JP2004090096A - 輝尽性蛍光体シートの断裁方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁時に輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が生じない輝尽性蛍光体シートの断裁方法の提供。
【解決手段】可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを輝尽性蛍光体層側から断裁刃を入れ、一回の断裁で製品形状に打ち抜く輝尽性蛍光体シートの断裁方法において、該輝尽性蛍光体層は可撓性支持体上に中間層を介して形成されており、該断裁刃の刃先角度が20〜60°であることを特徴とする輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【選択図】 図1
【解決手段】可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを輝尽性蛍光体層側から断裁刃を入れ、一回の断裁で製品形状に打ち抜く輝尽性蛍光体シートの断裁方法において、該輝尽性蛍光体層は可撓性支持体上に中間層を介して形成されており、該断裁刃の刃先角度が20〜60°であることを特徴とする輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を輝尽性蛍光体(蛍光スクリーン)に照射し、これにより生じた可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし、近年、銀塩を塗布したフィルムを使用しないで輝尽性蛍光体から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
輝尽性蛍光体から直接画像を取り出す方法としては、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させた後、光又は熱エネルギー等で輝尽性蛍光体を励起することにより、輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し画像化する方法が挙げられる。具体的には、例えば米国特許3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した輝尽性蛍光体シートを使用した放射線画像変換方法が開示されている。
【0004】
これらの方法は、輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体層を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体層中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号をたとえば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0005】
この放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0006】
このような輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が一般的に利用される。
【0007】
輝尽性蛍光体シートとしては、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層を塗設した塗設タイプと、ガラス支持体上に蒸着により輝尽性蛍光体層を設けた蒸着タイプとがあるが、最近は取り扱い易く、作り易く、性能が安定していることから塗設タイプが多く使用されている。
【0008】
可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを断裁して所定の大きさの製品形状に成形する場合、以下に示す問題点が知られている。
【0009】
1)突当てによる位置出しを行ない、一辺毎に断裁し所定の製品形状とする場合、突当て時の衝撃により輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が生じる場合がある。
【0010】
2)逆に、輝尽性蛍光体層へ衝撃を与えないようにソフトな突当てを行なうと、位置出し精度が劣化し、製品の寸法精度が悪くなる場合がある。
【0011】
3)一辺毎に断裁し所定の製品形状とする場合、断裁時の取り扱いで輝尽性蛍光体シートを他のものに当てたりして、角部に大きな衝撃力が作用すると、角部の輝尽性蛍光体層が欠けたり、剥離したりする場合がある。
【0012】
1)〜3)に示された問題点の対応として、輝尽性蛍光体シートの断裁時の輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を抑制する検討がなされている。例えば特開平11−223891号には刃先角度が20°〜60°で、反ミネ面が製品となる輝尽性蛍光体シートに対して90°±5°の角度を有する断裁刃を用いて輝尽性蛍光体層側から断裁する方法が記載されている。
【0013】
この断裁方法により断裁刃の製品側の刃面が輝尽性蛍光体シートに対して90°±5°、即ち、略垂直としたことにより、刃先が輝尽性蛍光体層へ食い込む際に、製品側の輝尽性蛍光体プレートに発生する引っ張り/圧縮応力が小さく、輝尽性蛍光体プレートの変形が小さくなり、輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が改善されたのであるが、次の様な問題点が残されている。
【0014】
例えば、1)断裁刃のミネ面により輝尽性蛍光体層が押圧されることで輝尽性蛍光体層が可撓性支持体から浮いた状態になり、後の工程でその箇所から輝尽性蛍光体層が剥離する場合がある。
【0015】
2)断裁刃のミネ面により輝尽性蛍光体層が押圧されることで輝尽性蛍光体層が破断し、ひも状のゴミ(断裁切りカス)が発生し、それを取り除く作業が必要となる場合がある。
【0016】
3)上記ひも状のゴミ(断裁切りカス)を充分に取り除くことができず、後工程へのゴミの持ち込みが発生し、そこでも取り除く作業が必要となる場合がある。
【0017】
4)ひも状のゴミ(断裁切りカス)を取り除くため、作業を中断することで工程稼働率を上げることを難しい。
【0018】
上記の如く、未だ満足な状態でないが、定期的に清掃作業を行い、工程の稼働率を下げて断裁を行っているのが現状である。
【0019】
よって、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを断裁し、所定の製品形状に断裁する時に、輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が発生しない断裁方法の開発が望まれている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁時に輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が生じない輝尽性蛍光体シートの断裁方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の構成により達成された。
【0022】
1)可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを輝尽性蛍光体層側から断裁刃を入れ、一回の断裁で製品形状に打ち抜く輝尽性蛍光体シートの断裁方法において、該輝尽性蛍光体層は可撓性支持体上に中間層を介して形成されており、該断裁刃の刃先角度が20〜60°であることを特徴とする輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0023】
2)前記断裁刃が輝尽性蛍光体層側に入る角度は、断裁刃の反ミネ面が輝尽性蛍光体層に対して85〜95°であることを特徴とする1)に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0024】
3)前記輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度が、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当することを特徴とする1)又は2)に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、図1〜図5を参照しながら本発明の実施の形態につき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1は輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
図中、輝尽性蛍光体シート1は、可撓性支持体101上に中間層102を介して形成され、可撓性支持体101よりも弾性率が大きい輝尽性蛍光体層103を有している。
【0027】
中間層102の膜厚は、目的とする輝尽性蛍光体シートの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、中間層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には5〜40μmであることが好ましい。輝尽性蛍光体層103と中間層102との膜付き強度は、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS
K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当することが好ましい。
【0028】
図2は、図1に示される輝尽性蛍光体シート1の断裁に用いる断裁装置の概略断面図である。
【0029】
図中、2は断裁装置を示す。断裁装置2は、輝尽性蛍光体シート1の輝尽性蛍光体層103を上側にして載置する平坦面301を有する載置台3と、断裁刃202a、202bの取り付け基台201とを有している。各断裁刃202a、202bは取り付け基台201に設けられた各固定板203a、203bに各ネジ203a1、203b1により固定されている。取り付け基台201は載置台3の平坦面301に対して垂直な方向に上下移動が可能に断裁装置のフレーム(不図示)に設けられている
取り付け基台201には輝尽性蛍光体シート1を矩形に一度に断裁し打ち抜くための4枚の断裁刃202a〜202d(図3を参照)が取り付けられている。203は付勢手段のスプリングを示し、204はスプリング203の先端に取り付けられ、輝尽性蛍光体シート1の打ち抜かれる部分(製品部)Xを押圧し、平坦面301に押接・固定するストリッパである。
【0030】
尚、ストリッパとしては、上記のようなスプリング203により付勢力が与えられるタイプの他に、それ自身が弾性体で構成され、輝尽性蛍光体シート1を直接に押接するタイプであってもよい。
【0031】
本図に示される断裁装置を用いて輝尽性蛍光体シートを一度に断裁し打ち抜くことで得られる主な効果を以下に示す。1)突当てによる位置出しが不要となり、位置出しの衝撃による輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が無くなる。2)輝尽性蛍光体シートの一方の面が平坦面上に載置されているので、断裁時に輝尽性蛍光体シートの撓みが阻止され、断裁面の変形が少なく、切断品質が良好となる。
【0032】
図3は、図2に示される基台に取り付けられた断裁刃の一例を示す概略斜視図である。図3の(a)は製品部を打ち抜き得られた輝尽性蛍光体シート(以下、製品ともいう)の角部が直角となる場合の断裁刃の状態を示す概略斜視図である。図3の(b)は製品の角部に丸み部を付ける場合の断裁刃の状態を示す概略斜視図である。本図では刃の配設位置を示すため、スプリングとストリッパは省略してある。
【0033】
図3の(a)に示される断裁刃について説明する。図中、203dは取り付け基台201に設けられた固定板を示す。断裁刃202dはネジ203d1により固定板203dに固定されている。断裁刃202cも同じ様にネジ(不図示)により固定板203cに固定されている。各断裁刃202a〜202dは、一回の断裁で、矩形の製品を打ち抜くように取り付け基台201に高さが同じに取り付けられている。
【0034】
図3の(b)に示される断裁刃について説明する。図中、205は製品の角部に丸み部を付ける場合の断裁刃を示し、各辺と各角部が一体となって、取り付け基台201に設けられた各固定板206a〜206dにネジ207で固定されている。他の符号は図2と同義である。
【0035】
本図に示すように取り付け基台201に取り付けられた各断裁刃202a〜202d、205を用いて、載置台の平坦面に載置された輝尽性蛍光体シートから製品部X(図2を参照)を一度に断裁し打ち抜くことにより、突当てによる位置出しが不要となり、位置出しの衝撃による輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を最小限にすることが可能となる。
【0036】
図4は、図3に示される断裁刃により輝尽性蛍光体シートの製品部を一度に打ち抜いた状態を示す概略平面図である。図4の(a)は図3の(a)に示す断裁刃で製品部を打ち抜いた状態を示す概略平面図である。図4の(b)は図3の(b)に示す断裁刃で製品部を打ち抜いた状態を示す概略平面図である。
【0037】
図中、104は打ち抜かれた製品を示し、105はロス部を示す。図2に示される装置に図3の(a)又は(b)に示す各断裁刃を用いて、輝尽性蛍光体シートを打ち抜くとき、輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層側より断裁刃を入れ、輝尽性蛍光体シートを断裁し打ち抜くことにより、図4の(a)、(b)に示すように、輝尽性蛍光体シートは、製品104と、額縁上のロス部105とに分離される。尚、図3の(a)に示す断裁刃で打ち抜いた場合、図4の(a)に示す如くロス部105は、105a〜105dに分割される。
【0038】
図4の(a)は打ち抜かれた製品104の角部が直角の場合を示し、図4の(b)は製品104の角部がRを有する場合を示す。本図の場合は角部にRを設けた場合を示しているが、Rの代わりに面取り部(不図示)を設けても良い。角部のRは、R1以上が好ましい。面取り部(不図示)はC1以上が好ましい。又、この面取り部又は、角部のRは、一回の打ち抜きで形成しても良いし、打ち抜いた後で、別に断裁しても良い。
【0039】
図5は図2のZで示される部分の拡大概略断面図である。
図中、202b1は可撓性支持体101の上に中間層102を介して輝尽性蛍光体層が設けられた輝尽性蛍光体シート1を打ち抜く場合、ロス部105(図4を参照)となる輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層と接触する断裁刃のミネ面を示し、202b2は製品部X(図2を参照)の輝尽性蛍光体層と接触する反ミネ面を示す。θ1は、断裁刃202bの刃先角度を示し、刃先角度θ1は20〜60°であり、更に好ましくは、25〜40°である。20°未満の場合は、刃先の耐久性が劣り交換頻度が多くなるため、工程の稼働率低下の原因の一つにもなり、又、コストが掛かり好ましくない。60°を越えた場合は、断裁時にミネ面により輝尽性蛍光体層が押されることで、断裁面の端部の輝尽性蛍光体層にヒビが入り易くなり、輝尽性蛍光体層が剥離し易くなるため好ましくない。
【0040】
θ2は、断裁刃202bを輝尽性蛍光体シート1の輝尽性蛍光体層103側から入れたときの、反ミネ面202b2の輝尽性蛍光体層103に対する角度を示す。角度θ2は、85〜95°が好ましく、88〜92°がより好ましい。即ち、断裁刃202bは輝尽性蛍光体シト1にほぼ垂直に入り断裁することを示している。
【0041】
本図では断裁刃202bを代表して説明したが、図3の(a)、(b)に示される他の断裁刃202a、202c、202d及び205は全て断裁刃202bと同じ形状をしている。
【0042】
図5に示す断裁刃を使用して、輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度が、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当する輝尽性蛍光体層と中間層とを有する輝尽性蛍光体シートを断裁することで得られる効果を以下に示す。
【0043】
1)輝尽性蛍光体層と中間層との膜付き強度が向上する中間層を設けたことにより、断裁刃により可撓性支持体が断裁されるとき、弾性率の小さな可撓性支持体の撓み量に追従して撓む中間層に応じて輝尽性蛍光体層が撓むことが可能となり、輝尽性蛍光体層の剥離を減少させることが可能となった。
【0044】
2)断裁刃が輝尽性蛍光体層に入る時、断裁刃の反ミネ面が、輝尽性蛍光体層に対して85〜95°と、略垂直としたことにより、製品となる側の輝尽性蛍光体層に発生する、引っ張り/圧縮応力を小さくすることができ、輝尽性蛍光体層の変形が小さくなり、輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を最小限に抑えることが可能となった。
【0045】
3)断裁刃の刃先の角度を20〜60°とすることにより、断裁部の変形を少なくすることが可能となり、ミネ面への断裁カスの付着が減り断裁刃の清掃回数を減らすことが可能となり、清掃作業の時間が無くなり生産性が上がった。
【0046】
本発明に係る中間層としては、架橋剤により架橋できる高分子樹脂を含有していることが好ましい。中間層に用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えばポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、下引層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)は、好ましくは25〜200℃である。
【0047】
中間層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0048】
中間層は、例えば以下に示す方法により支持体上に形成することができる。まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤に添加し、これを充分に混合して中間層用の塗布液を調製する。使用する溶剤としては例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0049】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には15〜50質量%であることが好ましい。
【0050】
上記のようにして調製された塗布液を、可撓性支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0051】
可撓性支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコールでサイジングした紙等の加工紙等が挙げられる。これらの中でも、加工し易さ、取り扱い性からラスティックフィルムが好ましい可撓性支持体として挙げられる。
【0052】
また、これら可撓性支持体の厚さは、用いる可撓性支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、マット面としてもよい。
【0053】
輝尽性蛍光体層としては、バインダーと輝尽性蛍光体粒子とから構成されている。輝尽性蛍光体層を形成している「輝尽性蛍光体」とは、最初の光または高エネルギー放射線が照射された後に、光的、熱的、機械的、科学的または電気的等の刺激(輝尽励起)により、最初の光または高エネルギー放射線の照射量に対応した輝尽発光を示す輝尽性蛍光体をいう。実用的な面からは、光刺激(輝尽励起)により輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましく、波長が500nm以上、1μm以下の輝尽励起光によって輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
【0054】
輝尽性蛍光体層8bを構成する輝尽性蛍光体の具体例としては、例えば特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体:特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体:特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体:特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体:特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体:特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等が挙げられる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0056】
実施例1
《輝尽性蛍光体シートの作製》
〈中間層の形成〉
以下に記載の中間層塗布液を、ドクターブレードを用いて、厚さ188μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 188E60L)に塗布し、100℃で5分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの中間層を形成した。
【0057】
(中間層塗布液)
ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡社製 バイロン55SS、固形分35%)288.2gに、β−銅フタロシアニン分散品0.34g(固形分35%、顔料分30%)及び硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートHX)11.22gを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引層塗布液を調製した。
【0058】
〈蛍光体の合成〉
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
(輝尽性蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427gを、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、25℃における粘度が2.0〜2.5Pa・sであり液比重が2.5である塗工液を調製した。
【0059】
〈輝尽性蛍光体層の形成〉
上記の塗工液を脱気脱泡後、ドクターブレードを用いて、上記形成した中間層上に、膜厚が180μmとなるように塗布した後、100℃で15分間乾燥させて輝尽性蛍光体層を形成して、輝尽性蛍光体シートを作製した。
【0060】
尚、輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度は、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0に該当した。
【0061】
〈輝尽性蛍光体シートの打ち抜き〉
作製した輝尽性蛍光体シートを図2に示す断裁装置を用いて、厚さ500μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを固定した載置台の平坦面上に、輝尽性蛍光体層を上向きにして置き、輝尽性蛍光体層に入る刃の反ミネ面と輝尽性蛍光体層面との角度を90°となるように設定し、表1に示す刃先角度が異なる各断裁刃を用いて、輝尽性蛍光体シートを各10枚打ち抜き、試料101〜106とした。
【0062】
この時、断裁刃は、図3の(b)に示す断裁刃を使用した。尚、使用した断裁刃は、工具鋼SKD11からなる硬度HRC60の材質を用いて作製した。
【0063】
〈評価〉
各試料断裁刃で輝尽性蛍光体シートを各10枚断裁し、各試料101〜106の断裁面の輝尽性蛍光体層の浮き状態を20倍の倍率のルーペで観察した結果、及び各試料101〜106の断裁面及び稜部に付着している断裁カスの有無を目視で観察した結果を表1に示す。尚、輝尽性蛍光体層の剥離状態及び断裁カスの有無の評価は以下に示すランク付けにより行った。
【0064】
輝尽性蛍光体層の浮き状態のランク
◎:全てに浮きの発生は認められず
○:10枚中2枚に剥離に繋がる危険のない僅かな浮きの発生が認められる
△:10枚中5枚に剥離に繋がる危険のない僅かな浮きの発生が認められる
×:全てに輝尽性蛍光体層の剥離に繋がる危険がある浮きの発生がある
断裁カスの有無のランク
◎:全てに断裁カスの発生は認められない
○:10枚中1枚に僅かな断裁カスの発生が認められる
△:10枚中3枚に僅かな断裁カスの発生が認められる
×:10枚中7枚に断裁カスの発生が認められる
【0065】
【表1】
【0066】
試料101に用いた刃先角度18°の刃は耐久性がなく、輝尽性蛍光体シートを5枚打ち抜いた頃から刃の一部が欠けてしまったため試験を中止した。
【0067】
上表の結果より本発明の有効性が確認された。
【0068】
【発明の効果】
可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁時に輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が生じない輝尽性蛍光体シートの断裁方法を提供することができ、製品品質を向上させ、且つ、工程の稼働率を上げることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
【図2】図1に示される輝尽性蛍光体シートの断裁に用いる断裁装置の概略断面図である。
【図3】図2に示される基台に取り付けられた断裁刃の一例を示す概略斜視図である。
【図4】図3に示される断裁刃により輝尽性蛍光体シートの製品部を一度に打ち抜いた状態を示す概略平面図である。
【図5】図2のZで示される部分の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
1 輝尽性蛍光体シート
101 可撓性支持体
102 中間層
103 輝尽性蛍光体層
104 製品
105 ロス部
2 断裁装置
201 取り付け基台
202a〜202d、205 断裁刃
3 載置台
301 平坦面
θ1 刃先角度
θ2 角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を輝尽性蛍光体(蛍光スクリーン)に照射し、これにより生じた可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし、近年、銀塩を塗布したフィルムを使用しないで輝尽性蛍光体から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
輝尽性蛍光体から直接画像を取り出す方法としては、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させた後、光又は熱エネルギー等で輝尽性蛍光体を励起することにより、輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し画像化する方法が挙げられる。具体的には、例えば米国特許3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した輝尽性蛍光体シートを使用した放射線画像変換方法が開示されている。
【0004】
これらの方法は、輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体層を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体層中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号をたとえば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0005】
この放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0006】
このような輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す輝尽性蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が一般的に利用される。
【0007】
輝尽性蛍光体シートとしては、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層を塗設した塗設タイプと、ガラス支持体上に蒸着により輝尽性蛍光体層を設けた蒸着タイプとがあるが、最近は取り扱い易く、作り易く、性能が安定していることから塗設タイプが多く使用されている。
【0008】
可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを断裁して所定の大きさの製品形状に成形する場合、以下に示す問題点が知られている。
【0009】
1)突当てによる位置出しを行ない、一辺毎に断裁し所定の製品形状とする場合、突当て時の衝撃により輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が生じる場合がある。
【0010】
2)逆に、輝尽性蛍光体層へ衝撃を与えないようにソフトな突当てを行なうと、位置出し精度が劣化し、製品の寸法精度が悪くなる場合がある。
【0011】
3)一辺毎に断裁し所定の製品形状とする場合、断裁時の取り扱いで輝尽性蛍光体シートを他のものに当てたりして、角部に大きな衝撃力が作用すると、角部の輝尽性蛍光体層が欠けたり、剥離したりする場合がある。
【0012】
1)〜3)に示された問題点の対応として、輝尽性蛍光体シートの断裁時の輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を抑制する検討がなされている。例えば特開平11−223891号には刃先角度が20°〜60°で、反ミネ面が製品となる輝尽性蛍光体シートに対して90°±5°の角度を有する断裁刃を用いて輝尽性蛍光体層側から断裁する方法が記載されている。
【0013】
この断裁方法により断裁刃の製品側の刃面が輝尽性蛍光体シートに対して90°±5°、即ち、略垂直としたことにより、刃先が輝尽性蛍光体層へ食い込む際に、製品側の輝尽性蛍光体プレートに発生する引っ張り/圧縮応力が小さく、輝尽性蛍光体プレートの変形が小さくなり、輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が改善されたのであるが、次の様な問題点が残されている。
【0014】
例えば、1)断裁刃のミネ面により輝尽性蛍光体層が押圧されることで輝尽性蛍光体層が可撓性支持体から浮いた状態になり、後の工程でその箇所から輝尽性蛍光体層が剥離する場合がある。
【0015】
2)断裁刃のミネ面により輝尽性蛍光体層が押圧されることで輝尽性蛍光体層が破断し、ひも状のゴミ(断裁切りカス)が発生し、それを取り除く作業が必要となる場合がある。
【0016】
3)上記ひも状のゴミ(断裁切りカス)を充分に取り除くことができず、後工程へのゴミの持ち込みが発生し、そこでも取り除く作業が必要となる場合がある。
【0017】
4)ひも状のゴミ(断裁切りカス)を取り除くため、作業を中断することで工程稼働率を上げることを難しい。
【0018】
上記の如く、未だ満足な状態でないが、定期的に清掃作業を行い、工程の稼働率を下げて断裁を行っているのが現状である。
【0019】
よって、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを断裁し、所定の製品形状に断裁する時に、輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が発生しない断裁方法の開発が望まれている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁時に輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が生じない輝尽性蛍光体シートの断裁方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の構成により達成された。
【0022】
1)可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを輝尽性蛍光体層側から断裁刃を入れ、一回の断裁で製品形状に打ち抜く輝尽性蛍光体シートの断裁方法において、該輝尽性蛍光体層は可撓性支持体上に中間層を介して形成されており、該断裁刃の刃先角度が20〜60°であることを特徴とする輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0023】
2)前記断裁刃が輝尽性蛍光体層側に入る角度は、断裁刃の反ミネ面が輝尽性蛍光体層に対して85〜95°であることを特徴とする1)に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0024】
3)前記輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度が、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当することを特徴とする1)又は2)に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、図1〜図5を参照しながら本発明の実施の形態につき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1は輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
図中、輝尽性蛍光体シート1は、可撓性支持体101上に中間層102を介して形成され、可撓性支持体101よりも弾性率が大きい輝尽性蛍光体層103を有している。
【0027】
中間層102の膜厚は、目的とする輝尽性蛍光体シートの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、中間層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には5〜40μmであることが好ましい。輝尽性蛍光体層103と中間層102との膜付き強度は、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS
K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当することが好ましい。
【0028】
図2は、図1に示される輝尽性蛍光体シート1の断裁に用いる断裁装置の概略断面図である。
【0029】
図中、2は断裁装置を示す。断裁装置2は、輝尽性蛍光体シート1の輝尽性蛍光体層103を上側にして載置する平坦面301を有する載置台3と、断裁刃202a、202bの取り付け基台201とを有している。各断裁刃202a、202bは取り付け基台201に設けられた各固定板203a、203bに各ネジ203a1、203b1により固定されている。取り付け基台201は載置台3の平坦面301に対して垂直な方向に上下移動が可能に断裁装置のフレーム(不図示)に設けられている
取り付け基台201には輝尽性蛍光体シート1を矩形に一度に断裁し打ち抜くための4枚の断裁刃202a〜202d(図3を参照)が取り付けられている。203は付勢手段のスプリングを示し、204はスプリング203の先端に取り付けられ、輝尽性蛍光体シート1の打ち抜かれる部分(製品部)Xを押圧し、平坦面301に押接・固定するストリッパである。
【0030】
尚、ストリッパとしては、上記のようなスプリング203により付勢力が与えられるタイプの他に、それ自身が弾性体で構成され、輝尽性蛍光体シート1を直接に押接するタイプであってもよい。
【0031】
本図に示される断裁装置を用いて輝尽性蛍光体シートを一度に断裁し打ち抜くことで得られる主な効果を以下に示す。1)突当てによる位置出しが不要となり、位置出しの衝撃による輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が無くなる。2)輝尽性蛍光体シートの一方の面が平坦面上に載置されているので、断裁時に輝尽性蛍光体シートの撓みが阻止され、断裁面の変形が少なく、切断品質が良好となる。
【0032】
図3は、図2に示される基台に取り付けられた断裁刃の一例を示す概略斜視図である。図3の(a)は製品部を打ち抜き得られた輝尽性蛍光体シート(以下、製品ともいう)の角部が直角となる場合の断裁刃の状態を示す概略斜視図である。図3の(b)は製品の角部に丸み部を付ける場合の断裁刃の状態を示す概略斜視図である。本図では刃の配設位置を示すため、スプリングとストリッパは省略してある。
【0033】
図3の(a)に示される断裁刃について説明する。図中、203dは取り付け基台201に設けられた固定板を示す。断裁刃202dはネジ203d1により固定板203dに固定されている。断裁刃202cも同じ様にネジ(不図示)により固定板203cに固定されている。各断裁刃202a〜202dは、一回の断裁で、矩形の製品を打ち抜くように取り付け基台201に高さが同じに取り付けられている。
【0034】
図3の(b)に示される断裁刃について説明する。図中、205は製品の角部に丸み部を付ける場合の断裁刃を示し、各辺と各角部が一体となって、取り付け基台201に設けられた各固定板206a〜206dにネジ207で固定されている。他の符号は図2と同義である。
【0035】
本図に示すように取り付け基台201に取り付けられた各断裁刃202a〜202d、205を用いて、載置台の平坦面に載置された輝尽性蛍光体シートから製品部X(図2を参照)を一度に断裁し打ち抜くことにより、突当てによる位置出しが不要となり、位置出しの衝撃による輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を最小限にすることが可能となる。
【0036】
図4は、図3に示される断裁刃により輝尽性蛍光体シートの製品部を一度に打ち抜いた状態を示す概略平面図である。図4の(a)は図3の(a)に示す断裁刃で製品部を打ち抜いた状態を示す概略平面図である。図4の(b)は図3の(b)に示す断裁刃で製品部を打ち抜いた状態を示す概略平面図である。
【0037】
図中、104は打ち抜かれた製品を示し、105はロス部を示す。図2に示される装置に図3の(a)又は(b)に示す各断裁刃を用いて、輝尽性蛍光体シートを打ち抜くとき、輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層側より断裁刃を入れ、輝尽性蛍光体シートを断裁し打ち抜くことにより、図4の(a)、(b)に示すように、輝尽性蛍光体シートは、製品104と、額縁上のロス部105とに分離される。尚、図3の(a)に示す断裁刃で打ち抜いた場合、図4の(a)に示す如くロス部105は、105a〜105dに分割される。
【0038】
図4の(a)は打ち抜かれた製品104の角部が直角の場合を示し、図4の(b)は製品104の角部がRを有する場合を示す。本図の場合は角部にRを設けた場合を示しているが、Rの代わりに面取り部(不図示)を設けても良い。角部のRは、R1以上が好ましい。面取り部(不図示)はC1以上が好ましい。又、この面取り部又は、角部のRは、一回の打ち抜きで形成しても良いし、打ち抜いた後で、別に断裁しても良い。
【0039】
図5は図2のZで示される部分の拡大概略断面図である。
図中、202b1は可撓性支持体101の上に中間層102を介して輝尽性蛍光体層が設けられた輝尽性蛍光体シート1を打ち抜く場合、ロス部105(図4を参照)となる輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層と接触する断裁刃のミネ面を示し、202b2は製品部X(図2を参照)の輝尽性蛍光体層と接触する反ミネ面を示す。θ1は、断裁刃202bの刃先角度を示し、刃先角度θ1は20〜60°であり、更に好ましくは、25〜40°である。20°未満の場合は、刃先の耐久性が劣り交換頻度が多くなるため、工程の稼働率低下の原因の一つにもなり、又、コストが掛かり好ましくない。60°を越えた場合は、断裁時にミネ面により輝尽性蛍光体層が押されることで、断裁面の端部の輝尽性蛍光体層にヒビが入り易くなり、輝尽性蛍光体層が剥離し易くなるため好ましくない。
【0040】
θ2は、断裁刃202bを輝尽性蛍光体シート1の輝尽性蛍光体層103側から入れたときの、反ミネ面202b2の輝尽性蛍光体層103に対する角度を示す。角度θ2は、85〜95°が好ましく、88〜92°がより好ましい。即ち、断裁刃202bは輝尽性蛍光体シト1にほぼ垂直に入り断裁することを示している。
【0041】
本図では断裁刃202bを代表して説明したが、図3の(a)、(b)に示される他の断裁刃202a、202c、202d及び205は全て断裁刃202bと同じ形状をしている。
【0042】
図5に示す断裁刃を使用して、輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度が、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当する輝尽性蛍光体層と中間層とを有する輝尽性蛍光体シートを断裁することで得られる効果を以下に示す。
【0043】
1)輝尽性蛍光体層と中間層との膜付き強度が向上する中間層を設けたことにより、断裁刃により可撓性支持体が断裁されるとき、弾性率の小さな可撓性支持体の撓み量に追従して撓む中間層に応じて輝尽性蛍光体層が撓むことが可能となり、輝尽性蛍光体層の剥離を減少させることが可能となった。
【0044】
2)断裁刃が輝尽性蛍光体層に入る時、断裁刃の反ミネ面が、輝尽性蛍光体層に対して85〜95°と、略垂直としたことにより、製品となる側の輝尽性蛍光体層に発生する、引っ張り/圧縮応力を小さくすることができ、輝尽性蛍光体層の変形が小さくなり、輝尽性蛍光体層の欠けや剥離を最小限に抑えることが可能となった。
【0045】
3)断裁刃の刃先の角度を20〜60°とすることにより、断裁部の変形を少なくすることが可能となり、ミネ面への断裁カスの付着が減り断裁刃の清掃回数を減らすことが可能となり、清掃作業の時間が無くなり生産性が上がった。
【0046】
本発明に係る中間層としては、架橋剤により架橋できる高分子樹脂を含有していることが好ましい。中間層に用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えばポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、下引層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)は、好ましくは25〜200℃である。
【0047】
中間層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0048】
中間層は、例えば以下に示す方法により支持体上に形成することができる。まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤に添加し、これを充分に混合して中間層用の塗布液を調製する。使用する溶剤としては例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0049】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には15〜50質量%であることが好ましい。
【0050】
上記のようにして調製された塗布液を、可撓性支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0051】
可撓性支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコールでサイジングした紙等の加工紙等が挙げられる。これらの中でも、加工し易さ、取り扱い性からラスティックフィルムが好ましい可撓性支持体として挙げられる。
【0052】
また、これら可撓性支持体の厚さは、用いる可撓性支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、マット面としてもよい。
【0053】
輝尽性蛍光体層としては、バインダーと輝尽性蛍光体粒子とから構成されている。輝尽性蛍光体層を形成している「輝尽性蛍光体」とは、最初の光または高エネルギー放射線が照射された後に、光的、熱的、機械的、科学的または電気的等の刺激(輝尽励起)により、最初の光または高エネルギー放射線の照射量に対応した輝尽発光を示す輝尽性蛍光体をいう。実用的な面からは、光刺激(輝尽励起)により輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましく、波長が500nm以上、1μm以下の輝尽励起光によって輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
【0054】
輝尽性蛍光体層8bを構成する輝尽性蛍光体の具体例としては、例えば特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体:特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体:特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体:特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体:特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体:特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等が挙げられる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0056】
実施例1
《輝尽性蛍光体シートの作製》
〈中間層の形成〉
以下に記載の中間層塗布液を、ドクターブレードを用いて、厚さ188μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 188E60L)に塗布し、100℃で5分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの中間層を形成した。
【0057】
(中間層塗布液)
ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡社製 バイロン55SS、固形分35%)288.2gに、β−銅フタロシアニン分散品0.34g(固形分35%、顔料分30%)及び硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートHX)11.22gを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引層塗布液を調製した。
【0058】
〈蛍光体の合成〉
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
(輝尽性蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427gを、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、25℃における粘度が2.0〜2.5Pa・sであり液比重が2.5である塗工液を調製した。
【0059】
〈輝尽性蛍光体層の形成〉
上記の塗工液を脱気脱泡後、ドクターブレードを用いて、上記形成した中間層上に、膜厚が180μmとなるように塗布した後、100℃で15分間乾燥させて輝尽性蛍光体層を形成して、輝尽性蛍光体シートを作製した。
【0060】
尚、輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度は、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0に該当した。
【0061】
〈輝尽性蛍光体シートの打ち抜き〉
作製した輝尽性蛍光体シートを図2に示す断裁装置を用いて、厚さ500μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを固定した載置台の平坦面上に、輝尽性蛍光体層を上向きにして置き、輝尽性蛍光体層に入る刃の反ミネ面と輝尽性蛍光体層面との角度を90°となるように設定し、表1に示す刃先角度が異なる各断裁刃を用いて、輝尽性蛍光体シートを各10枚打ち抜き、試料101〜106とした。
【0062】
この時、断裁刃は、図3の(b)に示す断裁刃を使用した。尚、使用した断裁刃は、工具鋼SKD11からなる硬度HRC60の材質を用いて作製した。
【0063】
〈評価〉
各試料断裁刃で輝尽性蛍光体シートを各10枚断裁し、各試料101〜106の断裁面の輝尽性蛍光体層の浮き状態を20倍の倍率のルーペで観察した結果、及び各試料101〜106の断裁面及び稜部に付着している断裁カスの有無を目視で観察した結果を表1に示す。尚、輝尽性蛍光体層の剥離状態及び断裁カスの有無の評価は以下に示すランク付けにより行った。
【0064】
輝尽性蛍光体層の浮き状態のランク
◎:全てに浮きの発生は認められず
○:10枚中2枚に剥離に繋がる危険のない僅かな浮きの発生が認められる
△:10枚中5枚に剥離に繋がる危険のない僅かな浮きの発生が認められる
×:全てに輝尽性蛍光体層の剥離に繋がる危険がある浮きの発生がある
断裁カスの有無のランク
◎:全てに断裁カスの発生は認められない
○:10枚中1枚に僅かな断裁カスの発生が認められる
△:10枚中3枚に僅かな断裁カスの発生が認められる
×:10枚中7枚に断裁カスの発生が認められる
【0065】
【表1】
【0066】
試料101に用いた刃先角度18°の刃は耐久性がなく、輝尽性蛍光体シートを5枚打ち抜いた頃から刃の一部が欠けてしまったため試験を中止した。
【0067】
上表の結果より本発明の有効性が確認された。
【0068】
【発明の効果】
可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートの断裁時に輝尽性蛍光体層の欠けやひも状のゴミ(断裁切りカス)が生じない輝尽性蛍光体シートの断裁方法を提供することができ、製品品質を向上させ、且つ、工程の稼働率を上げることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
【図2】図1に示される輝尽性蛍光体シートの断裁に用いる断裁装置の概略断面図である。
【図3】図2に示される基台に取り付けられた断裁刃の一例を示す概略斜視図である。
【図4】図3に示される断裁刃により輝尽性蛍光体シートの製品部を一度に打ち抜いた状態を示す概略平面図である。
【図5】図2のZで示される部分の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
1 輝尽性蛍光体シート
101 可撓性支持体
102 中間層
103 輝尽性蛍光体層
104 製品
105 ロス部
2 断裁装置
201 取り付け基台
202a〜202d、205 断裁刃
3 載置台
301 平坦面
θ1 刃先角度
θ2 角度
Claims (3)
- 可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートを輝尽性蛍光体層側から断裁刃を入れ、一回の断裁で製品形状に打ち抜く輝尽性蛍光体シートの断裁方法において、該輝尽性蛍光体層は可撓性支持体上に中間層を介して形成されており、該断裁刃の刃先角度が20〜60°であることを特徴とする輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
- 前記断裁刃が輝尽性蛍光体層側に入る角度は、断裁刃の反ミネ面が輝尽性蛍光体層に対して85〜95°であることを特徴とする請求項1に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
- 前記輝尽性蛍光体層と中間層の膜付き強度が、JIS K5600−5−6に規定の方法に従って測定した値がJIS K5600−5−6に規定の分類0又は分類1に該当することを特徴とする請求項1又は2に記載の輝尽性蛍光体シートの断裁方法。
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