JP2004084854A - 車両用無段変速機の制御装置 - Google Patents

車両用無段変速機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】入力トルクが比較的小さい場合に、伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りを生じさせない必要十分な摩擦力を採用することにより、動力損失を可及的に低減させる車両用無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】走行路からの逆入力トルクTL に応じて変化する車両の車速Vおよび無段変速機18の変速比γに応じて定められる余裕値C(V,γ)がベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に加算されるなどして路面状態に適応した可及的に小さなベルト挟圧力が算出され、そのベルト挟圧力に対応した駆動摩擦力を介して上記無段変速機18が駆動されるように制御できることから、入力トルクTINが比較的小さい場合に、伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間で滑りを生じさせない必要十分な摩擦力を採用することにより、動力損失を可及的に低減させる車両用無段変速機の制御装置を提供することができる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用無段変速機の制御装置であって、特に動力伝達を行う摩擦力を走行路の状態に応じて変化させる制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行用の動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に、摩擦力を介して動力伝達を行う無段変速機が配設された車両が知られている。そのような無段変速機の一態様として、(a)有効径が可変の入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、(b)それらの可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとを有するベルト式無段変速機があり、かかるベルト式無段変速機においては、上記伝動ベルトと可変プーリとの間の摩擦力を介して動力伝達が行われると共に、車両の運転状態に応じて変速比やベルト挟圧力が制御される。そのベルト挟圧力は、上記伝動ベルトと可変プーリとの間の摩擦力に対応するもので、それらの間で滑りが発生すると摩耗により耐久性(寿命)が低下する一方、ベルト挟圧力が必要以上に高いと動力損失が大きくなって燃費や排ガスが悪化するため、滑りが生じない範囲でできるだけ小さくなるように、上記無段変速機への入力トルクすなわちエンジントルクなどに応じて制御される。
【0003】
ところで、悪路などで駆動輪がスピンおよびグリップを繰り返すような場合には、グリップした時に路面側から大きな逆入力トルクが作用して上記伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りが生じる可能性がある。そこで、そのような悪路において確実に滑りを防止できるようにすると共に、逆入力トルクがほとんど作用しない平坦路などにおけるベルト挟圧力をできるだけ小さくし、動力損失を低減させる技術が開発されている。例えば、特開2001−254814号公報の明細書などに記載された車両用無段変速機の制御装置がそれであり、かかる制御装置によれば、例えば、ナビゲーションシステムから走行路情報を含むカーナビ情報を取り込み、その走行路情報に基づいて現在の走行路および近い将来の走行路が平坦路か悪路かを判定し、悪路の場合は平坦路に比較してベルト式無段変速機のベルト挟圧力が高い悪路用のマップを選択することにより、その悪路での路面の凹凸などに起因する伝動ベルトの滑りを確実に回避しつつ、平坦路ではベルト挟圧力を大幅に低下させて動力損失を低減させる。
【0004】
しかし、必ずしも総ての車両がナビゲーションシステムを備えているわけではないことに加え、走行路の状態が判断し難い場合も考えられる。そこで、前記ベルト挟圧力は、前記無段変速機を制御するコントローラなどに予め記憶された関係に従って定められるのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図11は、従来の無段変速機の制御に用いられる入力トルクとベルト挟圧力との関係の一例を示す図である。この図に示すように、従来の無段変速機の制御装置は、例えば、入力トルクTINに応じて定められるベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)と、同じく入力トルクTINに応じて定められるベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に固定余裕値C0 を一律に加算した値とを比較し、何れか大きい方をベルト挟圧力として採用するものであった。すなわち、図において実線で示す関係を用いて無段変速機を駆動するように制御していた。ここで、前記入力トルクTINが所定のトルクTbo以下となる場合(エンジン低トルク時)に上記固定余裕値C0 が用いられるのは、かかるエンジン低トルク時においては入力トルクTINに比べて路面からの逆入力トルクTL が大きなものとなり、前記伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りが生じ易くなるためであり、上記固定余裕値C0 は、想定される逆入力トルクTL の最大値に基づいて予め定められるのが普通であった。その結果、滑りは防止されるものの、ベルト挟圧力が必要以上に高くなってしまい、動力損失の原因となっていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、入力トルクが比較的小さい場合に、伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りを生じさせない必要十分な摩擦力を採用することにより、動力損失を可及的に低減させる車両用無段変速機の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、車両における走行用の動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に配設され、摩擦力を介して動力伝達を行うと共にその摩擦力を制御できる無段変速機の制御装置であって、前記車両の車速およびその無段変速機の変速比に基づいて必要十分な駆動摩擦力を算出し、その駆動摩擦力を介してその無段変速機を駆動するように制御することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、走行路からの逆入力トルクに応じて変化する前記車両の車速および前記無段変速機の変速比に基づいて路面状態に適応した可及的に小さな駆動摩擦力が算出され、その駆動摩擦力を介して前記無段変速機が駆動されるように制御できることから、入力トルクが比較的小さい場合に、伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りを生じさせない必要十分な摩擦力を採用することにより、動力損失を可及的に低減させる車両用無段変速機の制御装置を提供することができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記駆動摩擦力の理論値に加算するための余裕値を前記車速および変速比に応じて算出する余裕値算出手段と、その余裕値算出手段によって算出されたその余裕値を用いて前記駆動摩擦力を算出する摩擦力算出手段と、その摩擦力算出手段によって算出されたその駆動摩擦力を介して前記無段変速機を駆動するように制御する摩擦力制御手段とを有するものである。このようにすれば、伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りを生じさせない摩擦力の下限値である前記駆動摩擦力の理論値に、前記余裕値算出手段によって算出された可及的に小さな余裕値が加算されるなどして、前記摩擦力算出手段によって必要十分な駆動摩擦力が算出され、前記摩擦力制御手段によってかかる駆動摩擦力を介して前記無段変速機が駆動されるように制御できるという利点がある。
【0010】
また、好適には、前記摩擦力算出手段は、前記駆動摩擦力の理論値よりも常に大きくなるように定められる駆動摩擦力の基本値と、その駆動摩擦力の理論値に前記余裕値を加算した値とを比較して、何れか大きい方を駆動摩擦力として算出するものである。このようにすれば、例えば入力トルクが比較的大きい場合には前記駆動摩擦力の基本値を、比較的小さい場合には前記駆動摩擦力の理論値に前記余裕値を加算した値を駆動摩擦力として採用することで、前記駆動摩擦力の基本値以上の値を保証しつつ、前記無段変速機の駆動状態に応じた必要十分な駆動摩擦力が算出されるという利点がある。
【0011】
また、好適には、前記駆動摩擦力の理論値および基本値は、前記無段変速機への入力トルクに応じて定められるものである。このようにすれば、伝動ベルトと可変プーリとの間で滑りを生じさせない摩擦力の下限値である前記駆動摩擦力の理論値と、それに応じた前記駆動摩擦力の基本値とが一元的に定められるという利点がある。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源として用いられる内燃機関としてエンジン12を備えている。そのエンジン12の出力は、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、および減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右一対の駆動輪24へ分配される。
【0014】
上記トルクコンバータ14は、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車28、およびタービン軸30を介して上記前後進切換装置16に連結されたタービン翼車26を備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それらのタービン翼車26およびポンプ翼車28の間にはロックアップクラッチ32が設けられ、それらを一体的に連結して一体回転させることができるようになっている。
【0015】
前記前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、前記トルクコンバータ14のタービン軸30はサンギヤ16sに連結され、前記無段変速機18の入力軸34はキャリア16cに連結されている。そして、上記サンギヤ16sとキャリア16cの間に配設されたクラッチ36が係合させられると、前記前後進切換装置16は一体回転させられて上記タービン軸30が入力軸34に直結され、前進方向の駆動力が前記一対の駆動輪24に伝達される。また、リングギヤ16rとハウジング38との間に配設されたブレーキ40が係合させられると共に上記クラッチ36が開放されると、上記入力軸34はタービン軸30に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が前記一対の駆動輪24に伝達される。
【0016】
前記無段変速機18は、上記入力軸34に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ46と、上記入力側可変プーリ42および出力側可変プーリ46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、それらの可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。かかる可変プーリ42、46はそれぞれV溝幅が可変で、油圧シリンダを備えて構成されており、上記入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧が後述する変速制御回路66によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して上記伝動ベルト48の掛かり径(有効径)Rが変更され、変速比γ(=入力側回転速度NIN/出力側回転速度NOUT )が連続的に変化させられる。具体的には、図4に示すように、運転者の要求出力を表すアクセル操作量θACC および車速V(出力側回転速度NOUT に対応)をパラメータとして予め定められたマップから目標回転速度NAIM を算出し、実際の入力側回転速度NINが目標回転速度NAIM と一致するように、上記入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧をフィードバック制御する。なお、図4のγmax は最大変速比で、γmin は最小変速比である。
【0017】
図2は、前記無段変速機18の制御系統を説明するブロック線図である。この図に示すコントローラ50はマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記無段変速機18の変速制御や挟圧力制御を行うもので、アクセル操作量センサ52、エンジン回転速度センサ54、車速センサ56、入力側回転速度センサ58、油温センサ60、油圧センサ62から、それぞれアクセルペダルの操作量θACC 、エンジン回転速度NE 、車速V(具体的には出力軸44の回転速度NOUT )、入力側回転速度NIN、油圧回路の油温T0 、油圧P0 を表す信号が供給されるようになっている。
【0018】
図3は、前記伝動ベルト48の挟圧力を制御する挟圧力制御回路64の一例を示す図である。この図に示すように、ポンプ68によりオイルタンク70から汲み上げられた作動油は、リニアソレノイド弁72に供給されると共に、挟圧力制御弁74を経て前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダに供給される。上記リニアソレノイド弁72は、前記コントローラ50によって励磁電流が連続的に制御されることにより、上記ポンプ68から供給された作動油の油圧を連続的に調圧して、制御圧PS を上記挟圧力制御弁74に出力するもので、その挟圧力制御弁74から前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダに供給される作動油の油圧は、かかる制御圧PS が高くなるに従って上昇させられ、それに伴ってベルト挟圧力すなわち前記可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力が増大させられる。
【0019】
上記リニアソレノイド弁72にはまた、カットバック弁76のON時に制御圧PS がフィードバック室78に供給される一方、そのカットバック弁76のOFF時には、その制御圧PS の供給が遮断されて上記フィードバック室78が大気に開放されるようになっており、かかるカットバック弁76のON時にはOFF時よりも制御圧PS の特性が低圧側へ切り換えられる。ここで、上記カットバック弁76は、前記トルクコンバータ14のロックアップクラッチ32のON(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりONに切り換えられるようになっている。
【0020】
図5は、前記コントローラ50が備えているベルト挟圧力の制御に関する機能を説明するブロック線図である。この図に示すように、前記コントローラ50は、機能的に余裕値算出手段80、ベルト挟圧力算出手段82、およびベルト挟圧力制御手段84を備えており、図10に示すフローチャートに従ってベルト挟圧力、具体的には前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧を制御する。図10のステップS1およびS2は上記余裕値算出手段80によって、ステップS3は上記ベルト挟圧力算出手段82によって、ステップS4はベルト挟圧力制御手段84によってそれぞれ実行される。なお、かかるベルト挟圧力は前記無段変速機18の駆動摩擦力を一義的に定めるものであり、上記ベルト挟圧力算出手段82は摩擦力算出手段に、ベルト挟圧力制御手段84は摩擦力制御手段にそれぞれ相当する。
【0021】
本実施例において、前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧は、前記伝動ベルト48に滑りを生じさせないように、例えば図6に示すような一定の変速比γにおける入力トルクTINとベルト挟圧力との関係を用いて、前記コントローラ50および挟圧力制御回路64により調圧制御される。すなわち、入力トルクTINに応じて定められるベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)と、同じく入力トルクTINに応じて定められるベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に前記車速Vおよび変速比γに応じて定められる余裕値C(V,γ)を加算した値とを比較し、何れか大きい方がベルト挟圧力として採用され、前記伝動ベルト48がそのベルト挟圧力にて駆動されるように制御される。前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧に応じて前記伝動ベルト48の挟圧力が定まり、延いては前記無段変速機18の駆動摩擦力が決定される。なお、基本値Fb(TIN)および理論値Ft(TIN)は、ともに変速比γの関数であるが、一定の変速比であるという前提で省略されている。
【0022】
上記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)および基本値Fb(TIN)は、前記無段変速機18への入力トルクTINに応じて定められるものであり、具体的にはその入力トルクTIN、摩擦係数μ、入力側可変プーリ42のベルト掛かり径R、プーリ面積Aを用いて基本的に次の式1で表されるベルト挟圧油圧PB において、例えば定数αを1.0としたものが上記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に、αを1.25としたものが基本値Fb(TIN)にそれぞれ相当する。前記入力トルクTINおよびベルト掛かり径Rは、それぞれ前記アクセル操作量θACC および変速比γに対応するものである。また、かかるベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)は、前記伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間で滑りを生じさせないベルト挟圧力の下限値であり、基本値Fb(TIN)は、その理論値Ft(TIN)よりも常に大きくなるように定められる実用値である。
【0023】
[式1]
B =(TIN/μ・R・A)×α
【0024】
ここで、前記余裕値C(V,γ)は、制御装置などに予め記憶された対応関係から、車両の車速Vおよび前記無段変速機18の変速比γに基づいて定められる。本発明者等は、前記駆動輪24がスピンあるいはグリップなどした際に路面側から入力される路面入力トルク(逆入力トルク)TL を他のパラメータから求めることを目的として研究を継続した結果、かかる路面入力トルクTL が前記車速Vおよび変速比γに応じて変化することを見出した。図8は、車両の車速Vと路面入力トルクTL の関係の一例を示すグラフであり、図9は、無段変速機の変速比γと路面入力トルクTL の関係の一例を示すグラフである。これらの図に示すように、路面入力トルクTL は、前記車速Vの増加に伴って増加し、前記変速比γの増加に伴って減少する。
【0025】
図7は、前記車速Vおよび変速比γと前記余裕値C(V,γ)との対応関係の一例を示す表である。この図7に示すV,γ−Cマトリクス86は、かかる余裕値C(V,γ)と前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)との和が路面状態に応じた必要十分なベルト挟圧力となるように試験結果などを基に予め定められたものであり、前記コントローラ50のROMなどに記憶されている。上述のように、前記車速Vおよび変速比γは、前記路面入力トルクTL と対応関係にあることから、それらを変数とした前記余裕値C(V,γ)は、車両が走行する路面の状態を反映したものになるのである。
【0026】
図10のフローチャートは、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。先ず、ステップS1において、前記入力側回転速度センサ58、車速センサ56を介して入力側回転速度NIN、車速Vなどのパラメータを読み込むと共に、それらの値から前記無段変速機18の変速比γを算出する。また、前記アクセル操作量センサ52を介して読み込まれるアクセル操作量θACC から入力トルクTINを算出する。次に、ステップS2において、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に加算するための余裕値C(V,γ)を、上記ステップ1にて得られた車速Vおよび変速比γを基に、前記コントローラ50に記憶された上記図7のV,γ−Cマトリクス86から導出する。
【0027】
次に、ステップS3において、上記ステップS2にて導出された余裕値C(V,γ)を用いて路面状態に応じた必要十分なベルト挟圧力を算出する。例えば、前記ベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)と、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に余裕値C(V,γ)を加算した値とを比較して、何れか大きい方を必要十分なベルト挟圧力として算出する。すなわち、前記余裕値C(V,γ)が図6における中央の鎖線で示す値をとる場合、実線で示す関係をベルト挟圧力として採用する。
【0028】
そして、最後のステップS4において、上記ステップS3にて算出されたベルト挟圧力に応じて前記挟圧力制御回路64のリニアソレノイド弁72の励磁電流を制御することにより、前記出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧を調圧制御する。この調圧制御は、厳密には前記アクセル操作量θACC および変速比γの他、油圧回路の油温T0 や油圧P0 などの情報を用いて行われる。以上のようにして前記無段変速機18の伝動ベルト48の摩擦力が、路面の状態に応じて必要十分な値をとるように随時変更される。
【0029】
このように、本実施例によれば、走行路からの逆入力トルクTL に応じて変化する車両の車速Vおよび前記無段変速機18の変速比γに基づいて路面状態に適応した可及的に小さなベルト挟圧力が算出され、そのベルト挟圧力に対応した駆動摩擦力を介して前記無段変速機18が駆動されるように制御できることから、入力トルクTINが比較的小さい場合に、前記伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間で滑りを生じさせない必要十分な摩擦力を採用することにより、動力損失を可及的に低減させる車両用無段変速機の制御装置を提供することができる。
【0030】
また、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に加算するための余裕値C(V,γ)を前記車速Vおよび変速比γに応じて算出する余裕値算出手段80と、その余裕値算出手段80によって算出されたその余裕値C(V,γ)を用いて必要十分なベルト挟圧力を算出するベルト挟圧力算出手段82と、そのベルト挟圧力算出手段82によって算出されたそのベルト挟圧力を介して前記無段変速機18を駆動するように制御するベルト挟圧力制御手段84とを有するものであるため、前記伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間で滑りを生じさせないベルト挟圧力の下限値である前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に、前記余裕値算出手段80によって算出された可及的に小さな余裕値C(V,γ)が加算されるなどして、前記ベルト挟圧力算出手段82によって必要十分なベルト挟圧力が算出され、前記ベルト挟圧力制御手段84によってかかるベルト挟圧力を介して前記無段変速機18が駆動されるように制御できるという利点がある。
【0031】
また、前記ベルト挟圧力算出手段82は、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)よりも常に大きくなるように定められるベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)と、そのベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に前記余裕値C(V,γ)を加算した値とを比較して、何れか大きい方を必要十分なベルト挟圧力として算出するものであるため、例えば入力トルクTINが比較的大きい場合には前記ベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)を、比較的小さい場合には前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に前記余裕値C(V,γ)を加算した値をベルト挟圧力として採用することで、前記ベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)以上の値を保証しつつ、前記無段変速機18の駆動状態に応じた必要十分なベルト挟圧力が算出されるという利点がある。
【0032】
また、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)および基本値Fb(TIN)は、前記無段変速機18への入力トルクTINに応じて定められるものであるため、前記伝動ベルト48と可変プーリ42、46との間で滑りを生じさせないベルト挟圧力の下限値である前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)と、それに応じた前記ベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)とが一元的に定められるという利点がある。
【0033】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに別の態様においても実施される。
【0034】
例えば、前述の実施例では特に言及していないが、走行用の動力源としては、燃料の燃焼によって作動するガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関、あるいは電気エネルギーで作動する電動モータなど、種々の動力源が適宜採用される。
【0035】
また、前記無段変速機18は、有効径が可変の入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、それらの可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトとを有するベルト式無段変速機であったが、例えばトロイダル型無段変速機など、他の型式の無段変速機であってもよく、摩擦力を介して動力伝達を行うと共に摩擦力を制御できる無段変速機であればその種類は問わない。
【0036】
また、前記無段変速機18において、前記伝動ベルト48のベルト挟圧力などの摩擦力の制御は、油圧シリンダなどの油圧制御により行われていたが、電動モータのトルク制御などで摩擦力を制御することも可能で、種々の態様を採用できる。
【0037】
また、前記ベルト挟圧力算出手段82は、前記ベルト挟圧力の基本値Fb(TIN)と、前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に前記余裕値C(V,γ)を加算した値とを随時比較して、何れか大きい方を必要十分なベルト挟圧力として算出するものであったが、例えば入力トルクTINが100Nm以下の範囲においては一律に前記ベルト挟圧力の理論値Ft(TIN)に前記余裕値C(V,γ)を加算した値をベルト挟圧力として採用するものなどであっても構わない。
【0038】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用駆動装置の骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置における無段変速機の制御系統を説明するブロック線図である。
【図3】図2のコントローラが備えている挟圧力制御回路の具体例を示す回路図である。
【図4】図1の無段変速機の変速制御において目標回転速度NAIM を求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。
【図5】図2のコントローラが備えているベルト挟圧力の制御に関する機能を説明するブロック線図である。
【図6】図1の無段変速機の制御に用いられる入力トルクとベルト挟圧力との関係を示すグラフである。
【図7】図2のコントローラに記憶されるV,γ−Cマトリクスの一例を示す表である。
【図8】車両の車速と路面入力トルクの関係の一例を示すグラフである。
【図9】無段変速機の変速比と路面入力トルクの関係の一例を示すグラフである。
【図10】図5の各機能によって実行される信号処理の具体的内容を説明するフローチャートである。
【図11】従来の無段変速機の制御に用いられる入力トルクとベルト挟圧力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
12:エンジン(動力源)
18:無段変速機
24:駆動輪
80:余裕値算出手段
82:ベルト挟圧力算出手段(摩擦力算出手段)
84:ベルト挟圧力制御手段(摩擦力制御手段)
C(V,γ):余裕値
Fb(TIN):ベルト挟圧力の基本値(駆動摩擦力の基本値)
Ft(TIN):ベルト挟圧力の理論値(駆動摩擦力の理論値)
IN:入力トルク
V:車速
γ:変速比

Claims (4)

  1. 車両における走行用の動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に配設され、摩擦力を介して動力伝達を行うと共に該摩擦力を制御できる無段変速機の制御装置であって、
    前記車両の車速および該無段変速機の変速比に基づいて必要十分な駆動摩擦力を算出し、該駆動摩擦力を介して該無段変速機を駆動するように制御することを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  2. 前記駆動摩擦力の理論値に加算するための余裕値を前記車速および変速比に応じて算出する余裕値算出手段と、
    該余裕値算出手段によって算出された該余裕値を用いて前記駆動摩擦力を算出する摩擦力算出手段と、
    該摩擦力算出手段によって算出された該駆動摩擦力を介して前記無段変速機を駆動するように制御する摩擦力制御手段と
    を、有する請求項1の車両用無段変速機の制御装置。
  3. 前記摩擦力算出手段は、前記駆動摩擦力の理論値よりも常に大きくなるように定められる駆動摩擦力の基本値と、該駆動摩擦力の理論値に前記余裕値を加算した値とを比較して、何れか大きい方を駆動摩擦力として算出するものである請求項2の車両用無段変速機の制御装置。
  4. 前記駆動摩擦力の理論値および基本値は、前記無段変速機への入力トルクに応じて定められるものである請求項3の車両用無段変速機の制御装置。
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