JP2004090265A - 記録装置及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスクパターンデータを格納するメモリ容量を削減することである。
【解決手段】複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う際、複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示し、その指示された記録モードに従って、複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込み、そのマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成して、合成されたデータを記録ヘッドに転送して記録を行なわせる。
【選択図】 図5
【解決手段】複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う際、複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示し、その指示された記録モードに従って、複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込み、そのマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成して、合成されたデータを記録ヘッドに転送して記録を行なわせる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置及び記録方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドを用いて記録を行なう記録装置及び記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の記録ヘッドを往復走査して記録を行なう記録装置においては、記録画像の品位を向上させるため、記録データを特定のマスクパターンで間引きながら複数回の記録ヘッド走査で一領域内の画像を完成させるマルチパス記録が一般的に行われている。
【0003】
この場合のマスクパターンは、記録ムラやモアレ発生を防ぐため周期的な繰り返しパターンよりもランダム性の高いマスクパターンが望ましいとされている。また、記録ヘッドに実装する複数の記録素子の特性が、これらの記録素子の配列の端部と中央部で異なっていたり、或いはマルチパス記録におけるつなぎ目の部分での重なることによるつなぎスジの発生を防ぐため、記録素子の配列の端部ではマスクパターンによりその端部にある記録素子の使用頻度を小さくするなどの方法が提案されている。
【0004】
このような方法を実現するために、従来の記録装置では複数の記録素子の数に相当するマスクパターンを格納するマスクバッファメモリ(ROM等)を備え、処理時間を短縮するため、そのROM等に記憶してあるマスクパターンを予めマスクバッファメモリに展開して使用する場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、どのような記録を行なったとしてもその記録に係りなく、ROM等に記憶するマスクパターンは記録ヘッドの記録素子の数に相当する量であったため、例えば、記録ヘッドの一部分の記録素子だけを使用して記録を行なう場合であっても、その記録に用いるマスクパターンを格納するにもやはり、記録素子の数に相当する分の容量が必要になっていた。
【0006】
本発明は上記従来例とのその問題点に鑑みてなされたものであり、マスクパターンデータを格納するメモリ容量を削減することのできる記録装置及び記録方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の記録装置は以下の構成からなる。
【0008】
即ち、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示手段と、前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶手段と、前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納する第1のバッファメモリと、記録データを格納する第2のバッファメモリと、前記指示手段によって指示された記録モードに従って、前記記憶手段からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して前記第1のバッファに書き込むマスクパターン生成手段と、前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと前記第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録制御手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
【0009】
ここで、前記マスクパターン生成手段は、指示された記録モードが第1の記録モードである場合には、前記記憶手段から第1のマスクデータを読出し、第1のマスクデータをマスクパターンとしてそのまま第1のバッファメモリに書き込むようにする。
【0010】
また、前記マスクパターン生成手段は、指示された記録モードが第2の記録モードである場合には、前記複数の記録素子の内、記憶手段に格納されている第2のマスクデータに対応する記録素子の範囲を特定し、その特定された範囲外の記録素子に対応するマスクパターンのダミーデータを生成し、第1のバッファメモリにおける特定された範囲外の記録素子に対応するアドレスにマスクパターンとして生成されたダミーデータを書き込む一方、第1のバッファメモリにおける特定された範囲の記録素子に対応するアドレスにマスクパターンとして記憶手段に格納されている第2のマスクデータを読みだして書き込む。
【0011】
なお、ダミーデータは、記録ヘッドによる記録を抑止する作用をするデータ、例えば、“0”である。
【0012】
また、前記記憶手段はROMのような不揮発性メモリである。
【0013】
さらに、前記合成手段は、前記マスクパターンと前記記録データとの、例えば論理積を演算することにより合成データを生成すると良い。
【0014】
そして、前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドであることが望ましく、さらに、そのインクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えていることが望ましい。
【0015】
また他の発明によれば、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録方法であって、前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示工程と、前記指示工程において指示された記録モードに従って、前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込むマスクパターン生成工程と、前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成工程と、前記合成工程において合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録工程とを有することを特徴とする記録方法を備える。
【0016】
以上の構成により本発明は、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う際、複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示し、その指示された記録モードに従って、複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込み、そのマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成して、合成されたデータを記録ヘッドに転送して記録を行なわせる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置を例に挙げて説明する。
【0019】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0020】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0021】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0022】
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0023】
<記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施形態である記録装置1の概略構成を示す模式図である。
【0024】
図1に示されているように、ガイドシャフト2上を矢印A、B方向に往復移動するキャリッジ3には、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド4が搭載されている。そして、キャリッジ3とベルト5を介して接続されたキャリッジモータ6によりキャリッジ3を移動させながら記録ヘッド4に駆動パルスを与えることにより1走査の記録動作が行われる。
【0025】
一方、例えば、記録用紙などの記録媒体7はキャリッジ3の1走査記録動作毎に、搬送モータ8により駆動される搬送ローラ9によって矢印C方向(紙面に垂直な方向、即ち、キャリッジ移動方向とは垂直の方向)に規定量ずつ送られる。このような動作を繰り返すことにより記録用紙7の1ページ分の記録動作が完了する。
【0026】
<記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0027】
MPU10は内部バス11を介して接続されたプログラムメモリ(PROM)12に格納された制御プログラムを読出し、DRAM13の作業領域を用いて実行させる。これにより、インタフェース制御回路14からインタフェースケーブル15を介して接続されたホストコンピュータ(以下、ホスト)16より記録データを受信し、これをDRAM13の一部に設けられたプリントバッファメモリ17に格納する。
【0028】
また、DRAM13には、マスクバッファメモリ18が設けられており、PROM12に記憶されている複数のマスクデータ19の内、いずれかが書き込まれる。記録動作の際には、プリントバッファメモリ17中の記録データとマスクバッファメモリ18中のマスクパターンが記録パターン生成回路20により読み出されて論理的に合成され、記録ヘッド4へ送られる。
【0029】
MPU10は、モータ制御回路21を介してキャリッジモータ6、搬送モータ8を駆動制御することが可能であり、これらの動作を組み合わせて制御することにより記録動作を制御する。
【0030】
なお、この実施形態における記録には記録ヘッド4の全ての記録素子を用いてマルチパス記録を行なう第1の記録モードと記録ヘッド4の一部の記録素子を用いてマルチパス記録を行なう第2の記録モードがあり、MPU10はホスト16からの指示に従ってその記録モードの切り替えを制御する。
【0031】
次に以上の構成の記録装置が実行する記録モードに従ったデータマスキング処理について説明する。
【0032】
図3は記録装置1が記録ヘッド4のすべての記録素子を使用して記録を行う場合(第1の記録モード)に、マスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。ここでは説明を簡単にするため、記録ヘッド4が4aから4hまでの8つの記録素子を持ち、そのすべての記録素子を用いて記録を行う場合を示している。
【0033】
PROM12には、図3に示すように、第1の記録モードで使用するマスクデータ19Aとして8つの記録素子4a〜4hに対するマスクデータ19Aa〜19Ahが記憶されている。第1の記録モードで記録を行う場合には、マスクデータ19Aa〜19Ahをマスクバッファメモリ18の各記録素子4a〜4hに対応する領域18a〜18hに書き込む。
【0034】
図4は記録装置1が記録ヘッド4の一部分の記録素子を使用して記録を行う場合(第2の記録モード)に、マスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。ここでは記録ヘッド4の記録素子のうち4eと4fの2つの記録素子のみを用いて記録を行う場合を示している。
【0035】
PROM12には、図4に示すように、第2の記録モードで使用するマスクデータ19Bとして4eと4fの2つの記録素子に対するマスクデータ19Be〜19Bfが記憶されている。第2の記録モードで記録を行う場合には、マスクデータ19Be〜19Bfをマスクバッファメモリ18の記録素子4e〜4fに対応する領域18e〜18fに書き込む。また、マスクバッファメモリ18の記録素子4a〜4dに対応する領域18a〜18dと記録素子4g〜4hに対応する領域18g〜18hに対しては、信号が出力されないようにするため、“0”データを書き込む(図4では斜線が施された領域)。
【0036】
図5はマスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込み時のMPU10の処理内容を示したフローチャートである。
【0037】
まずステップS101では、MPU10は、記録のために用いられる記録モードに応じたマスクデータを選択する。例えば、第1の記録モードであればマスクデータ19Aを選択し、第2の記録モードであればマスクデータ19Bを選択する。
【0038】
次に、ステップS102では、記録ヘッド4の記録素子のうちどの部分の記録素子を使用するかを決定し、使用開始記録素子を変数Xに、使用記録素子数を変数Yに設定する。
【0039】
そして、ステップS102で設定した変数Xに基づき、処理はステップS103において、MPU10はマスクバッファメモリ18中の先頭から(X−1)番目までの記録素子に相当する領域をクリアする。例えば、記録モードが第2の記録モードの場合、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18a〜18dの内容がゼロクリアされる。これに対して、記録モードが第1の記録モードの場合には、図3に示したように、マスクバッファメモリ18の領域でゼロクリアされる領域はない。
【0040】
さらに、ステップS104では、PROM12に記憶されているマスクデータ19を読出して、マスクバッファメモリ18中のX番目からX+Y−1番目までの記録素子に相当する領域に書き込む。例えば、記録モードが第1の記録モードの場合、図3に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18a〜18hにマスクデータが書き込まれる。これに対して、記録モードが第2の記録モードの場合には、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18e〜18fにマスクデータが書き込まれる。
【0041】
最後に、ステップS105で、MPU10はマスクバッファメモリ18中のX+Y番目から最後の記録素子に相当する領域をクリアする。例えば、記録モードが第2の記録モードの場合、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18g〜18hの内容がゼロクリアされる。これに対して、記録モードが第1の記録モードの場合には、図3に示したように、マスクバッファメモリ18の領域でゼロクリアされる領域はない。
【0042】
以上説明したステップS101〜S105までを実行することにより、マスクバッファメモリ18には、使用するX番目からX+Y−1番目までの記録素子に相当する領域には必要なマスクパターンデータが書き込まれる。また、使用しない記録素子に相当する領域にはすべて“0”が書き込まれるため、記録動作時に記録パターン生成回路20から記録ヘッド4へ信号が出力されないようになり、X番目からX+Y−1番目までの記録素子を使用した記録動作が可能となる。
【0043】
従って以上説明した実施形態によれば、2つの記録素子4e〜4fのみを使用する第2の記録モードでは、これに対応して使用する2つ分のマスクデータ19Be〜19BfのみをPROM12に記憶しておけばよいため、PROM12のマスクデータ容量を削減することができる。
【0044】
このように、記録ヘッドの一部分の記録素子だけを使用して記録する記録モードのためには、その使用する記録素子数に対応するマスクパターンのみをROMに記憶しておけばよいので、マスクパターンを記憶するROMの容量を削減することが可能となる。
【0045】
また、プリントバッファメモリ17中の記録データとマスクバッファメモリ18のマスクパターンを読み出して論理合成し(例えば、論理積(AND)を演算し)記録パターンを生成する記録パターン生成回路20では、記録モードが第1の記録モードであるか或いは第2の記録モードであるかに係りなく、同じ論理で2つのデータを合成すれば良いので、異なる記録モードでの処理のために特別な回路を追加する必要はないという利点がある。
【0046】
なお、以上の実施形態では説明を簡単にするために8つの記録素子を有した記録ヘッドを例として説明したが本発明がこれによって限定されるものではない。例えば、その記録素子の数は128個、256個、512個など非常に多くのものであっても良い。
【0047】
さらに、カラー記録を行なうために、例えば、128個、256個、512個など数多くの記録素子を一列に配列した記録素子のアレイを、マゼンタ、イエロ、シアン、ブラックなどインクの数に対応した数だけ、記録素子の配列方向とは異なる方向に配列した構成の記録ヘッドを用いて記録を行なう記録装置にも本発明は適用できる。特に、数多くの記録素子を実装し、カラー記録を行なう記録ヘッドを用いた記録装置では、格納すべきマスクパターンデータの量も多くなるので本発明は特に効果的である。
【0048】
また、以上の実施形態では第2の記録モードで使用するマスクデータ19Be〜19Bfが第1の記録モードで使用するマスクパターン19Aa〜19Ahとは別にPROM12中に記憶されている場合を説明したが、マスクパターン19Aa〜19Ahを元に間引きや論理演算を用いて生成して使用する場合も本発明は有効である。
【0049】
またさらに、マスクデータを記憶する記憶素子としてPROM以外に、FeRAM、MRAM、EEPROMなど多くの不揮発性記憶素子が適用可能である。
【0050】
また、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0051】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0052】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0053】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0054】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0055】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0056】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0057】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0058】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、マスクパターンを格納する、例えば、ROMなどの記憶容量を削減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】記録装置が記録ヘッドのすべての記録素子を使用して記録を行う場合に、マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。
【図4】記録装置が記録ヘッドの一部分の記録素子を使用して記録を行う場合に、マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。
【図5】マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込み時のMPUの処理内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 記録装置
2 ガイドシャフト
3 キャリッジ
4 記録ヘッド
5 ベルト
6 キャリッジモータ
7 記録媒体
8 搬送モータ
9 搬送ローラ
10 MPU
11 内部バス
12 プログラムメモリ(PROM)
13 DRAM
14 インタフェース制御回路
15 インタフェースケーブル
16 ホストコンピュータ
17 プリントバッファメモリ
18 マスクバッファメモリ
19、19A、19B マスクデータ
20 記録パターン生成回路
21 モータ制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置及び記録方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドを用いて記録を行なう記録装置及び記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の記録ヘッドを往復走査して記録を行なう記録装置においては、記録画像の品位を向上させるため、記録データを特定のマスクパターンで間引きながら複数回の記録ヘッド走査で一領域内の画像を完成させるマルチパス記録が一般的に行われている。
【0003】
この場合のマスクパターンは、記録ムラやモアレ発生を防ぐため周期的な繰り返しパターンよりもランダム性の高いマスクパターンが望ましいとされている。また、記録ヘッドに実装する複数の記録素子の特性が、これらの記録素子の配列の端部と中央部で異なっていたり、或いはマルチパス記録におけるつなぎ目の部分での重なることによるつなぎスジの発生を防ぐため、記録素子の配列の端部ではマスクパターンによりその端部にある記録素子の使用頻度を小さくするなどの方法が提案されている。
【0004】
このような方法を実現するために、従来の記録装置では複数の記録素子の数に相当するマスクパターンを格納するマスクバッファメモリ(ROM等)を備え、処理時間を短縮するため、そのROM等に記憶してあるマスクパターンを予めマスクバッファメモリに展開して使用する場合が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、どのような記録を行なったとしてもその記録に係りなく、ROM等に記憶するマスクパターンは記録ヘッドの記録素子の数に相当する量であったため、例えば、記録ヘッドの一部分の記録素子だけを使用して記録を行なう場合であっても、その記録に用いるマスクパターンを格納するにもやはり、記録素子の数に相当する分の容量が必要になっていた。
【0006】
本発明は上記従来例とのその問題点に鑑みてなされたものであり、マスクパターンデータを格納するメモリ容量を削減することのできる記録装置及び記録方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の記録装置は以下の構成からなる。
【0008】
即ち、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録装置であって、前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示手段と、前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶手段と、前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納する第1のバッファメモリと、記録データを格納する第2のバッファメモリと、前記指示手段によって指示された記録モードに従って、前記記憶手段からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して前記第1のバッファに書き込むマスクパターン生成手段と、前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと前記第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録制御手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
【0009】
ここで、前記マスクパターン生成手段は、指示された記録モードが第1の記録モードである場合には、前記記憶手段から第1のマスクデータを読出し、第1のマスクデータをマスクパターンとしてそのまま第1のバッファメモリに書き込むようにする。
【0010】
また、前記マスクパターン生成手段は、指示された記録モードが第2の記録モードである場合には、前記複数の記録素子の内、記憶手段に格納されている第2のマスクデータに対応する記録素子の範囲を特定し、その特定された範囲外の記録素子に対応するマスクパターンのダミーデータを生成し、第1のバッファメモリにおける特定された範囲外の記録素子に対応するアドレスにマスクパターンとして生成されたダミーデータを書き込む一方、第1のバッファメモリにおける特定された範囲の記録素子に対応するアドレスにマスクパターンとして記憶手段に格納されている第2のマスクデータを読みだして書き込む。
【0011】
なお、ダミーデータは、記録ヘッドによる記録を抑止する作用をするデータ、例えば、“0”である。
【0012】
また、前記記憶手段はROMのような不揮発性メモリである。
【0013】
さらに、前記合成手段は、前記マスクパターンと前記記録データとの、例えば論理積を演算することにより合成データを生成すると良い。
【0014】
そして、前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドであることが望ましく、さらに、そのインクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えていることが望ましい。
【0015】
また他の発明によれば、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録方法であって、前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示工程と、前記指示工程において指示された記録モードに従って、前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込むマスクパターン生成工程と、前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成工程と、前記合成工程において合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録工程とを有することを特徴とする記録方法を備える。
【0016】
以上の構成により本発明は、複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う際、複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示し、その指示された記録モードに従って、複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込み、そのマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成して、合成されたデータを記録ヘッドに転送して記録を行なわせる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置を例に挙げて説明する。
【0019】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0020】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0021】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0022】
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0023】
<記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施形態である記録装置1の概略構成を示す模式図である。
【0024】
図1に示されているように、ガイドシャフト2上を矢印A、B方向に往復移動するキャリッジ3には、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド4が搭載されている。そして、キャリッジ3とベルト5を介して接続されたキャリッジモータ6によりキャリッジ3を移動させながら記録ヘッド4に駆動パルスを与えることにより1走査の記録動作が行われる。
【0025】
一方、例えば、記録用紙などの記録媒体7はキャリッジ3の1走査記録動作毎に、搬送モータ8により駆動される搬送ローラ9によって矢印C方向(紙面に垂直な方向、即ち、キャリッジ移動方向とは垂直の方向)に規定量ずつ送られる。このような動作を繰り返すことにより記録用紙7の1ページ分の記録動作が完了する。
【0026】
<記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0027】
MPU10は内部バス11を介して接続されたプログラムメモリ(PROM)12に格納された制御プログラムを読出し、DRAM13の作業領域を用いて実行させる。これにより、インタフェース制御回路14からインタフェースケーブル15を介して接続されたホストコンピュータ(以下、ホスト)16より記録データを受信し、これをDRAM13の一部に設けられたプリントバッファメモリ17に格納する。
【0028】
また、DRAM13には、マスクバッファメモリ18が設けられており、PROM12に記憶されている複数のマスクデータ19の内、いずれかが書き込まれる。記録動作の際には、プリントバッファメモリ17中の記録データとマスクバッファメモリ18中のマスクパターンが記録パターン生成回路20により読み出されて論理的に合成され、記録ヘッド4へ送られる。
【0029】
MPU10は、モータ制御回路21を介してキャリッジモータ6、搬送モータ8を駆動制御することが可能であり、これらの動作を組み合わせて制御することにより記録動作を制御する。
【0030】
なお、この実施形態における記録には記録ヘッド4の全ての記録素子を用いてマルチパス記録を行なう第1の記録モードと記録ヘッド4の一部の記録素子を用いてマルチパス記録を行なう第2の記録モードがあり、MPU10はホスト16からの指示に従ってその記録モードの切り替えを制御する。
【0031】
次に以上の構成の記録装置が実行する記録モードに従ったデータマスキング処理について説明する。
【0032】
図3は記録装置1が記録ヘッド4のすべての記録素子を使用して記録を行う場合(第1の記録モード)に、マスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。ここでは説明を簡単にするため、記録ヘッド4が4aから4hまでの8つの記録素子を持ち、そのすべての記録素子を用いて記録を行う場合を示している。
【0033】
PROM12には、図3に示すように、第1の記録モードで使用するマスクデータ19Aとして8つの記録素子4a〜4hに対するマスクデータ19Aa〜19Ahが記憶されている。第1の記録モードで記録を行う場合には、マスクデータ19Aa〜19Ahをマスクバッファメモリ18の各記録素子4a〜4hに対応する領域18a〜18hに書き込む。
【0034】
図4は記録装置1が記録ヘッド4の一部分の記録素子を使用して記録を行う場合(第2の記録モード)に、マスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。ここでは記録ヘッド4の記録素子のうち4eと4fの2つの記録素子のみを用いて記録を行う場合を示している。
【0035】
PROM12には、図4に示すように、第2の記録モードで使用するマスクデータ19Bとして4eと4fの2つの記録素子に対するマスクデータ19Be〜19Bfが記憶されている。第2の記録モードで記録を行う場合には、マスクデータ19Be〜19Bfをマスクバッファメモリ18の記録素子4e〜4fに対応する領域18e〜18fに書き込む。また、マスクバッファメモリ18の記録素子4a〜4dに対応する領域18a〜18dと記録素子4g〜4hに対応する領域18g〜18hに対しては、信号が出力されないようにするため、“0”データを書き込む(図4では斜線が施された領域)。
【0036】
図5はマスクバッファメモリ18へのマスクパターン書き込み時のMPU10の処理内容を示したフローチャートである。
【0037】
まずステップS101では、MPU10は、記録のために用いられる記録モードに応じたマスクデータを選択する。例えば、第1の記録モードであればマスクデータ19Aを選択し、第2の記録モードであればマスクデータ19Bを選択する。
【0038】
次に、ステップS102では、記録ヘッド4の記録素子のうちどの部分の記録素子を使用するかを決定し、使用開始記録素子を変数Xに、使用記録素子数を変数Yに設定する。
【0039】
そして、ステップS102で設定した変数Xに基づき、処理はステップS103において、MPU10はマスクバッファメモリ18中の先頭から(X−1)番目までの記録素子に相当する領域をクリアする。例えば、記録モードが第2の記録モードの場合、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18a〜18dの内容がゼロクリアされる。これに対して、記録モードが第1の記録モードの場合には、図3に示したように、マスクバッファメモリ18の領域でゼロクリアされる領域はない。
【0040】
さらに、ステップS104では、PROM12に記憶されているマスクデータ19を読出して、マスクバッファメモリ18中のX番目からX+Y−1番目までの記録素子に相当する領域に書き込む。例えば、記録モードが第1の記録モードの場合、図3に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18a〜18hにマスクデータが書き込まれる。これに対して、記録モードが第2の記録モードの場合には、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18e〜18fにマスクデータが書き込まれる。
【0041】
最後に、ステップS105で、MPU10はマスクバッファメモリ18中のX+Y番目から最後の記録素子に相当する領域をクリアする。例えば、記録モードが第2の記録モードの場合、図4に示した例では、マスクバッファメモリ18の領域18g〜18hの内容がゼロクリアされる。これに対して、記録モードが第1の記録モードの場合には、図3に示したように、マスクバッファメモリ18の領域でゼロクリアされる領域はない。
【0042】
以上説明したステップS101〜S105までを実行することにより、マスクバッファメモリ18には、使用するX番目からX+Y−1番目までの記録素子に相当する領域には必要なマスクパターンデータが書き込まれる。また、使用しない記録素子に相当する領域にはすべて“0”が書き込まれるため、記録動作時に記録パターン生成回路20から記録ヘッド4へ信号が出力されないようになり、X番目からX+Y−1番目までの記録素子を使用した記録動作が可能となる。
【0043】
従って以上説明した実施形態によれば、2つの記録素子4e〜4fのみを使用する第2の記録モードでは、これに対応して使用する2つ分のマスクデータ19Be〜19BfのみをPROM12に記憶しておけばよいため、PROM12のマスクデータ容量を削減することができる。
【0044】
このように、記録ヘッドの一部分の記録素子だけを使用して記録する記録モードのためには、その使用する記録素子数に対応するマスクパターンのみをROMに記憶しておけばよいので、マスクパターンを記憶するROMの容量を削減することが可能となる。
【0045】
また、プリントバッファメモリ17中の記録データとマスクバッファメモリ18のマスクパターンを読み出して論理合成し(例えば、論理積(AND)を演算し)記録パターンを生成する記録パターン生成回路20では、記録モードが第1の記録モードであるか或いは第2の記録モードであるかに係りなく、同じ論理で2つのデータを合成すれば良いので、異なる記録モードでの処理のために特別な回路を追加する必要はないという利点がある。
【0046】
なお、以上の実施形態では説明を簡単にするために8つの記録素子を有した記録ヘッドを例として説明したが本発明がこれによって限定されるものではない。例えば、その記録素子の数は128個、256個、512個など非常に多くのものであっても良い。
【0047】
さらに、カラー記録を行なうために、例えば、128個、256個、512個など数多くの記録素子を一列に配列した記録素子のアレイを、マゼンタ、イエロ、シアン、ブラックなどインクの数に対応した数だけ、記録素子の配列方向とは異なる方向に配列した構成の記録ヘッドを用いて記録を行なう記録装置にも本発明は適用できる。特に、数多くの記録素子を実装し、カラー記録を行なう記録ヘッドを用いた記録装置では、格納すべきマスクパターンデータの量も多くなるので本発明は特に効果的である。
【0048】
また、以上の実施形態では第2の記録モードで使用するマスクデータ19Be〜19Bfが第1の記録モードで使用するマスクパターン19Aa〜19Ahとは別にPROM12中に記憶されている場合を説明したが、マスクパターン19Aa〜19Ahを元に間引きや論理演算を用いて生成して使用する場合も本発明は有効である。
【0049】
またさらに、マスクデータを記憶する記憶素子としてPROM以外に、FeRAM、MRAM、EEPROMなど多くの不揮発性記憶素子が適用可能である。
【0050】
また、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0051】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0052】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0053】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0054】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0055】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0056】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0057】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0058】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、マスクパターンを格納する、例えば、ROMなどの記憶容量を削減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態である記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】記録装置が記録ヘッドのすべての記録素子を使用して記録を行う場合に、マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。
【図4】記録装置が記録ヘッドの一部分の記録素子を使用して記録を行う場合に、マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込みの様子を示す図である。
【図5】マスクバッファメモリへのマスクパターン書き込み時のMPUの処理内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 記録装置
2 ガイドシャフト
3 キャリッジ
4 記録ヘッド
5 ベルト
6 キャリッジモータ
7 記録媒体
8 搬送モータ
9 搬送ローラ
10 MPU
11 内部バス
12 プログラムメモリ(PROM)
13 DRAM
14 インタフェース制御回路
15 インタフェースケーブル
16 ホストコンピュータ
17 プリントバッファメモリ
18 マスクバッファメモリ
19、19A、19B マスクデータ
20 記録パターン生成回路
21 モータ制御回路
Claims (10)
- 複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示手段と、
前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶手段と、
前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納する第1のバッファメモリと、
記録データを格納する第2のバッファメモリと、
前記指示手段によって指示された記録モードに従って、前記記憶手段からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して前記第1のバッファに書き込むマスクパターン生成手段と、
前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと前記第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成手段と、
前記合成手段によって合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録制御手段とを有することを特徴とする記録装置。 - 前記マスクパターン生成手段は、
前記指示された記録モードが前記第1の記録モードである場合には、前記記憶手段から前記第1のマスクデータを読出し、前記第1のマスクデータをマスクパターンとしてそのまま前記第1のバッファメモリに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 前記マスクパターン生成手段は、
前記指示された記録モードが前記第2の記録モードである場合には、前記複数の記録素子の内、前記記憶手段に格納されている前記第2のマスクデータに対応する記録素子の範囲を特定し、
前記特定された範囲外の記録素子に対応するマスクパターンのダミーデータを生成し、
前記第1のバッファメモリにおける前記特定された範囲外の記録素子に対応するアドレスには前記マスクパターンとして前記生成されたダミーデータを書き込み、
前記第1のバッファメモリにおける前記特定された範囲の記録素子に対応するアドレスには前記マスクパターンとして前記記憶手段に格納されている前記第2のマスクデータを読みだして書き込むことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 前記ダミーデータは、前記記録ヘッドによる記録を抑止する作用をするデータであることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
- 前記ダミーデータは、“0”であることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
- 前記記憶手段はROMであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記合成手段は、前記マスクパターンと前記記録データとの論理積を演算することにより合成データを生成することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の記録装置。
- 前記インクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えていることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
- 複数の記録素子を持つ記録ヘッドを用い、マルチパス記録によって記録媒体に記録を行う記録方法であって、
前記複数の記録素子全てをマルチパス記録に用いる第1の記録モード、或いは、前記複数の記録素子の一部をマルチパス記録に用いる第2の記録モードを指示する指示工程と、
前記指示工程において指示された記録モードに従って、前記複数の記録素子全てに対応した第1のマスクデータと前記複数の記録素子の一部に対応した第2のマスクデータとを格納する記憶媒体からマスクデータを読出し、前記複数の記憶素子全てに対応するマスクパターンを生成して、前記複数の記録素子全てに対応したマスクパターンを格納できる第1のバッファに書き込むマスクパターン生成工程と、
前記第1のバッファメモリに格納されたマスクパターンと記録データを一時的に格納する第2のバッファメモリに格納された記録データとを合成する合成工程と、
前記合成工程において合成されたデータを前記記録ヘッドに転送して記録を行なわせる記録工程とを有することを特徴とする記録方法。
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Cited By (1)
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JP2006096029A (ja) * | 2004-08-30 | 2006-04-13 | Canon Inc | 記録装置および記録方法 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002251448A patent/JP2004090265A/ja not_active Withdrawn
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