上でPCRを実施した。ラットIL−1βの447bp断片を増幅するために用いたプライマー対を以下に示す:前方: 5'GCACCTTCTTTCCCTTCATC 3' [配列番号:1]。逆方: 5'TGCTGATGTACCAGTTGGGG3'[配列番号:2]。ラットGFAPの435bp断片を増幅するために用いたプライマー対を以下に示す:前方: 5'CAGTCCTTGACCTGCGACC3' [配列番号:3]。
 逆方: 5' GCCTCACATCACATCCTTG3'[配列番号:4]。Invitrogen TA クローニングキットを用いてPCR生成物をpCR2.1ベクター中にクローン化し、DNAシーケンシングにより構築物を立証した。ベクターのEcoRI消化と、その後の適切な断片のゲル精製によりプローブを調製した。プラスミドは、ラットiNOS cDNAプラスミド pAstNOS−4であり、ラットiNOS cDNA塩基3007−3943(Galea et al., J. Neurosci. Res., 37, 406-414, 1994)およびラットGAPDH cDNAプラスミドpTRI−GAPDH(Ambion, Inc., Austin TX )に対応する。
 Prime-a-Gene Random-Prime 標識化キット(Promega, Madison WI )を用いて、32P−dCTPでプローブ(25ng)を標識し、プッシュカラム(Stratagene)の使用により、非取込みヌクレオチドから分離した。緊縮ハイブリダイゼーションに関して推奨されたプロトコールを用いて、QuikHyb 溶液(Stratagene)により緊縮条件下でハイブリダイゼーションを実施した。
 要するに、68℃で約30〜60分間、予備ハイブリダイゼーションを実施し、68℃で約60分間ハイブリダイゼーションを実施した。次にブロットを緊縮条件下で洗浄し、オートラジオグラフィーまたはホスホイメージングプレートに曝露した。オートラジオグラムをBioRad GS-670 レーザースキャナーで走査し、バンド密度をMolecular Analyst v2.1(BioRad, Hercules CA )画像分析ソフトウエアで定量した。Storm 840 系(Molecular Dynamics, Sunnyvale CA)上にホスホイメージを捕捉し、Image Quant v1.1( Molecular Dynamics )画像分析ソフトウエアでバンド密度を定量した。
 亜硝酸検定によるNOの測定のために、細胞をAβペプチドまたは対照緩衝液とともに48時間インキュベートし、次に、状態調節培地中の亜硝酸塩レベルを、前述のように(Hu et al., J Biol. Chem., 271, 2543-2547, 1996)、Griess反応により測定した。NOS阻害剤N−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L型)または不活性D型異性体を用いた場合、これらの薬剤はAβと同時に培養に付加された。
 これらの実験結果を図13に示す。この図から分かるように、星状膠細胞をADDLとともにインキュベートする場合はグリア活性化は増大するが、しかしAβ 17−42とともにインクとする場合には増大しない。
 これらの結果は、ADDLがグリア細胞を活性化することを確証する。グリアタンパク質は、例えばアルツハイマー病で起きるのと同様に神経欠損に関与し得ると、そしてADDLのいくつかの作用は実際にはグリア細胞の活性化により間接的に媒介されると思われる。特に、グリアタンパク質は、ADDLの生成、または受容体結合の顆粒で生じるADDL媒介性作用を促進し得る。さらに、クラステリンはアルツハイマー病患者の脳中で上向き調節され、そしてクラステリンは活性化されたグリア細胞中でのみ、増大レベルで作られる、ということが分かっている。これに基づいて、非ADDL、非アミロイド刺激によるグリア細胞の活性化はクラステリンを産生し、これが次にADDLをもたらし、これが次にニューロンを損傷して、さらにグリア細胞の活性化を引き起こす。
 メカニズムにかかわらず、これらの結果は、ADDL媒介性グリア細胞活性化を調節する(即ち増大または低減する)治療により、神経防護利点が得られる、ということも示唆する。さらに、結果は、ニューロン作用の阻止の他に、グリア細胞でこれらの作用を阻止すると、有益であると思われる。
 実施例17LTP検定−ADDLはLTPを崩壊させる
 長期増強(LTP)は、シナプス可塑性に関する古典的範例であり、記憶および学習に関するモデルであって、即ち、初期段階ADにおいて選択的に損失される機能である。本実施例は、LTP、特に医学的穿孔経路−顆粒細胞LTPに及ぼすADDLの作用を調べるために実施した実験を記載する。
 無傷動物の注射:マウスをウレタンで麻酔して、走触性装置に入れた。加熱ウォータージャケットパッドを用いて体温を保持した。脳表面を、頭蓋骨に穴を開毛、曝露させた。海馬の中央分子層中への注入のためのブレグマおよびラムダ位置は、ブレグマの2mm後方、正中線の1mm外側、そして脳表面の1.2〜1.5mm腹側である。アミロイドβオリゴマー注入は、直径〜10nmのガラスピペットを介して窒素パフによる。20〜50nLの容量のアミロイドβオリゴマー溶液(リン酸緩衝化生理食塩水 PBS中の180nMアミロイドβ)を、時間の経過中ずっと投与した。対照マウスには等容量のPBSのみを投与した。動物を休ませて時間を変更した後、LTP刺激を与えた(典型的には60分)。
 注入動物におけるLTP:実験は、マウスのLTPに関してRouttenberg と同僚達が確立した範例(Namgung et al., Brain Research, 689, 85-92, 1995)を追跡調査する。entorhinal皮質からの穿孔性経路刺激を用い、中央分子層および歯状回の細胞体から記録した。母集団興奮性シナプス後電位(pop−EPSP)および母集団スパイク電位(pop−スパイク)が、電気刺激時に観察された。LTPは、400Hz、8x0.4msパルス/列で3列の刺激によりこれらの反応において誘発される(Namgung et al., Brain
Research, 689, 85-92, 1995)。
 刺激後2〜3時間目(即ち、0時間目に適用)に記録を取って、LTPが保持されているか否かを確定した。次に、動物を直ちに屠殺し、あるいは1,3または7日間回復させて、その後前記と同様に屠殺した。脳を30%スクロースで凍結から護り、次にミクロトームで切片にした(30μM)。いくつかの切片をゼラチンを下塗りしたスライド上に載せ、その他は遊離浮遊プロトコールを用いて分析した。免疫組織化学を用いてGAP−43の、PKCサブタイプのそしてタウ(PHF−1)、パキシリンおよび局所付着性キナーゼの変化をモニタリングした。以前に記載された(Colley et al., J. Neurosci., 10, 3353-3360, 1990)ような機械を用いて、波形を分析した。二方向ANOVAは、処理および未処理群間のスパイク振幅の変化を比較する。
 図14は、全動物におけるADDLのスパイク振幅作用を説明する。図から明らかに分かるように、ADDLは、entorhinal皮質に適用され、歯状回の中央分子層における細胞体スパイク振幅として測定される高周波電気刺激により誘発されるLTPの存続期を阻止する。LTP実験実施後、動物を種々の時間回復させて、次にナトリウムペントバルビトール麻酔を4%パラホルムアルデヒドとともに用いて屠殺した。生存能力試験のために、3時間、24時間、3日間および7日間の時間を用いた。脳を30%スクロースを用いて凍結を防止し、次にミクロトームで切片(30μM)にした。切片を、ゼラチンを下塗りしたスライド上に載せ、最初にクレシルバイオレットで染色した。歯状回、CA3,CA1およびentorhinal皮質中の細胞体を計数して細胞損失を測定し、ADDL曝露の用量および時間と相関させた。これらの実験結果は、LTP実験後の24時間と同様に、細胞死は起きなかった。
 同様に、若成ラットからの海馬薄片で、LTP反応を試験した。図15で分かるように、ADDLを用いたラット海馬薄片のインキュベーションは、細胞変性のあらゆる明白な徴候前に、LTPを十分に防止する。500nMのADDLに45分間先に曝露した海馬薄片(n=6)は、活動電位の能力が継続しているにもかかわらず、強直性刺激(平均振幅99%+/−7.6)後30分に、母集団スパイクの増強を示さなかった。これに対比して、ビヒクルとともにインクとした薄片(n=6)ではLTPは容易に誘発され、最後の10分間の振幅は138%+/−8.1であった;この値は、この年齢群で過去に実証された値に匹敵する(Trommer et al., Exper. Neurol, 131, 83-92, 1995 )。LTPはADDL処理薄片には認められなかったが、しかしそれらの細胞は競合して活動電位を生じ、変性の徴候は示さなかった。
 これらの結果は、動物全体および組織薄片の両方で、ADDLを付加すると、あらゆる細胞変性または細胞死の前に、1時間未満でLTPの有意の崩壊が生じることを確認する。したがって、これらの実験は、ADDLが極早期の作用を発揮し、したがって、ADDLの生成および/または活性に伴う干渉を用いて、疾患、障害または症状(例えばアルツハイマー病)が細胞死を引き起こす段階に進行する前に、治療的効果を得ることができる。言い換えれば、これらの結果は、記憶の低減がニューロン死の前に起きることを確証する。したがって、このような細胞死の前の干渉を用いて、進行を逆転し、記憶の低減を回復し得ると思われる。
 実施例18in vivo ADDLの初期効果
 本実施例は、in vivo でのADDLの初期効果を記載し、このような初期効果の知識における方法が取り扱われる。
 アルツハイマー病の主な症状は学習および記憶の欠損を包含する。しかしながら、行動的欠損と凝集アミロイド沈着物とのつながりは、確定するのが難しかった。トランスジェニックマウスでは、血小板由来増殖因子プロモーターの制御下での過剰発現突然変異体APPが多量のアミロイドの沈着を引き起こした(Games et al., Nature, 373, 523-527, 1995)。これに対照するものとして、この系を用いて、行動的欠損は報告されていない。
 トランスジェニックマウスを用いて研究中の他の研究者達(即ち、Nalbantoglu et al., Nature, 387, 500-505, 1997およびHolcomb et al.,Nat. Med., 4, 97-100, 1998 )は、凝集アミロイドのあらゆる有意の沈着物が観察される十分な前に起きる有意の行動および認識欠損を観察して報告している。これらの行動および認識欠損には、長期増強の不全が含まれる(Nalbantoglu et al., 同上)。これらのモデルは、非沈着形態のアミロイドが、誘発性ニューロン機能不全の結果として起こる早期認識および行動欠損に関与する、ということを集合的に示唆する。それは、本明細書に記載した新規のADDLが、早期認識および行動欠損を引き起こすこの非沈着形態のアミロイドである、というこれらのモデルと一致する。この点から見て、本発明のADDL調節化合物は、ADDL誘発性ニューロン機能不全に起因するこれらの早期認識および行動欠損の治療および/または予防に用い得るし、あるいはADDLそれ自体を、例えばこのような誘発性ニューロン機能不全を研究するための動物モデルに適用し得る。
 同様に、高齢者においては、認識減退および局所性記憶欠損は、おそらくは段階Iアルツハイマー病の診断がなされるずっと以前に起こり得る(Linn et al., Arch, Neurol., 52, 485-490, 1995 )。これらの局所性記憶欠損は、細胞死というよりむしろ、ニューロンの誘発性異常シグナリングに起因し得る。例えば高次筆記技能といったその他の機能(Snowdon et al., JAMA, 275, 528-532, 1996)も、細胞死の随分前に起こる異常ニューロン機能の影響を受けると思われる。それは、これらの欠損に関して分かっていること、そしてADDLにより誘発されるようなLTP機能弱体化と同様の方法でADDLがこれらの欠損を誘発するという本明細書中で提供したADDLに関する情報と一致する。
 これらの線に沿って、本発明のADDL調節化合物は、ADDLの生成または活性に起因するこれらの早期認識減退および局所性記憶欠損、そして高次の筆記技能の損傷の治療および/または予防に用い得るし、あるいはADDLそれ自体、例えばこのような誘発性欠損を研究するために、動物モデルに適用し得る。特に、このような研究は、当業者に知られているように、例えば処置またはプラセボ処理年齢適合被験者を比較することにより、実行し得る。
 本明細書中に引用した参考文献はすべて、特許、特許出願、出版物を含めて、その記載内容は、参照により本明細書中に含まれる。
 本発明の好ましい実施態様の重点を説明してきたが、本発明は個々に記載された以外の方法でも実施し得るものとする。したがって、以下の請求の範囲により限定されるような本発明の精神および範囲内に包含されるすべての修正を、本発明は含み得る。
図1は、電気泳動中のADDLを示す濃度計走査銀染色ポリアクリルアミドゲルのコンピューター処理画像であり、第一バンドは約30kDに対応し、低濃度バンドは約17kDに対応しており、原繊維または集合体の証拠は認められない。 図2は、電気泳動中のADDLを示す濃度計走査クーマシー染色SDS−ポリアクリルアミドゲルのコンピューター処理画像であり、第一バンド(上部二重線)は約17〜約22kDのサイズに対応し、別のバンド(下部暗色バンド)は高濃度4kDモノマーの存在を示し、これはおそらくは分解生成物であると思われる。レーン:第一レーン:分子サイズマーカー;第二レーン:ADDL調製物;第三レーン:より重い負荷のADDL。 図3は、ADDL含有「分画3」(Superdex 75 ゲル濾過カラム上で分別)のAFM分析のコンピューター処理画像を示す。 図4は、クラステリン(レーンA)またはコールドF12培地(レーンB)を用いた同時インキュベーションにより調製したADDL、ならびにクラステリンを用いて同時インキュベーションし、それをCentricon 10kDカットオフ膜に通し(レーンC)またはCentricon 10kDカットオフ膜に保持され(レーンD)て調製されたADDLの濃度計走査クーマシー染色SDS−ポリアクリルアミド勾配ゲルである:MW 分子サイズマーカー。 図5は、ADDL調製物で処置したマウスからの脳薄片に関してアミロイドβ 1−42濃度(nM)対死細胞%として測定したADDL濃度のグラフである。 図6は、ADDLに曝露されなかった対照PC12細胞(「Cont.」)、クラステリン単独に曝露されたPC12細胞(「Apo J」)、単量体Aβに曝露されたPC12細胞(「Aβ」)クラステリンと凝集したアミロイドβに曝露されて、1日経過したPC12細胞(「Aβ:ApoJ」)に関する%MTT減少を示す棒グラフである。 図7は、ADDLに曝露されなかったB103細胞(陰影のないピーク)および蛍光標識化ADDLに結合したB103細胞(影付きピーク)に関する蛍光強度(0〜170)対結果(0〜300)を示すFACScanである。 図8は、ADDLに曝露されなかった海馬細胞(陰影のないピーク、「−ADDL」)および蛍光標識化ADDLに結合した海馬細胞(影付きピーク、「+ADDL」)に関する蛍光強度(0〜170)対結果(0〜300)を示すFACScanである。 図9は、B103細胞のトリプシン処理により放出されたペプチドに曝露されなかった(「−」)か、または同時曝露された(「+」)B103細胞に関する%最大ADDL結合またはADDL喚起性死の棒グラフである。 図10は、ADDL調製物で処置したマウスからの脳薄片に関する相対的ADDL濃度対%死細胞のグラフである。相対濃度を確定するために、10μM Aβタンパク質の初期濃度を用いて、最高データ点(ポイント「16」)でADDLを生成し、その後これを1/2(ポイント「8」)、1/4(ポイント「4」)等に希釈した。 図11は、ADDL結合ELISA検定で得られた光学密度を示す棒グラフである。この場合、B103細胞をADDLおよび6E10抗体と同時インキュベート(「細胞、ADDL,6E10」の棒)し、B103細胞をADDLと同時インキュベート(「細胞、ADDL」の棒)し、B103細胞を6E10抗体と同時インキュベート(「細胞、6E10」の棒)し、B103細胞単独でインキュベートし(「細胞」の棒)、6E10抗体を単独でインキュベート(「6E10」の棒)し、または希釈物の光学密度(「ブランク」の棒)を読み取った。 図12は、ADDLで処置しない(「培地」)か、またはADDLと接触させた(「ADDL」)fyn+/+(野生型、「Fyn+」、斜交陰影棒)またはfyn−/−(ノックアウト、「Fyn−」、中黒棒)マウスにおける%死細胞の棒グラフである。 図13は、ADDL(●)またはAβ17−42(◇)を用いて星状膠細胞をインキュベートして得られたAβ濃度(μM)対活性化グリア(数)のグラフである。 図14は、ADDL未処置対照マウス(黒三角形)またはADD処置マウス(黒正方形)に関する時間(分)対%ベースライン細胞体スパイク振幅のグラフである。 図15は、ADDLに曝露されなかった対照ラット海馬薄片(◆)対ADDLに曝露されたラット海馬薄片(黒正方形)に関する時間(分)対平均スパイク振幅のグラフである。
〔配列表〕
(1)一般情報:
  (i)出願人:
     (A)名称:ノースウエスタン ユニバーシティ他
  (ii)発明の名称:アミロイドβタンパク質(球状アッセンブリーおよびその使用)
  (iii)配列の数:4
(2)配列番号:1の情報
  (i)配列の特徴
     (A)長さ:20塩基対
     (B)型:核酸
     (C)鎖の数:一本鎖
     (D)トポロジー:直鎖状
  (ii)分子型:他の核酸
  (xi)配列の記載:配列番号:1:
   GCACCTTCTT TCCCTTCATC               20
(2)配列番号:2の情報
  (i)配列の特徴
     (A)長さ:20塩基対
     (B)型:核酸
     (C)鎖の数:一本鎖
     (D)トポロジー:直鎖状
  (ii)分子型:他の核酸
  (xi)配列の記載:配列番号:2:
   TGCTGATGTA CCAGTTGGGG               20
(2)配列番号:3の情報
  (i)配列の特徴
     (A)長さ:19塩基対
     (B)型:核酸
     (C)鎖の数:一本鎖
     (D)トポロジー:直鎖状
  (ii)分子型:他の核酸
  (xi)配列の記載:配列番号:3:
   CAGTCCTTGA CCTGCGACC               19
(2)配列番号:4の情報
  (i)配列の特徴
     (A)長さ:19塩基対
     (B)型:核酸
     (C)鎖の数:一本鎖
     (D)トポロジー:直鎖状
  (ii)分子型:他の核酸
  (xi)配列の記載:配列番号:4:
   GCCTCACATC ACATCCTTG               19

Claims (51)

  1.  少なくとも3〜12個のアミロイドβタンパク質を含んで成り、神経毒性を示す、単離された可溶性の球状非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体。
  2.  前記オリゴマー構造体が三量体、四量体、五量体および六量体から成る群から選択されるオリゴマー形態を含んで成る請求項1に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  3.  非変性ゲル電気泳動により測定した場合に、前記オリゴマー構造体が約26kD〜約28kDの分子量を有する請求項1または2に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  4.  15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動により測定した場合に、前記オリゴマー構造体が約22kD〜約24kD、または約18kD〜約19kDの分子量を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  5.  原子間力顕微鏡により測定した場合に、前記オリゴマー構造体が約4.7nm〜約6.2nmの寸法の球状体を含んで成る請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  6.  原子間力顕微鏡により測定した場合に、前記オリゴマー構造体が約4.9nm〜約5.4nmの寸法の球状体を含んで成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  7.  原子間力顕微鏡により測定した場合に、前記オリゴマー構造体が約5.7nm〜約6.2nmの寸法の球状体を含んで成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  8.  原子間力顕微鏡により測定した場合に、前記オリゴマー構造体の約40%〜約75%が、約4.9nm〜約5.4nm、及び約5.7nm〜約6.2nmの寸法の球状体を含んで成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたオリゴマー構造体。
  9.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果の検定方法において、
     (a)動物の海馬に前記オリゴマー構造体を投与し;
     (b)電気的刺激を適用し;そして
     (c)細胞体スパイク振幅を経時的に測定することにより、長期増強反応を測定する;
    工程を含んで成る方法。
  10.  前記動物の長期増強反応が、電気的刺激の適用に先立ってオリゴマー構造体の代りに食塩水を投与する点を除き同様にして処置された別の動物の長期増強反応と比較される、請求項9に記載の方法。
  11.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による学習または記憶の低減から動物を保護するための方法であって、前記オリゴマー構造体の生成を阻止する化合物を投与することを含んで成る方法。
  12.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による学習または記憶の低減から動物を保護するための方法であって、学習または記憶の低減を導く前記オリゴマー構造体の活性を阻止する化合物を投与することを含んで成る方法。
  13.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による学習または記憶の低減を動物において逆転させる方法であって、前記オリゴマー構造体の生成を阻止する化合物を投与することを含んで成る方法。
  14.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による学習または記憶の低減を動物において逆転させる方法であって、学習または記憶の低減を導く前記オリゴマー構造体の活性を阻止する化合物を投与することを含んで成る方法。
  15.  アルツハイマー病、成人性ダウン症候群および老人性痴呆症から成る群から選択された疾患、障害または症状の治療に適用される請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による長期増強の低減に対して神経細胞を保護するための方法であって、前記オリゴマー構造体の生成を阻止する化合物に前記細胞を接触させることを含んで成る方法。
  17.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による長期増強の低減に対して神経細胞を保護するための方法であって、長期増強の低減を導く前記オリゴマー構造体の活性を阻止する化合物に前記細胞を接触させることを含んで成る方法。
  18.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による長期増強の低減を神経細胞において逆転させるための方法であって、前記オリゴマー構造体の生成を阻止する化合物に前記細胞を接触させることを含んで成る方法。
  19.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果による長期増強の低減を神経細胞において逆転させるための方法であって、長期増強の低減を導く前記オリゴマー構造体の活性を阻止する化合物に前記細胞を接触させることを含んで成る方法。
  20.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を6E10抗体と接触させ;そして
     (b)前記抗体の前記オリゴマー構造体との結合を検出する;
    工程を含んで成る方法。
  21.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を血清飢餓化神経芽細胞腫細胞と接触させ;そして
     (b)前記被験物質と接触されなかった神経芽細胞腫細胞に対する前記細胞の形態学的知見を比較することにより、前記接触された細胞における形態学的変化を測定する;
    工程を含んで成る方法。
  22.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を脳薄片培養物と接触させ;そして
     (b)前記被験物質と接触されなかった脳薄片培養物に対して比較した場合の脳細胞死を測定する;
    工程を含んで成る方法。
  23.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を神経芽細胞腫細胞と接触させ;そして
     (b)前記被験物質と接触されなかった神経芽細胞腫細胞におけるFynキナーゼ活性に対して前記接触された細胞中のFynキナーゼ活性を比較することにより、Fynキナーゼ活性の増大を測定する;
    工程を含んで成る方法。
  24.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を一次星状膠細胞の培養物と接触させ;そして
     (b)前記被験物質と接触されなかった一次星状膠細胞の培養と比較した場合の前記接触された星状膠細胞の活性化を測定する;
    工程を含んで成る方法。
  25.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を一次星状膠細胞と接触させ;そして
     (b)前記被験物質と接触されなかった一次星状膠細胞の培養中の対応するmRNAレベルに対して前記接触された星状膠細胞中の前記mRNAレベルを比較することにより、インターロイキン−1、誘導性酸化一酸化窒素シンターゼ、ApoE、ApoJおよびα1−アンチキモトリプシンから成る群から選択されるタンパク質に対するmRNAの増大を前記星状膠細胞で測定する;
    工程を含んで成る方法。
  26.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の作用を調節する化合物の同定方法において、
     (a)動物の海馬に食塩水または被験化合物を投与し;
     (b)電気的刺激を適用し;
     (c)細胞体スパイク振幅を経時的に測定することにより長期増強反応を測定し;そして
     (d)食塩水を投与された動物の長期増強反応を、被験化合物を投与された動物の長期増強反応と比較する;
    工程を含んで成る方法。
  27.  前記食塩水または被験化合物の投与の前に、同時に、またはその後に、前記海馬にオリゴマー構造体を投与することをさらに含んで成る請求項26に記載の方法。
  28.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の神経毒性を阻止する化合物の同定方法であって、
     (a)前記被験化合物との接触の存在下または非存在下で、ニューロン細胞の別々の培養物を前記オリゴマー構造体と接触させ;
     (b)各培養物中の生存細胞の割合を測定し;そして
     (c)各培養物中の生存細胞の割合を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物中の生存細胞と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた前記培養物中の生存細胞の割合が増大した場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の神経毒性を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  29.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)前記被験物質との接触の存在下または非存在下で、ニューロン細胞の別々の培養物を前記オリゴマー構造体と接触させ;
     (b)前記オリゴマー構造体と結合する蛍光性の試薬を添加し;
     (c)蛍光標示式細胞分類法により前記別々の細胞培養物を分析し;そして
     (d)培養物の蛍光を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  30.  請求項1〜8のいずれかに記載のオリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)蛍光試薬と結合し得る結合成分を含んで成る標識されたオリゴマー構造体を、アミロイドβタンパク質から生成せしめ;
     (b)前記被験化合物との接触の存在下または非存在下で、ニューロン細胞の別々の培養物を前記標識されたオリゴマー構造体と接触させ;
     (c)前記オリゴマー構造体と結合し得る蛍光試薬を添加し;
     (d)蛍光標示式細胞分類法により前記別々の細胞培養物を分析し;そして
     (e)培養物の蛍光を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物を、オリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  31.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の生成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)前記被験化合物と混合されているかまたはされていないアミロイドβタンパク質の別々の試料を調製し;
     (b)前記別々の試料中に前記オリゴマー構造体を形成し;
     (c)ニューロン細胞の別々の培養物を前記別々の試料と接触させ;
     (d)前記オリゴマー構造体と結合する蛍光性の試薬を添加し;
     (e)蛍光標示式細胞分類法により前記別々の細胞培養物を分析し;そして
     (f)培養の蛍光を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物を、オリゴマー構造体の形成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  32.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の生成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)前記被験化合物と混合されているかまたはされていないアミロイドβタンパク質の別々の試料を調製し;
     (b)前記別々の各試料中に、該別々の試料のそれぞれにおいて蛍光試薬と結合し得る結合成分を含んで成る標識されたオリゴマー構造体を形成し;
     (c)ニューロン細胞の別々の培養物を前記別々の試料と接触させ;
     (d)前記オリゴマー構造体と結合し得る蛍光試薬を添加し;
     (e)蛍光標示式細胞分類法により前記別々の細胞培養物を分析し;そして
     (f)培養物の蛍光を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物を、オリゴマー構造体の形成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  33.  前記培養物の蛍光がさらに、オリゴマー構造体の形成に先立って前記被験化合物を添加するかまたは添加しない代わりに、オリゴマー構造体の形成後に前記被験化合物を添加するかまたは添加しない点を除き同様にして処理された培養物の蛍光と比較され、
     前記オリゴマー構造体の生成に先立って前記化合物が添加される場合にのみ、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の生成を阻止する化合物として同定し、
     オリゴマー構造体の生成の前又は後に前記化合物が添加される場合に、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養の蛍光と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定する、請求項31または32に記載の方法。
  34.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合の検出方法において、
     (a)アミロイドβタンパク質から前記オリゴマー構造体を形成し;
     (b)ニューロン細胞の培養物を前記オリゴマー構造体と接触させて;
     (c)前記オリゴマー構造体と結合する抗体であって結合成分を含有するものを添加し;
     (d)非結合抗体を洗い落とし:
     (f)前記結合成分により、前記オリゴマー構造体に結合される前記抗体に酵素を結合せしめ;
     (g)前記酵素により切断されて変色を生じさせる無色基質を付加し;そして
     (h)前記オリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合の測定として前記の変色確定する;
    工程を含んで成る方法。
  35.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の生成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)前記被験化合物と混合されているまたはされていないアミロイドβタンパク質の別々の試料を調製し;
     (b)前記別々の試料中に、前記オリゴマー構造体を形成し;
     (c)ニューロン細胞の別々の培養物を前記別々の試料と接触させ;
     (d)前記オリゴマー構造体と結合する抗体であって結合成分を含有するものを添加し;
     (e)非結合抗体を洗い落とし:
     (f)前記結合成分により、前記オリゴマー構造体に結合される前記抗体に酵素を結合せしめ;
     (g)前記酵素により切断されて変色を生じさせる無色基質を付加し;そして
     (h)前記別々の試料の各々により生成される変色を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の蛍光が低減する場合に、その被験化合物を、オリゴマー構造体の形成または細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  36.  前記培養物により生成された変色がさらに、オリゴマー構造体の形成に先立って前記被験化合物を添加するかまたは付加しない代わりに、オリゴマー構造体の形成後に前記被験化合物を添加するかまたは添加しない点を除き同様にして処理された培養物により生成された変色と比較され、
     前記オリゴマー構造体の生成に先立って前記化合物が添加される場合にのみ、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触した培養物の変色と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の変色が低減する場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の生成を阻止する化合物として同定し、
     オリゴマー構造体の生成の前又は後に前記化合物が添加される場合に、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養の変色と比較して、被験化合物の存在下でオリゴマー構造体と接触させた培養物の変色が低減する場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する化合物として同定する、請求項35に記載の方法。
  37.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の生成を阻止する化合物の同定方法において、
     (a)前記被験化合物と混合されているかまたはされていないアミロイドβタンパク質の別々の試料を調製し;
     (b)前記別々の試料中に前記オリゴマー構造体を形成し;
     (c)電気泳動、免疫認識および原子間力顕微鏡から成る群から選択される方法を用いて、オリゴマー構造体が前記別々の試料中に形成されたか否かを測定し;そして
     (d)前記別々の試料中の前記オリゴマー構造体の形成を比較する;
    工程を含んで成り、被験化合物の非存在下でオリゴマー構造体が形成される試料と比較して、試料中で被験化合物の存在下でオリゴマー構造体の生成が低減される場合に、その被験化合物をオリゴマー構造体の形成を阻止する化合物として同定することを特徴とする方法。
  38.  請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された可溶性の球状の非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の製造方法において、
     (a)前記オリゴマー構造体を形成し得る単量体アミロイドβタンパク質の溶液を生成し;
     (b)前記タンパク質溶液を適切な培地中に希釈して約5nM〜約500μMの最終濃度とし;
     (c)約4℃で工程(b)から得られた培地を約4℃にて約2〜約48時間インキュベートし;
     (d)約4℃で約14,000gで前記溶液を遠心分離し;
     (e)前記アミロイドβオリゴマー構造体を含有するものとして、前記遠心分離から得られた上清を回収する;
    工程を含んで成る方法。
  39.  工程(b)からの培地を約4℃にてクルステリンの存在下でインキュベートする、請求項38に記載の方法。
  40.  請求項38または39により調製された単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体。
  41.  神経細胞の長期増強反応を変えるための請求項1〜8のいずれかの単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記細胞を前記オリゴマー構造体と接触させることを含んで成る使用。
  42.  動物の学習または記憶を変えるための請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記オリゴマー構造体を前記動物に投与することを含んで成る使用。
  43.  神経細胞の形態学的変化を引き起こすための請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記細胞を前記オリゴマー構造体と接触させることを含んで成る使用。
  44.  前記形態学的変化が殺細胞、Fynキナーゼ活性変化、Fynキナーゼ細胞下局在化の変化並びにインターロイキン−1,誘導性酸化一酸化窒素シンターゼ、ApoE、ApoJおよびα1−アンチキモトリプシンを含めたタンパク質に関するmRNAレベルの変化からから成る群から選択される作用を含む請求項43に記載の使用。
  45.  星状膠細胞活性化を引き起こす請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記星状膠細胞を前記オリゴマー構造体と接触させることを含んで成る使用。
  46.  オリゴヌクレオチド構造体の神経毒性を阻止する被験化合物を同定するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、神経細胞を前記オリゴマー構造体および前記被験化合物と接触させることを含んで成る使用。
  47.  オリゴマー構造体の細胞表面タンパク質への結合を阻止する被験化合物を同定するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、神経細胞を前記オリゴマー構造体および前記被験化合物と接触させることを含んで成る使用。
  48.  オリゴマー構造体の生成を阻止する被験化合物を同定するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記オリゴマー構造体を生成するためのインキュベーション中に、アミロイドβタンパク質を前記被験化合物と接触させることを含んで成る使用。
  49.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の効果によるADDL誘発性異常ニューロンシグナリングから神経細胞を防護するための方法であって、前記細胞を前記オリゴマー構造体の活性を阻止する化合物と接触させることを含んで成る方法。
  50.  請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴマー構造体の被験物質中での検出方法において、
     (a)前記被験物質を神経細胞と接触させ;そして
     (b)前記細胞がADDL誘発性異常ニューロンシグナリングを示すか否かを決定する;
    工程を含んで成る方法。
  51.  神経細胞のADDL誘発性異常ニューロンシグナリングを引き起こす請求項1〜8のいずれか1項に記載の単離された、球状の可溶性非原繊維性アミロイドβオリゴマー構造体の使用であって、前記細胞を前記オリゴマー構造体と接触させることを含んで成る使用。
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