JP2004091055A - 光ファイバ入りトロリ線用ドラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ドラム巻工程における光ファイバ入りトロリ線にかかる曲げ歪みを小さくして、光ファイバへの歪みも抑える。
【解決手段】銅または銅合金からなるトロリ線本体2の内部に、その長手方向に沿って溝孔3を設け、その溝孔3内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブル4を収容した光ファイバ入りトロリ線1を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラム6において、ドラム胴部7の径Rを上記光ファイバ入りトロリ線1の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に形成すると共に、上記光ファイバ入りトロリ線1の巻取り条長を確保すべく上記ドラム胴部7両端の外鍔部8に上記光ファイバ入りトロリ線1を係止するスリット11を形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】銅または銅合金からなるトロリ線本体2の内部に、その長手方向に沿って溝孔3を設け、その溝孔3内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブル4を収容した光ファイバ入りトロリ線1を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラム6において、ドラム胴部7の径Rを上記光ファイバ入りトロリ線1の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に形成すると共に、上記光ファイバ入りトロリ線1の巻取り条長を確保すべく上記ドラム胴部7両端の外鍔部8に上記光ファイバ入りトロリ線1を係止するスリット11を形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンタグラフ等を介して電車に給電を行うトロリ線を巻き取るトロリ線用ドラムに係り、特に、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロリ線は、銅または銅合金からなり、導電性がよく、しかも引っ張り荷重が大きく耐摩耗性に優れているので、電気鉄道の架線等に多用されている。
【0003】
この種のトロリ線は、一定張力を負荷して架線使用されているが、その張力は高いほど電気車の走行速度を上げることができる。しかし、トロリ線は、架設中のパンタグラフの摺動摩擦により、その断面積が減少し、トロリ線の破断荷重が減少していくため、トロリ線の摩耗管理は必要不可欠なものであった。
【0004】
また、架線使用中のトロリ線には、電気車に給電するための電流が流されており、この電流及びパンタグラフとの離線アーク等により、トロリ線は温度上昇して、その引張り強度が局部的に低下する場合があった。
【0005】
架設中のトロリ線の摩耗管理については、従来はレーザ等を用いた検出装置を列車に据え付け、深夜の電気車の運行がない時間に、この電気車を走行させてトロリ線の摩耗状況を調査するようになっていた。
【0006】
しかしながら、この方法では、昼間の電気車の運行中に発生した異常摩耗を検出することはできない。
【0007】
一方、トロリ線内部の所定位置に検知線(絶縁電線)を挿入して、トロリ線の摩耗が検知線まで達すると断線して、摩耗限界に達したことの信号を出力するトロリ線が使用される場合もあった。
【0008】
しかしながら、この方法でも、昼間の電気車の運行中に発生した異常摩耗を検出することはできない。また、夜間に異常摩耗を検出した場合においても、直ぐにその位置を特定するまでの検出精度はなく、摩耗位置を目視で確認する必要があった。
【0009】
そこで、近年、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線が開発・研究されている。
【0010】
この光ファイバ入りトロリ線によれば、昼夜に亘って摩耗管理を行うことができると共に、異常摩耗の発生位置を即座に検知することができる。
【0011】
この光ファイバ入りトロリ線は、工場で製造されて、架線現場まで運搬する場合に木製ドラムに巻き付けられている。図5に示すように、現状では、従来のトロリ線に用いられていた木製ドラム51が使用されている。木製ドラム51は、ドラム胴部52と、そのドラム胴部52の両端に形成された外鍔部53とから構成されている。
【0012】
木製ドラム51は、そのドラム胴径や鍔径が、延線車両等のサイズによって制限されており、ドラム胴径は、800mmφが最大であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光ファイバ入りトロリ線を、従来の木製ドラム51で巻き取る場合に、そのドラム胴径が最大の800mmφであっても、光ファイバ入りトロリ線内部の光ファイバに大きな曲げ歪みが発生し、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じてしまい、正確な摩耗検知、温度検知及び歪み検知ができないといった問題があった。
【0014】
そこで、本発明は上記問題を解決すべく案出されたものであり、その目的は、ドラム巻工程における光ファイバ入りトロリ線にかかる曲げ歪みを小さくして、光ファイバへの歪みも抑えることができる光ファイバ入りトロリ線用ドラムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決すべく、本発明は、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラムにおいて、ドラム胴部の径を上記光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に形成すると共に、上記光ファイバ入りトロリ線の巻取り条長を確保すべく上記ドラム胴部両端の外鍔部に上記光ファイバ入りトロリ線を係止するスリットを形成したものである。
【0016】
上記構成によれば、ドラム胴部の径を光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線の巻径が大きくなるため、そのトロリ線にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバへの歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じず、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができる。また、ドラム胴径を大きくしたことによって、その分、光ファイバ入りトロリ線の巻取り条長が減少するが、外鍔部にスリットを設けたことによって、外鍔部の外周面まで光ファイバ入りトロリ線を巻き取ることができ、必要な巻取り条長を確保することができる。
【0017】
そして、上記ドラム胴部の径が、1000mmφ以上であり、光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になるものが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
図1は本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な実施の形態を示した正面図、図2は光ファイバ入りトロリ線を示した断面図、図3は各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表である。
【0020】
まず、光ファイバ入りトロリ線及び光ファイバ入りトロリ線用ドラムの構成を説明する。
【0021】
図2に示すように、光ファイバ入りトロリ線1は、銅または銅合金から構成されたトロリ線本体2の内部に、その長手方向に沿って溝孔3が設けられており、その溝孔3内には、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブル4が収容されている。光ファイバ入りトロリ線1の外径は15.5mmとなっている。なお、図中5は、この光ファイバ入りトロリ線1を固定するための溝を示す。
【0022】
図1に示すように、光ファイバ入りトロリ線用ドラム6は、光ファイバ入りトロリ線1が巻き付くドラム胴部7と、そのドラム胴部7の両端に形成された外鍔部8とから構成されている。ドラム胴部7は、複数の木製板を組み付けてなり、円筒状に形成されている。外鍔部8は、約75mmの厚さを有し、円盤状に形成されている。
【0023】
ところで、本発明は、ドラム胴部7の直径であるドラム胴径Rを、光ファイバ入りトロリ線1の曲げ歪みが許容値以下になる径、本実施の形態では1000mmφ以上とし、光ファイバ入りトロリ線1の巻取時の曲げ歪みを許容値よりも少なくするようにしたことを特徴とする。
【0024】
ここで、図3の各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表を参照すると、ドラム胴径Rが800mmφの場合では、トロリ線の歪み量が1.16%で、その内部の光ファイバの歪み量が0.90%となり、光ファイバケーブルに大きな伝送ロスが発生してしまうことが判る。
【0025】
光ファイバの許容可能な最大歪み量を0.7%に設定すると、ドラム胴径Rが1000mmφであるときに、トロリ線の歪み量が0.94%で、その内部の光ファイバの歪み量が0.69%となり、上記条件をクリアすることができる。トロリ線の曲げ歪み量の許容値は0.94%となる。
【0026】
そして、ドラム胴径Rを1100mmφ、1200mmφと大きくするにつれて、トロリ線の歪み量が0.85%、0.78%と小さくなり、光ファイバの歪み量も0.55%、0.50%と小さくなる。すなわち、ドラム胴径Rが大きいほど、光ファイバ入りトロリ線1の歪み量が小さくなり、光ファイバの歪み量も小さくなるので、光ファイバケーブルの伝送ロスの視点では有利となる。
【0027】
しかし、ドラム胴径Rを大きくすると、その分、光ファイバ入りトロリ線1の巻き取り可能長さである巻取り条長を示す最大巻き量が小さくなってしまう。これは、延線車両等の光ファイバ入りトロリ線用ドラム6を支持する装置のサイズによって、外鍔部8の最大の径が制限されるためである。具体的には、ドラム胴径Rが800mmφ、940mmφ、1000mmφ、1100mmφ、1200mmφと大きくなるにつれて、最大巻き量が、1900m、1700m、1650m、1100m、800mと徐々に小さくなっていた。
【0028】
このように、ドラム胴径Rが940mmφ以上では、最大架線長1820mを巻くことができない。
【0029】
そこで、本発明では、従来は光ファイバ入りトロリ線1を巻いていなかった巻空(外鍔部8の外周部付近)の部分にも光ファイバ入りトロリ線1を巻いて、最大架線長1820mを確保するようにした。
【0030】
しかし、巻空部分が無くなると、光ファイバ入りトロリ線1の端末部を留めるスペースが無くなってしまう。そこで、本発明は、外鍔部8に、光ファイバ入りトロリ線1を係止するスリット11を形成したことを特徴とする。
【0031】
スリット11は、外径15.5mmの光ファイバ入りトロリ線1が通るようにその幅H1が20〜30mmに形成されている。また、スリット11は、光ファイバ入りトロリ線1に極端な曲げが加わらないようにするために、線の巻方向に対して、20〜30°の振れ角度αを有した構造となっている。スリット11の深さは、20〜30mmとなっている。このスリット11の長さLは、外鍔部8の厚さが75mmであるので、約200〜250mmとなっている。
【0032】
次に、上記構成による光ファイバ入りトロリ線用ドラム6の作用を説明する。
【0033】
上記構成によると、ドラム胴部7のドラム胴径Rを所定値以上(本実施の形態では1000mmφ)に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線1の巻径が大きくなるため、そのトロリ線本体2にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバケーブル4への歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブル4に伝送ロスが生じるのを防止でき、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができる。
【0034】
さらに、トロリ線本体2内に光ファイバケーブル4を挿入したことによって、この光ファイバケーブル4が、トロリ線1への通電による電磁誘導、電気ノイズの影響或いは架設環境条件の影響を受けることなく、トロリ線1の異常摩耗箇所、局部温度上昇箇所及び異常伸び発生箇所を容易に且つ確実に特定することが可能となる。
【0035】
また、外鍔部8にスリット11を形成したことによって、光ファイバ入りトロリ線1を巻空部分まで巻き取って固定することができるので、その巻取り条長を必要な長さ(1820m)まで確保することができる。
【0036】
図4は本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な他の実施の形態を示した正面図である。
【0037】
本実施の形態の光ファイバ入りトロリ線用ドラム21は、ドラム胴部22のドラム胴径が図1の光ファイバ入りトロリ線用ドラム6と同等に形成され、その内幅(ドラム胴部22の幅)H2が、従来の木製ドラムよりも大きく形成されたことを特徴とする。
【0038】
具体的には、従来の木製ドラムでは、最大内幅が600mmであったところを、本実施の形態では、800mm程度に大きくすることで、光ファイバ入りトロリ線1の巻取り条長を確保するようになっている。
【0039】
但し、現状のトロリ線延線車においては、最大内幅は650mmが限度であるため、適用することはできないが、将来的に光ファイバ入りトロリ線用ドラムの内幅を大きくできるスペースを有するトロリ線延線車が利用されるようになった場合には、図4の光ファイバ入りトロリ線用ドラム21は、外鍔部23にスリット等の加工を施す必要が無く、非常に有効なものとなる。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、ドラム胴部のドラム胴径を所定値以上に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線の巻径が大きくなるため、そのトロリ線本体にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバケーブルへの歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じるのを防止でき、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができるといった優れた効果を発揮する。
【0041】
さらに、外鍔部にスリットを形成したことによって、光ファイバ入りトロリ線を巻空部分まで巻き取って固定することができるので、その巻取り条長を必要な長さまで確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な実施の形態を示した正面図である。
【図2】光ファイバ入りトロリ線を示した断面図である。
【図3】各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表である。
【図4】本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの他の好適な実施の形態を示した正面図である。
【図5】従来の木製ドラムを示した正面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ入りトロリ線
2 トロリ線本体
3 溝孔
4 光ファイバケーブル
6 光ファイバ入りトロリ線用ドラム
7 ドラム胴部
8 外鍔部
11 スリット
R ドラム胴径
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンタグラフ等を介して電車に給電を行うトロリ線を巻き取るトロリ線用ドラムに係り、特に、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トロリ線は、銅または銅合金からなり、導電性がよく、しかも引っ張り荷重が大きく耐摩耗性に優れているので、電気鉄道の架線等に多用されている。
【0003】
この種のトロリ線は、一定張力を負荷して架線使用されているが、その張力は高いほど電気車の走行速度を上げることができる。しかし、トロリ線は、架設中のパンタグラフの摺動摩擦により、その断面積が減少し、トロリ線の破断荷重が減少していくため、トロリ線の摩耗管理は必要不可欠なものであった。
【0004】
また、架線使用中のトロリ線には、電気車に給電するための電流が流されており、この電流及びパンタグラフとの離線アーク等により、トロリ線は温度上昇して、その引張り強度が局部的に低下する場合があった。
【0005】
架設中のトロリ線の摩耗管理については、従来はレーザ等を用いた検出装置を列車に据え付け、深夜の電気車の運行がない時間に、この電気車を走行させてトロリ線の摩耗状況を調査するようになっていた。
【0006】
しかしながら、この方法では、昼間の電気車の運行中に発生した異常摩耗を検出することはできない。
【0007】
一方、トロリ線内部の所定位置に検知線(絶縁電線)を挿入して、トロリ線の摩耗が検知線まで達すると断線して、摩耗限界に達したことの信号を出力するトロリ線が使用される場合もあった。
【0008】
しかしながら、この方法でも、昼間の電気車の運行中に発生した異常摩耗を検出することはできない。また、夜間に異常摩耗を検出した場合においても、直ぐにその位置を特定するまでの検出精度はなく、摩耗位置を目視で確認する必要があった。
【0009】
そこで、近年、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線が開発・研究されている。
【0010】
この光ファイバ入りトロリ線によれば、昼夜に亘って摩耗管理を行うことができると共に、異常摩耗の発生位置を即座に検知することができる。
【0011】
この光ファイバ入りトロリ線は、工場で製造されて、架線現場まで運搬する場合に木製ドラムに巻き付けられている。図5に示すように、現状では、従来のトロリ線に用いられていた木製ドラム51が使用されている。木製ドラム51は、ドラム胴部52と、そのドラム胴部52の両端に形成された外鍔部53とから構成されている。
【0012】
木製ドラム51は、そのドラム胴径や鍔径が、延線車両等のサイズによって制限されており、ドラム胴径は、800mmφが最大であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光ファイバ入りトロリ線を、従来の木製ドラム51で巻き取る場合に、そのドラム胴径が最大の800mmφであっても、光ファイバ入りトロリ線内部の光ファイバに大きな曲げ歪みが発生し、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じてしまい、正確な摩耗検知、温度検知及び歪み検知ができないといった問題があった。
【0014】
そこで、本発明は上記問題を解決すべく案出されたものであり、その目的は、ドラム巻工程における光ファイバ入りトロリ線にかかる曲げ歪みを小さくして、光ファイバへの歪みも抑えることができる光ファイバ入りトロリ線用ドラムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決すべく、本発明は、銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラムにおいて、ドラム胴部の径を上記光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に形成すると共に、上記光ファイバ入りトロリ線の巻取り条長を確保すべく上記ドラム胴部両端の外鍔部に上記光ファイバ入りトロリ線を係止するスリットを形成したものである。
【0016】
上記構成によれば、ドラム胴部の径を光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線の巻径が大きくなるため、そのトロリ線にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバへの歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じず、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができる。また、ドラム胴径を大きくしたことによって、その分、光ファイバ入りトロリ線の巻取り条長が減少するが、外鍔部にスリットを設けたことによって、外鍔部の外周面まで光ファイバ入りトロリ線を巻き取ることができ、必要な巻取り条長を確保することができる。
【0017】
そして、上記ドラム胴部の径が、1000mmφ以上であり、光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になるものが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
図1は本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な実施の形態を示した正面図、図2は光ファイバ入りトロリ線を示した断面図、図3は各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表である。
【0020】
まず、光ファイバ入りトロリ線及び光ファイバ入りトロリ線用ドラムの構成を説明する。
【0021】
図2に示すように、光ファイバ入りトロリ線1は、銅または銅合金から構成されたトロリ線本体2の内部に、その長手方向に沿って溝孔3が設けられており、その溝孔3内には、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブル4が収容されている。光ファイバ入りトロリ線1の外径は15.5mmとなっている。なお、図中5は、この光ファイバ入りトロリ線1を固定するための溝を示す。
【0022】
図1に示すように、光ファイバ入りトロリ線用ドラム6は、光ファイバ入りトロリ線1が巻き付くドラム胴部7と、そのドラム胴部7の両端に形成された外鍔部8とから構成されている。ドラム胴部7は、複数の木製板を組み付けてなり、円筒状に形成されている。外鍔部8は、約75mmの厚さを有し、円盤状に形成されている。
【0023】
ところで、本発明は、ドラム胴部7の直径であるドラム胴径Rを、光ファイバ入りトロリ線1の曲げ歪みが許容値以下になる径、本実施の形態では1000mmφ以上とし、光ファイバ入りトロリ線1の巻取時の曲げ歪みを許容値よりも少なくするようにしたことを特徴とする。
【0024】
ここで、図3の各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表を参照すると、ドラム胴径Rが800mmφの場合では、トロリ線の歪み量が1.16%で、その内部の光ファイバの歪み量が0.90%となり、光ファイバケーブルに大きな伝送ロスが発生してしまうことが判る。
【0025】
光ファイバの許容可能な最大歪み量を0.7%に設定すると、ドラム胴径Rが1000mmφであるときに、トロリ線の歪み量が0.94%で、その内部の光ファイバの歪み量が0.69%となり、上記条件をクリアすることができる。トロリ線の曲げ歪み量の許容値は0.94%となる。
【0026】
そして、ドラム胴径Rを1100mmφ、1200mmφと大きくするにつれて、トロリ線の歪み量が0.85%、0.78%と小さくなり、光ファイバの歪み量も0.55%、0.50%と小さくなる。すなわち、ドラム胴径Rが大きいほど、光ファイバ入りトロリ線1の歪み量が小さくなり、光ファイバの歪み量も小さくなるので、光ファイバケーブルの伝送ロスの視点では有利となる。
【0027】
しかし、ドラム胴径Rを大きくすると、その分、光ファイバ入りトロリ線1の巻き取り可能長さである巻取り条長を示す最大巻き量が小さくなってしまう。これは、延線車両等の光ファイバ入りトロリ線用ドラム6を支持する装置のサイズによって、外鍔部8の最大の径が制限されるためである。具体的には、ドラム胴径Rが800mmφ、940mmφ、1000mmφ、1100mmφ、1200mmφと大きくなるにつれて、最大巻き量が、1900m、1700m、1650m、1100m、800mと徐々に小さくなっていた。
【0028】
このように、ドラム胴径Rが940mmφ以上では、最大架線長1820mを巻くことができない。
【0029】
そこで、本発明では、従来は光ファイバ入りトロリ線1を巻いていなかった巻空(外鍔部8の外周部付近)の部分にも光ファイバ入りトロリ線1を巻いて、最大架線長1820mを確保するようにした。
【0030】
しかし、巻空部分が無くなると、光ファイバ入りトロリ線1の端末部を留めるスペースが無くなってしまう。そこで、本発明は、外鍔部8に、光ファイバ入りトロリ線1を係止するスリット11を形成したことを特徴とする。
【0031】
スリット11は、外径15.5mmの光ファイバ入りトロリ線1が通るようにその幅H1が20〜30mmに形成されている。また、スリット11は、光ファイバ入りトロリ線1に極端な曲げが加わらないようにするために、線の巻方向に対して、20〜30°の振れ角度αを有した構造となっている。スリット11の深さは、20〜30mmとなっている。このスリット11の長さLは、外鍔部8の厚さが75mmであるので、約200〜250mmとなっている。
【0032】
次に、上記構成による光ファイバ入りトロリ線用ドラム6の作用を説明する。
【0033】
上記構成によると、ドラム胴部7のドラム胴径Rを所定値以上(本実施の形態では1000mmφ)に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線1の巻径が大きくなるため、そのトロリ線本体2にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバケーブル4への歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブル4に伝送ロスが生じるのを防止でき、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができる。
【0034】
さらに、トロリ線本体2内に光ファイバケーブル4を挿入したことによって、この光ファイバケーブル4が、トロリ線1への通電による電磁誘導、電気ノイズの影響或いは架設環境条件の影響を受けることなく、トロリ線1の異常摩耗箇所、局部温度上昇箇所及び異常伸び発生箇所を容易に且つ確実に特定することが可能となる。
【0035】
また、外鍔部8にスリット11を形成したことによって、光ファイバ入りトロリ線1を巻空部分まで巻き取って固定することができるので、その巻取り条長を必要な長さ(1820m)まで確保することができる。
【0036】
図4は本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な他の実施の形態を示した正面図である。
【0037】
本実施の形態の光ファイバ入りトロリ線用ドラム21は、ドラム胴部22のドラム胴径が図1の光ファイバ入りトロリ線用ドラム6と同等に形成され、その内幅(ドラム胴部22の幅)H2が、従来の木製ドラムよりも大きく形成されたことを特徴とする。
【0038】
具体的には、従来の木製ドラムでは、最大内幅が600mmであったところを、本実施の形態では、800mm程度に大きくすることで、光ファイバ入りトロリ線1の巻取り条長を確保するようになっている。
【0039】
但し、現状のトロリ線延線車においては、最大内幅は650mmが限度であるため、適用することはできないが、将来的に光ファイバ入りトロリ線用ドラムの内幅を大きくできるスペースを有するトロリ線延線車が利用されるようになった場合には、図4の光ファイバ入りトロリ線用ドラム21は、外鍔部23にスリット等の加工を施す必要が無く、非常に有効なものとなる。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、ドラム胴部のドラム胴径を所定値以上に大きくしたことによって、光ファイバ入りトロリ線の巻径が大きくなるため、そのトロリ線本体にかかる曲げ歪みを小さくでき、光ファイバケーブルへの歪みも抑えることができる。これによって、光ファイバケーブルに伝送ロスが生じるのを防止でき、トロリ線の摩耗検知、温度検知及び歪み検知を正確に行うことができるといった優れた効果を発揮する。
【0041】
さらに、外鍔部にスリットを形成したことによって、光ファイバ入りトロリ線を巻空部分まで巻き取って固定することができるので、その巻取り条長を必要な長さまで確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの好適な実施の形態を示した正面図である。
【図2】光ファイバ入りトロリ線を示した断面図である。
【図3】各ドラム胴径における各部の歪み量と最大巻き量を示した表である。
【図4】本発明に係る光ファイバ入りトロリ線用ドラムの他の好適な実施の形態を示した正面図である。
【図5】従来の木製ドラムを示した正面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ入りトロリ線
2 トロリ線本体
3 溝孔
4 光ファイバケーブル
6 光ファイバ入りトロリ線用ドラム
7 ドラム胴部
8 外鍔部
11 スリット
R ドラム胴径
Claims (2)
- 銅または銅合金からなるトロリ線本体の内部に、その長手方向に沿って溝孔を設け、その溝孔内に、摩耗検知、温度検知及び歪み検知可能な光ファイバケーブルを収容した光ファイバ入りトロリ線を巻き取るための光ファイバ入りトロリ線用ドラムにおいて、ドラム胴部の径を上記光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる径以上に形成すると共に、上記光ファイバ入りトロリ線の巻取り条長を確保すべく上記ドラム胴部両端の外鍔部に上記光ファイバ入りトロリ線を係止するスリットを形成したことを特徴とする光ファイバ入りトロリ線用ドラム。
- 上記ドラム胴部の径が、1000mmφ以上であり、上記光ファイバ入りトロリ線の曲げ歪みが許容値以下になる請求項1記載の光ファイバ入りトロリ線用ドラム。
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2002
- 2002-08-29 JP JP2002250568A patent/JP2004091055A/ja active Pending
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