JP2004083868A - 酸化防止剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温で液状であり0℃でも凝固せず、寒冷地での取り扱いや燃料油および潤滑油に添加する際の操作が容易であり、さらに有害性が指摘される2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを実質的に含有しない酸化防止剤の提供。
【解決手段】2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%および式(I)
【化5】
(式中、R1およびR2は、同一又は異なって、炭素数1〜18の炭化水素基、Xは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子の少なくとも一種を含有していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合含有基からなる群より選択される少なくとも一種の結合部又は置換基を表し、mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2、nおよびn’は、同一又は異なって、0又は1〜5の整数、s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない数である。)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%含有する酸化防止剤組成物が、前記課題を解決した。
【選択図】なし
【解決手段】2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%および式(I)
【化5】
(式中、R1およびR2は、同一又は異なって、炭素数1〜18の炭化水素基、Xは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子の少なくとも一種を含有していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合含有基からなる群より選択される少なくとも一種の結合部又は置換基を表し、mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2、nおよびn’は、同一又は異なって、0又は1〜5の整数、s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない数である。)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%含有する酸化防止剤組成物が、前記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンをはじめ、軽油、灯油、ジェット燃料油、重油等の燃料油及びエンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油に添加される酸化防止剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンをはじめ、軽油、灯油、ジェット燃料油、重油等の燃料油には一般に、数十ppmの酸化防止剤が添加されている。もし適当な種類・量の酸化防止剤が使用されなければ、不安定な炭化水素(主としてオレフィン系炭化水素)が酸素と結びつき,更に重合して燃料中にガム状物質(スラッジ)を生成し、燃料フィルターやキャブレター等をつまらせ、エンジンの正常な作動を妨げる。
一方、ガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、船用エンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油にも通常数千ppmの酸化防止剤が添加されている。一般的にこれらの潤滑油の主成分は、炭化水素であるが、これが酸素と反応すると主鎖切断や架橋が起こり、更に複雑な反応を繰り返したのち、最終的にはスラッジとなり、焼きつき、磨耗、フィルターの目詰まり、バルブの作動不良などのトラブルを引き起こす。これらを防ぐために燃料油や潤滑油には酸化防止剤が添加されている。
この目的で使用される酸化防止剤としては、ラジカル捕捉能を有するフェノール系化合物が一般的であり、ガムの発生原因となる重合反応の防止効果に優れるものである。
【0003】
これらフェノール化合物類には、
a:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
b:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール
c:2,6−ジ−t−ブチルフェノール
d:4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
e:2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール
f:2,6−ジ−t−ブチルフェノール(75%以上)、t−ブチルフェノール類及びトリ−t−ブチルフェノール類(25%以下)の混合物
g:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(72%以上)、t−ブチルメチルフェノール類及びt−ブチル−ジメチルフェノール類(28%以下)の混合物
h:2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール(55%以上)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(15%以上)、メチル及びジメチル−t−ブチルフェノール類(30%以下)の混合物
等が知られている。
【0004】
前述のa〜hの酸化防止剤は常温(15〜25℃)で固体状態であるものが多く、これをガソリン、軽油等の燃料油に添加する際、静電気の発生による爆発や飛散した粉末を作業者が吸入してしまう等の危険性がある。さらに粉体の酸化防止剤を燃料油に完全に溶解させる操作が必要となり、製造コスト増の原因にもなる。また、15〜25℃で液体のものも、0℃附近になると固化するので、このような温度に曝される寒冷地では注意が必要である。
【0005】
このため予め酸化防止剤をトルエン等の有機溶剤に溶解して液状とし、燃料油等に添加するという方法が実施されており、各種の液状酸化防止剤が市販されてきた。しかし、トルエン等の有機溶媒を添加した場合、有効な酸化防止剤の含有量が低下するため、添加量が多くなり包装資材や運送における経済的な問題や、これらの有機溶媒による引火点の低下等の悪影響があった。
【0006】
特許文献1には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール及び2−t−ブチルフェノールを一定の比率で混合することにより、該酸化防止剤組成物が室温で液状となることが記載されている。
【0007】
しかし、これらの酸化防止剤は、0℃以下の低温下で保管された場合、酸化防止剤成分が析出して固まりとなり、製造設備のバルブやノズル、ストレーナー等を詰まらせてしまうといった問題を抱えるものもあった。この凝固を防止するためには、有効成分濃度を下げるという方法もあるが、添加量あたりの酸化防止性能の低下につながるため合理的な方法とは言えない。
【0008】
このような問題を解決すべく種々の検討がなされており、特許文献2には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと2,6−ジ−t−ブチルフェノール及びアルキルフェノール類混合物を所定の比率で混合することにより、0℃以下においても凝固しない液状酸化防止剤が得られることが記載されている。しかし、ここで用いられる2,6−ジ−t−ブチルフェノール及びアルキルフェノール類混合物は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール製造工程における蒸留時の中間留分あるいは高沸点留分として得られるものであり、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを必ず不純物として多量に含有(数%以上)している。この2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールは人や動物に肝機能障害を起すことが知られており、また環境中で微生物等により生分解され難い化合物であること、さらに魚類等の生物に対しても高蓄積性の化合物であることから、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律により、最近第一種特定化学物質として指定され、その製造、使用が実質的に禁止されたものである。
【0009】
さらに特許文献3には、この組成に有機溶剤を添加することにより、−20℃でも凝固がみられない液状酸化防止剤も開示されている。しかし、これも2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの問題が解決された訳ではなく、有効な酸化防止剤の含量が低下するため、燃料油等への添加量を多くしなければならず、包装資材や運送における経済的問題や、酸化防止剤としての性能に不必要な有機溶媒による悪影響等といった新たな問題を提起している。
【0010】
前述の特許文献1には、フェノールとイソブチレンの反応において、アルミニウムフェノキサイドを経由させ、反応温度を制御することにより、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの生成を抑制できるという記載がある。ただし、これは反応の選択性が向上するという程度であり、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの有害性を考慮すれば、満足するレベルまで2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの生成を抑えることは不可能である。
【0011】
【特許文献1】英国特許第856458号明細書
【特許文献2】特許1983618号明細書
【特許文献3】特開平01−245092号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールは、法律により使用できなくなり、その不純物としての含有量も可能な限り少なくする必要がある。よって、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含有せず、さらに、燃料油又は潤滑油に容易に溶解・混合でき、寒冷地でも凍結し難い性状のもので、不必要な有機溶媒を使用することのない、安全衛生的、経済的、酸化防止性能的にも優れた液状酸化防止剤組成物が強く望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールと特定のアルキルフェノールとを特定の割合で混合したものが、0℃でも、望ましくは、−20℃でも、少なくとも1週間は液状を保持することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
t−ブチル基を有するアルキルフェノール類は、工業的には、フェノールあるいはt−ブチル基以外の置換基を有するアルキルフェノールにイソブチレンを付加させるブチレーション法により製造されるため、原料にフェノールを使用する場合や他の置換基を有するアルキルフェノールに不純物としてフェノールが含まれている場合には、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールが不純物として副生するため完全にゼロにすることは不可能である。しかし、不純物として殆どフェノールを含有しないt−ブチル基以外の置換基を有するアルキルフェノールが原料の場合や、フェノールを原料にしても蒸留により容易に不純物が分離可能な場合には、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含まない(5ppm以下)2,6−ジ−t−ブチルフェノール等を製造することが可能である。
【0015】
本発明の必須成分である2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールは、フェノールを含まないキシレノールを原料にしたものであり、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含有しないので、これによる毒性の問題を解決することができる。さらに本発明の酸化防止剤組成物は、不要な有機溶媒を使用することもなく、製造プロセスが簡略化でき、製造コストや包装資材・運送等のコストの低減にも寄与できる。
【0016】
すなわち、本発明は
(1)2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%および式(I)
【化2】
(式中、R1およびR2は、同一又は異なって、炭素数1〜18の炭化水素基、Xは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子の少なくとも一種を含有していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合含有基からなる群より選択される少なくとも一種の結合部又は置換基を表し、mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2、nおよびn’は、同一又は異なって、0又は1〜5の整数、s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない数である。)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%含有する0℃で少なくとも1週間液状を保つ酸化防止剤組成物、
(2)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(3)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(4)式(I)で示されるアルキルフェノールが、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)である(1)記載の酸化防止剤組成物、
(5)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(6)組成物が−20℃で少なくとも1週間保存しても液状を呈することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物、
(7)実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含まない(1)〜(6)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物、および
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物を1〜10,000ppm含有してなる燃料油組成物又は潤滑油組成物、
である。
【0017】
【発明の実施の形態】
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよび2,6−ジ−t−ブチルフェノール等式(I)で示されるアルキルフェノール類は市販されており、工業的純品として入手可能である。
2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールは、2,4−キシレノールをイソブチレンによりブチル化することにより得られるため、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを副生することなく製造することができる。
【0018】
前記アルキルフェノールは、次の式(I)で表される。
【化3】
(式中、各記号は、前記と同義である。)
式(I)において、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜18の炭化水素基であり、互いに同一でも又は異なるものでもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、t−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2である。nおよびn’は、0又は1〜5の整数であり、互いに同一でも又は異なるものでもよい。
【0019】
Xは、式(I)のフェノールグループの結合部又は置換基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はハロゲン原子のいずれかを含有してもよい炭素数1〜22の炭化水素基である。炭化水素基としてはアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基又はそれから誘導される不飽和基を挙げることができる。
s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない整数である。sあるいはtのいずれか1つが0である場合、Xは水素原子ともなりうる。
Xで示される基の好ましい具体例は次の(1)〜(4)のごときものである。また、エステル結合含有基は、−CO−O−を含むグループであり、具体例として下記の(5)〜(9)で示されるものを挙げることができる。アミド結合含有基は下記の(10)、スルフィド結合含有基は下記の(11)で表されるものを例示することができる。
【0020】
【化4】
【0021】
式(I)で表されるアルキルフェノールとしては、具体的には2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェノール、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,5−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,3−ジメチル−5−t−ブチルフェノール、2,5−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の組成物には、式(I)で示されるアルキルフェノールに包含される化合物を一種以上含んでいてもよい。
【0022】
本発明の酸化防止剤組成物は、大気圧下(本明細書においては、他に断りの無い限り、温度は全て大気圧下での測定値である。)0℃、好ましくは−20℃で液状を保たせるために2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%、式(I)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%の割合で混合する必要がある。好ましくは2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを50〜80重量%、式(I)で表されるアルキルフェノールを20〜50重量%の割合で混合したものであり、この処方においては−20℃の低温下でも液状を保つことができる。
【0023】
なお、本発明の酸化防止剤組成物の調製(混合)方法については、その方法、混合順序および混合条件等は特殊なものではなく、いずれも任意に行ってよい。
本発明の酸化防止剤組成物が好適に使用される燃料油は特に制限はなく、ガソリン、灯油、重油等の軽質油から重質油の広範囲にわたる燃料油に適用できるが、特に軽質油であるガソリン、灯油に適している。同様にガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、船用エンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油にも適用できるが、特にエンジン油、タービン油に適している。
【0024】
この場合、酸化防止剤組成物の燃料油に対する添加量は、油の種類や使用条件によっても異なるが、通常1〜1000ppmの範囲である。同様に潤滑油に対する添加量は、通常1,000〜10,000ppmである。なお、本発明の酸化防止剤組成物はアミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤、他のフェノール系酸化防止剤との併用が可能であり、オクタン価向上剤、清浄分散剤、セタン価向上剤、磨耗防止剤、極圧材剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、抗乳化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩擦調整剤等の添加剤とも併用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜6
2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール(純度99.4%)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(純度99.9%)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(純度98.0%以上)及び2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール(純度98.0%以上)を表1に示す割合になるよう混合、溶解して調製した組成物を凝固試験の試料とした。
凝固試験は、各試料20gを試験管に注入後密閉し、−5℃および−20℃の保冷庫にそれぞれ保管し、各試料の結晶の析出状態を目視にて観察した。
【0027】
比較例1〜5
各成分の混合比を表1に示す通り増減し、実施例1の試験方法に準じて凝固試験を行った。
【0028】
試験例1
実施例1〜6および比較例1〜5の組成物の凝固試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
24M6B:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
26DTBP:2,6−ジ−t−ブチルフェノール
DIPM:2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール
○:析出なし(液状)
×:析出(固化)
表1から明らかなように、本発明の酸化防止剤組成物は−5℃、−20℃で216時間放置後も析出物は認められなかった。これに対し、比較例の組成物は同条件で析出物が観察された。
【0030】
試験例2
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(26DTBP)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(24M6B)/BHT=8/2及び24M6B/26DTBP=3/7をそれぞれガソリン及び灯油に20ppm、40ppm添加し、酸素吸収誘導期間をJIS K 22287:1998に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
表2から明らかなように、本発明の組成物はBHTや26DTBPに比して全く遜色のない酸化防止性能を有している。
【0032】
【発明の効果】
本発明の酸化防止剤組成物は、常温で液状を示すとともに、0℃、望ましくは−20℃で1週間保存しても有効成分に凝固を生じないので、燃料油および潤滑油に添加する際に操作が容易となり、寒冷地の冬期においても取り扱い性が良好である。さらに従来の常温固体型酸化防止剤のように有機溶剤で予め溶解して燃料油および潤滑油に添加する必要がなく、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの分離が難しいアルキルフェノール混合物を添加しないので、有害性が指摘される2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールも実質的に含有しない。加えて該組成物はその成分の全てが酸化防止効果を有するアルキルフェノールとなるため、酸化防止剤としての添加効率に極めて優れる。また、本発明の酸化防止剤組成物は、その製法プロセスも簡略化でき、製造コストや包装資材・運送等のコストの低減にも寄与できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンをはじめ、軽油、灯油、ジェット燃料油、重油等の燃料油及びエンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油に添加される酸化防止剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンをはじめ、軽油、灯油、ジェット燃料油、重油等の燃料油には一般に、数十ppmの酸化防止剤が添加されている。もし適当な種類・量の酸化防止剤が使用されなければ、不安定な炭化水素(主としてオレフィン系炭化水素)が酸素と結びつき,更に重合して燃料中にガム状物質(スラッジ)を生成し、燃料フィルターやキャブレター等をつまらせ、エンジンの正常な作動を妨げる。
一方、ガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、船用エンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油にも通常数千ppmの酸化防止剤が添加されている。一般的にこれらの潤滑油の主成分は、炭化水素であるが、これが酸素と反応すると主鎖切断や架橋が起こり、更に複雑な反応を繰り返したのち、最終的にはスラッジとなり、焼きつき、磨耗、フィルターの目詰まり、バルブの作動不良などのトラブルを引き起こす。これらを防ぐために燃料油や潤滑油には酸化防止剤が添加されている。
この目的で使用される酸化防止剤としては、ラジカル捕捉能を有するフェノール系化合物が一般的であり、ガムの発生原因となる重合反応の防止効果に優れるものである。
【0003】
これらフェノール化合物類には、
a:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
b:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール
c:2,6−ジ−t−ブチルフェノール
d:4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
e:2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール
f:2,6−ジ−t−ブチルフェノール(75%以上)、t−ブチルフェノール類及びトリ−t−ブチルフェノール類(25%以下)の混合物
g:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(72%以上)、t−ブチルメチルフェノール類及びt−ブチル−ジメチルフェノール類(28%以下)の混合物
h:2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール(55%以上)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(15%以上)、メチル及びジメチル−t−ブチルフェノール類(30%以下)の混合物
等が知られている。
【0004】
前述のa〜hの酸化防止剤は常温(15〜25℃)で固体状態であるものが多く、これをガソリン、軽油等の燃料油に添加する際、静電気の発生による爆発や飛散した粉末を作業者が吸入してしまう等の危険性がある。さらに粉体の酸化防止剤を燃料油に完全に溶解させる操作が必要となり、製造コスト増の原因にもなる。また、15〜25℃で液体のものも、0℃附近になると固化するので、このような温度に曝される寒冷地では注意が必要である。
【0005】
このため予め酸化防止剤をトルエン等の有機溶剤に溶解して液状とし、燃料油等に添加するという方法が実施されており、各種の液状酸化防止剤が市販されてきた。しかし、トルエン等の有機溶媒を添加した場合、有効な酸化防止剤の含有量が低下するため、添加量が多くなり包装資材や運送における経済的な問題や、これらの有機溶媒による引火点の低下等の悪影響があった。
【0006】
特許文献1には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール及び2−t−ブチルフェノールを一定の比率で混合することにより、該酸化防止剤組成物が室温で液状となることが記載されている。
【0007】
しかし、これらの酸化防止剤は、0℃以下の低温下で保管された場合、酸化防止剤成分が析出して固まりとなり、製造設備のバルブやノズル、ストレーナー等を詰まらせてしまうといった問題を抱えるものもあった。この凝固を防止するためには、有効成分濃度を下げるという方法もあるが、添加量あたりの酸化防止性能の低下につながるため合理的な方法とは言えない。
【0008】
このような問題を解決すべく種々の検討がなされており、特許文献2には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと2,6−ジ−t−ブチルフェノール及びアルキルフェノール類混合物を所定の比率で混合することにより、0℃以下においても凝固しない液状酸化防止剤が得られることが記載されている。しかし、ここで用いられる2,6−ジ−t−ブチルフェノール及びアルキルフェノール類混合物は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール製造工程における蒸留時の中間留分あるいは高沸点留分として得られるものであり、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを必ず不純物として多量に含有(数%以上)している。この2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールは人や動物に肝機能障害を起すことが知られており、また環境中で微生物等により生分解され難い化合物であること、さらに魚類等の生物に対しても高蓄積性の化合物であることから、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律により、最近第一種特定化学物質として指定され、その製造、使用が実質的に禁止されたものである。
【0009】
さらに特許文献3には、この組成に有機溶剤を添加することにより、−20℃でも凝固がみられない液状酸化防止剤も開示されている。しかし、これも2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの問題が解決された訳ではなく、有効な酸化防止剤の含量が低下するため、燃料油等への添加量を多くしなければならず、包装資材や運送における経済的問題や、酸化防止剤としての性能に不必要な有機溶媒による悪影響等といった新たな問題を提起している。
【0010】
前述の特許文献1には、フェノールとイソブチレンの反応において、アルミニウムフェノキサイドを経由させ、反応温度を制御することにより、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの生成を抑制できるという記載がある。ただし、これは反応の選択性が向上するという程度であり、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの有害性を考慮すれば、満足するレベルまで2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの生成を抑えることは不可能である。
【0011】
【特許文献1】英国特許第856458号明細書
【特許文献2】特許1983618号明細書
【特許文献3】特開平01−245092号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールは、法律により使用できなくなり、その不純物としての含有量も可能な限り少なくする必要がある。よって、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含有せず、さらに、燃料油又は潤滑油に容易に溶解・混合でき、寒冷地でも凍結し難い性状のもので、不必要な有機溶媒を使用することのない、安全衛生的、経済的、酸化防止性能的にも優れた液状酸化防止剤組成物が強く望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールと特定のアルキルフェノールとを特定の割合で混合したものが、0℃でも、望ましくは、−20℃でも、少なくとも1週間は液状を保持することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
t−ブチル基を有するアルキルフェノール類は、工業的には、フェノールあるいはt−ブチル基以外の置換基を有するアルキルフェノールにイソブチレンを付加させるブチレーション法により製造されるため、原料にフェノールを使用する場合や他の置換基を有するアルキルフェノールに不純物としてフェノールが含まれている場合には、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールが不純物として副生するため完全にゼロにすることは不可能である。しかし、不純物として殆どフェノールを含有しないt−ブチル基以外の置換基を有するアルキルフェノールが原料の場合や、フェノールを原料にしても蒸留により容易に不純物が分離可能な場合には、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含まない(5ppm以下)2,6−ジ−t−ブチルフェノール等を製造することが可能である。
【0015】
本発明の必須成分である2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールは、フェノールを含まないキシレノールを原料にしたものであり、実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含有しないので、これによる毒性の問題を解決することができる。さらに本発明の酸化防止剤組成物は、不要な有機溶媒を使用することもなく、製造プロセスが簡略化でき、製造コストや包装資材・運送等のコストの低減にも寄与できる。
【0016】
すなわち、本発明は
(1)2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%および式(I)
【化2】
(式中、R1およびR2は、同一又は異なって、炭素数1〜18の炭化水素基、Xは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子の少なくとも一種を含有していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合含有基からなる群より選択される少なくとも一種の結合部又は置換基を表し、mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2、nおよびn’は、同一又は異なって、0又は1〜5の整数、s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない数である。)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%含有する0℃で少なくとも1週間液状を保つ酸化防止剤組成物、
(2)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(3)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(4)式(I)で示されるアルキルフェノールが、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)である(1)記載の酸化防止剤組成物、
(5)式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノールである(1)記載の酸化防止剤組成物、
(6)組成物が−20℃で少なくとも1週間保存しても液状を呈することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物、
(7)実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含まない(1)〜(6)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物、および
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化防止剤組成物を1〜10,000ppm含有してなる燃料油組成物又は潤滑油組成物、
である。
【0017】
【発明の実施の形態】
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールおよび2,6−ジ−t−ブチルフェノール等式(I)で示されるアルキルフェノール類は市販されており、工業的純品として入手可能である。
2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールは、2,4−キシレノールをイソブチレンによりブチル化することにより得られるため、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを副生することなく製造することができる。
【0018】
前記アルキルフェノールは、次の式(I)で表される。
【化3】
(式中、各記号は、前記と同義である。)
式(I)において、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜18の炭化水素基であり、互いに同一でも又は異なるものでもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、t−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。mおよびm’は、同一又は異なって、1又は2である。nおよびn’は、0又は1〜5の整数であり、互いに同一でも又は異なるものでもよい。
【0019】
Xは、式(I)のフェノールグループの結合部又は置換基であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はハロゲン原子のいずれかを含有してもよい炭素数1〜22の炭化水素基である。炭化水素基としてはアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基又はそれから誘導される不飽和基を挙げることができる。
s、tおよびuは、同一又は異なって、0又は1〜5の整数であるが、それらの2以上が同時に0となることはない整数である。sあるいはtのいずれか1つが0である場合、Xは水素原子ともなりうる。
Xで示される基の好ましい具体例は次の(1)〜(4)のごときものである。また、エステル結合含有基は、−CO−O−を含むグループであり、具体例として下記の(5)〜(9)で示されるものを挙げることができる。アミド結合含有基は下記の(10)、スルフィド結合含有基は下記の(11)で表されるものを例示することができる。
【0020】
【化4】
【0021】
式(I)で表されるアルキルフェノールとしては、具体的には2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェノール、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,5−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,3−ジメチル−5−t−ブチルフェノール、2,5−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の組成物には、式(I)で示されるアルキルフェノールに包含される化合物を一種以上含んでいてもよい。
【0022】
本発明の酸化防止剤組成物は、大気圧下(本明細書においては、他に断りの無い限り、温度は全て大気圧下での測定値である。)0℃、好ましくは−20℃で液状を保たせるために2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%、式(I)で表されるアルキルフェノールを10〜70重量%の割合で混合する必要がある。好ましくは2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを50〜80重量%、式(I)で表されるアルキルフェノールを20〜50重量%の割合で混合したものであり、この処方においては−20℃の低温下でも液状を保つことができる。
【0023】
なお、本発明の酸化防止剤組成物の調製(混合)方法については、その方法、混合順序および混合条件等は特殊なものではなく、いずれも任意に行ってよい。
本発明の酸化防止剤組成物が好適に使用される燃料油は特に制限はなく、ガソリン、灯油、重油等の軽質油から重質油の広範囲にわたる燃料油に適用できるが、特に軽質油であるガソリン、灯油に適している。同様にガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、船用エンジン油、ギヤー油、タービン油、作動油、難燃性作動液、冷凍機油、コンプレッサー油、真空ポンプ油、軸受油、絶縁油、しゅう動面油、ロックドリル油、金属加工油、塑性加工油、熱処理油、グリース等の潤滑油にも適用できるが、特にエンジン油、タービン油に適している。
【0024】
この場合、酸化防止剤組成物の燃料油に対する添加量は、油の種類や使用条件によっても異なるが、通常1〜1000ppmの範囲である。同様に潤滑油に対する添加量は、通常1,000〜10,000ppmである。なお、本発明の酸化防止剤組成物はアミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤、他のフェノール系酸化防止剤との併用が可能であり、オクタン価向上剤、清浄分散剤、セタン価向上剤、磨耗防止剤、極圧材剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、抗乳化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩擦調整剤等の添加剤とも併用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜6
2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール(純度99.4%)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(純度99.9%)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(純度98.0%以上)及び2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール(純度98.0%以上)を表1に示す割合になるよう混合、溶解して調製した組成物を凝固試験の試料とした。
凝固試験は、各試料20gを試験管に注入後密閉し、−5℃および−20℃の保冷庫にそれぞれ保管し、各試料の結晶の析出状態を目視にて観察した。
【0027】
比較例1〜5
各成分の混合比を表1に示す通り増減し、実施例1の試験方法に準じて凝固試験を行った。
【0028】
試験例1
実施例1〜6および比較例1〜5の組成物の凝固試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
24M6B:2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
26DTBP:2,6−ジ−t−ブチルフェノール
DIPM:2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノール
○:析出なし(液状)
×:析出(固化)
表1から明らかなように、本発明の酸化防止剤組成物は−5℃、−20℃で216時間放置後も析出物は認められなかった。これに対し、比較例の組成物は同条件で析出物が観察された。
【0030】
試験例2
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(26DTBP)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(24M6B)/BHT=8/2及び24M6B/26DTBP=3/7をそれぞれガソリン及び灯油に20ppm、40ppm添加し、酸素吸収誘導期間をJIS K 22287:1998に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
表2から明らかなように、本発明の組成物はBHTや26DTBPに比して全く遜色のない酸化防止性能を有している。
【0032】
【発明の効果】
本発明の酸化防止剤組成物は、常温で液状を示すとともに、0℃、望ましくは−20℃で1週間保存しても有効成分に凝固を生じないので、燃料油および潤滑油に添加する際に操作が容易となり、寒冷地の冬期においても取り扱い性が良好である。さらに従来の常温固体型酸化防止剤のように有機溶剤で予め溶解して燃料油および潤滑油に添加する必要がなく、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールの分離が難しいアルキルフェノール混合物を添加しないので、有害性が指摘される2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールも実質的に含有しない。加えて該組成物はその成分の全てが酸化防止効果を有するアルキルフェノールとなるため、酸化防止剤としての添加効率に極めて優れる。また、本発明の酸化防止剤組成物は、その製法プロセスも簡略化でき、製造コストや包装資材・運送等のコストの低減にも寄与できる。
Claims (8)
- 2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30〜90重量%および式(I)
- 式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである請求項1記載の酸化防止剤組成物。
- 式(I)で示されるアルキルフェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノールである請求項1記載の酸化防止剤組成物。
- 式(I)で示されるアルキルフェノールが、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)である請求項1記載の酸化防止剤組成物。
- 式(I)で示されるアルキルフェノールが2,6−ジ−イソプロピル−4−メチルフェノールである請求項1記載の酸化防止剤組成物。
- 組成物が−20℃で少なくとも1週間液状を保つ請求項1〜5のいずれかに記載の酸化防止剤組成物。
- 実質的に2,4,6−トリ−t−ブチルフェノールを含まない請求項1〜6のいずれかに記載の酸化防止剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の酸化防止剤組成物を1〜10,000ppm含有してなる燃料油組成物又は潤滑油組成物。
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- 2003-06-24 JP JP2003179197A patent/JP2004083868A/ja active Pending
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