JP2004085744A - 光スイッチ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光スイッチ及びその製造方法において、少ない投入電力で動作可能かつスイッチ切替時間が短い光スイッチ及びその底コストな製造方法を実現する。
【解決手段】Y分岐光導波路における光出射側コア21,22のいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータ41,42とを備えた光スイッチ10において、ヒータ41,42の発熱により熱光学効果を与えようとするコア21,22と反対側への熱の伝導を制限する溝51,52を備える。これにより、周辺に逃げていた熱を溝51,52より内側に閉じこめて、所望のコア21,22を有効に加熱でき、省電力の光スイッチが実現される。また、前記溝51,52により、ヒータ41,42が温度上昇させるべき熱容量を小さくできるので、熱光学効果による光スイッチ10の応答が速くなる。
【選択図】 図1
【解決手段】Y分岐光導波路における光出射側コア21,22のいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータ41,42とを備えた光スイッチ10において、ヒータ41,42の発熱により熱光学効果を与えようとするコア21,22と反対側への熱の伝導を制限する溝51,52を備える。これにより、周辺に逃げていた熱を溝51,52より内側に閉じこめて、所望のコア21,22を有効に加熱でき、省電力の光スイッチが実現される。また、前記溝51,52により、ヒータ41,42が温度上昇させるべき熱容量を小さくできるので、熱光学効果による光スイッチ10の応答が速くなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光伝送システムにおいて、光の経路切替に用いられる光スイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信システムや光伝送システムに用いられる光スイッチとして、Y分岐した光導波路の出力ポートを切り替える熱光学効果型光スイッチが知られている。熱光学効果は熱により屈折率が変化する現象のことである。熱光学効果型光スイッチは、熱光学効果によって屈折率が変化するポリマー系材料で形成されたY分岐導波路を用い、金属薄膜ヒータに通電することにより、Y分岐した一方の導波路の屈折率を変化させて光の出力ポートを切り替えるものである。例えば、図7に示されるように、この光スイッチ100は、入射側光導波路2、及び出射側光導波路21,22から構成されるY分岐導波路と、分岐点P以降の導波路21,22部分に形成した金属薄膜蒸着によるヒータ41,42とから構成される。光導波路2から入射(入力)された光は、光導波路21,22へ出射(出力)される。各光導波路21,22に出力される光強度は、各ヒータ41,42における熱の印加状態に応じて変化する。すなわち、一方の光導波路を温めると、屈折率が変化して非対称Y分岐導波路が形成され、他方の光導波路に光強度の多くを導波させることができる(例えば、特開平10−20348号公報参照)。
【0003】
従来の熱光学効果型光スイッチの動作を、図8を参照して説明する。光を導波するコアは、図8(a)に示されるように、入射側コア2が分岐点PにおいてY字状に分岐した出射側コア21,22に接続されて形成されている。出射側コア21,22部分には、ヒータ41,42が電極41a,42aを介して外部電源(図示なし)に接続されて設けられている。光スイッチ101の断面形状は、図8(b)に示されるように、基板9と、その上に形成された下クラッド31、コア21,22、上クラッド32からなる光導波路と、上クラッド32の表面であってコア21,22の上部近傍に形成された薄膜ヒータ41,42とが積層された構造になっている。基板9として例えばSiウエハなどが用いられる。光導波路を形成するクラッド3及びコア2,21,22の材料は、クラッドの屈折率よりもコアの屈折率が大きくなるように組み合わせた、ポリマー系材料が用いられる。ポリマー系材料は、石英ガラス等の無機系材料に比べて1桁以上大きい熱光学定数を有するので、無機系材料を用いた場合より低い加熱温度若しくは加熱電力で光スイッチ動作を行わせることができる。熱光学効果を利用した光スイッチの原理は、(1)ヒータ等により熱をかけて、導波路の一部に温度変化を起こさせ、(2)温度変化が起こると、それに応じた屈折率変化が導波路材料に生じ、(3)屈折率の分布が変わり、光の導波経路が変化することによる。図8の構成の光スイッチ101において、ヒータ41に通電すると、ヒータ41からの熱が加えられたクラッド及びコアのそれぞれの屈折率が熱光学効果により変化して、コアとクラッドの屈折率の差が変化し、この部分の光の導波特性が変化する。例えば、熱光学定数が負の材料の場合、加熱により加熱部分の屈折率が下がるので、図8(a)及び図8(b)左図に示されるように、ヒータ41をONすることにより、加熱されたコア21付近の屈折率が低下し、光が屈折率の高い方、すなわちコア22側に進み、コア2に入射した光L1はコア22のみを通過する光L2となる。同様に、ヒータを切り替えて、ヒータ42に通電すると、図8(b)右図に示されるように、加熱されたコア22付近の屈折率が低下してコア2に入射した光はコア21のみを通過するようになる。このようにして、熱光学効果型光スイッチは、光の出力ポート(分岐先)を切り替えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平10−20348号公報や図8に示されるような熱光学効果型の光スイッチにおいては、以下のような問題がある。光導波路の屈折率変化に伴う光の導波特性の変化は、導波路形成部材に温度変化が起きることにより生じ、また、温度変化と屈折率変化は同時に起こるため、熱光学効果型スイッチにおけるスイッチ切替時間(スイッチ切替動作開始から切替完了までの時間)は、ヒータ昇温時間及び熱の伝わる時間により短くならない。そこで、小電力で応答性良く光スイッチを動作させるために、熱伝導率が大きな熱特性の優れた材料が光導波路材料として用いられる。しかし、熱特性のよい材料を用いると、加熱対象となる導波路コアへの熱の伝わりが速くなるが、周辺の切替に関係ない部分にも熱は伝わりやすくなるため、材料選択によりスイッチ切替時間の向上はできても、熱を効率的に利用することができないという問題点がある。また、上述した従来の光スイッチにおいては、屈折率の変化を生じさせる加熱用ヒータからの熱がヒータから放射状に発散されるため、導波路コア以外の周辺全体を加熱する構造となっている。このため、投入した電力はヒータ周辺部の温度を上昇させ、目的とする導波路部分を加熱して屈折率変化を生じさせてはいるが、投入した電力の一部は目的とする導波路コア以外のコアから離れた周辺ポリマー部分(クラッド)の温度上昇に消費され、無駄になっているという問題点がある。また、温度制御の観点から、周辺ポリマーの温度上昇は熱容量の大きな対象物を扱っていることになり、熱応答従って光スイッチの応答の速度向上には負の要因となっている。また、熱光学効果型光スイッチは自己保持性を有さないため、スイッチ稼働中はヒータ通電が必要であり、電力が消費されるので、消費電力を減らした状態で動作可能にする、動作効率向上が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解消するものであって、簡単な構成により、少ない投入電力で動作できると共に、スイッチ切替時間を短くできる光スイッチ、及びその低コストな製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を達成するために、請求項1の発明は、光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射した光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチにおいて、ヒータ近傍のクラッドに形成され、該ヒータの発熱により熱光学効果を与えようとするコアと反対側への熱の伝導を制限する溝を備えたものである。
【0007】
上記構成においては、ヒータの発熱により熱光学効果を与えようとするコアと反対側への熱の伝導を制限する溝を備えたので、周辺に逃げていた熱を溝より内側に閉じこめると共に、加熱すべき領域を制限して、ヒータ近傍の所望のコアを有効に加熱できるため、従来と同じ電力を投入した場合に得られる熱光学効果が大きくなり、光スイッチのエネルギ効率を向上させることができる。その結果、投入する電力を減らして動作させることができ、省電力の光スイッチを実現することができる。また、前記溝により、ヒータからの熱の伝わる領域を制限できるため、ヒータが温度上昇させるべき熱容量が小さく抑えられ、熱応答従って熱光学効果による光スイッチの応答が速くなり、光スイッチ切替時間の短い光スイッチを実現できる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の光スイッチにおいて、前記光出射側コアを覆うクラッドに、該光出射側コアを互いに熱的に分離する分離溝を備えたものである。この構成においては、加熱したいコア部だけを選択的に加熱できるので、光出射側の2つのコア部間に所望の温度差を実現し、光スイッチのいわゆる消光比やアイソレーションを向上させることができ、光スイッチのスイッチ特性を向上することができる。また、熱光学効果を起こさせるエネルギ効率を向上させ、電力を下げた動作を可能とする光スイッチが得られる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の光スイッチにおいて、前記溝を前記ヒータに隣接して設けるものである。この構成においては、ヒータ両側の2つの溝が可能な限り近接して設けられるので、両溝に挟まれた領域のポリマー層、すなわち加熱されるポリマー層の体積が少なくなり、両溝の間隔が広い場合よりも、一定電力量に対する温度上昇量を増やすことができ、又は、より低電力でコア部を温度上昇させることができ、エネルギ効率良く光導波路を切替えることができる光スイッチが得られる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3記載の光スイッチにおいて、前記溝又は分離溝とコアとの最短距離が、コアからコアを覆うクラッド表面までの必要最小の距離よりも長いものである。この構成においては、加熱を行わない場合、導波路を進む光の電界強度分布を光の進行軸に関して対称にすることができ、スイッチ特性の低下を招くことなく、省エネルギかつ応答性の良い光スイッチが得られる。
【0011】
請求項5記載の発明は、ポリマー系材料で形成され、光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射する光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチの製造方法において、Y分岐光導波路を形成する工程及びヒータを形成する工程の後に、ヒータからの熱が所望の熱光学効果を与えようとするコア以外のところに熱伝導しないようにするための熱分離用の溝を前記クラッドに切削加工により形成するものである。この製造方法においては、加工が容易で、複雑な工程が不要であるため、低コストの光スイッチが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る光スイッチについて、図1及び図2を参照して説明する。図面中の共通する部材には同一符号を付して重複説明を省略する。熱光学効果を利用する光スイッチ10は、図1(a),(b)に示されるように、光が入射する入射側コア2が分岐点PにおいてY字状に分岐して出射側コア21,22となり、これらの導波用コアがクラッド3に覆われてY分岐導波路部が形成されたものである。
【0013】
出射側コア21,22部分を覆うクラッド3の表面には、ヒータ41,42が電極41a,42aを介して図略の外部電源に接続されている。また、ヒータ41,42の外方、つまりコア21,22から離れる側のクラッド3の部分には、ヒータ41,42の近傍のクラッド3に、クラッド3の表面から基板9の近くまで達する溝51,52が形成されている。この光導波路のY分岐点P付近に形成されている電極の外側に設けた溝51,52は、ヒータ41,42が発する熱の伝わる領域を溝51,52で挟まれた部分の内部に制限している。このため、ヒータ41,42が昇温するべき対象、つまり熱を供給する対象が、溝51,52がない場合よりも確実に減少している。このため、光スイッチ10の切替に必要な熱は、溝51,52がない場合よりも少なくて済み、少ない電力投入で光スイッチ10を動作させることが可能となる。また、熱容量が減少したので、温度上昇に必要な時間も短くなり、光スイッチ10切替時間も短くなる。
【0014】
また、光が導波路を進むときには、光の全てがコア内を進行するわけではなく、導波路の平面方向Xにおける光強度分布10x及び厚み方向Yにおける光強度分布10yは、図2(a)に示されるように、コア部分からクラッド部分にしみ出した分布になっている。この光強度分布は導波路の屈折率分布状態に応じて定まるものである。屈折率分布は、理想的にはコア内、クラッド内で一定であり、ステップ状に屈折率が変化するように導波路が設計される。通常、このような導波路に対して光強度分布の拡がりを計算し、コア部分からの光のしみ出しをカバーできる厚みとなるようにコア上部のクラッド厚みとコア下部のクラッド厚みが設定される。クラッド厚みとして必要最少の距離が確保されることにより、しみ出している光がヒータ41,42や基板9に達して相互作用を行い光の損失が生じるのが抑制される。
【0015】
コアの横に設けられた溝52の場合、ヒータ42や基板9の替わりに、空気がクラッド3の境界に接している。光と空気の相互作用による損失は生じないが、クラッド3と空気との界面において屈折率差が大きいため、光強度分布状態が影響される。例えば、図2(b)に示されるように、コア22が溝52に近づき過ぎると、光強度分布11xは対称な分布でなくなり、光強度分布のピーク位置が溝と反対側に偏った分布となる。熱光学効果を利用する光スイッチにおいて、このような導波路の偏った光強度分布は、スイッチ特性を悪化させる原因の一つである。
【0016】
そこで、光の進行軸に垂直な導波路断面内で、光の強度分布がコアを中心とした対称分布となるようにするため、溝51とコア21及び溝52とコア22との距離d2を少なくともコアからクラッド表面までの必要最少の距離d1以上とすることで、所望のスイッチ特性を得ることができる。
【0017】
次に、本発明の他の一実施形態に係る光スイッチについて、図3及び図4を参照して説明する。この光スイッチ11は、図3(a),(b)に示されるように、上記の光スイッチ10において、分岐した後の光出射側コア21,22の間に、両コア21,22を互いに熱的に分離する分離溝53を備えた構成になっている。両コア21,22間の熱の伝わりは、この分離溝53によって阻止される。従って、ヒータ41,42の熱は、加熱したい側の導波路コアに集中して確実に伝わり、加熱しない側の導波路コアには伝わらない構造を実現している。
【0018】
また、前出の図1における光スイッチ10、及び光スイッチ11における溝51,52及び分離溝53は、ヒータ41,42の熱を局在化させるものであり、その効果は、図4(a),(b)において、溝の両側の等温線a〜fの密度差で示されている。これらの図において、ヒータ42が通電されており、コア22が加熱の対象となる導波路である。溝52の右側で等温線の密度が高く、左側では等温線の密度が低いことから、ヒータ42の熱は溝51によって遮られ、コア22の左方への熱伝達が抑制されていることが分る。さらに、図4(b)において、コア22の周辺の等温線の密度が高く、コア21の周辺の等温線の密度が低いことから、分離溝53によって溝の右側への熱伝達が遮断されてコア22の右方にあるコア21への熱伝達が抑制されていることが分る。溝51,52及び分離溝53により、加熱したいコア部分だけにヒータ41又はヒータ42の熱を集中して選択的に加熱できるので、熱光学効果を利用した光スイッチにおいて導波路の切替が確実に行える。また、投入する電力を同じにするなら、溝51,52及び分離溝53がない場合よりも、いわゆる消光比やアイソレーションが向上する。また、同等の性能を保ったまま、消費電力を低減した動作が可能となる。
【0019】
次に、本発明のさらに他の一実施形態に係る光スイッチについて、図5を参照して説明する。この光スイッチ12には、ヒータ51,52に沿って隣接した溝51,52が設けられている。溝51,52により挟まれた空間内部のクラッド材、コア材を合わせた体積は、前出の図1における光スイッチ10の場合よりも、さらに少なくなっている。ヒータ41,42で加熱した場合、その熱は、主としてこの体積分を温度上昇させることに使われるため、少しでも体積を減らすことは、温度上昇量を増やす効果がある。また、必要な温度上昇を得るために投入する電力を下げることができる。光スイッチとして、特性が向上し、エネルギ効率の良い光デバイスを実現することができる。また、本光スイッチ12において、前記図3に示された光スイッチ11における熱分離溝53をコア21,22の間に設けることにより、さらに、光スイッチ特性を向上させることができる。
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る光スイッチの製造方法にについて、図6を参照して説明する。まず、工程S1において、ポリマー系材料で形成された導波路を有するY分岐光導波路が形成される。Y分岐光導波路の形成は、(1)例えば、Si基板の上にクラッド用樹脂をスピンコートして下部クラッドを形成し、(2)下部クラッドの上にコア用樹脂をスピンコートして、リソグラフィによるパターニング等によりY分岐したコアを形成し、(3)さらにコア上にクラッド用樹脂をスピンコートして上部クラッドを形成して行われる。次に、工程S2において、薄膜ヒータが形成される。薄膜ヒータは、Y分岐光導波路の出射側コアに熱光学効果による屈折率変化を与えるための熱発生源であり、出射側コアの上部クラッド上に形成される。薄膜ヒータの形成は、(1)耐酸化性があり、成膜時に下地を損傷しない金属材料膜を、スパッタ成膜や蒸着等によりクラッド上に成膜し、(2)成膜した金属薄膜をリソグラフィ等により所望のヒータ形状にパターニングして行われる。次に、工程S3において熱分離溝が形成される。熱分離溝は、切削加工により形成される。この熱分離溝は、ヒータからの熱が所望の熱光学効果を与えようとするコア以外のところに熱伝導しないようにするための溝であり、鋸やバイトを使って所定の位置に、必要な深さだけ溝を形成すればよい。
【0021】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、ヒータや溝及び分離溝は、光スイッチの構成に合わせて適宜その配置や組合せを決めることができる。光スイッチの製造方法において、薄膜ヒータ用の金属薄膜形成は、スパッタ成膜や蒸着等によらずに無電解めっきによってもよい。また、熱分離溝の切削加工の方法として、反応性イオンエッチングやスパッタエッチング法によってもよい。また、薄膜ヒータ形成の後、ヒータ上に保護膜を形成して、その後に熱分離溝の切削加工を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA1−A1断面図。
【図2】(a)は本発明の他の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA2−A2断面図。
【図3】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチの動作状態における温度分布を説明する断面図、(b)は本発明の他の一実施形態による光スイッチの動作状態における温度分布を説明する断面図。
【図4】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチにおける光の強度分布を説明する断面図、(b)は光スイッチにおける光の強度分布を説明する断面図。
【図5】(a)は本発明のさらに他の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA3−A3断面図。
【図6】本発明の一実施形態による光スイッチの製造方法のステップ図。
【図7】従来の光スイッチの平面図。
【図8】(a)は従来の光スイッチの平面図、(b)は光スイッチの動作を説明するための(a)のA−A断面図。
【符号の説明】
10,11,12, 光スイッチ
2,21,22 コア
3,31,32 クラッド
41,42 ヒータ
51,52 溝
53 分離溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムや光伝送システムにおいて、光の経路切替に用いられる光スイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信システムや光伝送システムに用いられる光スイッチとして、Y分岐した光導波路の出力ポートを切り替える熱光学効果型光スイッチが知られている。熱光学効果は熱により屈折率が変化する現象のことである。熱光学効果型光スイッチは、熱光学効果によって屈折率が変化するポリマー系材料で形成されたY分岐導波路を用い、金属薄膜ヒータに通電することにより、Y分岐した一方の導波路の屈折率を変化させて光の出力ポートを切り替えるものである。例えば、図7に示されるように、この光スイッチ100は、入射側光導波路2、及び出射側光導波路21,22から構成されるY分岐導波路と、分岐点P以降の導波路21,22部分に形成した金属薄膜蒸着によるヒータ41,42とから構成される。光導波路2から入射(入力)された光は、光導波路21,22へ出射(出力)される。各光導波路21,22に出力される光強度は、各ヒータ41,42における熱の印加状態に応じて変化する。すなわち、一方の光導波路を温めると、屈折率が変化して非対称Y分岐導波路が形成され、他方の光導波路に光強度の多くを導波させることができる(例えば、特開平10−20348号公報参照)。
【0003】
従来の熱光学効果型光スイッチの動作を、図8を参照して説明する。光を導波するコアは、図8(a)に示されるように、入射側コア2が分岐点PにおいてY字状に分岐した出射側コア21,22に接続されて形成されている。出射側コア21,22部分には、ヒータ41,42が電極41a,42aを介して外部電源(図示なし)に接続されて設けられている。光スイッチ101の断面形状は、図8(b)に示されるように、基板9と、その上に形成された下クラッド31、コア21,22、上クラッド32からなる光導波路と、上クラッド32の表面であってコア21,22の上部近傍に形成された薄膜ヒータ41,42とが積層された構造になっている。基板9として例えばSiウエハなどが用いられる。光導波路を形成するクラッド3及びコア2,21,22の材料は、クラッドの屈折率よりもコアの屈折率が大きくなるように組み合わせた、ポリマー系材料が用いられる。ポリマー系材料は、石英ガラス等の無機系材料に比べて1桁以上大きい熱光学定数を有するので、無機系材料を用いた場合より低い加熱温度若しくは加熱電力で光スイッチ動作を行わせることができる。熱光学効果を利用した光スイッチの原理は、(1)ヒータ等により熱をかけて、導波路の一部に温度変化を起こさせ、(2)温度変化が起こると、それに応じた屈折率変化が導波路材料に生じ、(3)屈折率の分布が変わり、光の導波経路が変化することによる。図8の構成の光スイッチ101において、ヒータ41に通電すると、ヒータ41からの熱が加えられたクラッド及びコアのそれぞれの屈折率が熱光学効果により変化して、コアとクラッドの屈折率の差が変化し、この部分の光の導波特性が変化する。例えば、熱光学定数が負の材料の場合、加熱により加熱部分の屈折率が下がるので、図8(a)及び図8(b)左図に示されるように、ヒータ41をONすることにより、加熱されたコア21付近の屈折率が低下し、光が屈折率の高い方、すなわちコア22側に進み、コア2に入射した光L1はコア22のみを通過する光L2となる。同様に、ヒータを切り替えて、ヒータ42に通電すると、図8(b)右図に示されるように、加熱されたコア22付近の屈折率が低下してコア2に入射した光はコア21のみを通過するようになる。このようにして、熱光学効果型光スイッチは、光の出力ポート(分岐先)を切り替えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平10−20348号公報や図8に示されるような熱光学効果型の光スイッチにおいては、以下のような問題がある。光導波路の屈折率変化に伴う光の導波特性の変化は、導波路形成部材に温度変化が起きることにより生じ、また、温度変化と屈折率変化は同時に起こるため、熱光学効果型スイッチにおけるスイッチ切替時間(スイッチ切替動作開始から切替完了までの時間)は、ヒータ昇温時間及び熱の伝わる時間により短くならない。そこで、小電力で応答性良く光スイッチを動作させるために、熱伝導率が大きな熱特性の優れた材料が光導波路材料として用いられる。しかし、熱特性のよい材料を用いると、加熱対象となる導波路コアへの熱の伝わりが速くなるが、周辺の切替に関係ない部分にも熱は伝わりやすくなるため、材料選択によりスイッチ切替時間の向上はできても、熱を効率的に利用することができないという問題点がある。また、上述した従来の光スイッチにおいては、屈折率の変化を生じさせる加熱用ヒータからの熱がヒータから放射状に発散されるため、導波路コア以外の周辺全体を加熱する構造となっている。このため、投入した電力はヒータ周辺部の温度を上昇させ、目的とする導波路部分を加熱して屈折率変化を生じさせてはいるが、投入した電力の一部は目的とする導波路コア以外のコアから離れた周辺ポリマー部分(クラッド)の温度上昇に消費され、無駄になっているという問題点がある。また、温度制御の観点から、周辺ポリマーの温度上昇は熱容量の大きな対象物を扱っていることになり、熱応答従って光スイッチの応答の速度向上には負の要因となっている。また、熱光学効果型光スイッチは自己保持性を有さないため、スイッチ稼働中はヒータ通電が必要であり、電力が消費されるので、消費電力を減らした状態で動作可能にする、動作効率向上が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解消するものであって、簡単な構成により、少ない投入電力で動作できると共に、スイッチ切替時間を短くできる光スイッチ、及びその低コストな製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を達成するために、請求項1の発明は、光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射した光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチにおいて、ヒータ近傍のクラッドに形成され、該ヒータの発熱により熱光学効果を与えようとするコアと反対側への熱の伝導を制限する溝を備えたものである。
【0007】
上記構成においては、ヒータの発熱により熱光学効果を与えようとするコアと反対側への熱の伝導を制限する溝を備えたので、周辺に逃げていた熱を溝より内側に閉じこめると共に、加熱すべき領域を制限して、ヒータ近傍の所望のコアを有効に加熱できるため、従来と同じ電力を投入した場合に得られる熱光学効果が大きくなり、光スイッチのエネルギ効率を向上させることができる。その結果、投入する電力を減らして動作させることができ、省電力の光スイッチを実現することができる。また、前記溝により、ヒータからの熱の伝わる領域を制限できるため、ヒータが温度上昇させるべき熱容量が小さく抑えられ、熱応答従って熱光学効果による光スイッチの応答が速くなり、光スイッチ切替時間の短い光スイッチを実現できる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の光スイッチにおいて、前記光出射側コアを覆うクラッドに、該光出射側コアを互いに熱的に分離する分離溝を備えたものである。この構成においては、加熱したいコア部だけを選択的に加熱できるので、光出射側の2つのコア部間に所望の温度差を実現し、光スイッチのいわゆる消光比やアイソレーションを向上させることができ、光スイッチのスイッチ特性を向上することができる。また、熱光学効果を起こさせるエネルギ効率を向上させ、電力を下げた動作を可能とする光スイッチが得られる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の光スイッチにおいて、前記溝を前記ヒータに隣接して設けるものである。この構成においては、ヒータ両側の2つの溝が可能な限り近接して設けられるので、両溝に挟まれた領域のポリマー層、すなわち加熱されるポリマー層の体積が少なくなり、両溝の間隔が広い場合よりも、一定電力量に対する温度上昇量を増やすことができ、又は、より低電力でコア部を温度上昇させることができ、エネルギ効率良く光導波路を切替えることができる光スイッチが得られる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3記載の光スイッチにおいて、前記溝又は分離溝とコアとの最短距離が、コアからコアを覆うクラッド表面までの必要最小の距離よりも長いものである。この構成においては、加熱を行わない場合、導波路を進む光の電界強度分布を光の進行軸に関して対称にすることができ、スイッチ特性の低下を招くことなく、省エネルギかつ応答性の良い光スイッチが得られる。
【0011】
請求項5記載の発明は、ポリマー系材料で形成され、光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射する光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチの製造方法において、Y分岐光導波路を形成する工程及びヒータを形成する工程の後に、ヒータからの熱が所望の熱光学効果を与えようとするコア以外のところに熱伝導しないようにするための熱分離用の溝を前記クラッドに切削加工により形成するものである。この製造方法においては、加工が容易で、複雑な工程が不要であるため、低コストの光スイッチが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る光スイッチについて、図1及び図2を参照して説明する。図面中の共通する部材には同一符号を付して重複説明を省略する。熱光学効果を利用する光スイッチ10は、図1(a),(b)に示されるように、光が入射する入射側コア2が分岐点PにおいてY字状に分岐して出射側コア21,22となり、これらの導波用コアがクラッド3に覆われてY分岐導波路部が形成されたものである。
【0013】
出射側コア21,22部分を覆うクラッド3の表面には、ヒータ41,42が電極41a,42aを介して図略の外部電源に接続されている。また、ヒータ41,42の外方、つまりコア21,22から離れる側のクラッド3の部分には、ヒータ41,42の近傍のクラッド3に、クラッド3の表面から基板9の近くまで達する溝51,52が形成されている。この光導波路のY分岐点P付近に形成されている電極の外側に設けた溝51,52は、ヒータ41,42が発する熱の伝わる領域を溝51,52で挟まれた部分の内部に制限している。このため、ヒータ41,42が昇温するべき対象、つまり熱を供給する対象が、溝51,52がない場合よりも確実に減少している。このため、光スイッチ10の切替に必要な熱は、溝51,52がない場合よりも少なくて済み、少ない電力投入で光スイッチ10を動作させることが可能となる。また、熱容量が減少したので、温度上昇に必要な時間も短くなり、光スイッチ10切替時間も短くなる。
【0014】
また、光が導波路を進むときには、光の全てがコア内を進行するわけではなく、導波路の平面方向Xにおける光強度分布10x及び厚み方向Yにおける光強度分布10yは、図2(a)に示されるように、コア部分からクラッド部分にしみ出した分布になっている。この光強度分布は導波路の屈折率分布状態に応じて定まるものである。屈折率分布は、理想的にはコア内、クラッド内で一定であり、ステップ状に屈折率が変化するように導波路が設計される。通常、このような導波路に対して光強度分布の拡がりを計算し、コア部分からの光のしみ出しをカバーできる厚みとなるようにコア上部のクラッド厚みとコア下部のクラッド厚みが設定される。クラッド厚みとして必要最少の距離が確保されることにより、しみ出している光がヒータ41,42や基板9に達して相互作用を行い光の損失が生じるのが抑制される。
【0015】
コアの横に設けられた溝52の場合、ヒータ42や基板9の替わりに、空気がクラッド3の境界に接している。光と空気の相互作用による損失は生じないが、クラッド3と空気との界面において屈折率差が大きいため、光強度分布状態が影響される。例えば、図2(b)に示されるように、コア22が溝52に近づき過ぎると、光強度分布11xは対称な分布でなくなり、光強度分布のピーク位置が溝と反対側に偏った分布となる。熱光学効果を利用する光スイッチにおいて、このような導波路の偏った光強度分布は、スイッチ特性を悪化させる原因の一つである。
【0016】
そこで、光の進行軸に垂直な導波路断面内で、光の強度分布がコアを中心とした対称分布となるようにするため、溝51とコア21及び溝52とコア22との距離d2を少なくともコアからクラッド表面までの必要最少の距離d1以上とすることで、所望のスイッチ特性を得ることができる。
【0017】
次に、本発明の他の一実施形態に係る光スイッチについて、図3及び図4を参照して説明する。この光スイッチ11は、図3(a),(b)に示されるように、上記の光スイッチ10において、分岐した後の光出射側コア21,22の間に、両コア21,22を互いに熱的に分離する分離溝53を備えた構成になっている。両コア21,22間の熱の伝わりは、この分離溝53によって阻止される。従って、ヒータ41,42の熱は、加熱したい側の導波路コアに集中して確実に伝わり、加熱しない側の導波路コアには伝わらない構造を実現している。
【0018】
また、前出の図1における光スイッチ10、及び光スイッチ11における溝51,52及び分離溝53は、ヒータ41,42の熱を局在化させるものであり、その効果は、図4(a),(b)において、溝の両側の等温線a〜fの密度差で示されている。これらの図において、ヒータ42が通電されており、コア22が加熱の対象となる導波路である。溝52の右側で等温線の密度が高く、左側では等温線の密度が低いことから、ヒータ42の熱は溝51によって遮られ、コア22の左方への熱伝達が抑制されていることが分る。さらに、図4(b)において、コア22の周辺の等温線の密度が高く、コア21の周辺の等温線の密度が低いことから、分離溝53によって溝の右側への熱伝達が遮断されてコア22の右方にあるコア21への熱伝達が抑制されていることが分る。溝51,52及び分離溝53により、加熱したいコア部分だけにヒータ41又はヒータ42の熱を集中して選択的に加熱できるので、熱光学効果を利用した光スイッチにおいて導波路の切替が確実に行える。また、投入する電力を同じにするなら、溝51,52及び分離溝53がない場合よりも、いわゆる消光比やアイソレーションが向上する。また、同等の性能を保ったまま、消費電力を低減した動作が可能となる。
【0019】
次に、本発明のさらに他の一実施形態に係る光スイッチについて、図5を参照して説明する。この光スイッチ12には、ヒータ51,52に沿って隣接した溝51,52が設けられている。溝51,52により挟まれた空間内部のクラッド材、コア材を合わせた体積は、前出の図1における光スイッチ10の場合よりも、さらに少なくなっている。ヒータ41,42で加熱した場合、その熱は、主としてこの体積分を温度上昇させることに使われるため、少しでも体積を減らすことは、温度上昇量を増やす効果がある。また、必要な温度上昇を得るために投入する電力を下げることができる。光スイッチとして、特性が向上し、エネルギ効率の良い光デバイスを実現することができる。また、本光スイッチ12において、前記図3に示された光スイッチ11における熱分離溝53をコア21,22の間に設けることにより、さらに、光スイッチ特性を向上させることができる。
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る光スイッチの製造方法にについて、図6を参照して説明する。まず、工程S1において、ポリマー系材料で形成された導波路を有するY分岐光導波路が形成される。Y分岐光導波路の形成は、(1)例えば、Si基板の上にクラッド用樹脂をスピンコートして下部クラッドを形成し、(2)下部クラッドの上にコア用樹脂をスピンコートして、リソグラフィによるパターニング等によりY分岐したコアを形成し、(3)さらにコア上にクラッド用樹脂をスピンコートして上部クラッドを形成して行われる。次に、工程S2において、薄膜ヒータが形成される。薄膜ヒータは、Y分岐光導波路の出射側コアに熱光学効果による屈折率変化を与えるための熱発生源であり、出射側コアの上部クラッド上に形成される。薄膜ヒータの形成は、(1)耐酸化性があり、成膜時に下地を損傷しない金属材料膜を、スパッタ成膜や蒸着等によりクラッド上に成膜し、(2)成膜した金属薄膜をリソグラフィ等により所望のヒータ形状にパターニングして行われる。次に、工程S3において熱分離溝が形成される。熱分離溝は、切削加工により形成される。この熱分離溝は、ヒータからの熱が所望の熱光学効果を与えようとするコア以外のところに熱伝導しないようにするための溝であり、鋸やバイトを使って所定の位置に、必要な深さだけ溝を形成すればよい。
【0021】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、ヒータや溝及び分離溝は、光スイッチの構成に合わせて適宜その配置や組合せを決めることができる。光スイッチの製造方法において、薄膜ヒータ用の金属薄膜形成は、スパッタ成膜や蒸着等によらずに無電解めっきによってもよい。また、熱分離溝の切削加工の方法として、反応性イオンエッチングやスパッタエッチング法によってもよい。また、薄膜ヒータ形成の後、ヒータ上に保護膜を形成して、その後に熱分離溝の切削加工を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA1−A1断面図。
【図2】(a)は本発明の他の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA2−A2断面図。
【図3】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチの動作状態における温度分布を説明する断面図、(b)は本発明の他の一実施形態による光スイッチの動作状態における温度分布を説明する断面図。
【図4】(a)は本発明の一実施形態による光スイッチにおける光の強度分布を説明する断面図、(b)は光スイッチにおける光の強度分布を説明する断面図。
【図5】(a)は本発明のさらに他の一実施形態による光スイッチの平面図、(b)は(a)のA3−A3断面図。
【図6】本発明の一実施形態による光スイッチの製造方法のステップ図。
【図7】従来の光スイッチの平面図。
【図8】(a)は従来の光スイッチの平面図、(b)は光スイッチの動作を説明するための(a)のA−A断面図。
【符号の説明】
10,11,12, 光スイッチ
2,21,22 コア
3,31,32 クラッド
41,42 ヒータ
51,52 溝
53 分離溝
Claims (5)
- 光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射した光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチにおいて、
前記ヒータ近傍のクラッドに形成され、該ヒータの発熱により熱光学効果を与えようとするコアと反対側への熱の伝導を制限する溝を備えたことを特徴とする光スイッチ。 - 前記光出射側コアを覆うクラッドに、該光出射側コアを互いに熱的に分離する分離溝を備えたことを特徴とする請求項1記載の光スイッチ。
- 前記溝を前記ヒータに隣接して設けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光スイッチ。
- 前記溝又は分離溝とコアとの最短距離が、コアからコアを覆うクラッド表面までの必要最小の距離よりも長いことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の光スイッチ。
- ポリマー系材料で形成され、光入射側のコア及びこのコアから分岐した光出射側コア並びにこれらのコアを覆うクラッドから成るY分岐光導波路と、前記コアの分岐点近傍のクラッド上に配設され、前記光出射側コアのいずれか一方に選択的に熱光学効果を与えるヒータとを備え、前記ヒータの発熱によりコアに熱光学効果を与えて該コアの屈折率を変化させることにより光入射側コアに入射する光を光出射側コアのいずれか一方に導波させる光スイッチの製造方法において、
Y分岐光導波路を形成する工程及びヒータを形成する工程の後に、ヒータからの熱が所望の熱光学効果を与えようとするコア以外のところに熱伝導しないようにするための熱分離用の溝を前記クラッドに切削加工により形成することを特徴とする光スイッチの製造方法。
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-
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