JP2004083374A - コンクリート用補強材 - Google Patents

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横井 務
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Abstract

【課題】コンクリート系中への優れた分散性と、優れた補強効果を示し、腐食せず、長期間安定した強度を有するコンクリート硬化物を与え、かつ水中に浮くことのないコンクリート用補強材およびそれを用いたコンクリートを提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステルを主成分として含み、長手方向に延伸された、8〜100のアスペクト比を有する長方形薄板状のコンクリート用補強材;およびそれを用いたコンクリート。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリエステルを主成分とするコンクリート用補強材に関し、特に延伸されたコンクリート用補強材、およびその廃ポリエステルからの製造方法に関する。また、本発明は、そのような補強材を用いたコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートを補強する骨材としては、従来から天然の砂、砂利、砕石のようなケイ酸質のものが多く用いられてきた。しかしながら、これらのうち良質なものは枯渇してきており、川砂の採取は、防災上の危険をもたらしている。また海砂を用いると、含まれている塩分のために、補強のために用いられる鉄筋や鉄骨を腐食して、長期間の使用中に建造物や構築物の強度を低下させる。
【0003】
骨材として、高炉スラグが用いられているが、経時変化があり、好ましくない。また、軽石を破砕したり;ヒル石、パーライト、ドロマイトなどを加熱して発泡体とした無機質軽量骨材が用いられているが、充分な強度が得られない。
【0004】
一方、これらの骨材を使用せずに、または使用量を減らしながら、コンクリート硬化体に強度を与えるために、コンクリートに補強材を配合することが行われている。たとえば、軟鋼、ステンレス鋼などの線や薄板から、長さ20〜60mmの両端フック型、ドッグボーン型、インデント型、結末型、波型などに形成された補強材が用いられている。しかしながら、このような補強材は、比重が大きいのでその運搬や混入作業が困難なうえ、コンクリートが硬化する前に沈降して、均一に混和しない。また鋭利な金属部が露出した形でコンクリートが硬化すると、負傷の原因となる。また、吹付けコンクリートにおいては、吹付けの際のはね返りにより、負傷する危険がある。さらに、軟鋼製は、酸性雨などによって腐食し、建造物や構築物の強度を低下させたり、外観を損ねたりし、ステンレス鋼製は高価である。
【0005】
自ら腐食せず、また他をも腐食させない骨材ないし補強材として、プラスチックや合成繊維が検討されている。たとえば、ポリビニルアルコール繊維を補強材として用いることが試みられているが、繊維が吸水性を有し、またアルカリの存在下で高温にさらされると加水分解する。また、スランプが著しく低下するので、吹付けの場合には水の量を増加させる必要がある。このほか、芳香族ポリアミド繊維や炭素繊維も補強材として用いられるが、高価であり、特殊な用途に限定される。
【0006】
低密度ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンを主成分とする骨材ないし補強材は、軽量で補強効果があるが、比重が小さく、かつ疎水性なので、セメントスラリーから浮き上がり、均一に分散させることが困難である。特開平11−116297号公報には、偏平なポリプロピレン単繊維の表面に凹凸をつけて、コンクリートへの物理的結合性を向上させている。しかしながら、これらのポリオレフィン系の骨材や補強材は、混和によりコンクリートを調製した後の洗浄で流出すると水中に浮き、鳥や魚が食べて死亡するので、環境保全上から好ましくない。
【0007】
ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、容易に入手でき、腐食せず、他を腐食させることもなく、上記のポリオレフィンのように水中に浮くこともなく、コンクリートとの混和性や分散性が非常によい。しかしながら、例えば廃ポリエステルを破砕した塊状のポリエステル骨材は、骨材部とセメント部の間の親和性が充分でないために、充分な圧縮強さが得られず、補強効果のばらつきが大きいなどの欠点がある。
【0008】
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルは、透明で光沢がよく、酸素や炭酸ガスに対するガスバリア性に優れ、軽量であり、耐衝撃性に優れ、また食品衛生上に害を与えないことから、飲料、液体洗剤などの容器として大量に生産・消費されている。そのため、それらの廃容器の処理が、社会的な急務になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンクリート系中への優れた分散性と、優れた補強効果を示し、腐食せず、長期間安定した強度を有するコンクリート硬化物を与え、かつ水中に浮くことのないコンクリート用補強材を提供することである。本発明の他の目的は、特に廃ポリエステルから、そのような補強材を製造する方法を提供することである。本発明のもうひとつの目的は、そのような補強材を用いたコンクリートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、ポリエステルを主成分とし、二軸延伸または長手方向に一軸延伸した長方形の薄板を補強材として用いること、また原料として廃ポリエステルを用いる場合には、これを固相重合する工程を挿入することにより、その目的を達成しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリエステルを主成分として含み、二軸延伸または長手方向に一軸延伸された、8〜100のアスペクト比を有する長方形薄板状のコンクリート用補強材;その廃ポリエステルからの製造方法;およびそのような補強材を用いたコンクリートに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、「コンクリート用補強材」とは、セメントおよび必要に応じて加えられる骨材と混和してコンクリートまたは類似の混和物とし、硬化物に機械的強度を付与する補強材をいう。
【0013】
ポリエステルとは、主鎖を構成する繰返し単位がエステル型であるポリマーをいい、本発明において用いられるポリエステルは、実質的に直鎖状の熱可塑性ポリエステル(以下、単に「ポリエステル」という)であり、ポリアリレートといわれる全芳香族ポリエステルをも包含する。このようなポリエステルは、たとえば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールのような二価アルコール;またはビスフェノールAのような二価フェノールと、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸のような二塩基酸、またはそのジアルキルエステル、たとえばジメチルエステルとの共縮合やエステル交換反応、上記の反応によって得られた縮合体やオリゴマーの重合;あるいはp−ヒドロキシ安息香酸のようなモノヒドロキシ一塩基酸の重縮合などの方法によって得られ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ビスフェノールA・イソ/テレフタル酸共重合ポリアリレートなどが例示され、複数の二価アルコールおよび/または複数の二塩基酸を用いる共重合体であってもよい。また、PBTとPETのポリマーアロイのような、異種のポリエステルの混合物を用いることもできる。これらのポリエステルのうち、適度の融点およびガラス転移温度を有し、機械的に優れた性質を示し、工業的に容易に入手できることから、PET(一部の二価アルコールとしてジエチレングリコールを用いたものを含む)およびPBTが好ましく、PETが特に好ましい。
【0014】
特に、本発明の特徴は、ポリエステルとして、廃ボトルのような廃ポリエステルを用いることができることである。このような廃ポリエステルは、細断した後、固相重合によって平均分子量を上げたものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明の補強材には、上述のポリエステルに、必要に応じて、滑剤、色材などの添加剤を配合することができる。滑剤としては、ステアリン酸およびその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルなどが例示される。色材としては、無機もしくは有機顔料、カーボンブラック、またはそれらをビヒクル中に分散させたカラーマスターバッチを用いることができる。あるいは、ポリエステル原料として用いられる廃ポリエステル中に存在する顔料をそのまま用いてもよい。
【0016】
本発明の補強材の形状は、長さが通常20〜100mm、好ましくは30〜60mm;幅(長辺が波形の場合は、最大幅)が通常1.0〜4.0mm、好ましくは1.5〜3.0mmの、ほぼ長方形の薄板状である。ここで「長方形」とは、長辺が波形を形成していてもよい。アスペクト比、すなわち長さの幅に対する比は、8〜100であり、好ましくは12〜30である。アスペクト比が8未満では、充分な補強効果が得られず、100を超えると取扱いが困難になる。補強剤の最大厚さは、通常0.5〜2.0mm、好ましくは0.7〜1.5mmである。上記の範囲で、薄板の断面は、後述のエンボスパターン部を除いて、長方形もしくは六角形でもよく、縁部が丸くなっていても、また断面が長円形や凸レンズ形でもよい。特に好ましい断面形状は、図1に示すように、上下に稜を有する六角形である。このような形状をとることにより、ミキサーで容易に未硬化のコンクリート混合物に混合することができ、かつ混合物が硬化した後に、補強材とセメント部の間の密着性に優れ、補強材が応力によってセメント部から脱落することがないので、満足すべき補強効果が得られる。
【0017】
本発明の補強材の表面および裏面は、コンクリートにストレスがかかるように、少なくともその一面に、エンボスパターンを有することが好ましく、両面にエンボスパターンを有することがさらに好ましい。エンボスパターンは、たとえば凸線条であり、図2(a)に示すように、線条が補強材の長手方向に対して斜方向に走り、縁部で反転する連続パターンであることが好ましく、図2(b)に示すように、2本の線条がX状に交叉するパターンがさらに好ましい。このようなパターンを表面および/または裏面に形成することにより、該補強材とセメント部分との間の密着性が優れ、補強材が応力によりセメント部分から抜け落ちることがなく、充分な補強効果が得られる。このようなパターンは、延伸前、延伸中、または延伸後に、エンボスロールにかけることによって得られる。
【0018】
補強材の平面形状は、図2(c)および(d)に示すように、長辺が波形を形成していてもよい。硬化後のコンクリートに応力、特に衝撃力がかかったときに、補強材がセメント部分に強固に密着して離脱しないためには、上記のような波形を形成することが好ましい。補強材とセメント部分の密着性を増す効果に優れ、かつ補強材自体の機械的強度、特に引張強度および曲げ強度を損ねないことから、該波形は、最大幅からの最大へこみが0.2〜0.7mm(ただし、最大幅の20%以下)であり、間隔がエンボスパターンのピッチと同じまたはその半分であることがさらに好ましい。
【0019】
本発明の補強材は、新規に重合して得られたポリエステルからばかりではなく、廃ボトルのような廃ポリエステル、特に多量に発生する廃PETや廃PBTからも製造することができる。特に、資源の有効活用および地球環境の維持という観点から、このような廃ポリエステルの活用が好ましい。この場合、破砕された廃ポリエステルのフレークは、品質にむらがあり、また平均分子量が低下しているので、固相重合によって平均分子量を上げてから延伸にかけることが望ましい。本発明のコンクリート用補強材の製造方法は、廃ポリエステルを原料として用い、これを固相重合する工程を含む製造方法である。ここで固相重合とは、固相状態のまま加熱により平均分子量を上げる反応をいう。すなわち、廃ポリエステルを破砕して得られたフレークを乾燥した後、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛、Mn−Co−Ti−Sb系触媒(たとえば、カルボン酸金属塩、金属アルコキシド、金属酸化物などの混合物;または複合酸化物)などを触媒として加え、撹拌しつつ、たとえばPETの場合、融点および延伸工程における延伸率に応じて通常150〜260℃、好ましくは200〜260℃;PBTの場合、通常150〜225℃、好ましくは180〜225℃に加熱し、窒素のような不活性ガスを通して、生成する水や低分子物を系外に除去しながら加熱を続けることによって重合を進めることにより、対数粘度数が、PETの場合0.7〜1.3、好ましくは0.9〜1.3;PBTの場合0.7〜2.1、好ましくは0.8〜1.2の高分子量ポリエステルが得られる。なお、本明細書において、ポリエステルの対数粘度数は、ポリマー0.25gをフェノール/テトラクロロエタンの容積比60/40の混合溶媒100mlに溶解して、25℃において測定した値をいう。
【0020】
本発明の補強材は、代表的には、ポリエステルのペレット、または上述のように廃ポリエステルを破砕した後、固相重合を行なったポリエステルのフレークを原料として製造できる。滑剤や色材のような添加剤は、たとえば、成形のためにフレークまたはペレットを混合する際に配合する。フレークまたはペレットの大きさは、任意の形状の2〜10mm程度でよい。
【0021】
成形は、押出し成形などの成形方法を用いることができ、連続生産による高い生産性が得られることと、延伸工程との組合せが容易なことから、押出し成形が好ましく、トーピード付円形ダイスまたはT−ダイを用いることがさらに好ましい。
【0022】
たとえば、加熱して押出し成形によってシートまたはベルトとして連続的に得られる成形体を、延伸機にかけて延伸する。延伸は、長手方向の一軸延伸でもよく、長手方向の延伸を含む二軸延伸でもよい。延伸は、テンター法によることが好ましい。偏肉を避けるために、高倍率で強く一次延伸をかけた後に、さらに二次以降の延伸にかけることが好ましい。二次以降の延伸温度は、一般に、ポリエステルのガラス転移温度以上、融点以下の温度でなされ、PETの場合、通常70〜265℃、好ましくは120〜170℃であり、PBTの場合、通常25〜230℃、好ましくは80〜130℃である。
【0023】
長手方向の延伸率は、補強材に充分な機械的強度を与えるために、4〜8倍が好ましく、5〜7.5倍がさらに好ましい。
【0024】
このように延伸したシートまたはベルトを、断面形状を整えるために必要に応じてエンボスロールにかけて、表面にエンボスパターンを形成させた後、ダイカットロールを通して裁断し、所定の形状の補強材を得ることができる。その際、必要に応じて長辺に波形を形成させることができる。
【0025】
別の方法として、補強材の断面形状をもつ複数個のブロックが横につながり、または円周上につながった押出し品を得て、それを延伸した後、ダイカットロールを通して裁断し、個々の補強材を得ることもできる。
【0026】
本発明の補強材は、セメントを、水ならびに必要に応じて配合される骨材および他の添加剤とともに、常法によって未硬化コンクリートを調製する際に、系に混合される。本発明の補強材の配合量は、セメント100重量部に対して通常5〜15重量部であり、好ましくは6〜8重量部である。セメントとしては、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどを用いることができる。たとえば本発明の補強材をポルトランドセメントに8重量部配合することにより、砂をセメント100重量部に対して7重量部から5重量部まで削減して、同様の圧縮強度を得ることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を、参考例および実施例によって、より詳細に説明する。これらの例において、部は、特にことわらない限り重量部を表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0028】
反応例1
廃PETボトルを粉砕して、5mm角のPETフレークを得た。その対数粘度数は0.65であった。減圧下で乾燥した後、その100部を、加熱装置、撹拌装置、窒素導入口および排出口を備えた反応器に仕込んだ。触媒として、オクタン酸マンガン、オクタン酸コバルト、チタンイソプロポキシドおよび三酸化アンチモンの、金属換算重量比2.5:1:3.5:6の混合物を0.2部加え、窒素気流を通して撹拌しながら、280℃で24時間加熱した。生成した水および低分子化合物を、排出口から系外に流出させた。反応終了後、冷却して対数粘度数1.1の高分子量PETフレークを得た。
【0029】
反応例2
廃PBTボトルを粉砕して、5mm角のPBTフレークを得た。その対数粘度数は0.6であった。減圧下で乾燥した後、その100部を、加熱装置、撹拌装置、窒素導入口および排出口を備えた反応器に仕込んだ。触媒として酸化ゲルマニウムを0.7部加え、窒素気流を通して撹拌しながら、230℃で12時間加熱した。生成した水および低分子化合物を、排出口から系外に流出させた。反応終了後、冷却して対数粘度数1.2のPBTフレークを得た。
【0030】
実施例1
反応例1で得られた高分子PETフレークを、温度285℃で押出し機にかけて、厚さ8mmのシートを作製した。続いて温度135℃で、延伸率3.5倍の一次延伸にかけた。ついで、温度を150℃に上げて二次延伸を行い、総延伸率が7倍になるように、長手方向に一軸延伸を行った。その後、温度120℃のエンボスロールを通すことにより、両面に連続斜線状の凸線条エンボスパターンを形成した。ついでダイカットロールにかけて裁断した。図1に示す断面形状と、図2(d)に示す平面形状で、表面と裏面に連続エンボスパターンを有し、一軸延伸された長さ30mm、幅2mm、最大厚さ0.8mm、パターンピッチ2mm、線条の幅0.8mm、高さ0.2mmであり、縁部に、辺からの深さ最大0.35mm、長さ1.6mmの波形部を、エンボスパターンピッチと同じ間隔で有するPET製補強材を作製した。
【0031】
実施例2
反応例2で得られた分子量PBTフレークを、温度270℃で押出し機にかけて、厚さ8mmのシートを作製した。続いて温度125℃で、延伸率3.5倍の一次延伸にかけた。ついで、温度を140℃に上げて二次延伸を行い、総延伸率が7倍になるように、長手方向に一軸延伸を行った。その後、温度110℃のエンボスロールを通すことにより、両面に連続斜線状の凸線条エンボスパターンを形成した。ついで裁断、成形して、実施例1で作製したのと同じ形状の、一軸延伸されたPBT製補強材を作製した。
【0032】
実施例3
対数粘度数が1.1の市販のPETペレットを用いたほかは実施例1と同様にして、実施例1で作製したのと同じ形状のPET製補強材を作製した。
【0033】
実施例4
対数粘度数が0.8の市販のPBTペレットを用いたほかは実施例2と同様にして、実施例2で作製したのと同じ形状のPBT製補強材を作製した。
【0034】
実施例5
反応例1で得られた高分子量PETフレークを用いて、エンボスロールを通さない以外は実施例1と同様にして、直線状の縁部を有し、エンボスパターンがない以外は実施例5で作製したのと同じPET製補強材を作製した。
【0035】
実施例6
ガラス転移温度100℃、融点263℃のポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレートを用い、押出し温度270℃、延伸温度130℃で押出しおよび総延伸率6.5倍の一軸延伸を行った後、エンボスロールにかけて、実施例1で作製したのと同じ形状のポリエステル製補強材を作製した。
【0036】
比較例1
実施例3と同じ市販のPETペレットを用いて、押出し機により丸棒を作製し、実施例3と同じ温度条件により、総延伸率が7倍になるように一軸延伸して、直径0.8mmの丸棒状のPET製補強材を作製した。
【0037】
比較例2
延伸を行わない以外は実施例1と同様にして、PET製補強材を作製した。
【0038】
比較例3
延伸を行わない以外は実施例5と同様にして、PET製補強材を作製した。
【0039】
試験例1
細骨材として、表乾比重2.6の山砂937部、表乾比重3.5の早強ポルトランドセメント271部、および粗骨材として表乾比重2.65の砕石884部を、その順にコンクリートミキサーに投入して20秒間混練し、ついでAE減水剤ポゾリスNo. 70(ポゾリス物産株式会社、商品名)0.68部および水176部を加えて60秒間混練することにより、混和物を得た。ミキサーを回転しながら、実施例1で作製した補強材を、表1に示すように3.64部、6.37部または9.10部加え、温度21℃で60秒間混練を続けて、配合1a〜1dのコンクリート混和物を調製した。ただし、配合1aは、ポリエステル製補強材を配合しない、比較のための混和物である。これをJIS A 1132に準じて、それぞれの試験法に応じた寸法の型枠に流し込み、室温で7日間養生して、水セメント比65%、細骨材率52%の硬化コンクリート試験体を作製した。補強材の配合量は、それぞれ0.4容積%、0.7容積%および1.0容積%の3水準であった。
【0040】
表1に示すように、水セメント比および細骨材率をそれぞれ変えたほかは配合1a〜1dと同様にして、配合2a〜2dおよび3a〜3dの混合物を調製し、同様の条件で試験体を作製した。
【0041】
【表1】
Figure 2004083374
【0042】
このようにして作製した試験体について、圧縮強度(JIS A 1108)、引張強度(JIS A 1113)、曲げ強度および曲げタフネスを測定した。ただし、曲げ強度および曲げタフネスの試験は、鋼繊維補強コンクリートについての試験方法JSCE−G552に準拠した。その結果は、表2に示すとおりであった。
【0043】
【表2】
Figure 2004083374
【0044】
表2の結果から明らかなように、本発明によるポリエステル製補強材を配合したコンクリートは、補強材を配合しないコンクリートに比べて、機械的性質、特に引張強度および曲げ特性が著しく向上した。
【0045】
試験例2
実施例2〜6および比較例1〜3で得られたポリエステル製補強材を用いて、試験例1の配合1cと同じ配合により、同様にコンクリート混和物を調製し、同様の条件で硬化コンクリートを得た。これを、試験例1と同様にして引張強度及び曲げ特性の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 2004083374
【0047】
表3に見られるように、実施例2〜7のポリエステル製補強材は、優れた補強効果を示し、特にエンボスパターンおよび波形部を有する実施例2〜4および実施例6の補強材は、実施例1の補強材と同等の補強効果を示した。これに対して、比較例1〜3のポリエステル製補強材の補強効果は充分ではなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によって、コンクリート系中への優れた分散性と優れた補強効果を示すコンクリート用補強材を得ることができる。本発明のコンクリート用補強材は、自らも腐食せず、また鉄筋やコンクリート中の他の成分を腐食させることがないので、コンクリートの耐久性を向上させる。また、本発明の補強材を用いることにより、天然骨材の配合を減らして、その消費を抑制することができる。さらに、本発明の補強材は、比重が1.31〜1.39であって、コンクリートからの浮き上がりや沈降がないばかりか、廃水中でも浮くことがなく、環境保全上からも好ましい。
【0049】
そのうえ、本発明の補強材は、廃ボトルのような廃ポリエステルから製造することができ、回収された廃ポリエステルの再利用の道を開くものである。
【0050】
本発明のコンクリート用補強材は、通常の建築用および土木用コンクリートの補強、ならびに吹付け用コンクリートの補強に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート用補強材の好ましい断面形状の例を示す断面図である。
【図2】エンボスパターンを設けた本発明のコンクリート用補強材の平面図の例である。(a)および(b)は長辺が直線状のもの、(c)および(d)は長辺が波形を呈するものを示す。
【符号の説明】
1 エンボスパターン
2 波形

Claims (9)

  1. 熱可塑性ポリエステルを主成分として含み、長手方向に延伸された、8〜100のアスペクト比を有する長方形薄板状のコンクリート用補強材。
  2. 上記熱可塑性ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートである、請求項1記載のコンクリート用補強材。
  3. 上記熱可塑性ポリエステルが、廃ポリエステルである、請求項1または2記載のコンクリート用補強材。
  4. 長辺が波形を形成している、請求項1〜3のいずれか1項記載のコンクリート用補強材。
  5. 少なくとも一方、好ましくは両方の表面にエンボスパターンを有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のコンクリート用補強材。
  6. 上記エンボスパターンが、長手方向に対して斜方向の凸線条であり、かつ連続して設けられた、請求項5記載のコンクリート用補強材。
  7. 上記エンボスパターンが、両方の表面で逆に設けられた、請求項5または6記載のコンクリート用補強材。
  8. 上記廃ポリエステルの固相重合を行う工程を含む、請求項3〜7のいずれか1項記載のコンクリート用補強材の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の補強材を用いたコンクリート。
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