JP2004084078A - 複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体からなるA成分と融点が160℃以上の熱可塑性ポリマーからなるB成分とが複合されてなる複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分はA成分との界面において、4個以上配列する突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足し、さらに該熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の長軸の長さをa、短軸の長さをbとしたときに、a/b≧1.1であることを特徴とする複合繊維。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の熱可塑性ポリマーからなる繊維の製造技術では形成し得なかった表面構造を有する繊維に関するものであって、熱可塑性繊維でありながら、衣料用素材として、天然絹繊維と同様のキシミ風合を有し、かつ深みのある色調の表現が可能な繊維であり、また、抗スナッギング性、高濡れ性等の特徴も有する繊維に関し、非衣料としては、優れたワイピング性や優れた研磨性を発揮することのできる繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミドのフィラメントからなる織物、編物、不織布等の繊維構造物は、その構成フィラメントの単繊維繊度や断面形状が単調であるため、綿、麻等の天然繊維に比較して風合や光沢が単調で冷たく、繊維構造物としても品位は低いものであるという認識があった。
これらの欠点を改良するために、従来から繊維横断面の異形化、捲縮加工、複合繊維等が種々試みられているが、未だに十分に目的を達成していないのが現状である。例えば、特開昭56−165015号公報、特開昭57−5921号公報、特開昭58−98425号公報、特開昭61−239010号公報などに示されているような易溶解性ポリマーとポリエステルの複合繊維を形成し、その後、後加工によりドライタッチでキシミ感のある風合や独特の光沢を織編物に付与させたり、あるいは特公昭51−7202号公報、特開昭58−70771号公報、特開昭62−133118号公報などに示されているように繊維長さ方向に斑を付与させて風合を改良させる方法、あるいは特公昭53−35633号公報、特公昭56−16231号公報などに示されているように合成繊維をフィブリル化させて風合を改良させる方法、特公昭45−18072号公報で提案されているごとく仮撚融着糸を作成し、麻様のシャリ感を付与させる方法、あるいは特開昭63−6123号公報のように混繊融着加工糸を作成する方法、あるいは特開昭63−6161号公報のようにフィブリル化させる方法など種々のものが提案されている。
【0003】
また、深みのある色調を得るために、繊維表面に微細なクレーター状の凹凸を形成すること(特公昭59−24233号公報)、繊維の長手方向に沿って連続したスリット状の溝を少なくとも5個、繊維表面に設けること(特開昭60−151313号公報)などが提案されている。
このような方法は、比較的繊維径の太い繊維に適用することはできるが、極細繊維にこのような方法を適用することは困難であった。すなわち、極細繊維表面に凹凸を設けたり、あるいはスリット状の溝を設けたりすると、元来繊維径が極めて細いために極細繊維が切断されやすくなり、所望の引張り強度を持つ極細繊維が得られにくいのである。また、極細繊維にこのような方法を適用しても、繊維径は細いので鮮明な色彩に染色することは困難である。
【0004】
従って、前記した方法は、比較的繊維径の太い繊維にしか適用することができないため、かかる方法では深みのある色調の織編物を得ることはできるが、「ピーチ感」のあるソフトな風合を有する織編物を得ることはできなかった。更に従来の比較的繊維径の太い繊維は、基本的に繊維の横断面が円形で、全体として滑らかな表面を持っているため、キシミ感のある触感を与えることができないという課題があった。また、構成繊維の表面に凹凸状あるいはスリット状の傷が存在しているため、繊維の剛性が低下し、得られる織編物に十分な張り腰を付与することが困難であった。
これら過去の多くの提案は、更に高品質なものを望む現代の消費者の要求を満たすには十分なレベルとはいえない状況となってきた。しかも従来のものは一つの要求性能を満たすものが多く、用途に応じた複数の要求を満たすものが得られていなかったのが実情であり、高度化されてきた現代の要望に満足に応えられる素材がないのが問題点となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上述の従来技術の問題点に鑑み、衣料用素材として各種の要求性能(例えば、キシミ感、風合等)を発現し、非衣料用素材としても、例えば、優れたワイピング特性や研磨特性を発現する繊維形態を具現化すべく鋭意検討した結果、特定の水溶性熱可塑性ポリマーと特殊繊維断面を形成させることにより、衣料から非衣料まで幅広く利用可能な繊維となることを見出し本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体からなるA成分と融点が160℃以上の熱可塑性ポリマーからなるB成分とが複合されてなる複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分はA成分との界面において、4個以上配列する突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足し、さらに該熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の長軸の長さをa、短軸の長さをbとしたときに、a/b≧1.1であることを特徴とする複合繊維。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の複合繊維のA成分に使用される水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(以下、単にPVAと略称することもある)について説明する。
本発明で使用されるPVAとは、ポリビニルアルコールのホモポリマーは勿論のこと、例えば、共重合、末端変性、および後反応により官能基を導入した変性ポリビニルアルコールも包含するものである。
【0008】
本発明に用いられるPVAの粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)は200〜500が好ましく、230〜470がより好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が200未満の場合には紡糸時に十分な曳糸性が得られず、繊維化しにくい場合がある。重合度が500を越えると溶融粘度が高すぎて、紡糸ノズルから重合体を吐出することができない場合がある。また重合度500以下のいわゆる低重合度のPVAを用いることにより、水溶液で複合繊維を溶解するときに溶解速度が速くなるばかりでなく複合繊維が溶解する時の収縮を小さくすることができる。
【0009】
PVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再鹸化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
【0010】
本発明に用いられるPVAは、鹸化度が90〜99.99モル%であることが好ましい。より好ましくは93〜99.98モル%、さらに94〜99.97モル%が好ましく、96〜99.96モル%が特に好ましい。鹸化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な溶融紡糸ができない場合があり、また後述する共重合モノマーの種類によってPVAの水溶性が低下する場合がある。
一方、鹸化度が99.99モル%よりも大きいPVAは溶解性が低下しやすく又安定に製造することができず、安定した繊維化が困難となる。
【0011】
さらに本発明で使用される好ましいPVAは、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率が70〜99.9モル%で、融点が160℃〜230℃で、かつPVA100質量部に対してアルカリ金属イオンがナトリウムイオン換算で0.0003〜1質量部含有されていることが好ましい。
【0012】
本発明において、ポリビニルアルコールのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基とは、PVAのd6−DMSO溶液での500MHz プロトンNMR(JEOL GX−500)装置、65℃測定による水酸基プロトンのトライアッドのタクティシティを反映するピーク(I)を意味する。
ピーク(I)はPVAの水酸基のトライアッド表示のアイソタクティシティ連鎖(4.54ppm)、ヘテロタクティシティ連鎖(4.36ppm)およびシンジオタクティシティ連鎖(4.13ppm)の和で表されて、全てのビニルアルコールユニットにおける水酸基のピーク(II)はケミカルシフト4.05ppm〜4.70ppmの領域に現れることから、本発明のビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×(I)/(II)で表されるものである。
【0013】
PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が70モル%未満である場合には、重合体の結晶性が低下し、繊維強度が低くなると同時に、溶融紡糸時に繊維が膠着して巻取り後に巻き出しできない場合がある。また水溶性が得られない場合がある。
PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が99.9モル%より大の場合には、重合体の融点が高いため溶融紡糸温度を高くする必要があり、その結果、溶融紡糸時の重合体の熱安定性が悪く、分解、ゲル化、重合体着色が起こりやすい。
【0014】
また、本発明のPVAがエチレン変性のPVAである場合、下記式を満足することで本発明の効果は更に高くなるものである。
−1.5×Et+100≧モル分率≧−Et+85
ここで、モル分率(単位:モル%)はビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率を表し、Etはビニルアルコール系重合体が含有するエチレン含量(単位:モル%)を表す。
【0015】
従って、本発明に用いられるPVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量は72〜99モル%がより好ましく、74〜97モル%がさらに好ましく、76〜95モル%が特に好ましい。
【0016】
本発明に於いて用いられるポリビニルアルコールの水酸基3連鎖の中心水酸基の量を制御することで、PVAの水溶性、吸湿性など水に関わる諸物性、強度、伸度、弾性率など繊維に関わる諸物性、融点、溶融粘度など溶融紡糸性に関わる諸物性をコントロールできる。これはトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基は結晶性に富み、PVAの特長を発現させるためと思われる。
【0017】
本発明に用いられるPVAの融点(Tm)は160〜230℃であることが好ましく、170〜227℃がより好ましく、175〜224℃がさらに好ましく、180〜220℃が特に好ましい。融点が160℃未満の場合にはPVAの結晶性が低下し、複合繊維の繊維強度が低くなると同時に、該複合繊維の熱安定性が悪くなり、繊維化できない場合がある。一方、融点が230℃を越えると溶融紡糸温度が高くなり、紡糸温度とPVAの分解温度が近づくために複合繊維を安定に製造することができない場合がある。なお、PVAの融点は、DSCを用いて窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
【0018】
本発明に用いられるPVAは、ビニルエステル系重合体のビニルエステル単位を鹸化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
【0019】
また本発明で使用されるPVAは、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、共重合単位を導入した変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。これらの単量体の含有量は、通常20モル%以下である。
【0020】
これらの単量体の中でも、入手のしやすさなどから、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類に由来する単量体が好ましい。
【0021】
特に、共重合性、溶融紡糸性および繊維の水溶性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類がより好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に0.1〜20モル%存在していることが好ましく、より好ましくは1〜20モル%、さらに4〜15モル%が好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。
さらに、α−オレフィンがエチレンである場合において、繊維物性が高くなることから、特にエチレン単位が4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用することが好ましい。
【0022】
本発明で使用されるPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
【0023】
本発明で使用されるPVAにおけるアルカリ金属イオンの含有割合は、PVA100質量部に対してナトリウムイオン換算で0.0003〜1質量部であることが好ましく、0.0003〜0.8質量部がより好ましく、0.0005〜0.6質量部がさらに好ましく、0.0005〜0.5質量部が特に好ましい。アルカリ金属イオンの含有割合が0.0003質量部未満の場合には、十分な水溶性を示さず未溶解物が残る場合がある。またアルカリ金属イオンの含有量が1質量部より多い場合には溶融紡糸時の分解及びゲル化が著しく繊維化することができない場合がある。アルカリ金属イオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイオン等があげられる。
【0024】
本発明において、特定量のアルカリ金属イオンをPVA中に含有させる方法は特に制限されず、PVAを重合した後にアルカリ金属イオン含有の化合物を添加する方法、ビニルエステルの重合体を溶媒中において鹸化するに際し、鹸化触媒としてアルカリイオンを含有するアルカリ性物質を使用することによりPVA中にアルカリ金属イオンを配合し、鹸化して得られたPVAを洗浄液で洗浄することにより、PVA中に含まれるアルカリ金属イオン含有量を制御する方法などが挙げられるが後者のほうが好ましい。なお、アルカリ金属イオンの含有量は、原子吸光法で求めることができる。
【0025】
鹸化触媒として使用するアルカリ性物質としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがあげられる。鹸化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好ましく、0.005〜0.05が特に好ましい。鹸化触媒は、鹸化反応の初期に一括添加しても良いし、鹸化反応の途中で追加添加してもよい。
鹸化反応の溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく、含水率を0.001〜1質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.003〜0.9質量%に制御したメタノールがより好ましく、含水率を0.005〜0.8質量%に制御したメタノールが特に好ましい。洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。
洗浄液の量としてはアルカリ金属イオンの含有割合を満足するように設定されるが、通常、PVA100質量部に対して、300〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜10時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。
【0026】
また、本発明においては、上述のようなPVAを用いたとしても、PVAは一般的に汎用性の熱可塑性樹脂に比較して高温での溶融流動性に劣るため、必要に応じて、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびそのオリゴマー、ブチレングリコール及びそのオリゴマー、ポリグリセリン誘導体やグリセリン等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したグリセリン誘導体、ソルビトールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した誘導体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール及びその誘導体、PO/EOランダム共重合物等の可塑剤を1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の割合でPVAに配合すること曳糸性向上の点から好ましい。
そして、繊維化工程で熱分解が起こりにくく、良好な可塑化性、紡糸性を得るためには、ソルビトールのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンアルキルモノカルボン酸エステル、PO/EOランダム共重合物などの可塑剤を1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%配合することが好ましく、特にソルビトールのエチレンオキサイドを1〜30モル付加した化合物が好ましい。
【0027】
本発明の複合繊維のB成分を構成する熱可塑性重合体は、繊維形成可能な熱可塑性重合体であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系重合体やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ乳酸、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン、芳香族ビニルモノマーとジエン系モノマーとからの共重合体、又はその水添物、基本骨格がエチレン含有量25〜70モル%、鹸化度95%以上であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体やNy−6、Ny−66等のポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成される半芳香族ポリアミドを挙げることができる。特に、ポリエステル系においては、イソフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、セバチン酸、アジピン酸等で共重合されていてもよい。さらにB成分を構成する熱可塑性重合体には一般的に用いられる添加剤が含有されていても差し支えない。
本発明には、B成分の熱可塑性重合体に微粒子を添加する方が品質の安定性から好ましい。平均粒径が0.1μm以下の微粒子状不活性物質を0.5〜10重量%含有する。添加する微粒子としては、例えばシリカゾル、微粒子状シリカ、アルミナゾル、微粒子状アルミナ、極微粒子酸化チタン、炭酸カルシウムゾル、微粒子状炭酸カルシウム、分散安定性が良好に改善された変性シリカゾル、あるいはその他ポリエステル繊維の屈折率に近い微粒状不活性物質のコロイド等が用いられる。微粒子を10重量%を越えて添加した場合、繊維化工程性が不良となり適当でない。
【0028】
次に本発明において重要な要件である複合断面形状について詳述する。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、B成分はA成分との界面において、4個以上配列した状態で突起部が形成されていることが必要であり、突起部の数は、好ましくは7個以上、より好ましくは10個以上である。
また、本発明において重要なことは、B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足することである。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率
B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比XはB成分の複合比率により変化するが、(1)式が1.6倍以上であることが必要であり、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上である。即ち、B成分とA成分の質量複合比率が50:50である場合を例に挙げると、B成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比は、0.8以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.25以上である。X(L2/L1)が1.0以上のとき、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上のときに繊維間の接触面積が増え、衣料用素材として用いる場合には、接触抵抗が増し、好ましいキシミ感が発現し、合成繊維でありながら天然絹繊維のような風合が発現する。
また、非衣料繊維素材として用いる場合にも、L2がL1の10倍以上となることにより、例えば、ワイパーとして格段のワイピング性が発現する。また、突起部の数が4未満の場合には接触抵抗が低下し、キシミ感が発現しにくくなり、合成繊維でありながら天然絹繊維のような風合いが得られにくく、さらにワイパーとしての効果も得られにくくなる。
【0029】
さらに重要なことは、該熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の長軸の長さをa、短軸の長さをbとしたときに、a/b≧1.1である複合繊維とすることである。該数値以上の扁平断面にすることによって、衣料用としてのソフトで反発感のある良好な風合いが得られ、非衣料用途であるワイピング性においても接触面積の増加により、優れた拭き取り性能が発現する。ここで繊維横断面の長軸の長さとは、該熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面において、横断面の両端を結ぶ最も長い直線の距離とし、aと定義する。また、短軸の長さとは、上記直線aが該繊維横断面を平行移動した時の該繊維横断面両端を移動する直線の距離(平行移動時の接線間の最も長い直線の距離)とし、bと定義する。
【0030】
A成分ポリマーとB成分ポリマーの複合比率は90:10〜10:90(質量比率)であることが好ましく、特に70:30〜30:70がより好ましく、各々の複合形態や繊維断面形状により適宜設定可能である。A成分ポリマーの複合比率が10質量%未満の場合は複合繊維としての断面形成性が不安定となり、さらにA成分を溶解後のB成分の発色性、ふくらみのある風合いが不足する傾向にある。
一方、A成分ポリマーの複合比率が90質量%を越える複合繊維は、複合繊維としての断面形成性が不安定となり、さらにA成分を溶解後のB成分の繊維物性が劣る傾向があり好ましくない。
【0031】
また、複合繊維の断面形状はA成分ポリマーが繊維表面全体を覆う必要はなく、繊維化工程安定性の点で、該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有することが必要であり、90%以上であることが好ましい。そして、特に芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
【0032】
本発明においては、B成分ポリマーとして前記のような共重合ポリエステルを使用することによって鮮やかな発色性が得られるが、衣料用途にかかる繊維を用いる場合、発色性のみならず光沢をも併せ持つことが要求されている。通常、光沢を有する繊維は発色性が低下し、逆に発色性を優先させると光沢を付与することが難しい。本発明では繊維断面形状を特定することで鮮やかな発色性及び光沢をも有する繊維を得ることができる。光沢を付与するためには、光が反射する平坦な面が多いほどよく、またマイルドな異形度を有する平坦な面を保持した断面形状が有効である。このような断面として偏平異形断面が最適である。従って、a/b≧2である偏平断面が特に好ましい。
【0033】
上記した複合繊維においては、繊維の太さは特に限定されず、任意の太さにすることができるが、発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには複合繊維の単繊維繊度を0.3〜11dtex程度にしておくのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維でも本発明の効果が期待される。
【0034】
本発明の複合繊維の製造方法は、本発明の規定を満足する複合繊維が得られる方法であれば特に制限されるものではないが、複合紡糸装置を用いノズル導入口へA成分ポリマーとB成分ポリマーの複合流を導入するに際し、B成分からなる突起部の数に相当する数の細孔が設けられた分流板からB成分ポリマーを流し、それぞれの細孔から流れるB成分の流れ全体をA成分ポリマーで覆いながら、複合流を導入口の中心に向けて導入しノズルより吐出させることにより製造することができる。また、紡糸・延伸方法としては、低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と仮撚を同時に又は続いて行うなどの任意の方法を採用することができる。
【0035】
以上のようにして得られる本発明の繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独よりなる織編物、不織布はもちろんのこと、本発明の繊維を一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あるいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物、混綿不織布などであってもよいが、織編物や不織布に占める本発明繊維の割合は10質量%以上、好ましくは30質量%以上であることが好ましい。また、編成、織成あるいは不織布となした後に、必要に応じて針布起毛等による起毛処理やその他の仕上加工を施すことは何ら差し支えない。
【0036】
本発明の繊維は、長繊維では単独で又は一部に使用して織編物等を作成し、良好な風合を発現させた衣料用素材とすることができる。一方、短繊維では衣料用ステープル、乾式不織布および湿式不織布等があり、衣料用のみならず各種リビング資材、産業資材等の非衣料用途にも好適に使用することができる。また、繊維表面の微細な溝構造を有効に応用し、親水化処理された後の良好な吸収性を保持させた電池用セパレータ分野にも好適に使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでない。
【0038】
繊維化工程性:
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:断糸はなく、毛羽の発生が認められる
×:断糸が発生
【0039】
発色鮮明性及び光沢性:
一定の染色条件で染色した布帛を10人のパネラーにより官能評価した。その結果を、非常に優れるを2点、優れるを1点、劣るを0点とした。
○:合計点が15点以上
△:合計点が8〜14点
×:合計点が7点以下
【0040】
汚れの拭き取り性:
テーブル上の埃、水5ccの拭き取りテストを実施した。
◎:拭き残りなく優れていた
○:ごく少量の残りが見られるが良好
△:一部拭き取り不良がみられる
×:拭き取り不良がみられる
【0041】
[エチレン変性PVAの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2(5.8×105Pa)となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cm2(5.8×105Pa)に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。ついで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置して鹸化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたエチレン変性PVAの鹸化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.01質量部であった。
【0042】
また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをDMSO−d6に溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は8.4モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であつた。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であつた。
さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フイルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ208℃であった。
【0043】
実施例1
上記で得られた変性PVAをA成分として用い、酸化チタンを0.045質量%含有するイソフタル酸6モル%変性ポリエチレンテレフタレート(〔η〕=0.68、以下IPA6coPETと略称する)をB成分として用い、A成分ポリマーとB成分ポリマーの複合比率(質量比率)50:50の条件で、紡糸温度260℃、巻取り速度3500m/分で溶融複合紡糸し、図2に示すような断面形状の複合フィラメント糸(83dtex/24フィラメント)を得た。この複合繊維の芯成分(B成分)の突起部の個数は50個であり、芯成分(B成分)の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比L2/L1=5.0(X/C=10.0)であり、扁平度(a/b)は2.5であった。
ついで800T/Mの実撚を施し、編物を作製し、得られた編物を通常の液流染色機を使用して下記に示す染色条件で染色と同時にA成分を除去し、その後常法により乾燥仕上げセットを実施した。染色された編物は良好な発色、鮮明性と優れた光沢感を有しており、更にしっとりした良好な風合を有するものであった。得られた編物でワイパーとして汚れのふきとり性を調べたところ優れたワイピング性を示した。結果を表1に示す。
【0044】
染色方法
染 料:Dianix Navy Blue SPH conc 15%omf
分散助剤:Disper TL(明成化学工業社製) 1g/l
PH調整剤:ウルトラMTレベル 1g/l
浴 比: 1:50 温 度:130℃×40分
還元洗浄
ハイドロサルファイド 1g/l
アミラジン(第一工業製薬) 1g/l
NaOH 1g/l
浴 比: 1:30 温 度:80℃×120分
【0045】
【表1】
【0046】
実施例2〜5
複合比率、突起部個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。繊維化工程性、ワイピング性及び風合評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れたワイピング性と良好な風合を有していた。
【0047】
実施例6〜9
B成分ポリマーを表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
いずれも優れたワイピング性と良好な風合を有していた。
【0048】
実施例10〜12
A成分ポリマー、B成分ポリマー、断面形状を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。いずれも優れたワイピング性と良好な風合を有していた。
【0049】
比較例1〜3
B成分ポリマー及び断面形状、芯成分の突起個数を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。いずれもドライ感不足の風合であり、ワイピング性も劣るものであった。
【0050】
比較例4、5
複合比率を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。いずれも断面不良が多発し、繊維化工程性が不良であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の繊維は、表面溝構造に起因するさまざまな特徴を発揮し、衣料用途として用いる場合は、たとえば、良好なキシミ・ドライ風合を有する繊維となり、また、非衣料用として用いる場合は優れたワイピング性、優れた研磨性を発揮する素材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す断面写真
【図2】本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す概略図
【図3】本発明の繊維の複合断面形態の他の例を示す概略図
【図4】繊維の複合断面形態の他の例を示す概略図
【図5】繊維の複合断面形態の他の例を示す概略図
【符号の説明】
a 熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の長軸の長さ
b 熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の短軸の長さ
Claims (5)
- 水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体からなるA成分と融点が160℃以上の熱可塑性ポリマーからなるB成分とが複合されてなる複合繊維であって、A成分は該複合繊維の繊維断面周長の80%以上を占有し、B成分はA成分との界面において、4個以上配列する突起部を形成しており、かつB成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足し、さらに該熱可塑性ポリマーからなる繊維横断面の長軸の長さをa、短軸の長さをbとしたときに、a/b≧1.1であることを特徴とする複合繊維。
1.6≦X/C (1)
X;B成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
C;複合繊維全体を1としたときのB成分の質量複合比率 - A成分とB成分との質量複合比率が10:90〜90:10である請求項1に記載の複合繊維。
- 熱可塑性ポリマーがポリエステル、ポリオレフィン又はポリアミドである請求項1または2に記載の複合繊維。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の複合繊維を水または温水で処理し水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体からなるA成分を除去してなる繊維。
- 請求項4記載の繊維からなるワイパー。
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