JP2857621B1 - 廃合成樹脂成形物の製造方法 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 均一な性質と優れた強度を有する廃合成樹脂
成形物及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明は廃合成樹脂を利用した成形物の
製造方法に関するものとして、廃合成樹脂７０乃至９０
重量％と、石炭灰、滑石、脈班石（ｅｌｖａｎ）、焼石
灰、白土、黄土から成る群から選択された一つ以上の結
合剤１０乃至３０重量％とを各々１００メッシュ以上に
粉砕して、５０乃至７０ｒｐｍの攪拌速度で攪拌させな
がら１５０乃至３００℃の温度範囲で溶融させ、圧出成
形させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は廃合成樹脂を利用し
た成形物の製造方法に関するものであり、詳しくは、廃
合成樹脂に結合剤を添加して、互いに相異な性質の樹脂
等が溶融過程で容易に混練され、均一な性質と高い強度
を有するように廃合成樹脂を利用した成形物の製造方法
に関したものである。

【０００２】

【従来の技術】国民の生活水準向上に合せて増加してい
る廃合成樹脂ゴミは現在全国で、１日約１万トン、年間
約３５０万トンの大変な量が発生し廃合成樹脂ゴミのリ
サイクル率は５％未満であり、９５％以上が埋立や焼却
処理されている実情である。

【０００３】このようにリサイクル率が低い理由は廃合
成樹脂原料の成分及び色によって一種類ずつ分離し洗浄
してから始めて処理可能になるためである。

【０００４】分離や洗浄段階無しに処理する場合、合成
樹脂の性質がその原料、即ち、樹脂や添加剤の種類によ
って全く異なるため、融点が互いに違い、溶融した後に
も性質が互いに違うので良く混ぜられなくなる。したが
って、混練が難しいのみならず機械的な力を加えて混練
させ圧出させた後にも均一な性質を持たないため表面が
均一でなく、成形物の性質も均一ではないので強度面で
劣る欠点があった。又、色々な樹脂が不均一に混合され
ることによって最終成形品が捩じれるなどの現象が起き
る問題点もあった。

【０００５】したがって、分離及び洗浄段階を経らなげ
ればならないが、廃合成樹脂の種類が大変に多様なもの
であるので、このような分離は実情に不可能であり、ま
た洗浄による２次的な水質汚染までを起こす恐れがあっ
た。

【０００６】例えば、廃合成樹脂を利用して鋳型等の建
築材料や枕木等の成形物を製造する方法が韓国特許公報
第９６−１１３２２号等に掲載されている。

【０００７】しかし、このような従来の公知技術での廃
合成樹脂を利用した形成物の製造方法では、上記のよう
に色々な樹脂を一緒に溶融させて圧出させることが不可
能であった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は均一な
性質と優れた強度の廃合成樹脂成形物及びその製造方法
を提供することにある。

【０００９】本発明の他の目的は、廃合成樹脂の洗浄及
び選別、分離過程を必要としない廃合成樹脂成形物の製
造方法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の方法は、廃合成樹脂７０乃至９０重合％と、
滑石、石炭灰、脈班石（ｅｌｖａｎ）、焼石灰、白土、
黄土及び泥土から成る群から選択された一つ以上の結合
剤１０乃至３０重量％とを各々１００メッシュ以上に粉
砕た後、５０乃至７０ｒｐｍの攪拌速度で攪拌させなが
ら１５０乃至３００℃の温度範囲で溶融させ、圧出成形
させることを特徴とする廃合成樹脂成形物の製造方法に
より達成される。

【００１１】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明に用いられる廃合成樹脂は、それらの種類に関係な
く、洗浄や選別、分離過程なしにそのまま使用される。
本発明には、例えば、ポリエチレン（ｐｏｌｙｅｔｈｙ
ｌｅｎｅ）、ポリプロピレン（ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅ
ｎｅ）、ポリスチレン（ｐｏｌｙｓｔｙｒｅｎ）、アク
リロニトリル／スチレン（ａｃｒｙｌｏｎｉｔｒｉｌｅ
／ｓｔｙｒｅｎｅ）（ＡＳ）、アクリロニトリル／ブタ
ジエン／スチレン（ａｃｒｙｌｏｎｉｔｒｉｌｅ／ｂｕ
ｔａｄｉｅｎｅ／ｓｔｙｒｅｎｅ）（ＡＢＳ）、ポリ塩
化ビニール（ｐｏｌｙｖｉｎｙｌ ｃｈｌｏｒｉｄ
ｅ）、ポリ塩化ビニリデン（ｐｏｌｙｖｉｎｙｌｉｄｅ
ｎｅ ｃｈｌｏｒｉｄｅ）、ポリメタクル酸メチル（ｐ
ｏｌｙｍｅｔｈｙｌ ｍｅｔｈａｃｒｙｌａｔｅ）、ポ
リアミド（ｐｏｌｙａｍｉｄｅ）、ポリアセタール（ｐ
ｏｌｙａｃｅｔａｌ）、ポリカーボネート（ｐｏｌｙｃ
ａｒｂｏｎａｔｅ）、ポリフェニレンエーテル（ｐｏｌ
ｙｐｈｅｎｙｌｅｎｅｅｔｈｅｒ）、ポリテレフタル酸
エチレン（ｐｏｌｙｅｔｈｙｌｅｎｅ ｔｅｒｅｐｈｔ
ｈａｌａｔｅ）、ポリスルホン（ｐｏｌｙｓｕｌｆｏｎ
ｅ）、ポリエステルスルホン（ｐｏｌｙｅｔｈｅｒｓｕ
ｌｆｏｎｅ）、ポリフェニレンスルフィド（ｐｏｌｙｐ
ｈｅｎｙｌｅｎｅｓｕｌｆｉｄｅ）、ポリアリルレイト
（ｐｏｌｙａｒｙｌａｔｅ）、ポリイミド（ｐｏｌｙｉ
ｍｉｄｅ）、ポリアミドイミド（ｐｏｌｙａｍｉｄｏｉ
ｍｉｄｏ）、ポリエステルイミド（ｐｏｌｙｅｔｈｅｒ
ｉｍｉｄｏ）、ポリエチルケトン（ｐｏｌｙｅｔｈｅｒ
ｋｅｔｏｎ）、ポリテトラフルオロエチレン（ｐｏｌｙ
ｔｅｒａｆｌｕｏｒｏｅｔｈｙｌｅｎｅ）などの熱可塑
性廃合成樹脂とフェノール樹脂（ｐｈｅｎｏｌｉｃ ｒ
ｅｓｉｎ）、エポキシ樹脂（ｅｐｏｘｙｒｅｓｉｎ）、
ジアリルフタル酸エステル（ｄｉａｌｌｙｐｈｔｈａｌ
ａｔｅ ｅｓｔｅｒ）、不飽和ポリエステル、メラミン
樹脂（ｍｅｌａｍｉｎｅｒｅｓｉｎ）、尿素樹脂（ｕｒ
ｅａ ｒｅｓｉｎ）等の熱硬化性廃合成樹脂が用いられ
る。

【００１２】本発明に用いられる廃合成樹脂は、あらゆ
る種類の廃合成樹脂を含むだけではなく多少汚染された
廃合成樹脂も含む。したがって、同じ種類の合成樹脂に
分離する別途の選別工程や洗浄工程が要求されていない
ので時間及び経済的な面で非常に望ましいものである。

【００１３】前記廃合成樹脂の使用量は最終成形物の全
体重量に対して７０乃至９０重量％が使用される。９０
重量％を超過すると最終成形物が捩じれる等の安全性に
問題があり、７０重量％未満であると硬度及び強度のよ
うな機械的性質が低下される問題点がある。

【００１４】本発明に用いられる結合剤は互いに異なる
性質を持つ色々な種類の樹脂が溶融混練過程及び成形過
程で均一に混合され成形できるようにして最終製品が捩
じれるなどのことを防止し、安全性及び機械的性質を向
上させる。したがって、前記結合剤を含有する最終成形
物は優れた機械的性質を持つようになる。

【００１５】本発明に使用される結合剤は石炭灰、脈班
石（ｅｌｖａｎ）、焼石灰、白土、黄土、泥土及び粘土
から成る群から選択された二つ以上の結合剤を一緒に使
用することも出来る。結合剤は成形物の用途などを考慮
して選択される。

【００１６】例えば、前記石炭灰は経済の面では望まし
く、脈班石（ｅｌｖａｎ）や黄土は人体に有効な原赤外
線を放射する効能があるのでオンドル（床暖房）用の平
板製の成形時に添加することが望ましいのである。前記
結合剤の使用量は最終成形物の全体重量に対し１０乃至
３０重量％が望ましく、１０重量％未満であると最終成
形物が捩じれるなど安定性の問題があり、３０重量％を
超過すると硬度及び強度のような機械的性質が低下する
問題点がある。

【００１７】前記廃合成樹脂及び結合剤は撹拌及び溶融
工程を考慮して、１００メッシュ以上に、好ましくは２
００メッシュ以上に粉砕して使用することが望ましい。

【００１８】又、最終成形物の用途によって一般プラス
チック及び建築材等に添加される添加剤を前記組成物に
添加することができ、前記添加剤の使用量は前記成形物
１００重量部に対し約３０重量部以下である。

【００１９】本発明に用いられる添加剤は架橋剤、改質
剤、難燃剤、酸化防止剤、顔料及び紫外線防止剤などが
あり、前記廃合成樹脂や結合剤と同じように粉末形態で
添加されるのが望ましいが、これに制限されるわけでは
ない。前記添加剤は最終成形物の物性、例えば、強度、
硬度、比重、耐酸化性、難燃剤の向上及び老化防止など
を目的として使用される。

【００２０】添加される添加剤の種類は成形物の用途及
び要求される性質によって変わり、例えば、歩道ブロッ
ク用に製造される場合は顔料、オンドル（床暖房）用平
板の場合は難燃剤等が添加される。

【００２１】本発明の廃合成樹脂を利用した成形物の製
造過程を説明する。先ず、廃合成樹脂を破砕した後に粉
砕し、結合剤を粉砕機で粉砕した後、必要な添加剤を混
合して撹拌する。５０乃至７０ｒｐｍの撹拌速度で撹拌
しながら１５０乃至３００℃の温度範囲で溶融させて圧
出機から圧出成形させる。撹拌及び溶融は別の撹拌機や
溶融機を使用せず圧出機から一連の過程で進行すること
が望ましい。

【００２２】この時、前記溶融温度が１５０℃未満と完
全に溶融できない樹脂等が存在して、最終成形物の物性
に悪影響を及ぼすが、 ３００℃ではあらゆる熱可塑性
の廃合成樹脂等が溶解される。そして、熱硬化性の廃合
成樹脂等は結合剤と添加剤の代用として使用されるの
で、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の比率は、重量比で
９：１程度が望ましい。

【００２３】又、前記撹拌速度は廃合成樹脂と結合剤の
混合及び分散のために前記範囲を維持させるべきであ
り、樹脂や結合剤の量及び溶融温度などを考慮して選択
する。

【００２４】望ましい成形は圧出成形であるが、必ずこ
れに限定されるものではなく成形物の用途と形態によっ
て射出成形又は吹込（ｂｌｏｗｉｎｇ）成形などの方法
で成形することもできる。

【００２５】成形物の形態は用途によって異なり、例え
ば、下水管などの用途に使用する場合はパイプ形態に、
又、オンドル（床暖房）用建築材や鋳型等に使用される
場合は平板（Ｓｈｅｅｔ）形態に成形する。

【００２６】

【発明の実施の形態】実施例を通じて本発明をより詳細
に説明する。

【００２７】実施例１ 廃合成樹脂混合物（ポリエチレン１５０ｋｇ、ポリプロ
ピレン１５０ｋｇ、ポリスチレン１５０ｋｇ、ポリ塩化
ビニル１５０ｋｇ、ポリアミド１５０ｋｇ、アクリロニ
トリル／ブタジエン／スチレン１５０ｋｇ）９００ｋｇ
を３ｍｍの長さに破砕し１００メッシュ（ｍｅｓｈ）に
粉砕した。ここにメラミン樹脂２５ｋｇとＦＲＰ２５ｋ
ｇを１００メッシュ（ｍｅｓｈ）に粉砕して加えて、１
００メッシュの焼石灰５０ｋｇを加えた。この混合物１
トンに１ｋｇの黒色顔料を加えて、圧出機に入れて６０
ｒｐｍの速度に撹拌した。圧出機の温度を２５０℃に加
熱し、完全に溶融された後、幅３０ｃｍ、厚さ３ｍｍで
圧出して紙パイプ（紙管）を製造するように回し（回
転）重ねて直径１５０ｍｍ、厚さ１５ｍｍである管形態
に圧出成形した。引長強度、圧縮荷重を測定し扁平試験
を行ない、下記表１に掲載した。

【００２８】

【表１】 ＊圧縮荷重：試験体を平板間に嵌め込み圧縮速度１０ｍ
ｍ／分の速度に内径の５％圧縮時、外径の１０％圧縮時
の荷重値を求めた。試験回数は３回で結果は平均値を表
している。

【００２９】上記表１で分かるように、本発明の実施例
により製造された管は引長強度、圧縮荷重などの物性が
優秀で下水管等で使用するのに適している。

【００３０】実施例２ 廃合成樹脂（ポリエチレン１７０ｋｇ、ポリプロピレン
１７０ｋｇ、ポリ塩化ビニル１７０ｋｇ、ポリアミド１
７０ｋｇ及びアクリロニトリル／ブタジエン／スチレン
１７０ｋｇ）８５０ｋｇを３ｍｍ長さに破砕し１００メ
ッシユ（ｍｅｓｈ）に粉砕した。ここにメラミン樹脂２
５ｋｇとＦＲＰ２５ｋｇを１００メッシュに粉砕し加え
て、１００メッシュ（ｍｅｓｈ）の焼石灰５０ｋｇと黄
土を加えた。この混合物１トンに５０ｇの黒色顔料を加
えて、圧出機に入れて６０ｒｐｍの速度で撹拌した。圧
出機の温度を２５０℃に加熱し、完全に溶融させた後、
幅５０ｃｍ、厚さ１２ｍｍの平板形態で圧出しローラを
通じて成形し約１８℃の冷却水で冷却した。

【００３１】肉眼で観察した時、表面が均一であり、表
面を２０倍の倍率で拡大撮影した走査電子顕微鏡（ＳＥ
Ｍ）写真が図１に掲載された。成形物の比重、引長強
度、屈曲強度、衝撃強度及び線熱膨張計数などの物性を
測定して下記表２に掲載した。

【００３２】実施例３ 廃合成樹脂（ポリカーボネート１００ｋｇ、ポリアセタ
ル１００ｋｇ、ポリ塩化ビニル１００ｋｇ、ポリアミド
１００ｋｇ、アクリロニトリル／ブタジエン／スチレン
１００ｋｇ、ポリスチレン１００ｋｇ、ポリプロピレン
１００ｋｇ、ポリエチレン１００ｋｇ）８００ｋｇを３
ｍｍの長さに破砕し１００メッシュ（ｍｅｓｈ）に粉砕
した。ここに、メラミン樹脂５０ｋｇとＦＲＰ５０ｋｇ
を１００メッシュに粉砕し加えて、１００メッシュ（ｍ
ｅｓｈ）の石炭灰５０ｋｇと、脈班石（ｅｌｖａｎ）粉
５０ｋｇを加えた。この混合物１トンに５０ｇの黒色顔
料を加え圧出機に入れて６０ｒｐｍの速度で攪拌した。
圧出機の温度を２５０℃に加熱し完全に溶融させた後幅
５０ｃｍ、厚さ１２ｍｍの平板形態で圧出しローラを通
じて成形し約１８℃の冷却水で冷却した。肉眼で観察し
た時、表面が均一であり、表面を２０倍の倍率で拡大撮
影した走査電子顕微鏡（ＳＥＭ）写真が図２に示され
た。成形物の比重、引長強度、屈曲強度、衝撃強度及び
線熱膨張計数などの物性を測定して下記表２に掲載し
た。

【００３３】実施例４ 廃合成樹脂（ポリ塩化ビニル２００ｋｇ、ポリアミド２
００ｋｇ、ポリプロピレン２００ｋｇ、ポリエチレン２
００ｋｇ）８００ｋｇを３ｍｍの長さに破砕し１００メ
ッシュに粉砕した。ここにフェノール樹脂３０ｋｇ、エ
ポキシ樹脂３０ｋｇ、メラミン樹脂３０ｋｇを１００メ
ッシュに粉砕し加えて、１００メッシュの滑石３０ｋ
ｇ、白土３０ｋｇ、石炭灰４０ｋｇを加えた。この混合
物１トンに５０ｇの黒色顔料を加え圧出機に入れて６０
ｒｐｍの速度で攪拌した。圧出機の温度を２５０℃に加
熱し完全に溶融させた後、幅５０ｃｍ、厚さ１２ｍｍの
平板形態で圧出しローラを通じて成形し約１８℃の冷却
水で冷却した。肉眼で観察した時、表面が均一であり、
表面を２０倍の倍率で拡大撮影した走査電子顕微鏡（Ｓ
ＥＭ）写真が図３に示された。成形物の比重、引長強
度、屈曲強度、衝撃強度及び線熱膨張計数などの物性を
測定して下記表２に掲載した。

【００３４】

【表２】

【発明の効果】本発明の方法により製造された成形物は
既存の下水管や建築材用平板などの製品に比べ強度は優
れまたは同等であり、完全に均一な混合によって表面が
均一で捩じれるなどの副作用がない。

【００３５】又、廃合成種類に関係なくあらゆる廃合成
樹脂を処理することができて廃合成樹脂を洗浄し選別、
分離する工程が必要ないので、簡単に経済的な環境保護
に非常に有用な発明になるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例２により製造された平板の表面
ＳＥＭ写真。

【図２】本発明の実施例３により製造された平板の表面
ＳＥＭ写真。

【図３】本発明の実施例４により製造された平板の表面
ＳＥＭ写真。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃合成樹脂７０〜９０重量％と、石炭
   灰、滑石、脈班石（ｅｌｖａｎ）、焼石灰、白土、黄土
   及び泥土から成る群から選択された一つ以上の結合剤１
   ０〜３０重量％とを各々１００メッシュ以上に粉砕し、
   ５０〜７０ｒｐｍの攪拌速度で攪拌させながら１５０〜
   ３００℃の温度範囲で溶融させ、圧出成形させることを
   特徴とする廃合成樹脂成形物の製造方法。
2. 【請求項２】 前記攪拌段階で、架橋剤、改質剤、難燃
   剤、酸化防止剤、顔料及び／又は紫外線防止剤から構成
   されたグループから選択された一つ以上の添加剤が粉末
   形態でさらに添加されることを特徴とする請求項１記載
   の廃合成樹脂成形物の製造方法。
3. 【請求項３】 廃合成樹脂７０〜９０重量％と、石炭
   灰、滑石、脈班石（ｅｌｖａｎ）、焼石灰、白土、黄土
   及び泥土から成る群から選択された一つ以上の結合剤１
   0〜３０重量％とを各々１００メッシュ以上に粉砕し、
   ５０〜７０ｒｐｍの攪拌速度で攪拌させながら１５０〜
   ３００℃の温度範囲で溶融させ、圧出成形させることに
   よって製造されることを特徴とする廃合成樹脂成形物。
4. 【請求項４】 前記攪拌段階で架橋剤、改質剤、難燃
   剤、酸化防止剤、顔料及び／又は紫外線防止剤から構成
   されたグループから選択された一つ以上の添加剤が粉末
   形態でさらに添加されることを特徴とする請求項３記載
   の廃合成樹脂形成物。