JP2004090878A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
電動パワーステアリング装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004090878A JP2004090878A JP2002258042A JP2002258042A JP2004090878A JP 2004090878 A JP2004090878 A JP 2004090878A JP 2002258042 A JP2002258042 A JP 2002258042A JP 2002258042 A JP2002258042 A JP 2002258042A JP 2004090878 A JP2004090878 A JP 2004090878A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steering
- vehicle
- driver
- current value
- target current
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Power Steering Mechanism (AREA)
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
Abstract
【課題】運転者の意図しない車両の旋回を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】
電動モータMは、ステアリングホイール1に加えられる操舵トルクTおよび車速Vに応じて制御され、ステアリング機構3に操舵補助力を与える。車両が走行状態であり、制動中でなく、直進状態であるときに転舵が検出されると、その転舵は運転者の意図しない転舵であると判断される。このようなときには、転舵抑制用目標電流値設定部16によって設定された転舵抑制用目標電流値を用いることにより、運転者の意図しない車両の旋回が防がれる。
【選択図】 図1
【解決手段】
電動モータMは、ステアリングホイール1に加えられる操舵トルクTおよび車速Vに応じて制御され、ステアリング機構3に操舵補助力を与える。車両が走行状態であり、制動中でなく、直進状態であるときに転舵が検出されると、その転舵は運転者の意図しない転舵であると判断される。このようなときには、転舵抑制用目標電流値設定部16によって設定された転舵抑制用目標電流値を用いることにより、運転者の意図しない車両の旋回が防がれる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータの駆動力をステアリング機構に機械的に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて設定される目標電流値に基づいて制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力がステアリング機構に与えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−334947号公報
【特許文献2】
特開2002−46640号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の左右輪がそれぞれ接地する路面の状態は、必ずしも等しいとは限らない。たとえば、アスファルトの路面を走行しているときに、片輪のみが水溜まりを通過したり、片輪のみが路面上の凍結部を通過したりするときには、車両の左右で路面の摩擦係数が著しく異なる状態となる。
このような場合には、車両は、運転者の意図に反して旋回を始める。すなわち、たとえば、車輪の回転が路面に伝わりにくくなる低摩擦係数側へと車両が旋回することになる。このような、運転者の意図しない車両の旋回により、車両の挙動が不安定になる。運転者は、車両の姿勢を立て直すために、車両の旋回方向とは反対側へとステアリングホイールを操舵することになるが、車両姿勢を速やかに立て直すことができるかどうかは運転者の技量に依るところが大きい。
【0005】
そこで、この発明の目的は、運転者の意図しない車両の旋回を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両の操向のための操作部材(1)の操作量に応じて制御される電動モータ(M)が発生する駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、運転者の意図しない車両の旋回を検出する意図外旋回検出手段(12〜15)と、この意図外旋回検出手段によって運転者の意図しない旋回が検出されたことに応答して、当該旋回を抑制する方向への操舵補助力が上記ステアリング機構に与えられるように上記電動モータを制御する旋回抑制制御手段(16,17)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この発明によれば、運転者の意図しない旋回が生じると、このような旋回を抑制する方向への操舵補助力がステアリング機構に与えられる。これによって、車両の旋回を抑制できるから、運転者の技量にかかわりなく、車両姿勢の乱れを防止または抑制できる。
上記意図外旋回検出手段は、所定の条件下で、車両の旋回が検出されたときに、運転者の意図しない旋回が生じたことを検出するものであってもよい。
【0008】
車両の旋回は、ステアリング機構の舵角を検出する舵角センサ(6)の出力信号に基づいて検出できるほか、車両の左右輪の車輪速を検出し、この左右輪の車輪速の差に基づいて検出することもできる。
たとえば、車両にアンチロックブレーキシステムが搭載されていて、このアンチロックブレーキシステムのコントローラが車輪速に関するデータを有している場合には、その車輪速データを取り込んで用いることとしてもよい。
【0009】
また、上記「所定の条件」は、車両が走行中であること、車両が制動中でないこと、および車両が直進状態であることのうちの少なくともいずれか1つの条件を含むことが好ましい。車両が走行中でなければ、運転者の意図しない操舵が生じることはあり得ない。また、車両が制動中であれば、危険回避のための操舵が行われる可能性があるから、旋回抑制制御を行うのは適切ではない。さらに、車両が直進状態であれば、車両の旋回が生じたときに、その旋回は運転者の意図に即しない可能性が高い。
【0010】
車両が走行中であるかどうかは、車両のアクセルペダルの操作状態を表すアクセル信号やエンジン回転信号に基づいて判定できる。
車両が制動中かどうかは、ブレーキペダルの操作に連動して発生されるブレーキ信号に基づいて検出できる。
車両が直進状態かどうかは、操作部材の操作量に基づいて検出できる。たとえば、操作量として操舵トルクを検出するトルクセンサ(5)が設けられている場合には、操舵トルクの絶対値が所定値未満であるときには、操作部材が実質的に操作されていないことを意味するから、車両が直進状態であると判断できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから発生する駆動力が、操舵補助力として、ギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0012】
ステアリング機構3は、ステアリングシャフト2に結合されたピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛合し、車両の左右方向に移動可能に支承されたラックとを有し、このラックの移動によって、車両の左右の舵取り用の車輪W,Wが転舵されるようになっている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクTに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(電子制御ユニット)に入力されている。
【0013】
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、ステアリング機構3の舵角θを検出する舵角センサ6(この実施形態ではステアリングシャフト2の回転角および回転方向を検出するもの)と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速Vを検出する車速センサ7との各出力信号も入力されている。さらに、コントローラ10には、車両のアクセルペダルの操作状態を表すアクセル信号と、車両のブレーキペダルの操作状態を表すブレーキ信号とが入力されている。
【0014】
コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTおよび車速センサ7によって検出される車速Vに応じた目標電流値を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ20を制御することにより、電動モータMに適切な駆動電流を与える。これにより、操舵トルクTおよび車速Vに応じた操舵補助力が、ステアリング機構3に与えられることになる。
コントローラ10は、内部に備えられたマイクロコンピュータによるプログラム処理によって、操舵トルクTおよび車速Vに応じた目標電流値を設定する通常制御用目標電流値設定部11と、アクセル信号に基づいて車両が走行状態かどうかを判定する走行判定部12と、ブレーキ信号に基づいて車両が制動状態かどうかを判定する制動判定部13と、操舵トルクTに基づいて車両が直進状態かどうかを判定する直進判定部14と、舵角センサ6が検出する舵角θに基づいてステアリング機構3が転舵されたかどうかを判定する転舵判定部15との各機能を実現する。さらに、コントローラ10は、プログラム処理によって、運転者の意図しない転舵(車両の旋回)を抑制するための転舵抑制用目標電流値を舵角θに基づいて設定する転舵抑制用目標電流値設定部16と、運転者が意図しない転舵が生じたときに、一定条件下で、転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を通常制御用目標電流値設定部11が設定する目標電流値に加算する加算処理部17との各機能を実現する。
【0015】
直進判定部14は、操舵トルクの絶対値|T|が所定値α(≧0。たとえば、α=2N・m)以下であるときに、運転者が実質的な操舵トルクをステアリングホイール1に加えておらず、したがって、車両が直進走行状態であると判定する。
図2は、通常制御用目標電流値設定部11の働きを説明するための図であり、操舵トルクTに対する目標電流値の関係が示されている。操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、目標電流値は、電動モータMから右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータMから左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。
【0016】
目標電流値は、操舵トルクTの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルクTの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルクTが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、目標電流値は零とされる。また、目標電流値は、車速センサ7によって検出される車速Vが大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
【0017】
図3は、コントローラ10の動作を説明するためのフローチャートである。走行判定部12によって車両が走行中であると判定され(ステップS1のYES)、制動判定部13によって車両が制動中でないと判定され(ステップS2のNO)、さらに、直進判定部14によって車両が直進走行状態であると判定されたときに(ステップS3のYES)、転舵判定部15が舵角θが舵角中点から所定角度(たとえば、3度)以上左右いずれかに転舵された状態を示す値であると判定すると、運転者の意図に反する転舵(すなわち車両の旋回)が生じたものと判定される(ステップS4のYES)。これに応答して、加算処理部17は、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値に転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を加算する。この加算結果に基づいてモータドライバ20が制御されることになる(ステップS5)。
【0018】
ただし、直進判定部14は、操舵トルクの絶対値|T|が所定値α以下であるときに直進走行状態であると判定するから、通常制御用目標電流値設定部11が設定する目標電流値は零または微小な値であり、実質的には、転舵抑制用目標電流値に基づいてモータドライバ20が制御されることになる。
転舵抑制用目標電流値設定部16は、舵角θに基づき、ステアリング機構3の転舵方向とは反対の方向にステアリング機構3を転舵させるための操舵補助力を電動モータMから発生させるための電流値を転舵抑制用目標電流値として設定する。
【0019】
したがって、車両を直進させているときに、左右の車輪W,Wの一方だけが水溜まりに入った場合などに、運転者の意図しない車両の旋回が起きると、この旋回を抑制する方向に車輪W,Wが転舵されることになる。これにより、運転者の技量によらずに、車両姿勢が乱れることを防止または抑制することができる。
車両が停止している場合(ステップS1のNO)、制動中である場合(ステップS2のYES)、車両が直進中でない場合(ステップS3のNO)、またはステアリング機構3の実質的な転舵が生じていない場合(ステップS4のNO)には、加算処理部17は転舵抑制用目標電流値の加算を行わない。したがって、通常制御用目標電流値設定部11が操舵トルクTおよび車速Vに基づいて設定した目標電流値に基づいて、モータドライバ20の制御が行われる(ステップS6)。
【0020】
車両が停止しているときは、運転者の意図しない転舵が生じることはないので、転舵抑制制御は不要である。また、車両が制動中であれば、危険回避のための操舵がされる可能性が高いから、転舵抑制制御をしない方が好ましい。さらに、車両が直進中でないとき、すなわち、運転者の操舵中に転舵抑制制御を行うと、運転者の予期しない操舵補助が操舵中にされることになり、適切ではない。また、車両が直進状態であれば、運転者の意図しない転舵の発生を確実に検出できる。これらの理由により、この実施形態では、転舵抑制制御の実行に、上記の条件(ステップS1,S2,S3)を課すこととしている。
【0021】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値に転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を一定条件下で加算することとしているが、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値と、転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値とを、所定の条件に従って切り換えて用いることとしてもよい。
【0022】
また、上記の実施形態では、舵角センサ6が検出する舵角θに基づいて車両の旋回を検出しているが、たとえば、左右の車輪W,Wの車輪速をそれぞれ検出する車輪速センサを設け、これらの車輪速センサが検出する左右の車輪W,Wの車輪速の差が所定値以上であるときに、車両の旋回が生じたものと判定するようにしてもよい。
さらに、上記の実施形態では、アクセル信号に基づいて車両が走行状態であるかどうかを判定しているが、エンジン回転信号に基づき、エンジンの回転数が所定値以上であるかどうかにより、車両が走行状態であるかどうかを判定するようにしてもよい。
【0023】
当該車両がABS(アンチロックブレーキシステム)を備えている場合には、車輪速のデータは、このABSとのデータ通信によって取得するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、電動モータMを制御するための目標駆動値として目標電流値を用いているが、目標電圧値や操舵補助力の目標値であるアシストトルク目標値を目標駆動値として用いてもよい。
【0024】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】通常制御用目標電流値設定部の働きを説明するための図であり、操舵トルクに対する目標電流値の関係が示されている。
【図3】運転者の意図しない転舵を抑制するための制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリング機構
4 トーションバー
5 トルクセンサ
6 舵角センサ
7 車速センサ
10 コントローラ
11 通常制御用目標電流値設定部
12 走行判定部
13 制動判定部
14 直進判定部
15 転舵判定部
16 転舵抑制用目標電流値設定部
17 加算処理部
20 モータドライバ
M 電動モータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータの駆動力をステアリング機構に機械的に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて設定される目標電流値に基づいて制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力がステアリング機構に与えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−334947号公報
【特許文献2】
特開2002−46640号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の左右輪がそれぞれ接地する路面の状態は、必ずしも等しいとは限らない。たとえば、アスファルトの路面を走行しているときに、片輪のみが水溜まりを通過したり、片輪のみが路面上の凍結部を通過したりするときには、車両の左右で路面の摩擦係数が著しく異なる状態となる。
このような場合には、車両は、運転者の意図に反して旋回を始める。すなわち、たとえば、車輪の回転が路面に伝わりにくくなる低摩擦係数側へと車両が旋回することになる。このような、運転者の意図しない車両の旋回により、車両の挙動が不安定になる。運転者は、車両の姿勢を立て直すために、車両の旋回方向とは反対側へとステアリングホイールを操舵することになるが、車両姿勢を速やかに立て直すことができるかどうかは運転者の技量に依るところが大きい。
【0005】
そこで、この発明の目的は、運転者の意図しない車両の旋回を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両の操向のための操作部材(1)の操作量に応じて制御される電動モータ(M)が発生する駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、運転者の意図しない車両の旋回を検出する意図外旋回検出手段(12〜15)と、この意図外旋回検出手段によって運転者の意図しない旋回が検出されたことに応答して、当該旋回を抑制する方向への操舵補助力が上記ステアリング機構に与えられるように上記電動モータを制御する旋回抑制制御手段(16,17)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この発明によれば、運転者の意図しない旋回が生じると、このような旋回を抑制する方向への操舵補助力がステアリング機構に与えられる。これによって、車両の旋回を抑制できるから、運転者の技量にかかわりなく、車両姿勢の乱れを防止または抑制できる。
上記意図外旋回検出手段は、所定の条件下で、車両の旋回が検出されたときに、運転者の意図しない旋回が生じたことを検出するものであってもよい。
【0008】
車両の旋回は、ステアリング機構の舵角を検出する舵角センサ(6)の出力信号に基づいて検出できるほか、車両の左右輪の車輪速を検出し、この左右輪の車輪速の差に基づいて検出することもできる。
たとえば、車両にアンチロックブレーキシステムが搭載されていて、このアンチロックブレーキシステムのコントローラが車輪速に関するデータを有している場合には、その車輪速データを取り込んで用いることとしてもよい。
【0009】
また、上記「所定の条件」は、車両が走行中であること、車両が制動中でないこと、および車両が直進状態であることのうちの少なくともいずれか1つの条件を含むことが好ましい。車両が走行中でなければ、運転者の意図しない操舵が生じることはあり得ない。また、車両が制動中であれば、危険回避のための操舵が行われる可能性があるから、旋回抑制制御を行うのは適切ではない。さらに、車両が直進状態であれば、車両の旋回が生じたときに、その旋回は運転者の意図に即しない可能性が高い。
【0010】
車両が走行中であるかどうかは、車両のアクセルペダルの操作状態を表すアクセル信号やエンジン回転信号に基づいて判定できる。
車両が制動中かどうかは、ブレーキペダルの操作に連動して発生されるブレーキ信号に基づいて検出できる。
車両が直進状態かどうかは、操作部材の操作量に基づいて検出できる。たとえば、操作量として操舵トルクを検出するトルクセンサ(5)が設けられている場合には、操舵トルクの絶対値が所定値未満であるときには、操作部材が実質的に操作されていないことを意味するから、車両が直進状態であると判断できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから発生する駆動力が、操舵補助力として、ギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0012】
ステアリング機構3は、ステアリングシャフト2に結合されたピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛合し、車両の左右方向に移動可能に支承されたラックとを有し、このラックの移動によって、車両の左右の舵取り用の車輪W,Wが転舵されるようになっている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクTに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(電子制御ユニット)に入力されている。
【0013】
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、ステアリング機構3の舵角θを検出する舵角センサ6(この実施形態ではステアリングシャフト2の回転角および回転方向を検出するもの)と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速Vを検出する車速センサ7との各出力信号も入力されている。さらに、コントローラ10には、車両のアクセルペダルの操作状態を表すアクセル信号と、車両のブレーキペダルの操作状態を表すブレーキ信号とが入力されている。
【0014】
コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTおよび車速センサ7によって検出される車速Vに応じた目標電流値を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ20を制御することにより、電動モータMに適切な駆動電流を与える。これにより、操舵トルクTおよび車速Vに応じた操舵補助力が、ステアリング機構3に与えられることになる。
コントローラ10は、内部に備えられたマイクロコンピュータによるプログラム処理によって、操舵トルクTおよび車速Vに応じた目標電流値を設定する通常制御用目標電流値設定部11と、アクセル信号に基づいて車両が走行状態かどうかを判定する走行判定部12と、ブレーキ信号に基づいて車両が制動状態かどうかを判定する制動判定部13と、操舵トルクTに基づいて車両が直進状態かどうかを判定する直進判定部14と、舵角センサ6が検出する舵角θに基づいてステアリング機構3が転舵されたかどうかを判定する転舵判定部15との各機能を実現する。さらに、コントローラ10は、プログラム処理によって、運転者の意図しない転舵(車両の旋回)を抑制するための転舵抑制用目標電流値を舵角θに基づいて設定する転舵抑制用目標電流値設定部16と、運転者が意図しない転舵が生じたときに、一定条件下で、転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を通常制御用目標電流値設定部11が設定する目標電流値に加算する加算処理部17との各機能を実現する。
【0015】
直進判定部14は、操舵トルクの絶対値|T|が所定値α(≧0。たとえば、α=2N・m)以下であるときに、運転者が実質的な操舵トルクをステアリングホイール1に加えておらず、したがって、車両が直進走行状態であると判定する。
図2は、通常制御用目標電流値設定部11の働きを説明するための図であり、操舵トルクTに対する目標電流値の関係が示されている。操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、目標電流値は、電動モータMから右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータMから左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。
【0016】
目標電流値は、操舵トルクTの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルクTの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルクTが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、目標電流値は零とされる。また、目標電流値は、車速センサ7によって検出される車速Vが大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
【0017】
図3は、コントローラ10の動作を説明するためのフローチャートである。走行判定部12によって車両が走行中であると判定され(ステップS1のYES)、制動判定部13によって車両が制動中でないと判定され(ステップS2のNO)、さらに、直進判定部14によって車両が直進走行状態であると判定されたときに(ステップS3のYES)、転舵判定部15が舵角θが舵角中点から所定角度(たとえば、3度)以上左右いずれかに転舵された状態を示す値であると判定すると、運転者の意図に反する転舵(すなわち車両の旋回)が生じたものと判定される(ステップS4のYES)。これに応答して、加算処理部17は、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値に転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を加算する。この加算結果に基づいてモータドライバ20が制御されることになる(ステップS5)。
【0018】
ただし、直進判定部14は、操舵トルクの絶対値|T|が所定値α以下であるときに直進走行状態であると判定するから、通常制御用目標電流値設定部11が設定する目標電流値は零または微小な値であり、実質的には、転舵抑制用目標電流値に基づいてモータドライバ20が制御されることになる。
転舵抑制用目標電流値設定部16は、舵角θに基づき、ステアリング機構3の転舵方向とは反対の方向にステアリング機構3を転舵させるための操舵補助力を電動モータMから発生させるための電流値を転舵抑制用目標電流値として設定する。
【0019】
したがって、車両を直進させているときに、左右の車輪W,Wの一方だけが水溜まりに入った場合などに、運転者の意図しない車両の旋回が起きると、この旋回を抑制する方向に車輪W,Wが転舵されることになる。これにより、運転者の技量によらずに、車両姿勢が乱れることを防止または抑制することができる。
車両が停止している場合(ステップS1のNO)、制動中である場合(ステップS2のYES)、車両が直進中でない場合(ステップS3のNO)、またはステアリング機構3の実質的な転舵が生じていない場合(ステップS4のNO)には、加算処理部17は転舵抑制用目標電流値の加算を行わない。したがって、通常制御用目標電流値設定部11が操舵トルクTおよび車速Vに基づいて設定した目標電流値に基づいて、モータドライバ20の制御が行われる(ステップS6)。
【0020】
車両が停止しているときは、運転者の意図しない転舵が生じることはないので、転舵抑制制御は不要である。また、車両が制動中であれば、危険回避のための操舵がされる可能性が高いから、転舵抑制制御をしない方が好ましい。さらに、車両が直進中でないとき、すなわち、運転者の操舵中に転舵抑制制御を行うと、運転者の予期しない操舵補助が操舵中にされることになり、適切ではない。また、車両が直進状態であれば、運転者の意図しない転舵の発生を確実に検出できる。これらの理由により、この実施形態では、転舵抑制制御の実行に、上記の条件(ステップS1,S2,S3)を課すこととしている。
【0021】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値に転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値を一定条件下で加算することとしているが、通常制御用目標電流値設定部11が設定した目標電流値と、転舵抑制用目標電流値設定部16が設定した転舵抑制用目標電流値とを、所定の条件に従って切り換えて用いることとしてもよい。
【0022】
また、上記の実施形態では、舵角センサ6が検出する舵角θに基づいて車両の旋回を検出しているが、たとえば、左右の車輪W,Wの車輪速をそれぞれ検出する車輪速センサを設け、これらの車輪速センサが検出する左右の車輪W,Wの車輪速の差が所定値以上であるときに、車両の旋回が生じたものと判定するようにしてもよい。
さらに、上記の実施形態では、アクセル信号に基づいて車両が走行状態であるかどうかを判定しているが、エンジン回転信号に基づき、エンジンの回転数が所定値以上であるかどうかにより、車両が走行状態であるかどうかを判定するようにしてもよい。
【0023】
当該車両がABS(アンチロックブレーキシステム)を備えている場合には、車輪速のデータは、このABSとのデータ通信によって取得するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、電動モータMを制御するための目標駆動値として目標電流値を用いているが、目標電圧値や操舵補助力の目標値であるアシストトルク目標値を目標駆動値として用いてもよい。
【0024】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】通常制御用目標電流値設定部の働きを説明するための図であり、操舵トルクに対する目標電流値の関係が示されている。
【図3】運転者の意図しない転舵を抑制するための制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリング機構
4 トーションバー
5 トルクセンサ
6 舵角センサ
7 車速センサ
10 コントローラ
11 通常制御用目標電流値設定部
12 走行判定部
13 制動判定部
14 直進判定部
15 転舵判定部
16 転舵抑制用目標電流値設定部
17 加算処理部
20 モータドライバ
M 電動モータ
Claims (1)
- 車両の操向のための操作部材の操作量に応じて制御される電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
運転者の意図しない車両の旋回を検出する意図外旋回検出手段と、
この意図外旋回検出手段によって運転者の意図しない旋回が検出されたことに応答して、当該旋回を抑制する方向への操舵補助力が上記ステアリング機構に与えられるように上記電動モータを制御する旋回抑制制御手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002258042A JP2004090878A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002258042A JP2004090878A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004090878A true JP2004090878A (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=32062812
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002258042A Pending JP2004090878A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004090878A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007145175A (ja) * | 2005-11-28 | 2007-06-14 | Toyota Motor Corp | 車輌の走行制御装置 |
JP2008195362A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-28 | Toyota Motor Corp | 操舵制御装置 |
KR101205596B1 (ko) * | 2008-07-02 | 2012-11-27 | 주식회사 만도 | 차량의 쏠림을 보상하기 위한 방법 및 장치 |
-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002258042A patent/JP2004090878A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007145175A (ja) * | 2005-11-28 | 2007-06-14 | Toyota Motor Corp | 車輌の走行制御装置 |
JP4604985B2 (ja) * | 2005-11-28 | 2011-01-05 | トヨタ自動車株式会社 | 車輌の走行制御装置 |
JP2008195362A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-28 | Toyota Motor Corp | 操舵制御装置 |
KR101205596B1 (ko) * | 2008-07-02 | 2012-11-27 | 주식회사 만도 | 차량의 쏠림을 보상하기 위한 방법 및 장치 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7613556B2 (en) | Vehicle steering system | |
JP3935409B2 (ja) | 電動式パワーステアリング装置 | |
JP5808977B2 (ja) | 車両のヨーモーメント発生旋回効率化装置 | |
US7708109B2 (en) | Electric power steering apparatus | |
JP2006062624A (ja) | 車両用操舵装置 | |
JP3593898B2 (ja) | 操舵制御装置 | |
JP2007038886A (ja) | 車両の走行制御装置 | |
JP3898323B2 (ja) | 車両の統合制御装置 | |
JP3564696B2 (ja) | 車両の操舵制御装置 | |
JP3757910B2 (ja) | 車両用操舵制御装置 | |
JP3803226B2 (ja) | 電動パワーステアリング制御装置 | |
JP2005170116A (ja) | 車両の操舵制御装置 | |
JP2004090878A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP2007062499A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP2004168150A (ja) | 電動式操舵装置 | |
JP4622137B2 (ja) | 電動パワーステアリング制御装置 | |
JP4742504B2 (ja) | 駆動制御装置 | |
JP2005349914A (ja) | 車両の操舵装置 | |
JP2000128002A (ja) | 操舵制御装置 | |
JP2000085603A (ja) | 操舵制御装置 | |
JP2007020354A (ja) | 車両用操舵装置 | |
JP2002274406A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP3371779B2 (ja) | 車両用操舵装置 | |
JP5271640B2 (ja) | 電動パワーステアリングの制御装置 | |
JP4635648B2 (ja) | 車両用操舵装置 |