JP2004090125A - ガラス基板の研磨装置で使用する研磨布の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨後のガラス基板に発生する線状の凹み欠陥の原因となる切削加工による多孔質ウレタン樹脂製の研磨布研磨面の、矩形あるいは菱形の溝加工部および穴加工部の硬部およびバリを除去する。
【解決手段】多孔質ウレタン樹脂製の研磨面に溝加工および穴加工が切削加工により施してある研磨布において、該研磨布の研磨面と多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の研磨面とを片面研磨装置あるいは両面研磨装置を用いて圧力10g/cm2以上、200g/cm2以下、回転数10rpm以上、200rpm以下の条件で共摺りすることで、研磨布研磨面の切削加工部の硬部およびバリを除去した研磨布を用いて、ガラス基板の研磨を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】多孔質ウレタン樹脂製の研磨面に溝加工および穴加工が切削加工により施してある研磨布において、該研磨布の研磨面と多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の研磨面とを片面研磨装置あるいは両面研磨装置を用いて圧力10g/cm2以上、200g/cm2以下、回転数10rpm以上、200rpm以下の条件で共摺りすることで、研磨布研磨面の切削加工部の硬部およびバリを除去した研磨布を用いて、ガラス基板の研磨を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板、シリコンウェハ等、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板の表面を片面研磨装置および両面研磨装置で研磨する際に使用する研磨布の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板等に使用する基板の製造直後の表面は、完全な平滑面でなく、多少のうねりやマイクロコルゲーション、凹凸、キズ等を有している。よって、通常、これらのガラス基板は、表面研磨して平滑な面に加工される。
【0003】
ガラス基板を回転する研磨盤の盤面に貼着した研磨布の研磨面に押接することによって研磨し平滑とする片面研磨機および両面研磨機を用いた研磨作業において、ガラス基板のサイズが大きいほど、研磨材の消費および該ガラス基板より研磨作業時に発生する研磨粉の発生が多くなり、研磨布の使用時間が長くなるほど、これら研磨粉および研磨材によって、研磨布の目詰まりが起きることが知られている。目詰まりが起きると、ガラス基板の研磨除去量が低下するため、研磨布の目詰まりの除去作業を頻繁に行わなければならない。研磨布の目詰まりの除去は、目立てと通称される目詰まりした研磨面をナイロン等のブラシによって擦る、またはダイヤモンドペレットの多数付いた加圧板を研磨面に押しつけ研磨面を削り取る方法等で行われる。
【0004】
研磨布の研磨面に目詰まりが生じた場合、この様に、例えば、目立てによって、研磨面に詰まった研磨材を掃き出し目詰まり除去を行うか、もしくは、新しい研磨布に交換せざるをえない。研磨布の目立て、または、交換作業を頻繁に行うことは、研磨作業の中断回数が多くなり、中断時間が長くなることを余儀なくされ、稼働率が非常に悪いものとなる。
【0005】
このような問題の対策として、研磨布の研磨面側に、研磨材による目詰まり防止のために、矩形あるいは菱形のパターンの溝を形成する、または研磨布に穴をあけることが行われている。また、研磨布の研磨面に何ら加工を行っていないと、研磨加工中に、研磨材が研磨布と基板の研磨面の間に万遍なく行き渡らないので、これら溝及び穴加工には、研磨材を効率よく供給させる効果がある。
【0006】
例えば、特開平6−114742号公報には、多孔質樹脂製の発泡シートである研磨布内部の発泡気泡の寸法を工夫することで研磨布の目詰まりを防止する方法が開示されている。
【0007】
更に、特開平8−197434号公報には、研磨布の研磨面の溝を切削加工でなく加熱プレスにてエンボス成形することで、研磨布の研磨面よりのダスト発生を抑制すると共に研磨布の研磨面の目詰まりを防止する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
研磨作業による研磨布の研磨面の目詰まりを抑制するため、研磨面に矩形あるいは菱形のパターンの溝を形成すること、および穴をあけることが行われているが、多孔質ウレタン性の研磨布に対して切削機械による切削加工を施すと、切削時の熱による研磨布の溶融、および切削具により押し潰されることにより、掘った溝の端部に硬部を生じ、また切削加工によりバリが発生する。
【0009】
通常、多孔質ウレタン製の研磨布は、多孔質ウレタン樹脂の発泡体ブロックから、厚み、1.5mm〜3.0mm程度にスライスすることで製造され、更に、研磨布の研磨面に、目詰まり防止のため、切削加工により矩形、菱形などのパターンの溝が形成され、または穴があけられる。多孔質ウレタン樹脂からなる発泡体である研磨布の研磨面に、このような溝または穴を切削加工により施すと、研磨布が切削時の熱により溶融する、または切削具に押し潰されるため、切削部に硬部およびバリを生じる。このような硬部およびバリは、ガラス面を局部的に擦るため、ガラス基板の研磨した側の表面に局部的に研磨された跡としての線状の凹みを発生させる。
【0010】
ガラス基板の線状の凹みが発生すると、該線状の凹みのあるガラス基板を用い液晶セルを製作した場合、液晶セルに表示ムラを生じるために、高精度の液晶ディスプレイ用基板として使用できないという問題があった。
【0011】
更に、研磨布研磨面のバリは、研磨中にガラス基板の研磨面に線状の凹みを発生させるのみでなく、研磨中に脱落してダストとなり、研磨対象であるガラス基板の表面に付着し、後工程である洗浄工程を汚染させる、また、研磨後の研磨面の目立て工程に用いられるブラシ上に付着して、ブラシを汚染させるという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、研磨布研磨面の切削部の硬部およびバリを除去するために、より効率的で簡単な手段を検討するため、ブラシによる除去を試みたが、硬部またはバリが一旦取れてダストとなりブラシに付着すると非常に取れにくく、取れたとしても研磨布に再付着することが判った。また、研磨布より堅いもので研磨面を擦ると、堅いものの表面が平滑な場合は、線状の凹みの原因となる研磨布の研磨面の硬部やバリが取れない、堅いものの表面が粗い場合は、研磨面が減ってしまう。研磨布より柔らかいもので研磨面を擦ると、研磨面が研磨により生じた研磨粉により目詰まりしてしまうことが判った。
【0013】
本発明者は、更に、検討を続けた結果、研磨布研磨面の硬部およびバリを除去するには、研磨布と同素材である多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布で共摺りすることがより適切な手段であることが判った。即ち、研磨は、多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の研磨面に開いた細孔によって、例えば、酸化セリウムなどの微粉からなる研磨材が保持され、保持された研磨材が研磨面に押厚され摺動されることによって行う。よって、共摺りを行うと、研磨面の硬部およびバリが、容易に相手側の研磨面の細孔に引っかかることによって除去される。共摺り時は、研磨布は予め水を含んだ状態の方が摺動性がよく、酸化セリウム等を懸濁させスラリーとした研磨液を供給した方が、研磨布切削部の硬部やバリが取れやすい。
【0014】
また、同素材の多孔質ポリウレタン樹脂からなる研磨布を用いて、研磨面同士を共摺りすることにより、研磨面より硬部およびバリが除去され、共摺りを行った研磨布を用いれば、研磨後のガラス基板に線状の凹みが発生しない。
【0015】
更に、研磨面の硬部およびバリが予め研磨布より除去されているので、ガラス基板の研磨時に、研磨面より硬部およびバリがとれたことによるダストが発生せず、研磨後の基板にダストの付着がないことが判った。
【0016】
本発明は、ガラス基板を研磨盤と定盤とで挟持摺動させてガラス基板表面を研磨する片面または両面研磨装置に用いる研磨布であって、切削加工で研磨面に溝加工および/または穴加工を施した多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の加工方法において、前記研磨布を研磨盤と定盤とに貼着して、研磨面同士を圧力10g/cm2以上、200g/cm2以下、研磨盤の回転数10rpm以上、200rpm以下の研磨条件で共摺りすることを特徴とする多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の加工方法である。
【0017】
更に、本発明は、加工対象である研磨布が、研磨布を貫通した直径1mm以上、5mm以下の穴を2mm以上、10mm以下のピッチで全面にあけてなるおよび研磨面に複数の溝加工をしてなる研磨布であることを特徴とする上記の多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の加工方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
共摺りする研磨布は、片方が切削加工で研磨面に溝加工、穴加工をした研磨布であっても、両方が切削加工で研磨面に溝加工、穴加工を施した研磨布であってもよいが、本発明の目的は、研磨面の切削加工部の硬部およびバリを除去することであるから、少なくとも、どちらか一方は、研磨面に溝加工および穴加工等の切削加工を施してある必要がある。
【0019】
また、片面研磨装置あるいは両面研磨装置で、共摺り後に研磨盤により押着した研磨布同士を離して、研磨布を研磨盤に付けたままで洗えば、研磨面上の硬部が除去された残差およびバリが除去されたダストを、容易に洗い流し取り除くことができる。
【0020】
また、研磨面の共摺り手段は、研磨作業に用いる片面研磨装置および両面研磨装置を用いることができるが、研磨面が共摺りできれば、他の装置を使っても構わない。しかしながら、ガラス基板の研磨工程で使用する片面研磨装置あるいは両面研磨装置により研磨布の共摺りを行えば、研磨作業の前準備作業として研磨布の共摺り作業を行うことができ、作業性がよい。その際、研磨工程においては、別の素材または別個に製造した研磨布を使うより、硬部およびバリを除去したい研磨布と同じウレタン樹脂製の研磨布を使うことが入手の手間が省け簡単である。
【0021】
共摺り時の条件には、圧力、研磨盤の回転数、共摺り時間等があるが、共摺り時の条件は研磨布の厚み、硬度、研磨面加工の状態に影響される。
【0022】
研磨布の共摺り時の圧力は10g/cm2以上、200g/cm2以下で研磨が可能である。研磨布の厚み、硬度、表面加工に影響されるが、より好ましい圧力は10g/cm2以上、100g/cm2以下である。10g/cm2以下では、研磨面の硬部やバリが取れない。また、200g/cm2以上で研磨を行うと研磨面がすぐに減ってしまう、研磨面の減りを考えると100g/cm2以下が適当である。
【0023】
共摺り時の研磨盤の回転数は10rpm以上、200rpm以下で共摺りが可能である。10rpm以下では研磨面の伴う硬部、およびバリを除去するのに時間がかかり作業性が良くない。また200rpm以上で共摺りを行うと研磨面がすぐに減ってしまい、研磨面の減りを考えると200rpm以下が適当である。研磨布1枚あたりの共摺り時間については、あまり長いと作業効率が悪くなるので好ましくない。
【0024】
本発明の共摺りによる研磨布の加工方法には、ウレタン樹脂製で研磨面に溝加工および/または穴加工を施した多孔質の研磨布を用いるが、本発明の研磨布の加工方法に用いるのに、より好ましい研磨布は、直径1mm以上、5mm以下の穴を2mm以上、10mm以下のピッチで全面にあけてなる研磨布である。
【0025】
研磨布にあける穴径が1mmより小さいと、目詰まり防止効果が低下し、5mmより大きいと研磨表面積の減少のため研磨能力が低下する。穴ピッチが2mmより小さいと研磨表面積の減少のため研磨能力が低下し、10mmより大きいと目詰まりの防止効果が低下する。
【0026】
前記貫通穴の加工方法は、研磨布全面の穴加工を一度に行え効率的であるためにパンチング加工が好ましい。パンチング加工を研磨面側から行うと、研磨布が柔らかいために、刃のサイズより小さめの穴となるため、刃先を研磨布から抜いた際、穴の周囲が盛り上がった硬部を生じる。また、複数の溝を研磨面に形成すると、研磨布の目詰まりが抑制されるが、切削加工により、溝を形成した際に、溝の端部に盛り上がった硬部を生じる。これら硬部の除去のために、穴あけおよび溝加工後に、研磨面の共摺りを行うことが好ましい。
【0027】
なお、溝加工おける溝の幅は2mm以上、5mm以下、溝の深さは、0.5mm以上であることが好ましい。溝の幅が2mmより小さく、且つ溝の深さが0.5mmより小さいと、研磨する際に、研磨布全面に充分に行き渡るように研磨液を供給し難くなる。溝の幅が、5mmより大きいと、研磨布表面積の減少のため研磨能力が低下する。また、溝の本数が多いほど、研磨布の目詰まりが抑制される、しかしながら、溝の間隔が狭くなりすぎると、研磨布表面積の減少のため、研磨能力が低下する。
【0028】
また、溝の間隔を狭くし、本数を多くすると硬部、バリが多く発生する。よって、本発明の研磨布の共摺りによる加工方法は、溝の間隔を狭くし、本数を多くした研磨布の硬部バリの除去に対し、特に有効である。
【0029】
【実施例】
(共摺り方法)
図1は、共摺りに使用する研磨装置の主要部の側面図である。オスカー式片面研磨装置を使用して、研磨布1、1’の共摺りをする場合、図1に示すように、自転軸3を中心に回転可能な加圧定盤2の下面に、両面粘着シート4’で多孔質ウレタン樹脂製の研磨布1’を貼り付け、次いで、回転駆動軸6を中心に回転可能な研磨盤5に両面粘着シート4で多孔質ウレタン樹脂製の研磨布1を貼り付けた。研磨盤5を回転駆動軸6により回転させつつ、研磨液を供給しながら、加圧定盤2で加圧し、研磨布1に研磨布1’を押しつけることで共摺りを行う。
(研磨布の加工状態)
図2は、溝加工および穴加工を施した研磨布の研磨面の部分拡大平面図である。図2に示す様に、研磨布1の研磨面には、切削加工にて格子状の溝7が、パンチング加工にて穴8が切削加工にて設けられている。
【0030】
図3は、図2のA−A’における研磨布の部分拡大断面図を示す。研磨布1の研磨面の溝加工部7および穴加工部8にはバリ9および硬部10がある。
(研磨方法)
図4は、片面研磨装置の主要部の側面図である。ガラス基板Gを片面研磨する際は、上側に加圧定盤2を配し、研磨対象であるガラス基板Gを挟み込んだ下側の研磨盤5を回転させることによって研磨する。詳しくは、加圧定盤2の下面に両面粘着シート4’でバックパッド11と通称する、多孔質ウレタン樹脂よりなる発泡シートを貼り付け、更に、バックパッド11の下面側にガラス基板Gの非研磨面側を密着固定する。ガラス基板Gのバックパッド11への固定は、バックパッド11に水を含ませ、図示しない加圧ローラ等を用い、ガラス基板Gを密着させると、水の表面張力およびバックパッド11の粘性で、ガラス基板Gがバックパッド11に固定する。自転軸3を中心に回転可能な加圧定盤2を加圧し、酸化セリウムの微粉を水に懸濁させてスラリーとした研磨液を供給しながら、バックパッド11に固定したガラス基板5の下面側である研磨面を、回転駆動軸6中心に回転する研磨盤5に両面粘着シート4で貼り付けた研磨布1に、加圧定盤2により、加圧し押しつけることで表面を研磨する。
【0031】
(線状の凹みの評価)
研磨後のガラス基板Gについて、線状の凹みをローテーション検査法と通称する下記の方法で評価した。図5が、ローテーション検査法の概念図である。
【0032】
研磨後のガラス基板Gをスクリーン12と平行に立て、該ガラス基板Gの正面から水銀ランプ13によりガラス基板Gの研磨面を照射し、その透過光を該ガラス基板Gの後方に垂直に配置されたスクリーン12に投影し、ガラス基板Gの表面の研磨状況、即ち、線状の凹み発生状況を透過像で観察する。ガラス基板Gを垂直に立てたまま、垂直軸の周りを徐々に回転してゆき、該スクリーン12に線状の凹みが観察されなくなった時の、該ガラス基板Gと、光源13から照射した光線の光軸とのなす角度(傾斜角と呼ぶ)aを測定した。傾斜角が小さいものほど線状の凹みの強度が小さい。
(実施例1〜3、比較例1)
表1に示すように、研磨面に溝加工7および穴加工8が施してある、共摺り時間の違う3種の研磨布1(実施例1〜3)、同様の加工が施されているが、研磨面の共摺りを行っていない研磨布1(比較例)を使用し片面研磨装置でガラス基板Gの研磨を行い、研磨後のガラス基板Gの、線状の凹みの発生状況について評価した。
【0033】
用いた研磨布1は、共に多孔質ウレタン樹脂製で厚み2mmである。尚、研磨布1の研磨面の穴加工8は穴径3mm、ピッチ5mmであり、溝加工7は35mm角の格子状、溝幅は2mmである。
【0034】
図1に示すように、研磨布1、1’の共摺りは、ガラス基板Gの研磨に用いる片面研磨機を用い、上側の加圧定盤2および下側の研磨盤5共に、前述の溝加工7および穴加工8がしてある研磨布1、1’を、両面粘着シート4、4’で貼着し、上側の研磨布1’の下面を、下側の研磨布1の上面に押接しながら、研磨材である酸化セリウムの微粉を懸濁させスラリーとした研磨液を供給しつつ、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間各々100秒(実施例1)、200秒(実施例2)、300秒(実施例3)の研磨条件で共摺りした。
【0035】
次いで、これらの研磨布1を用いて、板厚1.1mm、サイズ、300mm×400mmの、フロート法により製造されたソーダライムガラスからなるガラス基板Gを、図4に示す片面研磨機で、前述の研磨方法により、研磨材である酸化セリウムの微粉を水に懸濁させスラリーとした研磨液を供給しながら、研磨圧100g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、研磨時間200秒で研磨した。
【0036】
研磨後の基板Gの、線状の凹みの強度評価を、前述のローテーション検査法で行った。
【0037】
表1に示した実施例1は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間100秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板Gを研磨し、線状の凹み強度を図5に示したローテーション検査法で評価したものである。比較例の研磨面の共摺りを行っていない研磨布1で研磨したガラス基板Gの線状の凹みが角度35°で見えるのに比べ、実施例1のガラス基板Gは角度16°まで線状の凹みが見えず、線状の凹みの強度が小さくなっていた。
【0038】
実施例2は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間200秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板Gを研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査したものである。線状の凹みは角度12°まで見えず、実施例1に比較し、更に、線状の凹みの強度が小さくなっていた。
【0039】
実施例3は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間300秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板G研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査したものである。線状の凹みは全く認められなかった。
【0040】
比較例は、研磨面を共摺りしていない研磨布1を用い、前述のガラス基板を研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査した。線状の凹みは角度35°で見え、高精度の液晶ディスプレイ用基板として用いることができない。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明の研磨布研磨面の共摺りによる研磨布の加工方法により、研磨時の研磨材等による研磨布の研磨面の目詰まり防止のために、研磨布研磨面の、切削具を用いて加工した際の溝加工部および穴加工部の硬部およびバリが、ガラス基板の研磨作業前に除去され、該硬部およびバリが原因で生じる研磨後のガラス基板の線状の凹みがなくなる。線状の凹みがなくなることで高品質の液晶ディスプレイ用基板が製造できる。
【0043】
更に、予め研磨面同士の共摺りにより研磨布の研磨面より硬部およびバリを除去することにより、基板の研磨中に研磨布の研磨面より硬部およびバリが取れた残差が研磨後の基板に付着することによる研磨工程の後工程である洗浄工程の汚染、および研磨布の目立て時に目立てを行うブラシに付着しブラシを汚染させることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における共摺りに使用する研磨装置の主要部の側面図である。
【図2】本発明の実施例における溝加工および穴加工を施した研磨布の研磨面の部分拡大平面図である。
【図3】図2においてA−A’で示される部分の断面図である。
【図4】本発明の実施例における片面研磨装置の主要部の側面図である。
【図5】線状の凹みの強度の測定方法であるローテーション検査法の概念図である。
【符号の説明】
1、1’ 研磨布
2 加圧定盤
5 研磨盤
8 穴加工部
9 溝加工部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板、シリコンウェハ等、特に液晶ディスプレイ用ガラス基板の表面を片面研磨装置および両面研磨装置で研磨する際に使用する研磨布の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板等に使用する基板の製造直後の表面は、完全な平滑面でなく、多少のうねりやマイクロコルゲーション、凹凸、キズ等を有している。よって、通常、これらのガラス基板は、表面研磨して平滑な面に加工される。
【0003】
ガラス基板を回転する研磨盤の盤面に貼着した研磨布の研磨面に押接することによって研磨し平滑とする片面研磨機および両面研磨機を用いた研磨作業において、ガラス基板のサイズが大きいほど、研磨材の消費および該ガラス基板より研磨作業時に発生する研磨粉の発生が多くなり、研磨布の使用時間が長くなるほど、これら研磨粉および研磨材によって、研磨布の目詰まりが起きることが知られている。目詰まりが起きると、ガラス基板の研磨除去量が低下するため、研磨布の目詰まりの除去作業を頻繁に行わなければならない。研磨布の目詰まりの除去は、目立てと通称される目詰まりした研磨面をナイロン等のブラシによって擦る、またはダイヤモンドペレットの多数付いた加圧板を研磨面に押しつけ研磨面を削り取る方法等で行われる。
【0004】
研磨布の研磨面に目詰まりが生じた場合、この様に、例えば、目立てによって、研磨面に詰まった研磨材を掃き出し目詰まり除去を行うか、もしくは、新しい研磨布に交換せざるをえない。研磨布の目立て、または、交換作業を頻繁に行うことは、研磨作業の中断回数が多くなり、中断時間が長くなることを余儀なくされ、稼働率が非常に悪いものとなる。
【0005】
このような問題の対策として、研磨布の研磨面側に、研磨材による目詰まり防止のために、矩形あるいは菱形のパターンの溝を形成する、または研磨布に穴をあけることが行われている。また、研磨布の研磨面に何ら加工を行っていないと、研磨加工中に、研磨材が研磨布と基板の研磨面の間に万遍なく行き渡らないので、これら溝及び穴加工には、研磨材を効率よく供給させる効果がある。
【0006】
例えば、特開平6−114742号公報には、多孔質樹脂製の発泡シートである研磨布内部の発泡気泡の寸法を工夫することで研磨布の目詰まりを防止する方法が開示されている。
【0007】
更に、特開平8−197434号公報には、研磨布の研磨面の溝を切削加工でなく加熱プレスにてエンボス成形することで、研磨布の研磨面よりのダスト発生を抑制すると共に研磨布の研磨面の目詰まりを防止する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
研磨作業による研磨布の研磨面の目詰まりを抑制するため、研磨面に矩形あるいは菱形のパターンの溝を形成すること、および穴をあけることが行われているが、多孔質ウレタン性の研磨布に対して切削機械による切削加工を施すと、切削時の熱による研磨布の溶融、および切削具により押し潰されることにより、掘った溝の端部に硬部を生じ、また切削加工によりバリが発生する。
【0009】
通常、多孔質ウレタン製の研磨布は、多孔質ウレタン樹脂の発泡体ブロックから、厚み、1.5mm〜3.0mm程度にスライスすることで製造され、更に、研磨布の研磨面に、目詰まり防止のため、切削加工により矩形、菱形などのパターンの溝が形成され、または穴があけられる。多孔質ウレタン樹脂からなる発泡体である研磨布の研磨面に、このような溝または穴を切削加工により施すと、研磨布が切削時の熱により溶融する、または切削具に押し潰されるため、切削部に硬部およびバリを生じる。このような硬部およびバリは、ガラス面を局部的に擦るため、ガラス基板の研磨した側の表面に局部的に研磨された跡としての線状の凹みを発生させる。
【0010】
ガラス基板の線状の凹みが発生すると、該線状の凹みのあるガラス基板を用い液晶セルを製作した場合、液晶セルに表示ムラを生じるために、高精度の液晶ディスプレイ用基板として使用できないという問題があった。
【0011】
更に、研磨布研磨面のバリは、研磨中にガラス基板の研磨面に線状の凹みを発生させるのみでなく、研磨中に脱落してダストとなり、研磨対象であるガラス基板の表面に付着し、後工程である洗浄工程を汚染させる、また、研磨後の研磨面の目立て工程に用いられるブラシ上に付着して、ブラシを汚染させるという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、研磨布研磨面の切削部の硬部およびバリを除去するために、より効率的で簡単な手段を検討するため、ブラシによる除去を試みたが、硬部またはバリが一旦取れてダストとなりブラシに付着すると非常に取れにくく、取れたとしても研磨布に再付着することが判った。また、研磨布より堅いもので研磨面を擦ると、堅いものの表面が平滑な場合は、線状の凹みの原因となる研磨布の研磨面の硬部やバリが取れない、堅いものの表面が粗い場合は、研磨面が減ってしまう。研磨布より柔らかいもので研磨面を擦ると、研磨面が研磨により生じた研磨粉により目詰まりしてしまうことが判った。
【0013】
本発明者は、更に、検討を続けた結果、研磨布研磨面の硬部およびバリを除去するには、研磨布と同素材である多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布で共摺りすることがより適切な手段であることが判った。即ち、研磨は、多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の研磨面に開いた細孔によって、例えば、酸化セリウムなどの微粉からなる研磨材が保持され、保持された研磨材が研磨面に押厚され摺動されることによって行う。よって、共摺りを行うと、研磨面の硬部およびバリが、容易に相手側の研磨面の細孔に引っかかることによって除去される。共摺り時は、研磨布は予め水を含んだ状態の方が摺動性がよく、酸化セリウム等を懸濁させスラリーとした研磨液を供給した方が、研磨布切削部の硬部やバリが取れやすい。
【0014】
また、同素材の多孔質ポリウレタン樹脂からなる研磨布を用いて、研磨面同士を共摺りすることにより、研磨面より硬部およびバリが除去され、共摺りを行った研磨布を用いれば、研磨後のガラス基板に線状の凹みが発生しない。
【0015】
更に、研磨面の硬部およびバリが予め研磨布より除去されているので、ガラス基板の研磨時に、研磨面より硬部およびバリがとれたことによるダストが発生せず、研磨後の基板にダストの付着がないことが判った。
【0016】
本発明は、ガラス基板を研磨盤と定盤とで挟持摺動させてガラス基板表面を研磨する片面または両面研磨装置に用いる研磨布であって、切削加工で研磨面に溝加工および/または穴加工を施した多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の加工方法において、前記研磨布を研磨盤と定盤とに貼着して、研磨面同士を圧力10g/cm2以上、200g/cm2以下、研磨盤の回転数10rpm以上、200rpm以下の研磨条件で共摺りすることを特徴とする多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の加工方法である。
【0017】
更に、本発明は、加工対象である研磨布が、研磨布を貫通した直径1mm以上、5mm以下の穴を2mm以上、10mm以下のピッチで全面にあけてなるおよび研磨面に複数の溝加工をしてなる研磨布であることを特徴とする上記の多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の加工方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
共摺りする研磨布は、片方が切削加工で研磨面に溝加工、穴加工をした研磨布であっても、両方が切削加工で研磨面に溝加工、穴加工を施した研磨布であってもよいが、本発明の目的は、研磨面の切削加工部の硬部およびバリを除去することであるから、少なくとも、どちらか一方は、研磨面に溝加工および穴加工等の切削加工を施してある必要がある。
【0019】
また、片面研磨装置あるいは両面研磨装置で、共摺り後に研磨盤により押着した研磨布同士を離して、研磨布を研磨盤に付けたままで洗えば、研磨面上の硬部が除去された残差およびバリが除去されたダストを、容易に洗い流し取り除くことができる。
【0020】
また、研磨面の共摺り手段は、研磨作業に用いる片面研磨装置および両面研磨装置を用いることができるが、研磨面が共摺りできれば、他の装置を使っても構わない。しかしながら、ガラス基板の研磨工程で使用する片面研磨装置あるいは両面研磨装置により研磨布の共摺りを行えば、研磨作業の前準備作業として研磨布の共摺り作業を行うことができ、作業性がよい。その際、研磨工程においては、別の素材または別個に製造した研磨布を使うより、硬部およびバリを除去したい研磨布と同じウレタン樹脂製の研磨布を使うことが入手の手間が省け簡単である。
【0021】
共摺り時の条件には、圧力、研磨盤の回転数、共摺り時間等があるが、共摺り時の条件は研磨布の厚み、硬度、研磨面加工の状態に影響される。
【0022】
研磨布の共摺り時の圧力は10g/cm2以上、200g/cm2以下で研磨が可能である。研磨布の厚み、硬度、表面加工に影響されるが、より好ましい圧力は10g/cm2以上、100g/cm2以下である。10g/cm2以下では、研磨面の硬部やバリが取れない。また、200g/cm2以上で研磨を行うと研磨面がすぐに減ってしまう、研磨面の減りを考えると100g/cm2以下が適当である。
【0023】
共摺り時の研磨盤の回転数は10rpm以上、200rpm以下で共摺りが可能である。10rpm以下では研磨面の伴う硬部、およびバリを除去するのに時間がかかり作業性が良くない。また200rpm以上で共摺りを行うと研磨面がすぐに減ってしまい、研磨面の減りを考えると200rpm以下が適当である。研磨布1枚あたりの共摺り時間については、あまり長いと作業効率が悪くなるので好ましくない。
【0024】
本発明の共摺りによる研磨布の加工方法には、ウレタン樹脂製で研磨面に溝加工および/または穴加工を施した多孔質の研磨布を用いるが、本発明の研磨布の加工方法に用いるのに、より好ましい研磨布は、直径1mm以上、5mm以下の穴を2mm以上、10mm以下のピッチで全面にあけてなる研磨布である。
【0025】
研磨布にあける穴径が1mmより小さいと、目詰まり防止効果が低下し、5mmより大きいと研磨表面積の減少のため研磨能力が低下する。穴ピッチが2mmより小さいと研磨表面積の減少のため研磨能力が低下し、10mmより大きいと目詰まりの防止効果が低下する。
【0026】
前記貫通穴の加工方法は、研磨布全面の穴加工を一度に行え効率的であるためにパンチング加工が好ましい。パンチング加工を研磨面側から行うと、研磨布が柔らかいために、刃のサイズより小さめの穴となるため、刃先を研磨布から抜いた際、穴の周囲が盛り上がった硬部を生じる。また、複数の溝を研磨面に形成すると、研磨布の目詰まりが抑制されるが、切削加工により、溝を形成した際に、溝の端部に盛り上がった硬部を生じる。これら硬部の除去のために、穴あけおよび溝加工後に、研磨面の共摺りを行うことが好ましい。
【0027】
なお、溝加工おける溝の幅は2mm以上、5mm以下、溝の深さは、0.5mm以上であることが好ましい。溝の幅が2mmより小さく、且つ溝の深さが0.5mmより小さいと、研磨する際に、研磨布全面に充分に行き渡るように研磨液を供給し難くなる。溝の幅が、5mmより大きいと、研磨布表面積の減少のため研磨能力が低下する。また、溝の本数が多いほど、研磨布の目詰まりが抑制される、しかしながら、溝の間隔が狭くなりすぎると、研磨布表面積の減少のため、研磨能力が低下する。
【0028】
また、溝の間隔を狭くし、本数を多くすると硬部、バリが多く発生する。よって、本発明の研磨布の共摺りによる加工方法は、溝の間隔を狭くし、本数を多くした研磨布の硬部バリの除去に対し、特に有効である。
【0029】
【実施例】
(共摺り方法)
図1は、共摺りに使用する研磨装置の主要部の側面図である。オスカー式片面研磨装置を使用して、研磨布1、1’の共摺りをする場合、図1に示すように、自転軸3を中心に回転可能な加圧定盤2の下面に、両面粘着シート4’で多孔質ウレタン樹脂製の研磨布1’を貼り付け、次いで、回転駆動軸6を中心に回転可能な研磨盤5に両面粘着シート4で多孔質ウレタン樹脂製の研磨布1を貼り付けた。研磨盤5を回転駆動軸6により回転させつつ、研磨液を供給しながら、加圧定盤2で加圧し、研磨布1に研磨布1’を押しつけることで共摺りを行う。
(研磨布の加工状態)
図2は、溝加工および穴加工を施した研磨布の研磨面の部分拡大平面図である。図2に示す様に、研磨布1の研磨面には、切削加工にて格子状の溝7が、パンチング加工にて穴8が切削加工にて設けられている。
【0030】
図3は、図2のA−A’における研磨布の部分拡大断面図を示す。研磨布1の研磨面の溝加工部7および穴加工部8にはバリ9および硬部10がある。
(研磨方法)
図4は、片面研磨装置の主要部の側面図である。ガラス基板Gを片面研磨する際は、上側に加圧定盤2を配し、研磨対象であるガラス基板Gを挟み込んだ下側の研磨盤5を回転させることによって研磨する。詳しくは、加圧定盤2の下面に両面粘着シート4’でバックパッド11と通称する、多孔質ウレタン樹脂よりなる発泡シートを貼り付け、更に、バックパッド11の下面側にガラス基板Gの非研磨面側を密着固定する。ガラス基板Gのバックパッド11への固定は、バックパッド11に水を含ませ、図示しない加圧ローラ等を用い、ガラス基板Gを密着させると、水の表面張力およびバックパッド11の粘性で、ガラス基板Gがバックパッド11に固定する。自転軸3を中心に回転可能な加圧定盤2を加圧し、酸化セリウムの微粉を水に懸濁させてスラリーとした研磨液を供給しながら、バックパッド11に固定したガラス基板5の下面側である研磨面を、回転駆動軸6中心に回転する研磨盤5に両面粘着シート4で貼り付けた研磨布1に、加圧定盤2により、加圧し押しつけることで表面を研磨する。
【0031】
(線状の凹みの評価)
研磨後のガラス基板Gについて、線状の凹みをローテーション検査法と通称する下記の方法で評価した。図5が、ローテーション検査法の概念図である。
【0032】
研磨後のガラス基板Gをスクリーン12と平行に立て、該ガラス基板Gの正面から水銀ランプ13によりガラス基板Gの研磨面を照射し、その透過光を該ガラス基板Gの後方に垂直に配置されたスクリーン12に投影し、ガラス基板Gの表面の研磨状況、即ち、線状の凹み発生状況を透過像で観察する。ガラス基板Gを垂直に立てたまま、垂直軸の周りを徐々に回転してゆき、該スクリーン12に線状の凹みが観察されなくなった時の、該ガラス基板Gと、光源13から照射した光線の光軸とのなす角度(傾斜角と呼ぶ)aを測定した。傾斜角が小さいものほど線状の凹みの強度が小さい。
(実施例1〜3、比較例1)
表1に示すように、研磨面に溝加工7および穴加工8が施してある、共摺り時間の違う3種の研磨布1(実施例1〜3)、同様の加工が施されているが、研磨面の共摺りを行っていない研磨布1(比較例)を使用し片面研磨装置でガラス基板Gの研磨を行い、研磨後のガラス基板Gの、線状の凹みの発生状況について評価した。
【0033】
用いた研磨布1は、共に多孔質ウレタン樹脂製で厚み2mmである。尚、研磨布1の研磨面の穴加工8は穴径3mm、ピッチ5mmであり、溝加工7は35mm角の格子状、溝幅は2mmである。
【0034】
図1に示すように、研磨布1、1’の共摺りは、ガラス基板Gの研磨に用いる片面研磨機を用い、上側の加圧定盤2および下側の研磨盤5共に、前述の溝加工7および穴加工8がしてある研磨布1、1’を、両面粘着シート4、4’で貼着し、上側の研磨布1’の下面を、下側の研磨布1の上面に押接しながら、研磨材である酸化セリウムの微粉を懸濁させスラリーとした研磨液を供給しつつ、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間各々100秒(実施例1)、200秒(実施例2)、300秒(実施例3)の研磨条件で共摺りした。
【0035】
次いで、これらの研磨布1を用いて、板厚1.1mm、サイズ、300mm×400mmの、フロート法により製造されたソーダライムガラスからなるガラス基板Gを、図4に示す片面研磨機で、前述の研磨方法により、研磨材である酸化セリウムの微粉を水に懸濁させスラリーとした研磨液を供給しながら、研磨圧100g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、研磨時間200秒で研磨した。
【0036】
研磨後の基板Gの、線状の凹みの強度評価を、前述のローテーション検査法で行った。
【0037】
表1に示した実施例1は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間100秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板Gを研磨し、線状の凹み強度を図5に示したローテーション検査法で評価したものである。比較例の研磨面の共摺りを行っていない研磨布1で研磨したガラス基板Gの線状の凹みが角度35°で見えるのに比べ、実施例1のガラス基板Gは角度16°まで線状の凹みが見えず、線状の凹みの強度が小さくなっていた。
【0038】
実施例2は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間200秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板Gを研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査したものである。線状の凹みは角度12°まで見えず、実施例1に比較し、更に、線状の凹みの強度が小さくなっていた。
【0039】
実施例3は、圧力50g/cm2、研磨盤の回転数100rpm、共摺り時間300秒の条件で研磨面を共摺りした研磨布1を用い、前述のガラス基板G研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査したものである。線状の凹みは全く認められなかった。
【0040】
比較例は、研磨面を共摺りしていない研磨布1を用い、前述のガラス基板を研磨し、線状の凹みをローテーション検査法で検査した。線状の凹みは角度35°で見え、高精度の液晶ディスプレイ用基板として用いることができない。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明の研磨布研磨面の共摺りによる研磨布の加工方法により、研磨時の研磨材等による研磨布の研磨面の目詰まり防止のために、研磨布研磨面の、切削具を用いて加工した際の溝加工部および穴加工部の硬部およびバリが、ガラス基板の研磨作業前に除去され、該硬部およびバリが原因で生じる研磨後のガラス基板の線状の凹みがなくなる。線状の凹みがなくなることで高品質の液晶ディスプレイ用基板が製造できる。
【0043】
更に、予め研磨面同士の共摺りにより研磨布の研磨面より硬部およびバリを除去することにより、基板の研磨中に研磨布の研磨面より硬部およびバリが取れた残差が研磨後の基板に付着することによる研磨工程の後工程である洗浄工程の汚染、および研磨布の目立て時に目立てを行うブラシに付着しブラシを汚染させることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における共摺りに使用する研磨装置の主要部の側面図である。
【図2】本発明の実施例における溝加工および穴加工を施した研磨布の研磨面の部分拡大平面図である。
【図3】図2においてA−A’で示される部分の断面図である。
【図4】本発明の実施例における片面研磨装置の主要部の側面図である。
【図5】線状の凹みの強度の測定方法であるローテーション検査法の概念図である。
【符号の説明】
1、1’ 研磨布
2 加圧定盤
5 研磨盤
8 穴加工部
9 溝加工部
Claims (2)
- ガラス基板を研磨盤と定盤とで挟持摺動させてガラス基板表面を研磨する片面または両面研磨装置に用いる研磨布であって、切削加工で研磨面に溝加工および/または穴加工を施した多孔質ウレタン樹脂製の研磨布の加工方法において、前記研磨布を研磨盤と定盤とに貼着して、研磨面同士を圧力10g/cm2以上、200g/cm2以下、研磨盤の回転数10rpm以上、200rpm以下の条件で共摺りすることを特徴とする多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の加工方法。
- 加工対象である研磨布が研磨布を貫通した直径1mm以上、5mm以下の穴を2mm以上、10mm以下のピッチで全面にあけてなるおよび研磨面に複数の溝加工をしてなる研磨布であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ウレタン樹脂からなる研磨布の加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002252624A JP2004090125A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | ガラス基板の研磨装置で使用する研磨布の加工方法 |
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Publications (1)
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JP2002252624A Pending JP2004090125A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | ガラス基板の研磨装置で使用する研磨布の加工方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5585081B2 (ja) * | 2008-05-16 | 2014-09-10 | 東レ株式会社 | 研磨パッド |
CN108747786A (zh) * | 2018-08-22 | 2018-11-06 | 浙江华洋缝制有限公司 | 一种梭心套生产用底部抛光装置及其实现方法 |
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2002
- 2002-08-30 JP JP2002252624A patent/JP2004090125A/ja active Pending
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