JP2004083662A - エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、特定の構造を有するポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)、無機質充填剤(D)および酸化防止剤(E)を含有してなるエポキシ樹脂組成物、および半導体装置などを提供した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関し、更に詳しくは、無機質充填剤が高度に配合され、高密度化されているにも係わらず、流動性が改良されたエポキシ樹脂組成物および半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体チップ(素子)を封止するために使用される樹脂材料として、ノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂および無機質充填剤などからなるエポキシ樹脂組成物が知られ、広く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。かかるエポキシ樹脂組成物には、内部応力緩和による歩留まりおよび使用信頼性の向上を目的とし、各種ポリシロキサンが配合される場合が多い。しかし、従来提案されているポリシロキサン配合エポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献2参照。)でも、歩留まりや信頼性は充分とは言えず、いっそうの性能向上が望まれていた。
また、近年、半導体チップ封止用エポキシ樹脂組成物は、吸水性を下げることを主な目的として無機質充填剤を高度に配合することが望まれているが、その場合、高密度化するために、流動性が悪化し、その結果、成形加工が困難となるという問題が生じていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−103940号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開2002−80562号公報(特許請求の範囲等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、半導体チップの歩留まりおよび使用信頼性が高く、無機質充填剤が高度に配合されて、高密度化されているにも係わらず、流動性が改良されたエポキシ樹脂組成物および半導体装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および無機質充填剤とともに、特定の構造のポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン及び酸化防止剤を配合することにより、エポキシ樹脂組成物の流動性を著しく改善することが可能であり、該エポキシ樹脂組成物は、半導体チップ封止材として有用であることを見出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)、無機質充填剤(D)および酸化防止剤(E)を含有してなるエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0007】
【化4】
【0008】
[式中、R1は互いに独立して水素原子基、炭素原子数1〜24の炭化水素基、水酸基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基またはトリメチルシロキシ基を表し、Qは一般式:
−R3O(C2H4O)m(C3H6O)nR4
(式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子基、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜3のアセトキシ基から選択される基を表し、mは平均で1〜100の数を表し、nは平均で0〜100の数を表す)で表される基を表し、R2は互いに独立して前記R1またはQに定義したものと同じ意味を表し、そしてxおよびyはいずれも平均で0〜10の数で、かつ0≦x+y≦10であるが、ただしy=0の場合はR2の少なくとも1つはQである。]
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)は、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0009】
【化5】
【0010】
[式中、R1及びQは、一般式(1)で定義したものと同じ意味を表し、yは平均で1〜10の数を表す。]
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)は、下記一般式(3)で示されるものであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0011】
【化6】
【0012】
[式中、R1及びQは、一般式(1)で定義したものと同じ意味を表す。]
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、組成物全量基準で、前記エポキシ樹脂(A)を0.1〜80質量%、前記フェノール樹脂(B)を0.1〜40質量%、前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)を0.01〜10.0質量%、前記無機質充填剤(D)を15〜98質量%の割合で含有し、および前記酸化防止剤(E)を無機質充填剤(D)100質量部あたり0.05〜5.0質量部の割合で含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなる半導体装置が提供される。
【0013】
本発明は、上記した如く、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)、無機質充填剤(D)および酸化防止剤(E)を含有してなるエポキシ樹脂組成物などに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。
【0014】
(1)第1の発明において、酸化防止剤(E)は、トコフェロール類であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2)第4の発明において、無機質充填剤(D)を80〜95質量%の割合で含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(3)第4の発明において、エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の含有割合は、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基のモル数を(a)とし、フェノール樹脂(B)の有するフェノール性水酸基のモル数を(b)とするとき、その比[(a)/(b)]の値が0.01〜20となる割合であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、各項目毎に詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、前記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)、無機質充填剤(D)および酸化防止剤(E)を、必須の成分として含有してなることを特徴とする。
【0016】
1.エポキシ樹脂(A)
本発明のエポキシ樹脂組成物を構成し、必須の成分として含有されるエポキシ樹脂(A)は、少なくとも2個のエポキシ基を分子中に有する化合物である。エポキシ樹脂の構造および分子量などは特に制限されるものではなく、半導体封止用のエポキシ樹脂組成物を構成するものとして従来公知のエポキシ樹脂をすべて使用することができる。
具体的には、脂肪族型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂などの芳香族型エポキシ樹脂、シクロヘキサン誘導体などの脂環式型エポキシ樹脂、又はノボラック型エポキシ樹脂などを挙げることができ、これらの中から選ばれたエポキシ樹脂を、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂(A)の含有割合としては、組成物全量基準で、0.1〜80質量%であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜60質量%である。
【0017】
2.フェノール樹脂(B)
本発明のエポキシ樹脂組成物を構成し、必須の成分として含有されるフェノール樹脂(B)は、特に制限されるものではなく、半導体封止用の樹脂組成物を構成するものとして従来公知のフェノール樹脂をすべて使用することができる。
具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールFのノボラック樹脂、ナフトールのノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールAのノボラック樹脂、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレン、2,2’−ジメトキシ−p−キシレンとフェノールモノマーとの縮合重合化合物などのフェノールアラルキル樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)アルカンベースの化合物などを挙げることができ、これらの中から選ばれたフェノール樹脂を、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、フェノール樹脂(B)の含有割合としては、組成物全量基準で、0.1〜40質量%であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜30質量%である。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)との使用割合としては、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基のモル数を(a)とし、フェノール樹脂(B)の有するフェノール性水酸基のモル数を(b)とするとき、その比[(a)/(b)]の値が0.01〜20となる割合であることが好ましく、更に好ましくは、この値が0.05〜10となる割合である。比[(a)/(b)]の値が0.01未満または20を超える場合には、得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物が良好な電気特性を有するものとならず、また、当該エポキシ樹脂組成物を使用して製造された半導体装置の耐熱性や耐湿性が低下する傾向がある。
【0019】
3.ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、次の一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)を含有している点に最大の特徴を有する。
【0020】
【化7】
【0021】
上記一般式(1)において、R1は、互いに独立して水素原子基、炭素原子数1〜24の炭化水素基、水酸基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基またはトリメチルシロキシ基を表し、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましく、特に好ましくはメチル基である。
また、Qは、一般式:
−R3O(C2H4O)m(C3H6O)nR4
(式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子基、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜3のアセトキシ基から選択される基を表し、mは平均で1〜100の数を表し、nは平均で0〜100の数を表す)で表される基を表す。R3の好ましい例として、−(C2H4)3−または−CH2CH(CH3)CH2−が挙げられる。mの平均数の好ましい範囲は1〜50で、特に好ましくは5〜15である。また、nの平均数の好ましい範囲は0〜20で、特に好ましくは0である。R2は、互いに独立して前記R1またはQに定義したものと同じ意味を表すが、R1と同じ場合が好ましく、好ましいものもR1と同様である。
そして、xおよびyはいずれも平均で0〜10の数で、かつ0≦x+y≦10である。xの平均数の好ましい範囲は0〜5であり、特にxの値が0である場合が好ましい。また、yの平均数の好ましい範囲は1〜5であり、特にyが1である場合が好ましい。ただしyが0の場合は、R2の少なくとも1つはQである。
【0022】
従って、ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)の好ましいものは、次式(2)で表されるものであり、最も好ましいものは、次式(3)で表されるものである。
【0023】
【化8】
【0024】
[式中、R1及びQは、一般式(1)で定義したものと同じ意味を表し、yは平均で1〜10の数を表す。]
【0025】
【化9】
【0026】
[式中、R1及びQは、一般式(1)で定義したものと同じ意味を表す。]
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)の含有割合としては、組成物全量基準で、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1質量%であり、最も好ましくは0.1〜0.5質量%である。ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)の含有割合が0.01質量%未満であるエポキシ樹脂組成物によっては、エポキシ樹脂組成物の流動性改善効果が充分に得られないため、成形性が劣り、一方、この含有割合が10.0質量%を超えるエポキシ樹脂組成物は樹脂の機械的強度が悪化する。
【0028】
4.無機質充填剤(D)
本発明のエポキシ樹脂組成物を構成し、必須の成分として含有される無機質充填剤(D)としては、シリカ粉末、アルミナ粉末、タルク、クレー、窒化ケイ素粉末、三酸化アンチモン、マイカ、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、ガラス繊維などを挙げることができ、これらの中から選ばれた無機質充填剤を、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ここに、使用する無機質充填剤(D)は、不純物の濃度が低いものであることが好ましい。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、無機質充填剤(D)の含有割合としては、組成物全量基準で、15〜98質量%であることが好ましく、更に好ましくは80〜95質量%である。無機質充填剤(D)の含有割合が15質量%未満であるエポキシ樹脂組成物は、成形性に劣り、更に、耐熱性、耐湿性、半田耐熱性、機械的特性の良好な硬化物を得ることが困難となる。また、80質量%未満では、吸水性が高く、好ましくない。一方、この含有割合が98質量%を超えるエポキシ樹脂組成物では、流動性が低くて、成形性に劣るものとなる。
【0030】
5.酸化防止剤(E)
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる酸化防止剤(E)としては、通常ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサンの酸化防止剤として用いられるものであれば、その種類に何ら制限はない。
具体的には、トリフェニルホスフェート、フェニルイソデシルホスファイトなどの有機リン系酸化防止剤、ジステアリル−3,3’−チオジプロピネートなどの有機イオウ系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トコフェロール類などのフェノール系酸化防止剤、2−t−ブチルヒドロキノンなどのヒドロキノン系酸化防止剤などが例示される。
本発明の樹脂系で、少量の添加量でも効果を得るためには、前記フェノール系の酸化防止剤を用いることが好ましく、特にはポリフェノール型のものが好ましい。具体的には、トコフェロール類が挙げられ、更に具体的にはdl−α−トコフェロールが挙げられる。
【0031】
酸化防止剤(E)は、予めポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)と混合してから、他の成分と混合すると、効果的にポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)の劣化を防止することができる。
酸化防止剤(E)の配合量は、ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.02〜0.1質量部が最も好ましい。
【0032】
6.その他の任意成分
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の任意成分が含有されていてもよい。
かかる任意成分としては、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類などの離型剤、塩素化パラフィン、ブロム化トルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモンなどの難燃剤、カーボンブラック、ベンガラなどの着色剤、ゴム系の低応力付与剤、シリコーン系の低応力付与剤、シランカップリング剤、等を挙げることができる。
【0033】
7.エポキシ樹脂組成物の調製方法
本発明のエポキシ樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されるものではなく、半導体封止用のエポキシ樹脂組成物を調製する従来公知の方法を採用することができる。
代表的な調製方法としては、エポキシ樹脂(A)と、フェノール樹脂(B)と、無機質充填剤(D)および予め混合したポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)と酸化防止剤(E)とを配合し、これをミキサーなどで十分均一に混合した後、熱ロールによる溶融混合処理またはニーダなどによる混合処理を行い、続いてこれを冷却固化させ、粉砕する方法を挙げることができる。
【0034】
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物は、保存安定性に優れ、半導体装置、電気素子の封止、被覆、絶縁などに好適に使用することができる。
前記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)及び酸化防止剤(E)などが含有された本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、半導体チップの歩留まりおよび使用信頼性が高く、流動性が著しく改善されているという顕著な作用効果が得られる。特に、従来加工が極めて困難であった、無機質充填剤が高度に配合された高密度のエポキシ樹脂組成物の流動性が著しく改善されていることは、驚くべきことである。
この理由としては明らかではないが、本発明者らによれば、エポキシ樹脂組成物に用いられるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサンは、そのポリシロキサン鎖が比較的短いものであるため、粘度が低く、シロキサンの分布が比較的狭い、均一な組成の高分子であり、更に、酸化防止剤が配合されているため、加工時及び使用時に、ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサンが分解してできる不純成分の発生が押さえられるため、応力緩和作用及び流動性改善効果が発現されるものと、推察されている。
【0035】
8.半導体装置
本発明に係る半導体装置は、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物によって半導体チップが封止されて、構成されていることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置を構成する半導体チップとしては、特に限定されるものではなく、大規模集積回路、集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオードなど、電気素子全般が含まれる。
半導体チップを封止する方法としても、特に限定されるものではなく、トランスファー成形法、射出成形法、圧縮成形法、注型法など従来公知の方法を、採用することができる。これらの方法のうち、低圧トランスファー成形法を採用することが好ましい。半導体チップを封止する際におけるエポキシ樹脂組成物の加熱温度(硬化温度)としては、140℃以上であることが好ましい。また、成形後において後硬化処理を行うことが好ましい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明について、実施例に基き説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
エポキシ樹脂組成物を、組成物全量基準で、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量215)を9.4質量%、ノボラック型フェノール樹脂(フェノール当量107)を3.9質量%、次式(4)で表されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン100.0質量部とdl−α−トコフェロール0.05質量部との均一混合物を0.5質量%、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを0.3質量%、トリフェニルホスフィンを0.1重量%、溶融シリカ粉末を85.0重量%およびエステル系ワックス類を1.0重量%の割合にて、常温で混合し、さらに90〜95℃で混練して、これを冷却粉砕して成形材料を製造した。
【0038】
【化10】
【0039】
[実施例2]
上記式(4)の化合物の代わりに、前記一般式(1)においてR1、R2およびR4が全てメチル基であり、R3がプロピレン基であり、xが平均で7であり、yが平均で2であり、mが平均で7であり、nが平均で4である化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして、成形材料を製造した。
【0040】
[実施例3]
エポキシ樹脂組成物を、組成物全量基準で、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量193)を8.0質量%、ノボラック型フェノール樹脂(フェノール当量107)を4.5質量%、上記式(4)で表されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン100.0質量部とdl−α−トコフェロール0.05質量部との均一混合物を0.5質量%、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1.0質量%、トリフェニルホスフィンを0.1質量%、溶融シリカ粉末を85.0質量%およびエステル系ワックス類を1.0重量%の割合にて、常温で混合し、さらに90〜95℃で混練して、これを冷却粉砕して成形材料を製造した。
【0041】
[比較例1](ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン不使用)
エポキシ樹脂組成物を、組成物全量基準で、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量193)を8.8質量%、ノボラック型フェノール樹脂(フェノール当量107)を4.9質量%、トリフェニルホスフィンを0.1質量%、溶融シリカ粉末を85.0質量%およびエステル系ワックス類を1.1重量%の割合にて、常温で混合し、さらに90〜95℃で混練してこれを冷却粉砕して成形材料を製造した。
【0042】
[比較例2](実施例1との比較。規定外のポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン使用)
前記式(4)の化合物の代わりに、一般式(1)においてR1、R2およびR4が全てメチル基であり、R3がプロピレン基であり、xが平均で6であり、yが平均で5であり、mが平均で8であり、nが0である化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして、成形材料を製造した。
【0043】
こうして製造した実施例1〜3および比較例1〜2の成形材料を用いて、180℃、8時間アフターキュアした成形試験片を作製した。これらの成形材料と成形試験片について、成形性、スパイラルフロー、高架式フローテスターによる溶融粘度、吸水率(PCT)、ガラス転移温度、フレーム材であるPd、Pd−Auとの接着強さ、PCTおよび耐リフロー性を測定、評価した。尚、これらの測定方法の概要は、次のとおりである。
【0044】
吸水率:成形材料を175℃、3分間の条件でトランスファー成形し、180℃、8時間アフターキュアをして、成形品を作製した。これを127℃、2気圧の飽和水蒸気中に24時間放置し、増加した重量によって求めた。
ガラス転移温度:吸水率の試験と同様な成形品から、2.5×2.5×15.0〜20.0の寸法のサンプルを作製し、熱機械分析装置DL−1500H(真空理工社製、商品名)を用い、昇温速度5℃/分で測定した。
接着強さ::トランスファー成形によって接着面積4mm2の成形品をつくり、これを175℃、8時間、後硬化した後、剪断接着力を求めた。
PCT:成形材料を用いて、2本のアルミニウム配線を有するシリコン製チップを、通常の42アロイフレームに接着し、175℃で2分間トランスファー成形した後、175℃で8時間の後硬化を行った。こうして得た成形品を予め、40℃、90%RH、100時間の吸湿処理した後、250℃の半田浴に10秒間浸漬した。その後、135℃、3気圧の飽和水蒸気中で耐湿試験を行い、アルミニウム腐食による50%断線(不良発生)の起こる時間を評価した。
耐リフロー性:成形材料を175℃、3分間の条件で、15mm×15mmの評価用素子を封止し、180℃で8時間アフターキュアを行った。次いでこのパッケージを85℃、相対湿度60%の雰囲気中に168時間放置して吸湿処理を行った後、これを最高温度240℃のIRリフロー炉に3回通した。この時点でパッケージのクラック発生を調べた。さらに、このIRリフロー後のパッケージをプレッシャークッカー内で127℃の飽和水蒸気雰囲気中に100〜1000時間放置し、不良発生率を調べた。
【0045】
これらの測定結果を表1にまとめて示す。表1の結果から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂組成物の顕著な効果を確認することができた。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、無機質充填剤が高度に配合され、高密度化されているにも係わらず、流動性が改良されたものである。従って、容易に成形可能であり、耐湿性に優れている。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物により形成された硬化物は、耐リフロー性に優れ、IRリフロー方式による表面実装処理を行っても、良好な耐湿性を維持することができる。
本発明に係る半導体装置は、金属・合金に対する接着性、耐湿性・耐リフロー性に優れた封止樹脂(本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物)を備えているので、電極の腐食による断線や水分によるリーク電流を発生させることがなく、長期にわたり高い信頼性を維持することができる。
Claims (5)
- エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)、無機質充填剤(D)および酸化防止剤(E)を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
−R3O(C2H4O)m(C3H6O)nR4
(式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子基、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜3のアセトキシ基から選択される基を表し、mは平均で1〜100の数を表し、nは平均で0〜100の数を表す)で表される基を表し、R2は互いに独立して前記R1またはQに定義したものと同じ意味を表し、そしてxおよびyはいずれも平均で0〜10の数で、かつ0≦x+y≦10であるが、ただしy=0の場合はR2の少なくとも1つはQである。] - 前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)は、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
−R3O(C2H4O)m(C3H6O)nR4
(式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子基、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜3のアセトキシ基から選択される基を表し、mは平均で1〜100の数を表し、nは平均で0〜100の数を表す)で表される基を表し、yは平均で1〜10の数を表す。] - 前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)は、下記一般式(3)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
−R3O(C2H4O)m(C3H6O)nR4
(式中、R3は直接結合または炭素原子数2〜6のアルキレン基を表し、R4は水素原子基、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜3のアセトキシ基から選択される基を表し、mは平均で1〜100の数を表し、nは平均で0〜100の数を表す)で表される基を表す。] - 組成物全量基準で、前記エポキシ樹脂(A)を0.1〜80質量%、前記フェノール樹脂(B)を0.1〜40質量%、前記ポリオキシアルキレン変性ジアルキルポリシロキサン(C)を0.01〜10.0質量%、前記無機質充填剤(D)を15〜98質量%の割合で含有し、および前記酸化防止剤(E)を無機質充填剤(D)100質量部あたり0.05〜5.0質量部の割合で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップが封止されてなる半導体装置。
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