JPH10269986A - 冷陰極及び冷陰極の製造方法並びに冷陰極蛍光管 - Google Patents

冷陰極及び冷陰極の製造方法並びに冷陰極蛍光管

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JPH10269986A
JPH10269986A JP7427597A JP7427597A JPH10269986A JP H10269986 A JPH10269986 A JP H10269986A JP 7427597 A JP7427597 A JP 7427597A JP 7427597 A JP7427597 A JP 7427597A JP H10269986 A JPH10269986 A JP H10269986A
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JP
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cold cathode
oxide
type
oxygen
crystal structure
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Application number
JP7427597A
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English (en)
Inventor
Osamu Nakamura
修 中村
Hideo Naito
英雄 内藤
Shigeo Suzuki
滋生 鈴木
Yuichi Mori
裕一 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Stanley Electric Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Stanley Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷陰極蛍光管等で用いられる冷陰極におい
て、長時間安定して放電電圧を低い状態に保持できるよ
うにする。 【解決手段】 冷陰極1の電子放出膜4を例えば、YO
x(1.32>x≧0.95)で示されるY(イットリウ
ム)の酸化物とする。このY酸化物は、結晶構造がNa
Cl型の結晶構造もしくはNaCl型に準じる結晶構造
を有するものである。また、このY酸化物は良導体であ
る。このY酸化物を用いた冷陰極は、放電電圧が低く、
長時間の放電を行っても放電電圧が安定している。ま
た、Y酸化物は、平衡状態でY23となり、YOは平衡
状態での存在を知られていない。しかし、水素ガスを含
む雰囲気中で微量酸素によりY金属を酸化すると、平衡
状態ではないY酸化物を得ることができる。すなわち、
YOx(1.32>x≧0.95)で示されるY酸化物を
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強電界により電子
を放出する冷陰極及び冷陰極の製造方法並びに冷陰極蛍
光管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、導体もしくは半導体からなり、
強電界により電子を放出する冷陰極(電子放出性電極)
は、コイル状のフィラメントに電流を流して加熱して電
子を放出する熱陰極とは異なり、針状または平面状の構
造からなり、約106V/cm以上の強い電圧が印加さ
れると冷電子が電極界面から放出するコールドエミッシ
ョン性を有している。このような強電界により電子を放
出する電子放出電極は、液晶等の非自発光表示装置のバ
ックライトとしての冷陰極蛍光管、複写機、単色又は多
色表示装置として、プラズマディスプレイ装置及びVF
D(Vacuum Fluorescent Display)等の陰極として広い
用途への試みが続けられている。
【0003】電子放出性電極を用いた冷陰極蛍光管は、
蛍光体が内壁に設けられた管とその管の内部に封入され
た混合希ガス及び水銀を備えており、電子放出性電極か
ら放出された電子が管内の水銀原子と衝突することで紫
外線を発生し、蛍光体が励起され可視光を発光する。強
電界により電子を放出する電子放出性電極の材料として
は、ニッケル(Ni)のような金属単体が用いられてい
る。このような材料からなる電子放出性電極を備えた冷
陰極蛍光管は一般に、その管径を小さくするに従い輝度
(cd/m2)が高くなる傾向があるので、冷陰極蛍光
管を備えた装置自体を薄型化でき、液晶表示装置のバッ
クライトには好適であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
電子放出性電極からなる冷陰極蛍光管は、ランプ放電電
圧が高く、結果としてランプ電力が大きくなってしま
い、特に携帯用表示装置にバックライトとして用いた場
合に長時間表示が困難であるという問題が生じた。ま
た、上述のような金属電極では、放電により電子放出性
材料がスパッタしてしまい、管壁が汚染されるととも
に、発光寿命が短くなる要因となっていた。さらに金属
電極の中には、金属材料が放電を停止すると蛍光管内に
封入されている水銀と反応してしまい、発光特性を低下
させてしまうものもあった。このような課題に対し様々
な材料が模索されてきているが、冷陰極には強電界によ
る冷電子の放出を妨げるような絶縁物を用いることはで
きないといった制限が強いられている。
【0005】すなわち、冷陰極の材料、特に冷陰極蛍光
管の冷陰極として、以下のような性質を備えることが望
ましい。 1、低仕事関数である。すなわち、低い放電電圧で冷電
子を放出することができる。 2、スパッタされにくく、冷陰極蛍光管の管壁を汚しに
くい。 3、冷陰極蛍光管に封入された水銀と反応しにくい。 4、良好な電気伝導体である。 しかしながらこれらの4つの条件を満たす材料はほとん
ど報告されていない。例えば、低仕事関数のYの金属
は、放電電圧が低いが、放電を停止すると、Yと水銀の
反応が生じ、不安定になってしまう。
【0006】また、熱陰極管のエミッターに使用されて
いる各種酸化物は、良電気伝導体とは言いがたい材料で
あった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであ
り、さらに放電電圧が低くかつ長時間使用しても安定な
電子放出性を有し、品質にばらつきの無い冷陰極及び冷
陰極の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
冷陰極は、NaCl型の結晶構造もしくはNaCl型に
準じた結晶構造を有し、YOx(Yはイットリウム、O
は酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)で示さ
れるYの酸化物、GdOx(Gdはガドリニウム、Oは
酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)で示され
るGdの酸化物、及びSmOx(Smはサマリウム、O
は酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)で示さ
れるSmの酸化物のうちの少なくとも一つを含有するこ
とを特徴とする。
【0008】上記構成によれば、上記化学式で示され、
NaCl型の結晶構造もしくはNaCl型に準じた結晶
構造を有するY(イットリウム)の酸化物、Gd(ガド
リニウム)、Sm(サマリウム)の酸化物は、その予想
される電子構造から伝導帯に一個の電子を持つ金属とし
ての特性を示すことから良導体であり、放電電圧が低
く、良好な電子放出性を有し、蛍光管電極材料として
は、スパッタリングが少なく、安定した放電電圧を維持
し高い輝度の発光を行うことができる。さらに、大気中
で酸化されたY23を用いた冷陰極と比較しても品質に
ばらつきがほとんどなく、非平衡状態を維持でき、長時
間使用しても放電電圧が上昇するようなことがない。
【0009】本発明の請求項2記載の冷陰極は、NaC
l型の結晶構造もしくはNaCl型に準じた結晶構造を
有し、ROx(RはNd,Sm,Eu,Tb,Dy,H
o,Er,Tm,Yb、Luのうちのいずれか一つから
なる元素、Oは酸素、1.05≧x≧0.95、)で示
され、かつ、ドーパントを添加されるかもしくは前記x
が1.00以外の数値である、導電性を有する希土類元
素の酸化物のうちの少なくとも一つを含有することを特
徴とする。
【0010】上記構成によれば、上記化学式で示される
上記希土類元素の酸化物は、その予想される電子構造か
らxを1とした場合に半導体としての特性を示し、例え
ばEuOは半導体であることが知られているが、このよ
うな半導体の特性を示す希土類元素の酸化物にドーパン
トを添加したり、もしくは、上記化学式のxを1から少
しずれた状態(x≠1)、すなわち、希土類元素と酸素
との比が1:1とならず、ストイキオメトリがずれた状
態とすることにより良導体となるので、電子放出性に優
れた材料を備えた冷陰極を提供することができる。
【0011】本発明の請求項3記載の冷陰極の製造方法
は、濃度が0.1ppm以上10ppm未満の酸素と、
残りが水素である雰囲気、或いは濃度が0.1ppm以
上10ppm未満の酸素と、8ppm以上の水素と、残
りが不活性ガスである雰囲気中で、Y,Gd,Nd,S
m,Eu,Tb,Dy,HO,Er,Tm,Yb、Lu
のうちから選択された少なくとも1つ以上の元素を酸化
することを特徴とする。
【0012】上記構成によれば、少なくとも濃度が8p
pm以上の水素ガスと10ppm未満の酸素の雰囲気中
で上記希土類元素の膜を加熱酸化すると、酸素が速やか
に拡散された状態となり、NaCl型の結晶構造もしく
はNaCl型に準ずる結晶構造の良好な電子放出性の希
土類酸化物を有する冷陰極を生成することができる。
【0013】希土類元素の多くは、ROの状態で平衡状
態とはならず、R23の状態で平衡状態となるが、水素
ガス雰囲気中で微量の酸素により希土類元素を酸化させ
た場合には、希土類元素中での酸素の拡散速度が早いた
め、表面から酸化される希土類元素がR23の平衡状態
となる前の非平衡の状態で、希土類元素の膜の表面から
内部に酸素が拡散し、膜の内部まで酸化が進行すること
になり、ROx(1.32>x≧0.95もしくは1.0
5≧x≧0.95 Rは希土類元素)で示される希土類
元素の酸化物を得ることができる。
【0014】従って、NaCl型の結晶構造もしくはN
aCl型に準ずる結晶構造の良好な電子放出性の希土類
酸化物を有する冷陰極を製造することができる。なお、
酸化の際のガス雰囲気において、水素ガスと酸素との和
が100%とならない場合には、不活性ガスが含まれ、
水素ガスと酸素と不活性ガスとの和が100%となるよ
うになっている。なお、他に不純物等が含まれる可能性
がある。そして、酸化処理を行う際のガス雰囲気に不活
性ガスを加えることにより、減圧しなくとも、水素ガス
濃度を減少させることができるので、希土類元素の酸化
物中に比較的に高い濃度で水素を含んだ状態となるのを
防止することができる。
【0015】すなわち、高濃度の水素ガス中で加熱酸化
を行うと製造された希土類元素の酸化物中に水素を含ん
だ状態となり、このような冷陰極を冷陰極蛍光管に用い
た場合に、水素が冷陰極蛍光管の発光特性を低下させる
恐れがあるが、酸化処理を行う際のガス雰囲気に不活性
ガスを含むものとして、水素ガスの濃度を下げることに
より、これを抑制することができる。
【0016】本発明の請求項4記載の冷陰極は、酸化が
終了した後に減圧雰囲気中の熱処理及び不活性ガス雰囲
気中の熱処理のうちの少なくとも一方の熱処理を行うこ
とを特徴とする。上記構成によれば、希土類元素を加熱
酸化して上述のように希土類元素の酸化物を得た場合
に、希土類元素の酸化物が微結晶やアモルファスとなる
可能性があるが、熱処理(アニール)により、残存水素
を除去し、希土類元素の酸化物を良好な結晶構造の冷陰
極を形成することができる。
【0017】本発明の請求項5記載の冷陰極蛍光管は、
NaCl型の結晶構造もしくはNaCl型に準じた結晶
構造を有し、YOx(Yはイットリウム、Oは酸素、xは
0.95以上1.32未満の数値)で示されるYの酸化
物、GdOx(Gdはガドリニウム、Oは酸素、xは0.
95以上1.32未満の数値)で示されるGdの酸化
物、及びSmOx(Smはサマリウム、Oは酸素、xは
0.95以上1.32未満の数値)で示されるSmの酸
化物のうちの少なくとも一つを含有する冷陰極を有する
ことを特徴とする。請求項5記載の発明における冷陰極
蛍光管は、従来のNi電極を用いた蛍光管に比して、低
い放電電圧でより高い輝度特性を得ることができる。ま
た、Y2に示されるY酸化物を有する冷陰極蛍光管
と比してもより安定で、長寿命の発光を得ることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の一
例の冷陰極及び冷陰極の製造方法並びに冷陰極蛍光管を
説明する。この一例の冷陰極1は、例えば、図1に示す
ようにNi(ニッケル)及び/又はCr(クロム)を含
有する基体2と、この基体2上に設けられた希土類元素
膜3と、この希土類元素膜3を覆うように形成された希
土類元素の酸化物からなる電子放出膜4とを備えたもの
である。上記基体1は、Ni及び/又はCrに限定され
るものではなく、基本的に導電性もしくは半導体性を示
し、単体もしくは複数種の混合材料かなるので良い。
【0019】上記希土類元素膜3は、基本的に希土類単
体の膜からなるものであり、基本的には、電子放出膜4
を構成する希土類元素酸化物と同じ希土類元素からなる
ものである。上記電子放出膜4は、例えば、YOで示
されるY(イットリウム)の酸化物からなるものであ
る。なお、xは、1.32未満で0.95以上の数値で
ある。また、電子放出膜4は、NaCl型の結晶構造も
しくはNaCl型に準じた結晶構造であって、面心立方
格子もしくは、面心立方格子及び単純立方格子のいずれ
にも指数付けが可能な結晶系等のように面心立方格子に
準じる結晶系であり、格子定数が5.21程度或いは1
4.85程度であり、光学的には光の多重反射性がみら
れない特性を示す。なお、冷陰極1は、図1に示す構造
に限定されるものではなく、図2に示すように、冷陰極
5が基体2と電子放出膜4とからなるものであっても良
い。
【0020】ところで、現在に至るまでY酸化物は、平
衡状態で、Y23の組成が報告されているだけで、他の
組成はほとんど報告されていない。図3に示す表1は、
各希土類元素の最外殻部分の電子構造、R23(Rは希
土類元素)で示される希土類酸化物の結晶構造等を示す
ものであり、Yの最外殻部分の電子構造は4d15s2
なっている。
【0021】そして、このようなYの酸化物であるY2
3のバンド構造は、図4(a)に示すように、荷電子
帯(充満帯)が酸素の2p軌道からなり、伝導帯がYの
4d軌道からなる。そのバンドギャップは約6eVであ
り、絶縁体と考えられている。このことは、Y元素の最
外殻部分の電子構造が4d15s2であり、元素の酸化数
を考えた場合、Y23ではYが+3価となり、4d電子
がゼロとなること、また、酸素(O)が−2価となるこ
とから定性的に予想されることと一致する。
【0022】しかしながら、NaCl型の結晶構造もし
くはNaCl型に準じた結晶構造のY酸化物、すなわ
ち、非平衡状態のYOxであれば、図4(b)に示すよ
うに、Yは+2価となり、電子構造は4d15s0とな
り、図4(b)に示すようにYの4dからなる伝導帯に
Yイオン一つあたり1個の電子を持ち、金属と略同様の
導電性を有することが予想される。そして、Yは、一般
に酸化されると平衡状態でY23となると述べたが、後
述するように水素ガスを含むガス雰囲気中においては、
酸素分圧或いは酸素濃度を低く制御しても、水素ガスが
Yの金属中の酸素の拡散速度を速くさせ、Yの酸化物が
平衡状態となる前に酸素がY金属中に拡散し、酸素の含
有率の小さい非平衡状態のY酸化物を得ることができ
る。
【0023】すなわち、Yを酸化する反応炉内の酸素濃
度もしくは酸素分圧を制御するとともに反応炉内に水素
ガスを存在させた場合には、Yが平衡状態の酸化物にな
るよりも速くY金属中に酸素を拡散することを促進し、
Yに対するOの比(O/Y)が1.5未満のY酸化物を
得ることができることが確認された。すなわち、反応炉
内には、水素ガス、又は水素及びアルゴン等の不活性ガ
スの混合ガス、を反応中にフローし続け、酸素濃度は、
10ppm未満程度に制御することにより良好な結晶構
造のYOX(0.95≦X<1.32)を得ることがで
きた。また、YOX電極中に水素が一定量以上含まれる
場合には、不活性ガス又は真空雰囲気でアニール処理を
行い電極中の水素を除去することにより、冷陰極蛍光管
の電極として用いた場合に、安定な状態で発光寿命が長
くなることが確認されている。
【0024】このようにして得られた冷陰極蛍光管内の
YOXは、実質的に非平衡状態であり、放電、非放電に
かかわらず極めて安定な状態を維持することができる。
また、Yは、その酸化処理の際の条件、特に水素ガス、
又は水素ガス及びアルゴン等の不活性ガスの混合ガスを
含む雰囲気中における酸素濃度もしくは酸素分圧を制御
することにより特性の異なるY酸化物となり、例えば、
図5の表2に示すように便宜上I〜V型までの5種類の
Y酸化物に分類することができる。なお、基本的に酸化
処理時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くするにつれ
て、順に、I型,II型,III型,IV型,V型の酸化物が
生成される。
【0025】I型は、平衡状態まで酸化され、Y23
示されるものであり、表2に示すように、その格子定数
が10.60オングストロームであり、結晶系が体心立
方格子(BCC)に指数付け可能であり、結晶構造が変
形ホタル石構造のC型(立方晶系)に指数付け可能であ
る。そして、組成(O/Y)は、Y23なので理論上
1.5となるが、今回のESCA(X線光電子分光法)
による測定では、O/Yが1.41であり、酸化処理の
条件等によりストイキオメトリにズレが生じている可能
性がある。
【0026】また、上述のように分類される各Y酸化物
はその光学的特性も異なるが、I型においては、光の多
重反射が認められた。また、I型のY酸化物は、基本的
には、O/Yが1.5であれば絶縁性であるか、極めて
高抵抗な性質を示す。
【0027】そして、I型は、例えば、水素ガス雰囲気
中、もしくは水素ガスを含む不活性ガス雰囲気中、もし
くは大気雰囲気において、酸素濃度が100ppmを超
えるような状態でY金属を加熱酸化処理することにより
得ることができる。また、Y酸化物は、平衡状態でY2
3となるので、基本的に十分な酸素分圧があればI型
のY酸化物を得ることができる。
【0028】II型は、ESCAで測定されたO/Yが
1.32であり、Y23で示されるY酸化物より酸素の
含有率が少ないものとなっている。しかし、光の多重反
射が認められ光学的特性においては、I型に近いものと
なっているが、酸素の含有率が低くなったことにより、
僅かに導電性を示し、抵抗率が1kΩcmとなってい
る。なお、II型の酸化物は、結晶形、結晶構造、格子定
数を表1に示していないが、X線回折パターン(図示
略)からは、I型と後述するIII型のいずれにも指数付
けでき、I型のY酸化物とIII型のY酸化物との混合物
である可能性もある。そして、II型は、例えば、水素ガ
ス雰囲気中もしくは水素ガスを含む不活性ガス雰囲気中
において、酸素濃度が10ppm程度の状態でYの金属
膜を加熱酸化処理することにより得ることができる。
【0029】ここで、III型及びIV型のY酸化物を説明
する前にV型の酸化物を説明する。図6は、V型のY酸
化物のX線解析パターンを示すものである。そして、図
6に示すようにV型の酸化物は、29.6度近傍に大き
い強度ピークが1つあるのが特徴である。V型のY酸化
物は、その格子定数が5.21オングストロームであ
り、結晶系が面心立方格子(FCC)に指数付け可能で
あり、結晶構造がNaCl型に指数付け可能である。そ
して、二種の元素、A(陽性元素)とB(陰性元素)と
からなる結晶がNaCl型の結晶構造を有するというこ
とは、化学式がABとなり、AとBとの比が理論上1:
1となる。
【0030】すなわち、V型のY酸化物は、図7に示す
ようなNaCl型の結晶構造を有し、O/Yが1とな
る。しかし、実際には格子欠陥等が存在するので、スト
イキオメトリのズレが生じ、O/Yは、例えば、1.0
5〜0.95のようにある程度の範囲を持つものとな
る。また、V型のY酸化物は、その光学的特性がI型と
異なり、光の多重反射が認められない。
【0031】また、V型のY酸化物は、その結晶系、結
晶構造から、O/Yが1もしくは1の近傍となっていれ
ば、上述のように金属としての特性を示すことになり、
良導体となる。なお、下地とした金属層上にV型のY酸
化物膜が設けられた冷陰極の電気伝導性は良好であっ
た。そして、V型のY酸化物は、例えば、水素ガス雰囲
気中もしくは水素ガスを含む不活性ガス雰囲気中におい
て、酸素濃度が1ppmオーダーの状態でYの金属膜を
加熱酸化処理することにより得ることができる。
【0032】III型のY酸化物は、その格子定数が1
4.85オングストロームであり、その結晶系が単純立
方格子と指数付け可能である。図8にIII型のY酸化物
のX線回折パターンを示す。III型のY酸化物は、図中
に示すように29度の近傍に大きい強度のピークを有す
るとともに、V型のY酸化物と同様に29.6度の近傍
に大きい強度のピークがあるのが特徴であるが、V型の
Y酸化物に対してIII型のY酸化物は、V型のY酸化物
より酸素の含有率が高いために、V型のY酸化物のよう
にNaCl型の結晶構造がとれずに、NaCl型の結晶
構造がくずれたような結晶構造を有するものと推定する
ことも可能であり、III型のY酸化物は、NaCl型の
結晶構造に準じる結晶構造を有するということができ
る。
【0033】また、後述するようにI型及びII型の場合
より低くV型より高い酸素濃度で酸化処理することによ
り、III型のY酸化物を得ることができるので、O/Y
がII型より小さい値、すなわち、O/Yが1.32によ
り小さいものとなっていると推定できる。また、III型
のY酸化物の光の多重反射については、測定値が低く不
明であるが、III型のY酸化物はI型及びII型と異なる
光学的特性を有する。
【0034】また、下地とした金属層上にIII型のY酸
化物膜が設けられた冷陰極の電気伝導性は良好であっ
た。なお、水素ガスを含むアルゴンガス雰囲気中に10
ppmより多い酸素を添加した状態で、金属Yを酸化す
ると、II型もしくはI型のY酸化物が得られる可能性が
高く、上記ガス雰囲気の実質的な酸素濃度が10ppm
より小さくなるように酸素を添加すると、III型以降の
Y酸化物が得られる。
【0035】IV型のY酸化物は、その格子定数が未決定
であるが、その結晶系が単純立方格子と推定され、現段
階で結晶構造は不明である。IV型のY酸化物のX線回折
パターンを図示しないが、IV型のY酸化物のX線回折パ
ターンにおいては、V型のY酸化物と同様に29.6度
の近傍に一つの大きい強度のピークがあるとともに、こ
のピークの左肩(29度近傍)に小さい強度のピークが
あるのが特徴であり、III型のY酸化物よりV型のY酸
化物に近いパターンとなっており、IV型のY酸化物は、
III型のY酸化物と同様にV型のY酸化物より酸素の含
有率が高いために、V型のY酸化物のようにNaCl型
の結晶構造がとれずに、NaCl型の結晶構造が僅かに
くずれたような結晶構造を有するものと推定することが
可能であり、IV型のY酸化物は、III型のY酸化物より
さらにNaCl型の結晶構造に準じた結晶構造を有する
ということができる。
【0036】また、III型の場合より低くV型より高い
酸素濃度で酸化処理することにより、IV型のY酸化物を
得ることができるので、O/YがIII型より小さい値と
なっていると推定できる。また、IV型のY酸化物の光の
多重反射は認められず、IV型のY酸化物はI型及びII型
と異なり、V型に近い光学的特性を有する。
【0037】また、下地とした金属層上にIV型のY酸化
物膜が設けられた冷陰極の電気伝導性は良好であった。
そして、この一例の冷陰極における電子放出膜は、O/
Yが0.95以上で1.32より小さいものであり、上
記表に示されるように五つに分類されたY酸化物のうち
のIII型、IV型、V型のうちの少なくとも一つが電子放
出膜として使用されたものである。
【0038】すなわち、上述のESCAによるO/Yの
測定結果に示すように、O/Yが1.32以上のY酸化
物は、I型もしくはII型のY酸化物である可能性が高
く、後述するように長時間放電した際の放電電圧の安定
性に問題が生じる可能性がある。また、NaCl型の結
晶構造を有するV型のY酸化物においては、上述のよう
にO/Yが1となるが格子欠陥等によりストイキオメト
リにずれが生じ、O/Yが1.0より小さいV型のY酸
化物、例えば、O/Yが、0.95以上で1.0より小
さいV型のY酸化物が存在する可能性が十分にあり、本
発明の冷陰極に用いられるY酸化物には、O/Yが、
0.95以上で1.0より小さいV型のY酸化物を含む
ものである。
【0039】そして、III型、IV型、V型のY酸化物膜
は、上述のように結晶構造がNaCl型の結晶構造もし
くはNaCl型に準じた結晶構造を有し、I型やII型の
ように絶縁性や比較的高い抵抗率を示すことがなく、I
型やII型に比較して明らかに電気伝導性が良好である。
また、III型、IV型、V型のY酸化物膜を冷陰極に用い
た場合には、I型やII型よりも低い放電電圧で電子を放
出することができる。
【0040】また、III型、IV型、V型のY酸化物膜を
電子放出膜として冷陰極に用いた場合には、水銀と反応
することがないとともに、スパッタされて管壁を汚すよ
うなことがなく、少なくとも通常のNiの冷陰極と同様
の寿命を有する。なお、スパッタによる管壁の汚れに関
しては、通常のNiの冷陰極より改善されていた。すな
わち、III型、IV型、V型のY酸化物膜を用いた冷陰極
は、冷陰極として要求される条件を満たしている。
【0041】また、製造方法において、水素ガスを一切
用いずにArガス及び微量の酸素ガス雰囲気で酸化する
と、I型或いはII型のいずれかのみが形成され、III
型、IV型、V型のY酸化物膜が形成されないことから、
水素の濃度は、たとえ微量であったとしても、非平衡状
態の酸化膜を形成する上において、極めて重要なファク
ターであることがわかる。図9は、I型のY酸化物膜、
すなわち、Y23膜を用いた冷陰極(Y23電極)を有
する冷陰極蛍光管と、通常のNiを用いた冷陰極(電
極)を有する冷陰極蛍光管とを長時間に渡って点灯させ
た際の放電電圧を示すものであり、図10は、この一例
(本発明)の冷陰極(ここではIV型のY酸化物膜用いた
冷陰極)を有する冷陰極蛍光管と、通常のNiを用いた
冷陰極(電極)を有する冷陰極蛍光管とを長時間に渡っ
て点灯(放電)させた際の放電電圧を示すものである。
【0042】図9に示すように、Y23電極(I型)に
おいては、その放電電圧が通常のNiを用いた冷陰極よ
り低く優れているが、長時間放電した場合に放電電圧の
上昇が見られる。それに対して、図10に示すように、
このIV型の冷陰極では、長時間の放電でも放電電圧の上
昇が認められず安定性に優れていることがわかる。ま
た、本発明の電極とY23電極とを比較した場合に、僅
かであるが(5%程度)本発明の電極の方が放電電圧が
低く、本発明の電極は、Y23電極に比較して安定性及
び放電電圧の点で優れている。
【0043】なお、Y23電極は、その製造条件等によ
り、長時間使用した場合の放電電圧の安定性にばらつき
があり、製造条件を比較的厳しく管理する必要がある
が、本発明の電極は長時間の使用に対しても安定であ
り、本発明の電極は、製造のしやすさや歩留まりの点で
23電極より優れている。すなわち、この一例のO/
Yが1.32より小さいY酸化物を用いた冷陰極は、O
/Yが1.32以上のY酸化物を用いた冷陰極より優れ
た特性を有する。
【0044】また、この一例の冷陰極の希土類酸化物膜
は、YOx(1.32>x≧0.95)で示されるYの酸
化物に限定されるものではなく、GdOx(1.32>x
≧0.95)で示されるGd(ガドリウム)の酸化物も
含まれるものである。図3の表1に示すようにGdは、
その最外殻部分の電子構造が4f75d16s2となって
おり、Yの最外殻部分の電子構造4d15s2と類似して
おり、例えば、Gd23のバンド構造は、荷電子帯(充
満帯)が酸素の2p軌道からなり、伝導帯がYの5dか
らなる。ここでYと同様に平衡状態ではないGdOが存
在すれば、Gdは+2価となり、電子構造は4f75d1
6s0となり、Gdの5dからなる伝導帯にGdイオン
一つあたり1個の電子を持ち、金属と同様の導電性を有
することが予想される。
【0045】また、Y酸化物の場合と同様に、Gd酸化
物の場合にもO/Gdが1.32より小さければ、Na
Cl型に近い結晶構造となり、良好な電気伝導性を示す
と推測することができ、O/Gdが1ならば、上述のよ
うに金属とほぼ同様の電気伝導性を有するものとなり、
また、格子欠陥等によりO/Gdが1〜0.95の範囲
を取る場合もあり、この場合にも良好な電気伝導性を有
するものとなる。
【0046】すなわち、Gdにおいても、非平衡状態の
GdOが存在すれば、導電性を有する優れた冷陰極とし
て使用可能であり、上述のY酸化物と同様に結晶構造が
NaCl型の結晶構造もしくはNaCl型に近い結晶構
造を有し、Gdx(1.32>x≧0.95)で示される
Gdの酸化物をこの一例の冷陰極の電子放出膜として用
いれば、上述のY酸化物の場合と同様に冷陰極として優
れた特性を有するものとなる。
【0047】また、この一例の冷陰極の希土類酸化物膜
は、YOx(1.32>x≧0.95)で示されるY酸化
物及びにGdx(1.32>x≧0.95)で示されるG
d酸化物に限定されるものではなく、例えば、EuOx
(1.05≧x≧0.95)で示されるEu(ユウロピ
ウム)の酸化物やSmOx(1.05≧x≧0.95)で
示されるSm(サマリウム)の酸化物にも含まれるもの
である。ところで、希土類のうちのY及びGdについて
は、非平衡状態のYOもしくはGdOで示される酸化物
の結晶を生成できれば、こられは金属化した状態になる
ことを述べたが、全てのRO(Rは希土類元素)で示さ
れる希土類酸化物が金属化されるわけではない。
【0048】そして、Euは、図3の表1に示すよう
に、YやGdとは異なり、平衡状態でNaCl型の結晶
構造を有するEuOの存在が知られており、このEuO
の結晶が磁性半導体であることが知られている。図11
(a)は、Eu23のバンド構造を示すものであり、ま
た、図11(b)は、EuOのバンド構造を示すもので
ある。
【0049】図11(a)に示すように、Eu23の結
晶においては、荷電子帯(充満帯)が酸素の2p軌道か
らなり、伝導帯がEuのd軌道もしくはs軌道からな
る。そのバンドギャップは約6eV程度と思われ、絶縁
体と考えられている。なお、Euの最外殻部分の電子構
造は、4f76s2であり、Eu23の結晶において、E
uは+3価となり、4f66s0となる。
【0050】それに対して、EuOは、図11(b)に
示すように、荷電子帯(充満帯)が酸素の2p軌道から
なり、伝導帯がEuのd軌道もしくはs軌道からなる。
また、EuOの結晶において、Euは+2価となり、4
76s0となり、+3価のEuとの違いは、4f電子の
数だけである。そして、図11(b)に示すようにバン
ドギャップは、1eV程度となり、EuOは半導体とな
る。
【0051】従って、EuOは、このままの状態では、
良導体とならず、必ずしも冷陰極の材料として最適のも
のとは言えないが、例えば、EuOに対してストイキオ
メトリのずれにより酸素に対して過剰のEuが存在する
ようにすれば、Euが一種のドーパントとして作用し、
EuOが良導体となる。言い換えれば、EuOの結晶に
おいて、O/Euが1.05〜0.95で、かつ、1で
ない状態、すなわち、ストイキオメトリがずれた状態な
らば、EuOは、良導体として作用する。
【0052】また、O/Euが1であっても、ドーパン
トを添加すれば、EuOの結晶は良導体となる。なお、
上記ドーパントとしては、例えばGdを用いることがで
きる。従って、EuOx(1.05≧x≧0.95)で示
され、ドーパントを添加されるかもしくはx≠1とされ
て導電性を有するEuの酸化物の結晶からなる膜を上記
冷陰極の電子放出膜として好適に用いることができる。
そして、上述のようなEu酸化物をこの一例の冷陰極の
希土類酸化物膜として用いれば、上述のY酸化物の場合
と同様に冷陰極として優れた特性を有するものとなる。
【0053】なお、Euにおいても、水素ガスを含む雰
囲気中において、微量酸素により酸化処理を行うように
すれば、Eu酸化物における酸素の含有量を制御するこ
とが可能であり、上述のようにストイキオメトリのずれ
たEuOを得ることができる。また、図3の表1に示す
ように、Sm(サマリウム)、Yb(イッテルビウム)
は、Euと同様に、平衡状態でNaCl型の結晶構造を
有するSmO、YbOで示される酸化物の存在が知られ
ており、これらの元素の図3の表1に示す最外殻部分の
電子構造から、これらSmO、YbOの結晶は、半導体
性を示すと推測することができる。ただし、SmOは、
f電子の挙動が複雑であり、YOと同様な金属的導電性
を示す可能性がある。
【0054】従って、これらSmO、YbOにおいて
も、ストイキオメトリにズレを有するものや、ドーパン
トが添加されたものは、冷陰極として利用可能であり、
SmOxもしくはYbOx(1.05≧x≧0.95)で
示され、ドーパントを添加されるかもしくはx≠0とさ
れて導電性を有するSmもしくはYbの酸化物の結晶か
らなる膜を上記冷陰極の電子放出膜として用いることが
できる。上述のようなSm酸化物もしくはYb酸化物を
この一例の冷陰極の電子放出膜として用いれば、上述の
Y酸化物の場合と同様に冷陰極として優れた特性を有す
るものとなる。Smに関しては、SmOxがYと同様に
金属的導電性を有する場合には、X<1.32として
も、冷陰極として優れたものとなる。
【0055】また、希土類であるNd(ネオジウム),
Tb(テルビウム),Dy(ジスプロシウム),Ho
(ホルミウム),Er(エルビウム),Tm(ツリウ
ム),Lu(ルテチウム)は、上述のYの場合のように
上記希土類の金属膜を水素ガスを含む雰囲気中で微量酸
素により酸化処理することで、非平衡状態のROで示さ
れ、NaCl型の結晶構造を有する希土類酸化物を得る
ことが可能である。
【0056】そして、これらの希土類元素の図3の表1
に示す最外殻部分の電子構造から、これらの希土類元素
の酸化物の結晶は、半導体性を示すと推測することがで
きる。従って、上述の希土類元素においても、RO
x(1.05≧x≧0.95、R:Nd,Eu,Tb,D
y,Ho,Er,Tm、Luのいずれか1つの元素)で
示され、かつ、ドーパントを添加されるかもしくはx≠
1.00とされて導電性を有する希土類元素の酸化物
を、この一例の冷陰極の希土類酸化物膜として用いるこ
とが可能であり、上述のような希土類元素の酸化物を用
いた冷陰極は、上述のY酸化物の場合と同様に優れた特
性を有するものとなる。
【0057】そして、以上の希土類元素(Y、Nd,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,HO,Er,Tm,Y
b,Lu)の上述のような酸化物を用いたこの一例の冷
陰極は、冷陰極蛍光管の冷陰極として好適に用いること
ができる。また、この一例の冷陰極を有する冷陰極蛍光
管は、液晶ディスプレイ等の非自発光表示装置のバック
ライトとして好適に用いることができ、さらに、放電電
圧が低いことから、形態可能な非自発光表示装置に好適
に用いることができる。
【0058】また、この一例の冷陰極は、複写機に用い
ることができる。さらに、この一例の冷陰極は、単色又
は多色発光のPDP(Plasma Display Panel)やVFD
(Vacuum Fluorescent Display)としてのFED(Fiel
d Emissive Display)に応用することができる。なお、
冷陰極の形状や構造は、この一例の冷陰極が用いられる
装置によって異なる周知のものとなるが、基本的には、
冷陰極の表面部分に上述のような希土類元素の酸化物の
結晶からなる電子放出膜を有するものである。
【0059】次に、上述のような構成を有する冷陰極の
製造方法を説明する。なお、具体的な製造方法を説明す
る前に、希土類元素を、水素ガスを含む雰囲気中で酸化
処理した場合の水素ガスの作用について説明する。図1
2は、金属基板上にYを3μmの膜厚で成膜し、このY
の金属膜を大気中で酸化した場合(大気酸化処理)、ア
ルゴンガス雰囲気に0.5体積%の酸素を添加して酸化
した場合(Ar+0.5体積%O2処理)及び水素ガス
雰囲気に10ppm未満の酸素を添加して酸化した場合
(水素雰囲気処理)に、形成されたY23膜の光学膜厚
を処理時間に対してプロットしたものである。
【0060】大気酸化処理の場合には、15分で飽和
し、酸化膜厚は、約3.8μm程度であり、これに対し
て酸素分圧が大気より小さいAr+0.5体積%O2
理では、15分程度では酸化膜厚に完全飽和はみられ
ず、酸化膜厚は1.5μm程度である。両者の差は、酸
化中の酸素分圧の差によっている。一般に、酸化処理中
のY金属膜におけるY酸化物とY金属との界面での酸化
速度は、上記膜の表面での酸化速度に依存し、上記表面
での酸素分圧が低くなると、Y酸化物とY金属との界面
での酸化速度も小さくなる。その結果、上述のように酸
素分圧が低い条件では形成される酸化膜が薄くなる。
【0061】それに対して、水素雰囲気処理では、酸素
の分圧が極端に少ないにも関わらず、酸化膜厚が4μm
以上となっている。これは、水素ガスを含む雰囲気中に
おいては、酸素の分圧が低くい状態でも、Y金属内での
酸素の拡散速度が速くなっているためと考えられる。す
なわち、水素ガスには、Y金属内での酸素の拡散速度を
速める作用がある。なお、Y以外の希土類元素の金属に
おいても水素ガスにより酸素の拡散速度を速めることが
できる。
【0062】そして、このような現象を利用することに
よって、酸素がY23に対して大きく欠けた状態、すな
わち、Y/Oが1.5より小さい状態でY酸化物膜形成
が可能となる。これは、酸素分圧が十分に低くかつY金
属中の酸素の拡散が速いと、Y金属の表面でYが完全に
酸化されてY23となる前に、Y金属内部に酸素が拡散
してしまうために、Y金属内において、酸素の欠けた状
態を維持したままY金属表面から内部に向かって酸化が
進行することによる。
【0063】そして、このような水素ガスの作用を利用
した希土類元素の酸化物を用いた冷陰極の製造方法は、
基本的に、基体洗浄工程と、希土類金属膜形成工程と、
酸化工程と、アニール(熱処理)工程とをこの順で行う
ことにより冷陰極を製造するものである。なお、ここで
は、上記希土類元素のうちのYを用いた場合を説明す
る。上記基体洗浄工程は、例えば、Ni−Cr系の材料
からなる基体を周知の方法で洗浄する。
【0064】次に、希土類金属膜形成工程は、上記基体
の表面に、抵抗加熱や電子ビーム等による蒸着或いはス
パッタによりY膜を1000オングストローム以上30
00オングストローム以下程度の膜厚で成膜する。次に
行われる酸化工程は、反応炉内で行われるものであり、
反応炉内に上述のようY膜が成膜された基体を反応炉内
に入れ、次に反応炉を真空にした後に、水素ガスもしく
は水素ガス及び不活性ガスを注入してこれらガスにより
満たされた状態とするとともに、例えば、常時、水素ガ
スもしくは水素ガス及び不活性ガスとを反応炉内に注入
するとともに排気するものとする。
【0065】上記製造方法に用いた不活性ガスは、アル
ゴンガスであるが、アルゴンガス以外の不活性ガス(希
ガス)でも良い。図13の囲みは、NaCl型の結晶構
造もしくはNaCl型に準じた結晶構造のY酸化物を形
成するための酸化処理における反応炉内の温度と水素ガ
ス濃度との範囲を示すものである。そして、反応炉内の
水素ガス濃度は、8×10-4%(8ppm)以上で10
0%未満(後述するように反応炉内には酸素が含まれる
ので100%にはならない)の範囲ならば良く、さら
に、好ましくは、水素ガス濃度が、1×10-3%(10
ppm)以上5%以下の範囲にあることが好ましい。そ
して、水素ガス濃度と酸素を合わせた濃度を100%未
満とする場合には、実質的に反応性のない不活性ガスと
合わせて100%となるようにする。
【0066】なお、反応炉内の水素ガス濃度を高くする
と、生成された冷陰極に水素が入り込んだ状態となり、
例えば、冷陰極を冷陰極蛍光管の電極として使用した場
合に水素が冷陰極蛍光管内に溶出し、冷陰極蛍光管内に
おいて青みを帯びた発光が生じて、冷陰極蛍光管の蛍光
を妨げる可能性があるので、上述のように水素ガス濃度
を5%以下とすることが好ましい。
【0067】そして、反応炉内の水素ガスもしくは水素
ガス及び不活性ガスには、10ppm未満の酸素が存在
するものとする。なお、水素ガスや不活性ガスには、不
純物として酸素や水等の酸素含有物が問題になる程度に
含まれていれば、これが反応炉内の希土類元素の酸化に
寄与する実質的な酸素濃度に影響を与えることになるの
で、反応炉内に注入される水素ガスや不活性ガスは、酸
素を吸着するフィルタや水を吸着するフィルタを通過さ
せて、反応炉内の酸素及び酸素含有物中の酸素の濃度が
10ppm以上とならないように制御する必要がある。
【0068】次に、反応炉内の温度を常温から、例え
ば、600℃程度の温度まで100℃/15分〜100
℃/5分の割合で昇温し、反応炉内の温度が600℃と
なったところで、温度を保持して10〜60分加熱す
る。そして、酸化処理温度は、図13に示すように35
0℃〜800℃の範囲であることが好ましく、さらに、
400℃〜600℃の範囲で行われることが好ましい。
また、酸化処理温度までの昇温速度は、100℃/20
分〜100℃/5分の範囲であることが好ましい。そし
て、上述の酸化処理により、基体上に成膜されたY金属
膜の少なくとも表面部分にY酸化物膜が成膜された状態
となり、Y金属がY酸化物膜に完全に覆われた状態とな
る。
【0069】次に行われるアニール工程は、真空中(減
圧雰囲気中)もしくは不活性ガス雰囲気中で行われる。
上記酸化処理工程においては、元のY金属膜の表面状態
(平坦性等)などの要因により、Y酸化物が結晶化せ
ず、微結晶やアモルファスの状態となる場合があり、こ
のような場合にアニール(熱処理)を行うことにより目
的とするY酸化物を結晶化させることができる。
【0070】図14は、真空アニール処理における処理
温度と酸素濃度の条件を示すものであり、図15は、不
活性ガスアニール処理における処理温度と酸素濃度の条
件を示すものである。真空アニールにおける処理温度
は、図14に示すように、250℃以上680℃以下の
範囲が好ましく、酸素濃度(大気の酸素濃度を気圧で換
算)が5×10-8%以上6×10-5%以下の範囲にある
ことが好ましい。
【0071】不活性ガスアニールにおける処理温度は、
図15に示すように、250℃以上680℃以下の範囲
が好ましく、酸素濃度が6×10-5%(不純物レベル)
以上21%以下の範囲にあることが好ましい。また、不
活性ガスとしては、アルゴンガスを用いることができ
る。また、真空ガスアニール及び不活性ガスアニールに
おいては、さらにYの酸化がすすまないように、反応炉
内の水素ガス濃度が10ppm未満となるようにするこ
とが好ましい。
【0072】また、アニール処理は、上記酸化処理でY
酸化物膜がほぼ完全に結晶化されていれば行う必要がな
い。また、酸化処理後に、不活性ガスアニール及び真空
アニールのうちの一方を行えば良いが、酸化処理後に不
活性ガスアニール及び真空アニールの両方を行うように
しても良い。
【0073】以上のようにすることで、表面にY酸化物
膜を有する冷陰極を製造することができるとともに、上
述のように水素ガスを含む雰囲気中において10ppm
未満の酸素濃度で酸化処理を行うことにより、上述の5
つに分類されたYの酸化物のうちのI型及びII型を除く
III型、IV型及びV型のY酸化物からなる膜を形成する
ことができる。また、酸化処理における酸素濃度をさら
に下げることにより、IV型のY酸化物を生成したり、V
型のY酸化物を生成したりすることができ、酸素濃度を
下げることにより、Y酸化物の結晶構造をNaCl型に
近づけることができる。
【0074】すなわち、酸化処理における酸素濃度を制
御することにより、生成されるY酸化物の分類を変更す
ることができる。また、上記製造方法においては、Yの
酸化物を有する冷陰極の製造方法について説明したが、
Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Luの各希土類元素の酸化物を有する冷陰極
も略同様に行うことができ、この際にも酸化処理におけ
る酸素濃度を主に制御することにより、製造される希土
類酸化物の酸素/希土類元素の比を調整することができ
るので、上述の各希土類酸化物を製造することができ
る。
【0075】図16は、このようなV型のY酸化物の冷
陰極を設けた冷陰極蛍光管を示す図である。冷陰極蛍光
管10は、それぞれ配線13に接続された一対の冷陰極
12、12が、内壁に蛍光材料が設けられた円筒状のガ
ラス管11内に互いに対向して配置された構造をしてお
り、ガラス管11内には、水銀に加えアルゴン、ネオン
等の不活性ガスが少なくとも1種以上封入されている。
ガラス管11の内径は2.6mm、冷陰極12,12間
距離が45mm、管11の全長が63.5mmと設定さ
れている。V型の冷陰極蛍光管では、放電電圧がランプ
電流5.0mAに設定した場合、約160V程度と、従
来のNi電極を用いた同サイズの冷陰極蛍光管と比較し
て、40〜50V程度低い。これは、同じサイズのI
型、II型電極を用いた冷陰極蛍光管と比べてもなお20
V程度低く、輝度も結晶構造が発光特性に大きな影響を
与えていることを示している。
【0076】輝度の観点からは、V型の冷陰極蛍光管が
26,000〜29,000cd/m2程度であり、N
i電極を用いた同サイズの冷陰極蛍光管と比して3,0
00cd/m2程度高い輝度を実現することができた。
効率においても30.5〜31.7lm/V・Aと従来
のNi電極、I型、II型Y酸化物電極の冷陰極蛍光管の
いずれと比しても、より高い効率を得ることができた。
本実施形態における蛍光管の冷陰極材料としては、V型
のY酸化物に限らず、V型に加え、III型、IV型のY酸
化物、GdOx(Gdはガドリニウム、Oは酸素、xは
0.95以上1.32未満の数値)で示されるGdの酸
化物、及びSmOx(Smはサマリウム、Oは酸素、xは
0.95以上1.32未満の数値)で示されるSmの酸
化物のうちから少なくとも1つ以上選択されればよい。
【0077】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の冷陰極によれ
ば、上記化学式で示され、結晶構造がNaCl型の結晶
構造もしくはNaCl型に準じる結晶構造を有するY
(イットリウム)の酸化物やGd(ガドリニウム)の酸
化物、或いはSm(サマリウム)は、その予想される電
子構造から伝導帯に一個の電子を持つ金属としての特性
を示すことから導電性を有するとともに、冷陰極として
用いた場合に、従来用いられる電子放出性膜材料として
Ni(ニッケル)を用いた電極より、放電電圧が低く、
スパッタリングが少なく、高い発光輝度を実現できるの
で、上記構成の冷陰極は優れた特性を示すものとなる。
特に、本発明の冷陰極は、Y23で示されるY酸化物を
用いた冷陰極と比較した場合に、長時間放電せても放電
電圧が上昇するようなことがなく、放電電圧が長時間に
渡って安定しており、冷陰極として優れている。
【0078】本発明の請求項2記載の冷陰極によれば、
上記化学式で示された上記した希土類元素の酸化物は、
その予想される電子構造からxを1とした場合に半導体
としての特性を示し、例えばEuOは半導体であること
が知られているが、このような半導体の特性を示す希土
類元素の酸化物にドーパントを添加したり、もしくは、
上記化学式のxを1から少しずれた状態(x≠0)、す
なわち、希土類元素と酸素との比が1:1とならず、ス
トイキオメトリがずれた状態となっていれば良導体とな
るので、この発明の冷陰極は、優れた特性を示すものと
なる。
【0079】本発明の請求項3記載の冷陰極の製造方法
によれば、水素ガス雰囲気中で、10ppm未満の酸素
により、上記希土類元素の膜を加熱酸化した場合に、酸
素が拡散しやすい状態となり、例えば、希土類元素をR
とした場合に、完全なR23で示されるような酸化物と
ならず、ROで示されるような酸化物が生成される。す
なわち、上記条件で希土類元素を酸化させることによ
り、例えば、YOx(1.32>x≧0.95)で示され
るYの酸化物及びGdOx(1.32>x≧0.95)で
示されるGdの酸化物や、SmOxで示されるSmの酸
化物や、ROx(1.05≧x≧0.95、RはNd,S
m,Eu,Tb,Dy,HO,Er,Tm,Ybのうち
の少なくとも一つ)で示され、かつ、ドーパントを添加
されるかもしくはx≠1とされて導電性を有する希土類
元素の酸化物を得ることができる。
【0080】すなわち、希土類元素の多くは、ROの状
態で平衡状態とはならず、R23の状態で平衡状態とな
るが、水素ガス雰囲気中で微量の酸素により希土類元素
を酸化させた場合には、希土類元素中のでの酸素の拡散
速度が早いため、表面から酸化される希土類元素がR2
3の平衡状態となる前の非平衡の状態で、希土類元素
の膜の表面から内部に酸素が拡散し、膜の内部まで酸化
が進行することになり、上述のような希土類元素の酸化
物を得ることができる。
【0081】本発明の請求項4記載の冷陰極によれば、
希土類元素を加熱酸化して上述のように希土類元素の酸
化物を得た場合に、熱処理(アニール)により、希土類
元素の酸化物の結晶からなる膜を確実に得ることができ
る。すなわち、上記請求項3または4記載の加熱処理に
より希土類元素を加熱酸化処理した場合には、酸化処理
の状態により、希土類元素の酸化物が微結晶やアモルフ
ァスとなる可能性があるが、この場合に、真空中もしく
は不活性ガス雰囲気でアニールを行うことにより、希土
類元素の酸化物を結晶化させることができる。請求項5
記載の発明における冷陰極蛍光管は、従来のNi電極を
用いた蛍光管に比して、低い放電電圧でより高い輝度特
性を得ることができる。また、Y23に示されるY酸化
物を有する冷陰極蛍光管と比してもより安定で、長寿命
の発光を得ることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の冷陰極の断面図で
ある。
【図2】上記例の上記冷陰極とは構造の異なる冷陰極の
断面図である。
【図3】上記例の冷陰極に用いられる希土類金属の特性
を示す図表である。従来のY23のバンド構造を示す図
面である。
【図4】(a)は、従来のY23のバンド構造を示す図
面であり、(b)は、本発明の冷陰極に用いられるY酸
化物のバンド構造を示す図面である。
【図5】上記例の冷陰極に用いられるY酸化物の分類別
の特性を示す図表である。
【図6】本発明の冷陰極に用いられるY酸化物のX線回
折図である。
【図7】本発明の冷陰極に用いられるY酸化物の結晶構
造を示す模式図である。
【図8】本発明の冷陰極に用いられるY酸化物のX線回
折図である。
【図9】従来の冷陰極の時間の経過に伴う放電電圧の変
化を示すグラフである。
【図10】本発明の冷陰極の時間の経過に伴う放電電圧
の変化を示すグラフである。
【図11】(a)は、従来のEu23のバンド構造を示
す図面であり、(b)は、本発明の冷陰極に用いられる
Eu酸化物のバンド構造を示す図面である。
【図12】冷陰極の製造に際し用いられる水素ガスの作
用を説明するためのグラフである。
【図13】本発明の冷陰極の製造方法における酸化処理
の条件を示すグラフである。
【図14】本発明の冷陰極の製造方法におけるアニール
の条件を示すグラフである。
【図15】本発明の冷陰極の製造方法におけるアニール
の条件を示すグラフである。
【図16】本発明の冷陰極を用いた蛍光管を示す図面で
ある。
【符号の説明】
1,12 冷陰極 4 電子放電膜(希土類酸化物膜) 10 冷陰極蛍光管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 滋生 神奈川県横浜市青葉区荏田西1−3−1 スタンレー電気株式会社内技術研究所内 (72)発明者 森 裕一 神奈川県横浜市青葉区荏田西1−3−1 スタンレー電気株式会社内技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NaCl型の結晶構造もしくはNaCl
    型に準じた結晶構造を有し、YOx(Yはイットリウ
    ム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)
    で示されるYの酸化物、GdOx(Gdはガドリニウ
    ム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)
    で示されるGdの酸化物、及びSmOx(Smはサマリ
    ウム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数
    値)で示されるSmの酸化物のうちの少なくとも一つを
    含有することを特徴とする冷陰極。
  2. 【請求項2】 NaCl型の結晶構造もしくはNaCl
    型に準じた結晶構造を有し、ROx(RはNd,Sm,
    Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb、Luのう
    ちのいずれか一つからなる元素、Oは酸素、1.05≧
    x≧0.95、)で示され、かつ、ドーパントを添加さ
    れるかもしくは前記xが1.00以外の数値である、導
    電性を有する希土類元素の酸化物のうちの少なくとも一
    つを含有することを特徴とする冷陰極。
  3. 【請求項3】 濃度が0.1ppm以上10ppm未満
    の酸素と、残りが水素である雰囲気、或いは濃度が0.
    1ppm以上10ppm未満の酸素と、8ppm以上の
    水素と、残りが不活性ガスである雰囲気中で、Y,G
    d,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,HO,Er,T
    m,Yb、Luのうちから選択された少なくとも1つ以
    上の元素を酸化することを特徴とする冷陰極の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 酸化が終了した後に減圧雰囲気中の熱処
    理及び不活性ガス雰囲気中の熱処理のうちの少なくとも
    一方の熱処理を行うことを特徴とする請求項3記載の冷
    陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】 NaCl型の結晶構造もしくはNaCl
    型に準じた結晶構造を有し、YOx(Yはイットリウ
    ム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)
    で示されるYの酸化物、GdOx(Gdはガドリニウ
    ム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数値)
    で示されるGdの酸化物、及びSmOx(Smはサマリ
    ウム、Oは酸素、xは0.95以上1.32未満の数
    値)で示されるSmの酸化物のうちの少なくとも一つを
    含有する冷陰極を有することを特徴とする冷陰極蛍光
    管。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007073407A (ja) * 2005-09-08 2007-03-22 Nec Lighting Ltd 冷陰極蛍光ランプ、電極ユニット及びその製造方法
US8097301B2 (en) 2006-08-30 2012-01-17 Casio Computer Co., Ltd. Electrical insulation film manufacturing method
WO2023249118A1 (ja) * 2022-06-23 2023-12-28 捷 唐 エミッタ、電子銃及び電子機器、並びにエミッタの製造方法

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