JP2004090304A - 光学部材成形用金型、光学部材成形用金型の製造方法、および光学部材の製造方法 - Google Patents

光学部材成形用金型、光学部材成形用金型の製造方法、および光学部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サブミクロンオーダーの微細形状を加工した光学部材成形用金型を安価に製作する。
【解決手段】光学金型10は、金型基材11と、その表面に被着されたフォトレジスト12を有し、フォトレジスト12は、ステッパのマスクやレンズマスク等を介して露光、現像するフォトリソグラフィ技術によって形成された微細形状12aを有する。光学金型10のフォトレジスト12上に紫外線硬化型等の溶融樹脂を塗布して、光学ガラス等を押しつけることで、前記樹脂に微細形状12aを転写し、紫外線等を照射することで樹脂を硬化させて、樹脂一体型のレンズ系の光学部材を製造する。半導体プロセスに用いるフォトレジスト12は超微細加工が可能であり、しかも離型が簡単であるから、金型の耐久性もすぐれている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズやプリズム等の光学部材を製造する工程で用いられる光学部材成形用金型、光学部材成形用金型の製造方法、および光学部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズやプリズム等の光学部材を樹脂成形する方法としては、金型基材の表面を精密機械加工により切削することで作製された光学金型に、溶融樹脂を流し込み、冷却後、前記金型から樹脂成形品を取り出す方法が一般的である。
【0003】
例えば、特開2001−030306号公報に開示されているように、平行、かつ平坦な表面をもつ金属板を準備し、金属板の表面に、NC制御による機械加工により凹状窪みを形成し、続いて、先端が所望の微小球面形状をもつ金属棒で微小球面形状を整えた金型マスターを用いて光学金型を製作し、射出成形により樹脂正立レンズアレイを製造する手法がある。
【0004】
また、特開2000−289031号公報に開示されているように、活性エネルギー線を透過する基板の表面に供給されている活性エネルギー線硬化樹脂に、光学金型に切削加工によって形成された鋸歯状の微細形状部を転写する方法において、前記金型の微細形状部の表面に、前記微細形状部鋸歯の頂角の中心線がコーティング粒子の飛出し方向に沿うように傾斜させて硬質金属のコーティングが施された金型を用いる手法もある。
【0005】
上記の手法はいずれも、金属基材の表面を精密機械加工により切削した金型マスターや光学金型を用いるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年において、光学機器の光学性能が飛躍的に向上しており、従来の精密機械加工では困難なサブミクロンオーダーの微細形状の形成が必要になりつつある。
【0007】
ところが、前述の特開2001−030306号公報に開示されているように、金属板の表面に、NC制御による機械加工により凹状窪みをダイヤモンド製バイトにより形成する方法における切削能力では、前記公報に実施例として記述されている樹脂正立レンズアレイ(片面あるいは両面にレンズ径が0.2〜2.0mmの微小球面レンズが規則的に配列されたレンズプレート)の成形は可能であるが、サブミクロンオーダーの加工は非常に困難である。
【0008】
また、特開2000−289031号公報に開示されているように、光学金型に切削加工された鋸歯状の微細形状部に耐久性を高めるための硬質金属の第1コーティング層をスパッタリングで形成し、さらには前記微細形状部以外の第1コーティング層の上面には硬質金属で成形される第2コーティング層が形成されるという複雑な膜構成では、極めて高価な光学金型となってしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、サブミクロンオーダーの光学的な微細形状をモールド成形するための、低コストでしかも耐久性にすぐれた光学金型を実現することで、樹脂成形を用いて製造される光学部材の高性能化と低価格化に大きく貢献できる光学部材成形用金型、光学部材成形用金型の製造方法、および光学部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光学部材成形用金型は、光学部材を製造するための光学部材成形用金型であって、平面または曲面状の成形面を備えた金型基材と、前記成形面に被着されたフォトレジスト膜を有し、前記フォトレジスト膜に光学的な微細形状がパターニングされていることを特徴とする。
【0011】
フォトレジスト膜の表面粗さがRa=0.1ミクロン以下であるとよい。
【0012】
フォトレジスト膜の厚みが100ミクロン以下であるとよい。
【0013】
フォトレジスト膜が、フッ素系またはシリコーン系のフォトレジスト、またはフッ素系とシリコーン系の共重合体であるフォトレジストの膜であるとよい。
【0014】
フォトレジスト膜が、フィラーを混入したフォトレジストの膜であるとよい。
【0015】
フィラーの含有量が0.1〜50重量%の範囲であるとよい。
【0016】
フィラーの粒径が1〜500nmの範囲であるとよい。
【0017】
フォトレジスト膜を被着する前の金型基材の成形面に、シラン系またはチタン系のカップリング処理を施されているとよい。
【0018】
本発明の光学部材成形用金型の製造方法は、平面または曲面状の成形面を備えた金型基材の前記成形面にフォトレジスト膜を被着させる工程と、金型基材の成形面に被着されたフォトレジスト膜をマスクを介して露光し、現像することで光学的な微細形状をパターニングする工程を有することを特徴とする。
【0019】
マスクのパターンを縮小して転写する縮小投影露光装置を用いるとよい。
【0020】
マスクが、複数のレンズを連結したレンズマスクであってもよい。
【0021】
本発明の光学部材の製造方法は、上記の光学部材成形用金型によって、微細形状をモールド成形する工程を有することを特徴とする。
【0022】
また、上記の光学部材成形用金型によって、結晶性樹脂または光学ガラスの基体に付着された樹脂層に微細形状をモールド成形することで、樹脂一体型の光学部材を製作することを特徴とする光学部材の製造方法でもよい。
【0023】
【作用】
成形面に光学的な微細形状を有するフォトレジストを被着させた光学部材成形用金型を用いて、紫外線硬化型等の光学樹脂からなる樹脂層に前記金型の微細形状を転写する。紫外線等を照射して樹脂を硬化させた後、フォトレジストからの成形品の離型は簡単に行われ、光学部材成形用金型に樹脂が残ることもないため、金属板等に直接、微細形状を切削加工した場合に比べて金型寿命は極めて長い。
【0024】
また、フッ素系やシリコーン系のフォトレジストのパターニングには、縮小投影露光装置やレンズマスクによるフォトリソグラフィ技術を用いることができるため、切削等の機械加工では困難であるサブミクロンオーダーの微細加工を簡単かつ安価に行うことができる。
【0025】
そして、このように樹脂成形の金型コストを低減することで、高性能な光学部品を安価に製造することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は一実施の形態による光学部材成形用金型である光学金型10を示すもので、これは、金型基材11の平面または曲面状の表面(成形面)にフッ素系やシリコーン系などのフォトレジスト12を塗布し、このフォトレジスト膜に光学的な微細形状12aをパターニングしたフォトレジスト付き金型であり、この金型を用いて、後述するように光学部材を製造する。
【0028】
光学金型10は以下の工程で製造される。まず、金型基材11の表面を洗浄し、必要であれば、シラン系またはチタン系のカップリング処理を行う。次いで、フォトレジスト12を均一に塗布したのち、マスク等原版に形成されたパターンを光学的に縮小して転写する縮小投影露光装置(ステッパ)等を用いて、フォトレジスト12にマスクパターンを露光し、現像することで、微細形状12aを形成する。
【0029】
フォトレジスト12としては、フッ素系、シリコーン系のフォトレジストを単一で、あるいは共重合体として用いるのが望ましい。
【0030】
また、上記フォトレジストに、粒径1〜500nmのフィラー2を0.1〜50重量%含有させると、金型の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0031】
また、フォトレジスト12の表面粗さはRa=0.1ミクロン以下であるのが望ましい。さらに、フォトレジスト12の全体の厚みが100ミクロン以下であるとよい。
【0032】
そして、この光学金型10を用いて、例えば石英レンズ等の基体に、微細形状を有する樹脂層を一体成形することで、樹脂一体型の光学部材を製造する。具体的には、光学金型10の微細形状12aを有するフォトレジスト12上に紫外線硬化型樹脂等の光硬化型樹脂を塗布し、その樹脂層に、結晶性樹脂または光学ガラスで作られたレンズ等光学部材の基体を押しつけて、基体側から紫外線等の光を照射し、前記樹脂層を硬化させる。
【0033】
硬化後の光学金型10の離型は、成形された樹脂層からフォトレジスト12を剥がすだけであるから簡単であり、離型時に大きな力がかかって光学金型10が損傷したり、樹脂が光学金型10に残る等のトラブルもなく、従来の金属板等に微細形状を直接切削加工した場合に比べて、金型の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0034】
加えて、金型の製造工程も上記のように簡単であり、フォトリソグラフィ技術を用いることで、従来の技術では難しかったサブミクロンオーダーの微細加工も容易である。
【0035】
従って、高精細化の進んだ光学金型の低コスト化を大きく促進できる。
【0036】
以下に実施例を説明する。
【0037】
〔実施例1〕
図2に示すように、金型基材31として、例えば、円盤状の外径50mm、厚み3mmのSUS系鋼材(PD555:大同特殊鋼製)を使用した。他の金型基材としては、成形用金型用鋼として開発されているステンレス系材料のブリハードン鋼および焼入れ焼戻し鋼や日立金属(株)のHPM38,HPM77,ACD51.PSL、ウッデホルム(株)のSTAVAX,RAMAXS,ELMAX、大同特殊鋼(株)のPD555,PD742,NAK101、紳戸製鋼(株)のKTSM60,KAS440、山陽特殊製鋼(株)のQPD1,QPD5,QS630、日本高周波鋼業(株)のKSP1,U630.KSP3,ポーラースチールのM300.M310ESR,M314,M390PMやティツセン日本(株)のTHYRO−PLAST2738,2311.2312,2083等が適用可能である。
【0038】
フォトレジスト膜を構成するフォトレジスト32としては、市販の感光性シリコーンレジスト(SINR−3000:信越化学工業製)を用い、フォトリソグラフィ技術による光学パターニングを施した。
【0039】
光学パターニングの形成方法としては、図2に示す複数のレンズ41の集光作用を利用したレンズマスク40を利用し、レンズマスク40を露光時に徐々に上昇させることにより、各レンズ41に対向するフォトレジスト32の中央部から周辺部にかけての照射量を制御することで、各レンズ41に対向する半球状の部位を露光し、現像によって微細形状32aを形成した。
【0040】
詳しく説明すると、図3に示すように、フォトレジスト膜に照射される露光光は、各レンズ41によってその中央部に集光され、図4に示すように、各レンズ41に対向する部位のフォトレジスト32を半球状に露光する。そして露光中に、矢印で示すように、レンズ41を上昇させることで、露光部位を所定の大きさに拡げることができる。
【0041】
この照射原理に基づいて、図2に示したような規則的に並べた複数のレンズ41を有するレンズマスク40を用いて、金型基材31上に塗布したフォトレジスト32を露光し、現像することで微細形状32aを形成した。後述するように、フォトレジスト塗布装置としては、スピンコート塗布装置を用いた。
【0042】
以下に、フォトレジスト32の塗布方法について詳細に述べる。
【0043】
まず、フォトレジスト32を塗布する前に、レジストの塗りムラが発生しないように、金型基材31の洗浄作業を行った。洗浄方法としては、図5に示すように、金型基材31をアセトンで満たした超音波洗浄装置51に入れ、金型基材31の表面に付着している油分を除去した後、不図示のUVオゾン洗浄機(25W×3灯/岩崎電気製)によりさらに5分間洗浄を行った。
【0044】
洗浄を行った金型基材31は、図6に示すようなフォトレジスト塗布工程に移される。
【0045】
スピンコート装置52に金型基材31をセットした後、スポイトで予めエチルアルコール中にジメチルメトキシシランを0.5wt%溶解させたシランカップリング剤を約10cm3 、金型基材31上に滴下し、2,000rpmの速度で10秒間回転させ、1ミクロン程度の厚みにシランカップリング剤等のカップリング剤を均一に塗布する。
【0046】
本発明に使用するシラン系カップリング剤としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリオクチロキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、メチルジオクチロキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルオクチロキシシラン等が挙げられる。
【0047】
さらに、チタン系カップリング剤としては、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシテタネート、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラ(2.2−ジアリルオキシメチルー1−プチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、ジクミルフエニルオキシアセテートチタネート等が挙げられる。
【0048】
これらカップリング剤を主成分としたプライマーを金型基材31の表面に塗布、乾燥させることにより、フォトレジストを塗布したときに、優れた接着性をもったフォトレジスト膜を形成することができる。
【0049】
なお、カップリング剤を希釈する溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、デカリン、テトラリン等が挙げられる。
【0050】
カップリング剤を均一に金型基材31上に形成した後、感光性シリコーンレジストを約10cm3 、金型基材31上に滴下し、1,000rpmの速度で10秒間回転させ、約10ミクロン程度の厚みにフォトレジスト32を均一に塗布する。ここで、塗布する際のスピナー(スピンコート装置)の回転速度、時間等は、予め行ったフォトレジスト膜の厚みとの相関により決定される。
【0051】
スピンコート後、図7の(a)に示すように、予め100℃に設定したホットプレート53上に感光性シリコーンレジスト(フォトレジスト32)付きの金型基材31を約120秒間プリベークし、同図の(b)に示すように、マスクアライナー(MPA−600:キヤノン製)により、200mJ/cm2 でレンズマスク40を介してパターン露光を行い、現像して微細形状32aを形成する。現像工程では、まずイソプロピルアルコールに60秒、純水に30秒浸漬したあと、乾燥させ、現像を行う。
【0052】
現像後、予め250℃に設定したオーブン中に前記現像を行ったレジスト付きの金型基材31を60分間ポストベークし、フォトレジスト32を完全に硬化させた(図7の(c)参照)。
【0053】
次に、この光学金型30を用いて樹脂一体型の光学部材(レンズ)を成形する工程を説明する。ここでは、図8の(a)に示すように、石英レンズ61に紫外線硬化型(UV)樹脂の光学素子を一体成形する。
【0054】
図8の(b)に示すように、紫外線硬化型光学樹脂(樹脂層)62を光学金型30のフォトレジスト32の全面に塗布する。この際の塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、およびスリットコートなどで行う。塗布後、石英レンズ61を押しつけ、液体状の紫外線硬化型光学樹脂62を金型全面に均一に広がるようにし、紫外線ランプにより、照射量3,000mJ/cm2 を石英レンズ61側から照射し、モールド成形(プレス成形)された紫外線硬化型光学樹脂62を完全に硬化させる。
【0055】
紫外線硬化型光学樹脂62が硬化した後、光学金型30からゆっくり離型させたところ、石英レンズ61の表面にパターニングされた紫外線硬化型光学樹脂の微細形状62aからなる光学素子が綺麗に付着し、金型表面には全く前記紫外線硬化型光学樹脂の付着残さは認められなかった。
【0056】
さらに、光学金型30の成形耐久回数について測定したところ、100回以上可能であった。
【0057】
ここで、成形耐久回数とは、成形後に金型表面を目視で観察し、成形樹脂が付着していないかどうか検査するテスト項目である。
【0058】
〔実施例2〕
金型基材に無機フィラーを混合したフォトレジストを塗布し、露光・現像によってパターニングしたフォトレジスト付きの光学金型で光学部材を成形した場合を説明する。
【0059】
金型基材としては円盤状の外径50mm、厚み3mmのSUS系鋼材(PD555:大同特殊鋼製)を使用し、市販の感光性シリコーンレジスト(SINR−3000:信越化学工業製)にシリカフィラー(日産化学製)を10wt%混合した溶液を用い、前記感光性シリコーンレジストの塗布装置としては、スピンコート塗布装置を用いた。
【0060】
ここで使用するフィラーとしては、無機系フィラーと有機系フィラーに大別することができる。
【0061】
まず、無機系フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、フエライト類の酸化物系、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物系、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト等の炭酸塩系硫酸カルシウム、石膏繊維等の硫酸塩系などを用いる。
【0062】
また、有機系フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプリピレン、ポリスチレン、ポリプチレン等の樹脂粉やパルプ、各種ゴム粉などを用いる。
【0063】
次に、フォトレジストの塗布方法について、以下に詳細に述べる。
【0064】
まず、前記フォトレジストを塗布する前に、レジストの塗りムラが発生しないように、金型基材の洗浄作業を行った。洗浄方法としては、実施例1と同様に、金型基材をアセトンで満たした超音波洗浄装置中に入れ、金型基材表面に付着している油分を除去した後、UVオゾン洗浄機(25W×3灯/岩崎電気製)によりさらに5分間洗浄を行った。
【0065】
次に洗浄を行った金型基材にフォトレジストを塗布した。
【0066】
まず、スピンコート装置に金型基材をセットした後、スポイトで予めエチルアルコール中にジメチルメトキシシランを0.5wt%溶解させたシランカップリング剤を約10cm3 、金型基材上に滴下し、2,000rpmの速度で10秒間回転させ、1ミクロン程度の厚みにシランカップリング剤を均一に塗布した。
【0067】
シランカップリング剤を均一に金型基材上に形成した後、感光性シリコーンレジストを約10cm3 、金型基材上に滴下し、1,500rpmの速度で10秒間回転させ、約10ミクロン程度の厚みにフォトレジストを均一に塗布した。ここで、塗布する際のスピナーの回転速度、時間等は予め行ったフォトレジスト膜の厚みとの相関により決定される。
【0068】
スピンコート後は、予め100℃に設定したホットプレート上に前記感光性シリコーンレジスト付きの金型基材を約120秒間プリベークし、その後、マスクアライナー(MPA−600:キヤノン製)により、200mJ/cm2 でマスクを介してパターン露光を行い、現像工程に移される。現像工程ではまずイソプロピルアルコールに60秒、純水に30秒浸漬したあと、乾燥させ、現像を行う。
【0069】
現像後、予め250℃に設定したオーブン中に前記現像を行ったレジスト付き金型基材を60分間ポストベークし、前記シリコーンレジストを完全に硬化させた。
【0070】
次に、この光学金型を用いて光学部材(レンズ)を成形する工程を説明する。
【0071】
まず上記の光学金型表面に液体状の紫外線硬化型光学樹脂を全面に塗布する。塗布後、実施例1と同様に、石英レンズを押しつけ、紫外線硬化型光学樹脂を全面に均一に広がるようにし、紫外線ランプにより、照射量3,000mJ/cm2 をレンズ側から照射し、紫外線硬化型光学樹脂を完全に硬化させる。
【0072】
紫外線硬化型光学樹脂が硬化した後、光学金型からゆっくり離型させたところ、石英レンズ表面にパターニングされた紫外線硬化型光学樹脂が綺麗に付着し、金型表面には全く前記光学樹脂の付着残さは認められなかった。
【0073】
さらに、この光学金型の成形耐久回数について測定したところ、200回以上可能であった。
【0074】
このように、フィラーを混入したフォトレジストを用いることで、金型の耐久性が大幅に向上することがわかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0076】
金型の成形面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によってマスクパターンを転写、焼き付けることでサブミクロンオーダーの微細形状を有する光学部材成形用金型を簡単かつ安価に製造できる。
【0077】
また、この光学部材成形用金型は、成形面がフォトレジスト膜によって形成されているため、成形後の光学部材の樹脂層からの離型が簡単であり、離型による損傷等も少ないため、耐久性が極めて高い。
【0078】
このように製造コストが低くしかも耐久性にすぐれた精密な光学部材成形用金型を用いることで、樹脂一体型の光学部材等の高性能化と低価格化に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態による光学金型を説明する図である。
【図2】レンズの集光作用を利用したレンズマスクを説明する図である。
【図3】レンズと露光光の照射量の関係を示すグラフである。
【図4】レンズマスクによって形成される微細形状を説明する図である。
【図5】超音波洗浄装置を示す模式図である。
【図6】フォトレジスト塗布工程を説明する図である。
【図7】フォトレジストのパターニングプロセスを説明する図である。
【図8】光学部材(レンズ)を製造する工程を説明する図である。
【符号の説明】
10、30  光学金型
11、31  金型基材
12、32  フォトレジスト
12a、32a、62a  微細形状
40  レンズマスク
41  レンズ
51  超音波洗浄装置
52  スピンコート装置
60  光学部材
61  石英レンズ
62  紫外線硬化型光学樹脂

Claims (13)

  1. 光学部材を製造するための光学部材成形用金型であって、平面または曲面状の成形面を備えた金型基材と、前記成形面に被着されたフォトレジスト膜を有し、前記フォトレジスト膜に光学的な微細形状がパターニングされていることを特徴とする光学部材成形用金型。
  2. フォトレジスト膜の表面粗さがRa=0.1ミクロン以下であることを特徴とする請求項1記載の光学部材成形用金型。
  3. フォトレジスト膜の厚みが100ミクロン以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光学部材成形用金型。
  4. フォトレジスト膜が、フッ素系またはシリコーン系のフォトレジスト、またはフッ素系とシリコーン系の共重合体であるフォトレジストの膜であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の光学部材成形用金型。
  5. フォトレジスト膜が、フィラーを混入したフォトレジストの膜であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の光学部材成形用金型。
  6. フィラーの含有量が0.1〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項5記載の光学部材成形用金型。
  7. フィラーの粒径が1〜500nmの範囲であることを特徴とする請求項5または6記載の光学部材成形用金型。
  8. フォトレジスト膜を被着する前の金型基材の成形面に、シラン系またはチタン系のカップリング処理を施したことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の光学部材成形用金型。
  9. 平面または曲面状の成形面を備えた金型基材の前記成形面にフォトレジスト膜を被着させる工程と、金型基材の成形面に被着されたフォトレジスト膜をマスクを介して露光し、現像することで光学的な微細形状をパターニングする工程を有することを特徴とする光学部材成形用金型の製造方法。
  10. マスクのパターンを縮小して転写する縮小投影露光装置を用いることを特徴とする請求項9記載の光学部材成形用金型の製造方法。
  11. マスクが、複数のレンズを連結したレンズマスクであることを特徴とする請求項9記載の光学部材成形用金型の製造方法。
  12. 請求項1ないし8いずれか1項記載の光学部材成形用金型によって、微細形状をモールド成形する工程を有することを特徴とする光学部材の製造方法。
  13. 請求項1ないし8いずれか1項記載の光学部材成形用金型によって、結晶性樹脂または光学ガラスの基体に付着された樹脂層に微細形状をモールド成形することで、樹脂一体型の光学部材を製作することを特徴とする光学部材の製造方法。
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