JP2004089295A - 外科用処置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作回動姿勢において、先端処置部と操作部の開閉操作との一致を実現可能な構造であり、かつ、操作部の干渉を防止し、操作性の優れた外科用処置具を提供する。
【解決手段】本外科処置具1は、内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、主に挿入部2と、その先端側に配置され、開閉駆動される処置部と、上記挿入部2の基端側に配置される操作部4とを有してなり、上記処置部の第1処置片および第2処置片は、上記第1,2ハンドル部材37,39により対称方向に回動、または、開閉駆動されるが、上記第1ハンドル部材37の左右の所定の回動範囲を干渉することなく回動可能とするように上記第2ハンドル部材39は、挿入部2に対して幅方向対称位置に離間して配置することにより上記操作部4の左右の所定の回動範囲の回動許容している。
【選択図】 図25
【解決手段】本外科処置具1は、内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、主に挿入部2と、その先端側に配置され、開閉駆動される処置部と、上記挿入部2の基端側に配置される操作部4とを有してなり、上記処置部の第1処置片および第2処置片は、上記第1,2ハンドル部材37,39により対称方向に回動、または、開閉駆動されるが、上記第1ハンドル部材37の左右の所定の回動範囲を干渉することなく回動可能とするように上記第2ハンドル部材39は、挿入部2に対して幅方向対称位置に離間して配置することにより上記操作部4の左右の所定の回動範囲の回動許容している。
【選択図】 図25
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、術者が挿入部の基端部に設けられた操作部を把持し、先端部の処置部を回動および開閉して外科手術、特に内視鏡下の外科手術が可能な外科用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術を行うための外科用処置具としては、例えば、USP5,275,608号公報、USP5,702,408号公報、USP5,383,888号公報、及び、USP4,763,669号公報等に提案されたものがが知られている。
【0003】
上記USP5,275,608号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉可能な処置部と、前記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。上記処置部は、開閉以外にハンドル操作によって一対の処置部を同―平面内で回動できるように構成されている。
【0004】
上記USP5,702,408号公報に提案された外科処置具は、リンクレバー状の第1のリンクと、第1のリンクに接続された第2および第3のリンクとを有しており、上記第2および第3のリンクは、互いに内側に移動可能であるとともに、両リンク端部に第4のリンクが接続されている。そして、第1のリンクを第1の方向に回動すると、第4のリンクも第1の方向に回動する平行リンクにより、処置部と操作部が同じ角度になるように構成したものである。
【0005】
上記USP5,383,888号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉及び回動可能な処置部と、上記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。そして、上記ハンドルによって処置部を開閉するとともに、ハンドル側に設けられたレバーによって操作ワイヤを進退させ、処置部を回動させるように構成したものである。
【0006】
上記USP4,763,669号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉および回動可能な処置部と、前記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。ハンドルによって処置部を開閉するとともに、ハンドル側に設けられたレバーによってプツシュロツドを進退させ、処置部を回動させるように構成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の各外科用処置具は、回動平面が一面のみであるものが殆どであり、特に組織を縫合・結紮などの複雑な操作を実現させるためには回動の自由度が不十分であることが否めない。
【0008】
また、前述の外科用処置具においては、操作部側から処置部を回動及び回転できるものの、操作部に片手の親指及び親指以外の指を掛けたまま、その同一の片手のみの操作により処置部を回動させて目的の部位にアプローチし、さらには処置部を開閉させることが困難であるものが殆どであり、同様に縫合・結紮操作ヘの転用は困難である。さらには、回動が任意で、かつ片手で回動及び開閉操作が実施し得る外科用処置具は存在しなかった。
【0009】
それらの問題を解決するため、本出願人は、先に特願2001−119901号にて先端処置部が回動可能な外科用処置具を提案している。この外科用処置具は、先端処置部を上下左右に回動操作させるとともに先端処置部の開閉を片手のみで操作可能とする操作性に優れた装置である。また、回動および開閉操作を剛性を有する駆動棒を含むリンク機構により構成しているため、操作自体に剛性が保たれ不要な遊びを発生させることがなく、確実な操作が可能である。
【0010】
また、先端処置部を開閉するための開閉軸と、操作部を開閉操作させるための開閉軸とは、外科用処置部の主軸に関して互いに相反する側に配置されている。この構成は、全ての回動操作において操作部のリンクが外科用処置具自体に干渉することなく、且つ操作部をコンパクトに構成することを可能とするものである。
【0011】
しかしながら、前記開閉軸の配置では回動操作とのマッチングが完全ではなく、特に先端処置部を大きく開放させて使用する場合には、回動による姿勢変化により先端処置部の開放角度が縮小してしまうことがあった。
【0012】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、全ての操作回動姿勢において、先端処置部の開閉操作と操作部の開閉操作との一致を実現可能な構造であり、かつ、操作部の干渉を防止し、操作性の優れた外科用処置具を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の外科用処置具は、挿入部と、前記挿入部の先端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能及び相互に開閉可能な処置部と、前記挿入部の基端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能及び相互に開閉可能な操作部と、前記処置部と前記操作部とを支持する支持体と、前記支持体に平行または略平行に配置される進退自在な複数の駆動棒とを有してなる外科用処置具において、前記操作部は、前記支持体基端部に設けられた操作部回動枢支軸によって枢支される回動操作片と、前記回動操作片上に設けられた操作部開閉枢支軸によって枢支された開閉操作片とを有してなり、前記開閉操作片は、少なくとも前記操作部開閉枢支軸上に関して前記支持体の主軸から離間した状態で配置されている。
【0014】
本発明の請求項2に記載の外科用処置具は、請求項1に記載の外科用処置具において、前記開閉操作片は、前記支持体の主軸に対して前記操作部開閉枢支軸の軸方向に相互に離間して対称に配置されている。
【0015】
本発明の請求項3に記載の外科用処置具は、請求項1、または、2に記載の外科用処置具において、前記回動操作片は、第1の回動方向、および、前記第1の方向に垂直なる第2の方向に回動可能に構成され、前記開閉操作片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されている。
【0016】
本発明の請求項4に記載の外科用処置は、請求項1乃至請求項3記載の外科用処置具において、前記処置部は、前記支持体先端部に設けられた処置部回動枢支軸によって枢支された回動処置片と、該回動処置片上に設けられた処置部開閉枢支軸によって枢支された開閉処置片とから構成され、前記開閉処置片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1〜図25は、本発明における第1の実施形態である外科用処置具に関する図である。そのうち、図1は、上記外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。図2は、上記外科用処置具のリンク構成を示す模式的線図であって、下方から見た斜視図である。図3は、上記外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。図4は、上記外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。図5は、上記外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。図6は、上記外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。図7は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガードの一部を取り外した状態を上方から見た斜視図である。図8は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガードすべてを取り外した状態を上方から見た斜視図である。図9は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガード、さらに、クレードルを取り外した状態を上方から見た斜視図である。
【0018】
さらに、図10は、上記外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。図11は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドルおよびガードを取り外した状態を下方から見た斜視図である。図12は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル、ガード、および、クレードルを取り外した状態を下方から見た斜視図である。さらに、図13は、上記外科用処置具の処置部における各ピンの位置関係を示す側面図である。図14は、上記外科用処置具の操作部における各ピンの位置関係を示す側面図である。図15は、上記外科用処置具の操作部におけるハンドル部材、ガード、および、クレードルを取り外した状態での各ピンの位置関係を示す側面図である。
【0019】
なお、以下の説明において、図1,2等に示すように外科用処置具の後述する挿入部2(後述)のZ0 軸(支持体軸心)に沿う方向をZ方向(水平方向)とし、上記Z方向に直交する方向をY方向(上下方向)とする。
【0020】
また、操作部4(後述)に関して図2に示すように第2枢支軸32(後述)を通るY方向の軸心をY0 軸とする。さらに、第3枢支ピン35(後述)を通る水平方向の軸心をX0 軸とする。上記X0 軸と直交し、操作部4の幅に沿った方向をZa方向とする(操作部4が真直状態にあるときは、Z方向と一致する)。
【0021】
そして、操作部4の上記X0 軸まわりの上下方向の回動方向を第1の回動方向とし、その回動角をαaで示す。操作部4の第1ハンドル部材37(後述)と第2ハンドル部材39(後述)の上記第1の回動方向と同方向の開閉回動角をαbで示す。さらに、上記Y0 軸まわりの操作部4の左右方向の回動方向を第2の回動方向とし、その回動角をαcで示す。
【0022】
一方、処置部3(後述)に関しても図2に示すように第1枢支軸9(後述)を通るY方向の軸心をY1 軸とする。また、第1枢支ピン11(後述)を通る水平方向の軸心をX1 軸とする。
【0023】
そして、処置部3の第1処置片12(後述)のX1 軸まわりの上記第1の回動方向と一致する上下方向の回動角をβaで示し、第2処置片14(後述)の第1処置片12に対する開閉回動角をβbで示す。さらに、第1処置片12の上記第2の回動方向と一致するY1 軸まわりの左右方向の回動角をβcで示す。
なお、後述する第2実施形態の説明においても上記方向および角度は、同じ符号で示す。
【0024】
本実施形態の外科用処置具1は、内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、トロッカーを介して患者の体内に挿入部の先端に配置される処置部を挿入して、操作部により上記処置部の姿勢を操作しながら体内の患部の手術処置を行うことができる。例えば、上記処置部を持針器として適用すれば、上記挿入部および操作部を回動操作することにより体内患部の縫合を行うことができる。
【0025】
上記外科用処置具1は、図2に示すように体内へ挿通される挿入部2と、挿入部2の先端側に配置され、縫合,結紮を行うための鉗子部となる処置部3と、挿入部2の基端側に配置され、処置部3をリンク機構を介して操作するための第1,第2ハンドル部材37,39を備えた操作部4とを有してなる。
【0026】
上記挿入部2は、図1に示すようにトロッカーに挿入可能なシース2aで覆われており、挿入部2の基端側には、操作部4に対する気密手段であるシール部2bが配置されている。さらに、図3〜5,6〜8に示すように上記挿入部2には、挿入部2に固定支持され、挿入部2の沿ったZ方向に延出し、主軸(Z0 軸)を有する高剛性の一体真直形状の処置部側第1支持体8,操作部側第2支持体31と、上記支持体8,31の下側に配置され、Z方向に進退可能な真直細径状の第1駆動棒5と、上記支持体8,31の上側に配置され、Z方向に進退可能で上記第1駆動棒5と平行な状態で、かつ、互いに平行、または、略平行に配置される2本の真直細径状の第2駆動棒6,第3駆動棒7とを有してなる。そして、上記第1支持体8の処置部側先端には、すり割部8aが設けられ、上記第2支持体31の操作部側先端には、すり割部31aが設けられている。
【0027】
上記第1駆動棒5は、処置部3を開閉駆動するための開閉リンクを構成する部材であって、上記第2,3駆動棒6,7は、それぞれが処置部3を回動駆動するための回動リンクを構成する部材である。
【0028】
上記処置部3は、図3等に示すように主に開閉可能な回動処置片である第1処置片12と、第1処置片12に対して開閉駆動される開閉処置片の第2処置片14と、第1処置片12を上下,左右方向に回動可能に支持する第1回動板10と、第1処置片12を左右方向に回動するための第2回動板21と、第2処置片14を開閉駆動するための第1連結部材16と、第1連結部材16,第1駆動棒5の間に連結される第2連結部材18とを有してなる。
【0029】
上記第1処置片12は、把持部12aと屈曲部12bを有しており、幅方向に貫通する処置部開閉枢支軸である第1開閉枢支ピン13と、屈曲部12bを貫通し、上記枢支ピン13に平行な処置部回動支持軸である第2枢支ピン20と、第1枢支ピン11とを有している。
【0030】
上記第2処置片14は、把持部14aと脚部14bを有しており、第1処置片12に対して処置部開閉枢支軸である第1開閉枢支ピン13によって開閉回動自在に支持されている。上記脚部14bの下端部には、第1連結ピン15が回動可能に嵌入している。
【0031】
上記第1処置片12の把持面12aと第2処置片14の把持面14aが対向しており、第1開閉枢支ピン13にて第2処置片14が開閉回動されて、上記把持面12a,14aで対象物を把持することができる。図5に示されるように、該把持面12a,14aには必要に応じて凹凸加工が施されており、把持対象物である縫合針、縫合糸、または、生体組織等を確実に把持することができる。
【0032】
上記第1回動板10は、第1支持体8のすり割部8a側の処置部回動枢支軸である第1枢支軸9(Y1 軸)を介して回動自在に支持される。この第1回動板10の第1処置片12側は、上記Y1 軸に対して垂直な方向の第1枢支ピン11(X1 軸)が回動可能に嵌入している。
【0033】
上記第2回動板21は、第2,第3駆動棒6,7の処置部側先端にて所定の幅だけ左右に離間するY方向の2つの第1,2回動ピン22,23にて回動可能に支持される。この第2回動板21の処置部側は、第1処置片12の上記回動ピン22,23と垂直方向の第2枢支ピン20に回動自在に支持されている。なお、第2枢支ピン20と上記第1枢支ピン11とは、互いに平行に、かつ、比較的近傍位置に配置されている。
【0034】
上記第1連結部材16は、一方が上記第1開閉枢支ピン13と平行な第2処置片14の第1連結ピン15に回動可能に連結され、他方が第1連結ピン15に垂直な方向の第2連結部材18側の第2連結ピン17に回動自在に連結されている。さらに、上記第2連結部材18は、その基端側が第2連結ピン17と垂直な方向の第3連結ピン19に回動自在に連結されている。なお、上記第3連結ピン19は、第1駆動棒5の処置部側端部に固定支持されている連結ピンである。
【0035】
上述した処置部3において、第1駆動棒5を前方に移動させ、第2,3駆動棒6,7を後方に移動させると、第1連結部材16および第2回動板21が前進および後退移動し、第1処置片12が第2処置片14とともに第1枢支ピン11(X1 軸)を中心にして上方に向けて回動角βaの方向に回動する。
【0036】
また、第1駆動棒5のみをZ方向に進退移動させると、第2連結部材18と第1連結部材16を介して第2処置片14が押圧、または、引っ張られて第1開閉枢支ピン13を中心にして回動角βbの方向に開閉回動する。
【0037】
さらに、第1,2駆動棒6,7をZ方向に互いに前後移動させると、第2回動板21が第1支持体8に対して傾斜し、第1処置片12が第2処置片14とともに第1枢支軸9(Y1 軸)を中心に左右の回動角βcの方向に回動する。
【0038】
上記操作部4は、挿入部2の基端側に配置され、図6〜12に示すように挿入部2の基端側に上記第2支持体31および第1,2,3駆動棒5,6,7に連結され、上記処置部3を回動操作するための操作部である。その操作部4は、主に回動操作片である第1ハンドル部材37と、開閉操作片である第2ハンドル部材39と、第3,4回動板34,46と、第3,4,5連結部材41,43,44と、クレードル50と、4つの保護部材である第1,2,3,4ガード61,62,63,64とを有してなる。
【0039】
上記第1ハンドル部材37には、図6に示すように、術者が操作時に親指、薬指、および、小指を把持することに好適な形状を成す第1グリップ37aが設けられる。上記第1ハンドル部材37の両幅側外方には、サポート部材37bを介して第2支持体31の軸心であるZ0 軸に対して対称位置に離間した状態で一対のサイドベース37cが配置され、固着されている。
【0040】
上記一対のサイドベース37cの一端部には、第2開閉枢支ピン38が固着されている。この第2開閉枢支ピン38は、後述する第3枢支ピン35(X0 軸)と平行であり、その軸心は、第3枢支ピン35の延長位置から所定距離離間した位置にある。
【0041】
また、上記第1ハンドル部材37の内側には、挿入部2側端部のハンドル部材延出方向に対して傾斜した線上に沿って第4枢支ピン45,第3枢支ピン35,ガイドピン40が固着されている。また、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35とガイドピン40の配設部下方には、力点軸43aが移動可能に挿通するための扇状開口部37dが設けられている。
【0042】
さらに、上記第1ハンドル部材37の内部には、第4回動板46と第3回動34と第3連結部材41とが幅方向が規制された状態で配置されている。上記第3回動板34は、挿入部2に対して上下方向(Y方向)が規制され、かつ、第2支持体31の第2枢支軸32(Y0 軸)に対して回動可能に支持されている。また、第3回動板34を中心にしてその上下に第4回動板46、第3連結部材41がそれぞれZa方向、かつ、Y方向に移動可能な状態で配置されている。そして、上記第4回動板46,第3回動板34,第3連結部材41には、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35(X0 軸),ガイドピン40がそれぞれ回動、または、摺動自在に嵌入している。
【0043】
したがって、第1ハンドル部材37は、第3回動板34に支持される第3枢支ピン35(X0 軸)を中心に第1の回動方向である上下の回動方向(回動角αa方向)に回動操作可能であり、かつ、操作部回動枢支軸である第2枢支軸32(Y0 軸)を中心にして第2の回動方向である左右回動方向(回動角αc方向)への回動操作が可能である。
【0044】
上記一対のサイドベース37cには、前述したように複数のサポート37bを介して第1ハンドル部材37の外側対称位置に離間して固着されるがその内幅寸法D0 は、後述するように挿入部2の基端部と干渉することなく、操作部4の所定の左,右方向回動角αcを許容する必要最小幅になっている(図24,25)。
【0045】
上記第2ハンドル部材39は、サポート39bを介して固着される第2グリップ部39aを有している。この第2グリップ部39aは、術者が操作時に人差し指を中指を用いて操作するのに好適な形状を成している。
【0046】
そして、上記第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37の両幅部のサイドベース37cの外側に接した状態で第2支持体31(Z0 軸)の幅方向に対称位置に一対の状態で取り付けられ、かつ、サイドベース37c側の操作部開閉枢支軸である第2開閉枢支ピン38に回動自在に嵌入し、支持されている。
【0047】
したがって、第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37に対して第2開閉枢支ピン38を中心に上記第1の回動方向と同方向(回動角αb方向)に回動操作が可能となる。なお、第2ハンドル部材39の第2開閉枢支ピン38まわりの先端縁辺39eは、サイドベース37cの先端縁辺37eと同一形状を有するように構成してよい。
【0048】
また、第1ハンドル部材37と第2ハンドル部材39の間には、各相対開閉位置にクリック保持するためのラチェット手段と第2ハンドル部材を開放方向に付勢する開放バネ手段が備えられている。
【0049】
さらに、第2ハンドル部材39の第2開閉枢支ピン38の位置から所定距離離間した位置に第5連結ピン49が両幅内部に対向して固着されている。この第5連結ピン49には、その両内側面に一対の第5連結部材44が回動自在に支持されている。
【0050】
なお、上記第5連結部材44の先端部には、第4連結部材43を介して力点軸43aが挿通して固着されている。
【0051】
上記第1ハンドル部材37の内部の第4回動板46,第3回動板34,第3連結部材41の後方部には、枠形状のクレードル50が傾斜角可変の状態で嵌め込まれている。上記クレードル50の枠部には、幅方向に沿って第1,2,3平行ガイドピン51,52,53が挿通しており、それらのガイドピンは、それぞれ上記第4回転板46の第1平行ガイドピン孔46a,第3回動板34の第2平行ガイドピン孔34a,第3連結部材41の第2グルーブ41bに回動、または、摺動自在に嵌入している(図8,9)。
【0052】
なお、上記第1,2,3平行ガイドピン51,52,53は、クレードル50組み付け状態で第1ハンドル37に設けられた第4枢支ピン45、第3枢支ピン35、および、ガイドピン40に対してその後方側に平行、かつ、各々Za,Y方向に各々等しい離間距離の位置に配置されている。
【0053】
上記第3回動板34は、図8,9,11,12に示すように前述したようにその挿入部2側端部が第2支持体31の基端側すり割り部31aに嵌入する第2枢支軸32(Y0 軸)に回動可能に貫通して連結される。
【0054】
さらに、上記第3回動板34には、前述したように第1ハンドル部材37側の第3枢支ピン35が幅方向に回動可能に貫通し、さらに、その後方側でクレードル50の第2平行ガイドピン52が回動可能に嵌合している。なお、上記第3枢支ピン35と上記第2枢支軸32とのZa方向の離間距離は、後述するように所定の距離に設定される。
【0055】
上記第4回動板46には、図8,9に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にてY方向に貫通する2つの第3,4回動ピン47,48が固着されている。上記第3,4回動ピン47,48には、それぞれ第2,3駆動棒6,7の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0056】
さらに、上記第4回動板46には、前述したように第1ハンドル部材37側の第4枢支ピン45がZa方向と垂直な方向に沿って回動可能な状態で貫通し、その後方にクレードル50の第1平行ガイドピン51が回動可能に嵌合している。なお、上記第3,4回動ピン47,48と上記第4枢支ピン45とのZa方向の離間距離は、後述するように所定の距離に設定される。
【0057】
上記第3連結部材41には、図11,12に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にて第4連結ピン42がY方向に貫通して支持されている。上記第4連結ピン42には、第1駆動棒5の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0058】
さらに、上記第3連結部材41には、Za方向に延出する2つの第1グルーブ41aと第2グルーブ41bとが設けられる。上記第1,2グルーブ41a,41bの間には、Za方向と垂直方向の力点軸軸受け孔41cが設けられている。
【0059】
上記第3連結部材41の第1グルーブ41aには、第1ハンドル部材37側のガイドピン40が回動,スライド可能な状態で嵌入する。上記第2グルーブ41bには、クレードル50の第3平行ガイドピン53が回動,スライド可能に嵌入する。
【0060】
上記第3連結部材41の力点軸軸受け孔41cには、第2ハンドル部材39に回動可能に支持される第5連結部材44の先端部に固着された力点軸43aが回動可能な状態で嵌合している。
【0061】
上記第1,2ガード61,62は、図6,10に示すように中央側方に切り欠き部が形成されている部材であって、第2支持体31に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の左右方向(回動角αc方向)の所定の操作回動範囲を上記切り欠き部によって許容し、かつ、挿入部2を保護する。
【0062】
上記第3,4ガード63,64は、図6,10に示すようにそれぞれ第1ハンドル部材37に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の上下方向(回動角αa方向)の所定の操作回動範囲に規制し、かつ、挿入部2を保護する。
【0063】
ここで、操作部4における上記クレードル50の作用をまとめて説明すると、前述したようにクレードル50上に設けられた第1平行ガイドピン51、第2平行ガイド52、および、第3平行ガイドピン53のそれぞれの離間距離は、第1ハンドル37上に設けられた第4枢支ピン45、第3枢支ピン35、および、ガイドピン40のそれぞれの離間距離と等しくなるように設定されている。そして、第3連結部材41の側面の第1グルーブ41aおよび第2グルーブ41bには、それぞれ上記ガイドピン40とクレードル50の上記第3平行ガイドピン53が挿入されている。
【0064】
上記クレードル50の作用によって、第1ハンドル37の第2開閉枢支ピン38を中心にした回動範囲にて、第3回動板34に対して、第4回動板46および第3連結部材41が常に平行なる関係に保持される。このため、第3連結部材41の力点軸受孔41cに印加される力の作用方向が第3連結部材41の水平方向(Z方向)から外れた場合においても、第3連結部材41の水平姿勢が損なわれることがなく、処置部3側の第3連結ピン19と、上記第3連結ピン19に相当する操作部4側の力点軸43aとの平行写像位置関係が確実に維持される。
【0065】
上述した構成を有する操作部4においては、第1ハンドル部材37は、第2ハンドル部材39とともに第3枢支ピン35を中心にして図1に示す位置から図6に示す位置までを第1の回動方向である上下方向に回動操作が可能である(その回動角αa範囲は、約90°)。
【0066】
上記第1ハンドル部材37の回動により、第4枢支ピン45および力点軸43aを介して第4回動板46と第3連結部材41が第3回動板34に対してZa方向に前後移動する。そして、上記第4回動板46と第3連結部材41の相対移動に伴って、第2,3駆動棒6,7と第1駆動棒5とが互いにZ方向に沿って進退する。
【0067】
そのとき、第4回動板46の移動にクレードル50が連動してその傾斜角が変化するが、第3連結部材41は、第1グルーブ41aに嵌入するガイドピン40と、第2グルーブ41bに嵌入するクレードル50の第3平行ガイドピン53によってY方向が規制されるので、第3連結材41が第3回動板34に対して平行、かつ、所定のY方向の離間位置に保持される。
【0068】
また、上記第1ハンドル部材37の上下方向の全回動範囲で第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37に対して第2開閉枢支ピン38を中心にした第1の回動方向と同一の開閉回動方向(回動角αb方向)への回動操作が可能である。この開閉回動操作では、力点軸43aにより第3連結部材41のみが第3回動板34に対してZa方向に進退移動する。その第3連結部材41の進退移動に伴って第1駆動棒5が進退駆動される。
【0069】
さらに、上記第1ハンドル部材37と第2ハンドル部材39が上記各上下回動操作位置および各開閉回動操作位置にあるとき、第1ハンドル部材37を左右に回動操作することにより第3回動板34が第2枢支軸32(Y0 軸)を中心にして第2の回動方向(回動角αc方向)である左右方向に回動可能である。このとき、第3回動板34とともに第4回動板46および第3連結部材41も一体的に左右方向に回動する。上記第4回動板46の左右の回動に伴って第2,3駆動棒6,7が第3,4回動ピン47,48に対して回動する状態で平行状態を保って第1,2支持体8,31上をZ方向に移動する。
【0070】
次に、本実施形態の外科処置具1における操作部と処置部間のリンク機構の軸,ピンの配置関係について、図2,13,14,15等を用いて詳細に説明する。
【0071】
上記処置具1の先端側に処置部3のリンク機構の連結ピン位置関係が図2,13に示されている。図2等に示すように、第1処置片12と第2処置片14は、前述したように第1開閉枢支ピン13によって開閉可能に連結されている。第1処置片12の基端側には、第1枢支ピン11と第2枢支ピン20が嵌入している。第2処置片14の基端側には、第2処置片の脚部14bを介して第1連結ピン15が嵌入している。
【0072】
上記第1処置片12の上記第1枢支ピン11に嵌入される第1回動板10は、第1支持体8のすり割部8aに回動可能に嵌入する第1枢支軸9に連結されるが、上記第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向(Z方向)の離間距離は、所定の離間距離A3 に設定されている。
【0073】
また、第2枢支ピン20に回動自在に嵌入する第2回動板21は、第2,3駆動棒6,7の先端部に回動自在に嵌入する第1回動ピン22、および、第2回動ピン23を介して連結されるが、上記第2枢支ピン20と第1,2回動ピン22,23との前後方向(Z方向)の離間距離は、上記距離A3 と等しく設定することが望ましい。
【0074】
さらに、第1連結ピン15に回動自在に支持される第1連結部材16は、その基端側が第2連結部材18側の第2連結ピン17に回動自在に嵌入して連結されるが、上記第1連結ピン15と第2連結ピン17との前後方向(Z方向)の離間距離は、所定の離間距離A1 を隔てて配置されている。この離間距離A1 は、上記第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向(Z方向)の離間距離A3 と等しく設定されている(A1 =A3 )。
【0075】
一方、挿入部2の基端側の操作部4のリンク機構の連結ピン位置関係は、上記処置部3に対応させた状態で図2,14,15に示されている。
【0076】
図2上で操作部4側に破線で示されている処置片(12),(14)と第1開閉枢支ピン(13)、および、第1連結ピン(15)は、処置部3を挿入部2の先端側から基端側の相当位置へ平行移動した仮想状態を示す。すなわち、本外科用処置具1で処置部3に対する操作部4の連動動作上、処置部3の第1開閉枢支ピン13は、操作部4側の第2開閉枢支ピン38に相当する。また、処置部2の第1連結ピン15は、操作部4側の第5連結ピン49が相当する。その他のピンについても同様に、第1枢支ピン11は、操作部側の第3枢支ピン35に相当する。第2枢支ピン20は、操作部側の第4枢支ピン45に相当する。第1連結ピン15は、操作部側の第5連結ピン49に相当する。第3連結ピン19は、操作部側の力点軸43aに相当する。そして、第1枢支軸9は、操作部側の第2枢支軸32に相当する。
【0077】
操作部4において、前述したように上記第1ハンドル37と第2ハンドル39とは、第2開閉枢支ピン38によって開閉可能に連結されており、第1ハンドル37の端部に上記第3枢支ピン35と第4枢支ピン45とガイドピン40が支持されている。
【0078】
そして、上記第3枢支ピン35の先端側に第3回動板34の第2枢支軸32が配置されている。その第3枢支ピン35と第2枢支軸32とは、前後方向(Za方向)に所定の離間距離A4 を隔てて設けられる。また、第4枢支ピン45の先端側には第4回動板46の第3,4回動ピン47,48が配置されており、上記第4枢支ピン45と第3,4回動ピン47,48との前後方向(Za方向)の離間距離は、上記距離A4 と同一にすることが望ましい。
【0079】
また、第2ハンドル39には第2処置片14の脚部14bにおける第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離と同一の離間距離をもって第2開閉枢支ピン38に対して第5連結ピン49が配置されている。第5連結ピン49の後方側には第1連結ピン15と第3連結ピン19の離間距離と同一の離間距離を隔てて力点軸43aが設けられている。また、第5連結ピン49に対して挿入部側方向に一定の離間距離を隔てた位置に第4連結ピン42が第3連結部材41上の挿入側先端に設けられる。
【0080】
さらに、第5連結ピン49は、図2にて破線で示される上記第1連結ピン15の等価位置にあって、第5連結ピン49の先端側には前後方向(Za方向)の離間距離A2 を隔てて第2連結ピン17に対応する第3連結部材41の第4連結ピン42が配置されている。
【0081】
上記処置部3と操作部4の間には、両者を連結する挿入部のリンク部を構成する各支持体と駆動棒が配置されている。すなわち、第1枢支軸9と第2枢支軸32の間には、前後方向の離間距離L2 を隔てて本外科用処置具1のベースとなる一体の第1,2支持体8,31が配置されている。
【0082】
そして、第1回動ピン22と第3回動ピン47の間、および、第2回動ピン23と第4回動ピン48の間には、それぞれ一定の前後方向の離間距離で隔てられた第2,3駆動棒6,7が配置されている。なお、これらの駆動棒6,7の両回動ピン間の離間距離は、上記離間距離L2 と同一とすることが望ましい。
【0083】
さらに、第2連結ピン17と第4連結ピン42との間には、第1駆動棒5が配置され、上記連結ピン間の前後方向(Z方向)の離間距離L1 で隔てられている。
【0084】
特に、本実施形態の外科用処置具1においては、処置部3と操作部4との間で上記離間距離L1 =L2 となるように構成されている。さらに、上述した処置部3における離間距離A1 =A3 の関係に加えて、処置部3と操作部4の間での離間距離A1 =A2 となるように構成されている。また、処置部3と操作部4の間での上記離間距離A3 、A4 についても離間距離A3 =A4 となるように構成されることが望ましい。さらに、上記以外の処置部3と操作部4とのリンク機構で対応する部分で第2処置片14の脚部14bの長さとなる第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離と、それに対応する操作部4側の第2開閉枢支ピン38と第5連結ピン49の離間距離とも等しくなるように構成されることが望ましい。
【0085】
次に、上述した構成を有する第1の実施形態の外科用処置具1の作用を図16〜23等を用いて説明する。
【0086】
なお、上記図16〜19は、上記外科処置具の各状態での側面図であり、そのうち、図16は、処置部を水平、かつ、真直に保った状態を示し、図17は、図16の水平状態で処置部を開放した状態を示し、図18は、処置部を上方に上げた状態を示し、図19は、図18の状態で処置部を開放した状態を示す。図20,21は、上記外科処置具の下面図であって、そのうち、図20は、処置部を水平に保った状態を示し、図21は、処置部を水平に保ち、さらに、右方向(図21上)に回動させた状態を示す。図22,23は、上記外科処置具の平面図であって、そのうち、図22は、処置部を水平に保った状態を示し、図23は、処置部を水平に保ち、かつ、左方に回動させた状態を示す。
【0087】
本実施形態の外科処置具1において、まず、図16に示す水平状態から第1ハンドル部材37を第3枢支ピン35を中心として下方向に回動角αaだけ回動させると、第2駆動棒6および第3駆動棒7が第1駆動棒5と連動して前後に進退する。その結果、第1処置片12および第2処置片14が回動角αaに等しい回動角βaだけ上方に回動して引き起こされる。すなわち、図16に示される操作部4を水平状態から図18に示される下方に回動角αa=90°だけ回動操作すると、処置部3が上方に回動角βa=90°だけ回動する。
【0088】
また、図21に示すように第1ハンドル部材37を第2枢支軸32を中心として左方向に回動角αcだけ回動させると、第2駆動棒6および第3駆動棒7が相互に前後に進退する。結果として、第1処置片12および第2処置片14が一体で回動角αcに等しい回動角βcだけ右方向に回動される。すなわち、処置部3および操作部4が左右中立状態(図20,22)から操作部4が左側(図23では、右側)に回動操作されると、図21に示されるように処置部3が右側(図23では左側)に回動する。なお、実際には左右中立である状態から左右方向にそれぞれαc=60°ずつの範囲の回動操作が可能である。なお、上下のαa方向と上記左右のαc方向との回動操作は、任意に組み合わせて操作することができる。
【0089】
上記の任意の回動状態において、さらに、第1ハンドル部材37上に設置された第2開閉枢支ピン38周りに第2ハンドル部材39のみを開閉回動操作することによって、第5連結部材44,力点軸43aを介して第3連結部材41が前後に移動するので、第1駆動棒5が前後に進退する。上記第1駆動棒5の進退移動によって、第2連結部材18、第1連結部材16が進退移動し、第1処置片12上に設けられた第1開閉枢支ピン13まわりに第2処置片14が開閉回動する。結果として、図17、または、19に示すように第2ハンドル部材39の任意の開放回動角αbの回動操作により第2処置片14が第1処置片に対して上記角度αbの方向と等しい方向の開放回動角βbだけ開放駆動される。
【0090】
次に、本実施形態の外科処置具1における上記操作部4の左右のαc方向の回動時のハンドル部回りの干渉回避状態について、図24〜27等を用いて詳細に説明する。
【0091】
なお、図24は、上記外科処置具にて第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った状態で、かつ、下方に回動させ、処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。図25は、図24の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。図26は、上記外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図であり、図27は、図26の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【0092】
本実施形態の外科処置具1の操作部3においては、第2ハンドル39を回動可能に支持するための第2開閉枢支ピン38と第1連結部材41を駆動するための第5連結ピン49が、第1ハンドル部材37の幅方向の外方位置に配置されている。したがって、図25,27に示されるように操作部4を下方に下げたとき、あるいは、水平の真直状態で操作部4を左方、または、右方に回動させたときに、上記第2開閉枢支ピン38や第5連結ピン49やそれを支持するサイドベース37c,第2ハンドル39などが挿入部2の第2支持体31等の基端部に干渉しないようにする必要がある。そのために本実施形態では、操作部4のそれぞれ一対のサイドベース37c,第2ハンドル39の幅方向の間隔をサポート37bを第1ハンドル部材37に挟んで組み付けることにより、必要最小限だけ広げた内幅寸法D0 に設定されている。
【0093】
したがって、図25に示されるように、第1ハンドル部材37を下方向に下げた状態で右方向(または、左方向)の限界となる最大回動角αcmax (例えば、60°)まで回動させた場合、挿入部2の基端部に操作部4のサイドベース先端縁辺37eや第2ハンドル先端縁辺39e等が干渉することがない。
【0094】
さらに、図26に示す処置部を水平にした状態であって操作部4の第1ハンドル部材37を水平に保ち、かつ、右方向(または、左方向)の限界となる最大回動角αcmax まで回動させたときも同様に上記内幅寸法D0 が確保されていることから、図27に示すように同様に挿入部2の基端部に操作部4のサイドベース先端縁辺37eや第2ハンドル先端縁辺39e等が干渉することがない。なお、上記最大回動角αcmax の左右回動では、第2指示部材31の操作部側の基端部の稜線と、第1ハンドル37の第3枢支ピン35周囲の稜線とが当接し、操作部4の回動が規制される。
【0095】
以上、説明したように本第1実施形態の外科用処置具1によれば、処置部3の開閉のためのリンク構成を操作部4側に平行移動させた構成を採用するため、操作部4の任意の回動姿勢において、操作部4の操作姿勢に倣って駆動される処置部3側には、操作部4の開閉操作力が効率よく伝達される。
【0096】
さらに、本実施形態の場合、上記操作部4を左右の最大回動角まで回動させたときでも挿入部2の基端部とハンドル部材まわりとが干渉しないように第1ハンドル部材37のサイドベース37c,第2ハンドル部材39の幅が必要最小限寸法に設定されており、操作部4の大型化を回避している。
【0097】
次に、本発明の第2実施形態の外科用処置具用について、図28〜37を用いて説明する。
【0098】
図28は、上記外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。図29は、上記外科用処置具のリンク構成を示す模式線図で下方から見た斜視図である。図30は、上記外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図であり、図31は、上記処置部を下方から見た斜視図である。図32は、上記処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。図33は、上記外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であり、図34は、上記操作部の第2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。図35は、上記操作部の第1,2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図であり、図36は、上記操作部を下方から見た斜視図であり、図37は、上記操作部の第1,2ハンドル部材およびガードを外した状態を下方から見た斜視図である。
【0099】
本実施形態の外科用処置具101は、前記第1の実施形態の外科用処置具1と同様に内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、図28に示すように体内に挿通される挿入部2と、挿入部2の先端側に配置され、縫合,結紮を行うための鉗子部となる処置部103と、挿入部2の基端側に配置され、処置部をリンク機構を介して操作するための第1,第2ハンドル部材137,139を備えた操作部104とを有してなる。
【0100】
上記外科用処置具101は、前記第1の実施形態の外科用処置具1に対してリンク機構の一部が異なるものであって、以下、異なる部分について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明する。
【0101】
上記外科用処置具101の処置部103には、第1の実施形態の処置部3に適用した第3連結ピン19(図3)が存在しない。したがって、図30,31に示すように第2処置片14の基端側は、回動自在な第1連結ピン15を介して第1連結部材116に連結され、第1連結部材116の基端側に第1連結ピン15と垂直方向の回動自在な第2連結ピン17を介して第2連結部材118が連結される。そして、上記第2連結部材118の基端側は、直接、第1駆動棒5に固着され、接続されている。
【0102】
一方、本実施形態の外科用処置具101の操作部104には、第1の実施形態の処置具1の操作部4に適用した第5連結ピン49、第5連結部材44(図7)が存在しない。そして、第2ハンドル部材139上に力点軸143aを有する第4連結部材143を固着して配置し、上記力点軸143aが第3連結部材141に係合している。さらに、本操作部104には、第1実施形態の操作部4に適用したクレードル50およびその周辺に配される嵌合穴やグルーブ等の関連部分も存在しない。したがって、第3回動板134、第4回動板146、第3連結部材141が図34,36に示すように簡単な形状を有している。
【0103】
以下、上記操作部104の詳細な構成について説明すると、上記操作部104は、図33等に示すように、主に回動操作片である第1ハンドル部材137と、開閉操作片である第2ハンドル部材139と、第3,4回動板134,146と、第3,4連結部材141,143と、4つの保護部材である第1,2,3,4ガード161,162,163,164とを有してなる。
【0104】
上記第1ハンドル部材137には、術者が操作時に親指、薬指、および、小指を把持することに好適な形状を成す第1グリップ37aが設けられる。また、上記第1ハンドル部材137の両幅側方には、一対のサイドベース137cが第2支持体31の軸心であるZ軸に対して対称位置にサポート部材37bを介して離間した状態で固着されている。
【0105】
上記サイドベース137cの一端部には、操作部開閉枢支軸である第2開閉枢支ピン38が固着されている。この第2開閉枢支ピン38は、第3枢支ピン35(X0 軸)と平行であり、その軸心は、後述する第3枢支ピン35の軸心から所定距離離間した位置にある。
【0106】
また、上記第1ハンドル部材137の内側には、挿入部2側端部の上記ハンドル部材の延出方向に傾斜した位置に第4枢支ピン45,第3枢支ピン35が挿通して配されている。
【0107】
さらに、上記第1ハンドル部材137の内部には、第3回動板134を中心にして上方側に第4回動板146、下方側に第3連結部材141がそれぞれ幅方向が規制されて配置されている。
【0108】
上記第3回動板134は、挿入部2に対して上下方向(Y方向)が規制され、かつ、第2支持体31の第2枢支軸32(Y0 軸)に対して回動可能である。そして、上記第3回動板134を中心にして第4回動板146、第3連結部材141がそれぞれZa方向、かつ、Y方向に移動可能な状態で配置されている。上記第4回動板146,第3回動板134,3連結部材141には、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35(X0 軸),後述する力点軸143aがZa方向と垂直な方向に沿ってそれぞれ嵌入している。
【0109】
したがって、第1ハンドル部材137は、第3枢支ピン35(X0 軸)を中心に第1の回動方向である上下の回動方向(回動角αa方向)に回動操作可能であり、かつ、操作部回動枢支軸である第2枢支軸32(Y0 軸)を中心に第2の回動方向の左右回動方向(回動角αc方向)に回動操作可能に支持される。
【0110】
上記サイドベース137cは、前述したように複数のサポート37bを介して第1ハンドル部材137に固着されるが、その内幅寸法D1 は、後述するように挿入部2の基端部と干渉することなく、操作部104の所定の左,右方向回動角αcを許容する必要最小幅になっている(図38,39)。
【0111】
上記第2ハンドル部材139は、サポート39bを介して固着される第2グリップ部39aを有している。この第2グリップ部39aは、術者が操作時に人差し指を中指を用いて操作することに好適な形状を成している。
【0112】
そして、上記第2ハンドル部材139は、サイドベース137cの外側に接した状態で第2支持体31(Z0 軸)の幅方向に対称位置に一対の状態で取り付けられ、かつ、サイドベース137c側の第2開閉枢支ピン38に嵌入して回動自在に支持されている。
【0113】
したがって、第2ハンドル部材139は、第1ハンドル部材137に対して第2開閉枢支ピン38を中心に上記第1の回動方向と同方向(回動角αb方向)の開閉回動操作が可能となる。なお、第2ハンドル部材139の第2開閉枢支ピン38まわりの先端縁辺139eは、サイドベース137cの先端縁辺137eと一致する形状を有する。
【0114】
また、第1ハンドル部材137と第2ハンドル部材139の間には、各相対開閉位置にクリック保持するためのラチェット手段と両ハンドル部材を開放方向に付勢する開放バネ手段が備えられている。
【0115】
さらに、一対の第2ハンドル部材139の第2開閉枢支ピン38の位置から所定距離離間した位置に一対の第4連結部材143が内側に対向して固着されている。この第4連結部材143には、その両内側面に力点軸143aが支持されている。
【0116】
上記第3回動板134は、図35,37に示すように挿入部2側端部にて第2支持体31の基端側すり割り部に嵌入する第2枢支軸32(Y0 軸)に回動可能に貫通して連結される。
【0117】
さらに、上記第3回動板134には、前述したように第1ハンドル部材137側の第3枢支ピン35がZa方向と垂直な方向に回動可能に貫通している。なお、上記第3枢支ピン35と上記第2枢支軸32とのZa方向の離間距離は、所定の距離に設定される。
【0118】
上記第4回動板146には、図35,37に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にY方向に貫通する2つの第3,4回動ピン47,48が固着されている。なお、上記第3,4回動ピン47,48には、それぞれ第2,3駆動棒6,7の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0119】
さらに、上記第4回動板146には、前述したように第1ハンドル部材137側の第4枢支ピン45がZa方向と垂直な方向)に沿っ回動可能な状態で貫通している。なお、上記第3,4回動ピン47,48と上記第4枢支ピン45とのZa方向の離間距離は、所定の距離に設定される。
【0120】
上記第3連結部材141には、図11,12に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にて第4連結ピン42がY方向に貫通している。なお、上記第4連結ピン42には、それぞれ第1駆動棒5の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0121】
さらに、上記第3連結部材141には、Za方向と垂直な方向の力点軸軸受け孔141cが設けられている。上記力点軸軸受け孔141cには、第2ハンドル部材139に支持される力点軸143aが回動可能な状態で挿通する。
【0122】
上記第1,2ガード161,162は、図33,36に示すように基端側に切り欠き部が形成されている部材であって、第2支持体31に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材137の左右方向の操作回動角αcの所定の動作範囲を上記切り欠き部によって許容し、かつ、挿入部2を保護する。
【0123】
上記第3,4ガード163,164は、図33,36に示すようにそれぞれ第1ハンドル部材137に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の上下方向の操作回動角αaを所定の動作範囲に規制し、かつ、挿入部2を保護する。
【0124】
ここで、上述した外科処置具101における操作部と処置部のリンク機構の軸,ピンの配置関係について図29を用いて詳細に説明する。
【0125】
本外科処置具101においても前記外科処置具1の場合と同様に第2連結ピン17と第4連結ピン42との前後方向(Z方向)の離間距離L1 と、第1枢支軸9と第2枢支軸32との前後方向(Z方向)の離間距離L2 とは、互いに等しくなるように構成されている(L1 =L2 )。
【0126】
さらに、処置部103側において、第1連結ピン15と第2連結ピン17の前後方向(Z方向)の離間距離A1 と、第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向の離間距離A3 とは、互いに等しくなるように構成されている(A1 =A3 )。
【0127】
また、上記処置部103側の第1連結ピン15と第2連結ピン17の前後方向の前後方向の離間距離A1 と、それに対応する操作部104側の第4連結ピン42と力点軸143aとの前後方向の離間距離A2 とも等しくなるように構成されている(A1 =A2 )。
【0128】
また、操作部104側の第2枢支軸32と第3枢支ピン35の離間距離A4 は、処置部103側の上記離間距離A3 と等しくなるように構成されることが望ましい(A4 =A3 )。
【0129】
さらに、上記以外の処置部103と操作部104とのリンク機構で対応する部分であって、第2処置片14の脚部14bの長さとなる第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離に対して、それに対応する操作部104側の第2開閉枢支ピン38と力点軸143aとの離間距離も等しくなるように構成されることが望ましい。
【0130】
上述した構成を有する本第2実施形態の外科処置具101においても第1実施形態の場合と同様に操作部104の第1,2ハンドル部材137,139を一体の状態で上,下方向(回動角αa方向)、または、左,右方向(回動角αc方向)に回動操作すると、処置部103の第1,2処置片12,14が下,上方向(回動角βa方向)、または、右,左方向(回転角βc方向)に略同角度だけ回動駆動される。さらに、第2ハンドル部材139を第1ハンドル部材137に対して開閉方向(回動角αb方向)に回動させると、処置部103の第2処置片14が第1処置片12に対して開閉駆動される。
【0131】
本第2の実施形態の外科処置具101では、前記第1実施形態のものと比較して上下回動の範囲(回動角αaの範囲)が若干制約される。すなわち、図30,33に示される状態が処置部103と操作部104の上下回動の最大屈曲姿勢となる。具体的には上下方向回動の範囲は、処置部103と操作部104とが挿入部2と水平となる状態(回動角αa=0°)から、上記図30,33に示されるように処置部103と操作部104とが挿入部2に対して回動角αa=60°を成す範囲となる。これは、前述したように処置部103では、第1実施形態における第3連結ピン19を除いて構成したことにより、第1,2連結部材116,118が第1支持体8と干渉し、第2処置片14の回動が規制されるからである。しかし、左右方向の回動範囲(回動角αc)は、損なわれていないため、本実施形態の外科用手術処置具101は、前記第1の実施形態のものと略同等に使用することが可能である。
【0132】
また、本実施形態の外科処置具101では、操作部104を左右方向に回動操作した場合、例えば、処置部103の第1,2処置片12,14を上方に回動角αa=60°立ち上げた状態、および、水平に保った状態で操作部104を左右に回動操作した場合、第1ハンドル部材137のサイドベース137c,第2開閉枢支ピン38,第2ハンドル部材139が挿入部2の基端部に干渉することがない必要最小寸法である内幅寸法D1 に上記サイドベース137cの内幅が設定されている。
【0133】
図38は、上記外科処置具101にて第1ハンドル部材を左右に回動させない状態で、かつ、下方に下げて処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。図39は、図38の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。図40は、上記外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図であり、図41は、図40の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【0134】
上記図38に示す操作部104を下げた状態から最大回動角αcmax (例えば、60°)だけ右方向に回動させた場合、図39に示すように挿入部2の第2支持体31等にサイドベース137cの先端縁辺137eや第2ハンドル部材139の先端縁辺139eや第2開閉枢支ピン38が干渉することがない。
【0135】
同様に図40に示す操作部104を水平に保った状態から最大回動角αcmax (例えば、60°)だけ右方向に回動させた場合、図41に示すように挿入部2の第2支持体31等にサイドベース137cの縁辺137eや第2ハンドル部材139の縁辺139eや第2開閉枢支ピン38が干渉することがない。
【0136】
なお、上記操作部104の回動操作方向が左方向の回動であっても同様に操作部104の挿入部2の第2支持体31への干渉はない。また、上記最大回動角αcmax の左右回動状態では、前記第1の実施形態の場合と同様にストッパ機能が働き、操作部4の上記回動が規制されるものとする。
【0137】
上述のように第2実施形態の外科用処置具101によれば、前記第1実施形態と同様に処置部103の開閉のためのリンク機構が操作部104側に平行移動して配置され、かつ、操作部104が挿入部2に対して離間した構成を有しているために、任意の回動姿勢における操作部104との開閉操作を一致させることができ、操作部104側の操作力が効率よく処置側に伝達される。さらに、任意の回動姿勢における操作部104の挿入部2への干渉が発生することがなく、操作性が向上する。
【0138】
【発明の効果】
本発明によれば、より少ない部品構成によって、全ての回動姿勢における処置部および操作部の開閉特性を向上させることができ、構成の簡素化を図られるとともに、全ての回動姿勢で操作部の挿入部への干渉を避けることができる多自由度鉗子装置である外科処置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。
【図2】上記図1の外科用処置具のリンク構成を示す模式的線図であって、下方から見た斜視図である。
【図3】上記図1の外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。
【図4】上記図1の外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。
【図5】上記図1の外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。
【図6】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。
【図7】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードの一部を取り外した状態を示す。
【図8】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードすべてを取り外した状態を示す。
【図9】上記図1の外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガード、さらに、クレードルを取り外した状態を上方から見た斜視図である。
【図10】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。
【図11】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードを取り外した状態を示す。
【図12】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図であって、ハンドル、ガード、および、クレードルを取り外した状態を示す。
【図13】上記図1の外科用処置具の処置部における各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図14】上記図1の外科用処置具の操作部における各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図15】上記図1の外科用処置具の操作部におけるハンドル部材、ガード、および、クレードルを取り外した状態での各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図16】図1の外科用処置具の側面図であって、処置部を水平、かつ、真直に保った状態を示す。
【図17】図1の外科用処置具の側面図であって、図16の水平状態で処置部を開放した状態を示す。
【図18】図1の外科用処置具の側面図であって、処置部を上方に上げた状態を示す。
【図19】図1の外科用処置具の側面図であって、図18の状態で処置部を開放した状態を示す。
【図20】図1の外科用処置具の下面図であって、処置部を水平に保った状態を示す。
【図21】図1の外科用処置具の下面図であって、処置部を水平に保ち、さらに、右方向に回動させた状態を示す。
【図22】上記図1の外科処置具の平面図であって、処置部を水平に保った状態を示す。
【図23】上記図1の外科処置具の平面図であって、処置部を水平に保ち、かつ、左方に回動させた状態を示す。
【図24】上記図1の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った状態で、かつ、下方に回動させ、処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。
【図25】上記図1の外科処置具において、上記図24の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態での操作部まわりの平面図である。
【図26】上記図1の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図である。
【図27】上記図1の外科処置具において、図26の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【図28】本発明の第2の実施形態である外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。
【図29】上記図28の外科用処置具のリンク構成を示す模式線図であって、下方から見た斜視図である。
【図30】上記図28の外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。
【図31】上記図28の外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。
【図32】上記図28の外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。
【図33】上記図28の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。
【図34】上記図28の外科用処置具の操作部の第2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。
【図35】上記図28の外科用処置具の操作部のハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。
【図36】上記図28の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。
【図37】上記図28の外科用処置具の操作部のハンドル部材およびガードを外した状態を下方から見た斜視図である。
【図38】上記図28の外科処置具にて第1ハンドル部材をZ方向に保ち、かつ、下方に下げて処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。
【図39】上記図28の外科処置具にて図38の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【図40】上記図28の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図である。
【図41】上記図28の外科処置具にて図40の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【符号の説明】
1,101
…外科用処置具
2 …挿入部
3,103
…処置部
4,104
…操作部
5 …第1駆動棒(駆動棒)
6 …第2駆動棒(駆動棒)
7 …第3駆動棒(駆動棒)
8 …第1支持体(支持体)
9 …第1枢支軸(処置部回動枢支軸)
12 …第1処置片(回動処置片)
13 …第1開閉枢支ピン(処置部開閉枢支軸)
14 …第2処置片(開閉処置片)
31 …第2支持体(支持体)
32 …第2枢支軸(操作部回動枢支軸)
37,137
…第1ハンドル部材(回動操作片)
38 …第2開閉枢支ピン(操作部開閉枢支軸)
39,139
…第2ハンドル部材(開閉操作片)
αa…第1の回動方向の回動角
αb…第1の回動方向と一致する方向の回動角
αc…第2の回動方向の回動角
【発明の属する技術分野】
この発明は、術者が挿入部の基端部に設けられた操作部を把持し、先端部の処置部を回動および開閉して外科手術、特に内視鏡下の外科手術が可能な外科用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科手術を行うための外科用処置具としては、例えば、USP5,275,608号公報、USP5,702,408号公報、USP5,383,888号公報、及び、USP4,763,669号公報等に提案されたものがが知られている。
【0003】
上記USP5,275,608号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉可能な処置部と、前記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。上記処置部は、開閉以外にハンドル操作によって一対の処置部を同―平面内で回動できるように構成されている。
【0004】
上記USP5,702,408号公報に提案された外科処置具は、リンクレバー状の第1のリンクと、第1のリンクに接続された第2および第3のリンクとを有しており、上記第2および第3のリンクは、互いに内側に移動可能であるとともに、両リンク端部に第4のリンクが接続されている。そして、第1のリンクを第1の方向に回動すると、第4のリンクも第1の方向に回動する平行リンクにより、処置部と操作部が同じ角度になるように構成したものである。
【0005】
上記USP5,383,888号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉及び回動可能な処置部と、上記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。そして、上記ハンドルによって処置部を開閉するとともに、ハンドル側に設けられたレバーによって操作ワイヤを進退させ、処置部を回動させるように構成したものである。
【0006】
上記USP4,763,669号公報に提案された外科処置具は、シャフトと、このシャフトの先端部に設けられた開閉および回動可能な処置部と、前記シャフトの基端部に設けられたハンドルとから構成されている。ハンドルによって処置部を開閉するとともに、ハンドル側に設けられたレバーによってプツシュロツドを進退させ、処置部を回動させるように構成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の各外科用処置具は、回動平面が一面のみであるものが殆どであり、特に組織を縫合・結紮などの複雑な操作を実現させるためには回動の自由度が不十分であることが否めない。
【0008】
また、前述の外科用処置具においては、操作部側から処置部を回動及び回転できるものの、操作部に片手の親指及び親指以外の指を掛けたまま、その同一の片手のみの操作により処置部を回動させて目的の部位にアプローチし、さらには処置部を開閉させることが困難であるものが殆どであり、同様に縫合・結紮操作ヘの転用は困難である。さらには、回動が任意で、かつ片手で回動及び開閉操作が実施し得る外科用処置具は存在しなかった。
【0009】
それらの問題を解決するため、本出願人は、先に特願2001−119901号にて先端処置部が回動可能な外科用処置具を提案している。この外科用処置具は、先端処置部を上下左右に回動操作させるとともに先端処置部の開閉を片手のみで操作可能とする操作性に優れた装置である。また、回動および開閉操作を剛性を有する駆動棒を含むリンク機構により構成しているため、操作自体に剛性が保たれ不要な遊びを発生させることがなく、確実な操作が可能である。
【0010】
また、先端処置部を開閉するための開閉軸と、操作部を開閉操作させるための開閉軸とは、外科用処置部の主軸に関して互いに相反する側に配置されている。この構成は、全ての回動操作において操作部のリンクが外科用処置具自体に干渉することなく、且つ操作部をコンパクトに構成することを可能とするものである。
【0011】
しかしながら、前記開閉軸の配置では回動操作とのマッチングが完全ではなく、特に先端処置部を大きく開放させて使用する場合には、回動による姿勢変化により先端処置部の開放角度が縮小してしまうことがあった。
【0012】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、全ての操作回動姿勢において、先端処置部の開閉操作と操作部の開閉操作との一致を実現可能な構造であり、かつ、操作部の干渉を防止し、操作性の優れた外科用処置具を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の外科用処置具は、挿入部と、前記挿入部の先端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能及び相互に開閉可能な処置部と、前記挿入部の基端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能及び相互に開閉可能な操作部と、前記処置部と前記操作部とを支持する支持体と、前記支持体に平行または略平行に配置される進退自在な複数の駆動棒とを有してなる外科用処置具において、前記操作部は、前記支持体基端部に設けられた操作部回動枢支軸によって枢支される回動操作片と、前記回動操作片上に設けられた操作部開閉枢支軸によって枢支された開閉操作片とを有してなり、前記開閉操作片は、少なくとも前記操作部開閉枢支軸上に関して前記支持体の主軸から離間した状態で配置されている。
【0014】
本発明の請求項2に記載の外科用処置具は、請求項1に記載の外科用処置具において、前記開閉操作片は、前記支持体の主軸に対して前記操作部開閉枢支軸の軸方向に相互に離間して対称に配置されている。
【0015】
本発明の請求項3に記載の外科用処置具は、請求項1、または、2に記載の外科用処置具において、前記回動操作片は、第1の回動方向、および、前記第1の方向に垂直なる第2の方向に回動可能に構成され、前記開閉操作片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されている。
【0016】
本発明の請求項4に記載の外科用処置は、請求項1乃至請求項3記載の外科用処置具において、前記処置部は、前記支持体先端部に設けられた処置部回動枢支軸によって枢支された回動処置片と、該回動処置片上に設けられた処置部開閉枢支軸によって枢支された開閉処置片とから構成され、前記開閉処置片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1〜図25は、本発明における第1の実施形態である外科用処置具に関する図である。そのうち、図1は、上記外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。図2は、上記外科用処置具のリンク構成を示す模式的線図であって、下方から見た斜視図である。図3は、上記外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。図4は、上記外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。図5は、上記外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。図6は、上記外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。図7は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガードの一部を取り外した状態を上方から見た斜視図である。図8は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガードすべてを取り外した状態を上方から見た斜視図である。図9は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガード、さらに、クレードルを取り外した状態を上方から見た斜視図である。
【0018】
さらに、図10は、上記外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。図11は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドルおよびガードを取り外した状態を下方から見た斜視図である。図12は、上記外科用処置具の操作部にて、ハンドル、ガード、および、クレードルを取り外した状態を下方から見た斜視図である。さらに、図13は、上記外科用処置具の処置部における各ピンの位置関係を示す側面図である。図14は、上記外科用処置具の操作部における各ピンの位置関係を示す側面図である。図15は、上記外科用処置具の操作部におけるハンドル部材、ガード、および、クレードルを取り外した状態での各ピンの位置関係を示す側面図である。
【0019】
なお、以下の説明において、図1,2等に示すように外科用処置具の後述する挿入部2(後述)のZ0 軸(支持体軸心)に沿う方向をZ方向(水平方向)とし、上記Z方向に直交する方向をY方向(上下方向)とする。
【0020】
また、操作部4(後述)に関して図2に示すように第2枢支軸32(後述)を通るY方向の軸心をY0 軸とする。さらに、第3枢支ピン35(後述)を通る水平方向の軸心をX0 軸とする。上記X0 軸と直交し、操作部4の幅に沿った方向をZa方向とする(操作部4が真直状態にあるときは、Z方向と一致する)。
【0021】
そして、操作部4の上記X0 軸まわりの上下方向の回動方向を第1の回動方向とし、その回動角をαaで示す。操作部4の第1ハンドル部材37(後述)と第2ハンドル部材39(後述)の上記第1の回動方向と同方向の開閉回動角をαbで示す。さらに、上記Y0 軸まわりの操作部4の左右方向の回動方向を第2の回動方向とし、その回動角をαcで示す。
【0022】
一方、処置部3(後述)に関しても図2に示すように第1枢支軸9(後述)を通るY方向の軸心をY1 軸とする。また、第1枢支ピン11(後述)を通る水平方向の軸心をX1 軸とする。
【0023】
そして、処置部3の第1処置片12(後述)のX1 軸まわりの上記第1の回動方向と一致する上下方向の回動角をβaで示し、第2処置片14(後述)の第1処置片12に対する開閉回動角をβbで示す。さらに、第1処置片12の上記第2の回動方向と一致するY1 軸まわりの左右方向の回動角をβcで示す。
なお、後述する第2実施形態の説明においても上記方向および角度は、同じ符号で示す。
【0024】
本実施形態の外科用処置具1は、内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、トロッカーを介して患者の体内に挿入部の先端に配置される処置部を挿入して、操作部により上記処置部の姿勢を操作しながら体内の患部の手術処置を行うことができる。例えば、上記処置部を持針器として適用すれば、上記挿入部および操作部を回動操作することにより体内患部の縫合を行うことができる。
【0025】
上記外科用処置具1は、図2に示すように体内へ挿通される挿入部2と、挿入部2の先端側に配置され、縫合,結紮を行うための鉗子部となる処置部3と、挿入部2の基端側に配置され、処置部3をリンク機構を介して操作するための第1,第2ハンドル部材37,39を備えた操作部4とを有してなる。
【0026】
上記挿入部2は、図1に示すようにトロッカーに挿入可能なシース2aで覆われており、挿入部2の基端側には、操作部4に対する気密手段であるシール部2bが配置されている。さらに、図3〜5,6〜8に示すように上記挿入部2には、挿入部2に固定支持され、挿入部2の沿ったZ方向に延出し、主軸(Z0 軸)を有する高剛性の一体真直形状の処置部側第1支持体8,操作部側第2支持体31と、上記支持体8,31の下側に配置され、Z方向に進退可能な真直細径状の第1駆動棒5と、上記支持体8,31の上側に配置され、Z方向に進退可能で上記第1駆動棒5と平行な状態で、かつ、互いに平行、または、略平行に配置される2本の真直細径状の第2駆動棒6,第3駆動棒7とを有してなる。そして、上記第1支持体8の処置部側先端には、すり割部8aが設けられ、上記第2支持体31の操作部側先端には、すり割部31aが設けられている。
【0027】
上記第1駆動棒5は、処置部3を開閉駆動するための開閉リンクを構成する部材であって、上記第2,3駆動棒6,7は、それぞれが処置部3を回動駆動するための回動リンクを構成する部材である。
【0028】
上記処置部3は、図3等に示すように主に開閉可能な回動処置片である第1処置片12と、第1処置片12に対して開閉駆動される開閉処置片の第2処置片14と、第1処置片12を上下,左右方向に回動可能に支持する第1回動板10と、第1処置片12を左右方向に回動するための第2回動板21と、第2処置片14を開閉駆動するための第1連結部材16と、第1連結部材16,第1駆動棒5の間に連結される第2連結部材18とを有してなる。
【0029】
上記第1処置片12は、把持部12aと屈曲部12bを有しており、幅方向に貫通する処置部開閉枢支軸である第1開閉枢支ピン13と、屈曲部12bを貫通し、上記枢支ピン13に平行な処置部回動支持軸である第2枢支ピン20と、第1枢支ピン11とを有している。
【0030】
上記第2処置片14は、把持部14aと脚部14bを有しており、第1処置片12に対して処置部開閉枢支軸である第1開閉枢支ピン13によって開閉回動自在に支持されている。上記脚部14bの下端部には、第1連結ピン15が回動可能に嵌入している。
【0031】
上記第1処置片12の把持面12aと第2処置片14の把持面14aが対向しており、第1開閉枢支ピン13にて第2処置片14が開閉回動されて、上記把持面12a,14aで対象物を把持することができる。図5に示されるように、該把持面12a,14aには必要に応じて凹凸加工が施されており、把持対象物である縫合針、縫合糸、または、生体組織等を確実に把持することができる。
【0032】
上記第1回動板10は、第1支持体8のすり割部8a側の処置部回動枢支軸である第1枢支軸9(Y1 軸)を介して回動自在に支持される。この第1回動板10の第1処置片12側は、上記Y1 軸に対して垂直な方向の第1枢支ピン11(X1 軸)が回動可能に嵌入している。
【0033】
上記第2回動板21は、第2,第3駆動棒6,7の処置部側先端にて所定の幅だけ左右に離間するY方向の2つの第1,2回動ピン22,23にて回動可能に支持される。この第2回動板21の処置部側は、第1処置片12の上記回動ピン22,23と垂直方向の第2枢支ピン20に回動自在に支持されている。なお、第2枢支ピン20と上記第1枢支ピン11とは、互いに平行に、かつ、比較的近傍位置に配置されている。
【0034】
上記第1連結部材16は、一方が上記第1開閉枢支ピン13と平行な第2処置片14の第1連結ピン15に回動可能に連結され、他方が第1連結ピン15に垂直な方向の第2連結部材18側の第2連結ピン17に回動自在に連結されている。さらに、上記第2連結部材18は、その基端側が第2連結ピン17と垂直な方向の第3連結ピン19に回動自在に連結されている。なお、上記第3連結ピン19は、第1駆動棒5の処置部側端部に固定支持されている連結ピンである。
【0035】
上述した処置部3において、第1駆動棒5を前方に移動させ、第2,3駆動棒6,7を後方に移動させると、第1連結部材16および第2回動板21が前進および後退移動し、第1処置片12が第2処置片14とともに第1枢支ピン11(X1 軸)を中心にして上方に向けて回動角βaの方向に回動する。
【0036】
また、第1駆動棒5のみをZ方向に進退移動させると、第2連結部材18と第1連結部材16を介して第2処置片14が押圧、または、引っ張られて第1開閉枢支ピン13を中心にして回動角βbの方向に開閉回動する。
【0037】
さらに、第1,2駆動棒6,7をZ方向に互いに前後移動させると、第2回動板21が第1支持体8に対して傾斜し、第1処置片12が第2処置片14とともに第1枢支軸9(Y1 軸)を中心に左右の回動角βcの方向に回動する。
【0038】
上記操作部4は、挿入部2の基端側に配置され、図6〜12に示すように挿入部2の基端側に上記第2支持体31および第1,2,3駆動棒5,6,7に連結され、上記処置部3を回動操作するための操作部である。その操作部4は、主に回動操作片である第1ハンドル部材37と、開閉操作片である第2ハンドル部材39と、第3,4回動板34,46と、第3,4,5連結部材41,43,44と、クレードル50と、4つの保護部材である第1,2,3,4ガード61,62,63,64とを有してなる。
【0039】
上記第1ハンドル部材37には、図6に示すように、術者が操作時に親指、薬指、および、小指を把持することに好適な形状を成す第1グリップ37aが設けられる。上記第1ハンドル部材37の両幅側外方には、サポート部材37bを介して第2支持体31の軸心であるZ0 軸に対して対称位置に離間した状態で一対のサイドベース37cが配置され、固着されている。
【0040】
上記一対のサイドベース37cの一端部には、第2開閉枢支ピン38が固着されている。この第2開閉枢支ピン38は、後述する第3枢支ピン35(X0 軸)と平行であり、その軸心は、第3枢支ピン35の延長位置から所定距離離間した位置にある。
【0041】
また、上記第1ハンドル部材37の内側には、挿入部2側端部のハンドル部材延出方向に対して傾斜した線上に沿って第4枢支ピン45,第3枢支ピン35,ガイドピン40が固着されている。また、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35とガイドピン40の配設部下方には、力点軸43aが移動可能に挿通するための扇状開口部37dが設けられている。
【0042】
さらに、上記第1ハンドル部材37の内部には、第4回動板46と第3回動34と第3連結部材41とが幅方向が規制された状態で配置されている。上記第3回動板34は、挿入部2に対して上下方向(Y方向)が規制され、かつ、第2支持体31の第2枢支軸32(Y0 軸)に対して回動可能に支持されている。また、第3回動板34を中心にしてその上下に第4回動板46、第3連結部材41がそれぞれZa方向、かつ、Y方向に移動可能な状態で配置されている。そして、上記第4回動板46,第3回動板34,第3連結部材41には、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35(X0 軸),ガイドピン40がそれぞれ回動、または、摺動自在に嵌入している。
【0043】
したがって、第1ハンドル部材37は、第3回動板34に支持される第3枢支ピン35(X0 軸)を中心に第1の回動方向である上下の回動方向(回動角αa方向)に回動操作可能であり、かつ、操作部回動枢支軸である第2枢支軸32(Y0 軸)を中心にして第2の回動方向である左右回動方向(回動角αc方向)への回動操作が可能である。
【0044】
上記一対のサイドベース37cには、前述したように複数のサポート37bを介して第1ハンドル部材37の外側対称位置に離間して固着されるがその内幅寸法D0 は、後述するように挿入部2の基端部と干渉することなく、操作部4の所定の左,右方向回動角αcを許容する必要最小幅になっている(図24,25)。
【0045】
上記第2ハンドル部材39は、サポート39bを介して固着される第2グリップ部39aを有している。この第2グリップ部39aは、術者が操作時に人差し指を中指を用いて操作するのに好適な形状を成している。
【0046】
そして、上記第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37の両幅部のサイドベース37cの外側に接した状態で第2支持体31(Z0 軸)の幅方向に対称位置に一対の状態で取り付けられ、かつ、サイドベース37c側の操作部開閉枢支軸である第2開閉枢支ピン38に回動自在に嵌入し、支持されている。
【0047】
したがって、第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37に対して第2開閉枢支ピン38を中心に上記第1の回動方向と同方向(回動角αb方向)に回動操作が可能となる。なお、第2ハンドル部材39の第2開閉枢支ピン38まわりの先端縁辺39eは、サイドベース37cの先端縁辺37eと同一形状を有するように構成してよい。
【0048】
また、第1ハンドル部材37と第2ハンドル部材39の間には、各相対開閉位置にクリック保持するためのラチェット手段と第2ハンドル部材を開放方向に付勢する開放バネ手段が備えられている。
【0049】
さらに、第2ハンドル部材39の第2開閉枢支ピン38の位置から所定距離離間した位置に第5連結ピン49が両幅内部に対向して固着されている。この第5連結ピン49には、その両内側面に一対の第5連結部材44が回動自在に支持されている。
【0050】
なお、上記第5連結部材44の先端部には、第4連結部材43を介して力点軸43aが挿通して固着されている。
【0051】
上記第1ハンドル部材37の内部の第4回動板46,第3回動板34,第3連結部材41の後方部には、枠形状のクレードル50が傾斜角可変の状態で嵌め込まれている。上記クレードル50の枠部には、幅方向に沿って第1,2,3平行ガイドピン51,52,53が挿通しており、それらのガイドピンは、それぞれ上記第4回転板46の第1平行ガイドピン孔46a,第3回動板34の第2平行ガイドピン孔34a,第3連結部材41の第2グルーブ41bに回動、または、摺動自在に嵌入している(図8,9)。
【0052】
なお、上記第1,2,3平行ガイドピン51,52,53は、クレードル50組み付け状態で第1ハンドル37に設けられた第4枢支ピン45、第3枢支ピン35、および、ガイドピン40に対してその後方側に平行、かつ、各々Za,Y方向に各々等しい離間距離の位置に配置されている。
【0053】
上記第3回動板34は、図8,9,11,12に示すように前述したようにその挿入部2側端部が第2支持体31の基端側すり割り部31aに嵌入する第2枢支軸32(Y0 軸)に回動可能に貫通して連結される。
【0054】
さらに、上記第3回動板34には、前述したように第1ハンドル部材37側の第3枢支ピン35が幅方向に回動可能に貫通し、さらに、その後方側でクレードル50の第2平行ガイドピン52が回動可能に嵌合している。なお、上記第3枢支ピン35と上記第2枢支軸32とのZa方向の離間距離は、後述するように所定の距離に設定される。
【0055】
上記第4回動板46には、図8,9に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にてY方向に貫通する2つの第3,4回動ピン47,48が固着されている。上記第3,4回動ピン47,48には、それぞれ第2,3駆動棒6,7の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0056】
さらに、上記第4回動板46には、前述したように第1ハンドル部材37側の第4枢支ピン45がZa方向と垂直な方向に沿って回動可能な状態で貫通し、その後方にクレードル50の第1平行ガイドピン51が回動可能に嵌合している。なお、上記第3,4回動ピン47,48と上記第4枢支ピン45とのZa方向の離間距離は、後述するように所定の距離に設定される。
【0057】
上記第3連結部材41には、図11,12に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にて第4連結ピン42がY方向に貫通して支持されている。上記第4連結ピン42には、第1駆動棒5の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0058】
さらに、上記第3連結部材41には、Za方向に延出する2つの第1グルーブ41aと第2グルーブ41bとが設けられる。上記第1,2グルーブ41a,41bの間には、Za方向と垂直方向の力点軸軸受け孔41cが設けられている。
【0059】
上記第3連結部材41の第1グルーブ41aには、第1ハンドル部材37側のガイドピン40が回動,スライド可能な状態で嵌入する。上記第2グルーブ41bには、クレードル50の第3平行ガイドピン53が回動,スライド可能に嵌入する。
【0060】
上記第3連結部材41の力点軸軸受け孔41cには、第2ハンドル部材39に回動可能に支持される第5連結部材44の先端部に固着された力点軸43aが回動可能な状態で嵌合している。
【0061】
上記第1,2ガード61,62は、図6,10に示すように中央側方に切り欠き部が形成されている部材であって、第2支持体31に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の左右方向(回動角αc方向)の所定の操作回動範囲を上記切り欠き部によって許容し、かつ、挿入部2を保護する。
【0062】
上記第3,4ガード63,64は、図6,10に示すようにそれぞれ第1ハンドル部材37に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の上下方向(回動角αa方向)の所定の操作回動範囲に規制し、かつ、挿入部2を保護する。
【0063】
ここで、操作部4における上記クレードル50の作用をまとめて説明すると、前述したようにクレードル50上に設けられた第1平行ガイドピン51、第2平行ガイド52、および、第3平行ガイドピン53のそれぞれの離間距離は、第1ハンドル37上に設けられた第4枢支ピン45、第3枢支ピン35、および、ガイドピン40のそれぞれの離間距離と等しくなるように設定されている。そして、第3連結部材41の側面の第1グルーブ41aおよび第2グルーブ41bには、それぞれ上記ガイドピン40とクレードル50の上記第3平行ガイドピン53が挿入されている。
【0064】
上記クレードル50の作用によって、第1ハンドル37の第2開閉枢支ピン38を中心にした回動範囲にて、第3回動板34に対して、第4回動板46および第3連結部材41が常に平行なる関係に保持される。このため、第3連結部材41の力点軸受孔41cに印加される力の作用方向が第3連結部材41の水平方向(Z方向)から外れた場合においても、第3連結部材41の水平姿勢が損なわれることがなく、処置部3側の第3連結ピン19と、上記第3連結ピン19に相当する操作部4側の力点軸43aとの平行写像位置関係が確実に維持される。
【0065】
上述した構成を有する操作部4においては、第1ハンドル部材37は、第2ハンドル部材39とともに第3枢支ピン35を中心にして図1に示す位置から図6に示す位置までを第1の回動方向である上下方向に回動操作が可能である(その回動角αa範囲は、約90°)。
【0066】
上記第1ハンドル部材37の回動により、第4枢支ピン45および力点軸43aを介して第4回動板46と第3連結部材41が第3回動板34に対してZa方向に前後移動する。そして、上記第4回動板46と第3連結部材41の相対移動に伴って、第2,3駆動棒6,7と第1駆動棒5とが互いにZ方向に沿って進退する。
【0067】
そのとき、第4回動板46の移動にクレードル50が連動してその傾斜角が変化するが、第3連結部材41は、第1グルーブ41aに嵌入するガイドピン40と、第2グルーブ41bに嵌入するクレードル50の第3平行ガイドピン53によってY方向が規制されるので、第3連結材41が第3回動板34に対して平行、かつ、所定のY方向の離間位置に保持される。
【0068】
また、上記第1ハンドル部材37の上下方向の全回動範囲で第2ハンドル部材39は、第1ハンドル部材37に対して第2開閉枢支ピン38を中心にした第1の回動方向と同一の開閉回動方向(回動角αb方向)への回動操作が可能である。この開閉回動操作では、力点軸43aにより第3連結部材41のみが第3回動板34に対してZa方向に進退移動する。その第3連結部材41の進退移動に伴って第1駆動棒5が進退駆動される。
【0069】
さらに、上記第1ハンドル部材37と第2ハンドル部材39が上記各上下回動操作位置および各開閉回動操作位置にあるとき、第1ハンドル部材37を左右に回動操作することにより第3回動板34が第2枢支軸32(Y0 軸)を中心にして第2の回動方向(回動角αc方向)である左右方向に回動可能である。このとき、第3回動板34とともに第4回動板46および第3連結部材41も一体的に左右方向に回動する。上記第4回動板46の左右の回動に伴って第2,3駆動棒6,7が第3,4回動ピン47,48に対して回動する状態で平行状態を保って第1,2支持体8,31上をZ方向に移動する。
【0070】
次に、本実施形態の外科処置具1における操作部と処置部間のリンク機構の軸,ピンの配置関係について、図2,13,14,15等を用いて詳細に説明する。
【0071】
上記処置具1の先端側に処置部3のリンク機構の連結ピン位置関係が図2,13に示されている。図2等に示すように、第1処置片12と第2処置片14は、前述したように第1開閉枢支ピン13によって開閉可能に連結されている。第1処置片12の基端側には、第1枢支ピン11と第2枢支ピン20が嵌入している。第2処置片14の基端側には、第2処置片の脚部14bを介して第1連結ピン15が嵌入している。
【0072】
上記第1処置片12の上記第1枢支ピン11に嵌入される第1回動板10は、第1支持体8のすり割部8aに回動可能に嵌入する第1枢支軸9に連結されるが、上記第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向(Z方向)の離間距離は、所定の離間距離A3 に設定されている。
【0073】
また、第2枢支ピン20に回動自在に嵌入する第2回動板21は、第2,3駆動棒6,7の先端部に回動自在に嵌入する第1回動ピン22、および、第2回動ピン23を介して連結されるが、上記第2枢支ピン20と第1,2回動ピン22,23との前後方向(Z方向)の離間距離は、上記距離A3 と等しく設定することが望ましい。
【0074】
さらに、第1連結ピン15に回動自在に支持される第1連結部材16は、その基端側が第2連結部材18側の第2連結ピン17に回動自在に嵌入して連結されるが、上記第1連結ピン15と第2連結ピン17との前後方向(Z方向)の離間距離は、所定の離間距離A1 を隔てて配置されている。この離間距離A1 は、上記第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向(Z方向)の離間距離A3 と等しく設定されている(A1 =A3 )。
【0075】
一方、挿入部2の基端側の操作部4のリンク機構の連結ピン位置関係は、上記処置部3に対応させた状態で図2,14,15に示されている。
【0076】
図2上で操作部4側に破線で示されている処置片(12),(14)と第1開閉枢支ピン(13)、および、第1連結ピン(15)は、処置部3を挿入部2の先端側から基端側の相当位置へ平行移動した仮想状態を示す。すなわち、本外科用処置具1で処置部3に対する操作部4の連動動作上、処置部3の第1開閉枢支ピン13は、操作部4側の第2開閉枢支ピン38に相当する。また、処置部2の第1連結ピン15は、操作部4側の第5連結ピン49が相当する。その他のピンについても同様に、第1枢支ピン11は、操作部側の第3枢支ピン35に相当する。第2枢支ピン20は、操作部側の第4枢支ピン45に相当する。第1連結ピン15は、操作部側の第5連結ピン49に相当する。第3連結ピン19は、操作部側の力点軸43aに相当する。そして、第1枢支軸9は、操作部側の第2枢支軸32に相当する。
【0077】
操作部4において、前述したように上記第1ハンドル37と第2ハンドル39とは、第2開閉枢支ピン38によって開閉可能に連結されており、第1ハンドル37の端部に上記第3枢支ピン35と第4枢支ピン45とガイドピン40が支持されている。
【0078】
そして、上記第3枢支ピン35の先端側に第3回動板34の第2枢支軸32が配置されている。その第3枢支ピン35と第2枢支軸32とは、前後方向(Za方向)に所定の離間距離A4 を隔てて設けられる。また、第4枢支ピン45の先端側には第4回動板46の第3,4回動ピン47,48が配置されており、上記第4枢支ピン45と第3,4回動ピン47,48との前後方向(Za方向)の離間距離は、上記距離A4 と同一にすることが望ましい。
【0079】
また、第2ハンドル39には第2処置片14の脚部14bにおける第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離と同一の離間距離をもって第2開閉枢支ピン38に対して第5連結ピン49が配置されている。第5連結ピン49の後方側には第1連結ピン15と第3連結ピン19の離間距離と同一の離間距離を隔てて力点軸43aが設けられている。また、第5連結ピン49に対して挿入部側方向に一定の離間距離を隔てた位置に第4連結ピン42が第3連結部材41上の挿入側先端に設けられる。
【0080】
さらに、第5連結ピン49は、図2にて破線で示される上記第1連結ピン15の等価位置にあって、第5連結ピン49の先端側には前後方向(Za方向)の離間距離A2 を隔てて第2連結ピン17に対応する第3連結部材41の第4連結ピン42が配置されている。
【0081】
上記処置部3と操作部4の間には、両者を連結する挿入部のリンク部を構成する各支持体と駆動棒が配置されている。すなわち、第1枢支軸9と第2枢支軸32の間には、前後方向の離間距離L2 を隔てて本外科用処置具1のベースとなる一体の第1,2支持体8,31が配置されている。
【0082】
そして、第1回動ピン22と第3回動ピン47の間、および、第2回動ピン23と第4回動ピン48の間には、それぞれ一定の前後方向の離間距離で隔てられた第2,3駆動棒6,7が配置されている。なお、これらの駆動棒6,7の両回動ピン間の離間距離は、上記離間距離L2 と同一とすることが望ましい。
【0083】
さらに、第2連結ピン17と第4連結ピン42との間には、第1駆動棒5が配置され、上記連結ピン間の前後方向(Z方向)の離間距離L1 で隔てられている。
【0084】
特に、本実施形態の外科用処置具1においては、処置部3と操作部4との間で上記離間距離L1 =L2 となるように構成されている。さらに、上述した処置部3における離間距離A1 =A3 の関係に加えて、処置部3と操作部4の間での離間距離A1 =A2 となるように構成されている。また、処置部3と操作部4の間での上記離間距離A3 、A4 についても離間距離A3 =A4 となるように構成されることが望ましい。さらに、上記以外の処置部3と操作部4とのリンク機構で対応する部分で第2処置片14の脚部14bの長さとなる第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離と、それに対応する操作部4側の第2開閉枢支ピン38と第5連結ピン49の離間距離とも等しくなるように構成されることが望ましい。
【0085】
次に、上述した構成を有する第1の実施形態の外科用処置具1の作用を図16〜23等を用いて説明する。
【0086】
なお、上記図16〜19は、上記外科処置具の各状態での側面図であり、そのうち、図16は、処置部を水平、かつ、真直に保った状態を示し、図17は、図16の水平状態で処置部を開放した状態を示し、図18は、処置部を上方に上げた状態を示し、図19は、図18の状態で処置部を開放した状態を示す。図20,21は、上記外科処置具の下面図であって、そのうち、図20は、処置部を水平に保った状態を示し、図21は、処置部を水平に保ち、さらに、右方向(図21上)に回動させた状態を示す。図22,23は、上記外科処置具の平面図であって、そのうち、図22は、処置部を水平に保った状態を示し、図23は、処置部を水平に保ち、かつ、左方に回動させた状態を示す。
【0087】
本実施形態の外科処置具1において、まず、図16に示す水平状態から第1ハンドル部材37を第3枢支ピン35を中心として下方向に回動角αaだけ回動させると、第2駆動棒6および第3駆動棒7が第1駆動棒5と連動して前後に進退する。その結果、第1処置片12および第2処置片14が回動角αaに等しい回動角βaだけ上方に回動して引き起こされる。すなわち、図16に示される操作部4を水平状態から図18に示される下方に回動角αa=90°だけ回動操作すると、処置部3が上方に回動角βa=90°だけ回動する。
【0088】
また、図21に示すように第1ハンドル部材37を第2枢支軸32を中心として左方向に回動角αcだけ回動させると、第2駆動棒6および第3駆動棒7が相互に前後に進退する。結果として、第1処置片12および第2処置片14が一体で回動角αcに等しい回動角βcだけ右方向に回動される。すなわち、処置部3および操作部4が左右中立状態(図20,22)から操作部4が左側(図23では、右側)に回動操作されると、図21に示されるように処置部3が右側(図23では左側)に回動する。なお、実際には左右中立である状態から左右方向にそれぞれαc=60°ずつの範囲の回動操作が可能である。なお、上下のαa方向と上記左右のαc方向との回動操作は、任意に組み合わせて操作することができる。
【0089】
上記の任意の回動状態において、さらに、第1ハンドル部材37上に設置された第2開閉枢支ピン38周りに第2ハンドル部材39のみを開閉回動操作することによって、第5連結部材44,力点軸43aを介して第3連結部材41が前後に移動するので、第1駆動棒5が前後に進退する。上記第1駆動棒5の進退移動によって、第2連結部材18、第1連結部材16が進退移動し、第1処置片12上に設けられた第1開閉枢支ピン13まわりに第2処置片14が開閉回動する。結果として、図17、または、19に示すように第2ハンドル部材39の任意の開放回動角αbの回動操作により第2処置片14が第1処置片に対して上記角度αbの方向と等しい方向の開放回動角βbだけ開放駆動される。
【0090】
次に、本実施形態の外科処置具1における上記操作部4の左右のαc方向の回動時のハンドル部回りの干渉回避状態について、図24〜27等を用いて詳細に説明する。
【0091】
なお、図24は、上記外科処置具にて第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った状態で、かつ、下方に回動させ、処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。図25は、図24の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。図26は、上記外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図であり、図27は、図26の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【0092】
本実施形態の外科処置具1の操作部3においては、第2ハンドル39を回動可能に支持するための第2開閉枢支ピン38と第1連結部材41を駆動するための第5連結ピン49が、第1ハンドル部材37の幅方向の外方位置に配置されている。したがって、図25,27に示されるように操作部4を下方に下げたとき、あるいは、水平の真直状態で操作部4を左方、または、右方に回動させたときに、上記第2開閉枢支ピン38や第5連結ピン49やそれを支持するサイドベース37c,第2ハンドル39などが挿入部2の第2支持体31等の基端部に干渉しないようにする必要がある。そのために本実施形態では、操作部4のそれぞれ一対のサイドベース37c,第2ハンドル39の幅方向の間隔をサポート37bを第1ハンドル部材37に挟んで組み付けることにより、必要最小限だけ広げた内幅寸法D0 に設定されている。
【0093】
したがって、図25に示されるように、第1ハンドル部材37を下方向に下げた状態で右方向(または、左方向)の限界となる最大回動角αcmax (例えば、60°)まで回動させた場合、挿入部2の基端部に操作部4のサイドベース先端縁辺37eや第2ハンドル先端縁辺39e等が干渉することがない。
【0094】
さらに、図26に示す処置部を水平にした状態であって操作部4の第1ハンドル部材37を水平に保ち、かつ、右方向(または、左方向)の限界となる最大回動角αcmax まで回動させたときも同様に上記内幅寸法D0 が確保されていることから、図27に示すように同様に挿入部2の基端部に操作部4のサイドベース先端縁辺37eや第2ハンドル先端縁辺39e等が干渉することがない。なお、上記最大回動角αcmax の左右回動では、第2指示部材31の操作部側の基端部の稜線と、第1ハンドル37の第3枢支ピン35周囲の稜線とが当接し、操作部4の回動が規制される。
【0095】
以上、説明したように本第1実施形態の外科用処置具1によれば、処置部3の開閉のためのリンク構成を操作部4側に平行移動させた構成を採用するため、操作部4の任意の回動姿勢において、操作部4の操作姿勢に倣って駆動される処置部3側には、操作部4の開閉操作力が効率よく伝達される。
【0096】
さらに、本実施形態の場合、上記操作部4を左右の最大回動角まで回動させたときでも挿入部2の基端部とハンドル部材まわりとが干渉しないように第1ハンドル部材37のサイドベース37c,第2ハンドル部材39の幅が必要最小限寸法に設定されており、操作部4の大型化を回避している。
【0097】
次に、本発明の第2実施形態の外科用処置具用について、図28〜37を用いて説明する。
【0098】
図28は、上記外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。図29は、上記外科用処置具のリンク構成を示す模式線図で下方から見た斜視図である。図30は、上記外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図であり、図31は、上記処置部を下方から見た斜視図である。図32は、上記処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。図33は、上記外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であり、図34は、上記操作部の第2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。図35は、上記操作部の第1,2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図であり、図36は、上記操作部を下方から見た斜視図であり、図37は、上記操作部の第1,2ハンドル部材およびガードを外した状態を下方から見た斜視図である。
【0099】
本実施形態の外科用処置具101は、前記第1の実施形態の外科用処置具1と同様に内視鏡下外科手術に適用される多自由度鉗子装置であり、図28に示すように体内に挿通される挿入部2と、挿入部2の先端側に配置され、縫合,結紮を行うための鉗子部となる処置部103と、挿入部2の基端側に配置され、処置部をリンク機構を介して操作するための第1,第2ハンドル部材137,139を備えた操作部104とを有してなる。
【0100】
上記外科用処置具101は、前記第1の実施形態の外科用処置具1に対してリンク機構の一部が異なるものであって、以下、異なる部分について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明する。
【0101】
上記外科用処置具101の処置部103には、第1の実施形態の処置部3に適用した第3連結ピン19(図3)が存在しない。したがって、図30,31に示すように第2処置片14の基端側は、回動自在な第1連結ピン15を介して第1連結部材116に連結され、第1連結部材116の基端側に第1連結ピン15と垂直方向の回動自在な第2連結ピン17を介して第2連結部材118が連結される。そして、上記第2連結部材118の基端側は、直接、第1駆動棒5に固着され、接続されている。
【0102】
一方、本実施形態の外科用処置具101の操作部104には、第1の実施形態の処置具1の操作部4に適用した第5連結ピン49、第5連結部材44(図7)が存在しない。そして、第2ハンドル部材139上に力点軸143aを有する第4連結部材143を固着して配置し、上記力点軸143aが第3連結部材141に係合している。さらに、本操作部104には、第1実施形態の操作部4に適用したクレードル50およびその周辺に配される嵌合穴やグルーブ等の関連部分も存在しない。したがって、第3回動板134、第4回動板146、第3連結部材141が図34,36に示すように簡単な形状を有している。
【0103】
以下、上記操作部104の詳細な構成について説明すると、上記操作部104は、図33等に示すように、主に回動操作片である第1ハンドル部材137と、開閉操作片である第2ハンドル部材139と、第3,4回動板134,146と、第3,4連結部材141,143と、4つの保護部材である第1,2,3,4ガード161,162,163,164とを有してなる。
【0104】
上記第1ハンドル部材137には、術者が操作時に親指、薬指、および、小指を把持することに好適な形状を成す第1グリップ37aが設けられる。また、上記第1ハンドル部材137の両幅側方には、一対のサイドベース137cが第2支持体31の軸心であるZ軸に対して対称位置にサポート部材37bを介して離間した状態で固着されている。
【0105】
上記サイドベース137cの一端部には、操作部開閉枢支軸である第2開閉枢支ピン38が固着されている。この第2開閉枢支ピン38は、第3枢支ピン35(X0 軸)と平行であり、その軸心は、後述する第3枢支ピン35の軸心から所定距離離間した位置にある。
【0106】
また、上記第1ハンドル部材137の内側には、挿入部2側端部の上記ハンドル部材の延出方向に傾斜した位置に第4枢支ピン45,第3枢支ピン35が挿通して配されている。
【0107】
さらに、上記第1ハンドル部材137の内部には、第3回動板134を中心にして上方側に第4回動板146、下方側に第3連結部材141がそれぞれ幅方向が規制されて配置されている。
【0108】
上記第3回動板134は、挿入部2に対して上下方向(Y方向)が規制され、かつ、第2支持体31の第2枢支軸32(Y0 軸)に対して回動可能である。そして、上記第3回動板134を中心にして第4回動板146、第3連結部材141がそれぞれZa方向、かつ、Y方向に移動可能な状態で配置されている。上記第4回動板146,第3回動板134,3連結部材141には、上記第4枢支ピン45,第3枢支ピン35(X0 軸),後述する力点軸143aがZa方向と垂直な方向に沿ってそれぞれ嵌入している。
【0109】
したがって、第1ハンドル部材137は、第3枢支ピン35(X0 軸)を中心に第1の回動方向である上下の回動方向(回動角αa方向)に回動操作可能であり、かつ、操作部回動枢支軸である第2枢支軸32(Y0 軸)を中心に第2の回動方向の左右回動方向(回動角αc方向)に回動操作可能に支持される。
【0110】
上記サイドベース137cは、前述したように複数のサポート37bを介して第1ハンドル部材137に固着されるが、その内幅寸法D1 は、後述するように挿入部2の基端部と干渉することなく、操作部104の所定の左,右方向回動角αcを許容する必要最小幅になっている(図38,39)。
【0111】
上記第2ハンドル部材139は、サポート39bを介して固着される第2グリップ部39aを有している。この第2グリップ部39aは、術者が操作時に人差し指を中指を用いて操作することに好適な形状を成している。
【0112】
そして、上記第2ハンドル部材139は、サイドベース137cの外側に接した状態で第2支持体31(Z0 軸)の幅方向に対称位置に一対の状態で取り付けられ、かつ、サイドベース137c側の第2開閉枢支ピン38に嵌入して回動自在に支持されている。
【0113】
したがって、第2ハンドル部材139は、第1ハンドル部材137に対して第2開閉枢支ピン38を中心に上記第1の回動方向と同方向(回動角αb方向)の開閉回動操作が可能となる。なお、第2ハンドル部材139の第2開閉枢支ピン38まわりの先端縁辺139eは、サイドベース137cの先端縁辺137eと一致する形状を有する。
【0114】
また、第1ハンドル部材137と第2ハンドル部材139の間には、各相対開閉位置にクリック保持するためのラチェット手段と両ハンドル部材を開放方向に付勢する開放バネ手段が備えられている。
【0115】
さらに、一対の第2ハンドル部材139の第2開閉枢支ピン38の位置から所定距離離間した位置に一対の第4連結部材143が内側に対向して固着されている。この第4連結部材143には、その両内側面に力点軸143aが支持されている。
【0116】
上記第3回動板134は、図35,37に示すように挿入部2側端部にて第2支持体31の基端側すり割り部に嵌入する第2枢支軸32(Y0 軸)に回動可能に貫通して連結される。
【0117】
さらに、上記第3回動板134には、前述したように第1ハンドル部材137側の第3枢支ピン35がZa方向と垂直な方向に回動可能に貫通している。なお、上記第3枢支ピン35と上記第2枢支軸32とのZa方向の離間距離は、所定の距離に設定される。
【0118】
上記第4回動板146には、図35,37に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にY方向に貫通する2つの第3,4回動ピン47,48が固着されている。なお、上記第3,4回動ピン47,48には、それぞれ第2,3駆動棒6,7の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0119】
さらに、上記第4回動板146には、前述したように第1ハンドル部材137側の第4枢支ピン45がZa方向と垂直な方向)に沿っ回動可能な状態で貫通している。なお、上記第3,4回動ピン47,48と上記第4枢支ピン45とのZa方向の離間距離は、所定の距離に設定される。
【0120】
上記第3連結部材141には、図11,12に示すようにその挿入部2側端部に設けられるすり割り部にて第4連結ピン42がY方向に貫通している。なお、上記第4連結ピン42には、それぞれ第1駆動棒5の基端部が回動自在に嵌合して連結される。
【0121】
さらに、上記第3連結部材141には、Za方向と垂直な方向の力点軸軸受け孔141cが設けられている。上記力点軸軸受け孔141cには、第2ハンドル部材139に支持される力点軸143aが回動可能な状態で挿通する。
【0122】
上記第1,2ガード161,162は、図33,36に示すように基端側に切り欠き部が形成されている部材であって、第2支持体31に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材137の左右方向の操作回動角αcの所定の動作範囲を上記切り欠き部によって許容し、かつ、挿入部2を保護する。
【0123】
上記第3,4ガード163,164は、図33,36に示すようにそれぞれ第1ハンドル部材137に固着され、挿入部2に対する第1ハンドル部材37の上下方向の操作回動角αaを所定の動作範囲に規制し、かつ、挿入部2を保護する。
【0124】
ここで、上述した外科処置具101における操作部と処置部のリンク機構の軸,ピンの配置関係について図29を用いて詳細に説明する。
【0125】
本外科処置具101においても前記外科処置具1の場合と同様に第2連結ピン17と第4連結ピン42との前後方向(Z方向)の離間距離L1 と、第1枢支軸9と第2枢支軸32との前後方向(Z方向)の離間距離L2 とは、互いに等しくなるように構成されている(L1 =L2 )。
【0126】
さらに、処置部103側において、第1連結ピン15と第2連結ピン17の前後方向(Z方向)の離間距離A1 と、第1枢支ピン11と第1枢支軸9との前後方向の離間距離A3 とは、互いに等しくなるように構成されている(A1 =A3 )。
【0127】
また、上記処置部103側の第1連結ピン15と第2連結ピン17の前後方向の前後方向の離間距離A1 と、それに対応する操作部104側の第4連結ピン42と力点軸143aとの前後方向の離間距離A2 とも等しくなるように構成されている(A1 =A2 )。
【0128】
また、操作部104側の第2枢支軸32と第3枢支ピン35の離間距離A4 は、処置部103側の上記離間距離A3 と等しくなるように構成されることが望ましい(A4 =A3 )。
【0129】
さらに、上記以外の処置部103と操作部104とのリンク機構で対応する部分であって、第2処置片14の脚部14bの長さとなる第1開閉枢支ピン13と第1連結ピン15の離間距離に対して、それに対応する操作部104側の第2開閉枢支ピン38と力点軸143aとの離間距離も等しくなるように構成されることが望ましい。
【0130】
上述した構成を有する本第2実施形態の外科処置具101においても第1実施形態の場合と同様に操作部104の第1,2ハンドル部材137,139を一体の状態で上,下方向(回動角αa方向)、または、左,右方向(回動角αc方向)に回動操作すると、処置部103の第1,2処置片12,14が下,上方向(回動角βa方向)、または、右,左方向(回転角βc方向)に略同角度だけ回動駆動される。さらに、第2ハンドル部材139を第1ハンドル部材137に対して開閉方向(回動角αb方向)に回動させると、処置部103の第2処置片14が第1処置片12に対して開閉駆動される。
【0131】
本第2の実施形態の外科処置具101では、前記第1実施形態のものと比較して上下回動の範囲(回動角αaの範囲)が若干制約される。すなわち、図30,33に示される状態が処置部103と操作部104の上下回動の最大屈曲姿勢となる。具体的には上下方向回動の範囲は、処置部103と操作部104とが挿入部2と水平となる状態(回動角αa=0°)から、上記図30,33に示されるように処置部103と操作部104とが挿入部2に対して回動角αa=60°を成す範囲となる。これは、前述したように処置部103では、第1実施形態における第3連結ピン19を除いて構成したことにより、第1,2連結部材116,118が第1支持体8と干渉し、第2処置片14の回動が規制されるからである。しかし、左右方向の回動範囲(回動角αc)は、損なわれていないため、本実施形態の外科用手術処置具101は、前記第1の実施形態のものと略同等に使用することが可能である。
【0132】
また、本実施形態の外科処置具101では、操作部104を左右方向に回動操作した場合、例えば、処置部103の第1,2処置片12,14を上方に回動角αa=60°立ち上げた状態、および、水平に保った状態で操作部104を左右に回動操作した場合、第1ハンドル部材137のサイドベース137c,第2開閉枢支ピン38,第2ハンドル部材139が挿入部2の基端部に干渉することがない必要最小寸法である内幅寸法D1 に上記サイドベース137cの内幅が設定されている。
【0133】
図38は、上記外科処置具101にて第1ハンドル部材を左右に回動させない状態で、かつ、下方に下げて処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。図39は、図38の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。図40は、上記外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図であり、図41は、図40の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【0134】
上記図38に示す操作部104を下げた状態から最大回動角αcmax (例えば、60°)だけ右方向に回動させた場合、図39に示すように挿入部2の第2支持体31等にサイドベース137cの先端縁辺137eや第2ハンドル部材139の先端縁辺139eや第2開閉枢支ピン38が干渉することがない。
【0135】
同様に図40に示す操作部104を水平に保った状態から最大回動角αcmax (例えば、60°)だけ右方向に回動させた場合、図41に示すように挿入部2の第2支持体31等にサイドベース137cの縁辺137eや第2ハンドル部材139の縁辺139eや第2開閉枢支ピン38が干渉することがない。
【0136】
なお、上記操作部104の回動操作方向が左方向の回動であっても同様に操作部104の挿入部2の第2支持体31への干渉はない。また、上記最大回動角αcmax の左右回動状態では、前記第1の実施形態の場合と同様にストッパ機能が働き、操作部4の上記回動が規制されるものとする。
【0137】
上述のように第2実施形態の外科用処置具101によれば、前記第1実施形態と同様に処置部103の開閉のためのリンク機構が操作部104側に平行移動して配置され、かつ、操作部104が挿入部2に対して離間した構成を有しているために、任意の回動姿勢における操作部104との開閉操作を一致させることができ、操作部104側の操作力が効率よく処置側に伝達される。さらに、任意の回動姿勢における操作部104の挿入部2への干渉が発生することがなく、操作性が向上する。
【0138】
【発明の効果】
本発明によれば、より少ない部品構成によって、全ての回動姿勢における処置部および操作部の開閉特性を向上させることができ、構成の簡素化を図られるとともに、全ての回動姿勢で操作部の挿入部への干渉を避けることができる多自由度鉗子装置である外科処置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。
【図2】上記図1の外科用処置具のリンク構成を示す模式的線図であって、下方から見た斜視図である。
【図3】上記図1の外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。
【図4】上記図1の外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。
【図5】上記図1の外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。
【図6】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。
【図7】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードの一部を取り外した状態を示す。
【図8】上記図1の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードすべてを取り外した状態を示す。
【図9】上記図1の外科用処置具の操作部にて、ハンドル部材およびガード、さらに、クレードルを取り外した状態を上方から見た斜視図である。
【図10】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。
【図11】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図であって、ハンドル部材およびガードを取り外した状態を示す。
【図12】上記図1の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図であって、ハンドル、ガード、および、クレードルを取り外した状態を示す。
【図13】上記図1の外科用処置具の処置部における各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図14】上記図1の外科用処置具の操作部における各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図15】上記図1の外科用処置具の操作部におけるハンドル部材、ガード、および、クレードルを取り外した状態での各ピンの位置関係を示す側面図である。
【図16】図1の外科用処置具の側面図であって、処置部を水平、かつ、真直に保った状態を示す。
【図17】図1の外科用処置具の側面図であって、図16の水平状態で処置部を開放した状態を示す。
【図18】図1の外科用処置具の側面図であって、処置部を上方に上げた状態を示す。
【図19】図1の外科用処置具の側面図であって、図18の状態で処置部を開放した状態を示す。
【図20】図1の外科用処置具の下面図であって、処置部を水平に保った状態を示す。
【図21】図1の外科用処置具の下面図であって、処置部を水平に保ち、さらに、右方向に回動させた状態を示す。
【図22】上記図1の外科処置具の平面図であって、処置部を水平に保った状態を示す。
【図23】上記図1の外科処置具の平面図であって、処置部を水平に保ち、かつ、左方に回動させた状態を示す。
【図24】上記図1の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った状態で、かつ、下方に回動させ、処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。
【図25】上記図1の外科処置具において、上記図24の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態での操作部まわりの平面図である。
【図26】上記図1の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向のZ方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図である。
【図27】上記図1の外科処置具において、図26の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【図28】本発明の第2の実施形態である外科用処置具の全体の外観を示す斜視図である。
【図29】上記図28の外科用処置具のリンク構成を示す模式線図であって、下方から見た斜視図である。
【図30】上記図28の外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図である。
【図31】上記図28の外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図である。
【図32】上記図28の外科用処置具の処置部の開放状態を上方から見た斜視図である。
【図33】上記図28の外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図である。
【図34】上記図28の外科用処置具の操作部の第2ハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。
【図35】上記図28の外科用処置具の操作部のハンドル部材およびガードを外した状態を上方から見た斜視図である。
【図36】上記図28の外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図である。
【図37】上記図28の外科用処置具の操作部のハンドル部材およびガードを外した状態を下方から見た斜視図である。
【図38】上記図28の外科処置具にて第1ハンドル部材をZ方向に保ち、かつ、下方に下げて処置部を上方に立ち上げたときの操作部まわりの平面図である。
【図39】上記図28の外科処置具にて図38の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【図40】上記図28の外科処置具において、第1ハンドル部材を水平方向に沿った真直状態に保ち、処置部が水平位置にあるときの操作部まわりの平面図である。
【図41】上記図28の外科処置具にて図40の状態から第1ハンドル部材を右方向に最大回動角回動させた状態の操作部まわりの平面図である。
【符号の説明】
1,101
…外科用処置具
2 …挿入部
3,103
…処置部
4,104
…操作部
5 …第1駆動棒(駆動棒)
6 …第2駆動棒(駆動棒)
7 …第3駆動棒(駆動棒)
8 …第1支持体(支持体)
9 …第1枢支軸(処置部回動枢支軸)
12 …第1処置片(回動処置片)
13 …第1開閉枢支ピン(処置部開閉枢支軸)
14 …第2処置片(開閉処置片)
31 …第2支持体(支持体)
32 …第2枢支軸(操作部回動枢支軸)
37,137
…第1ハンドル部材(回動操作片)
38 …第2開閉枢支ピン(操作部開閉枢支軸)
39,139
…第2ハンドル部材(開閉操作片)
αa…第1の回動方向の回動角
αb…第1の回動方向と一致する方向の回動角
αc…第2の回動方向の回動角
Claims (4)
- 挿入部と、前記挿入部の先端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能、かつ、相互に開閉可能な処置部と、前記挿入部の基端側に備えられ、挿入部の軸に対して回動可能、かつ、相互に開閉可能な操作部と、前記処置部と前記操作部とを支持する支持体と、前記支持体に平行または略平行に配置される進退自在な複数の駆動棒とを有してなる外科用処置具において、
前記操作部は、前記支持体の基端部に設けられた前記操作部の回動枢支軸によって枢支された回動操作片と、前記回動操作片上に設けられた上記操作部の開閉枢支軸によって枢支された開閉操作片とを有してなり、前記開閉操作片は、少なくとも前記操作部の前記開閉枢支軸に関して前記支持体の主軸から離間した状態で配置されていることを特徴とする外科用処置具。 - 前記開閉操作片は、前記支持体の主軸に関して前記操作部の前記開閉枢支軸の軸方向に相互に離間して対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の外科用処置具。
- 前記回動操作片は、第1の回動方向、および、前記第1の方向に垂直なる第2の方向に回動可能に構成され、前記開閉操作片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されていることを特徴とする請求項1、または、2に記載の外科用処置具。
- 前記処置部は、前記支持体の先端部に設けられた処置部の回動枢支軸によって枢支された回動処置片と、該回動処置片上に設けられた処置部の開閉枢支軸によって枢支された開閉処置片とから構成され、前記開閉処置片は、前記第1の回動方向と一致する方向に開閉可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の外科用処置具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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