JP2004083857A - 着色感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色材料を高濃度で含有しても、感度および保存安定性が高い着色感光性樹脂組成物、ならびに前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成した着色画素が表面平滑性、パターン形状および明度に優れた高品質のカラーフィルタを提供する。
【解決手段】
(A)バインダー樹脂、
(B)光重合性モノマー、
(C)光重合開始剤、
(D)着色材料および
(E)溶剤
を含有する着色感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤が、少なくとも(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含んでなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】
(A)バインダー樹脂、
(B)光重合性モノマー、
(C)光重合開始剤、
(D)着色材料および
(E)溶剤
を含有する着色感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤が、少なくとも(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含んでなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化型インキやフォトレジストなどに広く利用されている感光性樹脂組成物に関するものであり、特に、カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用される着色画像(以下、画素とも呼ばれる。)を形成するためのレジストに好適な着色感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶表示装置や撮像素子などにおけるカラーフィルタは通常、ガラスやシリコンウェハーなどの基板上に、赤、緑および青の三原色画素を形成することにより製造されている。また、これら画素間を遮光するためのブラックマトリックスを設けるのが普通である。そして、これら各色の画素を形成するには、遮光層がパターン形成された基板上に、各色に相当する顔料を含有するレジスト液をスピンコーターにより均一に塗布した後、加熱乾燥(プリベーク)し、その塗膜を露光、現像する方法が採用されており、これらの操作をカラーフィルタに必要とされる色毎に繰り返すことにより、各色の画像を得ている。このようなレジストとして、顔料およびバインダー樹脂とともに、光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する組成物が多く使用されている。また、ブラックマトリックスの形成にも、黒色顔料を含有するレジストを用いることがある。
【0003】
このようなレジストに使用される光重合開始剤は、カラーフィルタを作製するのに必要な特性および品質を左右することから、感度が高いもの、作製したカラーフィルタの表面平滑性、パターン形状、耐薬品性や信頼性が高いものが検討されている。それらの例としては、トリアジン系化合物、トリアジン系化合物とイミダゾール系化合物との混合物、トリアジン系化合物とイミダゾール系化合物とアミノアセトフェノン系化合物やベンゾフェノンとの混合物などを用いた着色感光性樹脂組成物が提案されている(特開平6−201913号公報、特開平6−324484号公報および特開平7−261014号公報など。)。さらに高感度化に関し、多官能チオール化合物並びにビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、トリアジン化合物およびオキサジアゾール化合物から選ばれる少なくとも一種からなる混合物、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、さらには前記のトリアジン化合物とビイミダゾール系化合物および水素供与体からなる混合物が提案されている(特開平10―253815号公報および特開2000―221675号公報など。)。これらのトリアジン系化合物を光重合開始剤成分とする着色感光性樹脂組成物から得られるカラーフィルタは、前述の長所があるものの、短所として、形成されるカラー画素の透過率が低くなったり、保存安定性に劣ったりという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着色材料を高濃度で含有しても感度および保存安定性が高い着色感光性樹脂組成物、ならびに前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成した着色画素が表面平滑性、パターン形状および明度に優れた高品質のカラーフィルタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の光重合開始剤を含む着色感光性樹脂組成物が前述の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、(A)バインダー樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、(D)着色材料および(E)溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤が、少なくとも(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含んでなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物、前記の着色感光性樹脂組成物を、基板または先に形成された着色感光性樹脂組成物の固形分からなる層の上に塗布し、塗布された着色感光性樹脂組成物層から揮発成分を除去し、フォトマスクを介して前記層を露光し、現像するパターンの形成方法、前記の方法で形成されたパターンを含むカラーフィルタおよび前記のカラーフィルタを使用した液晶表示装置を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、主に顔料分散レジストとして使用されるものであって、(E)溶剤中に、通常は顔料である(D)着色材料が分散され、さらに(A)バインダー樹脂、(B)光重合性モノマーおよび(C)光重合開始剤、任意に(F)その他の添加剤が、(E)溶剤に溶解又は分散されている。
【0008】
(A)バインダー樹脂は、アルカリ溶解性を有し、また着色材料の分散媒として作用するものである。本発明で用いられるバインダー樹脂として、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位を含む重合体が好ましく、共重合成分として、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合が可能な他のモノマーを含む共重合体がより好ましい。
【0009】
前記の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位としては、具体的には、アクリル酸から導かれる構成単位およびメタクリル酸から導かれる構成単位が挙げられる。アクリル酸から導かれる構成単位およびメタクリル酸から導かれる構成単位は、それぞれ単独で、又は両者を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル酸から導かれる構成単位やメタクリル酸から導かれる構成単位に加えて、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、他の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸から導かれる構成単位を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する構成単位を併用することもできる。
【0010】
前記の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸から導かれる構成単位およびヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する構成単位はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明に用いられるバインダー樹脂は、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合可能な構成単位を含むことが好ましく、前記の共重合可能な構成単位として(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位を含む共重合体がより好ましい。
【0012】
(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステルから導かれる構成単位;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の脂環式基を含むエステルから導かれる構成単位;
グリシジル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸グリシジルエステルから導かれる構成単位;
オキセタン(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸オキセタンエステルから導かれる構成単位;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートのようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位などが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸の無置換または置換アルキルエステルから導かれる構成単位や、(メタ)アクリル酸の脂環式基を含むエステルから導かれる構成単位が挙げられ、より好ましくは具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、とりわけ好ましくはベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位が挙げられる。
【0013】
さらに、前記の共重合体において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位および(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位と共重合が可能な他の構成単位を含むこともできる。前記の、他の構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステルから導かれる構成単位;
(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物から導かれる構成単位;
N−フェニルマレイミドのようなマレイミド化合物から導かれる構成単位などが挙げられる。
これらの、他の構成単位は、(A)バインダー樹脂の製造にあたって、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
(A)バインダー樹脂において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位を有する構成単位は、バインダー樹脂の全構成単位のうち、通常10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲で存在させるのが好ましい。不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が前記の基準で10〜50質量%であると、現像液への溶解性が十分であるので、未露光部の基板上に残渣が発生することなく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じることがなく画素全体が剥離することがない傾向にあり、好ましい。
【0015】
(A)バインダー樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは15,000〜50,000の範囲である。(A)バインダー樹脂の重量平均分子量が、10,000〜100,000の範囲にあると、現像時に膜減りが生じにくく、また現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
この(A)バインダー樹脂は、レジスト組成物中の全固形分量を基準に、通常5〜90質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲で含有される。(A)バインダー樹脂が、前記の基準で5〜90質量%であると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非画素部分の抜け性が良好な傾向にあり、好ましい。
【0016】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(B)光重合性モノマーは、光および後述する光重合開始剤の作用で重合しうる化合物であり、単官能モノマーの他、2官能、その他の多官能モノマーであることができる。
単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、2官能以上の多官能モノマーが好ましく用いられる。
(B)光重合性モノマーは、着色感光性樹脂組成物中の(A)バインダー樹脂および(B)光重合性モノマーの合計100質量部に対して、通常1〜60質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲で含有される。(B)光重合性モノマーの含有量が、前記の基準で1〜60質量部の範囲であると、画素部の強度や平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0017】
次に、本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(C)光重合開始剤は、(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含有する。(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を、それぞれ単独で用いると、得られる着色感光性樹脂組成物は十分な感度を有さないため、これを用いて形成する膜は現像時に膜減りを生じ好ましくない。そこで、(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を併用することで、得られる着色感光性樹脂組成物は高感度となり、またこれを用いて形成する膜はその画素部の強度や表面平滑性が良好となる。(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物に加えてさらに、(3)光重合開始助剤を併用することで、得られる着色感光性樹脂組成物は更に高感度となり、これを用いてカラーフィルタを形成する際の生産性が向上するので、好ましい。
【0018】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(1)多官能チオール化合物は、分子中にチオール基を2個以上有する化合物であり、特に脂肪族基にチオール基を複数有する脂肪族多官能チオール化合物が好ましい。本発明に使用される脂肪族多官能チオールの例としては、ヘキサンジチーオル、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネートおよび、これらの他に、多価ヒドロキシ化合物のチオグリコレート、チオプロピオネートなどが挙げられ、好ましくはトリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレートおよびペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられ、とりわけ好ましくはペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0019】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(2)アセトフェノン化合物の例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0020】
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、この分野で通常用いられている光重合開始剤等を併用することができ、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、s−トリアジン系化合物、アントラセン系化合物、およびその他の開始剤が挙げられる。より具体的には以下のような化合物を挙げることができ、これらをそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0022】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、 4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0023】
チオキサントン系化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0024】
s−トリアジン系化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0025】
アントラセン系化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0026】
その他の開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが挙げられる。
【0027】
また、光重合開始剤に(3)光重合開始助剤を組み合わせて用いることもできる。光重合開始助剤としては、アミン化合物が好ましく、芳香族アミン化合物がより好ましい。光重合開始助剤の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる(C)光重合開始剤において、(A)バインダー樹脂および(B)光重合性モノマーの合計100質量部に対し、(1)多官能チオール化合物は、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、(2)アセトフェノン化合物は、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、および(3)光重合開始助剤は、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部の範囲で含まれる。また、(1)多官能チオール化合物、(2)アセトフェノン化合物および(3)光重合開始助剤の合計量は、前記の基準で、通常0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部の範囲で含有される。
(1)多官能チオール化合物の量、および(2)アセトフェノン化合物の量が、前記の範囲にあると、着色感光性樹脂組成物が高感度となり、前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成した画素部の強度や、前記の画素の表面における平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。前記の(1)多官能チオール化合物の量、および(2)アセトフェノン化合物の量に加えて、(3)光重合開始助剤の量が前記の範囲にあると、また(1)〜(3)の合計量が前記の範囲にあると、得られる着色感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成するカラーフィルタの生産性が向上する傾向にあり、好ましい。
【0029】
(D)着色材料は、通常顔料であり、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料であることができる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment) に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
C.I.ピグメントイエロー 20, 24, 31, 53, 83, 86, 93, 94, 109, 110, 117, 125, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 153, 154, 166 および 173;
C.I.ピグメントオレンジ 13, 31, 36, 38, 40, 42, 43, 51, 55, 59, 61, 64 65, および71;
C.I.ピグメントレッド 9, 97, 105, 122, 123, 144, 149, 166, 168, 176, 177, 180, 192, 215, 216, 224, 242, および254;
C.I.ピグメントバイオレット 14, 19, 23, 29, 32, 33, 36, 37 および 38;
C.I.ピグメントブルー 15(15:3, 15:4, 15:6 など), 21, 22, 28, 60 および 64;
C.I.ピグメントグリーン 7, 10, 15, 25, 36 および 47;
C.I.ピグメントブラウン 28;
C.I.ピグメントブラック 1 および 7 など。
【0031】
これらの(D)着色材料は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。(D)着色材料は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分量を基準に、通常5〜60質量%、好ましくは10〜55質量%の範囲で用いられる。(D)着色材料の含有量が、前記基準で5〜50質量部の範囲であると、薄膜にしても画素の色濃度が十分であり、現像時に非画素部の抜け性が低下することがないため、残渣が発生しにくい傾向があり、好ましい。
【0032】
本発明の着色感光性樹脂組成物において用いられる(E)溶剤は、この分野で用いられている各種のものであることができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルのようなジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートのようなアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンのような芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールおよびグリセリンのようなアルコール類;
3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルのようなエステル類;
γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などが挙げられる。
これらの(E)溶剤は、それぞれ単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。
(E)溶剤の使用量は、それを含む着色感光性樹脂組成物全体の量を基準に、通常60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。(E)溶剤の含有量が、前記基準で0.1〜50質量部の範囲であると、塗布性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0033】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止材などの(F)添加剤を混合使用することもできる。
充填剤として具体的には、ガラス、シリカ、アルミナなどが、他の高分子化合物として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレートなどを用いることができる。
顔料分散剤はとしては、市販の顔料分散剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。前記の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファックス(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
密着促進剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
酸化防止剤として具体的には、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
また凝集剤として具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、(D)着色材料を予め(E)溶剤と混合し、着色材料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させる。この際、必要に応じて顔料分散剤が使用され、また(A)バインダー樹脂の一部又は全部が配合されることもある。得られた分散液(ミルベース)に、(A)バインダー樹脂の残り、(B)光重合性モノマーおよび(C)光重合開始剤、必要に応じて使用されるその他の成分、さらには必要により追加の溶剤を、所定の濃度となるように添加し、目的の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0035】
こうして調製された感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして基材上に塗布し、光硬化および現像を行って、ブラックマトリックス又は着色画像とすることができる。まず、この組成物を基板(通常はガラス)上にスピンコートし、加熱乾燥(プリベーク)することにより溶剤を除去して、平滑な塗膜を得る。このときの塗膜の厚さは、およそ1〜3μm程度である。このようにして得られた塗膜に、目的のブラックマトリックス又は画像を形成するためのネガマスクを介して紫外線を照射する。この際、露光部全体に均一に平行光線が照射され、かつマスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナーなどの装置を使用するのが好ましい。さらにこの後、硬化の終了した塗膜を希アルカリ水溶液に接触させて非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするブラックマトリックス又は画像が得られる。現像後、必要に応じて150〜230℃で10〜60分程度の後硬化(ポストベーク)を施すこともできる。
【0036】
パターニング露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。
アルカリ性化合物は、無機 および有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0037】
またアルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01〜10質量%の範囲、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0038】
以上のような感光性樹脂液の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターニング露光、そして現像という各操作を経て、感光性樹脂組成物中の着色材料の色に相当する画素又はブラックマトリックスが得られ、さらにこれらの操作を、カラーフィルタに必要とされる色の数だけ繰り返すことにより、カラーフィルタが得られる。すなわち、カラーフィルタは通常、ブラックマトリックス並びに、赤、緑および青の三原色画素を基板上に配置したものであるが、ある色に相当する着色材料を含む本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて上記の操作を行うことにより、その色のブラックマトリックス又は画素を得、他の色についても所望の色に相当する着色材料を含む本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて同様の操作を行い、ブラックマトリックス および三原色画素を基板上に配置することができる。もちろん、ブラックマトリックスおよび三原色のうちいずれか一色、二色又は三色にのみ、本発明の感光性樹脂組成物を適用することも可能である。なお、遮光層であるブラックマトリックスは、例えば、クロム層などで形成されることもあるので、この場合にはもちろん、ブラックマトリックスの形成に本発明の着色感光性樹脂組成物を用いる必要はない。
【0039】
そして、本発明の感光液を用いて製造されたカラーフィルタは、面内の膜厚差が小さく、例えば1〜3μmの膜厚で、面内膜厚差を0.15μm以下、さらには0.05μm以下とすることができる。したがって、こうして得られるカラーフィルタは、平滑性および透明性に優れたものであり、またこれをカラー液晶表示装置に組み込むことにより、優れた品質の液晶パネルを高い歩留りで製造することができる。
【0040】
【実施例】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味 および範囲内でのすべての変更を含むものである。以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特にことわらないかぎり質量基準である。
【0041】
実施例1
【0042】
表1に記載の各成分のうち、予め顔料および顔料分散剤の全量と、溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを混合した。この際、顔料および顔料分散剤の合計量が混合物に対して20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合した。前記の混合物を、ビーズミルを用いて、混合物中の顔料を十分に分散させ、これにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの残量を含む残りの成分を加えてさらに混合し、感光性樹脂組成物を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
2インチ角のコーニング社製#7059ガラス基板を、中性洗剤、水 およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、上で調製した感光性樹脂組成物をスピンコートし、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークした。冷却後、このレジスト塗布基板と石英ガラス製フォトマスク(透過率を1〜100%の範囲で階段状に変化させるパターンと1ミクロンから50ミクロンまでのライン/スペースパターンを有する)との間隔を100μmとし、ウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプを用いて大気雰囲気下、400mJ/cm2の露光量で光照射した。その後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を室温で所定時間浸漬して現像し、水洗後、220℃で30分間ポストベークを行った。そして、プリベーク後、現像後およびポストベーク後の基板表面を観察し、以下の項目について結果を表2および表3にまとめて示した。
【0045】
実施例2
実施例1において、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンを、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルズ社製、“IRGACURE 907”)に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0046】
実施例3
実施例2において、Sumi−epoxy ESCN−195XL0.41部を表1のバインダーポリマーに変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0047】
実施例4
実施例2において、顔料7.34部をC.I.ピグメントレッド254 6.10部、C.I.ピグメントレッド177 1.24部に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0048】
実施例5
実施例2において、顔料7.34部をC.I.ピグメントブルー15:6 6.24部、C.I.ピグメントバイオレット23 1.10部に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0049】
比較例1
実施例1において、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート 0.65部を2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン(日本シーベルヘグナー(株)製、“トリアジン−PP”) 0.65部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0050】
比較例2
比較例1において、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン 1.11部を2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン 1.11部に、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン 0.65部を2−メルカプトベンゾチアゾール 0.65部に変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
表中の注釈の説明
*1:配合してから23℃/0日目および7日目に、プリベーク後の塗膜表面を目視観察した。(○;差なし。△;やや劣る。×;劣る。)
*2:現像しても表面荒れがないパターンを形成するために必要な最低必要露光量を示す。
*3:画素部のC光源、2度視野のCIE色度(x、y、Y)を顕微分光測光装置により測定した。同一色度(x,y)において、Y値が大きいほど明度が高いことを示す。Greenは(0.285、0.589)、Redは(0.650,0.325)、Blueは(0.141,0.060)に色度を合わせた。
*4:触針式膜厚計(ULVAC社製 Dektak3型)にて、ポストベーク後画素部の膜厚を測定した。
なお、感度、明度および膜厚の測定は、配合してから23℃/0日目に測定した。
*5:露光量200mJ/cm2で露光し、現像およびポストベーク(220℃×20分)後の画素断面を走査型電子顕微鏡観察した。(逆テーパー形状でない形状;○、逆テーパー形状;×)
*6:露光量200mJ/cm2で露光し、現像工程を省略したポストベーク後の基板を各種溶媒に23℃で30分間浸漬した。浸漬前後の色変化(ΔEab*)と(ΔEab*<3;○、ΔEab*≧3;×)、浸漬後塗膜の密着力テストを実施した。密着力テストは、カッターナイフで、1mm×1mmの升目を100個作製し、セロハンテープで剥離試験を行い、基板に残った升目の数をカウントした。
*7: 露光量200mJ/cm2で露光し、現像工程を省略したポストベーク後の基板を230℃で120分間放置した。試験前後の色変化(ΔEab*)を測定した(ΔEab*<3;○、ΔEab*≧3;×)。
【0054】
表2および表3から、本発明の光重合開始剤を含む実施例1〜5の着色感光性樹脂組成物では、高感度、高明度および保存安定性のバランスがとれていることがわかるが、本発明の(C)光重合開始剤を含まない比較例1、2の着色感光性樹脂組成物では、高感度の着色感光性樹脂組成物もあるが、明度および保存安定性に劣るものがあることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色材料を高濃度で含有しても、感度および保存安定性に優れたものであり、本発明の着色感光性樹脂組成物により得られる着色画素は、表面平滑性、パターン形状、および明度に優れる。したがって、本発明の着色感光性樹脂組成物を顔料分散レジストとして使用し、カラーフィルタを作製した場合、生産性に優れ、かつ高品質なカラーフィルタを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化型インキやフォトレジストなどに広く利用されている感光性樹脂組成物に関するものであり、特に、カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用される着色画像(以下、画素とも呼ばれる。)を形成するためのレジストに好適な着色感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶表示装置や撮像素子などにおけるカラーフィルタは通常、ガラスやシリコンウェハーなどの基板上に、赤、緑および青の三原色画素を形成することにより製造されている。また、これら画素間を遮光するためのブラックマトリックスを設けるのが普通である。そして、これら各色の画素を形成するには、遮光層がパターン形成された基板上に、各色に相当する顔料を含有するレジスト液をスピンコーターにより均一に塗布した後、加熱乾燥(プリベーク)し、その塗膜を露光、現像する方法が採用されており、これらの操作をカラーフィルタに必要とされる色毎に繰り返すことにより、各色の画像を得ている。このようなレジストとして、顔料およびバインダー樹脂とともに、光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する組成物が多く使用されている。また、ブラックマトリックスの形成にも、黒色顔料を含有するレジストを用いることがある。
【0003】
このようなレジストに使用される光重合開始剤は、カラーフィルタを作製するのに必要な特性および品質を左右することから、感度が高いもの、作製したカラーフィルタの表面平滑性、パターン形状、耐薬品性や信頼性が高いものが検討されている。それらの例としては、トリアジン系化合物、トリアジン系化合物とイミダゾール系化合物との混合物、トリアジン系化合物とイミダゾール系化合物とアミノアセトフェノン系化合物やベンゾフェノンとの混合物などを用いた着色感光性樹脂組成物が提案されている(特開平6−201913号公報、特開平6−324484号公報および特開平7−261014号公報など。)。さらに高感度化に関し、多官能チオール化合物並びにビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、トリアジン化合物およびオキサジアゾール化合物から選ばれる少なくとも一種からなる混合物、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、さらには前記のトリアジン化合物とビイミダゾール系化合物および水素供与体からなる混合物が提案されている(特開平10―253815号公報および特開2000―221675号公報など。)。これらのトリアジン系化合物を光重合開始剤成分とする着色感光性樹脂組成物から得られるカラーフィルタは、前述の長所があるものの、短所として、形成されるカラー画素の透過率が低くなったり、保存安定性に劣ったりという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、着色材料を高濃度で含有しても感度および保存安定性が高い着色感光性樹脂組成物、ならびに前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成した着色画素が表面平滑性、パターン形状および明度に優れた高品質のカラーフィルタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の光重合開始剤を含む着色感光性樹脂組成物が前述の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、(A)バインダー樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、(D)着色材料および(E)溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤が、少なくとも(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含んでなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物、前記の着色感光性樹脂組成物を、基板または先に形成された着色感光性樹脂組成物の固形分からなる層の上に塗布し、塗布された着色感光性樹脂組成物層から揮発成分を除去し、フォトマスクを介して前記層を露光し、現像するパターンの形成方法、前記の方法で形成されたパターンを含むカラーフィルタおよび前記のカラーフィルタを使用した液晶表示装置を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、主に顔料分散レジストとして使用されるものであって、(E)溶剤中に、通常は顔料である(D)着色材料が分散され、さらに(A)バインダー樹脂、(B)光重合性モノマーおよび(C)光重合開始剤、任意に(F)その他の添加剤が、(E)溶剤に溶解又は分散されている。
【0008】
(A)バインダー樹脂は、アルカリ溶解性を有し、また着色材料の分散媒として作用するものである。本発明で用いられるバインダー樹脂として、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位を含む重合体が好ましく、共重合成分として、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合が可能な他のモノマーを含む共重合体がより好ましい。
【0009】
前記の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位としては、具体的には、アクリル酸から導かれる構成単位およびメタクリル酸から導かれる構成単位が挙げられる。アクリル酸から導かれる構成単位およびメタクリル酸から導かれる構成単位は、それぞれ単独で、又は両者を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル酸から導かれる構成単位やメタクリル酸から導かれる構成単位に加えて、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、他の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸から導かれる構成単位を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する構成単位を併用することもできる。
【0010】
前記の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸から導かれる構成単位およびヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する構成単位はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明に用いられるバインダー樹脂は、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合可能な構成単位を含むことが好ましく、前記の共重合可能な構成単位として(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位を含む共重合体がより好ましい。
【0012】
(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステルから導かれる構成単位;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の脂環式基を含むエステルから導かれる構成単位;
グリシジル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸グリシジルエステルから導かれる構成単位;
オキセタン(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸オキセタンエステルから導かれる構成単位;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートのようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位などが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸の無置換または置換アルキルエステルから導かれる構成単位や、(メタ)アクリル酸の脂環式基を含むエステルから導かれる構成単位が挙げられ、より好ましくは具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、とりわけ好ましくはベンジル(メタ)アクリレートから導かれる構成単位が挙げられる。
【0013】
さらに、前記の共重合体において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位および(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位と共重合が可能な他の構成単位を含むこともできる。前記の、他の構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステルから導かれる構成単位;
(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物から導かれる構成単位;
N−フェニルマレイミドのようなマレイミド化合物から導かれる構成単位などが挙げられる。
これらの、他の構成単位は、(A)バインダー樹脂の製造にあたって、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
(A)バインダー樹脂において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位を有する構成単位は、バインダー樹脂の全構成単位のうち、通常10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲で存在させるのが好ましい。不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が前記の基準で10〜50質量%であると、現像液への溶解性が十分であるので、未露光部の基板上に残渣が発生することなく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じることがなく画素全体が剥離することがない傾向にあり、好ましい。
【0015】
(A)バインダー樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは15,000〜50,000の範囲である。(A)バインダー樹脂の重量平均分子量が、10,000〜100,000の範囲にあると、現像時に膜減りが生じにくく、また現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
この(A)バインダー樹脂は、レジスト組成物中の全固形分量を基準に、通常5〜90質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲で含有される。(A)バインダー樹脂が、前記の基準で5〜90質量%であると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非画素部分の抜け性が良好な傾向にあり、好ましい。
【0016】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(B)光重合性モノマーは、光および後述する光重合開始剤の作用で重合しうる化合物であり、単官能モノマーの他、2官能、その他の多官能モノマーであることができる。
単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、2官能以上の多官能モノマーが好ましく用いられる。
(B)光重合性モノマーは、着色感光性樹脂組成物中の(A)バインダー樹脂および(B)光重合性モノマーの合計100質量部に対して、通常1〜60質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲で含有される。(B)光重合性モノマーの含有量が、前記の基準で1〜60質量部の範囲であると、画素部の強度や平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0017】
次に、本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(C)光重合開始剤は、(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含有する。(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を、それぞれ単独で用いると、得られる着色感光性樹脂組成物は十分な感度を有さないため、これを用いて形成する膜は現像時に膜減りを生じ好ましくない。そこで、(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を併用することで、得られる着色感光性樹脂組成物は高感度となり、またこれを用いて形成する膜はその画素部の強度や表面平滑性が良好となる。(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物に加えてさらに、(3)光重合開始助剤を併用することで、得られる着色感光性樹脂組成物は更に高感度となり、これを用いてカラーフィルタを形成する際の生産性が向上するので、好ましい。
【0018】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(1)多官能チオール化合物は、分子中にチオール基を2個以上有する化合物であり、特に脂肪族基にチオール基を複数有する脂肪族多官能チオール化合物が好ましい。本発明に使用される脂肪族多官能チオールの例としては、ヘキサンジチーオル、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネートおよび、これらの他に、多価ヒドロキシ化合物のチオグリコレート、チオプロピオネートなどが挙げられ、好ましくはトリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレートおよびペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられ、とりわけ好ましくはペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0019】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる(2)アセトフェノン化合物の例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0020】
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、この分野で通常用いられている光重合開始剤等を併用することができ、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、s−トリアジン系化合物、アントラセン系化合物、およびその他の開始剤が挙げられる。より具体的には以下のような化合物を挙げることができ、これらをそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
ベンゾイン系化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0022】
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、 4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0023】
チオキサントン系化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0024】
s−トリアジン系化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0025】
アントラセン系化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0026】
その他の開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが挙げられる。
【0027】
また、光重合開始剤に(3)光重合開始助剤を組み合わせて用いることもできる。光重合開始助剤としては、アミン化合物が好ましく、芳香族アミン化合物がより好ましい。光重合開始助剤の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる(C)光重合開始剤において、(A)バインダー樹脂および(B)光重合性モノマーの合計100質量部に対し、(1)多官能チオール化合物は、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、(2)アセトフェノン化合物は、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、および(3)光重合開始助剤は、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部の範囲で含まれる。また、(1)多官能チオール化合物、(2)アセトフェノン化合物および(3)光重合開始助剤の合計量は、前記の基準で、通常0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部の範囲で含有される。
(1)多官能チオール化合物の量、および(2)アセトフェノン化合物の量が、前記の範囲にあると、着色感光性樹脂組成物が高感度となり、前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成した画素部の強度や、前記の画素の表面における平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。前記の(1)多官能チオール化合物の量、および(2)アセトフェノン化合物の量に加えて、(3)光重合開始助剤の量が前記の範囲にあると、また(1)〜(3)の合計量が前記の範囲にあると、得られる着色感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、前記の着色感光性樹脂組成物を用いて形成するカラーフィルタの生産性が向上する傾向にあり、好ましい。
【0029】
(D)着色材料は、通常顔料であり、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料であることができる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment) に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
C.I.ピグメントイエロー 20, 24, 31, 53, 83, 86, 93, 94, 109, 110, 117, 125, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 153, 154, 166 および 173;
C.I.ピグメントオレンジ 13, 31, 36, 38, 40, 42, 43, 51, 55, 59, 61, 64 65, および71;
C.I.ピグメントレッド 9, 97, 105, 122, 123, 144, 149, 166, 168, 176, 177, 180, 192, 215, 216, 224, 242, および254;
C.I.ピグメントバイオレット 14, 19, 23, 29, 32, 33, 36, 37 および 38;
C.I.ピグメントブルー 15(15:3, 15:4, 15:6 など), 21, 22, 28, 60 および 64;
C.I.ピグメントグリーン 7, 10, 15, 25, 36 および 47;
C.I.ピグメントブラウン 28;
C.I.ピグメントブラック 1 および 7 など。
【0031】
これらの(D)着色材料は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。(D)着色材料は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分量を基準に、通常5〜60質量%、好ましくは10〜55質量%の範囲で用いられる。(D)着色材料の含有量が、前記基準で5〜50質量部の範囲であると、薄膜にしても画素の色濃度が十分であり、現像時に非画素部の抜け性が低下することがないため、残渣が発生しにくい傾向があり、好ましい。
【0032】
本発明の着色感光性樹脂組成物において用いられる(E)溶剤は、この分野で用いられている各種のものであることができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルのようなジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートのようなアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンのような芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールおよびグリセリンのようなアルコール類;
3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルのようなエステル類;
γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などが挙げられる。
これらの(E)溶剤は、それぞれ単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。
(E)溶剤の使用量は、それを含む着色感光性樹脂組成物全体の量を基準に、通常60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。(E)溶剤の含有量が、前記基準で0.1〜50質量部の範囲であると、塗布性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0033】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止材などの(F)添加剤を混合使用することもできる。
充填剤として具体的には、ガラス、シリカ、アルミナなどが、他の高分子化合物として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレートなどを用いることができる。
顔料分散剤はとしては、市販の顔料分散剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。前記の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファックス(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
密着促進剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
酸化防止剤として具体的には、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
また凝集剤として具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、(D)着色材料を予め(E)溶剤と混合し、着色材料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させる。この際、必要に応じて顔料分散剤が使用され、また(A)バインダー樹脂の一部又は全部が配合されることもある。得られた分散液(ミルベース)に、(A)バインダー樹脂の残り、(B)光重合性モノマーおよび(C)光重合開始剤、必要に応じて使用されるその他の成分、さらには必要により追加の溶剤を、所定の濃度となるように添加し、目的の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0035】
こうして調製された感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして基材上に塗布し、光硬化および現像を行って、ブラックマトリックス又は着色画像とすることができる。まず、この組成物を基板(通常はガラス)上にスピンコートし、加熱乾燥(プリベーク)することにより溶剤を除去して、平滑な塗膜を得る。このときの塗膜の厚さは、およそ1〜3μm程度である。このようにして得られた塗膜に、目的のブラックマトリックス又は画像を形成するためのネガマスクを介して紫外線を照射する。この際、露光部全体に均一に平行光線が照射され、かつマスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナーなどの装置を使用するのが好ましい。さらにこの後、硬化の終了した塗膜を希アルカリ水溶液に接触させて非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするブラックマトリックス又は画像が得られる。現像後、必要に応じて150〜230℃で10〜60分程度の後硬化(ポストベーク)を施すこともできる。
【0036】
パターニング露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。
アルカリ性化合物は、無機 および有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0037】
またアルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01〜10質量%の範囲、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0038】
以上のような感光性樹脂液の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターニング露光、そして現像という各操作を経て、感光性樹脂組成物中の着色材料の色に相当する画素又はブラックマトリックスが得られ、さらにこれらの操作を、カラーフィルタに必要とされる色の数だけ繰り返すことにより、カラーフィルタが得られる。すなわち、カラーフィルタは通常、ブラックマトリックス並びに、赤、緑および青の三原色画素を基板上に配置したものであるが、ある色に相当する着色材料を含む本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて上記の操作を行うことにより、その色のブラックマトリックス又は画素を得、他の色についても所望の色に相当する着色材料を含む本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて同様の操作を行い、ブラックマトリックス および三原色画素を基板上に配置することができる。もちろん、ブラックマトリックスおよび三原色のうちいずれか一色、二色又は三色にのみ、本発明の感光性樹脂組成物を適用することも可能である。なお、遮光層であるブラックマトリックスは、例えば、クロム層などで形成されることもあるので、この場合にはもちろん、ブラックマトリックスの形成に本発明の着色感光性樹脂組成物を用いる必要はない。
【0039】
そして、本発明の感光液を用いて製造されたカラーフィルタは、面内の膜厚差が小さく、例えば1〜3μmの膜厚で、面内膜厚差を0.15μm以下、さらには0.05μm以下とすることができる。したがって、こうして得られるカラーフィルタは、平滑性および透明性に優れたものであり、またこれをカラー液晶表示装置に組み込むことにより、優れた品質の液晶パネルを高い歩留りで製造することができる。
【0040】
【実施例】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味 および範囲内でのすべての変更を含むものである。以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特にことわらないかぎり質量基準である。
【0041】
実施例1
【0042】
表1に記載の各成分のうち、予め顔料および顔料分散剤の全量と、溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを混合した。この際、顔料および顔料分散剤の合計量が混合物に対して20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合した。前記の混合物を、ビーズミルを用いて、混合物中の顔料を十分に分散させ、これにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの残量を含む残りの成分を加えてさらに混合し、感光性樹脂組成物を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
2インチ角のコーニング社製#7059ガラス基板を、中性洗剤、水 およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、上で調製した感光性樹脂組成物をスピンコートし、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークした。冷却後、このレジスト塗布基板と石英ガラス製フォトマスク(透過率を1〜100%の範囲で階段状に変化させるパターンと1ミクロンから50ミクロンまでのライン/スペースパターンを有する)との間隔を100μmとし、ウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプを用いて大気雰囲気下、400mJ/cm2の露光量で光照射した。その後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を室温で所定時間浸漬して現像し、水洗後、220℃で30分間ポストベークを行った。そして、プリベーク後、現像後およびポストベーク後の基板表面を観察し、以下の項目について結果を表2および表3にまとめて示した。
【0045】
実施例2
実施例1において、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンを、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルズ社製、“IRGACURE 907”)に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0046】
実施例3
実施例2において、Sumi−epoxy ESCN−195XL0.41部を表1のバインダーポリマーに変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0047】
実施例4
実施例2において、顔料7.34部をC.I.ピグメントレッド254 6.10部、C.I.ピグメントレッド177 1.24部に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0048】
実施例5
実施例2において、顔料7.34部をC.I.ピグメントブルー15:6 6.24部、C.I.ピグメントバイオレット23 1.10部に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0049】
比較例1
実施例1において、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート 0.65部を2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン(日本シーベルヘグナー(株)製、“トリアジン−PP”) 0.65部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0050】
比較例2
比較例1において、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン 1.11部を2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン 1.11部に、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン 0.65部を2−メルカプトベンゾチアゾール 0.65部に変更する以外は比較例1と同様の操作を行った。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
表中の注釈の説明
*1:配合してから23℃/0日目および7日目に、プリベーク後の塗膜表面を目視観察した。(○;差なし。△;やや劣る。×;劣る。)
*2:現像しても表面荒れがないパターンを形成するために必要な最低必要露光量を示す。
*3:画素部のC光源、2度視野のCIE色度(x、y、Y)を顕微分光測光装置により測定した。同一色度(x,y)において、Y値が大きいほど明度が高いことを示す。Greenは(0.285、0.589)、Redは(0.650,0.325)、Blueは(0.141,0.060)に色度を合わせた。
*4:触針式膜厚計(ULVAC社製 Dektak3型)にて、ポストベーク後画素部の膜厚を測定した。
なお、感度、明度および膜厚の測定は、配合してから23℃/0日目に測定した。
*5:露光量200mJ/cm2で露光し、現像およびポストベーク(220℃×20分)後の画素断面を走査型電子顕微鏡観察した。(逆テーパー形状でない形状;○、逆テーパー形状;×)
*6:露光量200mJ/cm2で露光し、現像工程を省略したポストベーク後の基板を各種溶媒に23℃で30分間浸漬した。浸漬前後の色変化(ΔEab*)と(ΔEab*<3;○、ΔEab*≧3;×)、浸漬後塗膜の密着力テストを実施した。密着力テストは、カッターナイフで、1mm×1mmの升目を100個作製し、セロハンテープで剥離試験を行い、基板に残った升目の数をカウントした。
*7: 露光量200mJ/cm2で露光し、現像工程を省略したポストベーク後の基板を230℃で120分間放置した。試験前後の色変化(ΔEab*)を測定した(ΔEab*<3;○、ΔEab*≧3;×)。
【0054】
表2および表3から、本発明の光重合開始剤を含む実施例1〜5の着色感光性樹脂組成物では、高感度、高明度および保存安定性のバランスがとれていることがわかるが、本発明の(C)光重合開始剤を含まない比較例1、2の着色感光性樹脂組成物では、高感度の着色感光性樹脂組成物もあるが、明度および保存安定性に劣るものがあることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色材料を高濃度で含有しても、感度および保存安定性に優れたものであり、本発明の着色感光性樹脂組成物により得られる着色画素は、表面平滑性、パターン形状、および明度に優れる。したがって、本発明の着色感光性樹脂組成物を顔料分散レジストとして使用し、カラーフィルタを作製した場合、生産性に優れ、かつ高品質なカラーフィルタを得ることができる。
Claims (8)
- (A)バインダー樹脂、
(B)光重合性モノマー、
(C)光重合開始剤、
(D)着色材料および
(E)溶剤
を含有する着色感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤が、少なくとも(1)多官能チオール化合物および(2)アセトフェノン化合物を含んでなることを特徴とする着色感光性樹脂組成物。 - (A)バインダー樹脂が、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位を含む重合体である請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
- (A)バインダー樹脂が、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と(メタ)アクリレート化合物から導かれる構成単位とを含む共重合体である請求項1または2に記載の着色感光性樹脂組成物。
- (C)光重合開始剤の(1)多官能チオール化合物が脂肪族多官能チオール化合物である請求項1〜3のいずれか記載の着色感光性樹脂組成物。
- さらに、(3)光重合開始助剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の着色感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5の着色感光性樹脂組成物を、基板または先に形成された着色感光性樹脂組成物の固形分からなる層の上に塗布し、塗布された着色感光性樹脂組成物層から揮発成分を除去し、フォトマスクを介して前記層を露光し、現像するパターンの形成方法。
- 請求項4に記載の方法で形成されたパターンを含むカラーフィルタ。
- 請求項5に記載されたカラーフィルタを使用した液晶表示装置。
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JP2006284674A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Toppan Printing Co Ltd | カラーフィルタ |
KR101283848B1 (ko) * | 2007-12-28 | 2013-07-08 | 동우 화인켐 주식회사 | 착색 감광성 수지 조성물, 이를 이용한 컬러필터, 및 상기컬러필터를 포함하는 평판표시장치 |
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-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003154450A patent/JP2004083857A/ja active Pending
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