JP2004086177A - トナー用重合樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来より汎用されている分散重合法を使用する場合においても、重合樹脂粒子にワックス微粒子を内包することを可能とし、かかる重合樹脂粒子をトナーとして使用した場合に、複写機やプリンタに付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができるトナー用重合粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにし、生成される重合体粒子にワックス微粒子を内包させるように構成する。
【選択図】 なし
【解決手段】有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにし、生成される重合体粒子にワックス微粒子を内包させるように構成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機やプリンタに用いられるトナーに使用可能なトナー用重合体粒子に関し、特に、トナーとして使用された場合に複写機やプリンタに付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができるトナー用重合粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やプリンタに用いられるトナーは、カーボンブラックや顔料のような着色剤や、ワックスのような離型剤等の添加物と結着樹脂とを押出し機により溶融混練し、次いで粉砕、分級するという、いわゆる粉砕法によって製造されている。しかし、近年複写機及びプリンタには、高画質化が求められており、このため、トナー粒径は3〜9μmと小さく、かつ粒度分布も狭いことが要求される。これらの要求を従来の製造方法で達成するためには、小粒径にするほど歩留まりが悪くなる等の問題がある。
【0003】
また、この粉砕法により得られるトナー粒子は、分級されてはいるものの粒度分布が広く、画像形成時に個々のトナー粒子を帯電させる際、粒子径のばらつきに起因して帯電量のばらつきが大きいという問題がある。また、トナー粒子の形状が不定形であるために、流動性も悪いという問題もある。
【0004】
一方、近年粉砕法に代る製造方法として、重合法によるトナーの製造方法が知られている。この方法を用いれば粉砕法と違い、小粒径で粒度分布の狭いトナーを得ることが可能である。この重合法には、乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法等があるが、粒度分布の狭い球形トナーが得られ易いという点で、分散重合法が選ばれる傾向にある。
【0005】
かかる分散重合法を使用してトナーを製造する方法として、例えば、特開平5−181315号公報には、高分子分散剤中にビニル単量体を加えて重合させ、得られた粒子表面にエマルジョンワックスを付着させた後、更に重合を続けて得られる重合樹脂粒子を染着した静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。かかるトナーの製造方法によれば、熱ロール定着において優れた耐オフセットを有し、且つ流動性に優れたトナーを製造することができるものである。
【0006】
また、特許第2504745号公報には、各種ワックス等のオフセット防止剤を予め溶解又は分散させたラジカル重合単量体及び着色剤を反応媒質中に溶解乃至分散させ、ラジカル開始剤の存在下でラジカル重合単量体を重合させることにより、樹脂と着色剤との組成物からなる実質上球状粒子を取得する電子写真用トナーの製造方法が記載されている。かかる製造方法によれば、重合反応系においてオフセット防止剤が溶解又は微粒子状で分散したまま生成重合体粒子と合体し、着色重合体粒子中にオフセット防止剤が微小粒子として存在することから、トナーとしての電子写真学的特性に優れたトナーを製造することができるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−181315号公報(第2頁、第3頁、第7頁)
【特許文献2】
特許第2504745号公報(第1頁乃至第3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平5−181315号公報に記載されたトナーの製造方法では、重合樹脂粒子表面にワックス粒子を均一に付着させるについて、重合樹脂粒子の粒子径とワックスの添加量とが厳密に調整されている必要がある。かかる調整が厳密に行われていない場合には、混合溶液中におけるワックスの分散状態が不安定になり、この結果、重合樹脂粒子同士の凝集が起こりやすくなることから、重合樹脂粒子中にワックスが内包されたとしても、その内包されるワックス量は極めて少量であり、また、不均一なものとなる。
また、前記特許第2504745号公報に記載されたトナーの製造方法では、単量体中にあらかじめ溶解可能なオフセット防止剤としてのワックスの量は極めて少量であり、また、単量体中にワックスを溶解させる必要があることから、使用可能なワックスが制限される。従って、トナーを構成する重合樹脂粒子中にワックスが内包されたとしても、その内包されるワックス量は極めて少量となる。
【0009】
前記したように、特開平5−181315号公報や特許第2504745号公報に記載された分散重合法により製造されたトナーにおいては、トナーを構成する重合樹脂粒子中に極めて少量のワックスしか内包することができないものである。この結果、かかる重合樹脂粒子をトナーとして使用した場合には、十分にその離型効果を発揮できない問題がある。
従って、前記トナーを使用するプリンタでは、熱ローラ定着時に、いわゆる熱オフセットが起こり、この熱オフセットを防止するためにシリコーンオイルなどの離型剤をローラに塗布することが必要となる。このようなローラに対する離型剤の塗布のためには、塗布装置が新たに必要となり、それによるプリンタ本体のコストアップが問題となる。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来より汎用されている分散重合法を使用する場合においても、重合樹脂粒子に十分なワックス微粒子を内包することを可能とし、かかる重合樹脂粒子をトナーとして使用した場合に、複写機やプリンタに付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上した高精細な画像形成を行うことができるトナー用重合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係るトナー用重合樹脂粒子の製造方法は、有機溶媒中に、有機溶媒に対して難溶解性のワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるとともに、有機溶媒に対して難溶解性の重合体を生成するための1種または2種以上の単量体を溶解させ、前記単量体の重合反応過程初期に前記重合体が前記有機溶媒中に析出する際、重合体微粒子を前記ワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させることにより、ワックス微粒子を内包するトナー用重合樹脂粒子を生成するトナー用重合樹脂粒子の製造方法であって、前記ワックス微粒子を生成するワックス成分は、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が、前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されることを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る重合樹脂粒子の製造方法では、有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるに際して、ワックス微粒子を生成するワックス成分が、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されるようにするとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにしているので、単量体の重合反応過程初期において重合体微粒子はワックス微粒子表面に引きつけられていき、従って、重合体微粒子をワックス微粒子の表面にて短時間で且つ簡単に析出させることができる。また、生成される重合体粒子に十分なワックス微粒子を内包させることができる。
【0013】
このように生成された重合体粒子をトナーとして使用した場合には、重合体粒子に十分なワックス微粒子が内包されていることから、ワックスの外添処理を行ったり、また、オイル塗布装置を複写機等に設置することなく、複写機等に付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができる。
【0014】
ここに、前記ワックス微粒子は、請求項2に記載されているように、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェニル基、リン酸基及びスルフォン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するワックス成分からなることが望ましい。
【0015】
また、請求項3に記載されているように、前記ワックス微粒子中には着色剤が内包されていることが望ましい。このように、ワックス微粒子中に着色剤を内包させることにより、重合体微粒子の表面電位と着色剤の表面電位とが逆極性であっても支障が発生することはない。
更に、前記単量体は、請求項4に記載されているように、スチレン系モノマー又はアクリル系モノマーであることが望ましい。
【0016】
また、前記トナー用重合樹脂粒子は、分散重合法により生成されることから、請求項5に記載されているように、略球状粒子となる。このようにトナー用重合樹脂粒子が略球状粒子である場合には、不定形のトナー粒子に比して、流動性を向上することができる。
【0017】
更に、前記ワックス微粒子の平均粒子径は、請求項6に記載されているように、1μm以下であることが望ましい。これにより、有機溶媒中に分散されているワックス微粒子の分散系を安定化することができ、ワックス微粒子相互の凝集を防止することができる。
【0018】
また、前記トナー用重合樹脂粒子中には、請求項7に記載されているように、前記ワックス微粒子が複数個内包されていることが望ましい。これにより、トナー用重合粒子中でワックス微粒子を分散状態で存在させることができ、複写機等の定着器で画像の熱定着を行う際に、ワックス微粒子による離型効果を均一に発現させることが可能となり、また、定着される画像の光沢を適度に保持することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の重合樹脂粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0020】
本発明の重合樹脂粒子の製造方法としては、分散重合法が用いられる。分散重合工程は、有機溶媒中に、この有機溶媒に溶解する高分子分散剤を加え、これに有機溶媒には溶解するが、生成する重合体は有機溶媒に膨潤されるが殆ど溶解しない、1種または2種以上の単量体を加えて粒子形成する工程である。成長反応に利用する単量体は、有機溶媒に溶解するが、重合体は有機溶媒に溶解しない。
【0021】
有機溶媒中に添加される高分子分散剤は、使用する有機溶媒、目的とする重合樹脂粒子により適宜選択されるが、特に重合樹脂粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合樹脂粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも有機溶媒への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。
【0022】
反応の開始は、高分子分散剤を溶解し、単量体を加え、系内の酸素を不活性気体により置換し、重合を開始するとき、あらかじめ重合開始剤を添加しておいて系内の温度を上昇させ反応を始める。系内の温度は、用いた開始剤の分解速度に対応した温度まで上昇させることによって行われる。このとき、重合開始剤によって単量体が重合を開始し、溶解している有機溶媒に対する臨界の分子量まで成長したとき析出し粒子を形成する。析出直後の粒子径は、小さく、あらかじめ添加されている高分子分散剤の添加量では、すでに分散されているワックス粒子と析出重合粒子の表面積をすべてカバーするには不十分であると思われるため、そのままでは分散されている両粒子はきわめて不安定な状態となる。しかしながら、ワックス粒子と、析出重合樹脂粒子のゼータ電位が異なるため、ワックスへ重合樹脂粒子が静電力で引き寄せられ、ワックス表面に析出、一体化することで安定な核となる。この析出から安定化までは極短時間内に起こる。
【0023】
一旦形成された安定な核粒子は、さらに反応を続けることで粒子内で重合が進行し、ワックスを内包したまま肥大化する。その後、所望の粒子径になったところで反応を停止することで、本発明の重合樹脂粒子を得ることができる。
【0024】
本発明に用いられる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、n−オクタノール、n−デカノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、3−ペンタノール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素、ニトロメタン等の置換炭化水素、シクロヘキサン、シクロノナン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、デカヒドロナフタレン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、アニソール、ジイソプロピルナフタレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルベンジルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ジエチレンエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ステアリン酸エチル、サリチル酸メチル等のエステル類と水があげられる。これらの溶媒は、単独でも用いられるが、多くの場合、反応系のSP値(溶解度パラメーター)を調整するため組み合わせて使用される。
【0025】
次に、有機溶媒中に添加され、ワックスの微分散のための分散剤、及び、重合樹脂粒子の安定剤として作用する高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、1−ヘキサデカノール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル(エチル)セルロース、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリイソブチレン等が挙げられる。これら高分子分散剤は使用する有機溶媒、目的物として生成される重合体の種類により適宜選択されるが、特に、生成した重合粒子同士が凝集して合一されることを主に立体的に防ぐために、重合体表面への親和性、吸着性が高く、しかも有機溶媒への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体的に重合樹脂粒子同士の反発を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。これらのことから、製造する重合樹脂粒子の粒子径が均一で、かつ、粒度分布の狭いものにするためには、高分子分散剤としてポリビニルピロリドンが望ましい。また、これらの高分子分散剤を複数種組み合わせて用いることも可能である。また、高分子分散剤の添加量は、目的物として生成される重合樹脂粒子の粒子径によって異なるが、モノマー添加量に対し5重量部以上が用いられる。これより少ないと、初期重合過程における重合粒子の析出の際、重合粒子間で充分な立体的反発力が得られず、相互に合一してしまう。
【0026】
また、重合樹脂粒子を構成する重合体は、具体的には、ポリスチレン、ポリp−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレンビニルトルエン共重合体等のスチレン及びその置換体の単独重合体及びそれらの共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体;スチレンとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多元共重合体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレンと他のビニル系モノマーとの共重合体の如きスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル,ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、フエノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、石油樹脂、塩素化パラフィン等であり、これ等は単独であっても、また、これ等を適宜組合せて使用することもできる。本発明における単量体は、上述のような重合体を生成するための、いわゆる重合性モノマーからなり、重合体の種類に応じて、少なくとも1種以上が用いられる。
【0027】
トナーとして用いる場合、重合体は、OHPへの適用を勘案すると、透明性が高いことが望ましく、良好な現像画像を得るためには、絶縁性が高いことが望ましい。また、常温において力学的強度が高い必要があり、かつ、少しのエネルギーにより軟化して、被描画物に定着されることが望ましい。以上のようなことから、実施の形態における重合樹脂粒子を電子写真用トナーとして用いる場合には、例えば、スチレン系共重合体や、ポリエステル系重合体等が好適に用いられる。
【0028】
例えば、スチレン系共重合体の原料となる単量体については、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、ビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、およびこれらの金属塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等の官能基をもつ単量体、メタクリル酸トリフロロエチル、メタクリル酸テトラフロロプロピル等のフッ素含有の単量体が挙げられる。これらの中では、スチレンとアクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類のうち1種または複数種を単量体とする共重合体が好適である。
【0029】
前記単量体から重合反応により重合体を生成するために用いられる重合開始剤としては、具体的には、アゾ系塩酸塩系として、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−ハイドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−ハイドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[(2−5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7,−テトラハイドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−ハイドロキシ−3,4,5,6−テトラハイドロピリジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ハイドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド等が挙げられる。また、その他のアゾ系開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスメチルブチロニトロニトリル、2,2’−アゾビス−2−シクロプロピルプロピオニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2−フェニラゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチラミジン等が挙げられる。また、有機過酸化物系開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−プチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート、t−ブチルパーオキシパバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらの開始剤は、単体で用いられるか、または複数ものが混合して用いられる。これらの開始剤のうち、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。これら、重合開始剤の添加量は、単量体100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0030】
さらに、本発明の前記重合体の生成にあたっては、架橋剤を使用することにより、その重合体を架橋させ架橋重合体とすることもできる。架橋剤としては、一般の架橋剤が適宜使用できる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(トリ)メタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
前記第1実施形態中に微分散させるワックスとして、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋等の植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、硬化ひまし油等の合成ワックスの中から、官能基を有するもの、もしくは、官能基を付加したものが用いられる。官能基としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェニル基、リン酸基、およびスルフォン酸基からなる群より少なくとも1種が選ばれる。
【0032】
重合樹脂粒子中に包含されるワックスの選定に当っては、製造時に使用する分散媒中で測定したワックス微粒子表面のゼータ電位が、これを内包する重合樹脂粒子のゼータ電位とは逆の極性のものが選ばれる。こうすることにより、製造工程初期の重合樹脂粒子析出時にワックス微粒子と成長初期の重合樹脂粒子とが相互に引きつけあって合一しやすくなる。このように選定されたワックスは、有機溶媒中に高分子分散剤と共に添加され、単量体の重合が開始される前にあらかじめ微分散される。
【0033】
前記のように製造された重合樹脂粒子をトナーとして用いる場合には、着色することが必要になる。着色方法としては、ワックスをあらかじめ着色しておく方法と、重合樹脂粒子調整後に着色を行なう方法がある。
【0034】
ワックスをあらかじめ着色する方法として、顔料を分散する、染料を溶解する等が挙げられる。顔料としては、マグネタイト等の多くの無機顔料、有機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料などの有機顔料、酸化チタン等の無機顔料を挙げることができる。その他の顔料であってもワックスに分散可能なものであれば使用できる。また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、分散染料、カチオン染料、反応染料、硫化染料、油溶染料、金属錯塩染料等が挙げられる。その他の染料であっても、ワックスに溶解可能なものであれば使用できる。
ここに、顔料又は染料をワックスに分散するに際し、加熱したワックスに対して顔料、染料を混合撹拌して微分散することにより、ワックス中に顔料、染料を内包させて顔料含有ワックスを生成することが望ましい。
【0035】
重合樹脂粒子調整後に着色する場合については、水溶媒中に染料と重合樹脂粒子を分散し、重合樹脂粒子の軟化点以上、且つ、軟化点に40℃を加えた温度以下に加温し、撹拌し着色する方法等が挙げられる。
【0036】
着色に用いる染料は、直接染料、酸性染料、分散染料、カチオン染料、反応染料、硫化染料、油溶染料、金属錯塩染料等を用いる。これらの着色剤のうち、分散染料およびカチオン染料が特に望ましい。
【0037】
重合樹脂粒子を染料で着色した後、重合樹脂粒子の表面に析出した余分な染料を除去するために、還元洗浄を行う。この還元洗浄に使用する溶媒としては、水酸化ナトリウムやハイドロキシサルファイト等を溶解させた水溶媒を使用する。
【0038】
次に、前述の着色した重合樹脂粒子に有機微粉体および帯電制御剤を添加してトナー母粒子を作製する。有機微粉体および荷電制御剤の添加方法としては、特開平11−65164号公報に記載されているように、着色された重合樹脂粒子と有機微粉体および荷電制御剤を機械的衝撃力を介して混合し、着色された重合樹脂粒子の表面に、有機微粉体および荷電制御剤を打ち込むようにしてもよい。有機微粉体としては、アクリル系樹脂微粉体、フッ素系樹脂微粉体、ケイ素系樹脂微粉体およびメラミン系樹脂微粉体等を挙げることができる。
【0039】
荷電制御剤としては、含金属アゾ化合物、サリチル酸系金属錯体、ニグロシン、トリフェニルメタンおよび4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0040】
次に、前記のように着色された重合樹脂粒子の表面に有機微粉体および荷電制御剤が打込処理された後、トナーの流動性を向上させるため、またはトナーの帯電の均一性を向上させるために、疎水性シリカおよび導電性酸化チタンが外添される。
【0041】
疎水性シリカとしては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、アミノシラン、アミン等で表面処理したシリカが挙げられる。例えば、ワッカー製のH2000、H3004、HVK2150等、日本アエロジル製のR974、RY200、RX200、RX300、RA200H、REA200等が挙げられる。
【0042】
導電性酸化チタンとしては、酸化錫系半導体または酸化インジウム系半導体等で表面処理した酸化チタンが望ましい。また、導電性酸化チタンの抵抗値としては1〜50Ω・cm程度、BET比表面積としては、5〜70m2/g程度のものが特に望ましい。例えば、チタン工業製のEC−100、EC−210、EC−300およびEC−500等が挙げられる。
【0043】
[実施例]
以下に重合樹脂粒子の製造方法の具体的な実施例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
▲1▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0044】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・ワックス(セラマー67:東洋ペトロライト社製)15.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに15分以上攪拌をして、ワックスの微分散溶液を得た。このときの、ワックスの平均粒子径は、0.36μmであった。また、ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その時のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0045】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで、前記のように得られたワックスの微分散溶液中に単量体として、
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0046】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は15.6μmとなり、目的とする粒子径となった。ここで攪拌を停止し、その後、氷水浴により20℃まで冷却した。得られた重合樹脂粒子を濾別回収し、メタノールで洗浄し、室温で48時間放置して重合樹脂粒子を乾燥させた。
【0047】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0048】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれ無かったワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、図1に示すように略球状を有していた。
【0049】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを2.6mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0050】
かかる測定結果が図2に示されている。図2において、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線であり、吸熱反応及び発熱反応のいずれも発生していない。また、曲線Bは測定資料について得られた測定結果を示す曲線であり、90℃付近で小さな吸熱反応のピークP1が得られた。かかるピークP1は、測定資料における重合樹脂中に内包されたワックス微粒子の溶融に伴う吸熱ピークであり、これより重合樹脂粒子中にワックス微粒子が内包されていることが分かる。尚、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線であり、曲線Bと同様、90℃付近で大きな吸熱反応のピークP2が得られた。かかる曲線Cにおける吸熱ピークP2からも、曲線Bで得られた吸熱ピークP1が重合樹脂粒子に内包されたワックス微粒子の溶融に起因して発生したピークであることが分かる。
【0051】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約15%であった。
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0052】
(実施例2)
▲1▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0053】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・ワックス(ユニリン700:東洋ペトロライト社製)15.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら75℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに30分間攪拌をして、ワックスの微分散溶液を得た。このときの、ワックスの平均粒子径は、0.52μmであった。また、ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その時のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0054】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで得られたワックスの微分散溶液中に単量体として
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0055】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は15.0μmとなり、目的とする粒子径となった。
【0056】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0057】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれなかったワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、実施例1の場合と同様、図1に示すように略球状を有していた。
【0058】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを5mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0059】
かかる測定結果は、前記実施例1の場合と同様であり、図3に示されている。実施例1にて説明したように、図3において、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線であり、吸熱反応及び発熱反応のいずれも発生していない。また、曲線Bは測定資料について得られた測定結果を示す曲線であり、100℃付近で小さな吸熱反応のピークP1が得られた。かかるピークP1は、測定資料における重合樹脂中に内包されたワックス微粒子の溶融に伴う吸熱ピークであり、これより重合樹脂粒子中にワックス微粒子が内包されていることが分かる。尚、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線であり、曲線Bと同様、100℃付近で大きな吸熱反応のピークP2が得られた。かかる曲線Cにおける吸熱ピークP2からも、曲線Bで得られた吸熱ピークP1が重合樹脂粒子に内包されたワックス微粒子の溶融に起因して発生したピークであることが分かる。
【0060】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約12%であった。
【0061】
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0062】
(実施例3)
▲1▼マグネタイト含有ワックスの生成
ワックス(セラマー67:東洋ペトロライト社製)を90℃に加熱し、その加熱したワックス15重量部中に、マグネタイト5重量部を混合撹拌してマグネタイト含有ワックスを生成した。かかるマグネタイト含有ワックス中には、マグネタイトの微粒子が内包された状態にある。
▲2▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0063】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・マグネタイト含有ワックス 20.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに30分間攪拌をして、マグネタイト含有ワックスの微分散溶液を得た。このときの、マグネタイト含有ワックスの平均粒子径は、0.4μmであった。また、マグネタイト含有ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その結果、マグネタイト含有ワックス微粒子のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0064】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで、前記のように得られたマグネタイト含有ワックスの微分散溶液中に単量体として、
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているマグネタイト含有ワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0065】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は16.7μmとなり、目的とする粒子径となった。ここで攪拌を停止し、その後、氷水浴により20℃まで冷却した。得られた重合樹脂粒子を濾別回収し、メタノールで洗浄し、室温で48時間放置して重合樹脂粒子を乾燥させた。
【0066】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0067】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれ無かったマグネタイト含有ワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、マグネタイト含有ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、図1に示すように略球状を有していた。
【0068】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを2.6mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0069】
かかる測定結果については、前記実施例1の場合と同様、図2に示す傾向と同等の傾向が得られ、重合樹脂粒子中にマグネタイト含有ワックス微粒子が内包されていることが確認された。
【0070】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたマグネタイト含有ワックスからワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約15%であった。
【0071】
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にマグネタイト含有ワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0072】
(比較例1)
高分子分散剤であるポリビニルピロリドンを3重量部に減量した以外は実施例1と同様に重合樹脂粒子の製造を行ったところ、単量体添加後の重合過程において、粒子同士の凝集が起き、重合樹脂粒子を1次粒子として取り出すことができなかった。
【0073】
(比較例2)
ワックスの分散を60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、5000rpmで10分間へ攪拌混合条件を変更した以外は実施例1と同様にして重合樹脂粒子の製造を行なった。このときに分散されたワックスの平均粒子径は、2.6μmであった。重合樹脂粒子調整中の系が不安定であり、得られた重合樹脂粒子は、ワックス包含されておらず、ワックスを核とした巨大な凝集体が多く見られ、1次粒子として取り出すことが困難であった。
【0074】
(比較例3)
有機溶媒に投入するワックスとして、官能基を有しないポリプロピレンワックスを用いた以外は、実施例1と同様にして重合樹脂粒子の製造を行なった。しかしながら、初期のワックス分散において、粒子径のそろったワックス分散液を得ることができず、したがって、ワックス包含された重合樹脂粒子を得ることができなかった。
【0075】
(比較例4)
実施例1におけるワックス微粒子の微分散処理において、エタノール、ポリビニルピロリドン、ワックスに加えて、更にマグネタイト5重量部を添加して微分散処理を行った他は、実施例1と同様の処理を行って重合樹脂粒子の製造を行った。これにより得られた重合樹脂粒子の平均粒子径は17.8μmであったが、重合樹脂粒子を電子顕微鏡を使用して観察したところ、重合樹脂粒子中以外の部分に多くのマグネタイトが観察され、重合樹脂粒子中には、わずかなマグネタイトしか観察されなかった。
【0076】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、荷電制御剤等と荷電制御剤に対して良好なぬれ性を有するワックスとを混合撹拌してワックス微粒子に荷電制御剤等を内包させた後、前記のように重合樹脂粒子の重合処理を行ってもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明に係るトナー用重合樹脂粒子の製造方法によれば、有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるに際して、ワックス微粒子を生成するワックス成分が、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が、前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されるようにするとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにしているので、単量体の重合反応過程初期において重合体微粒子はワックス微粒子表面に引きつけられていき、従って、重合体微粒子をワックス微粒子の表面にて短時間で且つ簡単に析出させることができる。また、生成される重合体粒子に十分なワックス微粒子を内包させることができる。
【0078】
このように生成された重合体粒子をトナーとして使用した場合には、重合体粒子にワックス微粒子が内包されていることから、ワックスの外添処理を行ったり、また、オイル塗布装置を複写機等に設置することなく、複写機等に付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合樹脂粒子の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で得られた重合樹脂粒子について行った示差熱測定の結果を示す説明図であり、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線、曲線Bは重合樹脂粒子を含む測定資料について得られた測定結果を示す曲線、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線である。
【図3】実施例2で得られた重合樹脂粒子について行った示差熱測定の結果を示す説明図であり、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線、曲線Bは重合樹脂粒子を含む測定資料について得られた測定結果を示す曲線、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機やプリンタに用いられるトナーに使用可能なトナー用重合体粒子に関し、特に、トナーとして使用された場合に複写機やプリンタに付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができるトナー用重合粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やプリンタに用いられるトナーは、カーボンブラックや顔料のような着色剤や、ワックスのような離型剤等の添加物と結着樹脂とを押出し機により溶融混練し、次いで粉砕、分級するという、いわゆる粉砕法によって製造されている。しかし、近年複写機及びプリンタには、高画質化が求められており、このため、トナー粒径は3〜9μmと小さく、かつ粒度分布も狭いことが要求される。これらの要求を従来の製造方法で達成するためには、小粒径にするほど歩留まりが悪くなる等の問題がある。
【0003】
また、この粉砕法により得られるトナー粒子は、分級されてはいるものの粒度分布が広く、画像形成時に個々のトナー粒子を帯電させる際、粒子径のばらつきに起因して帯電量のばらつきが大きいという問題がある。また、トナー粒子の形状が不定形であるために、流動性も悪いという問題もある。
【0004】
一方、近年粉砕法に代る製造方法として、重合法によるトナーの製造方法が知られている。この方法を用いれば粉砕法と違い、小粒径で粒度分布の狭いトナーを得ることが可能である。この重合法には、乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法等があるが、粒度分布の狭い球形トナーが得られ易いという点で、分散重合法が選ばれる傾向にある。
【0005】
かかる分散重合法を使用してトナーを製造する方法として、例えば、特開平5−181315号公報には、高分子分散剤中にビニル単量体を加えて重合させ、得られた粒子表面にエマルジョンワックスを付着させた後、更に重合を続けて得られる重合樹脂粒子を染着した静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。かかるトナーの製造方法によれば、熱ロール定着において優れた耐オフセットを有し、且つ流動性に優れたトナーを製造することができるものである。
【0006】
また、特許第2504745号公報には、各種ワックス等のオフセット防止剤を予め溶解又は分散させたラジカル重合単量体及び着色剤を反応媒質中に溶解乃至分散させ、ラジカル開始剤の存在下でラジカル重合単量体を重合させることにより、樹脂と着色剤との組成物からなる実質上球状粒子を取得する電子写真用トナーの製造方法が記載されている。かかる製造方法によれば、重合反応系においてオフセット防止剤が溶解又は微粒子状で分散したまま生成重合体粒子と合体し、着色重合体粒子中にオフセット防止剤が微小粒子として存在することから、トナーとしての電子写真学的特性に優れたトナーを製造することができるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−181315号公報(第2頁、第3頁、第7頁)
【特許文献2】
特許第2504745号公報(第1頁乃至第3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平5−181315号公報に記載されたトナーの製造方法では、重合樹脂粒子表面にワックス粒子を均一に付着させるについて、重合樹脂粒子の粒子径とワックスの添加量とが厳密に調整されている必要がある。かかる調整が厳密に行われていない場合には、混合溶液中におけるワックスの分散状態が不安定になり、この結果、重合樹脂粒子同士の凝集が起こりやすくなることから、重合樹脂粒子中にワックスが内包されたとしても、その内包されるワックス量は極めて少量であり、また、不均一なものとなる。
また、前記特許第2504745号公報に記載されたトナーの製造方法では、単量体中にあらかじめ溶解可能なオフセット防止剤としてのワックスの量は極めて少量であり、また、単量体中にワックスを溶解させる必要があることから、使用可能なワックスが制限される。従って、トナーを構成する重合樹脂粒子中にワックスが内包されたとしても、その内包されるワックス量は極めて少量となる。
【0009】
前記したように、特開平5−181315号公報や特許第2504745号公報に記載された分散重合法により製造されたトナーにおいては、トナーを構成する重合樹脂粒子中に極めて少量のワックスしか内包することができないものである。この結果、かかる重合樹脂粒子をトナーとして使用した場合には、十分にその離型効果を発揮できない問題がある。
従って、前記トナーを使用するプリンタでは、熱ローラ定着時に、いわゆる熱オフセットが起こり、この熱オフセットを防止するためにシリコーンオイルなどの離型剤をローラに塗布することが必要となる。このようなローラに対する離型剤の塗布のためには、塗布装置が新たに必要となり、それによるプリンタ本体のコストアップが問題となる。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来より汎用されている分散重合法を使用する場合においても、重合樹脂粒子に十分なワックス微粒子を内包することを可能とし、かかる重合樹脂粒子をトナーとして使用した場合に、複写機やプリンタに付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上した高精細な画像形成を行うことができるトナー用重合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係るトナー用重合樹脂粒子の製造方法は、有機溶媒中に、有機溶媒に対して難溶解性のワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるとともに、有機溶媒に対して難溶解性の重合体を生成するための1種または2種以上の単量体を溶解させ、前記単量体の重合反応過程初期に前記重合体が前記有機溶媒中に析出する際、重合体微粒子を前記ワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させることにより、ワックス微粒子を内包するトナー用重合樹脂粒子を生成するトナー用重合樹脂粒子の製造方法であって、前記ワックス微粒子を生成するワックス成分は、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が、前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されることを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る重合樹脂粒子の製造方法では、有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるに際して、ワックス微粒子を生成するワックス成分が、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されるようにするとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにしているので、単量体の重合反応過程初期において重合体微粒子はワックス微粒子表面に引きつけられていき、従って、重合体微粒子をワックス微粒子の表面にて短時間で且つ簡単に析出させることができる。また、生成される重合体粒子に十分なワックス微粒子を内包させることができる。
【0013】
このように生成された重合体粒子をトナーとして使用した場合には、重合体粒子に十分なワックス微粒子が内包されていることから、ワックスの外添処理を行ったり、また、オイル塗布装置を複写機等に設置することなく、複写機等に付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができる。
【0014】
ここに、前記ワックス微粒子は、請求項2に記載されているように、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェニル基、リン酸基及びスルフォン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するワックス成分からなることが望ましい。
【0015】
また、請求項3に記載されているように、前記ワックス微粒子中には着色剤が内包されていることが望ましい。このように、ワックス微粒子中に着色剤を内包させることにより、重合体微粒子の表面電位と着色剤の表面電位とが逆極性であっても支障が発生することはない。
更に、前記単量体は、請求項4に記載されているように、スチレン系モノマー又はアクリル系モノマーであることが望ましい。
【0016】
また、前記トナー用重合樹脂粒子は、分散重合法により生成されることから、請求項5に記載されているように、略球状粒子となる。このようにトナー用重合樹脂粒子が略球状粒子である場合には、不定形のトナー粒子に比して、流動性を向上することができる。
【0017】
更に、前記ワックス微粒子の平均粒子径は、請求項6に記載されているように、1μm以下であることが望ましい。これにより、有機溶媒中に分散されているワックス微粒子の分散系を安定化することができ、ワックス微粒子相互の凝集を防止することができる。
【0018】
また、前記トナー用重合樹脂粒子中には、請求項7に記載されているように、前記ワックス微粒子が複数個内包されていることが望ましい。これにより、トナー用重合粒子中でワックス微粒子を分散状態で存在させることができ、複写機等の定着器で画像の熱定着を行う際に、ワックス微粒子による離型効果を均一に発現させることが可能となり、また、定着される画像の光沢を適度に保持することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の重合樹脂粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0020】
本発明の重合樹脂粒子の製造方法としては、分散重合法が用いられる。分散重合工程は、有機溶媒中に、この有機溶媒に溶解する高分子分散剤を加え、これに有機溶媒には溶解するが、生成する重合体は有機溶媒に膨潤されるが殆ど溶解しない、1種または2種以上の単量体を加えて粒子形成する工程である。成長反応に利用する単量体は、有機溶媒に溶解するが、重合体は有機溶媒に溶解しない。
【0021】
有機溶媒中に添加される高分子分散剤は、使用する有機溶媒、目的とする重合樹脂粒子により適宜選択されるが、特に重合樹脂粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合樹脂粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも有機溶媒への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。
【0022】
反応の開始は、高分子分散剤を溶解し、単量体を加え、系内の酸素を不活性気体により置換し、重合を開始するとき、あらかじめ重合開始剤を添加しておいて系内の温度を上昇させ反応を始める。系内の温度は、用いた開始剤の分解速度に対応した温度まで上昇させることによって行われる。このとき、重合開始剤によって単量体が重合を開始し、溶解している有機溶媒に対する臨界の分子量まで成長したとき析出し粒子を形成する。析出直後の粒子径は、小さく、あらかじめ添加されている高分子分散剤の添加量では、すでに分散されているワックス粒子と析出重合粒子の表面積をすべてカバーするには不十分であると思われるため、そのままでは分散されている両粒子はきわめて不安定な状態となる。しかしながら、ワックス粒子と、析出重合樹脂粒子のゼータ電位が異なるため、ワックスへ重合樹脂粒子が静電力で引き寄せられ、ワックス表面に析出、一体化することで安定な核となる。この析出から安定化までは極短時間内に起こる。
【0023】
一旦形成された安定な核粒子は、さらに反応を続けることで粒子内で重合が進行し、ワックスを内包したまま肥大化する。その後、所望の粒子径になったところで反応を停止することで、本発明の重合樹脂粒子を得ることができる。
【0024】
本発明に用いられる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、s−アミルアルコール、t−アミルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、n−オクタノール、n−デカノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、3−ペンタノール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素、ニトロメタン等の置換炭化水素、シクロヘキサン、シクロノナン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、デカヒドロナフタレン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、エチルベンゼン、アニソール、ジイソプロピルナフタレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルベンジルエーテル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルエーテル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ジエチレンエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ステアリン酸エチル、サリチル酸メチル等のエステル類と水があげられる。これらの溶媒は、単独でも用いられるが、多くの場合、反応系のSP値(溶解度パラメーター)を調整するため組み合わせて使用される。
【0025】
次に、有機溶媒中に添加され、ワックスの微分散のための分散剤、及び、重合樹脂粒子の安定剤として作用する高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、1−ヘキサデカノール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル(エチル)セルロース、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリイソブチレン等が挙げられる。これら高分子分散剤は使用する有機溶媒、目的物として生成される重合体の種類により適宜選択されるが、特に、生成した重合粒子同士が凝集して合一されることを主に立体的に防ぐために、重合体表面への親和性、吸着性が高く、しかも有機溶媒への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体的に重合樹脂粒子同士の反発を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。これらのことから、製造する重合樹脂粒子の粒子径が均一で、かつ、粒度分布の狭いものにするためには、高分子分散剤としてポリビニルピロリドンが望ましい。また、これらの高分子分散剤を複数種組み合わせて用いることも可能である。また、高分子分散剤の添加量は、目的物として生成される重合樹脂粒子の粒子径によって異なるが、モノマー添加量に対し5重量部以上が用いられる。これより少ないと、初期重合過程における重合粒子の析出の際、重合粒子間で充分な立体的反発力が得られず、相互に合一してしまう。
【0026】
また、重合樹脂粒子を構成する重合体は、具体的には、ポリスチレン、ポリp−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレンビニルトルエン共重合体等のスチレン及びその置換体の単独重合体及びそれらの共重合体;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体;スチレンとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多元共重合体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレンと他のビニル系モノマーとの共重合体の如きスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル,ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、フエノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、石油樹脂、塩素化パラフィン等であり、これ等は単独であっても、また、これ等を適宜組合せて使用することもできる。本発明における単量体は、上述のような重合体を生成するための、いわゆる重合性モノマーからなり、重合体の種類に応じて、少なくとも1種以上が用いられる。
【0027】
トナーとして用いる場合、重合体は、OHPへの適用を勘案すると、透明性が高いことが望ましく、良好な現像画像を得るためには、絶縁性が高いことが望ましい。また、常温において力学的強度が高い必要があり、かつ、少しのエネルギーにより軟化して、被描画物に定着されることが望ましい。以上のようなことから、実施の形態における重合樹脂粒子を電子写真用トナーとして用いる場合には、例えば、スチレン系共重合体や、ポリエステル系重合体等が好適に用いられる。
【0028】
例えば、スチレン系共重合体の原料となる単量体については、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、ビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、およびこれらの金属塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等の官能基をもつ単量体、メタクリル酸トリフロロエチル、メタクリル酸テトラフロロプロピル等のフッ素含有の単量体が挙げられる。これらの中では、スチレンとアクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類のうち1種または複数種を単量体とする共重合体が好適である。
【0029】
前記単量体から重合反応により重合体を生成するために用いられる重合開始剤としては、具体的には、アゾ系塩酸塩系として、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−ハイドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−ハイドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[(2−5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7,−テトラハイドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−ハイドロキシ−3,4,5,6−テトラハイドロピリジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ハイドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド等が挙げられる。また、その他のアゾ系開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスメチルブチロニトロニトリル、2,2’−アゾビス−2−シクロプロピルプロピオニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2−フェニラゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチラミジン等が挙げられる。また、有機過酸化物系開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−プチルパーオキシ−2−エチルヘキサナート、t−ブチルパーオキシパバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらの開始剤は、単体で用いられるか、または複数ものが混合して用いられる。これらの開始剤のうち、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。これら、重合開始剤の添加量は、単量体100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0030】
さらに、本発明の前記重合体の生成にあたっては、架橋剤を使用することにより、その重合体を架橋させ架橋重合体とすることもできる。架橋剤としては、一般の架橋剤が適宜使用できる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(トリ)メタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
前記第1実施形態中に微分散させるワックスとして、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋等の植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、硬化ひまし油等の合成ワックスの中から、官能基を有するもの、もしくは、官能基を付加したものが用いられる。官能基としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェニル基、リン酸基、およびスルフォン酸基からなる群より少なくとも1種が選ばれる。
【0032】
重合樹脂粒子中に包含されるワックスの選定に当っては、製造時に使用する分散媒中で測定したワックス微粒子表面のゼータ電位が、これを内包する重合樹脂粒子のゼータ電位とは逆の極性のものが選ばれる。こうすることにより、製造工程初期の重合樹脂粒子析出時にワックス微粒子と成長初期の重合樹脂粒子とが相互に引きつけあって合一しやすくなる。このように選定されたワックスは、有機溶媒中に高分子分散剤と共に添加され、単量体の重合が開始される前にあらかじめ微分散される。
【0033】
前記のように製造された重合樹脂粒子をトナーとして用いる場合には、着色することが必要になる。着色方法としては、ワックスをあらかじめ着色しておく方法と、重合樹脂粒子調整後に着色を行なう方法がある。
【0034】
ワックスをあらかじめ着色する方法として、顔料を分散する、染料を溶解する等が挙げられる。顔料としては、マグネタイト等の多くの無機顔料、有機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料などの有機顔料、酸化チタン等の無機顔料を挙げることができる。その他の顔料であってもワックスに分散可能なものであれば使用できる。また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、分散染料、カチオン染料、反応染料、硫化染料、油溶染料、金属錯塩染料等が挙げられる。その他の染料であっても、ワックスに溶解可能なものであれば使用できる。
ここに、顔料又は染料をワックスに分散するに際し、加熱したワックスに対して顔料、染料を混合撹拌して微分散することにより、ワックス中に顔料、染料を内包させて顔料含有ワックスを生成することが望ましい。
【0035】
重合樹脂粒子調整後に着色する場合については、水溶媒中に染料と重合樹脂粒子を分散し、重合樹脂粒子の軟化点以上、且つ、軟化点に40℃を加えた温度以下に加温し、撹拌し着色する方法等が挙げられる。
【0036】
着色に用いる染料は、直接染料、酸性染料、分散染料、カチオン染料、反応染料、硫化染料、油溶染料、金属錯塩染料等を用いる。これらの着色剤のうち、分散染料およびカチオン染料が特に望ましい。
【0037】
重合樹脂粒子を染料で着色した後、重合樹脂粒子の表面に析出した余分な染料を除去するために、還元洗浄を行う。この還元洗浄に使用する溶媒としては、水酸化ナトリウムやハイドロキシサルファイト等を溶解させた水溶媒を使用する。
【0038】
次に、前述の着色した重合樹脂粒子に有機微粉体および帯電制御剤を添加してトナー母粒子を作製する。有機微粉体および荷電制御剤の添加方法としては、特開平11−65164号公報に記載されているように、着色された重合樹脂粒子と有機微粉体および荷電制御剤を機械的衝撃力を介して混合し、着色された重合樹脂粒子の表面に、有機微粉体および荷電制御剤を打ち込むようにしてもよい。有機微粉体としては、アクリル系樹脂微粉体、フッ素系樹脂微粉体、ケイ素系樹脂微粉体およびメラミン系樹脂微粉体等を挙げることができる。
【0039】
荷電制御剤としては、含金属アゾ化合物、サリチル酸系金属錯体、ニグロシン、トリフェニルメタンおよび4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0040】
次に、前記のように着色された重合樹脂粒子の表面に有機微粉体および荷電制御剤が打込処理された後、トナーの流動性を向上させるため、またはトナーの帯電の均一性を向上させるために、疎水性シリカおよび導電性酸化チタンが外添される。
【0041】
疎水性シリカとしては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、アミノシラン、アミン等で表面処理したシリカが挙げられる。例えば、ワッカー製のH2000、H3004、HVK2150等、日本アエロジル製のR974、RY200、RX200、RX300、RA200H、REA200等が挙げられる。
【0042】
導電性酸化チタンとしては、酸化錫系半導体または酸化インジウム系半導体等で表面処理した酸化チタンが望ましい。また、導電性酸化チタンの抵抗値としては1〜50Ω・cm程度、BET比表面積としては、5〜70m2/g程度のものが特に望ましい。例えば、チタン工業製のEC−100、EC−210、EC−300およびEC−500等が挙げられる。
【0043】
[実施例]
以下に重合樹脂粒子の製造方法の具体的な実施例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
▲1▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0044】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・ワックス(セラマー67:東洋ペトロライト社製)15.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに15分以上攪拌をして、ワックスの微分散溶液を得た。このときの、ワックスの平均粒子径は、0.36μmであった。また、ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その時のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0045】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで、前記のように得られたワックスの微分散溶液中に単量体として、
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0046】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は15.6μmとなり、目的とする粒子径となった。ここで攪拌を停止し、その後、氷水浴により20℃まで冷却した。得られた重合樹脂粒子を濾別回収し、メタノールで洗浄し、室温で48時間放置して重合樹脂粒子を乾燥させた。
【0047】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0048】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれ無かったワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、図1に示すように略球状を有していた。
【0049】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを2.6mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0050】
かかる測定結果が図2に示されている。図2において、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線であり、吸熱反応及び発熱反応のいずれも発生していない。また、曲線Bは測定資料について得られた測定結果を示す曲線であり、90℃付近で小さな吸熱反応のピークP1が得られた。かかるピークP1は、測定資料における重合樹脂中に内包されたワックス微粒子の溶融に伴う吸熱ピークであり、これより重合樹脂粒子中にワックス微粒子が内包されていることが分かる。尚、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線であり、曲線Bと同様、90℃付近で大きな吸熱反応のピークP2が得られた。かかる曲線Cにおける吸熱ピークP2からも、曲線Bで得られた吸熱ピークP1が重合樹脂粒子に内包されたワックス微粒子の溶融に起因して発生したピークであることが分かる。
【0051】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約15%であった。
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0052】
(実施例2)
▲1▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0053】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・ワックス(ユニリン700:東洋ペトロライト社製)15.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら75℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに30分間攪拌をして、ワックスの微分散溶液を得た。このときの、ワックスの平均粒子径は、0.52μmであった。また、ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その時のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0054】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで得られたワックスの微分散溶液中に単量体として
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0055】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は15.0μmとなり、目的とする粒子径となった。
【0056】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0057】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれなかったワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、実施例1の場合と同様、図1に示すように略球状を有していた。
【0058】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを5mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0059】
かかる測定結果は、前記実施例1の場合と同様であり、図3に示されている。実施例1にて説明したように、図3において、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線であり、吸熱反応及び発熱反応のいずれも発生していない。また、曲線Bは測定資料について得られた測定結果を示す曲線であり、100℃付近で小さな吸熱反応のピークP1が得られた。かかるピークP1は、測定資料における重合樹脂中に内包されたワックス微粒子の溶融に伴う吸熱ピークであり、これより重合樹脂粒子中にワックス微粒子が内包されていることが分かる。尚、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線であり、曲線Bと同様、100℃付近で大きな吸熱反応のピークP2が得られた。かかる曲線Cにおける吸熱ピークP2からも、曲線Bで得られた吸熱ピークP1が重合樹脂粒子に内包されたワックス微粒子の溶融に起因して発生したピークであることが分かる。
【0060】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約12%であった。
【0061】
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0062】
(実施例3)
▲1▼マグネタイト含有ワックスの生成
ワックス(セラマー67:東洋ペトロライト社製)を90℃に加熱し、その加熱したワックス15重量部中に、マグネタイト5重量部を混合撹拌してマグネタイト含有ワックスを生成した。かかるマグネタイト含有ワックス中には、マグネタイトの微粒子が内包された状態にある。
▲2▼ワックス微粒子の微分散処理
撹拌機、コンデンサー、温度計、ガス導入管を付した反応容器中に、下記に挙げる組成からなる混合物を投入する。
【0063】
・エタノール90wt%水溶液 300.0重量部
・ポリビニルピロリドン 5.0重量部
・マグネタイト含有ワックス 20.0重量部
この混合物を、窒素ガスを供給しながら60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、10000rpmに回転数を上げ、さらに30分間攪拌をして、マグネタイト含有ワックスの微分散溶液を得た。このときの、マグネタイト含有ワックスの平均粒子径は、0.4μmであった。また、マグネタイト含有ワックス微粒子のゼータ電位を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000で測定した。その結果、マグネタイト含有ワックス微粒子のゼータ電位は+(プラス)であった。
【0064】
▲2▼重合樹脂粒子の生成処理
次いで、前記のように得られたマグネタイト含有ワックスの微分散溶液中に単量体として、
・スチレン 59.9重量部
・n−ブチルアクリレート 17.9重量部
・α、α’−アゾビスイソブチロニトリル 4.7重量部
を加え、60℃250rpmで攪拌を開始する。攪拌開始から1時間ほどで、単量体が成長し、第1実施形態中に重合物が析出し始めるが、このとき、あらかじめ溶液中に分散されているマグネタイト含有ワックスとの間で発生する静電力により、重合体微粒子はワックス表面に析出する。
【0065】
さらに4時間攪拌をおこない、単量体の成長及び析出を続け、島津製作所製島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000を使用し粒子径を測定したところ、体積平均粒子径は16.7μmとなり、目的とする粒子径となった。ここで攪拌を停止し、その後、氷水浴により20℃まで冷却した。得られた重合樹脂粒子を濾別回収し、メタノールで洗浄し、室温で48時間放置して重合樹脂粒子を乾燥させた。
【0066】
▲3▼重合樹脂粒子の取り出し処理
前記のようにして得られた重合樹脂粒子の分散液を濾別回収し、粒子をメタノールで洗浄した。
【0067】
取り出された粒子を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 30ppm水溶液400ml中に再分散させ、昇温し、重合樹脂粒子内部に取り込まれ無かったマグネタイト含有ワックスを溶融分離した。その後、NaClを加え、マグネタイト含有ワックスを完全に分離し、重合樹脂粒子のみを濾別回収し、室温で48時間放置して乾燥させ、重合樹脂粒子を得た。この粒子のゼータ電位を測定したところ、(−)を示しており、表面は重合樹脂で被われていることが確認できた。また、このときの重合樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(島津製作所製)により確認したところ、図1に示すように略球状を有していた。
【0068】
▲4▼ワックス包含の確認:示差熱分析測定
前記のように得られた重合樹脂粒子を、示差熱分析測定装置にて測定した。測定試料をアルミパン中に2.5mg入れ、リファレンスとしてワックスを含まない樹脂粒子を用い測定温度範囲30℃〜150℃の間で、昇温速度5℃/分で測定を行なった。また、アルミパン中にワックスのみを2.6mg入れ、前記同様の条件で測定した。
【0069】
かかる測定結果については、前記実施例1の場合と同様、図2に示す傾向と同等の傾向が得られ、重合樹脂粒子中にマグネタイト含有ワックス微粒子が内包されていることが確認された。
【0070】
▲5▼ワックス包含量の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をスチレンモノマー中に溶解し、内包されていたマグネタイト含有ワックスからワックスのみを取りだした。取り出されたワックスの重量を、溶解前の重合樹脂粒子の重量で除し、含有率を求めたところ、約15%であった。
【0071】
▲6▼ワックス包含形態の確認
前記のように得られた重合樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームを用い約100nmの薄切片を作成した。その後カーボン補強し、透過型電子顕微鏡(日立製H−8100型)を用いて、加速電圧100kVで観察した。その結果、重合樹脂粒子中にマグネタイト含有ワックス微粒子が複数個内包されていることが確認された。
【0072】
(比較例1)
高分子分散剤であるポリビニルピロリドンを3重量部に減量した以外は実施例1と同様に重合樹脂粒子の製造を行ったところ、単量体添加後の重合過程において、粒子同士の凝集が起き、重合樹脂粒子を1次粒子として取り出すことができなかった。
【0073】
(比較例2)
ワックスの分散を60℃250rpmで5時間攪拌混合した後、5000rpmで10分間へ攪拌混合条件を変更した以外は実施例1と同様にして重合樹脂粒子の製造を行なった。このときに分散されたワックスの平均粒子径は、2.6μmであった。重合樹脂粒子調整中の系が不安定であり、得られた重合樹脂粒子は、ワックス包含されておらず、ワックスを核とした巨大な凝集体が多く見られ、1次粒子として取り出すことが困難であった。
【0074】
(比較例3)
有機溶媒に投入するワックスとして、官能基を有しないポリプロピレンワックスを用いた以外は、実施例1と同様にして重合樹脂粒子の製造を行なった。しかしながら、初期のワックス分散において、粒子径のそろったワックス分散液を得ることができず、したがって、ワックス包含された重合樹脂粒子を得ることができなかった。
【0075】
(比較例4)
実施例1におけるワックス微粒子の微分散処理において、エタノール、ポリビニルピロリドン、ワックスに加えて、更にマグネタイト5重量部を添加して微分散処理を行った他は、実施例1と同様の処理を行って重合樹脂粒子の製造を行った。これにより得られた重合樹脂粒子の平均粒子径は17.8μmであったが、重合樹脂粒子を電子顕微鏡を使用して観察したところ、重合樹脂粒子中以外の部分に多くのマグネタイトが観察され、重合樹脂粒子中には、わずかなマグネタイトしか観察されなかった。
【0076】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、荷電制御剤等と荷電制御剤に対して良好なぬれ性を有するワックスとを混合撹拌してワックス微粒子に荷電制御剤等を内包させた後、前記のように重合樹脂粒子の重合処理を行ってもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明に係るトナー用重合樹脂粒子の製造方法によれば、有機溶媒中に、ワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるに際して、ワックス微粒子を生成するワックス成分が、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が、前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されるようにするとともに、重合体を生成する1種または2種以上の単量体を溶解させておき、単量体の重合反応過程初期において重合体が有機溶媒中に析出する際に、重合体微粒子をワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させるようにしているので、単量体の重合反応過程初期において重合体微粒子はワックス微粒子表面に引きつけられていき、従って、重合体微粒子をワックス微粒子の表面にて短時間で且つ簡単に析出させることができる。また、生成される重合体粒子に十分なワックス微粒子を内包させることができる。
【0078】
このように生成された重合体粒子をトナーとして使用した場合には、重合体粒子にワックス微粒子が内包されていることから、ワックスの外添処理を行ったり、また、オイル塗布装置を複写機等に設置することなく、複写機等に付設される熱定着器におけるオフセットを防止することが可能となり、もってトナーの定着性及び耐久性を向上するとともに高精細な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合樹脂粒子の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で得られた重合樹脂粒子について行った示差熱測定の結果を示す説明図であり、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線、曲線Bは重合樹脂粒子を含む測定資料について得られた測定結果を示す曲線、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線である。
【図3】実施例2で得られた重合樹脂粒子について行った示差熱測定の結果を示す説明図であり、曲線Aはワックスを含まない樹脂粒子で測定したリファレンス曲線、曲線Bは重合樹脂粒子を含む測定資料について得られた測定結果を示す曲線、曲線Cはワックスのみの測定結果を示す曲線である。
Claims (7)
- 有機溶媒中に、有機溶媒に対して難溶解性のワックス微粒子を高分子分散剤を用いて分散させるとともに、有機溶媒に対して難溶解性の重合体を生成するための1種または2種以上の単量体を溶解させ、
前記単量体の重合反応過程初期に前記重合体が前記有機溶媒中に析出する際、重合体微粒子を前記ワックス微粒子表面に析出させつつ単量体の重合反応を進行させることにより、ワックス微粒子を内包するトナー用重合樹脂粒子を生成するトナー用重合樹脂粒子の製造方法であって、
前記ワックス微粒子を生成するワックス成分は、有機溶媒中に分散されたワックス微粒子の表面電位が、前記重合体微粒子の表面電位と逆の極性を示すように選択されることを特徴とするトナー用重合樹脂粒子の製造方法。 - 前記ワックス微粒子は、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、フェニル基、リン酸基及びスルフォン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するワックス成分からなる請求項1に記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
- 前記ワックス微粒子中には、着色剤が内包されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
- 前記単量体は、スチレン系モノマー又はアクリル系モノマーである請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
- 前記トナー用重合樹脂粒子は、略球状粒子である請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
- 前記ワックス微粒子の平均粒子径は1μm以下である請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
- 前記トナー用重合樹脂粒子中には、前記ワックス微粒子が複数個内包されている請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー用重合樹脂粒子の製造方法。
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