JP2004090311A - フロントライト装置用導光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができるフロントライト装置用導光板の製造方法を提供する。
【解決手段】基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成されている。したがって、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成されている。したがって、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フロントライト装置用導光板の製造方法に関する。この発明により得られるフロントライト装置用導光板は、コードレス電話機、携帯電話機、電卓、ノートパソコン、PDA(Personal digital assistant)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、業務用通信機器、携帯ゲーム機などの反射型液晶ディスプレイを備えた携帯型電子機器などに適用する場合において特に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶表示部を備えた小型軽量の携帯型電子機器が開発され製品化されている。携帯型電子機器においては、消費電力を下げるために、反射型液晶ディスプレイが用いられることがある。反射型液晶ディスプレイは、バックライトを使用しないことにより消費電力が小さい点に加え、屋外など十分な外光が得られる環境下においては、外光を取り入れることによって液晶ディスプレイの視認性が優れるなど、携帯型電子機器に適している。
【0003】
そして、十分な外光が得られない屋内や夜間などの環境下で反射型液晶ディスプレイを使用するには、反射型液晶ディスプレイを表側から照明することが必要となるため、反射型液晶ディスプレイの上方に光源を位置させた照明装置であるフロントライト装置が用いられている。
【0004】
フロントライト装置としては、反射型液晶ディスプレイの表示面の上に、反射型液晶ディスプレイに対し平行に導光板を配置し、導光板の側面から冷陰極管または発光ダイオードなどの光源からの光を取り込んで反射型液晶ディスプレイ面へ照射させるものが一般的である。導光板の一方の面は、側面から入光した光を液晶ディスプレイ面へ出射するための光拡散機能を有している。光拡散機能としては、目視によって視認できない程度の微細な多数のプリズムやマイクロレンズを導光板の上面に形成したものが一般的である。
【0005】
このような構成のフロントライト装置の導光板は反射型液晶ディスプレイの上側に配置されるため、導光板表面と空気層との界面でおこる反射光が反射型液晶ディスプレイの表示を見えにくくさせてしまう。このため、導光板表面には、反射防止処理を行う必要がある。
【0006】
従来、導光板に対して反射防止処理を行うには、表面に反射防止処理がされたフィルムを粘着剤や接着剤を介して導光板に貼り合せる方法や、蒸着法やコーティング法などにより導光板表面に直接反射防止処理を施す方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなフロントライト装置用導光板の製造方法においては、次のような問題があった。
【0008】
すなわち、これらの方法では、反射防止層の形成を、導光板の成形の後加工として行うため、成形工程と反射防止処理工程との間に導光板を搬送および滞留させなければならなかった。ところが、反射防止工程過程、搬送工程および滞留工程において、導光板に傷がはいったりゴミが付着したりすることにより製品が不良となるものが多く発生していた。
【0009】
したがって、この発明は、上記のような問題点を解消し、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができるフロントライト装置用導光板の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、以上の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0011】
つまり、この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成した。
【0012】
また、上記の発明において、溶融樹脂を射出する前に、反射防止シートの基体シート側の面を100〜280℃で加熱するように構成してもよい。
【0013】
また、上記の発明において、反射防止シートの基体シート側の面に、透明基板と同一の屈折率、または、透明基板の屈折率以上かつ基体シートの屈折率以下の屈折率を有する接着層を形成するように構成してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0015】
図1〜2は、この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す平面図である。図3〜4は、この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。図5〜7は、この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。図8は、この発明の反射防止層を施した反射防止シートの一例の反射防止層側の表面における分光透過率を表した図である。図中、1はフロントライト装置、2はフロントライト装置用導光板、3は光源、4は金型、5は溶融樹脂、10は透明基板、11は側面、12は入光面、13は出光面、20は反射防止シート、21は基体シート、22は反射防止層、23は接着層である。
【0016】
この発明のフロントライト装置用導光板2の製造方法は、基体シート21上に反射防止層22が少なくとも形成された反射防止シート20を金型4内に設置し、金型4内に透明な溶融樹脂5を射出して樹脂からなる透明基板10と反射防止シート20とを一体化させる方法である。
【0017】
反射防止シート20は、基体シート21上に反射防止層22が少なくとも形成されたものである(図3参照)。
【0018】
基体シート21の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂シートを使用することができる。
【0019】
反射防止層22は、透明基板10の反射を防止するための層である。
【0020】
反射防止層22に用いる低屈折材料としては、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素などの金属酸化物を用いることができる。また、シリカあるいはオルガノポリシロキサンの少なくとも1種を含む有機金属化合物を用いることもできる。また、これらの有機金属化合物の多孔体を用いることもできる。また、フッ素系合成樹脂などの有機化合物を用いることも可能である。
【0021】
反射防止層22の構成としては、微細孔を有する酸化ケイ素あるいは酸化アルミニウムを、酸化ケイ素に分散し単層として使用したり、フッ化マグネシウムを単層として用いるほか、酸化チタン層/酸化ケイ素層の2層構成の反射防止層22として使用したり、酸化チタン層/酸化ケイ素層/酸化チタン層/酸化ケイ素層のように4層構成の反射防止層22など多重干渉を利用した多層構成の反射防止層22としてもよい。
【0022】
これらの反射防止層22の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。あるいは金属アルコラート、金属キレートなどの有機金属化合物を浸漬法あるいは印刷法、コーティング法などにより基体シート21上に塗布し、その後、光照射あるいは乾燥により金属酸化物皮膜を形成して反射防止層22を得る方法もある。
【0023】
反射防止層22の厚さは、0.01〜2μmの範囲で適宜選択するとよい。これらの膜厚は、低屈折材料の屈折率により、一般式n×d=λ/4または一般式n×d=3λ/4(ただし、nは低屈折材料の屈折率、dは低屈折材料の膜厚、λは低反射中心波長をそれぞれ示す)を満たすように適宜選択するとよい。
【0024】
また、透明基板10の上に反射防止シート20を接着させるため、接着層23を形成してもよい(図4参照)。接着層23は、基体シート21の反射防止層22が形成されていない側の面に形成する。接着層23としては、透明基板10の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用するとよい。
【0025】
たとえば、透明基板10の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、透明基板10の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、透明基板10の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層23の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0026】
特に、接着層23としては、反射防止シート20の基体シート21側の面に、透明基板10と同一の屈折率、または、透明基板10の屈折率以上かつ基体シート21の屈折率以下の屈折率を有する接着層23を形成するのが好ましい。空気層を介さずに積層されている透明樹脂層間を光が通過する時、屈折率の低い側から屈折率の高い側へはすべての光成分が通過するが、屈折率が高い側から低い側へは界面への入射角によっては光が通過せず反射される成分が発生する。光源3から透明基板10の側面11へ入射した光が透明基板10と接着層23の界面に到達した時、接着層23の屈折率が透明基板10の屈折率より低いと接着層23へ入射する光量が減ってしまい、透明基板10内に反射される。このため透明基板10の出光率が下がってしまう。また、接着層23の屈折率が基体シート21の屈折率より高い場合も、同様の理由により透明基板10の出光率が下がってしまう。
【0027】
反射防止シート20の構成は、上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、基体シート21の材質として透明基板10との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層23を省略することができる。
【0028】
次いで、このような構成の反射防止シート20を用い、フロントライト装置用導光板2を得る方法について説明する。
【0029】
まず、反射防止シート20を、シート送り装置などを使用して、ゲートを有するコア型と、凹部を有するキャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキャビティ型内または周囲に固定する(図5参照)。キャビティ型のキャビティ面には、導光板の光拡散機能を実現させるために、目視によって視認できない程度の微細な多数のプリズムやマイクロレンズを形成する微細凹凸を設けてもよい。また、反射防止シート20の成形形状が深絞りである場合、熱源により反射防止シート20を加熱軟化させるとともにキャビティ型側から真空吸引してキャビティ型の表面に密着させてもよい。
【0030】
また、溶融樹脂5を射出する前に、反射防止シート20の基体シート21側の面を100〜280℃で加熱するのが好ましい。この加熱処理は、反射防止シート20を金型4内に装着する前であっても後であってもよい。反射防止シート20の基体シート21側の面が過熱されない状態で金型4内に溶融樹脂5を流し込むと、反射防止シート20表面で射出された溶融樹脂5が急激に冷やされて溶融樹脂5の流動性が悪くなり充填不足など成形不良の原因となる恐れがある。また、溶融樹脂5と反射防止シート20との密着も十分でなくなる恐れがある。さらに、反射防止シート20と溶融樹脂5の収縮量の差異により、導光板の反りが発生しやすくなる。反射防止シート20の基体シート21側の面を上記範囲の温度に加熱することにより、金型4内に射出された溶融樹脂5の流動性を向上させ成形性が向上する。また、溶融樹脂5と反射防止シート20との密着性も向上させることができる。さらに、導光板の反りも発生しないようにすることができる。
【0031】
次いで、キャビティ型とコア型を型締めし、反射防止シート20とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融樹脂5を射出する(図6参照)。
【0032】
次いで、キャビティ型とコア型を型開きすれば、樹脂からなる透明基板10と反射防止シート20とが一体化したフロントライト装置用導光板2を得ることができる(図7参照)。
【0033】
透明基板10は反射型液晶ディスプレイの上に重ねて使用するものであるため、透明基板10は十分な光透過性を有し、液晶表示の視認性を妨げないことが要求される。
【0034】
透明基板10としては、透明樹脂からなるものを用いるとよい。透明樹脂としては、透明性、導光性に優れたポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。
【0035】
透明基板10の形状としては、光源3から入射する光を取り込み反射型液晶ディスプレイが配置される面へ出射させるようにするため、透明基板10の側面11の一部を入光面12とし、透明基板10の下面を出光面13とする形状に形成する。具体的には、入光面12となる透明基板10の側面11は、入射光のロスが生じないようにするため、鏡面に形成するのが好ましい。また、透明基板10の上面は、微細な多数のプリズム形状やマイクロレンズ形状を形成して、入射光を拡散させて出射させるように形成するのが好ましい。また、透明基板10の下面は、出射光がロスなく出光するようにするため、鏡面に形成するとよい。図1において、入光面12の左側には、線状の光源3を配置してフロントライト装置1を構成することになる。なお、上記した透明基板10の形状は、一例であり、この発明で使用することができる透明基板10の形状は、上記した形状に限定されない。
【0036】
また、次のようにして成形をすることができる。まず、反射防止シート20を、深絞りのための凹部を有する予備成形型にクランプなどの手段で固定し、次に、熱源により反射防止シート20を加熱軟化させるとともに予備成形型側から真空吸引して予備成形型の表面に密着させる。次いで真空吸引を解除し、予備成形型から反射防止シート20を取り出す。このようにして、深絞り加工した反射防止シート20を得ることができる。次いで、予備成形した反射防止シート20を、ゲートを有するコア型と、深絞りのための凹部を有するキャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキャビティ型内または周囲に固定する。次に、キャビティ型とコア型を型締めし、反射防止シート20とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融樹脂5を射出し、キャビティ型とコア型を型開きすれば、反射防止シート20と成形樹脂とを一体化することができる。
【0037】
このようにして得たフロントライト装置用導光板2は、少なくとも光源3と組み合わせることによってフロントライト装置1を構成することができる(図1〜2参照)。なお、図1〜2において、導光板が光拡散機能を発揮することを示すために多数のプリズムを模式的に表したものであり、実際のプリズム形状は目視によって視認できない程度の微細なものである。
【0038】
光源3は、フロントライト装置用導光板2の入光面12である側面11に、少なくとも1つ以上配置する。光源3としては、点状に発光する点光源、あるいは、線状に発光する線光源を用いるとよい。点光源としては、発光ダイオードなどを用いるとよい。線光源としては、冷陰極管、発光ダイオードなどを用いるとよい。発光ダイオードを線光源とする場合は、複数の発光ダイオードを線状に並べて用いたり、棒状導光体の端面に発光ダイオードを配置して棒状導光体を発光させたりするとよい。
【0039】
この発明のフロントライト装置用導光板2の製造方法は、導光板の成形時に金型4内に反射防止処理が施された反射防止シート20を挿入し、インサート成形を行うことによって、導光板の成形と反射防止処理層を同時に形成するように構成した。したがって、従来、導光板の成形後に行っていた反射防止処理工程や工程間の搬送工程を省略することができ、導光板へのダメージを減少させ、良品率の高いフロントライト装置用導光板2を得ることができる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)厚さ125μmのポリカーボネートフィルムを基体シートとし、その一方の面に、厚さ19nmのTiO2層、厚さ15nmのSiO2層、厚さ82nmのTiO2層、厚さ92nmのSiO2層を順次真空蒸着法で形成して反射防止層を形成し、反射防止シートを得た。なお、図8に本反射防止シートの反射防止層側の表面における分光透過率を表したグラフを示す。
【0041】
次いで、反射防止シートを、反射防止層を設けた面を金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせて配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0042】
金型としては、キャビティ側は反射防止シートをセットできるように位置決めピンをもち、さらに反射防止シートをセットした時にシートを固定する為の複数の小さな吸引穴を設けたものを用いた。コア側は透明基板の光反射機能となる複数の微細な凹凸形状を形成させる為の入れ子をセットしたものを使用した。入れ子の複数の微細な凹凸形状は2つの異なる直線的な傾斜面を持つ直線状のプリズムを用いた。直線状のプリズムは平行で連続的に光反射機能面に形成されている。
【0043】
次いで、型締めを行い、ゲートから加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。成形樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL−125LL)を用いた。
【0044】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0045】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0046】
(実施例2)実施例1と同様の反射防止シートを、反射防止層を設けた面が金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせして配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0047】
次いで、遠赤外線照射装置を用いて、装置の設定温度400℃、反射防止シートからの3cmの距離から5秒間遠赤外線を照射して、金型内に固定してある反射防止シートを加熱した。このとき、反射防止シートは約150〜200℃に加熱された。
【0048】
次いで、型締めを行い、ゲートから加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。
【0049】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を容易に得ることができた。
【0050】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。また、このようにして得たフロントライト装置用導光板は、実施例1で得たものと比較すると、反射防止シートと透明基板の密着性がより高いものであった。
【0051】
(実施例3)厚さ125μmのポリカーボネートフィルムを基体シートとし、その一方の面に厚さ25nmのTiO2層、厚さ20nmのSiO2層、厚さ70nmのTiO2層、厚さ90nmのSiO2層を順次真空蒸着法で形成して反射防止層とし、基体シートの他方の面に、スクリーン印刷によりアクリル系樹脂からなる接着層を設け、反射防止シートを得た。接着層の屈折率は1.48〜1.50、基体シートの屈折率は1.55〜1.59であった。
【0052】
次いで、実施例1と同様の金型を用い、反射防止シートを、反射防止層を設けた面が金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせて配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0053】
次いで型締めを行い、ゲートより加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。成形樹脂としては、アクリル樹脂(住友化学工業株式会社製スミペックスMH−EXTRA)を用いた。透明基板となるアクリル樹脂の屈折率は1.48〜1.50であった。
【0054】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0055】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。また、このようにして得たフロントライト装置用導光板は、基体シートと透明基板の樹脂の種類が異なるものであるが、接着層の作用により十分な密着性を有するものであった。
【0056】
【発明の効果】
この発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【0057】
この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成されているので、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す平面図である。
【図3】この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。
【図4】この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。
【図5】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】この発明の反射防止層を施した反射防止シートの一例の反射防止層側の表面における分光透過率を表した図である。
【符号の説明】
1 フロントライト装置
2 フロントライト装置用導光板
3 光源
4 金型
5 溶融樹脂
10 透明基板
11 側面
12 入光面
13 出光面
20 反射防止シート
21 基体シート
22 反射防止層
23 接着層
【発明の属する技術分野】
この発明は、フロントライト装置用導光板の製造方法に関する。この発明により得られるフロントライト装置用導光板は、コードレス電話機、携帯電話機、電卓、ノートパソコン、PDA(Personal digital assistant)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、業務用通信機器、携帯ゲーム機などの反射型液晶ディスプレイを備えた携帯型電子機器などに適用する場合において特に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶表示部を備えた小型軽量の携帯型電子機器が開発され製品化されている。携帯型電子機器においては、消費電力を下げるために、反射型液晶ディスプレイが用いられることがある。反射型液晶ディスプレイは、バックライトを使用しないことにより消費電力が小さい点に加え、屋外など十分な外光が得られる環境下においては、外光を取り入れることによって液晶ディスプレイの視認性が優れるなど、携帯型電子機器に適している。
【0003】
そして、十分な外光が得られない屋内や夜間などの環境下で反射型液晶ディスプレイを使用するには、反射型液晶ディスプレイを表側から照明することが必要となるため、反射型液晶ディスプレイの上方に光源を位置させた照明装置であるフロントライト装置が用いられている。
【0004】
フロントライト装置としては、反射型液晶ディスプレイの表示面の上に、反射型液晶ディスプレイに対し平行に導光板を配置し、導光板の側面から冷陰極管または発光ダイオードなどの光源からの光を取り込んで反射型液晶ディスプレイ面へ照射させるものが一般的である。導光板の一方の面は、側面から入光した光を液晶ディスプレイ面へ出射するための光拡散機能を有している。光拡散機能としては、目視によって視認できない程度の微細な多数のプリズムやマイクロレンズを導光板の上面に形成したものが一般的である。
【0005】
このような構成のフロントライト装置の導光板は反射型液晶ディスプレイの上側に配置されるため、導光板表面と空気層との界面でおこる反射光が反射型液晶ディスプレイの表示を見えにくくさせてしまう。このため、導光板表面には、反射防止処理を行う必要がある。
【0006】
従来、導光板に対して反射防止処理を行うには、表面に反射防止処理がされたフィルムを粘着剤や接着剤を介して導光板に貼り合せる方法や、蒸着法やコーティング法などにより導光板表面に直接反射防止処理を施す方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなフロントライト装置用導光板の製造方法においては、次のような問題があった。
【0008】
すなわち、これらの方法では、反射防止層の形成を、導光板の成形の後加工として行うため、成形工程と反射防止処理工程との間に導光板を搬送および滞留させなければならなかった。ところが、反射防止工程過程、搬送工程および滞留工程において、導光板に傷がはいったりゴミが付着したりすることにより製品が不良となるものが多く発生していた。
【0009】
したがって、この発明は、上記のような問題点を解消し、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができるフロントライト装置用導光板の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、以上の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0011】
つまり、この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成した。
【0012】
また、上記の発明において、溶融樹脂を射出する前に、反射防止シートの基体シート側の面を100〜280℃で加熱するように構成してもよい。
【0013】
また、上記の発明において、反射防止シートの基体シート側の面に、透明基板と同一の屈折率、または、透明基板の屈折率以上かつ基体シートの屈折率以下の屈折率を有する接着層を形成するように構成してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0015】
図1〜2は、この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す平面図である。図3〜4は、この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。図5〜7は、この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。図8は、この発明の反射防止層を施した反射防止シートの一例の反射防止層側の表面における分光透過率を表した図である。図中、1はフロントライト装置、2はフロントライト装置用導光板、3は光源、4は金型、5は溶融樹脂、10は透明基板、11は側面、12は入光面、13は出光面、20は反射防止シート、21は基体シート、22は反射防止層、23は接着層である。
【0016】
この発明のフロントライト装置用導光板2の製造方法は、基体シート21上に反射防止層22が少なくとも形成された反射防止シート20を金型4内に設置し、金型4内に透明な溶融樹脂5を射出して樹脂からなる透明基板10と反射防止シート20とを一体化させる方法である。
【0017】
反射防止シート20は、基体シート21上に反射防止層22が少なくとも形成されたものである(図3参照)。
【0018】
基体シート21の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの樹脂シートを使用することができる。
【0019】
反射防止層22は、透明基板10の反射を防止するための層である。
【0020】
反射防止層22に用いる低屈折材料としては、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素などの金属酸化物を用いることができる。また、シリカあるいはオルガノポリシロキサンの少なくとも1種を含む有機金属化合物を用いることもできる。また、これらの有機金属化合物の多孔体を用いることもできる。また、フッ素系合成樹脂などの有機化合物を用いることも可能である。
【0021】
反射防止層22の構成としては、微細孔を有する酸化ケイ素あるいは酸化アルミニウムを、酸化ケイ素に分散し単層として使用したり、フッ化マグネシウムを単層として用いるほか、酸化チタン層/酸化ケイ素層の2層構成の反射防止層22として使用したり、酸化チタン層/酸化ケイ素層/酸化チタン層/酸化ケイ素層のように4層構成の反射防止層22など多重干渉を利用した多層構成の反射防止層22としてもよい。
【0022】
これらの反射防止層22の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などがある。あるいは金属アルコラート、金属キレートなどの有機金属化合物を浸漬法あるいは印刷法、コーティング法などにより基体シート21上に塗布し、その後、光照射あるいは乾燥により金属酸化物皮膜を形成して反射防止層22を得る方法もある。
【0023】
反射防止層22の厚さは、0.01〜2μmの範囲で適宜選択するとよい。これらの膜厚は、低屈折材料の屈折率により、一般式n×d=λ/4または一般式n×d=3λ/4(ただし、nは低屈折材料の屈折率、dは低屈折材料の膜厚、λは低反射中心波長をそれぞれ示す)を満たすように適宜選択するとよい。
【0024】
また、透明基板10の上に反射防止シート20を接着させるため、接着層23を形成してもよい(図4参照)。接着層23は、基体シート21の反射防止層22が形成されていない側の面に形成する。接着層23としては、透明基板10の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用するとよい。
【0025】
たとえば、透明基板10の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、透明基板10の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、透明基板10の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層23の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0026】
特に、接着層23としては、反射防止シート20の基体シート21側の面に、透明基板10と同一の屈折率、または、透明基板10の屈折率以上かつ基体シート21の屈折率以下の屈折率を有する接着層23を形成するのが好ましい。空気層を介さずに積層されている透明樹脂層間を光が通過する時、屈折率の低い側から屈折率の高い側へはすべての光成分が通過するが、屈折率が高い側から低い側へは界面への入射角によっては光が通過せず反射される成分が発生する。光源3から透明基板10の側面11へ入射した光が透明基板10と接着層23の界面に到達した時、接着層23の屈折率が透明基板10の屈折率より低いと接着層23へ入射する光量が減ってしまい、透明基板10内に反射される。このため透明基板10の出光率が下がってしまう。また、接着層23の屈折率が基体シート21の屈折率より高い場合も、同様の理由により透明基板10の出光率が下がってしまう。
【0027】
反射防止シート20の構成は、上記した態様に限定されるものではなく、たとえば、基体シート21の材質として透明基板10との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層23を省略することができる。
【0028】
次いで、このような構成の反射防止シート20を用い、フロントライト装置用導光板2を得る方法について説明する。
【0029】
まず、反射防止シート20を、シート送り装置などを使用して、ゲートを有するコア型と、凹部を有するキャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキャビティ型内または周囲に固定する(図5参照)。キャビティ型のキャビティ面には、導光板の光拡散機能を実現させるために、目視によって視認できない程度の微細な多数のプリズムやマイクロレンズを形成する微細凹凸を設けてもよい。また、反射防止シート20の成形形状が深絞りである場合、熱源により反射防止シート20を加熱軟化させるとともにキャビティ型側から真空吸引してキャビティ型の表面に密着させてもよい。
【0030】
また、溶融樹脂5を射出する前に、反射防止シート20の基体シート21側の面を100〜280℃で加熱するのが好ましい。この加熱処理は、反射防止シート20を金型4内に装着する前であっても後であってもよい。反射防止シート20の基体シート21側の面が過熱されない状態で金型4内に溶融樹脂5を流し込むと、反射防止シート20表面で射出された溶融樹脂5が急激に冷やされて溶融樹脂5の流動性が悪くなり充填不足など成形不良の原因となる恐れがある。また、溶融樹脂5と反射防止シート20との密着も十分でなくなる恐れがある。さらに、反射防止シート20と溶融樹脂5の収縮量の差異により、導光板の反りが発生しやすくなる。反射防止シート20の基体シート21側の面を上記範囲の温度に加熱することにより、金型4内に射出された溶融樹脂5の流動性を向上させ成形性が向上する。また、溶融樹脂5と反射防止シート20との密着性も向上させることができる。さらに、導光板の反りも発生しないようにすることができる。
【0031】
次いで、キャビティ型とコア型を型締めし、反射防止シート20とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融樹脂5を射出する(図6参照)。
【0032】
次いで、キャビティ型とコア型を型開きすれば、樹脂からなる透明基板10と反射防止シート20とが一体化したフロントライト装置用導光板2を得ることができる(図7参照)。
【0033】
透明基板10は反射型液晶ディスプレイの上に重ねて使用するものであるため、透明基板10は十分な光透過性を有し、液晶表示の視認性を妨げないことが要求される。
【0034】
透明基板10としては、透明樹脂からなるものを用いるとよい。透明樹脂としては、透明性、導光性に優れたポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。
【0035】
透明基板10の形状としては、光源3から入射する光を取り込み反射型液晶ディスプレイが配置される面へ出射させるようにするため、透明基板10の側面11の一部を入光面12とし、透明基板10の下面を出光面13とする形状に形成する。具体的には、入光面12となる透明基板10の側面11は、入射光のロスが生じないようにするため、鏡面に形成するのが好ましい。また、透明基板10の上面は、微細な多数のプリズム形状やマイクロレンズ形状を形成して、入射光を拡散させて出射させるように形成するのが好ましい。また、透明基板10の下面は、出射光がロスなく出光するようにするため、鏡面に形成するとよい。図1において、入光面12の左側には、線状の光源3を配置してフロントライト装置1を構成することになる。なお、上記した透明基板10の形状は、一例であり、この発明で使用することができる透明基板10の形状は、上記した形状に限定されない。
【0036】
また、次のようにして成形をすることができる。まず、反射防止シート20を、深絞りのための凹部を有する予備成形型にクランプなどの手段で固定し、次に、熱源により反射防止シート20を加熱軟化させるとともに予備成形型側から真空吸引して予備成形型の表面に密着させる。次いで真空吸引を解除し、予備成形型から反射防止シート20を取り出す。このようにして、深絞り加工した反射防止シート20を得ることができる。次いで、予備成形した反射防止シート20を、ゲートを有するコア型と、深絞りのための凹部を有するキャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキャビティ型内または周囲に固定する。次に、キャビティ型とコア型を型締めし、反射防止シート20とコア型との間に密閉空間を形成する。この空間に溶融樹脂5を射出し、キャビティ型とコア型を型開きすれば、反射防止シート20と成形樹脂とを一体化することができる。
【0037】
このようにして得たフロントライト装置用導光板2は、少なくとも光源3と組み合わせることによってフロントライト装置1を構成することができる(図1〜2参照)。なお、図1〜2において、導光板が光拡散機能を発揮することを示すために多数のプリズムを模式的に表したものであり、実際のプリズム形状は目視によって視認できない程度の微細なものである。
【0038】
光源3は、フロントライト装置用導光板2の入光面12である側面11に、少なくとも1つ以上配置する。光源3としては、点状に発光する点光源、あるいは、線状に発光する線光源を用いるとよい。点光源としては、発光ダイオードなどを用いるとよい。線光源としては、冷陰極管、発光ダイオードなどを用いるとよい。発光ダイオードを線光源とする場合は、複数の発光ダイオードを線状に並べて用いたり、棒状導光体の端面に発光ダイオードを配置して棒状導光体を発光させたりするとよい。
【0039】
この発明のフロントライト装置用導光板2の製造方法は、導光板の成形時に金型4内に反射防止処理が施された反射防止シート20を挿入し、インサート成形を行うことによって、導光板の成形と反射防止処理層を同時に形成するように構成した。したがって、従来、導光板の成形後に行っていた反射防止処理工程や工程間の搬送工程を省略することができ、導光板へのダメージを減少させ、良品率の高いフロントライト装置用導光板2を得ることができる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)厚さ125μmのポリカーボネートフィルムを基体シートとし、その一方の面に、厚さ19nmのTiO2層、厚さ15nmのSiO2層、厚さ82nmのTiO2層、厚さ92nmのSiO2層を順次真空蒸着法で形成して反射防止層を形成し、反射防止シートを得た。なお、図8に本反射防止シートの反射防止層側の表面における分光透過率を表したグラフを示す。
【0041】
次いで、反射防止シートを、反射防止層を設けた面を金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせて配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0042】
金型としては、キャビティ側は反射防止シートをセットできるように位置決めピンをもち、さらに反射防止シートをセットした時にシートを固定する為の複数の小さな吸引穴を設けたものを用いた。コア側は透明基板の光反射機能となる複数の微細な凹凸形状を形成させる為の入れ子をセットしたものを使用した。入れ子の複数の微細な凹凸形状は2つの異なる直線的な傾斜面を持つ直線状のプリズムを用いた。直線状のプリズムは平行で連続的に光反射機能面に形成されている。
【0043】
次いで、型締めを行い、ゲートから加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。成形樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL−125LL)を用いた。
【0044】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0045】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0046】
(実施例2)実施例1と同様の反射防止シートを、反射防止層を設けた面が金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせして配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0047】
次いで、遠赤外線照射装置を用いて、装置の設定温度400℃、反射防止シートからの3cmの距離から5秒間遠赤外線を照射して、金型内に固定してある反射防止シートを加熱した。このとき、反射防止シートは約150〜200℃に加熱された。
【0048】
次いで、型締めを行い、ゲートから加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。
【0049】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を容易に得ることができた。
【0050】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。また、このようにして得たフロントライト装置用導光板は、実施例1で得たものと比較すると、反射防止シートと透明基板の密着性がより高いものであった。
【0051】
(実施例3)厚さ125μmのポリカーボネートフィルムを基体シートとし、その一方の面に厚さ25nmのTiO2層、厚さ20nmのSiO2層、厚さ70nmのTiO2層、厚さ90nmのSiO2層を順次真空蒸着法で形成して反射防止層とし、基体シートの他方の面に、スクリーン印刷によりアクリル系樹脂からなる接着層を設け、反射防止シートを得た。接着層の屈折率は1.48〜1.50、基体シートの屈折率は1.55〜1.59であった。
【0052】
次いで、実施例1と同様の金型を用い、反射防止シートを、反射防止層を設けた面が金型に接するようにしてキャビティ側の成形面に位置を合わせて配置し、吸引することで反射防止シートを固定した。
【0053】
次いで型締めを行い、ゲートより加熱溶融された樹脂を射出し成形を行った。成形樹脂としては、アクリル樹脂(住友化学工業株式会社製スミペックスMH−EXTRA)を用いた。透明基板となるアクリル樹脂の屈折率は1.48〜1.50であった。
【0054】
以上のようにして、表面に反射防止層を有するフロントライト装置用導光板を得ることができた。
【0055】
このように、製造工程を短縮させるとともに製造工程中において傷の発生やゴミの付着を防止させてフロントライト装置用導光板を得ることができた。また、このようにして得たフロントライト装置用導光板は、基体シートと透明基板の樹脂の種類が異なるものであるが、接着層の作用により十分な密着性を有するものであった。
【0056】
【発明の効果】
この発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【0057】
この発明のフロントライト装置用導光板の製造方法は、基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させるように構成されているので、製造工程を短縮するとともに傷の発生やゴミの付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】この発明のフロントライト装置用導光板を用いたフロントライト装置の一実施例を示す平面図である。
【図3】この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。
【図4】この発明のフロントライト装置の製造方法に用いられる反射防止シートの一実施例を示す断面図である。
【図5】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】この発明のフロントライト装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】この発明の反射防止層を施した反射防止シートの一例の反射防止層側の表面における分光透過率を表した図である。
【符号の説明】
1 フロントライト装置
2 フロントライト装置用導光板
3 光源
4 金型
5 溶融樹脂
10 透明基板
11 側面
12 入光面
13 出光面
20 反射防止シート
21 基体シート
22 反射防止層
23 接着層
Claims (3)
- 基体シート上に反射防止層が少なくとも形成された反射防止シートを金型内に設置し、金型内に透明な溶融樹脂を射出して樹脂からなる透明基板と反射防止シートとを一体化させることを特徴とするフロントライト装置用導光板の製造方法。
- 溶融樹脂を射出する前に、反射防止シートの基体シート側の面を100〜280℃で加熱する請求項1記載のフロントライト装置用導光板の製造方法。
- 反射防止シートの基体シート側の面に、透明基板と同一の屈折率、または、透明基板の屈折率以上かつ基体シートの屈折率以下の屈折率を有する接着層を形成する請求項1〜2のいずれかに記載のフロントライト装置用導光板の製造方法。
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