JP2004085461A - 微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法 - Google Patents
微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】微少漏れの原因となる容器の部品組み付け部分に着目して負圧変化を測定することにより、短時間且つ正確に微少漏れ検査が行えるようにする。
【解決手段】容器1の溶接部3を覆うように検査ヘッド4のシール部5を容器1に吸着させる。容器1に実際に使用する圧力と同程度の圧力の空気を注入して封止する。図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を図の矢印の方向に吸引し、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にする。真空ポンプを止め、負圧式エアーテスタによって例えば数秒間圧力変化測定空間6の負圧を測定する。負圧の変化値が所定の値以下であれば溶接部3からの漏れはないと判定する。圧力変化測定空間6の容積は容器1の容積の数%程度であるので、極めて短時間で容器1の漏れ測定を行うことができ、且つ負圧であるので温度変化の影響を受け難い。
【選択図】 図1
【解決手段】容器1の溶接部3を覆うように検査ヘッド4のシール部5を容器1に吸着させる。容器1に実際に使用する圧力と同程度の圧力の空気を注入して封止する。図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を図の矢印の方向に吸引し、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にする。真空ポンプを止め、負圧式エアーテスタによって例えば数秒間圧力変化測定空間6の負圧を測定する。負圧の変化値が所定の値以下であれば溶接部3からの漏れはないと判定する。圧力変化測定空間6の容積は容器1の容積の数%程度であるので、極めて短時間で容器1の漏れ測定を行うことができ、且つ負圧であるので温度変化の影響を受け難い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体または気体を収納する容器におけるボルト締め部分や溶接部分などの部品組み付け部分の微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法に関するものであり、より詳細には、工業用容器や食料品用容器などの密閉容器の微少漏れを検査するための微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体容器、気体容器、タンク類、または保存容器などの密封を必要とする各種容器については、容器内に大気圧より高い正圧の気体または液体を注入し、正圧式圧力計などによって容器内の圧力の変化を測定して微少漏れ検査を行っている。または、容器内に正圧の気体を注入し、容器全体を水没させて発泡の有無を目視で確認して微少漏れ検査を行っている。例えば、家電製品である冷蔵庫の冷媒容器や自動車部品のオイルタンクなどのような工業用容器の溶接部分やボルト締め部分の微少漏れ検査や、小型電子部品の密閉性能検査を行う場合は、これらの容器内に正圧エアーを封入して正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行っている。また、食品缶や飲料缶などの食料品用容器においても、工業用容器の場合と同様の方法で、正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行っている。尚、最近では、容器内を大気圧より低い負圧にして負圧式エアーテスタによる微少漏れ検査も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の微少漏れ検査は、容器全体を正圧または負圧にし、正圧式エアーテスタまたは負圧式エアーテスタによって容器内の圧力変化を測定しているので検査時間が非常に長くかかる。また、容器を水没させて発泡の有無を目視で確認する検査方法では、検査時間が長くなるだけでなく作業者の経験が浅い場合には微少漏れ部分を見落とす虞もある。このため、生産現場における作業効率が悪くなると共に、作業者の経験の程度によって検査の品質レベルが左右される虞も生じる。また、エアーテスタで微少漏れ検査を行っているときに、何らかの物理的要因によって容器の外形が変化した場合には必然的に容器内の圧力が変化するので、正確な微少漏れ検査を行えないこともある。さらには、容器内に正圧エアーを封入して正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行う場合は、正圧エアーを投入した場合、該エアーの圧縮に伴って被検査容器内の検査エアーの温度が(例えば2〜3℃)上昇し、検査時間内に温度変化を起こすので、温度が所定の値まで下がるに十分な時間をおかない限り、正確な微少漏れ検査を行えないことがある。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微少漏れの原因となる容器の部品組み付け部分に着目して負圧変化を測定することにより、短時間且つ正確に微少漏れ検査を行うことができる微少漏れ検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の微少漏れ検査装置は、液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査装置であって、被検査体である容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状に覆うように圧力変化測定空間を形成した検査ヘッドと、検査ヘッドに形成された貫通孔を介して、圧力変化測定空間に充填された気体の圧力を測定する気体圧力測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
つまり、容器の微少漏れを測定する場合に、従来のように容器全体の圧力変化を測定していると測定時間が非常に長くなるが、本発明の微少漏れ検査装置によれば、微少漏れの発生要因となる容器の部品組み付け部分を含む微少空間のみを覆って、この微少空間の圧力変化を測定すれば、短時間且つ正確に微少漏れのみによる圧力変化を測定することができる。よって、短時間で高精度に微少漏れ検査を行うことができる。
【0007】
また、本発明の微少漏れ検査装置においては、前記の部品組み付け部分は、容器のボルト/ナット固着部または溶接部の何れか、またはこれらの複合部分であることを特徴とする。つまり、液体または気体を収納する容器に形成されたボルト/ナット固着部または溶接部が最も微少漏れの発生要因となる部分である。従って、ボルト/ナット固着部または溶接部を含む部分のみの微少空間を覆えば、微少漏れのみによる圧力変化をダイレクトに測定することができる。しかも、測定中に容器の外形が変化しても微少空間の圧力は変化しないので、極めて高精度且つ短時間で容器の微少漏れを検査することができる。
【0008】
また、本発明の微少漏れ検査装置においては、圧力変化測定空間に充填された気体の圧力は大気圧より低い負圧であり、気体圧力測定手段は圧力変化測定空間の負圧を測定する負圧式エアーテスタであることを特徴とする。つまり、正圧空気を投入した場合、圧縮に伴う温度上昇が避けられないが、負圧空気の圧力は温度変化に殆ど影響されない(一般に正圧を加える場合の圧力より、負圧の圧力の方が絶対値が小さい)。よって、圧力変化測定空間を負圧にすれば、殆ど温度変化に影響されることなく微少漏れだけによる圧力変化を測定することができる。従って、極めて高精度な微少漏れ検査を行うことができる。
【0009】
また、本発明の微少漏れ検査装置は、さらに真空ポンプを備え、圧力変化測定空間は真空ポンプによって所定の圧力の負圧に設定されることを特徴とする。つまり、本発明の微少漏れ検査装置によれば、真空ポンプによって微少空間である圧力変化測定空間を負圧にすれば、被検査容器に比べて極めて容積が小さいので、短時間で所定の圧力の負圧に設定することができる。しかも、微少漏れによる圧力変化が大きいので、極めて短時間で微少漏れ検査を行うことができる。
【0010】
また、本発明の微少漏れ検査装置は、被検査容器は密閉容器であることを特徴とする。つまり、本発明の微少漏れ検査装置によれば、工業用容器や食料品用容器などの密閉容器の微少漏れ検査を行う場合、これらの密閉容器の容積の大きさに関わらず、微少漏れによる圧力変化の測定空間を漏れの発生要因となる部分にのみ限定して、圧力変化の測定空間を限りなく小さくしている。これによって、測定空間における空気の検査圧力を短時間で測定可能な安定状態にすることができる。さらに、検査圧力の測定空間が小さいため、極めて短時間で微少漏れだけによる圧力変化が表れる。従って、微少な測定空間の圧力変化を測定することによって、極めて短時間且つ高精度に容器の微少漏れの判定検査を行うことができる。
【0011】
また、本発明の微少漏れ検査の方法は、液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査の方法において、被検査体である容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状態に覆う手順と、容器の内部気体の圧力を大気圧以上にする手順と、微少空間の内部気体の圧力を大気圧以下の負圧にする手順と、微少空間の内部気体の負圧の変化を所定の時間測定する手順と、所定の時間測定した後、微少空間の内部気体の負圧の変化量が所定の値以上のときのみ容器に微少漏れがあると判定する手順とを含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明における微少漏れ検査装置の実施の形態を詳細に説明するが、先ず、本発明における微少漏れ検査装置の思想的な概要について述べる。本発明の微少漏れ検査装置では検査空気は負圧を使用する。つまり、容器内に検査圧力空気を注入した場合、正圧空気の場合は、圧縮時の温度上昇によって容器内の空気圧が大きく変わるが、投入検査エアーが負圧空気の場合は投入時の温度変化が少なく、検査空気圧の変化に対する影響は少ない。従って、負圧空気の場合は検査時間内において温度変化が生じても測定空気の圧力には殆ど影響しないので、正確な微少漏れ検査を行うことができる。
【0013】
また、測定空気の圧力変化の測定空間は、被検査容器の容積の大小に関わらず可能な限り小さくする。つまり、上記従来技術では、被検査体の容器やタンク内の圧力の変化を測定して漏れの有無を判定していたが、このような圧力変化の測定方法では、容器やタンクの測定体積が大きくなるために漏れによる圧力変化は緩やかとなり、短時間では微少漏れの判定を行うことができない。また、加圧によるタンク自体の変形による誤差が生じることもある。そこで、本発明の微少漏れ検査装置では、微少漏れが発生する要因となる容器やタンクのボルト締め部分や溶接部分などの部品組み付け部分に圧力変化の測定空間を形成する。これによって、非常に小さい空間の圧力変化を測定することができるので、極めて短時間で微少漏れの有無を判定することができる。
【0014】
また、微少漏れ検査を行う場合は、真空ポンプによって測定空間を所定の圧力の負圧にする必要がある。このとき、被検査体である容器やタンクの容積のような大きな空間を測定対象とすると、真空ポンプによって測定空間の空気を吸引して容器やタンクの内部圧力を所定の負圧に安定させるまでには、5〜15秒程度の長い時間を待機しなければならない。しかし、微少漏れの発生要因となるボルト締め部分のみの微少空間を覆って、この微少空間のみの空気を吸引してその内部圧力を所定の負圧に安定させるには、ほぼ1〜2秒程度の短い時間でよい。このようにして、被検査体である容器やタンクの容積の大小に関わらず、被測定空間を可能な限り小さくすることによって、検査空気圧が安定するまでの時間を短くすることができるので、短時間で微少漏れ検査に入ることができるし、短時間で微少漏れによる圧力変化を測定することができる。
【0015】
さらに、測定空間を微少空間にすることによって、容器そのものの外形変化や温度変化などの影響を受けることなく、正味の漏れによる圧力変化のみを測定することができる。つまり、被検査体である容器やタンクの容積のような大きな空間の場合は、検査空気圧の安定後の測定時間内においても、容器内の圧力変化は、漏れ以外に容器の外形変化や温度変化などの影響を受けやすい。しかし、微少空間の場合は、被検査体である容器やタンクの外形変化や温度変化に殆ど影響されることなく、漏れだけによる圧力変化を測定することができるので、極めて高精度な微少漏れ検査を行うことができる。従って、微少漏れ検査装置に計算機能を持たせれば、極めて短時間での測定データによって漏れの有無を判定することができる微少漏れ検査システムを構築することができる。
【0016】
次に、図面を用いて、本発明の微少漏れ検査装置の具体的な実施の形態を説明する。図1は、本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の概念を示す断面図である。図1において、密閉された容器1には所定部分に凸部材2が溶接されて溶接部3が形成されている。このため、容器1に封入された気体または液体の漏れは溶接部3において発生する虞がある。従って、溶接部3を漏れ検出部として、この部分を覆うようにして検査ヘッド4を装着する。
【0017】
検査ヘッド4は円筒形の形状をなしており、容器1に固着される側には、溶接部3の全体を覆い且つ突起部材2を挿入しても圧力変化測定空間6ができる程度の大きさと深さの容積を有した孔が形成されている。例えば、圧力変化測定空間6の容積は容器1の容積の1〜3%程度である。また、容器1に固着される側の検査ヘッド4の端部には、円周状にシール部5が取り付けられている。このシール部5の端面は容器1に充分に吸着できる吸着構造になっている。さらに、検査ヘッド4には圧力変化測定空間6から貫通孔7が明けられていて、図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を矢印の方向へ吸引することにより、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にすることができるようになっている。また、圧力変化測定空間6の負圧は貫通孔7を通して図示しない負圧式エアーテスタで測定できるようになっている。
【0018】
このような検査ヘッド4によって容器1の微少漏れを検査する場合は、先ず、容器1の溶接部3を覆うようにして検査ヘッド4のシール部5を容器1に吸着させる。次に、容器1には実際に使用する圧力と同程度の圧力の空気を注入して封止する。さらに、図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を図の矢印の方向に吸引して、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にする(この100mmHgは、マイナス方向への絶対値である)。そして、バルブの開閉や真空ポンプの停止などによって負圧エアーを遮断してから、図示しない負圧式エアーテスタによって例えば数秒間圧力変化測定空間6の負圧を測定する。このとき、負圧の変化値が所定の値以下であれば溶接部3からの漏れはないものと判定する。
【0019】
図2は、本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の別な構成の概念を示す断面図である。つまり、図1は、容器1に凸部材2が形成された場合の検査ヘッド4の装着状態を示しているが、図2では容器1’に凹部材2’が形成された場合の検査ヘッド4’の装着状態を示している。従って、図2における検査ヘッド4’の圧力変化測定空間6’の容積は、図1に示すような凸部材2がない状態で容器1’の容積の1〜3%程度になっている。図2における検査ヘッド4’による微少漏れの検査方法は図1の場合と全く同じであるので、その説明は省略する。
【0020】
次に、圧力変化する測定空間の容積が、容器やタンクのように大きい場合と検査ヘッドの圧力変化測定空間のように小さい場合とについて、実測データに基づいて圧力変化の速さの程度を比較してみる。以下の説明では、容器やタンクの容積を1300cc、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積を容器やタンクの容積の2.7%程度の35ccとし、それぞれの測定空間を真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧に真空引きする過程の圧力変化の傾向と、100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧に安定化した後の微少漏れによる圧力変化の傾向とについて、測定空間の容積が大きい場合(1300ccの場合)と小さい場合(35ccの場合)を比較してみる。
【0021】
図3は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。図3から分かるように、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ1〜2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定し、その後は10ミクロンの漏れ孔による漏れだけの圧力変化になっている。一方、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、所定の圧力に到達するまでの10〜20秒は圧力変化が不安定であり、その後も10ミクロンの漏れ孔による漏れや温度変化の影響などによる複雑な圧力変化を示している。このことから、検査ヘッドの圧力変化測定空間のように容積の小さい場合(35ccの場合)は、1〜2秒程度の短時間で安定した負圧にして漏れ検査を実施することができる。
【0022】
図4は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の変化の程度を表わす差圧を示している。図4の特性図においても、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ1〜2秒後には負圧の差圧はほぼ一定値に安定し、その後は10ミクロンの漏れ孔による漏れだけによる差圧の変化になっている。一方、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、所定の差圧に到達するまでは10〜20秒の不安定な状態が続き、その後も10ミクロンの漏れ孔による漏れや温度変化の影響などによる複雑な差圧の変化を示している。
【0023】
図5は、漏れ孔が無い場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。この場合も検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定するが、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、約10秒後に圧力は安定しているが、容器の外形変化や温度変化などによって圧力はやや変動している。
【0024】
図6は、漏れ孔がない場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の変化の程度を表わす差圧を示している。この図においても、測定空間が小さい場合(35ccの場合)は、ほぼ2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定するが、測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は、約10秒後に圧力は安定しているが、容器の外形変化や温度変化などによって圧力はやや変動している傾向を示している。
【0025】
図7は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は真空ポンプを停止した後の安定後の時間を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。図7から分かるように、容器やタンクの容積のように測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は、漏れによる圧力変化が小さいので漏れを判定するのに長い時間がかかるが、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積のように測定空間が小さい場合(35ccの場合)は、漏れによる圧力変化が大きいので漏れを判定するのに短い時間でよい。例えば、内圧が110mmHg(146.6×102Pa)から0.5mmHg(66.7×102Pa)低下するのに、容積が小さい場合(35ccの場合)は2〜3秒で判定できるが、容積が大きい場合(1300ccの場合)は判定するのに10秒程度の時間がかかる。
【0026】
図8は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の差圧変化を示す特性図である。横軸は真空ポンプを停止した後の安定後の時間を示し、縦軸は最初の測定圧力からの変化値を表わす差圧を示している。図8においても、測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は漏れによる差圧変化が小さいので漏れを判定するのに長い時間がかかるが、測定空間が小さい場合(35ccの場合)は漏れによる圧力変化が大きいので漏れを判定するのに短い時間でよい。尚、図7のような測定空間の負圧の絶対値(内圧)の変化量を測定する場合に比べて、図8のように差圧の変化量を測定した方がより精度の高い漏れ検査を行うことができる。
【0027】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。つまり、上記の実施の形態は検査ヘッドの圧力変化測定空間に空気を供給して負圧にした場合について述べたが、空気に限定することなく、例えば、ヘリウムやアルゴンなど不活性ガスを供給してもよい。このような不活性ガスを検査気体として用いることによって、温度変化による圧力変化の影響をさらに小さくすることができる。また、図1、図2で示した微少漏れ検査装置では、漏れ検査の対象範囲を小さい容積を持つ検査ヘッドで覆って負圧力をかけて微少漏れの検査を行ったが、より短時間に高精度を求める場合は、容器内に高圧の正圧力をかけて微少漏れ部の圧力差を大きくし、検査ヘッド内の負圧の変化値を測定してもよい。つまり、検査部品の用途に適合した方法で検査にすることが望ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の微少漏れ検査装置によれば、被検査容器の容積の大きさに関わらず、容器漏れによる圧力変化の測定空間を漏れの発生要因となる部分にのみ限定して、圧力変化の測定空間を限りなく小さくしている。これによって、測定空間における空気の検査圧力を短時間で測定可能な安定状態にすることができる。さらに、検査圧力の測定空間が小さいため、極めて短時間で容器漏れだけによる圧力変化が表れる。従って、測定空間の圧力変化を測定することによって、極めて短時間且つ高精度に容器漏れの判定検査を行うことができる。また、検査空気圧を大気圧より低い負圧にしているので、測定空間の圧力変化は温度変化によって殆ど影響を受けないし、さらに、測定空間の検査圧力は被検査容器の外形変化にも殆ど影響を受けない。このために正味の微少漏れだけを測定することができるので、微少漏れ検査装置に演算機能を持たせれば、極めて高精度な微少漏れ検査システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の概念を示す断面図である。
【図2】本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の別な構成の概念を示す断面図である。
【図3】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図4】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。
【図5】漏れ孔が無い場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図6】漏れ孔がない場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。
【図7】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図8】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の差圧変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1,1’…容器、2…凸部材、2’…凹部材、3…溶接部、4,4’…検査ヘッド、5…シール部、6,6’…圧力変化測定空間、7…貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体または気体を収納する容器におけるボルト締め部分や溶接部分などの部品組み付け部分の微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法に関するものであり、より詳細には、工業用容器や食料品用容器などの密閉容器の微少漏れを検査するための微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体容器、気体容器、タンク類、または保存容器などの密封を必要とする各種容器については、容器内に大気圧より高い正圧の気体または液体を注入し、正圧式圧力計などによって容器内の圧力の変化を測定して微少漏れ検査を行っている。または、容器内に正圧の気体を注入し、容器全体を水没させて発泡の有無を目視で確認して微少漏れ検査を行っている。例えば、家電製品である冷蔵庫の冷媒容器や自動車部品のオイルタンクなどのような工業用容器の溶接部分やボルト締め部分の微少漏れ検査や、小型電子部品の密閉性能検査を行う場合は、これらの容器内に正圧エアーを封入して正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行っている。また、食品缶や飲料缶などの食料品用容器においても、工業用容器の場合と同様の方法で、正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行っている。尚、最近では、容器内を大気圧より低い負圧にして負圧式エアーテスタによる微少漏れ検査も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の微少漏れ検査は、容器全体を正圧または負圧にし、正圧式エアーテスタまたは負圧式エアーテスタによって容器内の圧力変化を測定しているので検査時間が非常に長くかかる。また、容器を水没させて発泡の有無を目視で確認する検査方法では、検査時間が長くなるだけでなく作業者の経験が浅い場合には微少漏れ部分を見落とす虞もある。このため、生産現場における作業効率が悪くなると共に、作業者の経験の程度によって検査の品質レベルが左右される虞も生じる。また、エアーテスタで微少漏れ検査を行っているときに、何らかの物理的要因によって容器の外形が変化した場合には必然的に容器内の圧力が変化するので、正確な微少漏れ検査を行えないこともある。さらには、容器内に正圧エアーを封入して正圧式エアーテスタによって微少漏れ検査を行う場合は、正圧エアーを投入した場合、該エアーの圧縮に伴って被検査容器内の検査エアーの温度が(例えば2〜3℃)上昇し、検査時間内に温度変化を起こすので、温度が所定の値まで下がるに十分な時間をおかない限り、正確な微少漏れ検査を行えないことがある。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微少漏れの原因となる容器の部品組み付け部分に着目して負圧変化を測定することにより、短時間且つ正確に微少漏れ検査を行うことができる微少漏れ検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の微少漏れ検査装置は、液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査装置であって、被検査体である容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状に覆うように圧力変化測定空間を形成した検査ヘッドと、検査ヘッドに形成された貫通孔を介して、圧力変化測定空間に充填された気体の圧力を測定する気体圧力測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
つまり、容器の微少漏れを測定する場合に、従来のように容器全体の圧力変化を測定していると測定時間が非常に長くなるが、本発明の微少漏れ検査装置によれば、微少漏れの発生要因となる容器の部品組み付け部分を含む微少空間のみを覆って、この微少空間の圧力変化を測定すれば、短時間且つ正確に微少漏れのみによる圧力変化を測定することができる。よって、短時間で高精度に微少漏れ検査を行うことができる。
【0007】
また、本発明の微少漏れ検査装置においては、前記の部品組み付け部分は、容器のボルト/ナット固着部または溶接部の何れか、またはこれらの複合部分であることを特徴とする。つまり、液体または気体を収納する容器に形成されたボルト/ナット固着部または溶接部が最も微少漏れの発生要因となる部分である。従って、ボルト/ナット固着部または溶接部を含む部分のみの微少空間を覆えば、微少漏れのみによる圧力変化をダイレクトに測定することができる。しかも、測定中に容器の外形が変化しても微少空間の圧力は変化しないので、極めて高精度且つ短時間で容器の微少漏れを検査することができる。
【0008】
また、本発明の微少漏れ検査装置においては、圧力変化測定空間に充填された気体の圧力は大気圧より低い負圧であり、気体圧力測定手段は圧力変化測定空間の負圧を測定する負圧式エアーテスタであることを特徴とする。つまり、正圧空気を投入した場合、圧縮に伴う温度上昇が避けられないが、負圧空気の圧力は温度変化に殆ど影響されない(一般に正圧を加える場合の圧力より、負圧の圧力の方が絶対値が小さい)。よって、圧力変化測定空間を負圧にすれば、殆ど温度変化に影響されることなく微少漏れだけによる圧力変化を測定することができる。従って、極めて高精度な微少漏れ検査を行うことができる。
【0009】
また、本発明の微少漏れ検査装置は、さらに真空ポンプを備え、圧力変化測定空間は真空ポンプによって所定の圧力の負圧に設定されることを特徴とする。つまり、本発明の微少漏れ検査装置によれば、真空ポンプによって微少空間である圧力変化測定空間を負圧にすれば、被検査容器に比べて極めて容積が小さいので、短時間で所定の圧力の負圧に設定することができる。しかも、微少漏れによる圧力変化が大きいので、極めて短時間で微少漏れ検査を行うことができる。
【0010】
また、本発明の微少漏れ検査装置は、被検査容器は密閉容器であることを特徴とする。つまり、本発明の微少漏れ検査装置によれば、工業用容器や食料品用容器などの密閉容器の微少漏れ検査を行う場合、これらの密閉容器の容積の大きさに関わらず、微少漏れによる圧力変化の測定空間を漏れの発生要因となる部分にのみ限定して、圧力変化の測定空間を限りなく小さくしている。これによって、測定空間における空気の検査圧力を短時間で測定可能な安定状態にすることができる。さらに、検査圧力の測定空間が小さいため、極めて短時間で微少漏れだけによる圧力変化が表れる。従って、微少な測定空間の圧力変化を測定することによって、極めて短時間且つ高精度に容器の微少漏れの判定検査を行うことができる。
【0011】
また、本発明の微少漏れ検査の方法は、液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査の方法において、被検査体である容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状態に覆う手順と、容器の内部気体の圧力を大気圧以上にする手順と、微少空間の内部気体の圧力を大気圧以下の負圧にする手順と、微少空間の内部気体の負圧の変化を所定の時間測定する手順と、所定の時間測定した後、微少空間の内部気体の負圧の変化量が所定の値以上のときのみ容器に微少漏れがあると判定する手順とを含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明における微少漏れ検査装置の実施の形態を詳細に説明するが、先ず、本発明における微少漏れ検査装置の思想的な概要について述べる。本発明の微少漏れ検査装置では検査空気は負圧を使用する。つまり、容器内に検査圧力空気を注入した場合、正圧空気の場合は、圧縮時の温度上昇によって容器内の空気圧が大きく変わるが、投入検査エアーが負圧空気の場合は投入時の温度変化が少なく、検査空気圧の変化に対する影響は少ない。従って、負圧空気の場合は検査時間内において温度変化が生じても測定空気の圧力には殆ど影響しないので、正確な微少漏れ検査を行うことができる。
【0013】
また、測定空気の圧力変化の測定空間は、被検査容器の容積の大小に関わらず可能な限り小さくする。つまり、上記従来技術では、被検査体の容器やタンク内の圧力の変化を測定して漏れの有無を判定していたが、このような圧力変化の測定方法では、容器やタンクの測定体積が大きくなるために漏れによる圧力変化は緩やかとなり、短時間では微少漏れの判定を行うことができない。また、加圧によるタンク自体の変形による誤差が生じることもある。そこで、本発明の微少漏れ検査装置では、微少漏れが発生する要因となる容器やタンクのボルト締め部分や溶接部分などの部品組み付け部分に圧力変化の測定空間を形成する。これによって、非常に小さい空間の圧力変化を測定することができるので、極めて短時間で微少漏れの有無を判定することができる。
【0014】
また、微少漏れ検査を行う場合は、真空ポンプによって測定空間を所定の圧力の負圧にする必要がある。このとき、被検査体である容器やタンクの容積のような大きな空間を測定対象とすると、真空ポンプによって測定空間の空気を吸引して容器やタンクの内部圧力を所定の負圧に安定させるまでには、5〜15秒程度の長い時間を待機しなければならない。しかし、微少漏れの発生要因となるボルト締め部分のみの微少空間を覆って、この微少空間のみの空気を吸引してその内部圧力を所定の負圧に安定させるには、ほぼ1〜2秒程度の短い時間でよい。このようにして、被検査体である容器やタンクの容積の大小に関わらず、被測定空間を可能な限り小さくすることによって、検査空気圧が安定するまでの時間を短くすることができるので、短時間で微少漏れ検査に入ることができるし、短時間で微少漏れによる圧力変化を測定することができる。
【0015】
さらに、測定空間を微少空間にすることによって、容器そのものの外形変化や温度変化などの影響を受けることなく、正味の漏れによる圧力変化のみを測定することができる。つまり、被検査体である容器やタンクの容積のような大きな空間の場合は、検査空気圧の安定後の測定時間内においても、容器内の圧力変化は、漏れ以外に容器の外形変化や温度変化などの影響を受けやすい。しかし、微少空間の場合は、被検査体である容器やタンクの外形変化や温度変化に殆ど影響されることなく、漏れだけによる圧力変化を測定することができるので、極めて高精度な微少漏れ検査を行うことができる。従って、微少漏れ検査装置に計算機能を持たせれば、極めて短時間での測定データによって漏れの有無を判定することができる微少漏れ検査システムを構築することができる。
【0016】
次に、図面を用いて、本発明の微少漏れ検査装置の具体的な実施の形態を説明する。図1は、本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の概念を示す断面図である。図1において、密閉された容器1には所定部分に凸部材2が溶接されて溶接部3が形成されている。このため、容器1に封入された気体または液体の漏れは溶接部3において発生する虞がある。従って、溶接部3を漏れ検出部として、この部分を覆うようにして検査ヘッド4を装着する。
【0017】
検査ヘッド4は円筒形の形状をなしており、容器1に固着される側には、溶接部3の全体を覆い且つ突起部材2を挿入しても圧力変化測定空間6ができる程度の大きさと深さの容積を有した孔が形成されている。例えば、圧力変化測定空間6の容積は容器1の容積の1〜3%程度である。また、容器1に固着される側の検査ヘッド4の端部には、円周状にシール部5が取り付けられている。このシール部5の端面は容器1に充分に吸着できる吸着構造になっている。さらに、検査ヘッド4には圧力変化測定空間6から貫通孔7が明けられていて、図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を矢印の方向へ吸引することにより、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にすることができるようになっている。また、圧力変化測定空間6の負圧は貫通孔7を通して図示しない負圧式エアーテスタで測定できるようになっている。
【0018】
このような検査ヘッド4によって容器1の微少漏れを検査する場合は、先ず、容器1の溶接部3を覆うようにして検査ヘッド4のシール部5を容器1に吸着させる。次に、容器1には実際に使用する圧力と同程度の圧力の空気を注入して封止する。さらに、図示しない真空ポンプによって圧力変化測定空間6の空気を図の矢印の方向に吸引して、圧力変化測定空間6を例えば100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧にする(この100mmHgは、マイナス方向への絶対値である)。そして、バルブの開閉や真空ポンプの停止などによって負圧エアーを遮断してから、図示しない負圧式エアーテスタによって例えば数秒間圧力変化測定空間6の負圧を測定する。このとき、負圧の変化値が所定の値以下であれば溶接部3からの漏れはないものと判定する。
【0019】
図2は、本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の別な構成の概念を示す断面図である。つまり、図1は、容器1に凸部材2が形成された場合の検査ヘッド4の装着状態を示しているが、図2では容器1’に凹部材2’が形成された場合の検査ヘッド4’の装着状態を示している。従って、図2における検査ヘッド4’の圧力変化測定空間6’の容積は、図1に示すような凸部材2がない状態で容器1’の容積の1〜3%程度になっている。図2における検査ヘッド4’による微少漏れの検査方法は図1の場合と全く同じであるので、その説明は省略する。
【0020】
次に、圧力変化する測定空間の容積が、容器やタンクのように大きい場合と検査ヘッドの圧力変化測定空間のように小さい場合とについて、実測データに基づいて圧力変化の速さの程度を比較してみる。以下の説明では、容器やタンクの容積を1300cc、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積を容器やタンクの容積の2.7%程度の35ccとし、それぞれの測定空間を真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧に真空引きする過程の圧力変化の傾向と、100mmHg(133.3×102Pa)程度の負圧に安定化した後の微少漏れによる圧力変化の傾向とについて、測定空間の容積が大きい場合(1300ccの場合)と小さい場合(35ccの場合)を比較してみる。
【0021】
図3は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。図3から分かるように、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ1〜2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定し、その後は10ミクロンの漏れ孔による漏れだけの圧力変化になっている。一方、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、所定の圧力に到達するまでの10〜20秒は圧力変化が不安定であり、その後も10ミクロンの漏れ孔による漏れや温度変化の影響などによる複雑な圧力変化を示している。このことから、検査ヘッドの圧力変化測定空間のように容積の小さい場合(35ccの場合)は、1〜2秒程度の短時間で安定した負圧にして漏れ検査を実施することができる。
【0022】
図4は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の変化の程度を表わす差圧を示している。図4の特性図においても、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ1〜2秒後には負圧の差圧はほぼ一定値に安定し、その後は10ミクロンの漏れ孔による漏れだけによる差圧の変化になっている。一方、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、所定の差圧に到達するまでは10〜20秒の不安定な状態が続き、その後も10ミクロンの漏れ孔による漏れや温度変化の影響などによる複雑な差圧の変化を示している。
【0023】
図5は、漏れ孔が無い場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。この場合も検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積(35cc)のように測定空間が小さい場合は、ほぼ2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定するが、容器やタンクの容積(1300cc)のように測定空間が大きい場合は、約10秒後に圧力は安定しているが、容器の外形変化や温度変化などによって圧力はやや変動している。
【0024】
図6は、漏れ孔がない場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。横軸は時間(秒)を示し、縦軸は測定空間の負圧の変化の程度を表わす差圧を示している。この図においても、測定空間が小さい場合(35ccの場合)は、ほぼ2秒後には負圧の絶対値(内圧)は所定の圧力に安定するが、測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は、約10秒後に圧力は安定しているが、容器の外形変化や温度変化などによって圧力はやや変動している傾向を示している。
【0025】
図7は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の絶対値圧力変化を示す特性図である。横軸は真空ポンプを停止した後の安定後の時間を示し、縦軸は測定空間の負圧の絶対値(内圧)を示している。図7から分かるように、容器やタンクの容積のように測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は、漏れによる圧力変化が小さいので漏れを判定するのに長い時間がかかるが、検査ヘッドの圧力変化測定空間の容積のように測定空間が小さい場合(35ccの場合)は、漏れによる圧力変化が大きいので漏れを判定するのに短い時間でよい。例えば、内圧が110mmHg(146.6×102Pa)から0.5mmHg(66.7×102Pa)低下するのに、容積が小さい場合(35ccの場合)は2〜3秒で判定できるが、容積が大きい場合(1300ccの場合)は判定するのに10秒程度の時間がかかる。
【0026】
図8は、10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の差圧変化を示す特性図である。横軸は真空ポンプを停止した後の安定後の時間を示し、縦軸は最初の測定圧力からの変化値を表わす差圧を示している。図8においても、測定空間が大きい場合(1300ccの場合)は漏れによる差圧変化が小さいので漏れを判定するのに長い時間がかかるが、測定空間が小さい場合(35ccの場合)は漏れによる圧力変化が大きいので漏れを判定するのに短い時間でよい。尚、図7のような測定空間の負圧の絶対値(内圧)の変化量を測定する場合に比べて、図8のように差圧の変化量を測定した方がより精度の高い漏れ検査を行うことができる。
【0027】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。つまり、上記の実施の形態は検査ヘッドの圧力変化測定空間に空気を供給して負圧にした場合について述べたが、空気に限定することなく、例えば、ヘリウムやアルゴンなど不活性ガスを供給してもよい。このような不活性ガスを検査気体として用いることによって、温度変化による圧力変化の影響をさらに小さくすることができる。また、図1、図2で示した微少漏れ検査装置では、漏れ検査の対象範囲を小さい容積を持つ検査ヘッドで覆って負圧力をかけて微少漏れの検査を行ったが、より短時間に高精度を求める場合は、容器内に高圧の正圧力をかけて微少漏れ部の圧力差を大きくし、検査ヘッド内の負圧の変化値を測定してもよい。つまり、検査部品の用途に適合した方法で検査にすることが望ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の微少漏れ検査装置によれば、被検査容器の容積の大きさに関わらず、容器漏れによる圧力変化の測定空間を漏れの発生要因となる部分にのみ限定して、圧力変化の測定空間を限りなく小さくしている。これによって、測定空間における空気の検査圧力を短時間で測定可能な安定状態にすることができる。さらに、検査圧力の測定空間が小さいため、極めて短時間で容器漏れだけによる圧力変化が表れる。従って、測定空間の圧力変化を測定することによって、極めて短時間且つ高精度に容器漏れの判定検査を行うことができる。また、検査空気圧を大気圧より低い負圧にしているので、測定空間の圧力変化は温度変化によって殆ど影響を受けないし、さらに、測定空間の検査圧力は被検査容器の外形変化にも殆ど影響を受けない。このために正味の微少漏れだけを測定することができるので、微少漏れ検査装置に演算機能を持たせれば、極めて高精度な微少漏れ検査システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の概念を示す断面図である。
【図2】本発明の微少漏れ検査装置を被検査容器に装着した場合の別な構成の概念を示す断面図である。
【図3】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図4】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。
【図5】漏れ孔が無い場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図6】漏れ孔がない場合で、真空ポンプによってほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の負圧にするまでの過程の差圧変化を示す特性図である。
【図7】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の絶対値圧力変化を示す特性図である。
【図8】10ミクロンの漏れ孔がある場合で、真空ポンプを停止してほぼ100mmHg(133.3×102Pa)の安定した負圧にした後の差圧変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1,1’…容器、2…凸部材、2’…凹部材、3…溶接部、4,4’…検査ヘッド、5…シール部、6,6’…圧力変化測定空間、7…貫通孔
Claims (6)
- 液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査装置であって、
被検査体である前記容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状に覆うように圧力変化測定空間を形成した検査ヘッドと、
前記検査ヘッドに形成された貫通孔を介して、前記圧力変化測定空間に充填された気体の圧力を測定する気体圧力測定手段と
を備えたことを特徴とする微少漏れ検査装置。 - 前記部品組み付け部分は、前記容器のボルト/ナット固着部または溶接部の何れか、またはこれらの複合部分であることを特徴とする請求項1に記載の微少漏れ検査装置。
- 前記圧力変化測定空間に充填された気体の圧力は大気圧より低い負圧であり、前記気体圧力測定手段は前記圧力変化測定空間の負圧を測定する負圧式エアーテスタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微少漏れ検査装置。
- さらに真空ポンプを備え、
前記圧力変化測定空間は前記真空ポンプによって所定の圧力の負圧に設定されることを特徴とする請求項3に記載の微少漏れ検査装置。 - 前記被検査容器は密閉容器であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の微少漏れ検査装置。
- 液体または気体を収納する容器における微少漏れの有無を検査する微少漏れ検査の方法において、
被検査体である前記容器の部品組み付け部分を含む微少空間を密閉状態に覆う手順と、
前記容器の内部気体の圧力を大気圧以上にする手順と、
前記微少空間の内部気体の圧力を大気圧以下の負圧にする手順と、
前記微少空間の内部気体の負圧の変化を所定の時間測定する手順と、
所定の時間測定した後、前記微少空間の内部気体の負圧の変化量が所定の値以上のときのみ、前記容器に微少漏れがあると判定する手順と
を含むことを特徴とする微少漏れ検査の方法。
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---|---|---|---|
JP2002249150A JP2004085461A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 微少漏れ検査装置および微少漏れ検査の方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010223625A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Mitsubishi Electric Corp | 漏れ検査用具および漏れ検査装置 |
CN102297747A (zh) * | 2011-05-20 | 2011-12-28 | 安徽电力建设第一工程公司 | 钢制箱罐底板焊缝检测装置 |
CN115247934A (zh) * | 2022-08-23 | 2022-10-28 | 海信冰箱有限公司 | 一种冰箱和冰箱的密封性检测方法 |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249150A patent/JP2004085461A/ja not_active Withdrawn
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