JP2004087254A - 電子放出性電極、希土類元素を含む膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電電圧が低く、かつ、不安定な水素が放出されない希土類元素を含む膜を提供すること。
【解決手段】電子ビーム蒸着装置30を用いて金属基材1に希土類金属膜を成膜するに際して、まず、Cuからなる水冷ハース33の上部に形成された凹部にインサート坩堝37を嵌め込み、インサート坩堝37に原料38を収容する。原料38は、希土類元素を含むものである。そして、真空チャンバ31を真空状態にして、水素を含む雰囲気で原料38に電子線を照射することで、原料38を加熱・蒸発させる。これにより、希土類水素化物膜よりなる電子放出層2が形成される。
【選択図】 図5
【解決手段】電子ビーム蒸着装置30を用いて金属基材1に希土類金属膜を成膜するに際して、まず、Cuからなる水冷ハース33の上部に形成された凹部にインサート坩堝37を嵌め込み、インサート坩堝37に原料38を収容する。原料38は、希土類元素を含むものである。そして、真空チャンバ31を真空状態にして、水素を含む雰囲気で原料38に電子線を照射することで、原料38を加熱・蒸発させる。これにより、希土類水素化物膜よりなる電子放出層2が形成される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極現象により電子を放出する電子放出性電極に関するとともに、その電子放出性電極に利用されたり熱源からの熱輻射を抑止する輻射抑止膜に利用されたりする希土類を含む膜を製造する膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、物体に存在している電子が空間に放出される電子放出現象としては、熱電子放出現象、冷陰極電子放出現象等が知られている。電子放出性の材料は放電ランプ等の放電を利用した装置の電極に用いられており、例えばコイル状のフィラメントに電流を流して加熱することにより電子を放出する熱電子放出現象を利用した熱陰極放電管が知られている。また、熱電子放出現象とは異なり非加熱で電子を放出する冷陰極電子放出現象を利用した電子放出性電極を用いて放電を行う装置も知られている。冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極は、冷陰極蛍光管の陰極に用いられており、更に、PDP(Plasma DisplayPanel)、VFD(Vacuum Fluorescent Display)、FED(Field Emission Display)等の陰極として広い用途への試みが続けられている。
【0003】
電子放出性電極としては、ニッケルからなるものが知られている。ニッケルからなる電子放出性電極を製造するには、まず電子ビーム蒸着法により基材にニッケル金属膜を成膜する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子ビーム蒸着法では、図9(a)に示されるように、真空チャンバ内において、坩堝としてCuの水冷ハース80の上部に形成された凹部81にニッケルの原料82を収容し、原料82に電子ビームを照射することによって、原料82を加熱・蒸発させる。電子ビームでは原料82を局所的に照射するため、図9(b)に示されるように、溶融した原料82の厚くなった部分82aに電子ビームで照射することになる。これは、溶融した原料82の薄い部分を照射しても、その部分において原料82がすぐに蒸発してしまい、ニッケル金属膜の成膜速度が遅くなってしまうためである。また、溶融した原料82の蒸発が進行すると、図9(c)に示されるように、原料82が凹部81の内壁全体に滲んでしまい、全体として原料82が薄くなってしまう。原料82が薄いため、成膜速度が遅くなってしまう。
【0005】
ニッケルの他にも放電特性に優れた仕事関数の低い金属膜を電子放出膜として利用することがあるが、このような材料では成膜速度が遅いと、不均一で乱れた結晶状態で酸化されたり、その他の不純物が多く含まれてしまったり、スパッタされやすいといった問題を生じてしまっていた。電子放出膜として低仕事関数の金属水素化物を適用する場合は、金属を成膜後に水素化する製法をとることがあるが水素化の前に一旦酸化されてしまうと、低仕事関数の金属酸化物の中には難還元性のものがあるために、酸化物から水素化物を生成することが困難になってしまうといった問題があった。金属酸化物が膜中に部分的に含まれることで、不安定な金属水素化物となってしまい、不安定な水素を含む電子放出性電極は冷陰極蛍光管中に水素を放出してしまい、放出された水素が冷陰極蛍光管の放電に悪影響を及ぼす。
【0006】
そこで、本発明の課題は、放電電圧が低く且つ製造性に優れた電子放出性電極、その電子放出性電極等に利用されるとともに希土類元素を含む膜を製造する膜製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、希土類元素を含むとともに、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出電極であって、
前記希土類元素が、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、例えば図1、図8に示すように、希土類元素を含む膜(例えば、電子放出性電極10)を製造する膜製造方法において、
ヒータ(例えば、ヒータ43)の備わったクヌードセンセル(例えば、クヌードセンセル44)に、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つを含む原料(例えば、原料45)を収容する工程と、
前記クヌードセンセルに収容された前記原料を前記ヒータで加熱して蒸発させて基材(例えば、金属基材1)に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、Sm、Er、Tm及びYbは、他のランタノイド系元素と比較しても蒸気圧が高いため、クヌードセンセルのヒータでSm、Er、Tm及びYbの原料を蒸発させることが容易である。そのため、Sm、Er、Tm、Ybは成膜速度が速いので、Sm、Er、Tm、Ybの反応系中にたとえ微量に酸素が存在しても接触する時間が短く、またその他のランタノイド系元素と比較しても酸化されにくいために、酸化物として成膜されにくい。
このような希土類元素を含む膜を成膜する場合、Sm、Er、Tm、Ybの少なくとも何れかを含む原料を用いて水素を含む雰囲気中で成膜するだけでSm、Er、Tm、Ybの少なくとも何れかを含む緻密な水素化物膜を製造することができ、不安定な水素が含まれていない。希土類元素を含む構成される膜に希土類酸化物が含まれていないからこれを冷陰極放電管の電子放出膜に応用すると、放電電圧が低く、また、希土類元素を含む膜に不安定な水素が含まれていないから、放電に悪影響を及ぼすこともない。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図1、図4に示すように、希土類元素を含む膜(例えば、電子放出性電極10)を製造する膜製造方法において、
表面がMo、W及びTaのうちの少なくとも何れか一つで形成された坩堝(例えば、インサート坩堝37)に希土類元素を含む原料(例えば、原料38)を収容する工程と、
前記坩堝に収容された前記原料に電子ビームを照射して前記坩堝に収容された前記原料を加熱して蒸発させて基材(例えば、金属基材1)に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、電子ビームの照射により溶融した希土類元素の原料は、表面がMo、W及びTaの坩堝に対して濡れ性が低い。そのため、溶融した原料は、坩堝で滲まずに、坩堝の底に集まった状態となる。従って、溶融した原料に対して局所的に電子ビームを照射し続けても、溶融した原料の蒸発速度が遅くならず、希土類元素の金属膜の成膜速度が遅くならない。金属膜の成膜速度が遅くならないため、原料を酸化させずに成膜したい場合に、希土類酸化物、その他の不純物が含まれることを抑制して堆積できる。
例えばその希土類元素を含む膜を水素化することで、希土類元素を含む膜には希土類酸化物が殆ど含まれていない上、不安定な水素が含まれていない。希土類元素を含む膜やそれを水素化したものには希土類酸化物が含まれていないから、これらを冷陰極放電管の電子放出膜に応用すると、放電電圧が低く、また、希土類で構成される膜に水素が含まれていないから、放電に悪影響を及ぼすこともない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0012】
〔第一の実施の形態〕
図1に示されるように、電子放出性電極10は、配線3に接続された金属基材1の表面に形成された電子放出層(電子放出膜)2からなるものである。
【0013】
この電子放出性電極10を用いた直管型冷陰極蛍光管20を図2に示す。冷陰極蛍光管20は、電子放出層2が互いに対向するように一対の金属基材1及び電子放出層2がガラス管21内に配置された構造となっている。ガラス管21の内壁には、励起状態で所定の波長域の光を発光する蛍光材料22が被膜されており、ガラス管21内には、アルゴン等の希ガス及び水銀が封入されている。そして、ガラス管21の両端においては、配線3が、ガラス管21を貫通して、ガラス管21の外部へ延出している。
【0014】
金属基材1及び配線3は、例えば、Niを含有するものであるか、又は、Ni及びCrを含有するものである。金属基材1、即ち、表面に電子放出層2が形成される基材は、導電性又は半導体性を示すものであり、かつ、比較的スパッタされにくい元素の単体又は複数種の混合材料からなるものであり、上述の元素以外に、例えば、Mo(モリブデン)やAl(アルミニウム)等を挙げることができる。
【0015】
電子放出層2は、RH2+X(但し−1≦X≦1)で示される電極材料を含有するものである。ここで、RはSm(サマリウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)のいずれかであり、Hは水素である。電子放出層2中に一種類の希土類水素化物が含まれていても良いし、複数種類の希土類水素化物が含まれていても良い。また、電子放出層2は、後述する製造方法に示すように、希土類元素を含む希土類非水素化膜を水素化することにより形成された層である。希土類元素の水素化物は、導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。
【0016】
図3(a),(b)には、化学式がRH2+Xの結晶構造が示されている。図3(a),(b)に示されるように、RH2+Xにおいては、希土類元素が面心立方格子の配列となる。この場合、水素は、図3(a)に示されるように希土類元素の四面体の中心(四配位)をとるか、又は、図3(b)に示されるように希土類元素の八面体の中心(八配位)をとる。また、水素化エルビウム及び水素化イッテルビウムは、SrH2型斜方格子状の結晶構造をとり、水素化サマリウム及び水素化ツリウムは、CaF2(蛍石)型立方格子状の結晶構造をとる。本実施形態における電子放出層2のRH2+Xは、四配位構造であっても良いし、八配位構造であっても良いし、四配位構造及び八配位構造が混在していても良い。
【0017】
本来は、希土類元素の四面体の中心(四配位)の水素だけでも水素化物となることから、同一結晶構造を維持したままでかなりの固溶範囲(希土類元素に対する水素の割合の範囲)を持つことができる。従って、ここで述べる希土類水素化物とは、基本的にRH2+Xの結晶構造をほぼ維持した状態で、希土類元素に対する水素元素の割合が1:2や1:3からずれたものを含むものであり、実際には、RH2+X(−1≦X≦1)のことである。
【0018】
RH2+Xは、Rに対する水素元素の割合が1:2からずれたものとなっていても、RH2+Xと同様に導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。また、RH2+Xは、Rに対する水素元素の割合が1:2や1:3からずれたものとなっていても、基本的にRH2+Xが取ることができる結晶構造を有するものである。
【0019】
また、希土類元素からなる希土類非水素化膜を成膜する際に、雰囲気中に含まれる微量な酸素及び酸素含有物の存在により、電子放出層2中には例えばR2O3−Z(Oは酸素、0≦Z≦1)のような希土類酸化物が含まれることがある。希土類酸化物は場合により放電電圧が若干高くなってしまうといったことがあり、本実施形態では、後述する製造方法のように、希土類非水素化膜を成膜することによって、電子放出層2中に希土類酸化物の含有量を非常に少なくしている。
【0020】
また、電子放出層2と金属基材1との間には、希土類元素を含む非水素化金属の層が介在しても良い。すなわち、希土類元素である希土類非水素化膜を金属基材1上に成膜して、希土類元素の希土類非水素化膜に水素化処理を最深部まで行わずに、電子放出層2と金属基材1との間に希土類単体を残しても良い。電子放出層2と金属基材1との間に介在した非水素化金属層は、水素化した電子放出層2に覆われているため、放電を行う雰囲気中に水銀が存在しても、直接水銀と接触することがなく、水銀と反応しにくい。この非水素化金属層は、基本的に低仕事関数の導体であり、水銀と反応しないかぎり電子放出性電極の材料として適したものである。
【0021】
次に、電子放出性電極10の第一の製造方法について説明する。電子放出性電極10を製造する際には図4に示すような電子ビーム蒸着装置30を用いる。電子ビーム蒸着装置30は、チャンバ31を有している。このチャンバ31の内部上方には、下面側に被成膜部材としての所定の基材を保持する基板ホルダ32が設けられている。このチャンバ31の内部下方に、例えばCu等からなり内部に冷却水が導通される水冷ハース33が配設されており、この水冷ハース33の上面には、周囲が上方に向かって拡開された形状を有する凹部が形成されている。チャンバ31の一側部上方には、電子ビーム銃34が配置されており、電子ビーム銃34から出力された電子ビーム35が水冷ハース33の凹部に照射されるように電子ビーム銃34が指向されている。電子ビーム35の向きは周知の偏向コイルで調整することができ、電子ビーム35の照射位置は水冷ハース33の凹部において自由に調整することができる。
【0022】
水冷ハース33の凹部には、インサート坩堝37が着脱自在に係合されており、本実施形態においては図5(a)に示されるように、インサート坩堝37の拡開角度は、水冷ハース33の凹部の拡開角度より僅かに大きく形成され、これにより、インサート坩堝37の外壁が、水冷ハース33の凹部の内壁から僅かに離間するように設置されるようになっている。インサート坩堝37は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)若しくはTa(タンタル)からなるか、又は、これらの金属の合金からなる。これらの金属・合金の他に、溶融した希土類元素に対して濡れ性の低い金属又は合金であれば良く、イットリウムのような希土類元素に対して濡れ性の低い金属又は合金の中でも希土類元素より真空圧での融点や沸点の高いものが望ましい。勿論、溶融した希土類元素は、Cuに対してよりも、W、Mo及びTaに対してのほうが濡れ性が低い。
【0023】
以上の電子ビーム蒸着装置30を用いて希土類水素化物膜を形成するに際しては、まず、基材ホルダ32に基材1をセッティングし、図5(a)に示されるように水冷ハース33の凹部にインサート坩堝37を嵌め込む。インサート坩堝37を水冷ハース33の凹部に嵌め込んでも、インサート坩堝37の外壁が水冷ハース33の凹部の内壁から離間している。次いで、希土類元素を含む原料(例えばイットリウムのインゴット)38をインサート坩堝37に収容する。チャンバ31内は水素調整装置36により水素を含む不活性ガス雰囲気になっている。不活性ガスはアルゴンや窒素が量産性に優れ、80.0vol%〜99.9vol%が望ましい。また不活性ガスを用いずに水素のみの雰囲気でもよく、その場合減圧雰囲気が望ましい。そして、電子ビーム銃34で電子ビーム35を原料38に照射して、原料48を加熱する。すると、図5(b)に示されるように、原料38が溶融し、蒸発した希土類単体はチャンバ31内の水素により水素化されて基材1に蒸着される。
【0024】
以上のような方法で原料38のほぼ全部を基材1に蒸着させるまで電子ビーム35を原料38に照射したが、希土類水素化膜の成膜速度は減少しなかった。希土類水素化膜を成膜し始めてから成膜し終わるまでの間、水晶振動子で成膜速度を測定したら、成膜速度は1秒間あたり8〜10Å(オングストローム)であった。なお、インサート坩堝37を用いずに、水冷ハース33の凹部に直接原料を収容して、本実施形態と同様な条件で成膜したら、成膜速度は初期では8Å毎秒であったが、原料の減少とともに徐々に低下しており、成膜工程の終期では2Å毎秒となってしまった。
【0025】
本実施形態のようにインサート坩堝37を用いた方法では、溶融した希土類単体とインサート坩堝37との濡れ性が低いため、図5(c)のように溶融した原料38の量が少なくなっても、原料38がインサート坩堝37の内壁全体に滲まずにインサート坩堝37の底に集まった状態となっている。これにより、電子ビーム銃34で電子ビーム35をインサート坩堝37の底の部分に照射していれば、原料38が少なくなっても効率よく蒸発し、希土類水素化膜の成膜速度が低減せずに安定している。また、インサート坩堝37と水冷ハース33の凹部との間に隙間が存するため、インサート坩堝37が水冷ハース33によって冷却されないため、インサート坩堝37内の原料が効率よく蒸発する。更に、原料38自体が水冷ハース33に接触していないため、原料38が水冷ハース33によって冷やされず、原料38が効率よく蒸発する。このように、希土類水素化膜が効率よく基材1に成膜され、その成膜速度も速くて更に低下しないため、希土類水素化膜には希土類酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。
【0026】
また、基材1としては、上述のようにNiを含有する金属を用いる。すなわち、基材1は、従来のNi電極と同様の材質のものが用いられる。このようにすれば、RH2+Xを含有する電子放出層2の耐用期間を越えるような長時間の使用を行い、電子放出層2がスパッタし、電子放出層2がほとんどなくなってしまうような状態となっても、基材1が冷電子放出電極として機能し、従来の電極と同じレベルまで放電電圧等が高くなってしまうが、電子放出層2の耐用期間を越えても、電子放出性電極として機能しなくなるようなことがない。
【0027】
また、図4においては、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37がそれぞれ一つずつであったが、希土類水素化膜に複数種類の希土類元素が含まれるようにするために、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37のセットを複数設けて、チャンバ31内に配置すれば良い。複数のインサート坩堝37にはそれぞれ別の種類の希土類元素を収容し、これら複数種の希土類元素を同時に蒸着しても良いし、別々のタイミングで蒸着を行い、互いに異なる希土類水素化物膜を複数積層してもよい。
【0028】
また、炉内の温度が適温より低くすぎると、希土類元素の水素化が進行せず、一方、炉内の温度が適温より高すぎると、水素の存在が希土類元素の酸化傾向を強め、希ガス雰囲気中に存在する微量の酸素により希土類元素の酸化が進行し、難還元性の酸化物が生成され、希土類元素の水素化物を得ることが困難なものとなる。従って、炉の雰囲気中を適温に加熱することが好ましい。
【0029】
希土類水素化物を成膜する工程においては水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されてないうえ、希土類元素の水素化物を得ることが容易である。
【0030】
次に、電子放出性電極10の第二の製造方法について説明する。第二の製造方法においては、希土類元素の希土類非水素化膜を基材に成膜する成膜工程と、次いで、水素ガスを含む雰囲気下で前記非水素化金属層を加熱処理することによって希土類非水素化膜を水素化させる水素化工程とを行うことで電子放出性電極10を製造する。なお第二の製造方法では、第一の製造方法と実質的に同じ機能を有する部材に同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0031】
希土類非水素化膜成膜工程においては、図4に示されるような電子ビーム蒸着装置30を用いる。第二の製造方法では、電子ビーム蒸着装置30電子ビーム蒸着装置30は、真空チャンバ31を有している。電子ビーム蒸着装置30を用いて希土類元素の希土類非水素化膜を形成するに際しては、まず、基材ホルダ32に基材1をセッティングし、図5(a)に示されるように水冷ハース33の凹部にインサート坩堝37を嵌め込む。インサート坩堝37を水冷ハース33の凹部に嵌め込んでも、インサート坩堝37の外壁が水冷ハース33の凹部の内壁から離間している。次いで、希土類元素を含む原料(インゴット)38をインサート坩堝37に収容し、真空チャンバ31内を排気装置で排気することで真空チャンバ31内を真空にする。そして、電子ビーム銃34で電子ビーム35を原料38に照射して、原料48を加熱する。すると、図5(b)に示されるように、原料38が溶融し、希土類単体が蒸発して、希土類非水素化膜として希土類単体が基材1に蒸着される。このとき、希土類非水素化膜は酸化物及び希土類水素化物でなければ、希土類単体に限らず希土類硼化物等の化合物であってもよく、希土類化合物と希土類単体の混合物であってもよい。
【0032】
また、図4においては、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37がそれぞれ一つずつであったが、希土類水素化膜に複数種類の希土類元素が含まれるようにするために、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37のセットを複数設けて、チャンバ31内に配置すれば良い。複数のインサート坩堝37にはそれぞれ別の種類の希土類元素を収容し、これら複数種の希土類元素を同時に蒸着しても良いし、別々ぼタイミングで蒸着を行い、互いに異なる希土類水素化物膜を複数積層してもよい。
【0033】
次の水素化工程においては、例えば、炉を用い、希土類非水素化膜が成膜された基材1を炉に入れるとともに、水素調整装置36によりこの炉内の雰囲気を水素ガスを含む不活性ガス雰囲気とし、炉を加熱することになる。これにより、希土類元素である希土類非水素化膜が水素化し、希土類非水素化膜が水素化してなる電子放出層2が形成される。
【0034】
また、炉の雰囲気中には、基本的に酸素ガス及び酸素含有物が含まれていないことが好ましいが、使用される希ガス濃度及び水素ガス濃度を制御することができれば、不純物レベルの微量の酸素及び酸素含有物が含まれていても良い。また、炉の雰囲気中の水素分圧としては好適なものを選択する。すなわち、炉の雰囲気中の水素分圧が滴圧より高いと、希土類非水素化膜を水素化して生成された電子放出層2は、図3(a)の四配位及び図3(b)の八配位以外の不安定な場所にも配列されてしまい、このように不安定な水素を余分に含んだ電子放出性電極を備える冷陰極蛍光管を使用した際には、蛍光管内の電子放出性電極から放出された水素が、放電に悪影響を与えることになる。従って、冷陰極蛍光管の電極として望ましい性質の希土類水素化物を得るために、水素化における雰囲気中の水素ガス濃度としては、不安定な場所に水素が配列されないような濃度とする。
【0035】
また、炉内の温度が適温より低くすぎると、希土類元素の水素化が進行せず、一方、炉内の温度が適温より高すぎると、水素の存在が希土類元素の酸化傾向を強め、希ガス雰囲気中に存在する微量の酸素により希土類元素の酸化が進行し、難還元性の酸化物が生成され、希土類元素の水素化物を得ることが困難なものとなる。従って、炉の雰囲気中を300℃〜600℃に加熱すると良い。
【0036】
上述の成膜工程において希土類酸化物、その他の不純物が希土類非水素化膜に形成されていないため、この水素化工程においては水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されてないうえ、希土類元素の水素化物を得ることが容易である。
【0037】
以上のようにして形成した電子放出層2を対向させるようにして一対の基材1をガラス管21に収容し、ガラス管21内にアルゴンガス等の希ガス及び水銀を封入すると、冷陰極蛍光管20が完成する。
【0038】
そして、冷陰極蛍光管20の使用方法としては、両方の電子放出層2間に電圧を印加することになる。すると、ガラス管21内にわずかに存在する電子は、電界によって移動し、希ガス等に衝突し、イオンを発生させる。そして、イオンが電子放出層2に衝突し、電子放出層2から二次電子が放出され、二次電子が水銀原子と衝突することで紫外線を発生させ、紫外線により蛍光材料22が励起され、蛍光材料22から可視光が発生する。
【0039】
電子放出層2においては、四配位及び八配位以外の不安定な場所に水素が配列されていないため、冷陰極蛍光管20を使用した際には、電子放出層2から水素が放出されない。また、希土類酸化物、その他の不純物が電子放出層2に殆ど含まれていないため、従来に比較して、冷陰極蛍光管20の両電極に印加する電圧が低くても、冷陰極蛍光管20が放電動作をする。従って、以上のように製造された形成された電子放出層2は、従来に比較しても消費電力を小さくするという効果を奏する。
【0040】
従って、この電子放出性電極10を用いた冷陰極蛍光管20を、例えば、携帯型電子機器の液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、バックライトに必要な消費電力を低減して、携帯型電子機器の電池によって使用可能な時間を延長することができる。
【0041】
また、この電子放出性電極10は、液晶表示装置のバックライト及び複写機の光源等として使用された冷陰極蛍光管に限らず、PDP(Plasma Display Panel)等のイオンによる二次電子放出を利用した放電装置の電極として応用することができ、これらの製品において、放電電圧及び消費電力を低減することができる。また、この電子放出性電極10をVFD(Vacuum Fluorescent Display)の電極及びFED(Field Emission Display)の電極にも応用することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記電子放出性電極10を、発光を目的とした冷陰極蛍光管20に用いたが、発光以外の目的に用いられる他の冷陰極放電管の電極として用いても良い。
【0043】
〔第二の実施の形態〕
図1に示されるように、第二実施形態においても、電子放出性電極10は、第一実施形態と同様に、配線3に接続された金属基材1上に形成された電子放出層2からなるものである。そして、この電子放出性電極10を用いた冷陰極蛍光管20も、図2に示されるように、第一実施形態と同様に、電子放出層2が互いに対向するように一対の金属基材1がガラス管21内に配置された構造である。第二実施形態については、電子放出層2の製造方法及びその成分を除いて第一実施形態と同様であるため、以下では電子放出層2について詳細に説明する。
【0044】
電子放出層2は、Sm(サマリウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)及びYb(イッテルビウム)のうちの何れか一つの希土類の水素化物である。また、電子放出層2中に、上記希土類水素化物のうちの複数種の水素化物が含まれていても良い。また、電子放出層2は、Sm、Er、Tm及びYbの少なくともいずれかを含む希土類非水素化膜を水素化することにより製造された層である。元素Sm、Er、Tm及びYbの水素化物は、導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。
【0045】
図3(a),(b)には、上記希土類の水素化物の結晶構造についても、水素は、図3(a)に示されるようにLで示される元素の四面体の中心(四配位)をとるか、又は、図3(b)に示されるようにLで示される元素の八面体の中心(八配位)をとる。本実施形態における電子放出層2の希土類の水素化物は、四配位構造であっても良いし、八配位構造であっても良いし、四配位構造及び八配位構造が混在していても良い。ここで、Lで示される元素は、Sm、Er、Tm、Ybのうちの何れかである。
【0046】
また、上記希土類の水素化物を成膜する際に、また非水素化希土類膜を水素化する際に、雰囲気中に含まれる微量な酸素及び酸素含有物の存在により、電子放出層2中に希土類酸化物が含まれる恐れがある。電子放出層2に希土類酸化物が含まれると放電電圧が高くなってしまう場合がある。
希土類元素は全般的に酸化されやすく、一旦酸化されると還元されにくい。ところが、ランタノイド系希土類元素元素のうちSm、Er、Tm及びYbは、図6に示されるように、他のランタノイド系元素と比較しても酸化傾向が弱い。図6の縦軸は、ランタノイド系元素を400℃の大気中に曝露した場合に酸化による単位体積当たり・単位時間当たりの重量増加分を対数で表している。図6に示されるように、Sm、Er、Tm及びYbに加えてHo(ホルミウム)、Lu(ルテチウム)は、他のランタノイド系元素よりも酸化傾向が低く、特にGd(ガドリニウム)よりも酸化傾向が低い。Gdより酸化傾向の強いランタノイド系元素の金属膜を水素化するに際して、その金属膜を成膜後に水素化装置にハンドリングする過程において酸化してしまい、酸化物が多くなってしまう。
【0047】
Sm、Er、Tm及びYbの少なくともいずれかを含む希土類水素化物膜は、クヌードセンセルを用いた蒸着法の一種であるMBE法(分子線エピタキシ法)により希土類元素の分子線を金属基材1に照射する場合、ヒータの備わったクヌードセンセルに原料を収容し、水素を含む雰囲気中で原料全体をヒータで加熱することで、原料を加熱・蒸発させて得られる。ところが、電子ビーム蒸着法では電子ビームを局所的に原料に照射しているため、電子ビームの照射した部分で原料が蒸発するが、クヌードセンセルでは原料全体をヒータで加熱するため、原料が蒸発しない場合がある。また、輻射熱が原因となって、クヌードセンセルでは原料を1200℃以上に加熱することは困難である。従って、1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上であれば、クヌードセンセルでも原料を迅速に加熱・蒸発させることができる。図7には、1100℃におけるランタノイド系希土類元素の蒸気圧が示されている。図7に示されるように、Sm、Er、Tm及びYbに加えてEu(ユウロピウム)、Dy(ジスプロシウム)は、1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上である。Sm、Er、Tm、Yb、Eu又はDyの原料をクヌードセンセルで加熱・蒸発させることができる。
【0048】
以上のように、酸化傾向が低いと共に1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上であるランタノイド系元素は、Sm、Er、Tm及びYbである。Sm、Er、Tm及びYbの希土類非水素化膜を成膜した場合、その膜には酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。そして、電子放出層2は、Smの水素化物、Erの水素化物、Tmの水素化物及びYbの水素化物のうちの少なくとも何れか一つからなるものであるから、後述するように放電電圧が低いとともに、長時間使用しても放電電圧の上昇がほとんど見られず安定性の高いものである。
【0049】
なお、電子放出層2と金属基材1との間には、Sm単体、Er単体、Tm単体及びYb単体のうちの少なくとも何れか一つを含む非水素化金属の層が介在しても良い。
【0050】
次に、電子放出性電極10の製造方法について説明する。Sm、Er、Tm、Ybのグループから選ばれる少なくとも一つの元素を含む希土類非水素化膜を成膜しつつ、成膜雰囲気を水素を含む雰囲気とすることでその希土類非水素化物を水素化することで、基材1に希土類水素化物膜を成膜することで電子放出性電極10を製造する。
【0051】
成膜工程においては、図8に示されるようなMBE装置40を用いる。MBE装置40は、チャンバ41内の上部に基材ホルダ42が設けられ、ヒータ43が備わったクヌードセンセル44がチャンバ41内の底部に設けられた構造となっている。MBE装置40を用いるに際しては、基材ホルダ42に基材1をセッティングし、クヌードセンセル44にSm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも一つを含む原料45を収容し、チャンバ41内を水素を含む不活性ガス雰囲気にする。そして、クヌードセンセル44で温度制御しながらヒータ43で原料45を約1200℃に加熱して、原料45を蒸発させ、原料45から基材1に向けて分子線を照射する。これにより、Sm、Er、Tm、Ybの希土類水素化物膜を基材1に成膜し、希土類水素化物膜が電子放出層2となる。
【0052】
Sm、Er、Tm、Ybで示される単体の1100℃における蒸気圧が10−3Torr以上であるため、これらの何れかを含む原料をクヌードセンセル44のヒータ43で迅速に蒸発させることができるので成膜速度が速くチャンバ41内の微量の酸素に接触する時間が短くなり酸化されることを抑止できるので良好な希土類水素化物膜が得られる。また、クヌードセンセル44が電子ビーム蒸着に用いられる坩堝より大きいため、クヌードセンセル44には、電子ビーム蒸着用の坩堝に比較しても多くの量の原料を収容することができる。そのため、原料がクヌードセンセル44から全て蒸発するまでに時間を要し、希土類水素化物膜が成膜されている最中でも原料の蒸発速度が殆ど減少しない。従って、非水素化金属が成膜されている最中、希土類水素化物膜の成膜速度が減少しない。
【0053】
また、電子ビーム蒸着法では電子ビームを局所的に原料に照射しているため、原料の蒸発速度が遅い場合があるが、本実施形態ではクヌードセンセル44内のSm、Er、Tm、Ybを含む原料全体を加熱しているため、原料の蒸発速度が速く、希土類水素化物膜の成膜速度が速い。希土類水素化物膜の成膜速度が速いとともに減少もしないから、基材1に成膜された希土類水素化物膜には、酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。
【0054】
また、Sm、Er、Tm及びYbの酸化傾向が弱いため、基材1に成膜された希土類水素化物膜には、従来のGd膜に比較しても酸化物、その他の不純物の含有量が非常に少ない。
【0055】
第二実施形態においても、電子放出層2の水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されていないため、冷陰極蛍光管20を使用した際には、電子放出層2から水素が放出されない。また、希土類酸化物、その他の不純物が電子放出層2に殆ど含まれていないため、従来に比較して、冷陰極蛍光管20の両電極に印加する電圧が低くても、冷陰極蛍光管20が放電動作をする。
【0056】
勿論、第二実施形態の電子放出性電極10も、PDP(Plasma Display Panel)の電極、VFD(Vacuum Fluorescent Display)の電極、FED(Field Emission Display)の電極、発光以外の目的に用いられる他の冷陰極放電管の電極にも応用することができる。
【0057】
MBE装置40のチャンバ41内の雰囲気が水素を含む不活性ガス雰囲気としたが、水素を含まず単なる不活性ガス雰囲気とすることで、Sm単体、Er単体、Tm単体及びYb単体のうちの少なくとも何れか一つを含む希土類非水素化膜を基材1に成膜しても良い。その後は、基材1に成膜された希土類非水素化膜を加熱処理することによって希土類非水素化膜を水素化させることで、希土類水素化物膜である電子放出層2を基材1に形成する。
【0058】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態では希土類元素を含む膜を電子放出性電極10の電子放出層2として利用することについて説明したが、熱源からの熱輻射を抑止する輻射抑止膜等に利用することも可能であり、例えば燃料電池に水素を供給するために設けられた燃料改質器の改質化学反応を促進するために燃料改質器に供給された熱が燃料改質器の外に輻射することを抑えるために、改質器の周囲に上述した希土類で構成される膜例えば、水素化イットリウム等を用いることで熱輻射を抑え、熱利用効率を向上することが可能である。このような改質器及び燃料電池を携帯できる程度に小型にした場合、改質器としてマイクロリアクタと呼ばれる微小化学反応炉を適用することが可能であるが、このように小さいものほど熱供給量が制限されるのでより有効に利用できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、希土類元素を含む膜には、蒸着レートの高い希土類材料を選択して用いているので良好に成膜することができる。また、希土類元素を含む膜には、不安定な水素が含まれにくいため、この希土類元素を含む膜を用いた放電装置の放電に悪影響を及ぼすこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の電子放出性電極の概略構造を示した図面である。
【図2】上記電気放出性電極備えた冷陰極蛍光管を示した断面図である。
【図3】(a)、(b)はともに電子放出性電極に含まれる希土類水素化物の結晶構造を示した図面である。
【図4】上記電子放出性電極を製造する際に用いられる電子ビーム蒸着装置の概略構成を示した図面である。
【図5】(a)、(b)、(c)はともに坩堝に収容された原料の状態を示した図面である。
【図6】ランタノイド系元素の酸化傾向を示したグラフである。
【図7】1100℃におけるランタノイド系元素の蒸気圧を示したグラフである。
【図8】上記電子放出性電極を製造する際に用いられるMBE装置の概略構成を示した図面である。
【図9】(a)、(b)、(c)はともに従来の方法でニッケル金属膜を成膜する際に坩堝に収容された原料の状態を示した図面である。
【符号の説明】
1 金属基材(基材)
2 電子放出層
10 電子放出性電極
37 インサート坩堝(坩堝)
38 原料
45 原料
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極現象により電子を放出する電子放出性電極に関するとともに、その電子放出性電極に利用されたり熱源からの熱輻射を抑止する輻射抑止膜に利用されたりする希土類を含む膜を製造する膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、物体に存在している電子が空間に放出される電子放出現象としては、熱電子放出現象、冷陰極電子放出現象等が知られている。電子放出性の材料は放電ランプ等の放電を利用した装置の電極に用いられており、例えばコイル状のフィラメントに電流を流して加熱することにより電子を放出する熱電子放出現象を利用した熱陰極放電管が知られている。また、熱電子放出現象とは異なり非加熱で電子を放出する冷陰極電子放出現象を利用した電子放出性電極を用いて放電を行う装置も知られている。冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極は、冷陰極蛍光管の陰極に用いられており、更に、PDP(Plasma DisplayPanel)、VFD(Vacuum Fluorescent Display)、FED(Field Emission Display)等の陰極として広い用途への試みが続けられている。
【0003】
電子放出性電極としては、ニッケルからなるものが知られている。ニッケルからなる電子放出性電極を製造するには、まず電子ビーム蒸着法により基材にニッケル金属膜を成膜する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子ビーム蒸着法では、図9(a)に示されるように、真空チャンバ内において、坩堝としてCuの水冷ハース80の上部に形成された凹部81にニッケルの原料82を収容し、原料82に電子ビームを照射することによって、原料82を加熱・蒸発させる。電子ビームでは原料82を局所的に照射するため、図9(b)に示されるように、溶融した原料82の厚くなった部分82aに電子ビームで照射することになる。これは、溶融した原料82の薄い部分を照射しても、その部分において原料82がすぐに蒸発してしまい、ニッケル金属膜の成膜速度が遅くなってしまうためである。また、溶融した原料82の蒸発が進行すると、図9(c)に示されるように、原料82が凹部81の内壁全体に滲んでしまい、全体として原料82が薄くなってしまう。原料82が薄いため、成膜速度が遅くなってしまう。
【0005】
ニッケルの他にも放電特性に優れた仕事関数の低い金属膜を電子放出膜として利用することがあるが、このような材料では成膜速度が遅いと、不均一で乱れた結晶状態で酸化されたり、その他の不純物が多く含まれてしまったり、スパッタされやすいといった問題を生じてしまっていた。電子放出膜として低仕事関数の金属水素化物を適用する場合は、金属を成膜後に水素化する製法をとることがあるが水素化の前に一旦酸化されてしまうと、低仕事関数の金属酸化物の中には難還元性のものがあるために、酸化物から水素化物を生成することが困難になってしまうといった問題があった。金属酸化物が膜中に部分的に含まれることで、不安定な金属水素化物となってしまい、不安定な水素を含む電子放出性電極は冷陰極蛍光管中に水素を放出してしまい、放出された水素が冷陰極蛍光管の放電に悪影響を及ぼす。
【0006】
そこで、本発明の課題は、放電電圧が低く且つ製造性に優れた電子放出性電極、その電子放出性電極等に利用されるとともに希土類元素を含む膜を製造する膜製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、希土類元素を含むとともに、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出電極であって、
前記希土類元素が、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、例えば図1、図8に示すように、希土類元素を含む膜(例えば、電子放出性電極10)を製造する膜製造方法において、
ヒータ(例えば、ヒータ43)の備わったクヌードセンセル(例えば、クヌードセンセル44)に、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つを含む原料(例えば、原料45)を収容する工程と、
前記クヌードセンセルに収容された前記原料を前記ヒータで加熱して蒸発させて基材(例えば、金属基材1)に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、Sm、Er、Tm及びYbは、他のランタノイド系元素と比較しても蒸気圧が高いため、クヌードセンセルのヒータでSm、Er、Tm及びYbの原料を蒸発させることが容易である。そのため、Sm、Er、Tm、Ybは成膜速度が速いので、Sm、Er、Tm、Ybの反応系中にたとえ微量に酸素が存在しても接触する時間が短く、またその他のランタノイド系元素と比較しても酸化されにくいために、酸化物として成膜されにくい。
このような希土類元素を含む膜を成膜する場合、Sm、Er、Tm、Ybの少なくとも何れかを含む原料を用いて水素を含む雰囲気中で成膜するだけでSm、Er、Tm、Ybの少なくとも何れかを含む緻密な水素化物膜を製造することができ、不安定な水素が含まれていない。希土類元素を含む構成される膜に希土類酸化物が含まれていないからこれを冷陰極放電管の電子放出膜に応用すると、放電電圧が低く、また、希土類元素を含む膜に不安定な水素が含まれていないから、放電に悪影響を及ぼすこともない。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図1、図4に示すように、希土類元素を含む膜(例えば、電子放出性電極10)を製造する膜製造方法において、
表面がMo、W及びTaのうちの少なくとも何れか一つで形成された坩堝(例えば、インサート坩堝37)に希土類元素を含む原料(例えば、原料38)を収容する工程と、
前記坩堝に収容された前記原料に電子ビームを照射して前記坩堝に収容された前記原料を加熱して蒸発させて基材(例えば、金属基材1)に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、電子ビームの照射により溶融した希土類元素の原料は、表面がMo、W及びTaの坩堝に対して濡れ性が低い。そのため、溶融した原料は、坩堝で滲まずに、坩堝の底に集まった状態となる。従って、溶融した原料に対して局所的に電子ビームを照射し続けても、溶融した原料の蒸発速度が遅くならず、希土類元素の金属膜の成膜速度が遅くならない。金属膜の成膜速度が遅くならないため、原料を酸化させずに成膜したい場合に、希土類酸化物、その他の不純物が含まれることを抑制して堆積できる。
例えばその希土類元素を含む膜を水素化することで、希土類元素を含む膜には希土類酸化物が殆ど含まれていない上、不安定な水素が含まれていない。希土類元素を含む膜やそれを水素化したものには希土類酸化物が含まれていないから、これらを冷陰極放電管の電子放出膜に応用すると、放電電圧が低く、また、希土類で構成される膜に水素が含まれていないから、放電に悪影響を及ぼすこともない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0012】
〔第一の実施の形態〕
図1に示されるように、電子放出性電極10は、配線3に接続された金属基材1の表面に形成された電子放出層(電子放出膜)2からなるものである。
【0013】
この電子放出性電極10を用いた直管型冷陰極蛍光管20を図2に示す。冷陰極蛍光管20は、電子放出層2が互いに対向するように一対の金属基材1及び電子放出層2がガラス管21内に配置された構造となっている。ガラス管21の内壁には、励起状態で所定の波長域の光を発光する蛍光材料22が被膜されており、ガラス管21内には、アルゴン等の希ガス及び水銀が封入されている。そして、ガラス管21の両端においては、配線3が、ガラス管21を貫通して、ガラス管21の外部へ延出している。
【0014】
金属基材1及び配線3は、例えば、Niを含有するものであるか、又は、Ni及びCrを含有するものである。金属基材1、即ち、表面に電子放出層2が形成される基材は、導電性又は半導体性を示すものであり、かつ、比較的スパッタされにくい元素の単体又は複数種の混合材料からなるものであり、上述の元素以外に、例えば、Mo(モリブデン)やAl(アルミニウム)等を挙げることができる。
【0015】
電子放出層2は、RH2+X(但し−1≦X≦1)で示される電極材料を含有するものである。ここで、RはSm(サマリウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)のいずれかであり、Hは水素である。電子放出層2中に一種類の希土類水素化物が含まれていても良いし、複数種類の希土類水素化物が含まれていても良い。また、電子放出層2は、後述する製造方法に示すように、希土類元素を含む希土類非水素化膜を水素化することにより形成された層である。希土類元素の水素化物は、導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。
【0016】
図3(a),(b)には、化学式がRH2+Xの結晶構造が示されている。図3(a),(b)に示されるように、RH2+Xにおいては、希土類元素が面心立方格子の配列となる。この場合、水素は、図3(a)に示されるように希土類元素の四面体の中心(四配位)をとるか、又は、図3(b)に示されるように希土類元素の八面体の中心(八配位)をとる。また、水素化エルビウム及び水素化イッテルビウムは、SrH2型斜方格子状の結晶構造をとり、水素化サマリウム及び水素化ツリウムは、CaF2(蛍石)型立方格子状の結晶構造をとる。本実施形態における電子放出層2のRH2+Xは、四配位構造であっても良いし、八配位構造であっても良いし、四配位構造及び八配位構造が混在していても良い。
【0017】
本来は、希土類元素の四面体の中心(四配位)の水素だけでも水素化物となることから、同一結晶構造を維持したままでかなりの固溶範囲(希土類元素に対する水素の割合の範囲)を持つことができる。従って、ここで述べる希土類水素化物とは、基本的にRH2+Xの結晶構造をほぼ維持した状態で、希土類元素に対する水素元素の割合が1:2や1:3からずれたものを含むものであり、実際には、RH2+X(−1≦X≦1)のことである。
【0018】
RH2+Xは、Rに対する水素元素の割合が1:2からずれたものとなっていても、RH2+Xと同様に導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。また、RH2+Xは、Rに対する水素元素の割合が1:2や1:3からずれたものとなっていても、基本的にRH2+Xが取ることができる結晶構造を有するものである。
【0019】
また、希土類元素からなる希土類非水素化膜を成膜する際に、雰囲気中に含まれる微量な酸素及び酸素含有物の存在により、電子放出層2中には例えばR2O3−Z(Oは酸素、0≦Z≦1)のような希土類酸化物が含まれることがある。希土類酸化物は場合により放電電圧が若干高くなってしまうといったことがあり、本実施形態では、後述する製造方法のように、希土類非水素化膜を成膜することによって、電子放出層2中に希土類酸化物の含有量を非常に少なくしている。
【0020】
また、電子放出層2と金属基材1との間には、希土類元素を含む非水素化金属の層が介在しても良い。すなわち、希土類元素である希土類非水素化膜を金属基材1上に成膜して、希土類元素の希土類非水素化膜に水素化処理を最深部まで行わずに、電子放出層2と金属基材1との間に希土類単体を残しても良い。電子放出層2と金属基材1との間に介在した非水素化金属層は、水素化した電子放出層2に覆われているため、放電を行う雰囲気中に水銀が存在しても、直接水銀と接触することがなく、水銀と反応しにくい。この非水素化金属層は、基本的に低仕事関数の導体であり、水銀と反応しないかぎり電子放出性電極の材料として適したものである。
【0021】
次に、電子放出性電極10の第一の製造方法について説明する。電子放出性電極10を製造する際には図4に示すような電子ビーム蒸着装置30を用いる。電子ビーム蒸着装置30は、チャンバ31を有している。このチャンバ31の内部上方には、下面側に被成膜部材としての所定の基材を保持する基板ホルダ32が設けられている。このチャンバ31の内部下方に、例えばCu等からなり内部に冷却水が導通される水冷ハース33が配設されており、この水冷ハース33の上面には、周囲が上方に向かって拡開された形状を有する凹部が形成されている。チャンバ31の一側部上方には、電子ビーム銃34が配置されており、電子ビーム銃34から出力された電子ビーム35が水冷ハース33の凹部に照射されるように電子ビーム銃34が指向されている。電子ビーム35の向きは周知の偏向コイルで調整することができ、電子ビーム35の照射位置は水冷ハース33の凹部において自由に調整することができる。
【0022】
水冷ハース33の凹部には、インサート坩堝37が着脱自在に係合されており、本実施形態においては図5(a)に示されるように、インサート坩堝37の拡開角度は、水冷ハース33の凹部の拡開角度より僅かに大きく形成され、これにより、インサート坩堝37の外壁が、水冷ハース33の凹部の内壁から僅かに離間するように設置されるようになっている。インサート坩堝37は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)若しくはTa(タンタル)からなるか、又は、これらの金属の合金からなる。これらの金属・合金の他に、溶融した希土類元素に対して濡れ性の低い金属又は合金であれば良く、イットリウムのような希土類元素に対して濡れ性の低い金属又は合金の中でも希土類元素より真空圧での融点や沸点の高いものが望ましい。勿論、溶融した希土類元素は、Cuに対してよりも、W、Mo及びTaに対してのほうが濡れ性が低い。
【0023】
以上の電子ビーム蒸着装置30を用いて希土類水素化物膜を形成するに際しては、まず、基材ホルダ32に基材1をセッティングし、図5(a)に示されるように水冷ハース33の凹部にインサート坩堝37を嵌め込む。インサート坩堝37を水冷ハース33の凹部に嵌め込んでも、インサート坩堝37の外壁が水冷ハース33の凹部の内壁から離間している。次いで、希土類元素を含む原料(例えばイットリウムのインゴット)38をインサート坩堝37に収容する。チャンバ31内は水素調整装置36により水素を含む不活性ガス雰囲気になっている。不活性ガスはアルゴンや窒素が量産性に優れ、80.0vol%〜99.9vol%が望ましい。また不活性ガスを用いずに水素のみの雰囲気でもよく、その場合減圧雰囲気が望ましい。そして、電子ビーム銃34で電子ビーム35を原料38に照射して、原料48を加熱する。すると、図5(b)に示されるように、原料38が溶融し、蒸発した希土類単体はチャンバ31内の水素により水素化されて基材1に蒸着される。
【0024】
以上のような方法で原料38のほぼ全部を基材1に蒸着させるまで電子ビーム35を原料38に照射したが、希土類水素化膜の成膜速度は減少しなかった。希土類水素化膜を成膜し始めてから成膜し終わるまでの間、水晶振動子で成膜速度を測定したら、成膜速度は1秒間あたり8〜10Å(オングストローム)であった。なお、インサート坩堝37を用いずに、水冷ハース33の凹部に直接原料を収容して、本実施形態と同様な条件で成膜したら、成膜速度は初期では8Å毎秒であったが、原料の減少とともに徐々に低下しており、成膜工程の終期では2Å毎秒となってしまった。
【0025】
本実施形態のようにインサート坩堝37を用いた方法では、溶融した希土類単体とインサート坩堝37との濡れ性が低いため、図5(c)のように溶融した原料38の量が少なくなっても、原料38がインサート坩堝37の内壁全体に滲まずにインサート坩堝37の底に集まった状態となっている。これにより、電子ビーム銃34で電子ビーム35をインサート坩堝37の底の部分に照射していれば、原料38が少なくなっても効率よく蒸発し、希土類水素化膜の成膜速度が低減せずに安定している。また、インサート坩堝37と水冷ハース33の凹部との間に隙間が存するため、インサート坩堝37が水冷ハース33によって冷却されないため、インサート坩堝37内の原料が効率よく蒸発する。更に、原料38自体が水冷ハース33に接触していないため、原料38が水冷ハース33によって冷やされず、原料38が効率よく蒸発する。このように、希土類水素化膜が効率よく基材1に成膜され、その成膜速度も速くて更に低下しないため、希土類水素化膜には希土類酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。
【0026】
また、基材1としては、上述のようにNiを含有する金属を用いる。すなわち、基材1は、従来のNi電極と同様の材質のものが用いられる。このようにすれば、RH2+Xを含有する電子放出層2の耐用期間を越えるような長時間の使用を行い、電子放出層2がスパッタし、電子放出層2がほとんどなくなってしまうような状態となっても、基材1が冷電子放出電極として機能し、従来の電極と同じレベルまで放電電圧等が高くなってしまうが、電子放出層2の耐用期間を越えても、電子放出性電極として機能しなくなるようなことがない。
【0027】
また、図4においては、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37がそれぞれ一つずつであったが、希土類水素化膜に複数種類の希土類元素が含まれるようにするために、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37のセットを複数設けて、チャンバ31内に配置すれば良い。複数のインサート坩堝37にはそれぞれ別の種類の希土類元素を収容し、これら複数種の希土類元素を同時に蒸着しても良いし、別々のタイミングで蒸着を行い、互いに異なる希土類水素化物膜を複数積層してもよい。
【0028】
また、炉内の温度が適温より低くすぎると、希土類元素の水素化が進行せず、一方、炉内の温度が適温より高すぎると、水素の存在が希土類元素の酸化傾向を強め、希ガス雰囲気中に存在する微量の酸素により希土類元素の酸化が進行し、難還元性の酸化物が生成され、希土類元素の水素化物を得ることが困難なものとなる。従って、炉の雰囲気中を適温に加熱することが好ましい。
【0029】
希土類水素化物を成膜する工程においては水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されてないうえ、希土類元素の水素化物を得ることが容易である。
【0030】
次に、電子放出性電極10の第二の製造方法について説明する。第二の製造方法においては、希土類元素の希土類非水素化膜を基材に成膜する成膜工程と、次いで、水素ガスを含む雰囲気下で前記非水素化金属層を加熱処理することによって希土類非水素化膜を水素化させる水素化工程とを行うことで電子放出性電極10を製造する。なお第二の製造方法では、第一の製造方法と実質的に同じ機能を有する部材に同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0031】
希土類非水素化膜成膜工程においては、図4に示されるような電子ビーム蒸着装置30を用いる。第二の製造方法では、電子ビーム蒸着装置30電子ビーム蒸着装置30は、真空チャンバ31を有している。電子ビーム蒸着装置30を用いて希土類元素の希土類非水素化膜を形成するに際しては、まず、基材ホルダ32に基材1をセッティングし、図5(a)に示されるように水冷ハース33の凹部にインサート坩堝37を嵌め込む。インサート坩堝37を水冷ハース33の凹部に嵌め込んでも、インサート坩堝37の外壁が水冷ハース33の凹部の内壁から離間している。次いで、希土類元素を含む原料(インゴット)38をインサート坩堝37に収容し、真空チャンバ31内を排気装置で排気することで真空チャンバ31内を真空にする。そして、電子ビーム銃34で電子ビーム35を原料38に照射して、原料48を加熱する。すると、図5(b)に示されるように、原料38が溶融し、希土類単体が蒸発して、希土類非水素化膜として希土類単体が基材1に蒸着される。このとき、希土類非水素化膜は酸化物及び希土類水素化物でなければ、希土類単体に限らず希土類硼化物等の化合物であってもよく、希土類化合物と希土類単体の混合物であってもよい。
【0032】
また、図4においては、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37がそれぞれ一つずつであったが、希土類水素化膜に複数種類の希土類元素が含まれるようにするために、電子ビーム銃34、水冷ハース33及びインサート坩堝37のセットを複数設けて、チャンバ31内に配置すれば良い。複数のインサート坩堝37にはそれぞれ別の種類の希土類元素を収容し、これら複数種の希土類元素を同時に蒸着しても良いし、別々ぼタイミングで蒸着を行い、互いに異なる希土類水素化物膜を複数積層してもよい。
【0033】
次の水素化工程においては、例えば、炉を用い、希土類非水素化膜が成膜された基材1を炉に入れるとともに、水素調整装置36によりこの炉内の雰囲気を水素ガスを含む不活性ガス雰囲気とし、炉を加熱することになる。これにより、希土類元素である希土類非水素化膜が水素化し、希土類非水素化膜が水素化してなる電子放出層2が形成される。
【0034】
また、炉の雰囲気中には、基本的に酸素ガス及び酸素含有物が含まれていないことが好ましいが、使用される希ガス濃度及び水素ガス濃度を制御することができれば、不純物レベルの微量の酸素及び酸素含有物が含まれていても良い。また、炉の雰囲気中の水素分圧としては好適なものを選択する。すなわち、炉の雰囲気中の水素分圧が滴圧より高いと、希土類非水素化膜を水素化して生成された電子放出層2は、図3(a)の四配位及び図3(b)の八配位以外の不安定な場所にも配列されてしまい、このように不安定な水素を余分に含んだ電子放出性電極を備える冷陰極蛍光管を使用した際には、蛍光管内の電子放出性電極から放出された水素が、放電に悪影響を与えることになる。従って、冷陰極蛍光管の電極として望ましい性質の希土類水素化物を得るために、水素化における雰囲気中の水素ガス濃度としては、不安定な場所に水素が配列されないような濃度とする。
【0035】
また、炉内の温度が適温より低くすぎると、希土類元素の水素化が進行せず、一方、炉内の温度が適温より高すぎると、水素の存在が希土類元素の酸化傾向を強め、希ガス雰囲気中に存在する微量の酸素により希土類元素の酸化が進行し、難還元性の酸化物が生成され、希土類元素の水素化物を得ることが困難なものとなる。従って、炉の雰囲気中を300℃〜600℃に加熱すると良い。
【0036】
上述の成膜工程において希土類酸化物、その他の不純物が希土類非水素化膜に形成されていないため、この水素化工程においては水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されてないうえ、希土類元素の水素化物を得ることが容易である。
【0037】
以上のようにして形成した電子放出層2を対向させるようにして一対の基材1をガラス管21に収容し、ガラス管21内にアルゴンガス等の希ガス及び水銀を封入すると、冷陰極蛍光管20が完成する。
【0038】
そして、冷陰極蛍光管20の使用方法としては、両方の電子放出層2間に電圧を印加することになる。すると、ガラス管21内にわずかに存在する電子は、電界によって移動し、希ガス等に衝突し、イオンを発生させる。そして、イオンが電子放出層2に衝突し、電子放出層2から二次電子が放出され、二次電子が水銀原子と衝突することで紫外線を発生させ、紫外線により蛍光材料22が励起され、蛍光材料22から可視光が発生する。
【0039】
電子放出層2においては、四配位及び八配位以外の不安定な場所に水素が配列されていないため、冷陰極蛍光管20を使用した際には、電子放出層2から水素が放出されない。また、希土類酸化物、その他の不純物が電子放出層2に殆ど含まれていないため、従来に比較して、冷陰極蛍光管20の両電極に印加する電圧が低くても、冷陰極蛍光管20が放電動作をする。従って、以上のように製造された形成された電子放出層2は、従来に比較しても消費電力を小さくするという効果を奏する。
【0040】
従って、この電子放出性電極10を用いた冷陰極蛍光管20を、例えば、携帯型電子機器の液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、バックライトに必要な消費電力を低減して、携帯型電子機器の電池によって使用可能な時間を延長することができる。
【0041】
また、この電子放出性電極10は、液晶表示装置のバックライト及び複写機の光源等として使用された冷陰極蛍光管に限らず、PDP(Plasma Display Panel)等のイオンによる二次電子放出を利用した放電装置の電極として応用することができ、これらの製品において、放電電圧及び消費電力を低減することができる。また、この電子放出性電極10をVFD(Vacuum Fluorescent Display)の電極及びFED(Field Emission Display)の電極にも応用することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記電子放出性電極10を、発光を目的とした冷陰極蛍光管20に用いたが、発光以外の目的に用いられる他の冷陰極放電管の電極として用いても良い。
【0043】
〔第二の実施の形態〕
図1に示されるように、第二実施形態においても、電子放出性電極10は、第一実施形態と同様に、配線3に接続された金属基材1上に形成された電子放出層2からなるものである。そして、この電子放出性電極10を用いた冷陰極蛍光管20も、図2に示されるように、第一実施形態と同様に、電子放出層2が互いに対向するように一対の金属基材1がガラス管21内に配置された構造である。第二実施形態については、電子放出層2の製造方法及びその成分を除いて第一実施形態と同様であるため、以下では電子放出層2について詳細に説明する。
【0044】
電子放出層2は、Sm(サマリウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)及びYb(イッテルビウム)のうちの何れか一つの希土類の水素化物である。また、電子放出層2中に、上記希土類水素化物のうちの複数種の水素化物が含まれていても良い。また、電子放出層2は、Sm、Er、Tm及びYbの少なくともいずれかを含む希土類非水素化膜を水素化することにより製造された層である。元素Sm、Er、Tm及びYbの水素化物は、導電性を有するものであり、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極として使用可能である。
【0045】
図3(a),(b)には、上記希土類の水素化物の結晶構造についても、水素は、図3(a)に示されるようにLで示される元素の四面体の中心(四配位)をとるか、又は、図3(b)に示されるようにLで示される元素の八面体の中心(八配位)をとる。本実施形態における電子放出層2の希土類の水素化物は、四配位構造であっても良いし、八配位構造であっても良いし、四配位構造及び八配位構造が混在していても良い。ここで、Lで示される元素は、Sm、Er、Tm、Ybのうちの何れかである。
【0046】
また、上記希土類の水素化物を成膜する際に、また非水素化希土類膜を水素化する際に、雰囲気中に含まれる微量な酸素及び酸素含有物の存在により、電子放出層2中に希土類酸化物が含まれる恐れがある。電子放出層2に希土類酸化物が含まれると放電電圧が高くなってしまう場合がある。
希土類元素は全般的に酸化されやすく、一旦酸化されると還元されにくい。ところが、ランタノイド系希土類元素元素のうちSm、Er、Tm及びYbは、図6に示されるように、他のランタノイド系元素と比較しても酸化傾向が弱い。図6の縦軸は、ランタノイド系元素を400℃の大気中に曝露した場合に酸化による単位体積当たり・単位時間当たりの重量増加分を対数で表している。図6に示されるように、Sm、Er、Tm及びYbに加えてHo(ホルミウム)、Lu(ルテチウム)は、他のランタノイド系元素よりも酸化傾向が低く、特にGd(ガドリニウム)よりも酸化傾向が低い。Gdより酸化傾向の強いランタノイド系元素の金属膜を水素化するに際して、その金属膜を成膜後に水素化装置にハンドリングする過程において酸化してしまい、酸化物が多くなってしまう。
【0047】
Sm、Er、Tm及びYbの少なくともいずれかを含む希土類水素化物膜は、クヌードセンセルを用いた蒸着法の一種であるMBE法(分子線エピタキシ法)により希土類元素の分子線を金属基材1に照射する場合、ヒータの備わったクヌードセンセルに原料を収容し、水素を含む雰囲気中で原料全体をヒータで加熱することで、原料を加熱・蒸発させて得られる。ところが、電子ビーム蒸着法では電子ビームを局所的に原料に照射しているため、電子ビームの照射した部分で原料が蒸発するが、クヌードセンセルでは原料全体をヒータで加熱するため、原料が蒸発しない場合がある。また、輻射熱が原因となって、クヌードセンセルでは原料を1200℃以上に加熱することは困難である。従って、1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上であれば、クヌードセンセルでも原料を迅速に加熱・蒸発させることができる。図7には、1100℃におけるランタノイド系希土類元素の蒸気圧が示されている。図7に示されるように、Sm、Er、Tm及びYbに加えてEu(ユウロピウム)、Dy(ジスプロシウム)は、1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上である。Sm、Er、Tm、Yb、Eu又はDyの原料をクヌードセンセルで加熱・蒸発させることができる。
【0048】
以上のように、酸化傾向が低いと共に1100℃での蒸気圧が10−3Torr以上であるランタノイド系元素は、Sm、Er、Tm及びYbである。Sm、Er、Tm及びYbの希土類非水素化膜を成膜した場合、その膜には酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。そして、電子放出層2は、Smの水素化物、Erの水素化物、Tmの水素化物及びYbの水素化物のうちの少なくとも何れか一つからなるものであるから、後述するように放電電圧が低いとともに、長時間使用しても放電電圧の上昇がほとんど見られず安定性の高いものである。
【0049】
なお、電子放出層2と金属基材1との間には、Sm単体、Er単体、Tm単体及びYb単体のうちの少なくとも何れか一つを含む非水素化金属の層が介在しても良い。
【0050】
次に、電子放出性電極10の製造方法について説明する。Sm、Er、Tm、Ybのグループから選ばれる少なくとも一つの元素を含む希土類非水素化膜を成膜しつつ、成膜雰囲気を水素を含む雰囲気とすることでその希土類非水素化物を水素化することで、基材1に希土類水素化物膜を成膜することで電子放出性電極10を製造する。
【0051】
成膜工程においては、図8に示されるようなMBE装置40を用いる。MBE装置40は、チャンバ41内の上部に基材ホルダ42が設けられ、ヒータ43が備わったクヌードセンセル44がチャンバ41内の底部に設けられた構造となっている。MBE装置40を用いるに際しては、基材ホルダ42に基材1をセッティングし、クヌードセンセル44にSm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも一つを含む原料45を収容し、チャンバ41内を水素を含む不活性ガス雰囲気にする。そして、クヌードセンセル44で温度制御しながらヒータ43で原料45を約1200℃に加熱して、原料45を蒸発させ、原料45から基材1に向けて分子線を照射する。これにより、Sm、Er、Tm、Ybの希土類水素化物膜を基材1に成膜し、希土類水素化物膜が電子放出層2となる。
【0052】
Sm、Er、Tm、Ybで示される単体の1100℃における蒸気圧が10−3Torr以上であるため、これらの何れかを含む原料をクヌードセンセル44のヒータ43で迅速に蒸発させることができるので成膜速度が速くチャンバ41内の微量の酸素に接触する時間が短くなり酸化されることを抑止できるので良好な希土類水素化物膜が得られる。また、クヌードセンセル44が電子ビーム蒸着に用いられる坩堝より大きいため、クヌードセンセル44には、電子ビーム蒸着用の坩堝に比較しても多くの量の原料を収容することができる。そのため、原料がクヌードセンセル44から全て蒸発するまでに時間を要し、希土類水素化物膜が成膜されている最中でも原料の蒸発速度が殆ど減少しない。従って、非水素化金属が成膜されている最中、希土類水素化物膜の成膜速度が減少しない。
【0053】
また、電子ビーム蒸着法では電子ビームを局所的に原料に照射しているため、原料の蒸発速度が遅い場合があるが、本実施形態ではクヌードセンセル44内のSm、Er、Tm、Ybを含む原料全体を加熱しているため、原料の蒸発速度が速く、希土類水素化物膜の成膜速度が速い。希土類水素化物膜の成膜速度が速いとともに減少もしないから、基材1に成膜された希土類水素化物膜には、酸化物、その他の不純物が殆ど含まれていない。
【0054】
また、Sm、Er、Tm及びYbの酸化傾向が弱いため、基材1に成膜された希土類水素化物膜には、従来のGd膜に比較しても酸化物、その他の不純物の含有量が非常に少ない。
【0055】
第二実施形態においても、電子放出層2の水素が四配位及び八配位以外の不安定な場所に配列されていないため、冷陰極蛍光管20を使用した際には、電子放出層2から水素が放出されない。また、希土類酸化物、その他の不純物が電子放出層2に殆ど含まれていないため、従来に比較して、冷陰極蛍光管20の両電極に印加する電圧が低くても、冷陰極蛍光管20が放電動作をする。
【0056】
勿論、第二実施形態の電子放出性電極10も、PDP(Plasma Display Panel)の電極、VFD(Vacuum Fluorescent Display)の電極、FED(Field Emission Display)の電極、発光以外の目的に用いられる他の冷陰極放電管の電極にも応用することができる。
【0057】
MBE装置40のチャンバ41内の雰囲気が水素を含む不活性ガス雰囲気としたが、水素を含まず単なる不活性ガス雰囲気とすることで、Sm単体、Er単体、Tm単体及びYb単体のうちの少なくとも何れか一つを含む希土類非水素化膜を基材1に成膜しても良い。その後は、基材1に成膜された希土類非水素化膜を加熱処理することによって希土類非水素化膜を水素化させることで、希土類水素化物膜である電子放出層2を基材1に形成する。
【0058】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態では希土類元素を含む膜を電子放出性電極10の電子放出層2として利用することについて説明したが、熱源からの熱輻射を抑止する輻射抑止膜等に利用することも可能であり、例えば燃料電池に水素を供給するために設けられた燃料改質器の改質化学反応を促進するために燃料改質器に供給された熱が燃料改質器の外に輻射することを抑えるために、改質器の周囲に上述した希土類で構成される膜例えば、水素化イットリウム等を用いることで熱輻射を抑え、熱利用効率を向上することが可能である。このような改質器及び燃料電池を携帯できる程度に小型にした場合、改質器としてマイクロリアクタと呼ばれる微小化学反応炉を適用することが可能であるが、このように小さいものほど熱供給量が制限されるのでより有効に利用できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、希土類元素を含む膜には、蒸着レートの高い希土類材料を選択して用いているので良好に成膜することができる。また、希土類元素を含む膜には、不安定な水素が含まれにくいため、この希土類元素を含む膜を用いた放電装置の放電に悪影響を及ぼすこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の電子放出性電極の概略構造を示した図面である。
【図2】上記電気放出性電極備えた冷陰極蛍光管を示した断面図である。
【図3】(a)、(b)はともに電子放出性電極に含まれる希土類水素化物の結晶構造を示した図面である。
【図4】上記電子放出性電極を製造する際に用いられる電子ビーム蒸着装置の概略構成を示した図面である。
【図5】(a)、(b)、(c)はともに坩堝に収容された原料の状態を示した図面である。
【図6】ランタノイド系元素の酸化傾向を示したグラフである。
【図7】1100℃におけるランタノイド系元素の蒸気圧を示したグラフである。
【図8】上記電子放出性電極を製造する際に用いられるMBE装置の概略構成を示した図面である。
【図9】(a)、(b)、(c)はともに従来の方法でニッケル金属膜を成膜する際に坩堝に収容された原料の状態を示した図面である。
【符号の説明】
1 金属基材(基材)
2 電子放出層
10 電子放出性電極
37 インサート坩堝(坩堝)
38 原料
45 原料
Claims (3)
- 希土類元素を含むとともに、冷陰極電子放出現象により電子を放出する電子放出性電極であって、
前記希土類元素が、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つであることを特徴とする電子放出性電極。 - 希土類元素を含む膜を製造する膜製造方法であって、
ヒータの備わったクヌードセンセルに、Sm、Er、Tm、Ybのうちの少なくとも何れか一つを含む原料を収容する工程と、
前記クヌードセンセルに収容された前記原料を前記ヒータで加熱して蒸発させて基材に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする膜製造方法。 - 希土類元素を含む膜を製造する膜製造方法において、
表面がMo、W及びTaのうちの少なくとも何れか一つで形成された坩堝に希土類元素を含む原料を収容する工程と、
前記坩堝に収容された前記原料に電子ビームを照射して前記坩堝に収容された前記原料を加熱して蒸発させて基材に成膜する工程と、
を含むことを特徴とする膜製造方法。
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