JP4452909B2 - フッ素系界面活性剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水や各種の溶剤に対する溶解性と界面活性効果とのバランスに優れ、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に容易に溶解し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系界面活性剤は、表面張力低下能力が高く、コーティング用組成物や成形用組成物等に混合することで、優れた浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を実現する添加剤であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されてきた。
【0003】
一般に、フッ素系界面活性剤は表面張力低下能を実現するためのフッ素化アルキル基と、例えば該活性剤を添加剤として使用する、コーティング用、成形材料用等の各種組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物からなる。
【0004】
例えば、従来のフッ素系界面活性剤であるC8F17SO2N(R)(CH2CH2O)nH(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、nは1〜25の整数である。)は、親媒性基としてノニオン系のオキシエチレン鎖を有し、メッキ、各種コーティング用途、写真材料等に広く利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
フッ素系界面活性剤としては、使用する組成物の各成分、特に水や溶剤に対する溶解性が良好であり、且つ充分な界面活性効果、例えば表面張力低下能や帯電防止能を有することを必須とする。しかし前記界面活性剤は、両者のバランスに欠け、充分な効果を得るためには添加量を多くする必要があり、この場合は前記組成物中に均一に混合することが難しく、硬化後の塗膜や成形材の表面にブリードアウトを起こし、品質の劣化を招くことがある。一方、これらの現象を抑える為に添加量を減らすと、界面活性効果において充分満足できるレベルではない。従って水や各種の溶剤に対する溶解性と、界面活性効果をバランス良く兼備するフッ素系界面活性剤の開発が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−148257号公報(第10−11頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような実情に鑑み、本発明の課題は、水や各種の溶剤に対する溶解性と界面活性効果とのバランスに優れ、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に使用され、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、1分子中に同一又は異なる構造のフッ素化アルキル基を含有する有機基を2個有し、かつ親媒性基としてオキシアルキレン鎖を含有する有機基を有するフッ素系化合物を有効な界面活性成分とするフッ素系界面活性剤は、水や各種の溶剤に対する溶解性と界面活性効果とのバランスに優れていることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表されるフッ素系化合物からなるフッ素系界面活性剤を提供するものである。
【0010】
【化3】
[式中、k及びmはそれぞれ独立に1〜20の整数であり、Rは−(CH 2 ) n −又は−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −(式中、nは1又は2であり、pは0又は2であり、R 1 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)であり、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、Y’は酸素原子又は硫黄原子であり、Zは炭素数2〜4のポリオキシアルキレン鎖であり、R’は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。]
【0011】
【化4】
[式中、k及びmはそれぞれ独立に1〜20の整数であり、Rは−(CH 2 ) n −又は−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −(式中、nは1又は2であり、pは0又は2であり、R 1 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)であり、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、Y’は酸素原子又は硫黄原子であり、Zは炭素数2〜4のポリオキシアルキレン鎖であり、R’は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、R 2 は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、qは0又は1である。]
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る界面活性効果としては、種々の界面活性効果、例えば、コーティング、モールディング用途における組成物の濡れ性、浸透性、はじき防止性、レベリング性、塗膜の均一性・均質性、表面改質性等が挙げられる。
【0013】
本発明のフッ素系界面活性剤は、下記一般式(1)又は(2)で表されるフッ素系化合物(I)を有効成分とするフッ素系界面活性剤である。
【0014】
【化5】
[式中、k及びmはそれぞれ独立に1〜20の整数であり、Rは−(CH 2 ) n −又は−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −(式中、nは1又は2であり、pは0又は2であり、R 1 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)であり、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、Y’は酸素原子又は硫黄原子であり、Zは炭素数2〜4のポリオキシアルキレン鎖であり、R’は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。]
【0015】
【化6】
[式中、k及びmはそれぞれ独立に1〜20の整数であり、Rは−(CH 2 ) n −又は−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −(式中、nは1又は2であり、pは0又は2であり、R 1 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)であり、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、Y’は酸素原子又は硫黄原子であり、Zは炭素数2〜4のポリオキシアルキレン鎖であり、R’は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、R 2 は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、qは0又は1である。]
【0016】
前記一般式(1)又は(2)中のF(CF2)m−は優れた界面活性効果を得るために必要不可欠なセグメントであり、該基の鎖長は、界面活性剤として使用される場合の用途、これを添加剤として混合するコーティング材料や成形材料等の組成物の組成、目的とする界面活性効果のレベル等により適宜、選択されるものであるが、mが20を超えると、前記組成物との相溶性が悪くなり、工業的に原料を入手することも難しく、mが1〜20であることを必須とする。
【0017】
前記一般式(1)又は(2)中のRは、−(CH2)n−又は−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −(式中、nは1又は2であり、pは0又は2であり、R 1 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)である。nとしては、得られるフッ素系化合物が界面活性効果を有し、工業的に原料の入手が可能である点から1又は2であることを必須とし、2であることが特に好ましい。更に、Rが−(CH 2 ) p SO 2 N(R 1 )−(CH 2 ) n −である場合は、R 1 が炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。
【0018】
前記一般式(1)又は(2)中のk及びmとしては、得られるフッ素系化合物の界面活性効果に優れる点から2〜12の整数であることが好ましく、環境中並びに生体内における蓄積性の懸念が少ない点からk及びmが6以下であることが好ましく、k及びmが4又は6であることが最も好ましい。
【0019】
前記一般式(1)又は(2)中で−(Y’〜R’)で表される有機基を除いた残りの有機基(A1)の好ましいものの具体的な例としては、下記構造式(A1−1)〜(A1−22)で表されるものが挙げられる。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
前記一般式(1)又は(2)中で−(Y’〜R’)で表される有機基(a2)は、下記一般式(3)又は(4)で表されるものである。
【0023】
−Y’−Z−R’ (3)
(式中、Y’は酸素原子又は硫黄原子であり、Zは炭素数2〜4のポリオキシアルキレン鎖であり、R’は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。)
【0024】
【化9】
(式中、Y’、Z、R’は前記と同じであり、R 2 は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、qは0又は1である。)
【0025】
前記有機基(a2)はノニオン系の親水性基であり、オキシアルキレン鎖としては、特に制限されるものではなく、得られるフッ素系化合物を界面活性剤として使用する場合のコーティング用、成形材料用等の各種組成物に対する所望の親和性のレベルに応じて適宜選択されるものであり、炭素数2〜4のオキシアルキレン鎖であることが好ましく、例えば、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等の単一化合物の重合体、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等の2種以上の化合物によるランダム重合体又はブロック重合体等が挙げられ、またこれらの鎖を形成する炭素上に更にメチル基、水酸基等の置換基を有していても良い。
【0026】
前記有機基(a2)の末端の構造としては、得られるフッ素系化合物の前記組成物との相溶性、特に水系の組成物に対する相溶性に優れる点から、水素原子、炭素数1〜18の炭化水素基である。
【0027】
前記有機基(a2)の好ましいものとしては、例えば、以下に示すものを挙げることができる。尚、下記一般式中のr、tは2〜40の整数である。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
これらの中でも、前記一般式(3)又は(4)中のR’が水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましく、前記一般式(2)中のqが1であり、R’が水素原子又はメチル基であることが特に好ましく、前記構造式(a2−1,2,5,6,9,13,14,15,16,19,24,25,36、38,39,42,43)であることが最も好ましい。
【0033】
本発明で用いるフッ素系化合物(I)としては、例えば、下記構造式(I−1)〜(I−35)で表されるものが挙げられる。
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
(式中、Prはプロピル基である。)
【0038】
本発明のフッ素系界面活性剤としては、前記フッ素系化合物(I)を有効成分として含有しているものであれば良く、該フッ素系化合物(I)を単独で使用しても、2種以上の混合物として使用しても良い。
【0039】
本発明で用いるフッ素系化合物(I)の製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、第1段階として2−ヒドロキシコハク酸(以下、リンゴ酸と記す。)、2−メルカプトコハク酸(以下、チオリンゴ酸と記す。)にフッ素化アルキル基含有アルコール又はフッ素化アルキル基含有メルカプタンを反応させてジエステル体とした後、第2段階として、得られたジエステル体中の水酸基又はメルカプト基にオキシアルキレン鎖を有する有機基を導入する方法を挙げることができる。
【0040】
まず第1段階であるジエステル体の製造方法について詳細に説明する。
ここで用いるフッ素化アルキル基含有アルコール又はフッ素化アルキル基含有メルカプタンとしては、目的とするフッ素系化合物のフッ素化アルキル基と同一の構造を有するものであり、下記一般式(5)又は下記一般式(6)で表されるものである。
【0041】
F(CF2)m−R−OH (5)
(式中、m、Rは前記と同じである。)
【0042】
F(CF2)m−R−SH (6)
(式中、m、Rは前記と同じである。)
【0043】
これらの中でも、前記一般式(5)、(6)中のRとしては、得られるフッ素系化合物の界面活性効果に優れる点から、−(CH2)n−又は−(CH2)pSO2N(R1)−(CH2)n−(式中、nは前記と同じであり、pは0又は2であり、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。)であり、nが2であることが特に好ましい。更に、Rが−(CH2)pSO2N(R1)−(CH2)n−である場合は、R1が炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。
【0044】
また、前記一般式(5)、(6)中のmとしては、得られるフッ素系化合物の界面活性効果に優れる点から2〜12の整数であることが好ましく、環境中並びに生体内における蓄積性の懸念が少ない点からmが6以下であることが好ましく、mが4又は6であることが最も好ましい。
【0045】
これらの好ましいものの具体的な例としては、下記構造式(5−1)〜(5−10)及び(6−1)〜(6−4)で表されるものを挙げることができる。
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】
この反応における仕込比としては、リンゴ酸又はチオリンゴ酸のカルボキシル基1当量に対し、前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるアルコール又はメルカプタンを2当量以上使用することが好ましく、特に効率よく反応を進行させる為には、2〜2.5当量が好ましい。また前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるアルコール又はメルカプタンとしては、1種類で用いることも、また、種類や長さの異なる2種以上の混合物として用いてもよい。この反応を行うに際し、反応助剤として酸触媒を使用することが好ましく、前記酸触媒としては塩酸、硫酸等の鉱酸類、アセチルクロライド、酢酸当の有機酸或いは有機酸ハロゲニド、酸性イオン交換樹脂などが挙げられ、特に鉱酸類を用いることが好ましい。
【0049】
この反応は無溶媒でも有機溶媒中でも反応させることができる。前記有機溶媒としては、原料であるリンゴ酸又はチオリンゴ酸、前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるアルコール又はメルカプタンに対して不活性であり、且つ両者を溶解できるものであれば特に制限されるものではないが、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒が挙げられ、これらの中でもハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素、エステル類が好ましく、特に芳香族炭化水素が好ましい。また、これらの溶媒は一種類で用いてもよいし、2種以上混合して使用しても良い。反応温度としても特に制限はないが、反応時間が短縮できる点から通常100℃以上であり、好ましくは100℃〜還流温度である。
【0050】
また、選択的に複数のフッ素化アルキル基を導入することも可能であり、この場合は、例えば下記反応式で示される方法が挙げられる。
【0051】
【化20】
【0052】
以下詳細に説明する。
i)トリフルオロアセチル−(チオ)リンゴ酸無水物の合成
この反応は、リンゴ酸又はチオリンゴ酸のカルボキシル基1当量に対して2当量以上、好ましくは2.0〜3.0当量のトリフルオロ酢酸無水物と反応させ、s−又はo−トリフルオロアセチル−(チオ)リンゴ酸無水物を得る方法である。この反応は無溶媒であっても、有機溶媒下であっても良く、前記有機溶媒としては原料及び生成物に対し不活性であり、また両者を溶解できれば特に制限されるものではないが、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒が挙げられ、これらの中でもエーテル類、芳香族炭化水素を用いることが好ましい。またこれらの有機溶媒は1種類で用いても、2種以上を混合して使用しても良い。反応温度としても特に制限はないが、通常0〜80℃であり、好ましくは0〜40℃である。反応雰囲気にも特に制限はないが塩基の失活を防ぐため、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。反応開始時における、原料及び溶剤の投入順序についても特に制限はない。反応終了後、過剰のトリフルオロ酢酸無水物及び溶媒を除去することで、s−又はo−トリフルオロアセチル−(チオ)リンゴ酸無水物を得ることができる。
【0053】
ii)モノエステルの合成
次に、得られたs−又はo−トリフルオロアセチル−(チオ)リンゴ酸無水物に所望の前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるアルコール又はメルカプタンを1当量以上、好ましくは1.0〜2.5当量加えて攪拌を行うことによって、モノエステル体を得ることができる。この反応は無溶媒でも有機溶媒下でも行うことができる。前記有機溶媒の種類及び反応雰囲気としては前記反応i)と同様である。反応温度としては通常0〜100℃であり、好ましくは0〜50℃であり、特に0〜40℃であることが好ましい。反応終了後、溶媒及び過剰のアルコール又はメルカプタンを除去することで、モノエステルを得ることができる。
【0054】
iii)ジエステル体の合成
得られたモノエステルに所望の前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるアルコール又はメルカプタンを1当量以上、好ましくは1〜1.5当量加え攪拌を行うことによって、ジエステル体を得ることができる。この反応における溶媒、反応助剤、反応温度等の反応条件は前記反応ii)と同様である。
【0055】
つぎに、得られたジエステル体にオキシアルキレン鎖を有する有機基(a2)を導入する方法について述べる。
【0056】
前記ジエステル体は、下記一般式(7)で表されるものであり、これに[1]オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させる方法、[2]オキシアルキレン鎖を有するハロゲン化アルキル誘導体とを反応させる方法によって、フッ素系化合物を得ることができる。
【0057】
【化21】
(式中、k、m、n、Y及びY’は前記と同じである。)
【0058】
まず、[1]の方法について説明する。
ここで用いることができるオキシアルキレン鎖を有するアクリル酸誘導体としては、目的とするフッ素系化合物中のオキシアルキレン鎖と同一の構造を有し、末端に(メタ)アクリロイル基を有するものであれば良く、具体的には下記の構造式で表されるものが挙げられる。なお、下記構造式中の、r、tは2〜40である。
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
この反応における仕込比としては、前記一般式(7)で示されるジエステル体1モルに対して、オキシアルキレン鎖を有するアクリル酸誘導体を0.5〜5.0モル、好ましくは0.9〜2.0モル、特に1.0〜1.4モル用いることが好ましい。また、反応助剤として塩基を使用することが好ましく、前記塩基としては例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム等の無機炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム等が挙げられる。前記塩基の使用量としては、用いるジエステル体1モルに対し、0.01〜2.0モル、好ましくは0.05〜1.0モルである。
【0063】
この反応は、無溶媒又は有機溶媒中で反応させることができる。前記溶媒としては、前記一般式(7)で表されるジエステル体及びオキシアルキレン鎖を有するアクリル酸誘導体に対して不活性であり、且つ両者を溶解できるものであれば特に制限されるものではないが、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、メチルセロソルブ等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が挙げられ、これらの中でもハロゲン化炭化水素類、エステル類、アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が好ましく、特にアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は1種類で用いてもよいし、2種以上混合して使用しても良い。
【0064】
この反応における原料の仕込み方法としては、前記一般式(7)で表されるジエステル体とオキシアルキレン鎖を有するアクリル酸誘導体を予め混合した前記有機溶剤溶液中に、前記塩基を投入する方法が好ましい。反応温度としても特に制限はないが、反応時間が短縮できる点から通常25〜120℃であり、好ましくは40〜90℃である。反応雰囲気にも特に制限はないが、塩基の失活を防ぐため、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0065】
次に、[2]の製造方法について説明する。
ここで用いるオキシアルキレン鎖を有するハロゲン化アルキル誘導体としては、目的とするフッ素系化合物中のオキシアルキレン鎖と同一の構造を有し、末端にハロゲン原子を有するものであれば良く、具体的には下記の構造式で表されるものが挙げられる。なお、下記構造式中の、r、tは2〜40である。
【0066】
【化25】
【0067】
この反応における仕込比としては、前記一般式(7)で示されるジエステル体1モルに対して、オキシアルキレン鎖を有するハロゲン化アルキル誘導体を0.5〜4.0モル、好ましくは0.9〜2.0モル、特に1.0〜1.2モル用いることが好ましい。また、反応助剤として塩基を使用することが好ましく、前記塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム等の無機炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム等が挙げられる。前記塩基の使用量としては、用いるジエステル体1モルに対し、0.8〜2.0モル、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0068】
この反応は無溶媒又は有機溶媒中で反応させることができる。前記溶媒としては、前記一般式(7)で示されるジエステル体及びオキシアルキレン鎖を有するハロゲン化アルキル誘導体に対して不活性であり、且つ両者を溶解できるものであれば特に制限されるものではないが、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、メチルセロソルブ等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が挙げられ、これらの中でもハロゲン化炭化水素類、エステル類、アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が好ましく、特にアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は1種類で用いてもよいし、2種以上混合して使用しても良い。
【0069】
この反応における原料の仕込み方法としては、前記一般式(7)で表されるジエステル体とオキシアルキレン鎖を有するアクリル酸誘導体を予め混合した前記有機溶剤溶液中に、前記塩基を投入する方法が好ましい。反応温度としても特に制限はないが、反応時間が短縮できる点から通常60〜120℃であり、好ましくは80〜110℃である。反応雰囲気にも特に制限はないが、塩基の失活を防ぐため、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0070】
前述の製造方法により得られたフッ素系化合物は、用途、目的によっては、未精製で用いることも出来るが、蒸留、溶媒による洗浄、再結晶、各種クロマトグラフィー、吸着剤等により、精製することも可能である。
【0071】
本発明のフッ素系界面活性剤は、従来使用されてきたフッ素系界面活性剤と比較し、水や各種の溶媒への溶解性と界面活性効果のバランスに優れ、少量でも充分な効果を得ることができ、用途として特に制限されることはなく、広く使用することができる。
【0072】
本発明のフッ素系界面活性剤を添加剤として使用する組成物としては、例えば、印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等が挙げられる。
【0073】
前記組成物の形態としては、例えば、該フッ素系界面活性剤を1種又は2種以上の溶媒に混合したもの、該フッ素系界面活性剤を、溶剤を必須成分として含有し、溶質として高分子化合物、低分子有機化合物、無機化合物等の1種類以上の化合物と、必要に応じて、後述する各種添加剤から構成されたものに混合したもの等が挙げられる。
【0074】
前記溶剤としては、水及び/又は各種有機溶剤が挙げられ、例えば、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン等の親水性のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の親水性のセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル等の親水性のグリコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶剤は、1種類であっても2種類以上の混合溶剤系であっても良い。尚、ここでいう溶剤とは、系中で分散媒として働いているものも溶剤と称する。
【0075】
前記溶質としては、水及び/又は前記有機溶剤に溶解或いは分散するものが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース、キチン、キトサン等の天然高分子等、ゼラチン等が挙げられる。これらの溶質は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
【0076】
前記添加剤としては、例えば、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤、更にフッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフィラー等の無機粉末・充填材、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、アクリルビーズ、カーボン等の有機微粉末、感光剤、増感剤、耐光性向上剤、耐候性向上剤、耐熱性向上剤、導電剤、酸化防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤、増粘剤、沈降防止剤、消泡剤、防臭剤等の各種充填剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても良い。
【0077】
前述の本発明のフッ素系界面活性剤を含む組成物は、種々の加工方法を適用することにより、優れた浸透・濡れ性及びレベリング性等が得られる。加工方法としては特に制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、デイッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装、スクリーン印刷等のコーティング方法・装置、インクジェット法、射出、押し出し、中空、圧縮、反応、真空、FRP、熱、ロールシート、カレンダー、2軸延伸フィルム、積層、回転等の各種成形方法、各種金型、スタンパを用いた射出成形等が挙げられる。
【0078】
また、前述の組成物の用途にも制限はなく、例えば、工業用及び家庭用等の接着剤、耐擦傷性、滑り性、非粘着性、撥水撥油性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、耐候性、生理活性、耐水性、防湿性、防汚性、潤滑性等の表面機能性保護膜形成材料、衣料、家具、靴、雑貨等の繊維、人工皮革、合成皮革不織布等の処理剤、紙、フィルム、カード等の各種コーティング剤、自動車、建材、家電、医用材料、OA機器、電気・電子機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、各種封止材料、離型剤、防錆剤、防曇剤、防霧剤、ブロッキング防止剤、PS版等の帯電防止剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用各種フォトレジスト等の感光性材料、LSI製造用反射防止膜剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用洗浄剤、エッチング剤、剥離剤、現像液、乳剤等の写真材料、自動車、航空機、船舶、建材、家電用等の塗料、染料、洗浄剤、フロアポリッシュ、泡消火薬剤、メッキ浴ミスト防止剤、レンズシート、光ファイバ等の光学材料、又は有機化学反応用分散媒等に好適に用いることができる。
【0079】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するために、実施例、試験例及び比較試験例を掲げる。尚、実施例中「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0080】
実施例1[フッ素系化合物(I−4)の合成]
[1]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した2リットルのフラスコに3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキサノール400.0g、チオリンゴ酸75.0g、濃硫酸5.0g、トルエン1000mlを仕込み、理論量の水分(18g)が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰40gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(1−[1])[チオリンゴ酸 ジ−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)エステル]320gを得た。
【0081】
[2]オキシアルキレン鎖の導入
攪拌装置、滴下ロートを付した100mlのフラスコに[1]で得られたジエステル体(1−[1])45.0g、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの混合物に、室温で28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液14.2gを滴下した。
さらに80℃で5時間、加熱攪拌を行った。反応終了した後、酢酸エチル300mlを加え、有機層を20%食塩水150mlで3回洗浄した。無水硫酸マグネシウム30.0gで乾燥後、溶媒を減圧留去することで褐色透明液体のフッ素系化合物(I−4)70.3gを得た。
【0082】
実施例2[フッ素系化合物(I−5)の合成]
実施例1−[2]において、ジエステル体(1−[1])45.0gの代わりにジエステル体(1−[1])19.9g、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCl(CH2CH2O)20H56.8gを用いる以外は実施例1−[2]と同様にして、褐色透明液体のフッ素系化合物(I−5)を得た。
【0083】
実施例3[フッ素系化合物(I−6)の合成]
[1]ジエステル体の合成
実施例1−[1]においてチオリンゴ酸75.0gの代わりにリンゴ酸70.0gを用いる以外は実施例1−[1]と同様にして、黄色透明の粘性液体としてジエステル体(2−[1])[チオリンゴ酸 ジ−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシル)エステル]280gを得た。
【0084】
[2]オキシアルキレン鎖の導入
実施例1−[2]において、ジエステル体(1−[1])45.0gの代わりにジエステル体(2−[1])44.0g、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCl(CH2CH2O)11C4H965.0gを用い、更に28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液14.2gの代わりに14.0gを滴下する以外は実施例1−[2]と同様にして、褐色透明液体のフッ素系化合物(I−6)65.0gを得た。
【0085】
実施例4[フッ素系化合物(I−15)の合成]
実施例1−[2]において、Cl(CH2CH2O)11H66,7gの代わりに、ポリエチレングリコールモノアクリレートCH2=CHCO2−(CH2CH2O)10H50.0gを用い、更に28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液14.2gの代わりにナトリウムメトキシド0.5gを用い、(発熱反応により内温は45℃まで上昇)60℃で5時間加熱攪拌を行う以外は実施例1−[2]と同様にして黄色透明液体のフッ素系化合物(I−15)69.6gを得た。
【0086】
実施例5[フッ素系化合物(I−17)の合成]
実施例1−[2]において、ジエステル体45.0gの代わりに19.3g、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCH2=C(CH3)CO2−(CH2CH2O)23CH331.1gを用い、更に28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液14.2gの代わりに60℃でトリエチルアミン2.0gを加える以外は実施例1−[2]と同様に褐色透明液体のフッ素系化合物(I−17)45.3gを得た。
【0087】
実施例6[フッ素系化合物(I−20)の合成]
[1]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した2リットルのフラスコに2−(N−プロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホニルアミノエタノール158.0g、チオリンゴ酸30.0g、濃硫酸2.0g、トルエン150mlを仕込み、理論量の水分(7.2g)が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰40gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(6−[1])[チオリンゴ酸 ジ−[2−(N−プロピル−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホニルアミノエチル)エステル]154.0gを得た。
【0088】
[2]オキシアルキレン鎖の導入
攪拌装置、滴下ロートを付した100mlのフラスコにジエステル体(6−[1])26.5g、Cl(CH2CH2O)20H 38.4gの混合物に、80℃で28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液14.2gを滴下した。さらに80℃で5時間加熱攪拌を行った。反応終了した後、実施例1−[2]と同様にして褐色透明粘性固体のフッ素系化合物(I−20)53.0gを得た。
【0089】
実施例7[フッ素系化合物(I−24)の合成]
実施例6において、Cl(CH2CH2O)20H 38.4gの代わりにCH2=C(CH3)CO2−(CH2CH2O)23CH343.3gを用い、更に28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液14.2gの代わりにナトリウムメトキシド 0.5gを用いる以外は実施例6と同様にして褐色透明液体のフッ素系化合物(I−24)45.3gを得た。
【0090】
実施例8[フッ素系化合物(I−26)の合成]
[1]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した500mlのフラスコに2−(N−プロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルスルホニルアミノエタノール215.5g、チオリンゴ酸30.0g、濃硫酸2.0g、トルエン200mlを仕込み、理論量の水分(7.2g)が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰40gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(8−[1])[リンゴ酸 ジ−[2−(N−プロピル−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルスルホニルアミノエチル)]エステル]218.0gを得た。
【0091】
[2]オキシアルキレン鎖の導入
実施例6−[2]においてジエステル体(6−[1])26.5gの代わりにジエステル体(8−[1])32.5g、Cl(CH2CH2O)20H38.4gの代わりにCl(CH2CH2O)21H46.7gを用い、更に28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液14.2gの代わりに60℃でトリエチルアミン7.0gを滴下する以外は実施例6−[2]と同様にして、フッ素系化合物(I−26)60.0gを得た。
【0092】
実施例9[フッ素系化合物(I−28)の合成]
[1]リンゴ酸無水物の合成
撹拌装置、温度計、滴下ロートを付した500mlのフラスコに、窒素雰囲気下でリンゴ酸60gに氷冷しながらトリフルオロ酢酸無水物130gを徐々に滴下した後、室温でさらに4時間攪拌した。反応終了後、40℃以下で過剰のトリフルオロ酢酸無水物を減圧留去することで、o−トリフルオロアセチル−リンゴ酸無水物90gを得た。
【0093】
[2]モノエステルの合成
撹拌装置、温度計、滴下ロートを付した1リットルのフラスコに、[1]で得られたo−トリフルオロアセチル−リンゴ酸無水物90g、テトラヒドロフラン150gを仕込み、室温で攪拌下、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール200gを滴下した。さらに室温で5時間攪拌した後、過剰の3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールを減圧留去することで、リンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールモノエステル156gを得た。
【0094】
[3]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した500mlフラスコにリンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールモノエステル150g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタノール160g、濃硫酸5.0g、トルエン200mlを仕込み、7gの水分が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰20gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(7−[3])[リンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタノール−ジエステル]268gを得た。
【0095】
[4]オキシアルキレン鎖の導入
実施例1−[2]においてジエステル体(1−[1])45.0gの代わりにジエステル体(7−[3])22.5gを用い、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCl(CH2CH2O)20H 35.3gを用いる以外は実施例1−[2]と同様にして、褐色透明液体のフッ素系化合物(I−28)32.0gを得た。
【0096】
実施例10[フッ素系化合物(I−29)の合成]
[1]チオリンゴ酸無水物の合成
撹拌装置、温度計、滴下ロートを付した500mlのフラスコに、窒素雰囲気下でチオリンゴ酸60gに氷冷しながらトリフルオロ酢酸無水物130gを徐々に滴下した後、室温でさらに4時間攪拌した。反応終了後、40℃以下で過剰のトリフルオロ酢酸無水物を減圧留去することで、o−トリフルオロアセチル−チオリンゴ酸無水物90gを得た。
【0097】
[2]モノエステルの合成
撹拌装置、温度計、滴下ロートを付した1リットルのフラスコに、[1]で得られたo−トリフルオロアセチル−チオリンゴ酸無水物90g、テトラヒドロフラン150gを仕込み、室温で攪拌下、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール200gを滴下した。さらに室温で5時間攪拌した後、過剰の3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールを減圧留去することで、チオリンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールモノエステル156gを得た。
【0098】
[3]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した500mlのフラスコにチオリンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノールモノエステル150g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタノール160g、濃硫酸5.0g、トルエン200mlを仕込み、7gの水分が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰20gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(10−[3])[チオリンゴ酸−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサノール−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタノール−ジエステル]268gを得た。
【0099】
[4]オキシアルキレン鎖の導入
実施例1−[2]においてジエステル体(1−[1])45.0gの代わりにジエステル体(10−[3])22.5gを用い、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCH2=C(CH3)CO2−(CH2CH2O)23CH340.0gを用いる以外は実施例1−[2]と同様にして、褐色透明液体のフッ素系化合物(I−29)52.7gを得た。
【0100】
実施例11[フッ素系化合物(I−32)の合成]
[1]ジエステル体の合成
攪拌装置、Dean−starkトラップを付した500mlのフラスコに3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシルメルカプタン 150.0g、チオリンゴ酸 36.6g、濃硫酸2.0g、トルエン200mlを仕込み、理論量の水分(8.7g)が除去できるまで加熱還流を行った。60℃まで冷却後、消石灰20gを加え同温度で30分間攪拌した。濾別後、トルエンを減圧留去することで黄色透明の粘性液体としてジエステル体(11−[1])[チオリンゴ酸 ジ−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロへキシルチオール)エステル]160gを得た。
【0101】
[2]オキシアルキレン鎖の導入
実施例1−[2]において、ジエステル体(1−[1])45.0gの代わりにジエステル体(11−[1])20.0g、Cl(CH2CH2O)11H66.7gの代わりにCH2=C(CH3)CO2−(CH2CH2O)23CH340.0gを用い、更に28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液14.2gの代わりに60℃でトリエチルアミン3.3gを加える以外は実施例1−[2]と同様に褐色透明液体のフッ素系化合物(I−32)45.4gを得た。
【0102】
試験例1〜11及び比較試験例1
実施例1〜11及び、比較例としてメガファックF−142(大日本インキ化学工業株式会社製、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、オキシエチレン鎖の繰り返し単位数約10)を用い、下記試験方法に従って、水溶解性と表面張力を測定し、結果を試験例1〜11、比較試験例1として表1に記す。
【0103】
試験方法
水溶解性:イオン交換水を用いて所定濃度で攪拌溶解し、5時間後の状態を確認した。
表面張力:自動表面張力計CBPV−Z(協和界面化学株式会社製)を用いて、ウィルヘルミー白金プレート法にて、20℃における各濃度(イオン交換水溶液、重量%)での表面張力を測定した。(単位:mN/m)
【0104】
【表1】
【0105】
本発明のフッ素系界面活性剤の有効成分として用いることができるフッ素系化合物を用いた試験例1〜11では、少量で優れた界面活性効果を発現しながら、且つ水溶解度が高く、適用範囲の広いバランスに優れた界面活性効果を示すことが判明した。一方従来のフッ素系界面活性剤を用いた比較試験例では、界面活性効果を示すものの、水に完全には溶解しないことから、コーティング後又は成形後にブリードアウトする可能性があり、添加量が制限されることを確認した。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、水や各種の溶剤に対する溶解性と界面活性効果とのバランスに優れ、主に印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料や成形材料等に使用され、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を高めるための添加剤として好適に用いることができるフッ素系界面活性剤を提供することができる。
Claims (5)
- 下記一般式(2)で表されるフッ素系化合物(I)からなることを特徴とするフッ素系界面活性剤。
- 前記一般式(1)又は(2)中のmが2〜12の整数であり、R中のnが2である請求項1又は2記載のフッ素系界面活性剤。
- 前記一般式(1)中のR’が水素原子又はメチル基である請求項1又は3記載のフッ素系界面活性剤。
- 前記一般式(2)中のR 2 が水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であり、qが1であり、R’が水素原子又はメチル基である請求項2又は3記載のフッ素系界面活性剤。
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