JP2004084226A - 鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法 - Google Patents
鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】鉄筋籠などの主筋(棒状筋)と補強用の帯状板との交差部を強固、確実に固定可能な鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋固定用金具を用いた剛性が高く品質が安定した鉄筋籠、および経済性に優れた鉄筋籠の建込方法を提供すること。
【解決手段】一実施の形態に係る鉄筋固定用金具10は、平面視U形の棒状筋把持部13と、U形の直線部16のそれぞれの端部17からU形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げらて形成された、ねじ孔板12を支持するJ形またはU形のねじ孔板支持部14とを備えた棒状体11と、棒状筋と帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のねじ孔12を備えたねじ孔板12とを備えている。また、鉄筋籠は、棒状筋と帯状板との交差部が本発明に係る鉄筋固定用金具10等によって固定されたものである。
【選択図】図2
【解決手段】一実施の形態に係る鉄筋固定用金具10は、平面視U形の棒状筋把持部13と、U形の直線部16のそれぞれの端部17からU形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げらて形成された、ねじ孔板12を支持するJ形またはU形のねじ孔板支持部14とを備えた棒状体11と、棒状筋と帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のねじ孔12を備えたねじ孔板12とを備えている。また、鉄筋籠は、棒状筋と帯状板との交差部が本発明に係る鉄筋固定用金具10等によって固定されたものである。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートで構築される場所打ち杭や地中連続壁などの構造体の補強に用いられる鉄筋籠の組み立て用の鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋固定用金具により鉄筋の交差部が固定された鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法に関し、さらに詳しくは、特に鉄筋籠補強用の帯状板と棒状筋との交差部の固定に好適な鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋固定用金具を用いた鉄筋籠および鉄筋固定用金具の繰り返し使用を行うための鉄筋籠の建込方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートで構築される場所打ち杭や地中連続壁には、コンクリート構造体の補強を行うために、多数の鉄筋を格子状に組み合わせることにより、円筒状に形成された鉄筋籠と呼ばれる組立体が用いられる。
【0003】
図12は、従来の鉄筋籠の構造の1例を示す全体図である。図12に示されているように、鉄筋籠100は、通常、円周上の中心軸方向に配列された多数の主筋101と、主筋101にほぼ直交する多数のフープ筋102とを含んで構成されており、主筋101とフープ筋102との交差部は、鉄線結束、溶接等により接合されている。この鉄筋籠100は、大きさが大きいものが多く、直径が0.6mないし数m、長さが1籠当たり12mにも及ぶものもあり、また、主筋101の径は一般に19〜35mm程度はある。そのために、重量が極めて重くなる場合がある。
【0004】
このように鉄筋籠100は全体の重量が重いため、例えば場所打ち杭に用いられる場合には、鉄筋籠100の建込み場所の近くに組立に必要な場所が確保できる時には、建込み場所の近くで組み立てを行い、建込み場所まで搬送し、吊り上げて掘削孔に建込むという作業方法が採られている。一方、組立に必要な場所が確保できない場合には、別の場所で組立を行い建込み場所まで搬送して、建込む方法が採られる。このような組立、搬送、建込みの過程で、鉄筋籠100の剛性が十分でない場合には、搬送や吊り上げの際に、鉄筋籠100が少しの衝撃を受けても型くずれを起こす。したがって、鉄筋籠100の剛性を高める対策が採られており、図12に示されているように、補強部材104、105により補強する方法が採られている。
【0005】
このような補強部材104、105を用いない方法も提案されており、主筋101とフープ筋102との交差部の溶接部を特殊な金具を用いて強化する方法(例えば、特開平7−62650号公報)などがある。
【0006】
上記のような補強方法のほかに、帯状板による補強方法がある。
図13は、従来の帯状板により補強された鉄筋籠を示す要部拡大斜視図である。図13に示されているように、帯状板103は、鉄筋籠100の内側から主筋101に接し、主筋101との交差部で主筋101と固定されている。なお、通常、帯状板103同士の間隔は約2〜3m毎に用いられている。補強に帯状板103が用いられる場合、鉄筋籠100の内側から主筋101に固定されるのは、そのような形態が、鉄筋籠100の剛性の向上にもっとも効果的なためである。
【0007】
上記の主筋101とフープ筋102との交差部、主筋101と帯状板103との交差部は、いずれも溶接により接合することが可能である。しかし、工事現場における溶接による接合は、季節や天候による溶接の強度のばらつき、溶接技術者の熟練度によるばらつきなどを含む恐れがあり、鉄筋籠100の剛性にばらつきが出る可能性が高い。また、年月の経過とともに溶接部の強度低下が起こりやすいことも指摘されている。
【0008】
したがって、交差部の接合、固定の信頼性を高めるために、溶接の代わりに、作業によるばらつきの少ない鉄筋固定用金具108を用いる鉄筋籠の組立方法も採用されている。特に、補強材である帯状板103と主筋101との交差部に鉄筋固定用金具を用いることが効果的とされている。
【0009】
図14は、本発明者が発明し、特開2002−106113号公報に開示された、主筋101と帯状板(補強リング)103とを、簡単な作業で確実に固定することができる接合治具(鉄筋固定用金具)108を示す斜視図である。この鉄筋固定用金具108は、図14に示されているように、「板状体(109)がU字状に折り返され、左、右側片がを形成されたものであって、U字状折曲部が主筋挿入部となり、この主筋挿入部の長さ方向中間部より端部にかけてさらに左、右側片が延設されて突片(110)が形成され、この突片(110)の延設一側縁より補強材(帯状板103)挿入用の切欠111が設けられ、前記主筋挿入部に固定用ボルト(112)が枢着される」ものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の鉄筋固定用金具108は、主筋101と帯状板(補強材、補強リング)103との交差部を確実に固定することが可能であり、鉄筋籠100を効果的に補強できるという優れた性能を有している。ただし、図14に示されている形状からも明らかなように、固定用ボルト112の頭部が鉄筋籠100の外側に位置するので、コンクリートの補強材としてコンクリート構造体に埋め込まれた状態では、固定用ボルト112の頭部のコンクリートの肉厚が他の部分より薄くなることもあった。したがって、固定用ボルト112の長さを極力短くするという対策が必要であった。また、固定用ボルト112の先端部で主筋101を締め付ける構造であるため、固定用ボルト112の先端部と主筋101との接触が線状となり、必ずしも強固な固定にならない場合があり、さらには固定用ボルト112により主筋101を損傷させる恐れがあった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、鉄筋籠などの主筋(以下、「棒状筋」と記す)と補強用の帯状板との交差部を、強固、確実に固定可能で、主筋を傷付けることがなく、鉄筋籠の外側にボルトの頭部が位置することがない鉄筋固定用金具を提供すること、鉄筋籠などを建込む際に鉄筋籠と掘削孔の内壁との間隔を所定の値に調節することが容易なスぺーサとスぺーサ付の鉄筋固定用金具を提供すること、これらの鉄筋固定用金具を用いて組み立てられた剛性が高く品質が安定した鉄筋籠を提供すること、および経済性に優れた鉄筋籠の建込方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(1)は、平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形の直線部のそれぞれの端部から該U形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された、前記ねじ孔板を支持するJ形またはU形のねじ孔板支持部とを備えた棒状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のねじ孔を備えたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(1)によれば、棒状筋と帯状板との交差部が固定される際に、鉄筋固定用金具の本体部である棒状体が、棒状筋を把持するように棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込まれ、鉄筋固定用金具のねじ孔板支持部が帯状板の内側(リング形の中心側)に位置するようにセットされる。その後、ねじ孔板支持部に、ねじ孔板がセットされ、ボルトを用いて帯状板と棒状筋とを締め付けることによって、交差部が固定される。
【0013】
したがって、ボルトの頭部がリング状の帯状板の内側に位置し、リングの外側に出ることがないので、鉄筋固定用金具が鉄筋籠などに用いられ、鉄筋籠で補強されたコンクリート構造体が構築された場合に、ボルトの頭部に起因するコンクリートの薄肉部が生じることがない。また、ボルトのねじ形成部の先端の「面」で帯状板を棒状筋に対して押し付けることになるので、高い固定力を得ることができる。さらに、鉄筋籠などの組み立ての際の補強用の帯状板の固定に用いられた鉄筋固定用金具を、鉄筋籠などの建込時に取り外し、繰り返し使用することが可能であるので、経済性に優れているという効果が得られる。
【0014】
なお、上記のボルトの頭部がリング状の帯状板の内側に位置するようにセットされること、ボルトのねじ形成部の先端の「面」で固定することができること、鉄筋固定用金具を繰り返し使用することができることという効果は、以下の鉄筋固定用金具(2)〜(7)のすべてに共通する効果である。
【0015】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(2)は、平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から該J形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された、前記ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部とを備えた棒状体と、前記ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部の内側に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されたねじ孔部材とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(2)によれば、鉄筋固定用金具(1)が有する効果に加えて、構造が簡素であるので安価であるという利点がある。また、予めねじ孔部材にボルトを装着しておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れている。さらに、鉄筋固定用金具を繰り返し使用するために、鉄筋籠などから取り外した際の取り扱い性にも優れている。
【0016】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(3)は、平面視J形の棒状筋把持部と、該J形の直線部において前記J形を含む面に対して垂直方向に延びる前記ねじ孔部材支持部とを含む板状体と、前記ねじ孔部材支持部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されたねじ孔部材とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(3)によれば、上記の鉄筋固定用金具(2)が有する効果に加えて、平面視J形部が板状体によって構成されているので、強度の高い鉄筋固定用金具を得ることができる。
【0017】
また、本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(4)は、平面視J形の棒状筋把持部J形部およびねじ孔形成部が一体的に成形された板状体を含んで構成され、該板状体に設けられた前記ねじ孔形成部が、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角に前記J形の内側に向けて折り曲げられて形成され、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのねじ孔が、前記ねじ孔形成部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて設けられていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(4)によれば、構造が簡素であり部品数が少ないので、安価な鉄筋固定用金具を得ることができる。また、上記の鉄筋固定用金具(2)および(3)の場合と同様に、予めねじ孔にボルトを装着しておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れているという利点がある。
【0018】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(5)は、平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角にJ形の内側に向けて折り曲げられて形成され、かつ前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのボルトの貫通孔を備えた前記ねじ孔板支持部とを備え、前記棒状筋把持部および前記ねじ孔板支持部とが一体的に成形された板状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(5)によれば、前記の鉄筋固定用金具(4)に比べるとねじ孔板が多くなるが、棒状筋と帯状板との交差部を強固に固定することができるという効果が得られる。
【0019】
また、本発明に係る棒状筋と帯状筋との交差部を固定する鉄筋固定用金具(6)は、平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形のそれぞれの直線部において、該U形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びる延長部によって構成された2つのねじ孔板支持部とを含む板状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるための前記ボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(6)によれば、板状体で形成された2つのねじ孔板支持部をねじ孔板を支持するので、強固かつ確実に棒状筋と帯状筋との交差部を固定することができるという効果が得られる。
【0020】
また、本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(7)は、上記鉄筋固定用金具(5)において、前記ねじ孔板が、前記板状体の前記ねじ孔板支持部に、予め固定されていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(7)によれば、板状体とねじ孔板、ボルトなどを予めセットにしておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れているという利点がある。また、繰り返し使用するために、鉄筋籠などから取り外した際の取り扱い性ににも優れている。
【0021】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(8)は、上記鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかにおいて、頭部が前記棒状筋把持部の外方に位置し、前記J形またはU形の軸方向に進退可能なスぺーサが固設されていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(8)によれば、例えば鉄筋籠に用いることにより、鉄筋籠を掘削孔に建込む際に、掘削孔の内壁(通常ケーシングが用いられる)と鉄筋籠の外周部との間隔を、スぺーサの頭部を進退させることによって所定の距離に調節することができる。掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、全周にわたって一定に設定することができる。
【0022】
本発明に係る鉄筋籠用スぺーサ(1)は、板状体で形成された頭部と、板状体で形成され、長さ方向の一端側が前記頭部の内側に接合された軸部とを含んで構成され、該軸部の長さ方向に直角な面における断面形状がL形またはコ形であり、前記軸部の1面に、長さ方向にほぼ直角な1辺を残して3辺が打ち抜かれた2本のコ形打ち抜き部を備え、前記2本のコ形打ち抜き部のコ形が相互に逆向きであることを特徴としている。
【0023】
本発明に係る鉄筋籠用スぺーサ(1)によれば、スぺーサの頭部先端と鉄筋籠との間隔を調節することができる範囲が広いので、スぺーサの適用範囲がひろい。また、棒状筋やフープ筋との接合を容易かつ確実に行うことができる。
【0024】
本発明に係る鉄筋籠(1)は、中心軸の周囲に該中心軸方向とほぼ平行に配列されたの複数の棒状筋と、前記中心軸とほぼ直交する円周方向に配置され、前記複数の棒状筋と交差部を有する複数のフープ筋とを含んで構成された鉄筋籠であって、前記棒状筋の内側に設けられ、これら棒状筋と交差部を有する補強用の帯状板を備え、前記棒状筋と前記フープ筋との交差部が、溶接またはクリップ金具で固定され、前記棒状筋と前記帯状板との交差部が、上記鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかの鉄筋固定用金具によって締め付けられていることを特徴としている。
【0025】
上記の鉄筋籠(1)によれば、補強筋である帯状板が、上記の鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかによって、主筋である棒状筋に対して締め付けられているので、棒状筋と帯状板との交差部が強固に固定されている。したがって、帯状板による鉄筋籠などの補強効果が極めて高いので、剛性の高い組立体を得ることができる。また、締め付け用のボルトが鉄筋籠などの内側に位置するので、固定用のボルトの頭部が鉄筋籠などの外周部より外側に出ることがない。そのために、鉄筋籠などを補強体としてコンクリート構造体を構築した際に、構造体の表面と鉄筋籠との間に、固定用ボルトに起因する薄肉部が生じる恐れがない。
【0026】
また、本発明に係る鉄筋籠(2)は、前記棒状筋と前記帯状板との交差部のうち、1周につき少なくとも4箇所が、上記(8)のスぺーサ付の鉄筋固定用金具によって固定されていることを特徴としている。
上記の鉄筋籠(2)によれば、スぺーサ付きの鉄筋固定用金具が用いられているので、掘削孔に鉄筋籠を建て込んだ場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定した距離に正確に合わせることができる。また、スぺーサの頭部が進退可能であるので、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を任意に選択することができる。
【0027】
本発明に係る鉄筋籠の建込方法は、上記鉄筋籠(10)または(11)を掘削孔へ建込む際に、前記棒状筋と前記帯状板とを固定している前記鉄筋固定用金具のうちの少なくとも一部を取り外し回収した後、前記鉄筋籠を前記掘削孔に挿入することを特徴としている。
上記の鉄筋籠の建込方法によれば、鉄筋固定用金具を繰り返し使用することができるので、鉄筋籠の組み立てコストを削減することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鉄筋固定用金具、鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法に係る実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態1に係る鉄筋固定用金具によって鉄筋と補強部材との交差部を固定する態様を説明するための斜視図であり、(a)は鉄筋固定用金具の本体部が棒状筋と帯状板に嵌め込まれ、ボルト付きのねじ孔板が装着される前の状態、(b)はねじ孔板が装着された後、棒状筋と帯状板との交差部がボルトにより締め付けられ固定された状態を示す図である。
【0029】
図1に示されているように、固定する対象となる鉄筋は、棒状筋1とリング形(図1には固定部近傍のみを図示)の帯状板2であり、両者がほぼ直交する交差部3が、例えば鉄筋固定用金具10により固定される。
【0030】
はじめに、図1(a)に示されているように、鉄筋固定用金具10の本体部である棒状体11が、棒状筋1を把持するように交差部3に嵌め込まれる。その場合、鉄筋固定用金具10のねじ孔板支持部14が帯状板2の内側(リング形の中心側)に位置するようにセットされる。次に、ねじ孔板支持部14に、予めねじ孔6にボルト5が装着されたねじ孔板12がセットされ、その後、ボルト5を用いて帯状板2と棒状筋1とを締め付けることによって、交差部3が固定される(図1(b))。
【0031】
このような固定方法であるので、ボルト5の頭部は、リング状の帯状板2の内側に位置し、リングの外側に出ることがない。また、ボルト5のねじ形成部の先端、すなわち先端部の「面」で帯状板2を棒状筋1に対して押し付けることになるので、高い固定力を得ることができ、さらにはボルト5により、棒状筋1が損傷を受けることがない。
【0032】
なお、ボルト5は必ずしも予めねじ孔板12に装着されている必要はないが、作業性の観点からは、上記のように、ボルト5が予めねじ孔板12に装着されている方がよい。
【0033】
ねじ孔板12のねじ孔6の位置は、2つのねじ孔板支持部14、14に対応するいずれか一方に片寄った位置に設けられていることが望ましい。そのような位置とすることによって、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長い側(例えば図面右側)を先に保持部18(図面右側)に挿入し、短い側を左側に戻すようにして、もう一方の保持部18に挿入するという使い方をすることができる。
【0034】
上記のような効果を得ることができる実施の形態に係る鉄筋固定用金具を、さらに具体的に説明する。以下に示す鉄筋固定用金具には、上記の鉄筋固定用金具10とやや態様が相違するものもあるが、棒状筋1と帯状板2とを固定する形態は、上記の鉄筋固定用金具10の場合とほぼ同様である。なお、以下の説明に用いる図では、棒状筋1、帯状板2の図示を省略する。
【0035】
図2は、実施の形態1に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
実施の形態1に係る鉄筋固定用金具10は、棒状体11とねじ孔板12とを含んで構成されている。棒状体11は、棒鋼などで一体的に成形されたものであり、平面視U形の形状部を含んでいる。そして、U形の底部の丸形部、すなわち湾曲部15の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、U形の直線部16のそれぞれの端部17から、U形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられた部分により、ねじ孔板支持部14が形成されている。
【0036】
上記のねじ孔板支持部14には、ねじ孔板12が落下しにくいようにねじ孔板12を保持する保持部18が設けられている。この保持部18は、直線部16の方向に曲げ加工されて形成されたU形またはJ形もしくはL形(以下、J形とL形を合わせてJ形と記す)の形状を有している。そして、ねじ孔板支持部14は、ねじ孔板12のねじ孔6にボルト5が螺合され、ボルト5により棒状筋1と帯状板2の交差部3が締め付けられる際に、ねじ孔板12を支持し、ボルト5に押力を発生させる働きをする。
【0037】
ねじ孔板支持部14は、上記のようにボルト5に押力を発生させるねじ孔板12を支持する必要があるために、押力を生じさせることができるだけの強度が要求される。したがって、図2に示されているように、保持部18における棒状体11の少なくとも一方の端部は、棒状体11の直線部16と突き合わされ、溶接等により接合部19で接合されていることが望ましい。
【0038】
ねじ孔板12の大きさは、ねじ孔板12の保持部18に挿入可能な幅と厚さであり、かつ保持部18、18で保持することができる長さとする。
ねじ孔板12のねじ孔6の位置は、先に図1により説明したように、2つのねじ孔板保持部18、18に対応するいずれか一方に片寄った位置に設けられていることが望ましい。そのような位置とすることによって、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長い側(例えば図面右側)を先に保持部18(図面右側)に挿入し、短い側を左側に戻すようにして、もう一方の保持部18に挿入するという使い方をすることができる。また、このような固定用金具10を鉄筋籠などの組立に用いる場合、通常鉄筋籠は横倒しされた状態で組み立てられるので、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長さが短い方を下側になるような使い方をすると、ねじ孔板12が保持部18から外れにくいという長所がある。
【0039】
なお、上記のねじ孔板12の保持部18は、厳密なU形、J形である必要はなく、U形、J形に相当する形状であればよい。例えば、U形、J形のコーナー部が角形であってもよく、J形がL形であってもよい。
【0040】
図3は、実施の形態2に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態2に係る鉄筋固定用金具20は、ねじ孔部材22と、棒状筋把持部13およびねじ孔部材支持部23とが一体的に成形された棒状体21とを含んで構成されている。また、棒状体21は、棒鋼などで一体的に形成されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部24の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、J形の直線部25の端部26から、J形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された部分が、ねじ孔部材支持部23である。
【0041】
ねじ孔部材支持部23には、棒状体21が、直線部25に対してほぼ直角方向に曲げ加工されて形成されたJ形部、U形部またはO形部が設けられており、このU形部やO形部の内側に、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて、ナットなどのねじ孔6を有するねじ孔部材22が接合されている。このねじ孔部材22にボルト5を螺合して締め付けることにより、棒状筋1と帯状板2との交差部3を固定する。
【0042】
ここで、ねじ孔部材22は、上記のようにU形部またはO形部の内側に配置され、ねじ孔部材22の外周面と棒状体21とが溶接などにより接合されている。このような接合方法を採ることによって、棒状体21とねじ孔部材22とを強固に接合することができ、かつ接合強度のばらつきが少ない接合を行うことができる。
【0043】
図4は、実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態3に係る鉄筋固定用金具30は、ねじ孔部材32と、棒状筋把持部13およびねじ孔部材支持部33とが一体的に成形された板状体31とを含んで構成されている。
【0044】
また、板状体31は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、J形の直線部35の端部側に、J形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びた板状体延長部により、ねじ孔部材支持部33が形成されている。このねじ孔部材支持部33に、ねじ孔6を有するねじ孔部材32が、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて接合されている。
【0045】
ねじ孔部材32には、ナットなどを用いるのがよく、ねじ孔部材支持部33への接合は、溶接がもっとも適している。このねじ孔部材32にボルト5を螺合して締め付けることにより、棒状筋1と帯状板2との交差部2を固定する。
【0046】
図5は、実施の形態4に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態4に係る鉄筋固定用金具40は、ねじ孔形成部42と、棒状筋把持部13とが一体的に成形された板状体41を含んで構成されている。
【0047】
板状体41は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13である。また、ねじ孔形成部42は、J形の直線部35の端部43から、板面に対してほぼ直角に、J形の内側に向けて折り曲げることによって形成されている。このねじ孔形成部42に、ねじ孔6が、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて形成されている。
【0048】
なお、実施の形態4に係る鉄筋固定用金具40の場合には、板状体41のねじ孔形成部41に直接ねじ孔6が形成される。したがって、ねじ孔6のねじ山の強度を確保する観点から、板状体41を構成する板材の厚さは厚い方が望ましい。
【0049】
図6は、実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態5に係る鉄筋固定用金具50は、ねじ孔板52と、棒状筋把持部13およびねじ孔板支持部54とが一体的に成形された板状体51とを含んで構成されている。
【0050】
板状体51は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13である。また、ねじ孔板支持部54は、J形の直線部35の端部43から、板面に対してほぼ直角に、J形の内側に向けて折り曲げることによって形成されている。このねじ孔板支持部54には、ボルト5のねじ部の径より大きい内径の貫通孔55が設けられ、ねじ孔板52には、ボルト5が螺合されるねじ孔6が設けられている。
【0051】
ここで、ねじ孔板支持部54は、ねじ孔板52のねじ孔6にボルト5が螺合され、ボルト5により棒状筋1と帯状板2の交差部3が締め付けられる際に、ねじ孔板52を支持し、ボルト5に押力を発生させる働きをする。なお、ねじ孔板52の大きさは、ねじ孔板支持部54の貫通孔55を通して、ボルト5をねじ孔板52のねじ孔6にねじ込む際に、ねじ孔板52が空回りしない大きさ、すなわち、ねじ孔板52の端部の一部が板状体51の直線部35に接触する大きさとするのが望ましい。
【0052】
実施の形態5に係る鉄筋固定用金具50は、板状体51を構成する鋼板等の肉厚が薄く、ねじ孔6を形成するのに十分な厚みが確保できない場合に特に好適である。
【0053】
図7は、実施の形態6に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)はねじ孔板支持部の別の態様を示す図および(c)はねじ孔板の別の態様を示す図である。
図7(a)〜(c)に示されているように、実施の形態6に係る鉄筋固定用金具60は、ねじ孔板62と、棒状筋把持部13およびねじ孔板支持部64とが一体的に成形された板状体61とを含んで構成されている。
【0054】
上記の板状体61は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視U形の形状を有している。板状体61には、平面視U形のそれぞれの直線部66において、U形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びる延長部によって、2つのねじ孔板支持部64、64が形成されている。使用時には、ねじ孔板支持部64の端部64aにねじ孔板62が位置するようになる。したがって、端部64aとU形凹部内側との間の距離は、棒状筋1の直径と帯状筋2の厚さとねじ孔板62の厚さとを加えた長さ以上とする必要がある。
【0055】
図7(b)に示す鉄筋固定用金具60は、2つのねじ孔板支持部64、64のそれぞれに、ねじ孔板保持部68が設けられたタイプである。図7(b)に示したねじ孔板保持部68は、長方形形の穴形であるが、棒状筋把持部13側が開口したコ形であってもよい。また、2つのねじ孔板支持部64、64に同形のねじ孔板保持部68を設ける必要はなく、一方は長方形、他方はコ形という組み合わせでもよい。上記のようなねじ孔板保持部68を設けることにより、ねじ孔板62が落下しないように保持することができるとともに、ボルト5による締め込み時にねじ孔板62が空回りすることを防止することができる。
【0056】
図7(b)に示した鉄筋固定用金具60に用いるねじ孔板62の大きさは、ねじ孔板保持部68に挿入可能な幅と厚さであり、かつ2つのねじ孔板支持部64、64で支持することができる長さとする。
【0057】
図7(c)に示したねじ孔板62は、一端側にL形部が設けられている。このねじ孔板を図7(a)に示した鉄筋固定用金具60に適用されると、締め込み時にねじ孔板62が空回りするのを防止することができる。
【0058】
図8は、別の実施の形態に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、前述の実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の別の実施の形態を示す図である。
図8に示した鉄筋固定用金具50aは、実施の形態5として示した鉄筋固定用金具50が予め組み立てられたもので、板状体51のねじ孔板支持部54に、ねじ孔板52がボルト5によって組み合わされているものである。
【0059】
鉄筋固定用金具が工事現場などで使用される場合には、ねじ孔板52と、板状体51は、予めセットにされている方が使いやすい。ただし、予めねじ孔板が固定されていると、棒状筋1と帯状板2との交差部3に、鉄筋固定用金具を嵌め込むことができないタイプのものもある。図7に示した鉄筋固定用金具50aは、予めねじ孔板52が固定されている場合でも、棒状筋1と帯状板2との交差部3に嵌め込むことができるタイプである。したがって、上記のように、予めねじ孔板52を取り付けておく使い方をすることができる。
【0060】
図9は、実施の形態7に係るスぺーサを備えた鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、(a)は本体部が実施の形態1に係る鉄筋固定用金具の例、(b)は本体部が実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の例を示す図である。
図9(a)、(b)に示した実施の形態7に係る鉄筋固定用金具70a、70bは、いずれも本体部71とスぺーサ72とで構成されている。本体部71は、図9(a)には先に示した実施の形態1に係る鉄筋固定用金具10、同図(b)には実施の形態3に係る鉄筋固定用金具30の場合を示したが、本体部71の鉄筋固定用金具は、先に示した鉄筋固定用金具10〜60、50aのいずれでもよい。
【0061】
スぺーサ72は、傘形の頭部73、ねじ部74、ねじ孔を有する支持部75、回り止めナット76を含んで構成されており、回り止めナット76が本体部71に接合されている。また、頭部73は、頭部73を回転させることによって、スぺーサ72の中心軸に沿って進退可能であり、頭部73を棒状筋把持部13より外側に位置させることができるように構成されている。なお、スぺーサ72は、その中心軸が、本体部71として用いられる鉄筋固定用金具10、30などの棒状体11の直線部15、または板状体31の直線部35に、溶接などにより接合されている。
【0062】
スぺーサが設けられた鉄筋固定用金具70a、70bは、例えば鉄筋籠を掘削孔に建込む場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を設定の距離に調節するために用いられるものである。掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔は、スぺーサ72の頭部73を進退させることによって調節する。
【0063】
図10は、本発明の実施の形態に係る鉄筋籠用スぺーサ(以下、単に「スぺーサ」と略記する)およびその使用状態を示す図であり、(a)はスぺーサ全体を示す模式的斜視図、(b)はスぺーサが鉄筋籠に接合された状態を示す斜視図、(c)はスぺーサが鉄筋固定用金具と組み合わせて使用され、鉄筋固定用金具が鉄筋籠に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0064】
図10(a)に示した実施の形態に係るスぺーサ80は、板状体で形成された先端側の方が小さい頭部81と、長さ方向の一端側82が頭部81の内側に接合された軸部83とを含んで構成されている。軸部83は、長さ方向に直角な面における断面形状がコ形、すなわち溝形であり、軸部83の1面84に、ほぼ平行な2本の短冊状のコ形打ち抜き部85、86を備えている。これらの短冊状のコ形打ち抜き部85、86は、後に説明するように、鉄筋籠が掘削孔に建込まれる際に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節するのに用いられるものである。
【0065】
コ形打ち抜き部85、86は、それぞれ長さ方向にほぼ直角な1辺85a、86aを残して、3辺が打ち抜かれており、2本のコ形打ち抜き部のコ形が相互に逆向きの関係にある。すなわち、打ち抜かれずに残された辺(以下、非打ち抜き辺と記す)85aと86aの位置が、相互に逆の位置、言い換えれば、非打ち抜き辺85aが頭部81に対して遠い側の場合は86aは頭部81側、86aが頭部81に対して遠い側の場合は85aは頭部81側という位置関係にある。なお、打ち抜き部85は、打ち抜きではなく、切り込みによって形成されていてもよい。
【0066】
ここで、頭部81は、板状体に曲げ加工が施された形態のものであり、R部の先端がスぺーサ80の先端部となる。軸部83の断面形状は、上記のコ形(溝形)が望ましいが、L形であってもよい。軸部83の一端側82と頭部81の内側との接合は、これらの材料は鋼材であることが望ましいので、その場合には溶接によるのがよい。
【0067】
図10(b)に、スぺーサ80が鉄筋籠に取り付けられた状態を示した。なお、図10(b)に示されているスぺーサ80は、打ち抜き部85、86のうち、打ち抜き部86が、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節するのに用いられた場合を示している。
【0068】
スぺーサ80を鉄筋籠に接合する前に、図10(b)に示されているように、打ち抜き部86を所定の位置86bで、ほぼ90°に折り曲げる。次に、この折り曲げ部86cを棒状筋1またはフープ筋4に当て、その状態でスぺーサ80の軸部83を鉄筋籠の棒状筋1および/またはフープ筋4に接合する。このような方法によって、スぺーサ80の頭部81の先端部と鉄筋籠外周部との距離を設定の値に調節することができる。
【0069】
打ち抜き部85と86は、次のように使い分けることが望ましい。すなわち、スぺーサ80の突出長さが長い場合には、非打ち抜き辺が頭部81から遠い側の打ち抜き部(図9の場合は符号85)をスぺーサ80の突出長さ調節に使用する。逆に、スぺーサ80の突出長さが短い場合には、非打ち抜き辺が頭部81側の打ち抜き部(図9の場合は符号86)をスぺーサ80の突出長さ調節に使用する。このような使用方法を採ることによって、折り曲げ部(図10(b)には、打ち抜き部86の折り曲げ部86cを例示)の長さを十分に確保することができる。
【0070】
なお、図10に示したスぺーサ80の符号87は、頭部81の先端部からの距離を示す目盛である。打ち抜き部85、86は上記のような機能を持つものであるので、打ち抜き部85、86の表面または軸部83の面のうち打ち抜き部85が形成された面には、目盛87を設けておくことが望ましい。
【0071】
図10(c)には、スぺーサ80が鉄筋固定用金具60と組み合わされて、鉄筋固定用金具60が鉄筋籠の棒状筋1と帯状筋2の固定に使用された状態を示した。鉄筋固定用金具60と組み合わされて用いられる場合には、予めスぺーサ80を鉄筋固定用金具60に接合する。その場合、打ち抜き部85または86の所定の位置で折り曲げられた折り曲げ部(図10(c)には、打ち抜き部86の折り曲げ部86cを例示)を、鉄筋固定用金具60の棒状筋把持部13の外周側に当てた状態で接合する。そのようにしてスぺーサ80が接合された鉄筋固定用金具60を使用することによって、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節することができる。
なお、スぺーサ80と組み合わせて使用される鉄筋固定用金具は、鉄筋固定用金具60に限られるものではなく、他のタイプの鉄筋固定用金具でもよい。
【0072】
図11は、本発明の実施の形態に係る鉄筋籠の構造を説明するための図であり、(a)は鉄筋籠の部分斜視図、(b)は棒状筋とフープ筋との固定に用いられるクリップ金具、(c)は棒状筋とフープ筋との交差部がクリップ金具で固定されている状態を示す図である。
【0073】
図11(a)に示されているように、実施の形態に係る鉄筋籠90は、縦筋である複数の棒状筋1の周りに複数のフープ筋4が巻かれており、棒状筋1とフープ筋4とのそれぞれの交差部7が、溶接またはクリップ金具によって固定されることによって組み立てられている。そして、複数のフープ筋4の間に、帯状板2が鉄筋籠90の内側から棒状筋1に接するように巻き付けられており、棒状筋1と帯状板2との交差部3は、本発明に係る鉄筋固定用金具10〜60のいずれかによって固定されている。
【0074】
ただし、棒状筋1と帯状板2との交差部3が、すべて本発明に係る鉄筋固定用金具10〜60のいずれかによって固定されている必要はない。鉄筋籠90の全体の剛性や経済性を考慮し、すべての交差部3に本発明に係る鉄筋固定用金具を用いる必要がないと判断される場合には、交差部3の一部を除き、固定を省略してもよい。
【0075】
図11(b)は、棒状筋1とフープ筋4との交差部7を固定するのに好適なクリップ金具8の1例を示す斜視図である。クリップ金具8は、図示した態様に限定されるものではなく、交差部7を固定することができるものであれば、いずれのタイプのものでもよい。なお、クリップ金具8により交差部7を固定した場合には、棒状筋1とフープ筋4とクリップ金具8との関係は、図11(c)に示したような態様となる。
【0076】
上記の実施の形態1に係る鉄筋籠90は、補強筋である帯状板2が、本発明に係る鉄筋固定用金具によって、主筋である棒状筋1に対して締め付けられているので、交差部3が強固に固定されている。したがって、帯状板2による補強効果が極めて高い。また、締め付け用のボルト5が鉄筋籠90の内側に位置するようになっているので、固定用のボルト5の頭部が鉄筋籠90の外周部より外側に出ることがない。そのために、コンクリートを打ち込み、コンクリート構造体を構築した際に、構造体の表面と鉄筋籠との間に、固定用ボルトに起因する薄肉部が生じる恐れがない。
【0077】
なお、棒状筋1とフープ筋4との交差部7の固定は、溶接による接合でも、上記のクリップ金具8による固定でもよい。しかし、鉄筋籠90の品質保持および組立性の観点からは、クリップ金具8による固定の方が望ましい。
【0078】
また、実施の形態2に係る鉄筋籠は、帯状板2の1周分を固定する鉄筋固定用金具のうち、少なくとも4箇所にスぺーサ付きの鉄筋固定用金具(例えば、前述の鉄筋固定用金具70a、70b)が用いられているものである。この場合、スぺーサ付きの鉄筋固定用金具は、鉄筋籠の中心軸を中心として、ほぼ等角度の間隔にある位置に用いられていることが望ましい。なお、スぺーサ付の鉄筋固定用金具は、1周につき4個以上であることが望ましい。
【0079】
上記のスぺーサ付きの鉄筋固定用金具(例えば、前述の鉄筋固定用金具70a、70b)が用いられた鉄筋籠90によれば、掘削孔に鉄筋籠90を据え付けた場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠90の外周部との間隔を、設定した距離に正確に合わせることができる。また、スぺーサの頭部73が進退可能であるので、掘削孔の内壁と鉄筋籠90の外周部との間隔を任意に選択することができる。
【0080】
本発明に係る鉄筋籠の建込方法は、上記の実施の形態1または2に係る鉄筋籠を掘削孔に建込む際に、すなわち、鉄筋籠90を吊り上げて掘削孔に下ろす際に、棒状筋1と帯状板2との交差部3を固定している鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)を取り外し、取り外した部分を掘削孔の中に挿入していく方法である。この場合、鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)をすべて取り外すことが望ましいが、必ずしもすべて取り外す必要はない。作業上、可能な個数でもよい。
取り外した鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)は再利用することができるので、鉄筋籠のコスト削減に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄筋固定用金具によって鉄筋の交差部を固定する態様を説明するための斜視図であり、(a)鉄筋固定用金具の本体部が棒状筋と帯状板に嵌め込まれ、ボルト付きのねじ孔板が装着される前の状態、(b)は鉄筋固定用金具のねじ孔板が装着された後、棒状筋と帯状板との交差部がボルトにより締め付けられ固定された状態を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
【図3】実施の形態2に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図4】実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態4に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図7】実施の形態6に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)はねじ孔板支持部の別の態様を示す図および(c)はねじ孔板の別の形態を示す図である。
【図8】別の実施の形態に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、実施の形態5に係る別の実施の形態を示す図である。
【図9】実施の形態7に係るスぺーサを備えた鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、(a)は本体部が実施の形態1に係る鉄筋固定用金具の例、(b)は本体部が実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る鉄筋籠用スぺーサおよびその使用状態を示す図であり、(a)はスぺーサの全体を示す模式的斜視図、(b)はスぺーサが鉄筋籠に接合された状態を示す斜視図、(c)はスぺーサが鉄筋固定用金具と組み合わせて使用され、鉄筋固定用金具が鉄筋籠に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】実施の形態に係る鉄筋籠の構造を説明するための図であり、(a)は鉄筋籠の部分斜視図、(b)は棒状筋とフープ筋との固定に用いられるクリップ金具、(c)は棒状筋とフープ筋との交差部がクリップ金具で固定されている状態を示す図である。
【図12】従来の鉄筋籠の構造の1例を示す部分斜視図である。
【図13】従来の帯状板で補強された鉄筋籠を示す部分斜視図である。
【図14】従来の主筋と帯状板との鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 棒状筋
2 帯状板
3 交差部
4 フープ筋
5 ボルト
6 ねじ孔
8 クリップ金具
10、20、30、40、50、60 鉄筋固定用金具
50a、70a、70b 鉄筋固定用金具
11、21 棒状体
31、41、51、61 板状体
12、52、62 ねじ孔板
13 棒状筋把持部
14、54、64 ねじ孔板支持部
72 スぺーサ
80 鉄筋籠用スぺーサ
90、100 鉄筋籠
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートで構築される場所打ち杭や地中連続壁などの構造体の補強に用いられる鉄筋籠の組み立て用の鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋固定用金具により鉄筋の交差部が固定された鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法に関し、さらに詳しくは、特に鉄筋籠補強用の帯状板と棒状筋との交差部の固定に好適な鉄筋固定用金具、鉄筋籠用スぺーサ、鉄筋固定用金具を用いた鉄筋籠および鉄筋固定用金具の繰り返し使用を行うための鉄筋籠の建込方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートで構築される場所打ち杭や地中連続壁には、コンクリート構造体の補強を行うために、多数の鉄筋を格子状に組み合わせることにより、円筒状に形成された鉄筋籠と呼ばれる組立体が用いられる。
【0003】
図12は、従来の鉄筋籠の構造の1例を示す全体図である。図12に示されているように、鉄筋籠100は、通常、円周上の中心軸方向に配列された多数の主筋101と、主筋101にほぼ直交する多数のフープ筋102とを含んで構成されており、主筋101とフープ筋102との交差部は、鉄線結束、溶接等により接合されている。この鉄筋籠100は、大きさが大きいものが多く、直径が0.6mないし数m、長さが1籠当たり12mにも及ぶものもあり、また、主筋101の径は一般に19〜35mm程度はある。そのために、重量が極めて重くなる場合がある。
【0004】
このように鉄筋籠100は全体の重量が重いため、例えば場所打ち杭に用いられる場合には、鉄筋籠100の建込み場所の近くに組立に必要な場所が確保できる時には、建込み場所の近くで組み立てを行い、建込み場所まで搬送し、吊り上げて掘削孔に建込むという作業方法が採られている。一方、組立に必要な場所が確保できない場合には、別の場所で組立を行い建込み場所まで搬送して、建込む方法が採られる。このような組立、搬送、建込みの過程で、鉄筋籠100の剛性が十分でない場合には、搬送や吊り上げの際に、鉄筋籠100が少しの衝撃を受けても型くずれを起こす。したがって、鉄筋籠100の剛性を高める対策が採られており、図12に示されているように、補強部材104、105により補強する方法が採られている。
【0005】
このような補強部材104、105を用いない方法も提案されており、主筋101とフープ筋102との交差部の溶接部を特殊な金具を用いて強化する方法(例えば、特開平7−62650号公報)などがある。
【0006】
上記のような補強方法のほかに、帯状板による補強方法がある。
図13は、従来の帯状板により補強された鉄筋籠を示す要部拡大斜視図である。図13に示されているように、帯状板103は、鉄筋籠100の内側から主筋101に接し、主筋101との交差部で主筋101と固定されている。なお、通常、帯状板103同士の間隔は約2〜3m毎に用いられている。補強に帯状板103が用いられる場合、鉄筋籠100の内側から主筋101に固定されるのは、そのような形態が、鉄筋籠100の剛性の向上にもっとも効果的なためである。
【0007】
上記の主筋101とフープ筋102との交差部、主筋101と帯状板103との交差部は、いずれも溶接により接合することが可能である。しかし、工事現場における溶接による接合は、季節や天候による溶接の強度のばらつき、溶接技術者の熟練度によるばらつきなどを含む恐れがあり、鉄筋籠100の剛性にばらつきが出る可能性が高い。また、年月の経過とともに溶接部の強度低下が起こりやすいことも指摘されている。
【0008】
したがって、交差部の接合、固定の信頼性を高めるために、溶接の代わりに、作業によるばらつきの少ない鉄筋固定用金具108を用いる鉄筋籠の組立方法も採用されている。特に、補強材である帯状板103と主筋101との交差部に鉄筋固定用金具を用いることが効果的とされている。
【0009】
図14は、本発明者が発明し、特開2002−106113号公報に開示された、主筋101と帯状板(補強リング)103とを、簡単な作業で確実に固定することができる接合治具(鉄筋固定用金具)108を示す斜視図である。この鉄筋固定用金具108は、図14に示されているように、「板状体(109)がU字状に折り返され、左、右側片がを形成されたものであって、U字状折曲部が主筋挿入部となり、この主筋挿入部の長さ方向中間部より端部にかけてさらに左、右側片が延設されて突片(110)が形成され、この突片(110)の延設一側縁より補強材(帯状板103)挿入用の切欠111が設けられ、前記主筋挿入部に固定用ボルト(112)が枢着される」ものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の鉄筋固定用金具108は、主筋101と帯状板(補強材、補強リング)103との交差部を確実に固定することが可能であり、鉄筋籠100を効果的に補強できるという優れた性能を有している。ただし、図14に示されている形状からも明らかなように、固定用ボルト112の頭部が鉄筋籠100の外側に位置するので、コンクリートの補強材としてコンクリート構造体に埋め込まれた状態では、固定用ボルト112の頭部のコンクリートの肉厚が他の部分より薄くなることもあった。したがって、固定用ボルト112の長さを極力短くするという対策が必要であった。また、固定用ボルト112の先端部で主筋101を締め付ける構造であるため、固定用ボルト112の先端部と主筋101との接触が線状となり、必ずしも強固な固定にならない場合があり、さらには固定用ボルト112により主筋101を損傷させる恐れがあった。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、鉄筋籠などの主筋(以下、「棒状筋」と記す)と補強用の帯状板との交差部を、強固、確実に固定可能で、主筋を傷付けることがなく、鉄筋籠の外側にボルトの頭部が位置することがない鉄筋固定用金具を提供すること、鉄筋籠などを建込む際に鉄筋籠と掘削孔の内壁との間隔を所定の値に調節することが容易なスぺーサとスぺーサ付の鉄筋固定用金具を提供すること、これらの鉄筋固定用金具を用いて組み立てられた剛性が高く品質が安定した鉄筋籠を提供すること、および経済性に優れた鉄筋籠の建込方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(1)は、平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形の直線部のそれぞれの端部から該U形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された、前記ねじ孔板を支持するJ形またはU形のねじ孔板支持部とを備えた棒状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のねじ孔を備えたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(1)によれば、棒状筋と帯状板との交差部が固定される際に、鉄筋固定用金具の本体部である棒状体が、棒状筋を把持するように棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込まれ、鉄筋固定用金具のねじ孔板支持部が帯状板の内側(リング形の中心側)に位置するようにセットされる。その後、ねじ孔板支持部に、ねじ孔板がセットされ、ボルトを用いて帯状板と棒状筋とを締め付けることによって、交差部が固定される。
【0013】
したがって、ボルトの頭部がリング状の帯状板の内側に位置し、リングの外側に出ることがないので、鉄筋固定用金具が鉄筋籠などに用いられ、鉄筋籠で補強されたコンクリート構造体が構築された場合に、ボルトの頭部に起因するコンクリートの薄肉部が生じることがない。また、ボルトのねじ形成部の先端の「面」で帯状板を棒状筋に対して押し付けることになるので、高い固定力を得ることができる。さらに、鉄筋籠などの組み立ての際の補強用の帯状板の固定に用いられた鉄筋固定用金具を、鉄筋籠などの建込時に取り外し、繰り返し使用することが可能であるので、経済性に優れているという効果が得られる。
【0014】
なお、上記のボルトの頭部がリング状の帯状板の内側に位置するようにセットされること、ボルトのねじ形成部の先端の「面」で固定することができること、鉄筋固定用金具を繰り返し使用することができることという効果は、以下の鉄筋固定用金具(2)〜(7)のすべてに共通する効果である。
【0015】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(2)は、平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から該J形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された、前記ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部とを備えた棒状体と、前記ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部の内側に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されたねじ孔部材とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(2)によれば、鉄筋固定用金具(1)が有する効果に加えて、構造が簡素であるので安価であるという利点がある。また、予めねじ孔部材にボルトを装着しておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れている。さらに、鉄筋固定用金具を繰り返し使用するために、鉄筋籠などから取り外した際の取り扱い性にも優れている。
【0016】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(3)は、平面視J形の棒状筋把持部と、該J形の直線部において前記J形を含む面に対して垂直方向に延びる前記ねじ孔部材支持部とを含む板状体と、前記ねじ孔部材支持部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されたねじ孔部材とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(3)によれば、上記の鉄筋固定用金具(2)が有する効果に加えて、平面視J形部が板状体によって構成されているので、強度の高い鉄筋固定用金具を得ることができる。
【0017】
また、本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(4)は、平面視J形の棒状筋把持部J形部およびねじ孔形成部が一体的に成形された板状体を含んで構成され、該板状体に設けられた前記ねじ孔形成部が、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角に前記J形の内側に向けて折り曲げられて形成され、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのねじ孔が、前記ねじ孔形成部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて設けられていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(4)によれば、構造が簡素であり部品数が少ないので、安価な鉄筋固定用金具を得ることができる。また、上記の鉄筋固定用金具(2)および(3)の場合と同様に、予めねじ孔にボルトを装着しておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れているという利点がある。
【0018】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(5)は、平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角にJ形の内側に向けて折り曲げられて形成され、かつ前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのボルトの貫通孔を備えた前記ねじ孔板支持部とを備え、前記棒状筋把持部および前記ねじ孔板支持部とが一体的に成形された板状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(5)によれば、前記の鉄筋固定用金具(4)に比べるとねじ孔板が多くなるが、棒状筋と帯状板との交差部を強固に固定することができるという効果が得られる。
【0019】
また、本発明に係る棒状筋と帯状筋との交差部を固定する鉄筋固定用金具(6)は、平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形のそれぞれの直線部において、該U形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びる延長部によって構成された2つのねじ孔板支持部とを含む板状体と、前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるための前記ボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(6)によれば、板状体で形成された2つのねじ孔板支持部をねじ孔板を支持するので、強固かつ確実に棒状筋と帯状筋との交差部を固定することができるという効果が得られる。
【0020】
また、本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(7)は、上記鉄筋固定用金具(5)において、前記ねじ孔板が、前記板状体の前記ねじ孔板支持部に、予め固定されていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(7)によれば、板状体とねじ孔板、ボルトなどを予めセットにしておき、その状態で棒状筋と帯状板との交差部に嵌め込むことができるので、工事現場における取り扱い性に優れているという利点がある。また、繰り返し使用するために、鉄筋籠などから取り外した際の取り扱い性ににも優れている。
【0021】
本発明に係る棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具(8)は、上記鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかにおいて、頭部が前記棒状筋把持部の外方に位置し、前記J形またはU形の軸方向に進退可能なスぺーサが固設されていることを特徴としている。
上記の鉄筋固定用金具(8)によれば、例えば鉄筋籠に用いることにより、鉄筋籠を掘削孔に建込む際に、掘削孔の内壁(通常ケーシングが用いられる)と鉄筋籠の外周部との間隔を、スぺーサの頭部を進退させることによって所定の距離に調節することができる。掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、全周にわたって一定に設定することができる。
【0022】
本発明に係る鉄筋籠用スぺーサ(1)は、板状体で形成された頭部と、板状体で形成され、長さ方向の一端側が前記頭部の内側に接合された軸部とを含んで構成され、該軸部の長さ方向に直角な面における断面形状がL形またはコ形であり、前記軸部の1面に、長さ方向にほぼ直角な1辺を残して3辺が打ち抜かれた2本のコ形打ち抜き部を備え、前記2本のコ形打ち抜き部のコ形が相互に逆向きであることを特徴としている。
【0023】
本発明に係る鉄筋籠用スぺーサ(1)によれば、スぺーサの頭部先端と鉄筋籠との間隔を調節することができる範囲が広いので、スぺーサの適用範囲がひろい。また、棒状筋やフープ筋との接合を容易かつ確実に行うことができる。
【0024】
本発明に係る鉄筋籠(1)は、中心軸の周囲に該中心軸方向とほぼ平行に配列されたの複数の棒状筋と、前記中心軸とほぼ直交する円周方向に配置され、前記複数の棒状筋と交差部を有する複数のフープ筋とを含んで構成された鉄筋籠であって、前記棒状筋の内側に設けられ、これら棒状筋と交差部を有する補強用の帯状板を備え、前記棒状筋と前記フープ筋との交差部が、溶接またはクリップ金具で固定され、前記棒状筋と前記帯状板との交差部が、上記鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかの鉄筋固定用金具によって締め付けられていることを特徴としている。
【0025】
上記の鉄筋籠(1)によれば、補強筋である帯状板が、上記の鉄筋固定用金具(1)〜(7)のいずれかによって、主筋である棒状筋に対して締め付けられているので、棒状筋と帯状板との交差部が強固に固定されている。したがって、帯状板による鉄筋籠などの補強効果が極めて高いので、剛性の高い組立体を得ることができる。また、締め付け用のボルトが鉄筋籠などの内側に位置するので、固定用のボルトの頭部が鉄筋籠などの外周部より外側に出ることがない。そのために、鉄筋籠などを補強体としてコンクリート構造体を構築した際に、構造体の表面と鉄筋籠との間に、固定用ボルトに起因する薄肉部が生じる恐れがない。
【0026】
また、本発明に係る鉄筋籠(2)は、前記棒状筋と前記帯状板との交差部のうち、1周につき少なくとも4箇所が、上記(8)のスぺーサ付の鉄筋固定用金具によって固定されていることを特徴としている。
上記の鉄筋籠(2)によれば、スぺーサ付きの鉄筋固定用金具が用いられているので、掘削孔に鉄筋籠を建て込んだ場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定した距離に正確に合わせることができる。また、スぺーサの頭部が進退可能であるので、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を任意に選択することができる。
【0027】
本発明に係る鉄筋籠の建込方法は、上記鉄筋籠(10)または(11)を掘削孔へ建込む際に、前記棒状筋と前記帯状板とを固定している前記鉄筋固定用金具のうちの少なくとも一部を取り外し回収した後、前記鉄筋籠を前記掘削孔に挿入することを特徴としている。
上記の鉄筋籠の建込方法によれば、鉄筋固定用金具を繰り返し使用することができるので、鉄筋籠の組み立てコストを削減することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鉄筋固定用金具、鉄筋籠および鉄筋籠の建込方法に係る実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態1に係る鉄筋固定用金具によって鉄筋と補強部材との交差部を固定する態様を説明するための斜視図であり、(a)は鉄筋固定用金具の本体部が棒状筋と帯状板に嵌め込まれ、ボルト付きのねじ孔板が装着される前の状態、(b)はねじ孔板が装着された後、棒状筋と帯状板との交差部がボルトにより締め付けられ固定された状態を示す図である。
【0029】
図1に示されているように、固定する対象となる鉄筋は、棒状筋1とリング形(図1には固定部近傍のみを図示)の帯状板2であり、両者がほぼ直交する交差部3が、例えば鉄筋固定用金具10により固定される。
【0030】
はじめに、図1(a)に示されているように、鉄筋固定用金具10の本体部である棒状体11が、棒状筋1を把持するように交差部3に嵌め込まれる。その場合、鉄筋固定用金具10のねじ孔板支持部14が帯状板2の内側(リング形の中心側)に位置するようにセットされる。次に、ねじ孔板支持部14に、予めねじ孔6にボルト5が装着されたねじ孔板12がセットされ、その後、ボルト5を用いて帯状板2と棒状筋1とを締め付けることによって、交差部3が固定される(図1(b))。
【0031】
このような固定方法であるので、ボルト5の頭部は、リング状の帯状板2の内側に位置し、リングの外側に出ることがない。また、ボルト5のねじ形成部の先端、すなわち先端部の「面」で帯状板2を棒状筋1に対して押し付けることになるので、高い固定力を得ることができ、さらにはボルト5により、棒状筋1が損傷を受けることがない。
【0032】
なお、ボルト5は必ずしも予めねじ孔板12に装着されている必要はないが、作業性の観点からは、上記のように、ボルト5が予めねじ孔板12に装着されている方がよい。
【0033】
ねじ孔板12のねじ孔6の位置は、2つのねじ孔板支持部14、14に対応するいずれか一方に片寄った位置に設けられていることが望ましい。そのような位置とすることによって、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長い側(例えば図面右側)を先に保持部18(図面右側)に挿入し、短い側を左側に戻すようにして、もう一方の保持部18に挿入するという使い方をすることができる。
【0034】
上記のような効果を得ることができる実施の形態に係る鉄筋固定用金具を、さらに具体的に説明する。以下に示す鉄筋固定用金具には、上記の鉄筋固定用金具10とやや態様が相違するものもあるが、棒状筋1と帯状板2とを固定する形態は、上記の鉄筋固定用金具10の場合とほぼ同様である。なお、以下の説明に用いる図では、棒状筋1、帯状板2の図示を省略する。
【0035】
図2は、実施の形態1に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
実施の形態1に係る鉄筋固定用金具10は、棒状体11とねじ孔板12とを含んで構成されている。棒状体11は、棒鋼などで一体的に成形されたものであり、平面視U形の形状部を含んでいる。そして、U形の底部の丸形部、すなわち湾曲部15の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、U形の直線部16のそれぞれの端部17から、U形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられた部分により、ねじ孔板支持部14が形成されている。
【0036】
上記のねじ孔板支持部14には、ねじ孔板12が落下しにくいようにねじ孔板12を保持する保持部18が設けられている。この保持部18は、直線部16の方向に曲げ加工されて形成されたU形またはJ形もしくはL形(以下、J形とL形を合わせてJ形と記す)の形状を有している。そして、ねじ孔板支持部14は、ねじ孔板12のねじ孔6にボルト5が螺合され、ボルト5により棒状筋1と帯状板2の交差部3が締め付けられる際に、ねじ孔板12を支持し、ボルト5に押力を発生させる働きをする。
【0037】
ねじ孔板支持部14は、上記のようにボルト5に押力を発生させるねじ孔板12を支持する必要があるために、押力を生じさせることができるだけの強度が要求される。したがって、図2に示されているように、保持部18における棒状体11の少なくとも一方の端部は、棒状体11の直線部16と突き合わされ、溶接等により接合部19で接合されていることが望ましい。
【0038】
ねじ孔板12の大きさは、ねじ孔板12の保持部18に挿入可能な幅と厚さであり、かつ保持部18、18で保持することができる長さとする。
ねじ孔板12のねじ孔6の位置は、先に図1により説明したように、2つのねじ孔板保持部18、18に対応するいずれか一方に片寄った位置に設けられていることが望ましい。そのような位置とすることによって、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長い側(例えば図面右側)を先に保持部18(図面右側)に挿入し、短い側を左側に戻すようにして、もう一方の保持部18に挿入するという使い方をすることができる。また、このような固定用金具10を鉄筋籠などの組立に用いる場合、通常鉄筋籠は横倒しされた状態で組み立てられるので、ねじ孔板12のねじ孔6から端部までの長さが短い方を下側になるような使い方をすると、ねじ孔板12が保持部18から外れにくいという長所がある。
【0039】
なお、上記のねじ孔板12の保持部18は、厳密なU形、J形である必要はなく、U形、J形に相当する形状であればよい。例えば、U形、J形のコーナー部が角形であってもよく、J形がL形であってもよい。
【0040】
図3は、実施の形態2に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態2に係る鉄筋固定用金具20は、ねじ孔部材22と、棒状筋把持部13およびねじ孔部材支持部23とが一体的に成形された棒状体21とを含んで構成されている。また、棒状体21は、棒鋼などで一体的に形成されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部24の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、J形の直線部25の端部26から、J形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された部分が、ねじ孔部材支持部23である。
【0041】
ねじ孔部材支持部23には、棒状体21が、直線部25に対してほぼ直角方向に曲げ加工されて形成されたJ形部、U形部またはO形部が設けられており、このU形部やO形部の内側に、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて、ナットなどのねじ孔6を有するねじ孔部材22が接合されている。このねじ孔部材22にボルト5を螺合して締め付けることにより、棒状筋1と帯状板2との交差部3を固定する。
【0042】
ここで、ねじ孔部材22は、上記のようにU形部またはO形部の内側に配置され、ねじ孔部材22の外周面と棒状体21とが溶接などにより接合されている。このような接合方法を採ることによって、棒状体21とねじ孔部材22とを強固に接合することができ、かつ接合強度のばらつきが少ない接合を行うことができる。
【0043】
図4は、実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態3に係る鉄筋固定用金具30は、ねじ孔部材32と、棒状筋把持部13およびねじ孔部材支持部33とが一体的に成形された板状体31とを含んで構成されている。
【0044】
また、板状体31は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13であり、J形の直線部35の端部側に、J形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びた板状体延長部により、ねじ孔部材支持部33が形成されている。このねじ孔部材支持部33に、ねじ孔6を有するねじ孔部材32が、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて接合されている。
【0045】
ねじ孔部材32には、ナットなどを用いるのがよく、ねじ孔部材支持部33への接合は、溶接がもっとも適している。このねじ孔部材32にボルト5を螺合して締め付けることにより、棒状筋1と帯状板2との交差部2を固定する。
【0046】
図5は、実施の形態4に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態4に係る鉄筋固定用金具40は、ねじ孔形成部42と、棒状筋把持部13とが一体的に成形された板状体41を含んで構成されている。
【0047】
板状体41は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13である。また、ねじ孔形成部42は、J形の直線部35の端部43から、板面に対してほぼ直角に、J形の内側に向けて折り曲げることによって形成されている。このねじ孔形成部42に、ねじ孔6が、中心軸をほぼ棒状筋1と帯状板2との交差部3に向けて形成されている。
【0048】
なお、実施の形態4に係る鉄筋固定用金具40の場合には、板状体41のねじ孔形成部41に直接ねじ孔6が形成される。したがって、ねじ孔6のねじ山の強度を確保する観点から、板状体41を構成する板材の厚さは厚い方が望ましい。
【0049】
図6は、実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。実施の形態5に係る鉄筋固定用金具50は、ねじ孔板52と、棒状筋把持部13およびねじ孔板支持部54とが一体的に成形された板状体51とを含んで構成されている。
【0050】
板状体51は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視J形の形状をしている。そして、J形の底部の丸形部、すなわち湾曲部34の内側が、棒状筋1が挿入される棒状筋把持部13である。また、ねじ孔板支持部54は、J形の直線部35の端部43から、板面に対してほぼ直角に、J形の内側に向けて折り曲げることによって形成されている。このねじ孔板支持部54には、ボルト5のねじ部の径より大きい内径の貫通孔55が設けられ、ねじ孔板52には、ボルト5が螺合されるねじ孔6が設けられている。
【0051】
ここで、ねじ孔板支持部54は、ねじ孔板52のねじ孔6にボルト5が螺合され、ボルト5により棒状筋1と帯状板2の交差部3が締め付けられる際に、ねじ孔板52を支持し、ボルト5に押力を発生させる働きをする。なお、ねじ孔板52の大きさは、ねじ孔板支持部54の貫通孔55を通して、ボルト5をねじ孔板52のねじ孔6にねじ込む際に、ねじ孔板52が空回りしない大きさ、すなわち、ねじ孔板52の端部の一部が板状体51の直線部35に接触する大きさとするのが望ましい。
【0052】
実施の形態5に係る鉄筋固定用金具50は、板状体51を構成する鋼板等の肉厚が薄く、ねじ孔6を形成するのに十分な厚みが確保できない場合に特に好適である。
【0053】
図7は、実施の形態6に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)はねじ孔板支持部の別の態様を示す図および(c)はねじ孔板の別の態様を示す図である。
図7(a)〜(c)に示されているように、実施の形態6に係る鉄筋固定用金具60は、ねじ孔板62と、棒状筋把持部13およびねじ孔板支持部64とが一体的に成形された板状体61とを含んで構成されている。
【0054】
上記の板状体61は、鋼板などで一体的に成形されたものであり、平面視U形の形状を有している。板状体61には、平面視U形のそれぞれの直線部66において、U形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びる延長部によって、2つのねじ孔板支持部64、64が形成されている。使用時には、ねじ孔板支持部64の端部64aにねじ孔板62が位置するようになる。したがって、端部64aとU形凹部内側との間の距離は、棒状筋1の直径と帯状筋2の厚さとねじ孔板62の厚さとを加えた長さ以上とする必要がある。
【0055】
図7(b)に示す鉄筋固定用金具60は、2つのねじ孔板支持部64、64のそれぞれに、ねじ孔板保持部68が設けられたタイプである。図7(b)に示したねじ孔板保持部68は、長方形形の穴形であるが、棒状筋把持部13側が開口したコ形であってもよい。また、2つのねじ孔板支持部64、64に同形のねじ孔板保持部68を設ける必要はなく、一方は長方形、他方はコ形という組み合わせでもよい。上記のようなねじ孔板保持部68を設けることにより、ねじ孔板62が落下しないように保持することができるとともに、ボルト5による締め込み時にねじ孔板62が空回りすることを防止することができる。
【0056】
図7(b)に示した鉄筋固定用金具60に用いるねじ孔板62の大きさは、ねじ孔板保持部68に挿入可能な幅と厚さであり、かつ2つのねじ孔板支持部64、64で支持することができる長さとする。
【0057】
図7(c)に示したねじ孔板62は、一端側にL形部が設けられている。このねじ孔板を図7(a)に示した鉄筋固定用金具60に適用されると、締め込み時にねじ孔板62が空回りするのを防止することができる。
【0058】
図8は、別の実施の形態に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、前述の実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の別の実施の形態を示す図である。
図8に示した鉄筋固定用金具50aは、実施の形態5として示した鉄筋固定用金具50が予め組み立てられたもので、板状体51のねじ孔板支持部54に、ねじ孔板52がボルト5によって組み合わされているものである。
【0059】
鉄筋固定用金具が工事現場などで使用される場合には、ねじ孔板52と、板状体51は、予めセットにされている方が使いやすい。ただし、予めねじ孔板が固定されていると、棒状筋1と帯状板2との交差部3に、鉄筋固定用金具を嵌め込むことができないタイプのものもある。図7に示した鉄筋固定用金具50aは、予めねじ孔板52が固定されている場合でも、棒状筋1と帯状板2との交差部3に嵌め込むことができるタイプである。したがって、上記のように、予めねじ孔板52を取り付けておく使い方をすることができる。
【0060】
図9は、実施の形態7に係るスぺーサを備えた鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、(a)は本体部が実施の形態1に係る鉄筋固定用金具の例、(b)は本体部が実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の例を示す図である。
図9(a)、(b)に示した実施の形態7に係る鉄筋固定用金具70a、70bは、いずれも本体部71とスぺーサ72とで構成されている。本体部71は、図9(a)には先に示した実施の形態1に係る鉄筋固定用金具10、同図(b)には実施の形態3に係る鉄筋固定用金具30の場合を示したが、本体部71の鉄筋固定用金具は、先に示した鉄筋固定用金具10〜60、50aのいずれでもよい。
【0061】
スぺーサ72は、傘形の頭部73、ねじ部74、ねじ孔を有する支持部75、回り止めナット76を含んで構成されており、回り止めナット76が本体部71に接合されている。また、頭部73は、頭部73を回転させることによって、スぺーサ72の中心軸に沿って進退可能であり、頭部73を棒状筋把持部13より外側に位置させることができるように構成されている。なお、スぺーサ72は、その中心軸が、本体部71として用いられる鉄筋固定用金具10、30などの棒状体11の直線部15、または板状体31の直線部35に、溶接などにより接合されている。
【0062】
スぺーサが設けられた鉄筋固定用金具70a、70bは、例えば鉄筋籠を掘削孔に建込む場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を設定の距離に調節するために用いられるものである。掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔は、スぺーサ72の頭部73を進退させることによって調節する。
【0063】
図10は、本発明の実施の形態に係る鉄筋籠用スぺーサ(以下、単に「スぺーサ」と略記する)およびその使用状態を示す図であり、(a)はスぺーサ全体を示す模式的斜視図、(b)はスぺーサが鉄筋籠に接合された状態を示す斜視図、(c)はスぺーサが鉄筋固定用金具と組み合わせて使用され、鉄筋固定用金具が鉄筋籠に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0064】
図10(a)に示した実施の形態に係るスぺーサ80は、板状体で形成された先端側の方が小さい頭部81と、長さ方向の一端側82が頭部81の内側に接合された軸部83とを含んで構成されている。軸部83は、長さ方向に直角な面における断面形状がコ形、すなわち溝形であり、軸部83の1面84に、ほぼ平行な2本の短冊状のコ形打ち抜き部85、86を備えている。これらの短冊状のコ形打ち抜き部85、86は、後に説明するように、鉄筋籠が掘削孔に建込まれる際に、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節するのに用いられるものである。
【0065】
コ形打ち抜き部85、86は、それぞれ長さ方向にほぼ直角な1辺85a、86aを残して、3辺が打ち抜かれており、2本のコ形打ち抜き部のコ形が相互に逆向きの関係にある。すなわち、打ち抜かれずに残された辺(以下、非打ち抜き辺と記す)85aと86aの位置が、相互に逆の位置、言い換えれば、非打ち抜き辺85aが頭部81に対して遠い側の場合は86aは頭部81側、86aが頭部81に対して遠い側の場合は85aは頭部81側という位置関係にある。なお、打ち抜き部85は、打ち抜きではなく、切り込みによって形成されていてもよい。
【0066】
ここで、頭部81は、板状体に曲げ加工が施された形態のものであり、R部の先端がスぺーサ80の先端部となる。軸部83の断面形状は、上記のコ形(溝形)が望ましいが、L形であってもよい。軸部83の一端側82と頭部81の内側との接合は、これらの材料は鋼材であることが望ましいので、その場合には溶接によるのがよい。
【0067】
図10(b)に、スぺーサ80が鉄筋籠に取り付けられた状態を示した。なお、図10(b)に示されているスぺーサ80は、打ち抜き部85、86のうち、打ち抜き部86が、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節するのに用いられた場合を示している。
【0068】
スぺーサ80を鉄筋籠に接合する前に、図10(b)に示されているように、打ち抜き部86を所定の位置86bで、ほぼ90°に折り曲げる。次に、この折り曲げ部86cを棒状筋1またはフープ筋4に当て、その状態でスぺーサ80の軸部83を鉄筋籠の棒状筋1および/またはフープ筋4に接合する。このような方法によって、スぺーサ80の頭部81の先端部と鉄筋籠外周部との距離を設定の値に調節することができる。
【0069】
打ち抜き部85と86は、次のように使い分けることが望ましい。すなわち、スぺーサ80の突出長さが長い場合には、非打ち抜き辺が頭部81から遠い側の打ち抜き部(図9の場合は符号85)をスぺーサ80の突出長さ調節に使用する。逆に、スぺーサ80の突出長さが短い場合には、非打ち抜き辺が頭部81側の打ち抜き部(図9の場合は符号86)をスぺーサ80の突出長さ調節に使用する。このような使用方法を採ることによって、折り曲げ部(図10(b)には、打ち抜き部86の折り曲げ部86cを例示)の長さを十分に確保することができる。
【0070】
なお、図10に示したスぺーサ80の符号87は、頭部81の先端部からの距離を示す目盛である。打ち抜き部85、86は上記のような機能を持つものであるので、打ち抜き部85、86の表面または軸部83の面のうち打ち抜き部85が形成された面には、目盛87を設けておくことが望ましい。
【0071】
図10(c)には、スぺーサ80が鉄筋固定用金具60と組み合わされて、鉄筋固定用金具60が鉄筋籠の棒状筋1と帯状筋2の固定に使用された状態を示した。鉄筋固定用金具60と組み合わされて用いられる場合には、予めスぺーサ80を鉄筋固定用金具60に接合する。その場合、打ち抜き部85または86の所定の位置で折り曲げられた折り曲げ部(図10(c)には、打ち抜き部86の折り曲げ部86cを例示)を、鉄筋固定用金具60の棒状筋把持部13の外周側に当てた状態で接合する。そのようにしてスぺーサ80が接合された鉄筋固定用金具60を使用することによって、掘削孔の内壁と鉄筋籠の外周部との間隔を、設定の距離に調節することができる。
なお、スぺーサ80と組み合わせて使用される鉄筋固定用金具は、鉄筋固定用金具60に限られるものではなく、他のタイプの鉄筋固定用金具でもよい。
【0072】
図11は、本発明の実施の形態に係る鉄筋籠の構造を説明するための図であり、(a)は鉄筋籠の部分斜視図、(b)は棒状筋とフープ筋との固定に用いられるクリップ金具、(c)は棒状筋とフープ筋との交差部がクリップ金具で固定されている状態を示す図である。
【0073】
図11(a)に示されているように、実施の形態に係る鉄筋籠90は、縦筋である複数の棒状筋1の周りに複数のフープ筋4が巻かれており、棒状筋1とフープ筋4とのそれぞれの交差部7が、溶接またはクリップ金具によって固定されることによって組み立てられている。そして、複数のフープ筋4の間に、帯状板2が鉄筋籠90の内側から棒状筋1に接するように巻き付けられており、棒状筋1と帯状板2との交差部3は、本発明に係る鉄筋固定用金具10〜60のいずれかによって固定されている。
【0074】
ただし、棒状筋1と帯状板2との交差部3が、すべて本発明に係る鉄筋固定用金具10〜60のいずれかによって固定されている必要はない。鉄筋籠90の全体の剛性や経済性を考慮し、すべての交差部3に本発明に係る鉄筋固定用金具を用いる必要がないと判断される場合には、交差部3の一部を除き、固定を省略してもよい。
【0075】
図11(b)は、棒状筋1とフープ筋4との交差部7を固定するのに好適なクリップ金具8の1例を示す斜視図である。クリップ金具8は、図示した態様に限定されるものではなく、交差部7を固定することができるものであれば、いずれのタイプのものでもよい。なお、クリップ金具8により交差部7を固定した場合には、棒状筋1とフープ筋4とクリップ金具8との関係は、図11(c)に示したような態様となる。
【0076】
上記の実施の形態1に係る鉄筋籠90は、補強筋である帯状板2が、本発明に係る鉄筋固定用金具によって、主筋である棒状筋1に対して締め付けられているので、交差部3が強固に固定されている。したがって、帯状板2による補強効果が極めて高い。また、締め付け用のボルト5が鉄筋籠90の内側に位置するようになっているので、固定用のボルト5の頭部が鉄筋籠90の外周部より外側に出ることがない。そのために、コンクリートを打ち込み、コンクリート構造体を構築した際に、構造体の表面と鉄筋籠との間に、固定用ボルトに起因する薄肉部が生じる恐れがない。
【0077】
なお、棒状筋1とフープ筋4との交差部7の固定は、溶接による接合でも、上記のクリップ金具8による固定でもよい。しかし、鉄筋籠90の品質保持および組立性の観点からは、クリップ金具8による固定の方が望ましい。
【0078】
また、実施の形態2に係る鉄筋籠は、帯状板2の1周分を固定する鉄筋固定用金具のうち、少なくとも4箇所にスぺーサ付きの鉄筋固定用金具(例えば、前述の鉄筋固定用金具70a、70b)が用いられているものである。この場合、スぺーサ付きの鉄筋固定用金具は、鉄筋籠の中心軸を中心として、ほぼ等角度の間隔にある位置に用いられていることが望ましい。なお、スぺーサ付の鉄筋固定用金具は、1周につき4個以上であることが望ましい。
【0079】
上記のスぺーサ付きの鉄筋固定用金具(例えば、前述の鉄筋固定用金具70a、70b)が用いられた鉄筋籠90によれば、掘削孔に鉄筋籠90を据え付けた場合に、掘削孔の内壁と鉄筋籠90の外周部との間隔を、設定した距離に正確に合わせることができる。また、スぺーサの頭部73が進退可能であるので、掘削孔の内壁と鉄筋籠90の外周部との間隔を任意に選択することができる。
【0080】
本発明に係る鉄筋籠の建込方法は、上記の実施の形態1または2に係る鉄筋籠を掘削孔に建込む際に、すなわち、鉄筋籠90を吊り上げて掘削孔に下ろす際に、棒状筋1と帯状板2との交差部3を固定している鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)を取り外し、取り外した部分を掘削孔の中に挿入していく方法である。この場合、鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)をすべて取り外すことが望ましいが、必ずしもすべて取り外す必要はない。作業上、可能な個数でもよい。
取り外した鉄筋固定用金具(10〜60のいずれか)は再利用することができるので、鉄筋籠のコスト削減に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄筋固定用金具によって鉄筋の交差部を固定する態様を説明するための斜視図であり、(a)鉄筋固定用金具の本体部が棒状筋と帯状板に嵌め込まれ、ボルト付きのねじ孔板が装着される前の状態、(b)は鉄筋固定用金具のねじ孔板が装着された後、棒状筋と帯状板との交差部がボルトにより締め付けられ固定された状態を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
【図3】実施の形態2に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図4】実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態4に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態5に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図である。
【図7】実施の形態6に係る鉄筋固定用金具の構成を示す斜視図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)はねじ孔板支持部の別の態様を示す図および(c)はねじ孔板の別の形態を示す図である。
【図8】別の実施の形態に係る鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、実施の形態5に係る別の実施の形態を示す図である。
【図9】実施の形態7に係るスぺーサを備えた鉄筋固定用金具を示す斜視図であり、(a)は本体部が実施の形態1に係る鉄筋固定用金具の例、(b)は本体部が実施の形態3に係る鉄筋固定用金具の例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る鉄筋籠用スぺーサおよびその使用状態を示す図であり、(a)はスぺーサの全体を示す模式的斜視図、(b)はスぺーサが鉄筋籠に接合された状態を示す斜視図、(c)はスぺーサが鉄筋固定用金具と組み合わせて使用され、鉄筋固定用金具が鉄筋籠に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】実施の形態に係る鉄筋籠の構造を説明するための図であり、(a)は鉄筋籠の部分斜視図、(b)は棒状筋とフープ筋との固定に用いられるクリップ金具、(c)は棒状筋とフープ筋との交差部がクリップ金具で固定されている状態を示す図である。
【図12】従来の鉄筋籠の構造の1例を示す部分斜視図である。
【図13】従来の帯状板で補強された鉄筋籠を示す部分斜視図である。
【図14】従来の主筋と帯状板との鉄筋固定用金具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 棒状筋
2 帯状板
3 交差部
4 フープ筋
5 ボルト
6 ねじ孔
8 クリップ金具
10、20、30、40、50、60 鉄筋固定用金具
50a、70a、70b 鉄筋固定用金具
11、21 棒状体
31、41、51、61 板状体
12、52、62 ねじ孔板
13 棒状筋把持部
14、54、64 ねじ孔板支持部
72 スぺーサ
80 鉄筋籠用スぺーサ
90、100 鉄筋籠
Claims (12)
- 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形の直線部のそれぞれの端部から該U形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げられて形成された、ねじ孔板を支持するJ形またはU形のねじ孔板支持部とを備えた棒状体と、
前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のねじ孔を備えたねじ孔板とを備えていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から該J形を含む面に対してほぼ垂直に折り曲げらて形成された、ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部とを備えた棒状体と、
前記ねじ孔部材を支持するU形部またはO形部の内側に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されたねじ孔部材とを備えていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部において該J形を含む面に対して垂直方向に延びるねじ孔部材支持部とを含む板状体と、
前記ねじ孔部材支持部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて接合された、前記棒状筋と前記帯状板との交差部を締め付けるためのボルト用のナットにより構成されねじ孔部材とを備えていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視J形の棒状筋把持部およびねじ孔形成部が一体的に成形された板状体を含んで構成され、
該板状体に設けられた前記ねじ孔形成部が、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角に前記J形の内側に向けて折り曲げられて形成され、
前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのねじ孔が、前記ねじ孔形成部に、中心軸をほぼ前記交差部に向けて設けられていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視J形の棒状筋把持部と、前記J形の直線部の端部から、板面に対してほぼ直角にJ形の内側に向けて折り曲げられて形成され、かつ前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるためのボルトの貫通孔を備えたねじ孔板支持部とを備え、前記棒状筋把持部および前記ねじ孔板支持部とが一体的に成形された板状体と、
前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるための前記ボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 棒状筋と帯状板との交差部を固定する鉄筋固定用金具であって、
平面視U形の棒状筋把持部と、前記U形のそれぞれの直線部において該U形を含む面に対してほぼ垂直方向に延びる延長部によって構成された2つのねじ孔板支持部とを含む板状体と、
前記棒状筋と前記帯状板との交差部をボルトにより締め付けるための前記ボルト用のねじ孔が形成されたねじ孔板とを備えていることを特徴とする鉄筋固定用金具。 - 前記ねじ孔板が、前記板状体の前記ねじ孔板支持部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋固定用金具。
- 頭部が前記棒状筋把持部の外方に位置し、前記J形またはU形の軸方向に進退可能なスぺーサが固設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の鉄筋固定用金具。
- 鉄筋籠の建込みに用いられる鉄筋籠用スぺーサであって、
板状体で形成された頭部と、板状体で形成され、長さ方向の一端側が前記頭部の内側に接合された軸部とを含んで構成され、
該軸部の長さ方向に直角な面における断面形状がL形またはコ形であり、
前記軸部の1面に、長さ方向にほぼ直角な1辺を残して3辺が打ち抜かれた2本のコ形打ち抜き部を備え、
前記2本のコ形打ち抜き部のコ形が相互に逆向きであることを特徴とする鉄筋籠用スぺーサ。 - 中心軸の周囲に該中心軸方向とほぼ平行に配列された複数の棒状筋と、前記中心軸とほぼ直交する円周方向に配置され、前記複数の棒状筋と交差部を有する複数のフープ筋とを含んで構成された鉄筋籠であって、
前記棒状筋の内側に設けられ、これら棒状筋と交差部を有する補強用の帯状板を備え、
前記棒状筋と前記フープ筋との交差部が、溶接またはクリップ金具で固定され、
前記棒状筋と前記帯状板との交差部が、請求項1〜7のいずれかの項に記載の鉄筋固定用金具によって締め付けられていることを特徴とする鉄筋籠。 - 前記棒状筋と前記帯状板との交差部のうち、1周につき少なくとも4箇所が、請求項8に記載のスぺーサ付の鉄筋固定用金具によって固定されていることを特徴とする請求項10に記載の鉄筋籠。
- 請求項10または請求項11に記載の鉄筋籠を掘削孔へ建込む際に、前記棒状筋と前記帯状板とを固定している前記鉄筋固定用金具のうちの少なくとも一部を取り外し回収した後、前記鉄筋籠を前記掘削孔に挿入することを特徴とする鉄筋籠の建込方法。
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JP2012102477A (ja) * | 2010-11-08 | 2012-05-31 | Cup Shokai Co Ltd | 鉄筋固定用金具、鉄筋籠、及び鉄筋籠の組立工法 |
JP2016180266A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-13 | 東京鐵鋼株式会社 | 杭鉄筋籠 |
KR20180047258A (ko) * | 2016-10-31 | 2018-05-10 | 현대건설주식회사 | 철근 조립용 지그장치 |
JP2020076259A (ja) * | 2018-11-08 | 2020-05-21 | 株式会社恵信工業 | 鉄筋籠用の補強支持部材、これを用いた鉄筋籠、および、鉄筋籠の構造 |
-
2002
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