JP2004084623A - バルブメカニズム - Google Patents
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Abstract
【課題】左右のバルブの高さのばらつきが少なく、両方バルブのストロークが一定であるエンジンのバブルメカニズムを提供。
【解決手段】シリンダヘッドに立設したガイドピンをロッカーブリッジの脚部に設けたガイド孔に昇降自在に挿入する一方、ロッカーブリッジのアームの先端部分に設けられたシリンダ部の内部に昇降自在に取り付けられたピストンの下面をバルブステム上端面に対向させて該ピストンの上面に油室を形成し、圧油供給手段に接続された油圧ポートをガイドピンの周面に設け、エンジンの運転状態に応答して前記ロッカーブリッジを昇降駆動させ、バルブの開閉駆動を行う際、左右バルブの高さばらつきを調整するた手段がいずれかのシリンダ部に設けられ、該調整手段は、前記シリンダ部に嵌合し内部に前記ピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、前記シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】シリンダヘッドに立設したガイドピンをロッカーブリッジの脚部に設けたガイド孔に昇降自在に挿入する一方、ロッカーブリッジのアームの先端部分に設けられたシリンダ部の内部に昇降自在に取り付けられたピストンの下面をバルブステム上端面に対向させて該ピストンの上面に油室を形成し、圧油供給手段に接続された油圧ポートをガイドピンの周面に設け、エンジンの運転状態に応答して前記ロッカーブリッジを昇降駆動させ、バルブの開閉駆動を行う際、左右バルブの高さばらつきを調整するた手段がいずれかのシリンダ部に設けられ、該調整手段は、前記シリンダ部に嵌合し内部に前記ピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、前記シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッカーブリッジの昇降駆動が良好であるバルブメカニズムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
膨張行程の途中で排気バルブを補助的に開弁させることによりピストンに加わる膨張力を軽減してエンジンブレーキの効きを改善するようにした圧縮開放型ブレーキ、あるいは、吸入行程の途中で排気バルブを一時的に開弁させることにより排気ポートに残留する排気の一部をシリンダ内に戻して燃焼温度を制御するようにした内部EGRはよく知られている。
【0003】
このように排気バルブを補助的に開閉させるために、特開平9−112234号公報には、ロッカーブリッジの昇降駆動を制御するバルブメカニズムにおいて、ロッカーブリッジを昇降駆動させるカムの他、エンジンの運転状態に応じて油圧ポートを圧油供給手段とオイルパンに切換接続する制御弁を設けることにより、制御弁を開閉制御するのみでエンジンの運転状態に応じてバルブの開弁特性を変更することができるメカニズムが開示されている。
【0004】
しかしながら、一般的に部品の寸法差や、シリンダヘッドにロッカーブリッジが組み込まれる際に生じる寸法差等の蓄積により、左右のバルブの高さにばらつきが生じることが多く、このような左右のバルブの高さのばらつきにより、ガイド孔に挿入されているガイドピンの斜め当たりを引き起こし、こじりや摺動摩擦の増大から偏磨耗等が発生した。さらに、ピストンを昇降移動させる際、そのストロークは油圧およびスプリング力等により決定されるため、両者のピストンのストロークが一定しないといった問題もあった。このような問題点により、ロッカーブリッジの良好な昇降駆動が妨げれ、バルブの開閉駆動の精密な制御が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンの運転状態に応じてバルブの開弁特性を変更できるバルブメカニズムにおいて、左右のバルブの高さのばらつきが少なく、両方のバルブのストロークが一定であるバブルメカニズムを提供することを主目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、シリンダヘッドに昇降自在に取り付けたロッカーブリッジを介してバルブを開閉駆動するようにしたエンジンのバルブメカニズムにおいて、シリンダヘッドに立設したガイドピンをロッカーブリッジの脚部に設けたガイド孔に昇降自在に挿入する一方、ロッカーブリッジのアームの先端部分に設けられたシリンダ部の内部に昇降自在に取り付けられたピストンの下面をバルブのステムの上端面に対向させて該ピストンの上面に油室を形成し、圧油供給手段に接続された油圧ポートをガイドピンの周面に設け、ロッカーブリッジの上昇位置において油圧ポートに対向すべくガイド孔の内周面に設けた制御ポートを上記油室に接続するとともに、エンジンの運転状態に応答して油圧ポートを圧油供給手段とオイルパンに切換接続する制御弁を設け、上記ロッカーブリッジを昇降駆動させ、バルブの開閉駆動を行う際、左右のバルブの高さのばらつきを調整するための高さ方向調整手段がいずれかのシリンダ部に設けられ、上記高さ方向調整手段は、上記シリンダ部に嵌合し内部に上記ピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、上記シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有することを特徴とするバルブメカニズムを提供する。
【0007】
本発明においては、部品ごとの寸法差や、ロッカーブリッジがシリンダヘッドに組み込まれた際に生じる寸法の差等により発生する左右のバルブの高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの最上端位置を同じ高さに調節することができる。すなわち、左右のバルブの高さのばらつきは、ガイド孔に昇降自在に挿入されているガイドピンが昇降移動する際に、こじりを生じさせたり、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせる要因であったが、本発明においては、高さ方向調整手段を設けることにより、これらの不都合が解消され、良好なバルブの開閉駆動を可能とするのである。
【0008】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記シリンダ部嵌合手段または上記シリンダ部には、上記ピストンが昇降駆動する際に、その最上端位置と、最下端位置とを決定するストッパーが設けられていることが好ましい。ピストンが昇降駆動する際、その最上端位置と最下端位置とを決定する上部ストッパーおよび下部ストッパーを設けることにより、油圧およびスプリング等により支配されていた左右のピストンのストロークを、両方のピストンで一定とすることができ、さらに、所望のストロークに調整することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエンジンのバルブメカニズムについてその一実施態様を図面を用いて説明する。図1は本発明に係るバルブメカニズムの一実施態様を示す概略断面図である。図2は、本発明におけるロッカブリッジの一例を示す概略断面図である。
【0010】
まず、図1に示すように、エンジンのシリンダヘッド1の上面にガイドピン2を立設し、ロッカーブリッジ3の脚部3aに設けたガイド孔3bにガイドピン2を昇降自在に挿入してロッカーブリッジ3をシリンダヘッド1に昇降自在に取り付ける。そして、ガイドピン2を挟んだ対向位置にそれぞれポペット型の排気バルブ4を取り付けるとともに、脚部3aの上端から図中左右に伸びるアーム3cの先端を排気バルブ4のステム4aの延長線上に臨ませている。
【0011】
アーム3cの先端部分に設けられているシリンダ部5には排気バルブ4のステム4aの上端面に下面を対向させたピストン6を昇降自在に取り付けることにより、ピストン6の上面に油室7を形成している。
【0012】
前記ガイドピン2の上端近傍周面には油圧ポート8を設ける一方、ロッカーブリッジ3が上端位置に保持されているときに油圧ポート8に対向する制御ポート9をガイド孔3bの内周面に設けている。そして、制御ポート9と油室7をロッカーブリッジ3に設けた油路21を介して接続することにより、ロッカーブリッジ3が上端位置に保持されているときは油圧ポート8が制御ポート9および油路21を介して油室7に接続されるようにしている。
【0013】
このような本実施態様におけるバルブメカニズムにおいて、油圧が供給されていない場合、ピストン6は、シリンダ部5の上方に押し上げられている。この際、ピストン6の上端面の高さは、左右のピストン6によってばらつきが生じる場合がある。これは、部品の寸法差や、シリンダヘッド1にロッカーブリッジ3を取り付ける際に生じる寸法差等の蓄積により発生するものである。
【0014】
このようなばらつきは、ガイド孔3bに挿入されているガイドピン2が昇降駆動する際に、こじれ、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせるため、ロッカーブリッジ3の良好な昇降駆動を妨げ、排気バルブ4の開閉駆動において精密な制御を困難とするのである。
【0015】
そこで、本実施態様においては、このようなバルブの高さのばらつきを解消するため、高さ方向調整手段10を設けている。以下、この高さ方向調整手段について説明する。
【0016】
本実施態様における高さ方向調整手段は、少なくとも一方のシリンダ部に設けられており、シリンダ部に嵌合し内部にピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有するものである。
【0017】
このような高さ方向調整手段について図2を用いて具体的に説明する。図2に示すように、左右のピストン6a、6bが最上端に位置する時その上端面の高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段10が一方のシリンダ部5aに設けられている。このような高さ方向調整手段10は、上述した調整固定手段として、アーム3cの上面から油室7にかけて貫通されているアジャストスクリュー10aと、アジャストスクリュー10aをアーム3cの上面に固定するナット10bとを有している。さらに、上述したシリンダ部嵌合手段として、アジャストスクリュー10aの油室7側の先端部分に連結され、シリンダ部5a内に嵌合されている外筒10cを有している。また、外筒10cの内周面には、ピストン6aが昇降する際の最上端位置を決定する上部ストッパー11aが設けられており、一方、高さ方向調整手段10が設けられていないシリンダ部5bにおいても、ピストン6bの最上端位置を決定する上部ストッパー11bが設けられている。
【0018】
このような高さ方向調整手段10においては、アジャストスクリュー10aが上下に移動すると同時に外筒10cも上下に移動するため、左右の上部ストッパー11a、11bの高さを同じ高さに調節することができる。これにより左右のピストン6a、6bが最上端位置にある時の高さのばらつきを解消することができるのである。
【0019】
このような本実施態様における高さ方向調整手段について、シリンダ部嵌合手段および調整固定手段に分けて以下詳細に説明する。
【0020】
まず、シリンダ部嵌合手段としては、シリンダ部に嵌合され、その内部をピストンが昇降自在に駆動できる手段であれば特に限定はされない。具体的には、図2に示すように、円筒状の外筒10cを用いる手段や、または、後述する調整固定手段とシリンダ部嵌合手段とを一体とする場合として、外筒の外周面とシリンダ部の内周面とが、螺合するような外筒を用いる手段等を挙げることができる。その中でも、図2に示すような円筒状の外筒10cを用いる手段であることが好ましい。簡便な方法であり、製造が容易であるからである。
【0021】
さらに、調整固定手段としては、上述したシリンダ部嵌合手段を所望の位置に調節し、固定することが可能な手段であれば特に限定はされない。具体的には、図2に示すように、シリンダ部嵌合手段である外筒10cと接続されているアジャストスクリュー10aと、当該アジャストスクリュー10aを所定の位置で固定するナット10bとの組み合わせや、または上述した外筒の外周面とシリンダ部の内周面とが螺合している部分等を挙げることができる。その中でも、アジャストスクリュー10aとナット10bとの組み合わせであることが好ましい。上述したシリンダ部嵌合手段である円筒状の外筒10cと併せて用いることにより、容易にピストン6a、6bの高さのばらつきを調整し固定することができるからである。
【0022】
このようにシリンダ部嵌合手段と、調整固定手段とを有する本発明における高さ方向調整手段は、少なくとも一方のシリンダ部に設けられていればよい。少なくとも一方のシリンダ部に高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの高さを調整することが可能だからである。
【0023】
さらに、本実施態様においては、図2に示すように、左右のピストン6a、6bが昇降駆動する際のストロークを一定とするために、ピストン6a、6bの最下端位置を決定する下部ストッパー12a,12bが設けられている。下部ストッパー12aは、高さ方向調整手段10の外筒10cの下部に設けられており、下部ストッパー12bは、シリンダ部5bの下部に設けられている。
【0024】
このようにピストンの最上端位置および最下端位置を決定する上部ストッパーおよび下部ストッパーを設けることにより、油圧およびスプリング力等により決定されていたストロークを、両方のストッパーにより規定することができるため、所望のストロークとすることができる。
【0025】
従来、上部ストッパーおよび下部ストッパーが設けられていない場合には、以下のようにしてピストンのストロークは決定されていた。すなわち、カム16が回転してロッカアーム15を図1中反時計回りの方向に揺動させると、ロッカブリッジ3が押し下げられる。これに伴い、ピストン6も下降してステム4aを押し下げようとするが、ピストン6は排気バルブ4の開弁付勢力で上昇位置に保持されようとしている。従って、ロッカブリッジ3の下降ストロークが油圧ポート8と制御ポート9との重なりストローク(以下、コントロールストロークdという。)よりも小さい間は、油室7のオイルは油路21から制御ポート9および油圧ポート8に逆流するため、ロッカブリッジ3の下降に伴ってピストン6が上昇する。しかしながら、ロッカブリッジ3の下降ストロークが制御ポートおよび油圧ポートのコントロールストロークdよりも大きくなると、制御ポート9が閉ざされる。従って、油室7は油密状態となるため、この際のピストン6の位置が最上端位置となる。また、ピストン6の最下端位置も同様の原理により決定される。この場合は、逆にロッカアーム15が図1中時計回りの方向に揺動し、ロッカブリッジ3の上昇ストロークが大きくなると、制御ポート9が閉ざされ、油室7は油密状態となる。この際のピストンの位置が最下端位置となる。
【0026】
このようにピストン6の最上端位置および最下端位置は、コントロールストロークdに応じて変化する油圧により主に決定されていたが、本発明においては、予め、シリンダ部5または高さ方向調整手段10の内部に上部ストッパー11、下部ストッパー12を設けることにより、このような油圧等に左右されることなく、常に同位置で最上端位置および最下端位置を決定することができる。以下、この上部ストッパーおよび下部ストッパーについて説明する。
【0027】
まず、ピストンの最上端位置を決定する上部ストッパーとしては、ピストンの上端面に当接し、それ以上ピストンが押し上げられることを阻止することができるものであれば特に限定はされない。具体的には、高さ方向調整手段に上部ストッパーを設ける場合には、図2に示すように、外筒10cの内周面に外筒10cの径方向内側に張り出すように凸部を形成する場合等を挙げることができる。さらに、シリンダ部に上部ストッパーを設ける場合には、図2に示すようにシリンダ部5bの上方に形成されている油室7の側壁をシリンダ部5bの径方向内側に張り出すように形成する場合や、径方向内側に張り出す凸部をシリンダ部の内周面に設ける場合等を挙げることができる。
【0028】
一方、ピストンの最下端位置を決定する下部ストッパーとしては、ピストンの下端面に当接し、ピストンがそれ以上押し下げられることを阻止することができるものであれば特に限定はされない。図2に示すように、外筒10cまたはシリンダ部5bの下方端部に、径方向内側に張り出す凸部を設ける場合や、ピストン6の内径よりも開口部分の内径が狭いワッシャーを配設する場合等を挙げることができる。
【0029】
また、コントロールストロークdとしては、上述した上部ストッパー11および下部ストッパー12により決定されるピストン6のストロークよりも長く設けられていれば特に限定はされない。コントロールストロークdをピストン6のストロークよりも短くすると、ピストン6が上部ストッパー11または下部ストッパーに当接する以前に、制御ポート9が閉ざされて、油室7が油密状態となり、コントロールストロークdに応じた油圧の変化によりピストン6のストロークが決定されてしまうからである。
【0030】
このような高さ方向調整手段およびストッパーを有するロッカブリッジを用いたバルブメカニズムにおいては、図1に示すように、エンジンの運転にともなって駆動される油圧ポンプ20を圧油供給手段として設け、この油圧ポンプ20の吐出口に制御弁13のポンプポート13aを接続している。制御弁13にはポンプポート13aの他に開放ポート13bおよび出力ポート13cを設けている。そして、開放ポート13bをエンジンのオイルパン14に開放させるとともに、出力ポート13cをガイドピン2に設けた油路22を介して油圧ポート8に接続している。なお、制御弁13は図示しないコントローラの指令により油圧ポート8を油圧ポンプ20の吐出口とオイルパン14に切換接続する。
【0031】
ロッカーブリッジ3の上方に配設したロッカアーム15の一端部下面をロッカーブリッジ3の中央部上面に当接させている。ロッカアーム15の他端先端部にはローラ15aを介してカム16を当接させることにより、エンジンの運転にともなってカム16が回転駆動されると、ロッカアーム15およびロッカーブリッジ3を介してステム4aが押し下げられて排気バルブ4が開かれるようにしている。
【0032】
カム16は、リフト量を発生するノーズ16aを備えている。ノーズ16aにより従来公知の排気行程においてロッカアーム15、ロッカーブリッジ3およびピストン6などを介して排気バルブ4を開弁作動させる。15bはロッカシャフト、17はサクションフィルタ、18は制御弁13に並列に接続した逆止弁、19はエアブリーザであり、油圧ポンプ20の内部あるいは制御弁13より油圧ポンプ20側の油路に図示しないリリーフバルブを設けることにより、制御弁13のポンプポート13aに供給される油圧が所定値を越えないようにしている。
【0033】
上記の構成からなるエンジンのバルブメカニズムにおいて、エンジンの運転にともなって油圧ポンプ20が駆動されると、オイルパン14のオイルが油圧ポンプ20から吐出されて制御弁13のポンプポート13aに供給される。また、エンジンが通常の状態で運転されているときは制御弁13のポンプポート13aが閉じられて出力ポート13cが開放ポート13bに接続されている。従って、油圧ポンプ20から吐出されたオイルは逆止弁18を通って油圧ポート8に供給されるが、制御弁13の出力ポート13cが開放ポート13bに接続されているために、油圧ポンプ20から吐出されたオイルは逆止弁18を通ってオイルパン14に戻されて油室7の圧力は大気圧とほぼ等しくなっている。
【0034】
この状態でカム16が回転してロッカアーム15を図1中反時計回りの方向に揺動させると、ロッカーブリッジ3が押し下げられる。すると、ロッカーブリッジ3とともにピストン6が下降してステム4aを押し下げようとするが、ピストン6は排気バルブ4の開弁付勢力で上昇位置に保持されようとしている。
【0035】
従って、ピストン6が上部ストッパー11に当接する以前は、ロッカーブリッジ3の下降にともなってピストン6が相対的に上昇し、油室7のオイルは油路21から制御ポート9および油圧ポート8に逆流する。そして、ガイドピン2に設けた油路22から制御弁13を通ってオイルがオイルパン14に流出するために、排気バルブ4は閉弁状態に保持される。
【0036】
ロッカアーム15の揺動角度が大きくなってロッカーブリッジ3の下降ストロークが大きくなると、ピストン6は上部ストッパー11に当接し、ロッカーブリッジ3と一体的に下降するために、ロッカーブリッジ3の下降にともなってステム4aが押し下げられて排気バルブ4が開かれる。
【0037】
ところが、図示しないコントローラからの指令により制御弁13が閉弁作動して出力ポート13cがポンプポート13aに接続されているときは、エンジンの運転中は油圧ポンプ20の吐出圧力が油圧ポート8に供給保持されている。従って、この場合は制御ポート9からオイルが流出しないために、ピストンが上部ストッパー11に当接する以前に油室7は油密状態となり、ロッカーブリッジ3の下降当初からピストン6は、ステム4aを押し下げることになり、排気バルブ4はカム16のプロフィールに従って開弁駆動される。
【0038】
また、上記実施態様では排気バルブ4を開閉駆動するバルブメカニズムに本発明を適用しているが、これを吸気バルブのバルブメカニズムに適用してエンジンの運転状態に応答して吸気バルブの開弁時期を最適制御することもできる。さらに、上記実施態様においては油圧ポンプで圧油供給手段を構成しているが、エンジンに装備されているオイルポンプで圧油供給手段を構成することもできる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、部品ごとの寸法差や、ロッカーブリッジがシリンダヘッドに組み込まれた際に生じる寸法の差等により発生する左右のバルブの高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの最上端位置を同じ高さに調節することができる。すなわち、左右のバルブの高さのばらつきは、ガイド孔に昇降自在に挿入されているガイドピンが昇降移動する際に、こじりを生じさせたり、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせる要因であったが、本発明においては、高さ方向調整手段を設けることにより、これらの不都合が解消され、良好なバルブの開閉駆動を可能とするといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブメカニズムの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明におけるロッカーブリッジの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … シリンダヘッド
2 … ガイドピン
3 … ロッカーブリッジ
3a … 脚部
3b … ガイド孔
3c … アーム
4 … 排気バルブ
4a … ステム
5 … シリンダ部
6 … ピストン
7 … 油室
8 … 油圧ポート
9 … 制御ポート
10 … 高さ方向調整手段
11 … 上部ストッパー
12 … 下部ストッパー
13 … 制御弁
14 … オイルパン
20 … 油圧ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッカーブリッジの昇降駆動が良好であるバルブメカニズムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
膨張行程の途中で排気バルブを補助的に開弁させることによりピストンに加わる膨張力を軽減してエンジンブレーキの効きを改善するようにした圧縮開放型ブレーキ、あるいは、吸入行程の途中で排気バルブを一時的に開弁させることにより排気ポートに残留する排気の一部をシリンダ内に戻して燃焼温度を制御するようにした内部EGRはよく知られている。
【0003】
このように排気バルブを補助的に開閉させるために、特開平9−112234号公報には、ロッカーブリッジの昇降駆動を制御するバルブメカニズムにおいて、ロッカーブリッジを昇降駆動させるカムの他、エンジンの運転状態に応じて油圧ポートを圧油供給手段とオイルパンに切換接続する制御弁を設けることにより、制御弁を開閉制御するのみでエンジンの運転状態に応じてバルブの開弁特性を変更することができるメカニズムが開示されている。
【0004】
しかしながら、一般的に部品の寸法差や、シリンダヘッドにロッカーブリッジが組み込まれる際に生じる寸法差等の蓄積により、左右のバルブの高さにばらつきが生じることが多く、このような左右のバルブの高さのばらつきにより、ガイド孔に挿入されているガイドピンの斜め当たりを引き起こし、こじりや摺動摩擦の増大から偏磨耗等が発生した。さらに、ピストンを昇降移動させる際、そのストロークは油圧およびスプリング力等により決定されるため、両者のピストンのストロークが一定しないといった問題もあった。このような問題点により、ロッカーブリッジの良好な昇降駆動が妨げれ、バルブの開閉駆動の精密な制御が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンの運転状態に応じてバルブの開弁特性を変更できるバルブメカニズムにおいて、左右のバルブの高さのばらつきが少なく、両方のバルブのストロークが一定であるバブルメカニズムを提供することを主目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、シリンダヘッドに昇降自在に取り付けたロッカーブリッジを介してバルブを開閉駆動するようにしたエンジンのバルブメカニズムにおいて、シリンダヘッドに立設したガイドピンをロッカーブリッジの脚部に設けたガイド孔に昇降自在に挿入する一方、ロッカーブリッジのアームの先端部分に設けられたシリンダ部の内部に昇降自在に取り付けられたピストンの下面をバルブのステムの上端面に対向させて該ピストンの上面に油室を形成し、圧油供給手段に接続された油圧ポートをガイドピンの周面に設け、ロッカーブリッジの上昇位置において油圧ポートに対向すべくガイド孔の内周面に設けた制御ポートを上記油室に接続するとともに、エンジンの運転状態に応答して油圧ポートを圧油供給手段とオイルパンに切換接続する制御弁を設け、上記ロッカーブリッジを昇降駆動させ、バルブの開閉駆動を行う際、左右のバルブの高さのばらつきを調整するための高さ方向調整手段がいずれかのシリンダ部に設けられ、上記高さ方向調整手段は、上記シリンダ部に嵌合し内部に上記ピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、上記シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有することを特徴とするバルブメカニズムを提供する。
【0007】
本発明においては、部品ごとの寸法差や、ロッカーブリッジがシリンダヘッドに組み込まれた際に生じる寸法の差等により発生する左右のバルブの高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの最上端位置を同じ高さに調節することができる。すなわち、左右のバルブの高さのばらつきは、ガイド孔に昇降自在に挿入されているガイドピンが昇降移動する際に、こじりを生じさせたり、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせる要因であったが、本発明においては、高さ方向調整手段を設けることにより、これらの不都合が解消され、良好なバルブの開閉駆動を可能とするのである。
【0008】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記シリンダ部嵌合手段または上記シリンダ部には、上記ピストンが昇降駆動する際に、その最上端位置と、最下端位置とを決定するストッパーが設けられていることが好ましい。ピストンが昇降駆動する際、その最上端位置と最下端位置とを決定する上部ストッパーおよび下部ストッパーを設けることにより、油圧およびスプリング等により支配されていた左右のピストンのストロークを、両方のピストンで一定とすることができ、さらに、所望のストロークに調整することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエンジンのバルブメカニズムについてその一実施態様を図面を用いて説明する。図1は本発明に係るバルブメカニズムの一実施態様を示す概略断面図である。図2は、本発明におけるロッカブリッジの一例を示す概略断面図である。
【0010】
まず、図1に示すように、エンジンのシリンダヘッド1の上面にガイドピン2を立設し、ロッカーブリッジ3の脚部3aに設けたガイド孔3bにガイドピン2を昇降自在に挿入してロッカーブリッジ3をシリンダヘッド1に昇降自在に取り付ける。そして、ガイドピン2を挟んだ対向位置にそれぞれポペット型の排気バルブ4を取り付けるとともに、脚部3aの上端から図中左右に伸びるアーム3cの先端を排気バルブ4のステム4aの延長線上に臨ませている。
【0011】
アーム3cの先端部分に設けられているシリンダ部5には排気バルブ4のステム4aの上端面に下面を対向させたピストン6を昇降自在に取り付けることにより、ピストン6の上面に油室7を形成している。
【0012】
前記ガイドピン2の上端近傍周面には油圧ポート8を設ける一方、ロッカーブリッジ3が上端位置に保持されているときに油圧ポート8に対向する制御ポート9をガイド孔3bの内周面に設けている。そして、制御ポート9と油室7をロッカーブリッジ3に設けた油路21を介して接続することにより、ロッカーブリッジ3が上端位置に保持されているときは油圧ポート8が制御ポート9および油路21を介して油室7に接続されるようにしている。
【0013】
このような本実施態様におけるバルブメカニズムにおいて、油圧が供給されていない場合、ピストン6は、シリンダ部5の上方に押し上げられている。この際、ピストン6の上端面の高さは、左右のピストン6によってばらつきが生じる場合がある。これは、部品の寸法差や、シリンダヘッド1にロッカーブリッジ3を取り付ける際に生じる寸法差等の蓄積により発生するものである。
【0014】
このようなばらつきは、ガイド孔3bに挿入されているガイドピン2が昇降駆動する際に、こじれ、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせるため、ロッカーブリッジ3の良好な昇降駆動を妨げ、排気バルブ4の開閉駆動において精密な制御を困難とするのである。
【0015】
そこで、本実施態様においては、このようなバルブの高さのばらつきを解消するため、高さ方向調整手段10を設けている。以下、この高さ方向調整手段について説明する。
【0016】
本実施態様における高さ方向調整手段は、少なくとも一方のシリンダ部に設けられており、シリンダ部に嵌合し内部にピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有するものである。
【0017】
このような高さ方向調整手段について図2を用いて具体的に説明する。図2に示すように、左右のピストン6a、6bが最上端に位置する時その上端面の高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段10が一方のシリンダ部5aに設けられている。このような高さ方向調整手段10は、上述した調整固定手段として、アーム3cの上面から油室7にかけて貫通されているアジャストスクリュー10aと、アジャストスクリュー10aをアーム3cの上面に固定するナット10bとを有している。さらに、上述したシリンダ部嵌合手段として、アジャストスクリュー10aの油室7側の先端部分に連結され、シリンダ部5a内に嵌合されている外筒10cを有している。また、外筒10cの内周面には、ピストン6aが昇降する際の最上端位置を決定する上部ストッパー11aが設けられており、一方、高さ方向調整手段10が設けられていないシリンダ部5bにおいても、ピストン6bの最上端位置を決定する上部ストッパー11bが設けられている。
【0018】
このような高さ方向調整手段10においては、アジャストスクリュー10aが上下に移動すると同時に外筒10cも上下に移動するため、左右の上部ストッパー11a、11bの高さを同じ高さに調節することができる。これにより左右のピストン6a、6bが最上端位置にある時の高さのばらつきを解消することができるのである。
【0019】
このような本実施態様における高さ方向調整手段について、シリンダ部嵌合手段および調整固定手段に分けて以下詳細に説明する。
【0020】
まず、シリンダ部嵌合手段としては、シリンダ部に嵌合され、その内部をピストンが昇降自在に駆動できる手段であれば特に限定はされない。具体的には、図2に示すように、円筒状の外筒10cを用いる手段や、または、後述する調整固定手段とシリンダ部嵌合手段とを一体とする場合として、外筒の外周面とシリンダ部の内周面とが、螺合するような外筒を用いる手段等を挙げることができる。その中でも、図2に示すような円筒状の外筒10cを用いる手段であることが好ましい。簡便な方法であり、製造が容易であるからである。
【0021】
さらに、調整固定手段としては、上述したシリンダ部嵌合手段を所望の位置に調節し、固定することが可能な手段であれば特に限定はされない。具体的には、図2に示すように、シリンダ部嵌合手段である外筒10cと接続されているアジャストスクリュー10aと、当該アジャストスクリュー10aを所定の位置で固定するナット10bとの組み合わせや、または上述した外筒の外周面とシリンダ部の内周面とが螺合している部分等を挙げることができる。その中でも、アジャストスクリュー10aとナット10bとの組み合わせであることが好ましい。上述したシリンダ部嵌合手段である円筒状の外筒10cと併せて用いることにより、容易にピストン6a、6bの高さのばらつきを調整し固定することができるからである。
【0022】
このようにシリンダ部嵌合手段と、調整固定手段とを有する本発明における高さ方向調整手段は、少なくとも一方のシリンダ部に設けられていればよい。少なくとも一方のシリンダ部に高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの高さを調整することが可能だからである。
【0023】
さらに、本実施態様においては、図2に示すように、左右のピストン6a、6bが昇降駆動する際のストロークを一定とするために、ピストン6a、6bの最下端位置を決定する下部ストッパー12a,12bが設けられている。下部ストッパー12aは、高さ方向調整手段10の外筒10cの下部に設けられており、下部ストッパー12bは、シリンダ部5bの下部に設けられている。
【0024】
このようにピストンの最上端位置および最下端位置を決定する上部ストッパーおよび下部ストッパーを設けることにより、油圧およびスプリング力等により決定されていたストロークを、両方のストッパーにより規定することができるため、所望のストロークとすることができる。
【0025】
従来、上部ストッパーおよび下部ストッパーが設けられていない場合には、以下のようにしてピストンのストロークは決定されていた。すなわち、カム16が回転してロッカアーム15を図1中反時計回りの方向に揺動させると、ロッカブリッジ3が押し下げられる。これに伴い、ピストン6も下降してステム4aを押し下げようとするが、ピストン6は排気バルブ4の開弁付勢力で上昇位置に保持されようとしている。従って、ロッカブリッジ3の下降ストロークが油圧ポート8と制御ポート9との重なりストローク(以下、コントロールストロークdという。)よりも小さい間は、油室7のオイルは油路21から制御ポート9および油圧ポート8に逆流するため、ロッカブリッジ3の下降に伴ってピストン6が上昇する。しかしながら、ロッカブリッジ3の下降ストロークが制御ポートおよび油圧ポートのコントロールストロークdよりも大きくなると、制御ポート9が閉ざされる。従って、油室7は油密状態となるため、この際のピストン6の位置が最上端位置となる。また、ピストン6の最下端位置も同様の原理により決定される。この場合は、逆にロッカアーム15が図1中時計回りの方向に揺動し、ロッカブリッジ3の上昇ストロークが大きくなると、制御ポート9が閉ざされ、油室7は油密状態となる。この際のピストンの位置が最下端位置となる。
【0026】
このようにピストン6の最上端位置および最下端位置は、コントロールストロークdに応じて変化する油圧により主に決定されていたが、本発明においては、予め、シリンダ部5または高さ方向調整手段10の内部に上部ストッパー11、下部ストッパー12を設けることにより、このような油圧等に左右されることなく、常に同位置で最上端位置および最下端位置を決定することができる。以下、この上部ストッパーおよび下部ストッパーについて説明する。
【0027】
まず、ピストンの最上端位置を決定する上部ストッパーとしては、ピストンの上端面に当接し、それ以上ピストンが押し上げられることを阻止することができるものであれば特に限定はされない。具体的には、高さ方向調整手段に上部ストッパーを設ける場合には、図2に示すように、外筒10cの内周面に外筒10cの径方向内側に張り出すように凸部を形成する場合等を挙げることができる。さらに、シリンダ部に上部ストッパーを設ける場合には、図2に示すようにシリンダ部5bの上方に形成されている油室7の側壁をシリンダ部5bの径方向内側に張り出すように形成する場合や、径方向内側に張り出す凸部をシリンダ部の内周面に設ける場合等を挙げることができる。
【0028】
一方、ピストンの最下端位置を決定する下部ストッパーとしては、ピストンの下端面に当接し、ピストンがそれ以上押し下げられることを阻止することができるものであれば特に限定はされない。図2に示すように、外筒10cまたはシリンダ部5bの下方端部に、径方向内側に張り出す凸部を設ける場合や、ピストン6の内径よりも開口部分の内径が狭いワッシャーを配設する場合等を挙げることができる。
【0029】
また、コントロールストロークdとしては、上述した上部ストッパー11および下部ストッパー12により決定されるピストン6のストロークよりも長く設けられていれば特に限定はされない。コントロールストロークdをピストン6のストロークよりも短くすると、ピストン6が上部ストッパー11または下部ストッパーに当接する以前に、制御ポート9が閉ざされて、油室7が油密状態となり、コントロールストロークdに応じた油圧の変化によりピストン6のストロークが決定されてしまうからである。
【0030】
このような高さ方向調整手段およびストッパーを有するロッカブリッジを用いたバルブメカニズムにおいては、図1に示すように、エンジンの運転にともなって駆動される油圧ポンプ20を圧油供給手段として設け、この油圧ポンプ20の吐出口に制御弁13のポンプポート13aを接続している。制御弁13にはポンプポート13aの他に開放ポート13bおよび出力ポート13cを設けている。そして、開放ポート13bをエンジンのオイルパン14に開放させるとともに、出力ポート13cをガイドピン2に設けた油路22を介して油圧ポート8に接続している。なお、制御弁13は図示しないコントローラの指令により油圧ポート8を油圧ポンプ20の吐出口とオイルパン14に切換接続する。
【0031】
ロッカーブリッジ3の上方に配設したロッカアーム15の一端部下面をロッカーブリッジ3の中央部上面に当接させている。ロッカアーム15の他端先端部にはローラ15aを介してカム16を当接させることにより、エンジンの運転にともなってカム16が回転駆動されると、ロッカアーム15およびロッカーブリッジ3を介してステム4aが押し下げられて排気バルブ4が開かれるようにしている。
【0032】
カム16は、リフト量を発生するノーズ16aを備えている。ノーズ16aにより従来公知の排気行程においてロッカアーム15、ロッカーブリッジ3およびピストン6などを介して排気バルブ4を開弁作動させる。15bはロッカシャフト、17はサクションフィルタ、18は制御弁13に並列に接続した逆止弁、19はエアブリーザであり、油圧ポンプ20の内部あるいは制御弁13より油圧ポンプ20側の油路に図示しないリリーフバルブを設けることにより、制御弁13のポンプポート13aに供給される油圧が所定値を越えないようにしている。
【0033】
上記の構成からなるエンジンのバルブメカニズムにおいて、エンジンの運転にともなって油圧ポンプ20が駆動されると、オイルパン14のオイルが油圧ポンプ20から吐出されて制御弁13のポンプポート13aに供給される。また、エンジンが通常の状態で運転されているときは制御弁13のポンプポート13aが閉じられて出力ポート13cが開放ポート13bに接続されている。従って、油圧ポンプ20から吐出されたオイルは逆止弁18を通って油圧ポート8に供給されるが、制御弁13の出力ポート13cが開放ポート13bに接続されているために、油圧ポンプ20から吐出されたオイルは逆止弁18を通ってオイルパン14に戻されて油室7の圧力は大気圧とほぼ等しくなっている。
【0034】
この状態でカム16が回転してロッカアーム15を図1中反時計回りの方向に揺動させると、ロッカーブリッジ3が押し下げられる。すると、ロッカーブリッジ3とともにピストン6が下降してステム4aを押し下げようとするが、ピストン6は排気バルブ4の開弁付勢力で上昇位置に保持されようとしている。
【0035】
従って、ピストン6が上部ストッパー11に当接する以前は、ロッカーブリッジ3の下降にともなってピストン6が相対的に上昇し、油室7のオイルは油路21から制御ポート9および油圧ポート8に逆流する。そして、ガイドピン2に設けた油路22から制御弁13を通ってオイルがオイルパン14に流出するために、排気バルブ4は閉弁状態に保持される。
【0036】
ロッカアーム15の揺動角度が大きくなってロッカーブリッジ3の下降ストロークが大きくなると、ピストン6は上部ストッパー11に当接し、ロッカーブリッジ3と一体的に下降するために、ロッカーブリッジ3の下降にともなってステム4aが押し下げられて排気バルブ4が開かれる。
【0037】
ところが、図示しないコントローラからの指令により制御弁13が閉弁作動して出力ポート13cがポンプポート13aに接続されているときは、エンジンの運転中は油圧ポンプ20の吐出圧力が油圧ポート8に供給保持されている。従って、この場合は制御ポート9からオイルが流出しないために、ピストンが上部ストッパー11に当接する以前に油室7は油密状態となり、ロッカーブリッジ3の下降当初からピストン6は、ステム4aを押し下げることになり、排気バルブ4はカム16のプロフィールに従って開弁駆動される。
【0038】
また、上記実施態様では排気バルブ4を開閉駆動するバルブメカニズムに本発明を適用しているが、これを吸気バルブのバルブメカニズムに適用してエンジンの運転状態に応答して吸気バルブの開弁時期を最適制御することもできる。さらに、上記実施態様においては油圧ポンプで圧油供給手段を構成しているが、エンジンに装備されているオイルポンプで圧油供給手段を構成することもできる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、部品ごとの寸法差や、ロッカーブリッジがシリンダヘッドに組み込まれた際に生じる寸法の差等により発生する左右のバルブの高さのばらつきを調整する高さ方向調整手段を設けることにより、両方のバルブの最上端位置を同じ高さに調節することができる。すなわち、左右のバルブの高さのばらつきは、ガイド孔に昇降自在に挿入されているガイドピンが昇降移動する際に、こじりを生じさせたり、摺動摩擦の増大、偏磨耗といった不都合を生じさせる要因であったが、本発明においては、高さ方向調整手段を設けることにより、これらの不都合が解消され、良好なバルブの開閉駆動を可能とするといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブメカニズムの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明におけるロッカーブリッジの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … シリンダヘッド
2 … ガイドピン
3 … ロッカーブリッジ
3a … 脚部
3b … ガイド孔
3c … アーム
4 … 排気バルブ
4a … ステム
5 … シリンダ部
6 … ピストン
7 … 油室
8 … 油圧ポート
9 … 制御ポート
10 … 高さ方向調整手段
11 … 上部ストッパー
12 … 下部ストッパー
13 … 制御弁
14 … オイルパン
20 … 油圧ポンプ
Claims (2)
- シリンダヘッドに昇降自在に取り付けたロッカーブリッジを介してバルブを開閉駆動するようにしたエンジンのバルブメカニズムにおいて、シリンダヘッドに立設したガイドピンをロッカーブリッジの脚部に設けたガイド孔に昇降自在に挿入する一方、ロッカーブリッジのアームの先端部分に設けられたシリンダ部の内部に昇降自在に取り付けられたピストンの下面をバルブのステムの上端面に対向させて該ピストンの上面に油室を形成し、圧油供給手段に接続された油圧ポートをガイドピンの周面に設け、ロッカーブリッジの上昇位置において油圧ポートに対向すべくガイド孔の内周面に設けた制御ポートを前記油室に接続するとともに、エンジンの運転状態に応答して油圧ポートを圧油供給手段とオイルパンに切換接続する制御弁を設け、
前記ロッカーブリッジを昇降駆動させ、バルブの開閉駆動を行う際、左右のバルブの高さのばらつきを調整するための高さ方向調整手段がいずれかのシリンダ部に設けられ、前記高さ方向調整手段は、前記シリンダ部に嵌合し内部に前記ピストンが昇降自在に取り付けられるシリンダ部嵌合手段と、前記シリンダ部嵌合手段を所定の高さに調整し固定する調整固定手段とを有することを特徴とするバルブメカニズム。 - 前記シリンダ部嵌合手段または前記シリンダ部には、前記ピストンが昇降駆動する際に、その最上端位置と、最下端位置とを決定するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバルブメカニズム。
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Cited By (1)
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CN103688028A (zh) * | 2011-07-22 | 2014-03-26 | 雷诺卡车公司 | 阀致动机构和包括这种阀致动机构的机动车辆 |
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2002
- 2002-08-28 JP JP2002249648A patent/JP2004084623A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN103688028B (zh) * | 2011-07-22 | 2016-10-19 | 沃尔沃卡车集团 | 阀致动机构和包括这种阀致动机构的机动车辆 |
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