JP2004131493A - フッ素系界面活性剤 - Google Patents

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JP2004131493A JP2003318155A JP2003318155A JP2004131493A JP 2004131493 A JP2004131493 A JP 2004131493A JP 2003318155 A JP2003318155 A JP 2003318155A JP 2003318155 A JP2003318155 A JP 2003318155A JP 2004131493 A JP2004131493 A JP 2004131493A
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坂本 高章
Yoko Otaguro
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Abstract

【課題】      主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に使用され、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができ、且つ化合物中のパーフルオロアルキル基の炭素数が6以下の短い化合物からなるフッ素系界面活性剤を提供すること。
【解決手段】    1分子中に同一の2個〜4個のF(CF2)2m(CH2)-(式中、mは2又は3である。)と、-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)を有するフッ素系化合物(A)からなることを特徴とするフッ素系界面活性剤。
【選択図】     なし

Description

 本発明は、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に容易に溶解し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として、好適に用いることができるフッ素系界面活性剤に関する。
 フッ素系界面活性剤は、表面張力低下能力が高く、コーティング用組成物や成形用組成物等に混合することで、優れた浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を実現する添加剤であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されてきた。
 一般に、フッ素系界面活性剤は表面張力低下機能を実現するためのパーフルオロアルキル(Rf)基と、例えば該活性剤を添加剤として使用する、コーティング用、成形材料用等の各種組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物からなるものである。
 従来のフッ素系界面活性剤であるC17SON(R)(CH)COOM(式中、Rは水素原子または炭素数1〜12のアルキル基であり、nは1〜4の整数であり、Mは水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウムである。)は、界面活性効果と水溶性に優れ、メッキ、各種コーティング用途に広く利用されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、近年、フッ素化された炭素数が7以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物が、細胞株を用いた試験管内試験において発ガン性に寄与すると考えられている細胞間コミュニケーショの阻害を引き起こすこと、かつこの阻害が官能基ではなくフッ素化された炭素鎖の長さにより決まり、長いもの程阻害力が高いことがわかり(例えば、非特許文献1参照。)、前記特許文献1記載の化合物からなるフッ素系界面活性剤の使用が敬遠されるようになってきた。一方、一般的にパーフルオロアルキル基の炭素数が少ない化合物からなるフッ素系界面活性剤は、十分な界面活性効果が得られていない。従って、従来から使用されているフッ素系界面活性剤と同等以上の界面活性効果を有し、一般的に安全性が高いと認識されているパーフルオロアルキル基の炭素数が短い化合物からなるフッ素系界面活性剤が強く求められている。
米国特許第2809990号明細書(第1−3頁) "International Journal of Cancer"(米国)1998, vol.78, p.491-495、(第1−3頁、第5図)
 上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に使用され、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができ、かつ化合物中のパーフルオロアルキル基の炭素数が6以下の短い化合物からなるフッ素系界面活性剤を提供することにある。
 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記特定の構造を有するフッ素系化合物は、パーフルオロアルキル基の炭素数が6以下と短いものでありながら、該化合物を有効な界面活性成分とするフッ素系界面活性剤が、従来のフッ素系界面活性剤が有する界面活性効果を損なわないことを見出し本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、1分子中に2〜4個のF(CF2)2m(CH2)-(式中、mは2または3である。)と、-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)を有するフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤を提供するものである。
 本発明によれば、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等の組成物に使用され、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができ、且つパーフルオロアルキル基の炭素数が6以下の短い化合物からなるフッ素系界面活性剤を提供することができる。
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明に係る界面活性効果としては、種々の界面活性効果、例えば、コーティング、モールディング用途における組成物の濡れ性、浸透性、はじき防止性、レベリング性、塗膜の均一性・均質性、表面改質性等が挙げられる。
 本発明のフッ素系界面活性剤は1分子中に、2〜4個のF(CF2)2m(CH2)-(式中、mは2または3である。)と、-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)を有するフッ素系化合物(A)を有効成分とするフッ素系界面活性剤であれば良く、該フッ素系化合物(A)の構造が特に限定されるものではない。
 前記フッ素系化合物(A)中のF(CF2)2m(CH2)2-は、優れた界面活性効果を得るために必要不可欠なセグメントであり、1分子中に1個のみを有する化合物からなるフッ素系界面活性剤では界面活性効果が不足し、また5個以上該基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤では、界面活性剤として使用される場合のコーティング材料や成形材料等の組成物との相溶性が悪くなり実用性にかけるため、2〜4個のF(CF2)2m(CH2)2-を有する化合物であることが必須である。また、該基の鎖長は、界面活性剤として使用される場合の用途、これを添加剤として混合するコーティング材料や成形材料等の組成物の組成、目的とする界面活性効果のレベル等により適宜、選択されるものであるが、mが1であると得られるフッ素系化合物の界面活性効果が不足し、mが4以上では安全性において危惧されることになるので、2または3であることを必須とする。
 また前記フッ素系化合物(A)中の-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)は親水性基であり、該基中のMはカルボン酸の水素原子、カルボン酸アミン塩のアンモニウムまたはカルボン酸アルカリ金属塩のアルカリ金属を示すものであり、例えば親水性基として-COOH、-COONH4、-COOLi、-COONa、-COOK等が挙げられる。
 前記フッ素系化合物(A)としては、製造が容易で、得られるフッ素系化合物の界面活性効果と水溶性のバランスが良いことから1分子中にF(CF2)2m(CH2)2-を2個有するものが好ましく、例えば下記一般式(1)〜(2)で示すものが挙げられる。
{F(CF)2m(CH)}CHCOOM    (1)
(式中、mは2又は3であり、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)
Figure 2004131493
(式中、mは2又は3であり、R1は炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Rは直接結合または炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)
 前記一般式(1)、(2)で示されるフッ素系化合物は、1種類で用いても、構造が同一または異なる2種以上の混合物として用いても良く、異種混合物の場合はそれぞれの化合物を示す式中のm、Mは同一でも異なっていても良い。
 前記一般式(2)中のRは界面活性効果と添加される各種の組成物との親和性とに優れるフッ素系化合物が得られることから、炭素数1〜6のアルキレン鎖であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキレン鎖であることが特に好ましく、Rは直接結合または炭素数1〜6のアルキレン鎖であることが好ましく、直接結合または炭素数1〜4のアルキレン鎖であることが特に好ましい。
 また、前記一般式(1)〜(2)中の-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属を示す。)は親水性基であり、式中Mは、例えばアンモニウムとして、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、トルイジン、ピリジン等から誘導されたアンモニウムが挙げられ、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられる。これらの中でも実用的な界面活性効果を有するフッ素系化合物が得られ、且つ製造が容易なことから、式中のMがNH、リチウム、ナトリウム、カリウムであることが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウムであることが特に好ましい。
 本発明のフッ素系界面活性剤に用いるフッ素系化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2004131493
Figure 2004131493
 尚、本発明がこれら具体例により、なんら限定されないことは勿論である。
 前記一般式(1)、(2)で示されるフッ素系化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、前記一般式(1)で示されるフッ素系化合物の製造方法としては以下の方法が挙げられる。
 マロン酸ジエステルと下記一般式(3)
F(CF)2m(CH)2I   (3)
(式中、mは2または3である。)
で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)を反応させ、下記一般式(7)
F(CF)2m(CH)CH(COOR)    (7)
(式中、mは2又は3であり、Rはアルキル基である。)
で示されるパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルとした後、更に、前記一般式(3)で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)を反応させることにより、下記一般式(8)
{F(CF)2m(CH)}C(COOR)    (8)
(式中、m、Rは前記と同じである。)
で示されるビスパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルとした後、ケン化させる製造方法。
 前記製造方法について詳細に説明する。
 ここで用いるマロン酸ジエステルとしてはケン化される構造のものであればよく、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が挙げられる。
 この反応はマロン酸エステル合成法を応用した方法であり、マロン酸ジエステルと塩基との反応により、マロン酸ジエステルのメチレン水素を引き抜くことで塩を形成させ、更に、前記一般式(3)で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)との反応により、脱ヨウ化塩を経て前記一般式(7)で示されるパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルを生成し、次いで、同様の手法で原料としてパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルを用い、残ったメチレン水素の結合部位にパーフルオロアルキルエチル基を導入して、前記一般式(8)で示されるビスパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルを得ることができる。
 ここで用いる塩基としては無機塩基が好ましく、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、これらの中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが特に好ましい。塩基の使用量は、使用するマロン酸ジエステル1モルに対し、0.8モル〜3.0モル、好ましくは0.9〜1.5モルである。この反応は、無溶媒または有機溶媒中で反応させることができるが、反応操作が容易であり、且つ操作の安全性が高いことから有機溶媒中で反応させる方法が好ましい。
 前記溶媒としては、前記一般式(3)で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)及びマロン酸ジエステルに対して不活性であり、且つ両者を溶解できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類が挙げられ、これらの中でも、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類が好ましく、エーテル類、エステル類が特に好ましい。また、これらの溶媒は1種類で用いてもよいし、2種以上を混合して使用しても良い。
 この反応の反応条件は、特に制限はないが、反応時間が短くて済むことから、マロン酸ジエステルと塩基とを前記有機溶媒中で反応させ塩を形成させた後、この中に、前記一般式(3)で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)単独またはこれを前記溶媒に希釈したものを滴下させる方法が好ましい。
 塩形成の反応温度にも制限はないが、塩形成が効率的に起こる条件であれば問題はなく、通常30〜200℃であり、好ましくは50〜150℃である。塩形成の反応時間にも制限はなく、通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜5時間である。塩形成の反応雰囲気にも制限はないが、過酸化物の生成を抑制するため窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。
 また、パーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)の滴下時の反応温度にも制限はないが、脱ヨウ化塩が効率的に起こる条件であれば問題はなく、通常30〜200℃であり、好ましくは50〜150℃である。滴下反応の反応時間にも制限はなく、通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜5時間である。滴下反応の反応雰囲気にも制限はないが、過酸化物の生成を抑制するため窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。
 この反応で得られた前記一般式(7)で示されるパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルに、パーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)を前記と同様の手法を用いて反応させることにより、前記一般式(8)で示されるビスパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルが得られる。
 次に、得られたビスパーフルオロアルキルエチルマロン酸ジエステルのケン化反応について説明する。ここで用いるケン化剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、塩化カリウム、塩化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属等が挙げられる。ケン化剤はケン化を行う前の化合物1モルに対し1〜5モル、好ましくは1〜2.5モル使用する。ケン化反応時の反応条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応溶媒として、水単独、あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒等が挙げられる。また、反応温度は、10℃〜還流温度、特に40〜90℃であることが好ましい。
 前記製造方法により得られた前記一般式(1)で示されるフッ素系化合物は、用途、目的によっては、未精製で用いることも出来るが、蒸留、溶媒による洗浄、再結晶、各種クロマトグラフィー、吸着剤等により、精製することも可能である。
 次に、前記一般式(2)で示されるフッ素系化合物の製造方法について説明する。製造方法としては特に限定されるものではないが、例えば、以下の(I)〜(III)の方法が挙げられる。
 (I)下記一般式(3)
F(CF)2m(CH)2I   (3)
(式中、mは前記と同じである。)
で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に下記一般式(4)
Figure 2004131493
(式中、R1、Rは前記と同じである。)
で示されるカルボン酸(C)又は下記一般式(5)
Figure 2004131493
(式中、R1、Rは前記と同じであり、Mはアンモニウムまたはアルカリ金属である。)
で示されるカルボン酸塩(D)を反応させる製造方法。
 (II)下記一般式(3)
F(CF)2m(CH)2I   (3)
(式中、mは前記と同じである。)
で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に下記一般式(4)
Figure 2004131493
(式中、R1、Rは前記と同じである。)
で示されるカルボン酸(C)反応させた後、中和する製造方法。
(III)下記一般式(3)
F(CF)2m(CH)2I   (3)
(式中、mは前記と同じである。)
で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に下記一般式(6)
Figure 2004131493
(式中、R1、Rは前記と同じであり、Rはアルキル基である。)
で示されるカルボン酸エステル(E)を反応させた後、ケン化する製造方法。
 まず(I)の製造方法について詳細に説明する。
 前記一般式(5)で示されるカルボン酸(C)または前記一般式(6)で示されるカルボン酸塩(D)としては、式中のアルキレン鎖Rが、界面活性効果と添加される各種の組成物との親和性とに優れたフッ素系化合物が得られることから、炭素数1〜6のメチレン鎖であることが好ましく、炭素数1〜4のメチレン鎖であることが特に好ましく、式中のアルキレン鎖Rは、直接結合または炭素数1〜6のメチレン鎖であることが好ましく、直接結合または炭素数1〜4のメチレン鎖であることが特に好ましい。
 前記一般式(5)で示されるカルボン酸(C)としては、例えば、ジアジイジン−3−カルボン酸、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸、イミダゾリジン−2−カルボン酸、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸、ピペラジン−2−カルボン酸、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸、ジアジリジン−3−イル−酢酸、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸、イミダゾリジン−2−イル−酢酸、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸、ピペラジン−2−イル−酢酸が挙げられ、ジアジイジン−3−カルボン酸、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸、イミダゾリジン−2−カルボン酸、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸、ピペラジン−2−カルボン酸が好ましい。
 前記一般式(6)で示されるカルボン酸塩(D)としては、前記一般式(5)で示されるカルボン酸(C)の塩であることが好ましく、例えば、アミン塩としてアンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、トルイジン、ピリジン等から誘導されたアミン塩が挙げられ、アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、これらの中でも実用的な界面活性効果を有するフッ素系化合物が得られ、且つ、特に製造が容易なことから、アンモニアから誘導されるアミン塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
 具体的には、ジアジイジン−3−カルボン酸アンモニウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ジアジリジン−3−イル−酢酸アンモニウム塩、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸アンモニウム塩、イミダゾリジン−2−イル−酢酸アンモニウム塩、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸アンモニウム塩、ピペラジン−2−イル−酢酸アンモニウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸リチウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸リチウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸リチウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸リチウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸リチウム塩、ジアジリジン−3−イル−酢酸リチウム塩、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸リチウム塩、イミダゾリジン−2−イル−酢酸リチウム塩、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸リチウム塩、ピペラジン−2−イル−酢酸リチウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸ナトリウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ジアジリジン−3−イル−酢酸ナトリウム塩、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸ナトリウム塩、イミダゾリジン−2−イル−酢酸ナトリウム塩、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸ナトリウム塩、ピペラジン−2−イル−酢酸ナトリウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸カリウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸カリウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸カリウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸カリウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸カリウム塩、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸カリウム塩、ジアジリジン−3−イル−酢酸カリウム塩、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸カリウム塩、イミダゾリジン−2−イル−酢酸カリウム塩、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸カリウム塩、ピペラジン−2−イル−酢酸カリウム塩が挙げられる。
 これらの中でも、ジアジイジン−3−カルボン酸アンモニウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸アンモニウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸リチウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸リチウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸リチウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸リチウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸ナトリウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸ナトリウム塩、ジアジイジン−3−カルボン酸カリウム塩、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸カリウム塩、イミダゾリジン−2−カルボン酸カリウム塩、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸カリウム塩、ピペラジン−2−カルボン酸カリウム塩が特に好ましい。
 この反応におけるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)の使用量は、カルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)1モルに対し1.5〜7.0モル、好ましくは、1.9〜4.0モルである。また、この反応は脱ヨウ化水素反応であるため、副生するヨウ化水素を除去するために塩基を使用することが好ましく、塩基としては有機塩基が好ましく、例えば、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。塩基の使用量は、使用するカルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)1モルに対し1.5〜8.0モル、好ましくは2.0〜5.0モルである。この反応は、無溶媒または有機溶媒中で反応させることができるが、反応操作が容易であり、且つ操作の安全性が高いことから有機溶媒中で反応させる方法が好ましい。
 前記溶媒としては、カルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)及びパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に対して不活性であり、且つ両者を溶解できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの中でも、溶解性が良好なことから、ケトン類、ニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。また、これらの溶媒は1種類で用いてもよいし、2種以上を混合して使用しても良い。更に、これらの溶媒は水との混合溶媒としても使用可能である。
 この反応の反応条件は、特に制限はないが、反応時間が短くて済み、副生するヨウ化水素の除去が容易なことから、カルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)を前記溶媒に希釈したものの中に、パーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)単独またはこれを前記溶媒に希釈したものを滴下させる方法が好ましい。反応温度にも制限はないが、脱ヨウ化水素反応が効率的に起こる条件であれば問題はなく、通常5〜80℃であり、好ましくは10〜50℃である。反応時間にも制限はなく、通常0.5〜10時間であり、好ましくは、1〜5時間である。反応雰囲気にも制限はないが、使用するカルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)及び生成物の酸化を抑制するため窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。
 次に、(II)の製造方法について述べる。
 前記一般式(4)で示されるカルボン酸(C)にパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)を反応させる方法は、前述の (I)の製造方法と同じである。この反応で得られた生成物を中和することによって、前記一般式(2)で示されるフッ素系化合物を得ることができる。
 前記中和反応時に用いる中和剤としては、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、塩化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。これら中和剤の使用量は中和を行う前の化合物1モルに対し、1〜5モル、好ましくは1〜2.5モルである。
 前記中和反応時の反応条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応溶媒としては、水単独、あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒等が挙げられる。また、反応温度としては5〜50℃、特に10〜30℃であることが好ましい。
 次に、(III)の製造方法について述べる。
 製造方法としては、前述の(I)において、カルボン酸(C)またはカルボン酸塩(D)の代わりに前記一般式(6)で示されるカルボン酸エステル(E)を用いる以外は同様である。
 ここで用いるカルボン酸エステル(E)中のRとしては炭素数1〜7のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
 これらの中でも、前記一般式(4)で示されるカルボン酸(C)のエステルが好ましく、例えば、ジアジイジン−3−カルボン酸メチル、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸メチル、イミダゾリジン−2−カルボン酸メチル、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸メチル、ピペラジン−2−カルボン酸メチル、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸メチル、ジアジリジン−3−イル−酢酸メチル、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸メチル、イミダゾリジン−2−イル−酢酸メチル、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸メチル、ピペラジン−2−イル−酢酸メチル、ジアジイジン−3−カルボン酸エチル、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸エチル、イミダゾリジン−2−カルボン酸エチル、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸エチル、ピペラジン−2−カルボン酸エチル、[1,3]ジアゼパン−2−カルボン酸エチル、ジアジリジン−3−イル−酢酸エチル、[1,3]ジアゼチジン−2−イル−酢酸エチル、イミダゾリジン−2−イル−酢酸エチル、(ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−イル)−酢酸エチル、ピペラジン−2−イル−酢酸エチルが好ましく、ジアジイジン−3−カルボン酸メチル、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸メチル、イミダゾリジン−2−カルボン酸メチル、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸メチル、ピペラジン−2−カルボン酸メチル、ジアジイジン−3−カルボン酸エチル、[1,3]アゼチジン−2−カルボン酸エチル、イミダゾリジン−2−カルボン酸エチル、ヘキサヒドロ−ピリミジン−2−カルボン酸エチル、ピペラジン−2−カルボン酸エチルが特に好ましい。
 この反応で得られた生成物をケン化することによって、前記一般式(2)で示されるフッ素系化合物を得ることができる。
 前記ケン化反応時のケン化剤としては、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、塩化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。これらケン化剤の使用量はケン化を行う前の化合物1モルに対し、1〜5モル、好ましくは1〜2.5モルである。
 前記ケン化反応時の反応条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応溶媒として、水単独、あるいは水とメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒等が挙げられる。また、反応温度は、10℃〜還流温度、特に40〜90℃であることが好ましい。
 前述の(I)〜(III)の製造方法により得られた前記一般式(2)で表されるフッ素系化合物は、用途、目的によっては、未精製で用いることも出来るが、蒸留、溶媒による洗浄、再結晶、各種クロマトグラフィー、吸着剤等により、精製することも可能である。
 前述の3通りの製造方法のうち、カルボン酸またはカルボン酸塩は有機溶剤に対する溶解性が低くパーフルオロアルキルエチルアイオダイドとの反応による操作性が低くなり、また、カルボン酸塩を用いる場合は、パーフルオロアルキルエチルアイオダイドとの反応により副生するヨウ化水素とヨウ化水素キャッチャー(塩基)とにより生成するアミン塩またはヨウ化アルカリ金属が水溶性のため、水溶解性が比較的高いフッ素系化合物との分離が難しく収率低下を伴うので、効率よくフッ素系化合物を得る方法としては、(III)のカルボン酸エステルを用いる方法が好ましい
 本発明のフッ素系界面活性剤は、従来使用されてきたフッ素系界面活性剤と比較し、パーフルオロアルキル基の鎖長が短いものの、水及び/または有機溶媒への溶解性、並びに界面活性効果はほぼ同等であり、用途として特に制限されることはなく、広く使用することができる。また、本発明のフッ素系界面活性剤は、単独で用いても良いが2種類以上のフッ素系化合物(A)を同時に用いても構わない。
 本発明のフッ素系界面活性剤を添加剤として使用する組成物としては、例えば、印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等が挙げられる。
 前記組成物の形態としては、例えば、該フッ素系界面活性剤を1種又は2種以上の溶媒に混合したもの、該フッ素系界面活性剤を、溶剤を必須成分として含有し、溶質として高分子化合物、低分子有機化合物、無機化合物等の1種類以上の化合物と、必要に応じて、後述する各種添加剤から構成されたものに混合したもの等が挙げられる。
 前記溶剤としては、水及び/または各種有機溶剤が挙げられ、例えば、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン等の親水性のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の親水性のセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル等の親水性のグリコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種類であっても2種類以上の混合溶剤系であっても良い。尚、ここでいう溶剤とは、系中で分散媒として働いているものも溶剤と称する。
 前記溶質としては、水及び/または前記有機溶剤に溶解或いは分散するものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース、キチン、キトサン等の天然高分子等、ゼラチン等が挙げられる。これらの溶質は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
 前記添加剤としては、例えば、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤、更にフッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフィラー等の無機粉末・充填材、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン、アクリルビーズ、カーボン等の有機微粉末、感光剤、増感剤、耐光性向上剤、耐候性向上剤、耐熱性向上剤、導電剤、酸化防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤、増粘剤、沈降防止剤、消泡剤、防臭剤等の各種充填剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
 また、本発明のフッ素系界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、その他のフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等の種々の界面活性剤を自由な組み合わせで併用して前述の各種組成物に適用することもできる。その混合割合としては、特に制限されるものではなく、目的とする界面活性効果のレベル、適応する前述の各種組成物との相溶性等に応じて適宜選択されるものであるが、本発明のフッ素系化合物(A)からなるフッ素系界面活性剤とその他の界面活性剤との重量比として、(フッ素系界面活性剤)/(その他の界面活性剤)が1/99〜99/1であることが好ましく、安定した充分な界面活性効果が得られる点から、前記重量比として80/20〜10/90であることが特に好ましく、50/50〜20/80であることが最も好ましい。
 一般に、フッ素系界面活性剤は炭化水素系界面活性剤と併用することにより、界面活性剤を添加した組成物が接触する材料(例えば、塗布される場合、ガラス、鋼板やプラスチックフィルム、成形される場合には金型)に対する界面張力を低下させる働きが増し、さらには経済的な観点からも有効である。
 前記炭化水素系界面活性剤としては、1分子中に親水性基と親油性基とを有する炭化水素系化合物からなり、通常、主に親水性基のイオン性により、アニオン、カチオン、ノニオン、ベタインタイプに分類される。本発明のフッ素系界面活性剤と併用することができる炭化水素系界面活性剤としては、何れのタイプも制限なく使用することができる。代表的なアニオン系界面活性剤としては、スルホン塩、リン酸塩、カルボン酸塩等が挙げられ、具体的には、花王株式会社製エマールシリーズ、ペレックスシリーズ等が例示される。また、カチオン系界面活性剤としては、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩が挙げられ、具体的には花王株式会社製アセタミンシリーズ、コータミンシリーズが例示される。またノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、具体的には、花王株式会社製エマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ等が例示される。またベタイン系界面活性剤として、アミノ酸塩、アミンオキシド等が挙げられ、具体的には、花王株式会社製アンヒトールシリーズ等が例示される。
 前述の本発明のフッ素系界面活性剤を含む組成物は、種々の加工方法を適用することにより、優れた浸透・濡れ性およびレベリング性等が得られる。加工方法としては特に制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、デイッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装、スクリーン印刷等のコーティング方法・装置、インクジェット法、射出、押し出し、中空、圧縮、反応、真空、FRP、熱、ロールシート、カレンダー、2軸延伸フィルム、積層、回転等の各種成形方法、各種金型、スタンパを用いた射出成形等が挙げられる。
 また、前述の組成物の用途にも制限はなく、例えば、工業用および家庭用等の接着剤、耐擦傷性、滑り性、非粘着性、撥水撥油性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、耐候性、生理活性、耐水性、防湿性、防汚性、潤滑性等の表面機能性保護膜形成材料、衣料、家具、靴、雑貨等の繊維、人工皮革、合成皮革不織布等の処理剤、紙、フィルム、カード等の各種コーティング剤、自動車、建材、家電、医用材料、OA機器、電気・電子機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、各種封止材料、離型剤、防錆剤、防曇剤、防霧剤、ブロッキング防止剤、PS版等の帯電防止剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用各種フォトレジスト等の感光性材料、LSI製造用反射防止膜剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用洗浄剤、エッチング剤、剥離剤、現像液、乳剤等の写真材料、自動車、航空機、船舶、建材、家電用等の塗料、染料、洗浄剤、フロアポリッシュ、泡消火薬剤、メッキ浴ミスト防止剤、レンズシート、光ファイバ等の光学材料、または有機化学反応用分散媒等に好適に用いることができる。
 次に本発明をより詳細に説明するために、実施例、試験例及び比較試験例を掲げる。
 実施例1
 i)モノパーフルオロ体の合成
 攪拌装置、滴下管、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、マロン酸ジエチル128.1g(0.8モル)、ナトリウムメトキシド51.3g(0.95モル)およびメタノール100gを仕込み、更に滴下管に1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン357.6g(1モル)を入れた。窒素雰囲気下、フラスコ内を60℃に保ち、2時間攪拌した後、反応液に酢酸エチル200gを加え、同温度で5分間攪拌した。攪拌終了後、窒素雰囲気下、同温度で1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサンを30分かけて滴下した。滴下終了後、更に、同温度で2時間攪拌した。攪拌終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液に飽和食塩水300gを加え、25℃で10分間攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離し、蒸留によって溶媒を留去し、更に蒸留を続けて留分として2−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサン)マロン酸ジエチルエステル[モノパーフルオロ体(1−i)]320.5gを得た。
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 攪拌装置、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、i)で得られたモノパーフルオロ体(1−i)211.3g(0.52モル)、ナトリウムメトキシド33.5g(0.62モル)およびメタノール500gを仕込み、更に滴下管に、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン221.7g(0.62モル)を入れた。窒素雰囲気下、フラスコ内を60℃に保ち2時間攪拌した後、反応液に酢酸エチル600gを加え、同温度で5分間攪拌した。攪拌終了後、窒素雰囲気下、同温度で1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサンを30分かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で2時間攪拌した。攪拌終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液に飽和食塩水1kgを加え、25℃で10分間攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離した後、蒸留によって溶媒を留去し、更に蒸留を続けて留分として2,2-ビス-(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサン)マロン酸ジエチルエステル[ビスパーフルオロ体(1−ii)]330.3gを得た。
 iii)ケン化反応
 攪拌装置、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、ii)で得られたビスパーフルオロ体(1−ii))293.5g(0.45モル)、水酸化リチウム・一水和物37.8g(0.9モル)、イソプロパノール600gおよびイオン交換水400gを入れた後、60℃で2時間攪拌しケン化反応を行った。撹拌終了後、減圧下で溶媒を留去し、残った固形分を強制乾燥することにより、目的のフッ素系化合物(1−iii)ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)酢酸リチウム塩[(CCHCH)CHCOOLi]251.2gを得た。
 実施例2
 実施例1−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物37.8g(0.9モル)の代わりに、水酸化ナトリウム36g(0.9モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、目的のフッ素系化合物(2−iii)ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)酢酸ナトリウム塩[(CCHCH)CHCOONa]258.4gを得た。
 実施例3
 実施例1−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物37.8g(0.9モル)の代わりに、水酸化カリウム50.5g(0.9モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、目的のフッ素系化合物(3−iii)ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)酢酸カリウム塩[(CCHCH)CHCOOK]265.7gを得た。
 実施例4
 実施例1−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物37.8g(0.9モル)の代わりに、25重量%アンモニア水溶液61.3g(0.9モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、目的のフッ素系化合物(4−iii)ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)酢酸アンモニウム塩[(CCHCH)CHCOONH]256.2gを得た。
 実施例5
 i)モノパーフルオロ体の合成
 実施例1−iにおいて、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン357.6g(1モル)の代わりに、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロ−8−ヨード−オクタン457.6g(1モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、2−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)マロン酸ジエチルエステル[モノパーフルオロ体(5−i)]625.6gを得た。
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 実施例1において、モノパーフルオロ体(1−ii))211.3g(0.52モル)の代わりにモノパーフルオロ体(5−i)409.9g(0.52モル)を用い、更に、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン221.7g(0.62モル)の代わりに1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロ−8−ヨード−オクタン283.7g(0.62モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、2,2−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ−オクチル)マロン酸ジエチルエステル[ビスパーフルオロ体(5−ii)]425.9gを得た。
 iii)ケン化反応
 実施例1−iiiにおいて、ビスパーフルオロ体(1−ii)293.5g(0.45モル)の代わりに、ビスパーフルオロ体(5−ii)383.5g(0.45モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、目的のフッ素系化合物(5−iii)ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)酢酸リチウム塩[(C13CHCH)CHCOOLi]296.2gを得た。
 実施例6
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 攪拌装置、滴下管、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル126.6g(0.8モル)、トリエチルアミン91.1g(0.9モル)および酢酸エチル800gを仕込み、更に滴下管に1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン607.9g(1.7モル)を入れた。窒素雰囲気下、25℃で攪拌しながら1時間かけて、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサンを滴下した。滴下終了後、更に25℃で3時間攪拌した。攪拌終了後、反応液に10重量%塩酸水溶液600gを加え、窒素雰囲気下、25℃で30分攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離した後、蒸留によって溶媒を留去し、更に蒸留を続けて留分として、1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル[ビスパーフルオロ体(6−ii)]510.3gを得た。
 iii)ケン化反応
 攪拌装置、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、ii)で得られたビスパーフルオロ体(6−ii)292.7g(0.45モル)、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)、イソプロパノール600gおよびイオン交換水400gを仕込み、フラスコ内を60℃に保ち2時間攪拌することでケン化反応を行った。撹拌終了後、減圧下で溶媒を留去し残った固形分を強制乾燥することにより、構造式(2−1)で示されるフッ素系化合物(6−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩282.7gを得た。
Figure 2004131493
 実施例7
 実施例6−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)の代わりに、水酸化ナトリウム18g(0.45モル)を用いた以外は実施例6と同様にして、構造式(2−2)で示されるフッ素系化合物(7−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸ナトリウム塩287.9gを得た。
Figure 2004131493
 実施例8
 実施例6−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)の代わりに、水酸化カリウム25.2g(0.45モル)を用いた以外は実施例6と同様にして、構造式(2−3)で示されるフッ素系化合物(8−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸カリウム塩297.1gを得た。
Figure 2004131493
 実施例9
 実施例6−iiiにおいて、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)の代わりに、25重量%アンモニア水溶液30.7g(0.45モル)を用いた以外は実施例6と同様にして、構造式(2−4)で示されるフッ素系化合物(9−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸アンモニウム塩287.6gを得た。
Figure 2004131493
 実施例10
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 攪拌装置、滴下管、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、ピペラジン−2−カルボン酸104.1g(0.8モル)、トリエチルアミン172g(1.7モル)、アセトン400g、酢酸エチル400gおよびイオン交換水400gを仕込み、更に滴下管に1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン607.9g(1.7モル)を入れた。窒素雰囲気下、25℃で攪拌しながら、1時間かけて、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサンを滴下した。滴下終了後、更に3時間攪拌した。攪拌終了後、反応液にイオン交換水400gおよび酢酸エチル800gを加え、窒素雰囲気下、25℃で30分攪拌した。攪拌終了後、有機層を分離し、蒸留によって溶媒を留去し、更に蒸留を続けて留分として1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸[ビスパーフルオロ体(10−ii)]490.6gを得た。
 iii)’中和反応
 攪拌装置、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、iiで得られたビスパーフルオロ体(10−ii)280g(0.45モル)、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)、イソプロパノール600gおよびイオン交換水400gを仕込み、25℃で1時間攪拌することで中和反応を行った。撹拌終了後、減圧下で溶媒を留去し、残った固体を強制乾燥することにより、構造式(2−1)で示されるフッ素系化合物(10−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩282.7gを得た。
 実施例11
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 攪拌装置、滴下管、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩108.8g(0.8モル)、トリエチルアミン172g(1.7モル)、アセトン400g、酢酸エチル400gおよびイオン交換水400gを加え、更に滴下管に1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン607.9g(1.7モル)を入れた。窒素雰囲気下、25℃で攪拌しながら1時間かけて、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサンを滴下した。滴下終了後、更に3時間攪拌した。攪拌終了後、反応液にイオン交換水400gおよび酢酸エチル400gを加え、窒素雰囲気下、25℃で30分攪拌した。攪拌終了後、水層を分離した後、水洗し強制乾燥することにより、前記構造式(2−1)で示されるフッ素系化合物(11−ii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)−ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩500.5gを得た。
 実施例12
 ii)ビスパーフルオロ体の合成
 実施例6−iiにおいて、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ−6−ヨード−ヘキサン607.9g(1.7モル)の代わりに、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロ−8−ヨード−オクタン777.9g(1.7モル)を用いた以外は実施例6と同様にして、1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル[ビスパーフルオロ体(12−ii)]675.4gを得た。
 iii)ケン化反応
 攪拌装置、還流冷却器および温度計を付した2リットルの四ツ口フラスコに、iiで得られたビスパーフルオロ体(12−ii)382.7g(0.45モル)、水酸化リチウム・一水和物18.9g(0.45モル)、イソプロパノール600gおよびイオン交換水400gを仕込み、60℃で2時間攪拌することによりケン化反応を行った。撹拌終了後、減圧下で溶媒を留去し、残った固体を強制乾燥することにより、下記構造式(2−5)で示されるフッ素系化合物(12−iii)1,4−ビス−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)−ピペラジン−2−カルボン酸リチウム塩372.7gを得た。
Figure 2004131493
 試験例1〜12および比較試験例1
 実施例1〜12で得られたフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤の水溶解度並びに水溶液での表面張力を以下の方法で測定し試験例1〜12として表1に示す。
 試験方法
 水溶解度:25℃においてイオン交換水で攪拌、目視で濁りのないクリアーな状態を完溶とした。(単位:重量%)
 表面張力:自動表面張力計CBPV−Z(協和界面化学株式会社製)を用いて、ウィルヘルミー白金プレート法にて、20℃における各濃度(イオン交換水溶液)での表面張力を測定した。(単位:mN/m)
 また、比較試験例1として、大日本インキ化学工業株式会社製のメガファックF−120(C17SON(CHCHCH)CHCOOK)の水溶解度並びに水溶液での表面張力を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2004131493
 本発明のフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤を用いた試験例1〜12では、化合物中のパーフルオロアルキル基の炭素数が6以下と短いものでありながら、従来使用されてきた炭素数8のパーフルオロアルキル基を持つ化合物からなる比較例1のフッ素系界面活性剤と、水への溶解度並びに表面張力低下作用がほぼ同様の性能であることを確認した。
 試験例13、14、比較試験例2、3
 実施例1で得られたフッ素系化合物1−iii及び従来品のメガファックF−120を用いて、メタノール(試験例13、比較試験例2)、及びイオン交換水/メタノール=1/1(重量比)混合溶媒(試験例14、比較試験例3)における溶解度、並びに表面張力を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2004131493
 本発明のフッ素系化合物からなるフッ素界面活性剤は、水のみならず、親水性有機溶剤に対しても従来品とほぼ同様の界面活性効果を発現しうることを確認した。
 試験例15、16
 実施例6で得られたフッ素系化合物(6−iii)を用いて、炭化水素系界面活性剤との併用効果を確認した。フッ素系化合物(6−iii)と炭化水素系界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルエーテル:花王株式会社製エマルゲン430)との混合物の0.001重量%水溶液における表面張力を測定し、試験例15、16として結果を表3に示す。
Figure 2004131493
 本発明のフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤は、その他の界面活性剤との併用においても優れた界面活性効果を発現することを確認した。

Claims (8)

  1. 1分子中に同一の2個〜4個のF(CF2)2m(CH2)-(式中、mは2又は3である。)と、-COOM(式中、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)を有するフッ素系化合物(A)からなることを特徴とするフッ素系界面活性剤。
  2. フッ素系化合物(A)が下記一般式(1)
    {F(CF)2m(CH)}CHCOOM    (1)
    (式中、mは2又は3であり、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)
    及び/または下記一般式(2)
    Figure 2004131493
    (式中、mは2又は3であり、R1は炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Rは直接結合または炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)
    で示されるフッ素系化合物である請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  3. フッ素系化合物(A)が下記一般式(2)
    Figure 2004131493
    (式中、mは2又は3であり、R1は炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Rは直接結合または炭素数1〜10のアルキレン鎖であり、Mは水素原子、アンモニウムまたはアルカリ金属である。)
    で示されるフッ素系化合物である請求項1記載のフッ素系界面活性剤。
  4. フッ素系化合物(A)が下記一般式(3)
    F(CF)2m(CH)2I   (3)
    (式中、mは前記と同じである。)
    で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に下記一般式(4)
    Figure 2004131493
    (式中、R1、Rは前記と同じである。)
    で示されるカルボン酸(C)又は下記一般式(5)
    Figure 2004131493
    (式中、R1、Rは前記と同じであり、Mはアンモニウムまたはアルカリ金属である。)
    で示されるカルボン酸塩(D)を反応させて得られるフッ素系化合物である請求項3記載のフッ素系界面活性剤。
  5. フッ素系化合物(A)が下記一般式(3)
    F(CF)2m(CH)2I   (3)
    (式中、mは前記と同じである。)
    で示されるパーフルオロアルキルエチルアイオダイド(B)に下記一般式(6)
    Figure 2004131493
    (式中、R1、Rは前記と同じであり、Rはアルキル基である。)
    で示されるカルボン酸エステル(E)を反応させた後、ケン化して得られるフッ素系化合物である請求項3記載のフッ素系界面活性剤。
  6. 前記一般式(2)中のRが炭素数1〜6のアルキレン鎖であり、Rが直接結合または炭素数1〜6のアルキレン鎖であり、Mが水素原子、NH、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである請求項2または3記載のフッ素系界面活性剤。
  7. 前記一般式(4)、(5)中のRが炭素数1〜6のアルキレン鎖であり、Rが直接結合または炭素数1〜6のアルキレン鎖であり、前記一般式(5)中のMがNH、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである請求項4記載のフッ素系界面活性剤。
  8. 前記一般式(6)中のRが炭素数1〜6のアルキレン鎖であり、Rが直接結合または炭素数1〜6のアルキレン鎖である請求項5記載のフッ素系界面活性剤。
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