JP2004083412A - フッ素系界面活性剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】F(CF2)2m(CH2)n−(式中、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)で表される部分フッ素化アルキル基と、親媒性基とを有するフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤であって、該親媒性基が、その末端に親水性基Yを有し、さらに該親水性基Yが結合する炭素上に置換基として炭素数1〜12の炭化水素基を有する化合物(A)からなるフッ素系界面活性剤。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水、及び/または親水性有機溶媒等の水系溶媒を用いて使用される、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に容易に溶解し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系界面活性剤は、表面張力低下能力が高く、コーティング用組成物や成形用組成物等に混合することで、優れた浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を実現する添加剤であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されてきた。
【0003】
一般に、フッ素系界面活性剤は表面張力低下機能を実現するためのパーフルオロアルキル(Rf)基と、例えば該活性剤を添加剤として使用する、コーティング用、成形材料用等の各種組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物からなるものである。
【0004】
Rf基が−SO2−、−CO−等の極性基と連結している化合物からなるフッ素系界面活性剤は、前述のような添加剤として使用される場合、前記組成物に対する親和性は比較的優れる。それらの中でも親媒性基が、その末端に親水性基を有し、さらに該親水性基が結合する炭素上に置換基を持つ化合物、例えば、「油化学」1984年、第33巻、第12号、p.838−841には親媒性基(−CONHRCOOM)の末端に親水性基(−COOM)を有し、該親水性基が結合する炭素上に置換基としてメチル基を有するN−フルオロオクタノイルアミノ酸塩〔C7F15CONHRCOOM、R=CH(CH3)、M=Na,K,Li〕に関する記載があり、親水性基(−COOM)が結合する炭素上に置換基を有しないものに比べてクラフト点が低いことが報告されている。しかしながら、表面張力低下の割合が満足のいくレベルではなく、クラフト点が低くても水に対する溶解性が不十分であるためその添加量が制限されることから、水系溶媒を用いて使用する重合乳化剤、写真用乳剤あるいはフォトレジスト感光液等のレベリング剤、塗料、インキ、床ワックスなどコーティング分野での塗工液の基材へのレベリング剤、顔料分散安定化剤等には界面活性効果が十分に機能しない問題があった。また近年、地球環境保護の観点から、工業分野で使用される溶媒は有機溶剤系から水系へ移行する傾向があり、水との親和性の高いフッ素系界面活性剤の開発が求められている。
【0005】
一方、フッ素系界面活性剤をその化合物の持つ表面張力低下機能を応用して各種コーティング用や成形材料用等の組成物に添加剤として使用するに際し、少量で十分な機能を発現するためにはRf鎖長を長くする必要があるが、この場合は必然的に、該組成物に対する親和性が低下するという現象がある。この現象は、該組成物が水、親水性有機溶媒、または親水性有機溶媒と水との混合溶媒等を用いてなる場合に顕著である。従って、水との親和性の高いフッ素系界面活性剤を得るためには、該界面活性剤に使用するフッ素系化合物の分子設計が極めて重要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、水、及び/または親水性有機溶媒等の水系溶媒を用いて使用される、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に容易に溶解し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、F(CF2)2m(CH2)n−(式中、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)で表される部分フッ素化アルキル基と、親媒性基とを有するフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤であって、該親媒性基が、その末端に親水性基Yを有し、さらに該親水性基Yが結合する炭素上に置換基として炭素数1〜12の炭化水素基を有する化合物(A)からなるフッ素系界面活性剤が、水への溶解度が高く、且つ、フッ素系界面活性剤が本来具備している界面活性効果を損なわないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、F(CF2)2m(CH2)n−(式中、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)で表される部分フッ素化アルキル基と、親媒性基とを有するフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤であって、該親媒性基が、その末端に親水性基Yを有し、さらに該親水性基Yが結合する炭素上に置換基として炭素数1〜12の炭化水素基を有するフッ素系化合物(A)からなるものであることを特徴とする、フッ素系界面活性剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る界面活性効果としては、種々の界面活性効果、例えば、コーティング、モールディング用途における組成物の濡れ性、浸透性、はじき防止性、レベリング性、塗膜の均一性・均質性、表面改質性等が挙げられる。
【0010】
まず、本発明のフッ素系界面活性剤に係わるフッ素系化合物(A)中の部分フッ素化アルキル基〔F(CF2)2m(CH2)n−(式中、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)〕は、優れた界面活性効果を得るためには必要不可欠なセグメントである。該基の鎖長は、界面活性剤として使用される場合の用途、これを添加剤として混合するコーティング材料や成形材料等の組成物の組成、目的とする性能のレベル等により適宜、選択される。
【0011】
次に、親媒性基について述べる。一般に界面活性剤中の親媒性基は、これを添加剤として使用する場合に用いられる各種の溶媒、樹脂、顔料、フィラー等に対して親和性を向上させ界面活性効果を発現させるために必要不可欠なセグメントであり、該界面活性剤の用途、これを添加剤として混合するコーティング材料や成形材料等の組成物の組成、目的とする性能のレベル等により適宜検討される。本発明に係わる前記フッ素系化合物(A)中の親媒性基は、水系溶媒を用いる用途に対して好適に用いられるために、その末端に親水性基Yを有し、さらに該親水性基Yが結合する炭素上に、置換基として、炭素数1〜12の炭化水素基を有することを必須とする。ここで、炭化水素基は添加される前記組成物との親和性と界面活性効果のバランスからアルキル基であることが好ましく、その炭素数としては1〜6のものが好ましく、1〜3のものが特に好ましい。
【0012】
前記親水性基Yとしては、例えば、−SO3H、−COOH、PO(OH)3等の酸基、これら酸基の金属塩(Li塩、Na塩、K塩、Ca塩、Mg塩、Al塩等)、これら酸基の有機アミン塩(アンモニア塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、n−プロピルアミン塩、iso−プロピルアミン塩、n−ブチルアミン塩、tert−ブチルアミン塩、ジ(n−ブチル)アミン塩、エチレンジアミン塩、ジエチレンジアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、プロパノールアミン塩、トルイジン塩、ピリジン塩等)、これら酸基と各種アルコールの反応等により得られるエステル基(硫酸エステル基、カルボン酸エステル基、リン酸エステル基、硝酸エステル基等)、水酸基、アルコキシル基(メトキシル基、エトキシル基等)、アミノ基、スルホニルアミド基、カルボニルアミド基、メルカプト基、エポキシ基、ポリアルキレンオキシド基(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等)、下記一般式(5)
−N+R2R3R4・Z− (5)
(式中、R2、R3、R4はフェニル基または炭素数1〜8のアルキル基、Zはハロゲン原子、CH3(C6H4)SO3 −等のアニオンを示す。)
で表わされる4級アミン塩残基、下記一般式(6)
−NR5R6・A (6)
(式中、R5、R6は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、Aは塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸を示す。)
で表わされるアミンと酸の塩残基等が挙げられる。
【0013】
前記フッ素系化合物(A)としては特にその構造が限定されるものではないが、例えば下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
F(CF2)2m(CH2)nX(CH2)oCHRY (1)
(式中、Xは直接結合または2価の連結基であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数であり、oは0〜12の整数であり、Yは親水性基であり、Rは炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0014】
前記一般式(1)において、Xは直接結合または2価の連結基であるが、工業的製造方法の容易性、原料の入手の容易性、界面活性剤として添加される時に混合するコーティング材料や成形材料等の組成物に対する親和性等に優れることから、−SONR1−(R1は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)、−SO2NR1−(R1は水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、−S(O)−、−S(O)2−、−NR1−(R1は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)であることが好ましく、これらの中でも、直接結合、−SO2NR1−(R1は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子が特に好ましい。
【0015】
また、前記一般式(1)において、mは優れた界面活性効果が得られ、且つ特に水系溶媒を用いる前述の組成物との親和性に優れることから、2〜6の整数であることが好ましく、特に3または4であることが好ましい。またnは、実用的な界面活性効果が得られ且つ前述の組成物との親和性が高く、製造が容易なことから、2〜4の整数であることが好ましい。さらに、Yは、汎用性に優れ、且つ水系溶媒を用いる前述の組成物との親和性に優れることから、酸基、その金属塩またはアミン塩が好ましく、カルボン酸、その金属塩またはアミン塩が特に好ましく、Li塩、Na塩、K塩、アンモニアから誘導されるアミン塩が最も好ましい。
【0016】
本発明のフッ素系界面活性剤に用いる前記一般式(1)で示されるフッ素系化合物の具体例としては、以下の如き化合物が挙げられる。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
尚、本発明がこれら具体例により、なんら限定されないことは勿論である。
【0019】
前記一般式(1)で表されるフッ素系化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、
▲1▼下記一般式(2)
F(CF2)2m(CH2)nX1H (2)
(式中、X1は2価の連結基であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)
で表される化合物に、アルキル化剤を反応させる製造方法、
▲2▼下記一般式(4)
F(CF2)2m(CH2)nZ (4)
(式中、Zはハロゲン原子であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)
で表される化合物と、ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体とを反応させる製造方法等が挙げられる。
【0020】
先ず、前記一般式(2)で表される化合物に、アルキル化剤を反応させる▲1▼の製造方法について詳細に説明する。前記一般式(2)の化合物については、優れた界面活性効果が得られ、且つ特に水系溶媒を用いる前述の組成物との親和性が良好なものが得られることから、前記一般式(2)中のmが2〜6の整数で、nが2〜4の整数であるものが好ましく、特に2−パーフルオロヘキシルエタノール、2−パーフルオロヘキシルエチルメルカプタン、2−パーフルオロオクチルエタノール、2−パーフルオロオクチルエチルメルカプタン、N−アルキル−2−パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸アミド、N−アルキル−2−パーフルオロオクチルエチルスルホン酸アミドが好ましい。
【0021】
▲1▼の製造方法で用いるアルキル化剤としては、炭素数1〜12のものであれば良く、中でも炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メタアクリル酸、メタアクリル酸アンモニウム、メタアクリル酸リチウム、メタアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カリウム、メタアクリル酸エステル、メタアクリロニトリル、2−クロロプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸アンモニウム塩、2−クロロプロピオン酸リチウム、2−クロロプロピオン酸ナトリウム、2−クロロプロピオン酸カリウム、2−クロロプロピオン酸エステル、2−クロロブチリックアシッド、2−クロロブチリックアシッドエステル、2−ブロモプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸リチウム、2−ブロモプロピオン酸ナトリウム、2−ブロモプロピオン酸カリウム、2−ブロモプロピオン酸エステル、4−クロロ−2−メチルブチリックアシッド、4−クロロ−2−メチルブチリックアシッドエステル等が挙げられ、これらの中でも炭素数1〜3のものが更に好ましく、例えば、メタアクリル酸、メタアクリル酸リチウム、メタアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カリウム、メタアクリル酸エステル、2−クロロプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸リチウム、2−クロロプロピオン酸ナトリウム、2−クロロプロピオン酸カリウム、2−クロロプロピオン酸エステルが挙げられる。
【0022】
前記アルキル化剤は、前記一般式(2)で表される化合物1モルに対し、0.5〜5.0モル使用され、好ましくは0.8〜1.5モル使用される。
【0023】
▲1▼の製造方法は、前記一般式(2)で表される化合物と前記アルキル化剤を用いてフッ素系化合物(A)を得る製造方法であればよく、これ以外に特に制限されるものではないが、アルキル化剤の種類によっては、必要に応じて反応促進のための反応助剤を用いることも可能である。
【0024】
前記反応助剤としては、塩基性化合物が好ましく、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等のアルカリ金属アルコラート、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等のアミン類が挙げられ、これらの中でも金属水酸化物、ナトリウムメチラート、トリエチルアミンが好ましい。前記反応助剤を用いる場合、前記一般式(2)で表されるフッ素系化合物1モルに対し、0.01〜5モル、好ましくは0.1〜1.5モル使用される。
【0025】
また、必要に応じて反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒を使用する場合、前記一般式(2)で表される化合物と前記アルキル化剤を溶解でき、かつそれらに対して不活性であれば制限されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。また、溶媒は単独で使用しても、あるいは複数を混合して用いてもよい。
【0026】
反応条件にも、特に制限はないが、反応制御が容易なことから、前記一般式(2)で表される化合物に対して、前記アルキル化剤を滴下する方法が挙げられ、連続的あるいは断続的滴下が好ましい。反応温度にも制限はないが、通常0〜100℃であり、好ましくは10〜70℃である。反応雰囲気にも制限はないが、空気雰囲気下またはN2、He、Ar等の不活性ガス雰囲気下で行われ、不活性ガス雰囲気下がより好ましい。
【0027】
前述の製造方法により得られたフッ素系化合物(A)は、使用する用途、目的あるいは用いるアルキル化剤の種類によって、未精製で用いることも出来るが、必要に応じて中和反応、ケン化反応にそのまま進むことも可能である。また、蒸留、溶媒による洗浄、再結晶、各種クロマトグラフィー、吸着剤等により、精製することも可能である。
【0028】
前述の中和・ケン化反応に用いる、中和剤・ケン化剤としては、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、塩化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。これら中和剤・ケン化剤はフッ素系化合物1モルに対し、1〜5モル、好ましくは1〜2.5モル使用することが好ましい。
【0029】
前記中和並びにケン化反応時の反応条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応溶媒として、水単独、あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒等が挙げられる。また、反応温度は、中和反応の場合は、5℃〜50℃、特に10℃〜30℃であることが好ましい。また、ケン化反応の場合は、10℃〜還流温度、特に40℃〜90℃であることが好ましい。
【0030】
次に、前記一般式(4)で表される化合物と、ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体とを反応させる▲2▼の製造方法について詳細に説明する。
【0031】
前記一般式(4)の化合物については、優れた界面活性効果が得られ、且つ特に水系溶媒を用いる前述の組成物との親和性が良好なものが得られることから、前記一般式(4)中のmが2〜6の整数で、nが2〜4の整数であるものが好ましく、特に2−パーフルオロヘキシルエチルアイオダイド、2−パーフルオロオクチルエチルアイオダイドが好ましい。
【0032】
使用するヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸誘導体としてラクティックアシッド、ラクティックアシッドアンモニウム、ラクティックアシッドリチウム、ラクティックアシッドナトリウム、ラクティックアシッドカリウム、ラクティックアシッドエステル、光学活性ラクティックアシッド、光学活性ラクティックアシッド誘導体、ヒドキシフェニル酢酸、ヒドキシフェニル酢酸リチウム、ヒドキシフェニル酢酸ナトリウム、ヒドキシフェニル酢酸カリウム、ヒドキシフェニル酢酸アンモニウム、ヒドキシフェニル酢酸エステル、メルカプトカルボン酸として、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸エステル、2−メルカプトプロピオン酸リチウム、2−メルカプトプロピオン酸ナトリウム、2−メルカプトプロピオン酸カリウム、2−メルカプトプロピオン酸アンモニウム、3−メルカプトイソブチリックアシッド、3−メルカプトイソブチリックアシッドリチウム、3−メルカプトイソブチリックアシッドナトリウム、3−メルカプトイソブチリックアシッドカリウム、3−メルカプトイソブチリックアシッドアンモニウム、3−メルカプトイソブチリックアシッドエステル等が挙げられ、これらの中でもラクティックアシッド、ラクティックアシッドリチウム、ラクティックアシッドナトリウム、ラクティックアシッドカリウム、ラクティックアシッドエステル、2−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸エステル、2−メルカプトプロピオン酸リチウム、2−メルカプトプロピオン酸ナトリウム、2−メルカプトプロピオン酸カリウムが好ましい。
【0033】
前記ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体は、前記一般式(4)で表される化合物1モルに対し、0.5〜5.0モル使用され、好ましくは0.8〜1.5モル使用する。
【0034】
▲2▼の製造方法は、前記一般式(4)で表される化合物と前記ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体を用いてフッ素系化合物(A)を得る製造方法であればよく、これ以外に特に制限されるものではないが、必要に応じて反応促進のための反応助剤を用いることも可能である。
【0035】
前記反応助剤としては、塩基性化合物が好ましく、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等のアルカリ金属アルコラート、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等のアミン類が挙げられ、これらの中でも金属水酸化物、ナトリウムメチラート、トリエチルアミンが好ましい。前記反応助剤を用いる場合、前記一般式(4)で表される化合物1モルに対し、0.01〜5モル、好ましくは0.1〜1.5モル使用される。
【0036】
また、必要に応じて反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒を使用する場合、前記一般式(4)で表される化合物と前記ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体を溶解でき、かつそれらに対して不活性であれば制限されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。また、溶媒は単独で使用しても、あるいは複数を混合して用いてもよい。
【0037】
反応条件にも特に制限はないが、反応制御の点から反応温度は通常、0℃〜還流温度、好ましくは20℃〜60℃である。反応雰囲気等にも制限はないが、▲1▼の製造方法の場合と同様に不活性ガス雰囲気下が好ましい。また、▲2▼の製造方法により得られたフッ素系化合物は前記▲1▼の製造方法と同様、そのまま用いても良いし、精製後に用いても良い。
【0038】
加えて、界面活性剤の目的、用途、或いは用いたヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体の種類によっては、中和、またはケン化反応を行うことも可能であり、この場合、前記▲1▼の製造方法と同様の条件にて前記反応を行うことができる。
【0039】
本発明のフッ素系界面活性剤は、特に水単独、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド等の水と1%以上、好ましくは10%以上混合可能な親水性有機溶媒単独、水と有機溶媒の混合溶媒を含む組成物、その中でも水単独または水を10%以上含む水と有機溶媒の混合溶媒を含む組成物において、その親和性が高いことから、添加量の許容範囲が広く、用途に応じて優れた界面活性効果を発現させ得ることができる。
【0040】
前述の本発明のフッ素系界面活性剤を添加剤として使用する前述の組成物としては、例えば、印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等が挙げられる。
【0041】
前記組成物は、溶媒、溶液等であり、溶液の場合、溶媒を必須成分として含有し、溶質として高分子化合物、低分子有機化合物、無機化合物から選ばれる1種類以上の化合物と、必要に応じて、後述する各種添加剤から構成される。
【0042】
前記溶媒としては、水、親水性の有機溶媒が挙げられ、親水性の有機溶媒としては例えば、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン等の親水性のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、 メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の親水性のセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル等の親水性のグリコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の親水性のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類であっても2種類以上の混合溶媒系であっても良い。尚、ここでいう溶媒とは、系中で分散媒として働いているものも溶媒と称する。
【0043】
前述の親水性の有機溶媒以外の、水と混和しにくい溶媒は、前記親水性の有機溶媒と併用し、2成分以上の混合溶媒として使用することが好ましい。
【0044】
前記溶質としては、前記親水性の有機溶媒に溶解或いは分散するものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース、キチン、キトサン等の天然高分子等、ゼラチン等が挙げられる。これらの溶質は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
【0045】
前記以外の親水性の有機溶媒に溶解或いは分散しにくい溶質は、水と混和しにくい溶媒と、前述の親水性の有機溶媒を併用した混合溶媒を用いて使用することが好ましい。
【0046】
前記添加剤としては、親水性のものが好ましいが、その使用量が極少量である場合が多いことより、水溶解度が低いものでも使用でき、例えば、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤、更にフッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフィラー等の無機粉末・充填材、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン、アクリルビーズ、カーボン等の有機微粉末、感光剤、増感剤、耐光性向上剤、耐候性向上剤、耐熱性向上剤、導電剤、酸化防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤、増粘剤、沈降防止剤、消泡剤、防臭剤等の各種充填剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
【0047】
前述の本発明のフッ素系界面活性剤を含む組成物は、種々の加工方法を適用することにより、優れた浸透・濡れ性およびレベリング性等が得られる。加工方法としては特に制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、デイッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装、スクリーン印刷等のコーティング方法・装置、インクジェット法、射出、押し出し、中空、圧縮、反応、真空、FRP、熱、ロールシート、カレンダー、2軸延伸フィルム、積層、回転等の各種成形方法、各種金型、スタンパを用いた射出成形等が挙げられる。
【0048】
また、前述の組成物の用途にも制限はなく、種々の用途に使用できるが、特に、水単独または水と有機溶媒混合系等の親水性が高い溶媒系組成物中で用いる場合に優れた界面活性効果を発揮し、例えば、PS版等の帯電防止剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用各種フォトレジスト等の感光性材料、LSI製造用反射防止膜剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用洗浄剤、エッチング剤、剥離剤、現像液、乳剤等の写真材料、自動車、航空機、船舶、建材、家電用等の塗料、染料、洗浄剤、フロアポリッシュ、泡消火薬剤、メッキ浴ミスト防止剤、レンズシート、光ファイバ等の光学材料、または有機化学反応用分散媒等に用いられ、浸透・濡れ性、レベリング性等のコーティング・モールディング適正を向上させることが可能である。
【0049】
本発明のフッ素系界面活性剤は、前述の親水性の有機溶媒や溶質以外の一般的に使用されている溶媒、溶質に対する親和性も高く、表面偏析性にも優れ、従来のフッ素系界面活性剤の持つ界面活性効果を損なわないものであるため、前述の親水性の組成物並びに用途に限定されるものではなく、従来より一般的に有機溶剤系で使用される場合が多い用途、例えば、工業用および家庭用等の接着剤、耐擦傷性、滑り性、非粘着性、撥水撥油性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、耐候性、生理活性、耐水性、防湿性、防汚性、潤滑性等の表面機能性保護膜形成材料、衣料、家具、靴、雑貨等の繊維、人工皮革、合成皮革不織布等の処理剤、紙、フィルム、カード等の各種コーティング剤、自動車、建材、家電、医用材料、OA機器、電気・電子機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、各種封止材料、離型剤、防錆剤、防曇剤、防霧剤、ブロッキング防止剤等としても好適に用いることができる。
【0050】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するために実施例及び比較例を掲げる。
【0051】
実施例1
攪拌装置、還流冷却器、滴下ロートを付した1000mlの四ツ口フラスコに、パーフルオロオクチルエチルアイオダイド(C8F17CH2CH2I)57.4g、無水炭酸カリウム27.6gおよびアセトン400mlを加え混合した後、2−メルカプトプロピオン酸エチルエステル16.0gを10分間かけて滴下し、さらに室温で5時間攪拌して反応させた。得られた反応混合物を、濾過後、蒸留によってアセトンを留去し、更に減圧蒸留で原料等を留去後、110℃/667Paの条件下で、2−パーフルオロオクチルエチルメルカプトプロピオン酸エチルエステル(C8F17CH2CH2SCH(CH3)CO2CH2CH2)42gを得た。
【0052】
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、得られた2−パーフルオロオクチルエチルメルカプトプロピオン酸エチルエステル22.0g、水酸化リチウム1.35g、水50mlを加え、80℃で4時間攪拌して反応させた後、イソプロパノール30gを加え撹拌後、減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥して、フッ素系化合物(i)[パーフルオロオクチルエチルメルカプトプロピオン酸リチウム塩(C8F17CH2CH2SCH(CH3)CO2Li)]21gを得た。
【0053】
実施例2
2−メルカプトプロピオン酸エチルエステル16.0gの代わりに、2−ヒドロキシプロピオン酸14.0gを用いた以外は実施例1と同様にして、フッ素系化合物(ii)[パーフルオロオクチルエトキシプロピオン酸リチウム塩(C8F17CH2CH2OCH(CH3)CO2Li)]20.0gを得た。
【0054】
実施例3
2−メルカプトプロピオン酸エチルエステル16.0gの代わりに、ヒドロキシフェニル酢酸エチルエステルを21.4gを用いた以外は実施例1と同様にして、フッ素系化合物(iii)[α−パーフルオロオクチルエトキシフェニル酢酸リチウム塩(C8F17CH2CH2OCH(Ph)CO2Li)]23.0gを得た。
【0055】
実施例4
攪拌装置、還流冷却器、滴下ロートを付した300mlの四ツ口フラスコに、パーフルオロオクチルエチルメルカプタン(C8F17CH2CH2SH)60g、ナトリウムメチラート0.3gを加えて10分間攪拌した後、室温でメチルメタアクリレート17.5gを30分間かけて滴下し、さらに5時間攪拌して反応させた後、減圧蒸留を行い、118℃/667Paの条件下で3−パーフルオロオクチルエチルメルカプト−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル(C8F17CH2CH2SCH2CH(CH3)CO2CH3)67gを得た。
【0056】
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、得られた3−パーフルオロオクチルエチルメルカプト−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル66.5g、水酸化リチウム4.1g、水120mlを加え、80℃で4時間攪拌して反応させた後、イソプロパノール70g加えて撹拌後、減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥して、フッ素系化合物(iv)[3−パーフルオロオクチルエチルメルカプト−2−メチル−プロピオン酸(C8F17CH2CH2SCH2CH(CH3)CO2Li)]65gを得た。
【0057】
比較例1
2−メルカプトプロピオン酸エチルエステル16.0gの代わりに、メルカプト酢酸エチルエステル14.0gを用いた以外は実施例1と同様にして、比較用のフッ素系化合物(v)[パーフルオロオクチルエチルチオ酢酸リチウム塩(C8F17CH2CH2SCH2CO2Li)]21.0gを得た。
【0058】
比較例2
メチルメタアクリレート17.5gの代わりにメチルアクリレート15.0gを用いた以外は実施例4と同様にして、比較用のフッ素系化合物(vi)[3−パーフルオロオクチルエチルメルカプトプロピオン酸リチウム塩(C8F17CH2CH2SCH2CH2CO2Li)]63gを得た。
【0059】
比較例3
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、パーフルオロオクチル酸クロライド43.3g、3−アミノプロピオン酸19.6g、及び酢酸エチル100gを加え、25℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に10重量%塩酸水溶液100gを加え、25℃で10分間攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離し、水洗及び濃縮によりN−パーフルオロペンチルカルボニル−3−アミノプロピオン酸47.5gを得た。
【0060】
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、得られたN−パーフルオロペンチルカルボニル−3−アミノプロピオン酸47.5g、水50g、イソプロパノール100g、LiOH・H2O4.2gの混合溶媒を加え、25℃で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、減圧下、100℃で5時間乾燥させることにより、フッ素系化合物(vii)[N−パーフルオロペンチルカルボニル−3−アミノプロピオン酸リチウム塩(C7F15CONHCH2CH2CO2Li)]48.1gを得た。
【0061】
比較例4
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、パーフルオロオクチル酸クロライド43.3g、アラニン塩酸塩27g、炭酸水素ナトリウム34.5g、及び酢酸エチル100gを加え、25℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に10重量%塩酸水溶液100gを加え、25℃で10分間攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離し、水洗及び濃縮によりN−パーフルオロペンチルカルボニルアラニン50.9gを得た。
【0062】
攪拌装置、還流冷却器、温度計を付した300mlの四ツ口フラスコに、得られたN−パーフルオロペンチルカルボニルアラニン50.9g、水50g、イソプロパノール100g、LiOH・H2O4.2gの混合溶媒を加え25℃で1時間攪拌し反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、減圧下、100℃で5時間乾燥させることにより、フッ素系化合物(viii)N−パーフルオロペンチルカルボニルアラニンリチウム塩(C7F15CONHCH(CH3)CO2Li)51.5gを得た。
【0063】
試験例1〜4、比較試験例1〜4
実施例1〜4、比較例1〜4で得られたフッ素系化合物(i)〜(viii)からなるフッ素系界面活性剤の水溶解度と表面張力を以下の方法で測定し試験例1〜4、比較試験例1〜4として表1及び表2に示す。
【0064】
試験方法
水溶解度:25℃においてイオン交換水で攪拌、目視で濁りのないクリアーな状態を完溶とした。(単位:重量%)
表面張力:自動表面張力計CBPV−Z(協和界面化学株式会社製)を用いて、ウィルヘルミー白金プレート法にて、20℃における各濃度(イオン交換水溶液)での表面張力を測定した。(単位:mN/m)
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
本発明のフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤を用いた試験例1〜4では、水への溶解度が高く、且つ表面張力低下作用にも優れていることを確認した。
【0068】
試験例5〜6、比較試験例5
実施例1で得られたフッ素系化合物(i)を用いて、メタノールにおける溶解度、並びに表面張力を測定した(試験例5)。また、実施例1で得られたフッ素系化合物(i)及び比較例2で得られたフッ素系化合物(vi)を用いて、イオン交換水/メタノール=1/1(重量比)混合溶媒における溶解度、並びに表面張力を測定した(試験例6、比較試験例5)。これらの結果を表3に示す。
【表3】
【0069】
本発明のフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤は、水のみならず、親水性有機溶剤に対しても溶解度が高く、且つ水単独使用時と同様に優れた界面活性効果を発現しうることを確認した。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、水、及び/または親水性有機溶媒等の水系溶媒を用いて使用される、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に容易に溶解し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤を提供できる。
Claims (9)
- F(CF2)2m(CH2)n−(式中、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)で表される部分フッ素化アルキル基と、親媒性基とを有する化合物からなるフッ素系界面活性剤であって、該親媒性基が、その末端に親水性基Yを有し、さらに該親水性基Yが結合する炭素上に置換基として炭素数1〜12の炭化水素基を有するフッ素系化合物(A)からなるものであることを特徴とする、フッ素系界面活性剤。
- フッ素系化合物(A)が、下記一般式(1)
F(CF2)2m(CH2)nX(CH2)oCHRY (1)
(式中、Xは直接結合または2価の連結基であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数であり、oは0〜12の整数であり、Yは親水性基であり、Rは炭素数1〜12の炭化水素基である。)
で表されるフッ素系化合物である、請求項1記載のフッ素系界面活性剤。 - 一般式(1)中のXが直接結合、−SO2NR1−(R1は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基である。)、酸素原子または硫黄原子であり、Yが酸基、その金属塩またはアミン塩であり、Rが炭素数1〜12のアルキル基であり、mが3または4であり、nが2〜4の整数であり、oが0〜4の整数である、請求項2記載のフッ素系界面活性剤。
- フッ素系化合物(A)が下記一般式(2)
F(CF2)2m(CH2)nX1H (2)
(式中、X1は2価の連結基であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)
で表される化合物にアルキル化剤を反応させて得られるフッ素系化合物である、請求項2記載のフッ素系界面活性剤。 - 一般式(2)中のX1が、−SO2NR1−(R1は水素原子、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基である。)、酸素原子または硫黄原子であり、mが3または4であり、nが2〜4の整数であり、かつ、アルキル化剤がハロカルボン酸、その誘導体、(メタ)アクリル酸またはその誘導体である、請求項4記載のフッ素系界面活性剤。
- フッ素系化合物(A)が上記一般式(2)で表される化合物とアルキル化剤を反応させた後、中和またはケン化して得られるフッ素系化合物である、請求項4または5記載のフッ素系界面活性剤。
- フッ素系化合物(A)が下記一般式(4)
F(CF2)2m(CH2)nZ (4)
(式中、Zはハロゲン原子であり、m、nはそれぞれ同一または異なる1〜12の整数である。)
で表される化合物と、ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体とを反応させて得られるフッ素系化合物である、請求項2記載のフッ素系界面活性剤。 - 一般式(4)中のmが3または4であり、nが2〜4の整数である、請求項7記載のフッ素系界面活性剤。
- フッ素系化合物(A)が上記一般式(4)で表される化合物と、ヒドロキシカルボン酸、その誘導体、メルカプトカルボン酸またはその誘導体と反応させた後、中和またはケン化して得られるフッ素系化合物である、請求項7または8記載のフッ素系界面活性剤。
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