JP2004083029A - 発泡飲料用缶 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビールや発泡酒などの発泡飲料をグラスに注ぐとき、容易かつ確実にきめ細かな泡を発生させることができ、しかも、従来使用されている発泡飲料用缶と構造を大きく変える必要なく安価に製造することができる発泡飲料用缶を提供することを目的とする。
【解決手段】飲み口4よりも小さい孔3が閉鎖面122に穿設され、閉鎖面122が飲み口4を略塞ぐように配置される泡発生手段を備えた構成とした。
【選択図】 図4
【解決手段】飲み口4よりも小さい孔3が閉鎖面122に穿設され、閉鎖面122が飲み口4を略塞ぐように配置される泡発生手段を備えた構成とした。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡飲料用缶に関し、詳しくは、ビールや発泡酒などの発泡飲料を容易にきめの細かな泡を発生させた状態でグラスなどに注ぐことのできる発泡飲料用缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビール、発泡酒などの発泡飲料は、グラスやジョッキに注ぐことにより、発生する泡が下方の発泡飲料の上側を覆うことにより、発泡飲料の風味や清涼感を高める役割を有することが知られている。特に、発生する泡は、きめが細かいほど、ビールなどの口当たりを良くすることが知られている。したがって、前記発泡飲料をグラスに注ぐときは、注ぎ方に工夫を凝らして、きめが細かな泡が発生するように特殊な注ぎ方をすることもある。
【0003】
しかし、きめ細かな泡を発生させるように発泡飲料を注ぐ特殊な注ぎ方は、ある種のコツを必要とするため、このコツを掴むまでは上手にきめ細かい泡を発生させることができない。また、コツを掴んだとしても、上手にきめの細かい泡を発生させるように発泡飲料をグラスやジョッキなどに注ぐときには、神経を使うため疲れてしまうという問題がある。
【0004】
特に、プルトップ構造を備えたステンレス製またはアルミニウム製の飲料缶(以下、「缶」とのみ記す。)に入っているビールは、もともと飲料缶から直接飲むことが前提にあるため、きめ細かな泡を発生させるようにグラスに注ぐことが難しい。
そこで、ビールなどの発泡飲料の泡立ちを良くすることができる缶として、特開平5−97149号公報では、缶の内面に、断面が略V字形状をなす凹部が形成されている缶が提案されている。
【0005】
また、特開平8−26286号公報では、アルミ板の絞りしごき加工により缶胴を内側に凹んだ周状多面体壁となるように形成し、その凹んだ部分が、ビールを充填した状態で、ビール充填前に比して缶体外側方向に変形した状態となり、缶の開口片を開口させたとき、元の凹んだ周状多面体壁に戻ることによって、ビールの泡立ち性を向上させるようになっている缶が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−97149号公報で提案されている缶は、缶内部に泡を発生させるための凹部を形成させるようにしているため、複雑な構造となってしまい、製造コストが高くなってしまう。
ビールの飲料缶は消耗品であるため、従来の飲料缶と比べてきめの細かい泡を発生させることが可能となったとしても、高いコストを掛けて製造することは実用的であるとはいえない。
【0007】
また、特開平8−26286号公報で提案されている缶は、缶胴部分に形成する周状多面体壁が変形しないように保持するため、ある程度缶に強度を持たせる必要が生じてしまい、その結果、ビール缶として最も良く使用されている薄手のアルミ缶などを使用することが困難となってしまう。
したがって、上述した特開平5−97149号公報で提案された缶と同様に、缶の製造コストが高くなってしまうのに加えて、十分に細かな泡を発生させることができない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、ビールや発泡酒などの発泡飲料をグラスに注ぐとき、容易かつ確実にきめ細かな泡を発生させることができ、しかも、従来使用されている発泡飲料用缶と構造を大きく変える必要なく安価に製造することができる発泡飲料用缶を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる発泡飲料用缶(以下、「請求項1の缶」とのみ記す。)は、飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設され、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置される泡発生手段を備えた構成とした。
【0010】
また、本発明の請求項2にかかる飲料缶(以下、「請求項2の缶」とのみ記す。)は、プルタブを引き起こすことにより飲み口または注ぎ口が形成されるプルトップ構造を有する発泡飲料用缶において、前記プルタブは、飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設されるとともに、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置可能となっている泡発生手段を備えていることを特徴とする構成とした。
【0011】
本発明において、泡発生手段の閉鎖面に穿設された孔は、注ぎ口よりも小さく形成されていれば、円形をしていても、多角形をしていても、その他の不規則な形状をしていても良く特に限定されないが、所定の大きさをした複数の孔を閉鎖面に穿設させるようにするほうが、よりきめの細かい泡を発生させることが可能となるため好ましい。
また、孔の大きさは、たとえば、孔が円形をしている場合、径が1〜5mm程度であることが好ましく、径が2〜3mm程度であることが特に好ましい。
【0012】
すなわち、孔の大きさが大きすぎると、ビールなどの発泡飲料が孔を通過する際にきめ細かな泡が発生しにくくなるおそれが生じ、孔の大きさが小さすぎると、缶に充填されているビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐ際に、前記発泡飲料の排出量が制限されるため、発泡酒を注ぐ効率が悪くなってしまうおそれが生じる。
【0013】
さらに、孔は、その総面積が、飲み口を略塞ぐように配置した泡発生手段の閉鎖面の面積に対して、少なくとも10%以上の割合、特に15〜30%で設けられているようにすることが好ましい。
すなわち、孔が設けられている総面積の閉鎖面の面積に対する割合が、上述した範囲よりも少ない場合、飲料缶から排出される発泡飲料の勢いが阻害され、飲料缶からグラスに注がれるまでに要する時間がかかりすぎてしまうおそれが生じる。
【0014】
また、泡発生手段が、閉鎖面に一つだけ孔を穿設している場合、孔を通過する発泡飲料と、孔の内壁との間に摩擦抵抗が高くなるようにするため、孔の形状を星型形状にするなど、孔の面積に対して孔の内周の長さが出来るだけ長くなるように形成することが好ましい。
さらに、泡発生手段は、飲料缶本体と一体に形成されていても、飲料缶本体に着脱自在に形成されていてもよく、特に限定されない
【0015】
また、発泡飲料用缶の飲み口または注ぎ口は、缶のどの位置に設けられてもよく特に限定されず、飲み口または注ぎ口の形状も特に限定されないが、缶本体の上面に飲み口や注ぎ口を開口させる開口手段が設けられ、この開口手段を操作することにより飲み口や注ぎ口が形成されるようになっているタイプが最も一般的である。
この場合、飲み口または注ぎ口は、缶上面の一部分が開口するようになっていても(パーシャルオープンエンド)、缶上面の全体が開口するようになっていても(フルオープンエンド)よく特に限定されない。
【0016】
また、開口手段は、いわゆるプルタブ式といわれるプルタブを缶から取り外すことにより飲み口が形成されるようになっていても良いが、請求項2の缶のようにプルトップ構造を備えている構成(「スティオンタブ式」とも呼ばれる。)をしていると、プルタブを缶とは別に片付ける必要がなくなり、環境的にも好ましい。
【0017】
また、請求項2の缶のように、プルトップ構造を有している発泡飲料用缶のプルタブが泡発生手段を備えている場合、泡発生手段は、プルタブを製造する際、プルタブの一部の閉鎖面となる部位に孔を穿設することで形成されるようにしてもよいし、従来一般に使用されている後端部がリング形状をしたプルタブの後端部に孔が穿設されたキャップを被せることにより形成されるようにしてもよいし、特に限定されないが、プルタブを製造する際、プルタブと一体に泡発生手段を形成させるようにするほうが泡発生手段の製造コストを安く抑えることができるため好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる発泡飲料用缶の一実施の形態を示した斜視図である。発泡飲料用缶1は、アルミニウムで形成されており、図1に示したように、飲料缶本体(以下、「缶本体」とのみ記す。)2の上面20にプルトップ構造を有した開閉手段(以下、「プルトップ」とのみ記す。)10を備えている。
【0019】
プルトップ10は、図1および図2に示したように、開口片11と、プルタブ12と、リベット13とを備えている。
開口片11は、図1および図2に示したように、缶本体2の上面20の一部を形成するようになっており、周囲の三方が薄肉の脆弱部110により囲まれている。
【0020】
プルタブ12は、図3(a)に示したように、先端部121が開口片11に上方から重なるようにリベット13により缶本体2の上面20に配置固定されており、図3(a)に示した状態から後端部122を上方に引き起こすことで、図3(b)に示したように、先端部121が開口片11を押し下げるようになっている。
すると、図3(c)に示したように、缶本体2の上面20が開口して飲み口4が形成されるのである。
【0021】
上述したような働きを有するプルタブ12は、図1および図2に示したように、閉鎖面となる後端部122に、径が2〜3mmの孔3が複数穿設されているとともに、後端中央部に切り欠き30が形成されている。また、プルタブ12は、リベット13を回動中心として回動するようになっており、図3(d)および図4に示したように、飲み口4が略塞がれるように後端部122を配置させることが可能となっている。
このようにして、プルタブ12の後端部122で飲み口4が略塞がれるように、プルタブ12を回動させたとき、缶本体2内の発泡飲料は、孔3および、飲み口4とプルタブ12の後端部122の後端に形成された切り欠き30との間の隙間を介してのみ缶本体2の外へ排出可能な状態となる。
すなわち、後端部122と孔3とによって、泡発生手段が形成されるようになっている。
【0022】
リベット13は、上述したように、プルタブ12を回動可能な状態で、缶本体2の上面20に取り付けている。
缶本体2は、一般的なビール缶と同様の形態をしている。
【0023】
次に、発泡飲料用缶1がビール缶として使用されていることを例として、発泡飲料用缶1の使用形態について説明する。
通常、発泡飲料用缶1は、通常の飲料缶と同様、図1に示したように、開口片11が缶本体2の上面20の一部を構成するように、すなわち、開口片11により缶本体2の上面が封止されている状態にある。
【0024】
そして、発泡飲料用缶1に入っているビールを飲むとき、発泡飲料用缶1は、図1、図2、および図3(a)に示した状態から、一般的な缶ビールを開封するときと同様に、プルタブ12の後端部122と缶本体2の上面20との間に指先などを挿入して、図3(b)に示したようにプルタブ12を上方に引き上げるようにする。
すると、図3(b)に示したように、プルタブ12の前端部121が開口片11を押し下げて、脆弱部110に沿うように缶本体2の上面20が開封され、図3(c)に示したように発泡飲料用缶1の上面20に飲み口4が形成された状態となる。
【0025】
以上のようにして飲み口4が形成された発泡飲料用缶1は、通常の缶ビールを飲む時と同様に、飲み口4にそのまま口をつけてビールを飲むことも可能である。
このとき、プルタブ12は、図3(c)に示したように、後端部122が立ち上がった状態のままにしておいても良いが、図3(a)に示した位置にプルタブ12の後端部122が位置するように、プルタブ12の位置を元に戻すようにしておくと、飲むときの邪魔にならない。
【0026】
そして、ビールを発泡飲料用缶1からグラスに注いで飲むときは、図3(d)に示したように、リベット13を回動中心として、後端部122が飲み口4を略塞ぐように、プルタブ12を回動させ、僅かに後端部122が缶の中に入り込んだ状態とする。(図3(d)、図4参照)
【0027】
この状態で、発泡飲料用缶1内に充填されているビールは、プルタブ12の後端部122に設けられている泡発生用孔3、または、プルタブ12の後端部122の端辺に形成された切り欠き30と飲み口4の周壁との間に形成されている隙間を通過しなければ、グラスに注ぐことが出来ない状態となる。
したがって、発泡飲料用缶1からグラスにビールを注ぐとき、発泡飲料用缶1内に充填されているビールは、泡発生用孔3を通過する際に、流れが不規則に変化し、ビール内の炭酸ガスがきめ細かな泡としてグラスに注がれたビールの上方を覆うように発生する。
【0028】
以上のように、発泡飲料用缶1からグラスに注がれたビールは、通常の缶ビールをグラスに注いだときに発生する泡と比べて、泡のきめが細かいため、より長時間にわたって、ビールの上方を覆うこととなり、本格的なビールサーバーで注がれたビールのように、風味をまろやかにする。
【0029】
また、発泡飲料用缶1は、プルタブ12の後端部122を飲み口4が略塞がれるように配置させるようにプルタブ12を回動させるだけの容易な操作で、きめの細かい泡を発生させることが可能となり、さらに、泡発生手段がプルタブ12に設けられているため、泡発生手段が缶本体2と離別してしまうなどの問題が生じることもない。
【0030】
なお、本発明にかかる発泡飲料用缶は、上述した実施の形態に限定されない。たとえば、発泡飲料用缶1は、プルタブ12を回動させて、後端部122が飲み口4を略塞ぐように配置させるだけであったが、この配置させた状態を固定するために、プルタブに引っ掛かり部を設けるとともに、発泡飲料用缶の上面に前記引っ掛かり部を係止させる被係止部を設けるようにしても構わない。
【0031】
また、発泡飲料用缶1は、プルタブ12の後端部122の端辺に切り欠き30が形成されており、この切り欠き30と飲み口4との間に形成される隙間からビールが排出されるようになっていたが、このような切り欠き30が設けられていなくても構わない。
この場合、プルタブ12の形状または飲み口4の形状を変えて、プルタブ後端部と飲み口4との間にビールの通過を助ける小さな隙間が形成されるようにすると、スムースにビールを排出させることが可能となる。
【0032】
また、上記実施の形態では、閉鎖面としての後端部122が飲み口4よりも缶内側で閉鎖面を配置させいたが、飲み口4の開口部分と略同一面に後端部122を配置させても、飲み口4よりも缶外側で配置させてもよく特に限定されない。また、上記後端部122の大きさは、飲み口4の開口部分の大きさよりも大きく形成されていてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上のことより、本発明にかかる請求項1の発泡飲料用缶は、泡発生手段を備えているため、この泡発生手段を飲料缶の飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置させるだけで、容易にきめの細かい泡を発生させた状態でビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐことが可能となる。
したがって、特別な技術を有していなくても、きめの細かな泡がバランスよく発生させ、ビールをより美味しく飲むことができる。
【0034】
また、本発明にかかる請求項2の飲料缶は、上述したように、きめの細かい泡を容易に発生させた状態でビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐことができるとともに、泡発生手段がプルタブに設けられているため、泡発生手段が缶本体から離別することなく、また、プルタブを回動させるだけで、泡発生手段を飲料缶の飲み口を略塞ぐように配置させることが可能となり、容易に泡発生手段を飲み口に配置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる飲料缶の1実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した飲料缶の上面図である。
【図3】図1に示した飲料缶の飲み口を開封する操作を示した断面図である。
【図4】図1に示した飲料缶の飲み口に泡発生用孔が臨むようにプルタブを配置させた状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡飲料用缶
10 プルトップ
11 開口片
110 脆弱部
12 プルタブ
121 先端部
122 後端部(閉鎖面)
13 リベット
2 缶本体
3 孔
4 飲み口
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡飲料用缶に関し、詳しくは、ビールや発泡酒などの発泡飲料を容易にきめの細かな泡を発生させた状態でグラスなどに注ぐことのできる発泡飲料用缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビール、発泡酒などの発泡飲料は、グラスやジョッキに注ぐことにより、発生する泡が下方の発泡飲料の上側を覆うことにより、発泡飲料の風味や清涼感を高める役割を有することが知られている。特に、発生する泡は、きめが細かいほど、ビールなどの口当たりを良くすることが知られている。したがって、前記発泡飲料をグラスに注ぐときは、注ぎ方に工夫を凝らして、きめが細かな泡が発生するように特殊な注ぎ方をすることもある。
【0003】
しかし、きめ細かな泡を発生させるように発泡飲料を注ぐ特殊な注ぎ方は、ある種のコツを必要とするため、このコツを掴むまでは上手にきめ細かい泡を発生させることができない。また、コツを掴んだとしても、上手にきめの細かい泡を発生させるように発泡飲料をグラスやジョッキなどに注ぐときには、神経を使うため疲れてしまうという問題がある。
【0004】
特に、プルトップ構造を備えたステンレス製またはアルミニウム製の飲料缶(以下、「缶」とのみ記す。)に入っているビールは、もともと飲料缶から直接飲むことが前提にあるため、きめ細かな泡を発生させるようにグラスに注ぐことが難しい。
そこで、ビールなどの発泡飲料の泡立ちを良くすることができる缶として、特開平5−97149号公報では、缶の内面に、断面が略V字形状をなす凹部が形成されている缶が提案されている。
【0005】
また、特開平8−26286号公報では、アルミ板の絞りしごき加工により缶胴を内側に凹んだ周状多面体壁となるように形成し、その凹んだ部分が、ビールを充填した状態で、ビール充填前に比して缶体外側方向に変形した状態となり、缶の開口片を開口させたとき、元の凹んだ周状多面体壁に戻ることによって、ビールの泡立ち性を向上させるようになっている缶が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−97149号公報で提案されている缶は、缶内部に泡を発生させるための凹部を形成させるようにしているため、複雑な構造となってしまい、製造コストが高くなってしまう。
ビールの飲料缶は消耗品であるため、従来の飲料缶と比べてきめの細かい泡を発生させることが可能となったとしても、高いコストを掛けて製造することは実用的であるとはいえない。
【0007】
また、特開平8−26286号公報で提案されている缶は、缶胴部分に形成する周状多面体壁が変形しないように保持するため、ある程度缶に強度を持たせる必要が生じてしまい、その結果、ビール缶として最も良く使用されている薄手のアルミ缶などを使用することが困難となってしまう。
したがって、上述した特開平5−97149号公報で提案された缶と同様に、缶の製造コストが高くなってしまうのに加えて、十分に細かな泡を発生させることができない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、ビールや発泡酒などの発泡飲料をグラスに注ぐとき、容易かつ確実にきめ細かな泡を発生させることができ、しかも、従来使用されている発泡飲料用缶と構造を大きく変える必要なく安価に製造することができる発泡飲料用缶を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる発泡飲料用缶(以下、「請求項1の缶」とのみ記す。)は、飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設され、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置される泡発生手段を備えた構成とした。
【0010】
また、本発明の請求項2にかかる飲料缶(以下、「請求項2の缶」とのみ記す。)は、プルタブを引き起こすことにより飲み口または注ぎ口が形成されるプルトップ構造を有する発泡飲料用缶において、前記プルタブは、飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設されるとともに、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置可能となっている泡発生手段を備えていることを特徴とする構成とした。
【0011】
本発明において、泡発生手段の閉鎖面に穿設された孔は、注ぎ口よりも小さく形成されていれば、円形をしていても、多角形をしていても、その他の不規則な形状をしていても良く特に限定されないが、所定の大きさをした複数の孔を閉鎖面に穿設させるようにするほうが、よりきめの細かい泡を発生させることが可能となるため好ましい。
また、孔の大きさは、たとえば、孔が円形をしている場合、径が1〜5mm程度であることが好ましく、径が2〜3mm程度であることが特に好ましい。
【0012】
すなわち、孔の大きさが大きすぎると、ビールなどの発泡飲料が孔を通過する際にきめ細かな泡が発生しにくくなるおそれが生じ、孔の大きさが小さすぎると、缶に充填されているビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐ際に、前記発泡飲料の排出量が制限されるため、発泡酒を注ぐ効率が悪くなってしまうおそれが生じる。
【0013】
さらに、孔は、その総面積が、飲み口を略塞ぐように配置した泡発生手段の閉鎖面の面積に対して、少なくとも10%以上の割合、特に15〜30%で設けられているようにすることが好ましい。
すなわち、孔が設けられている総面積の閉鎖面の面積に対する割合が、上述した範囲よりも少ない場合、飲料缶から排出される発泡飲料の勢いが阻害され、飲料缶からグラスに注がれるまでに要する時間がかかりすぎてしまうおそれが生じる。
【0014】
また、泡発生手段が、閉鎖面に一つだけ孔を穿設している場合、孔を通過する発泡飲料と、孔の内壁との間に摩擦抵抗が高くなるようにするため、孔の形状を星型形状にするなど、孔の面積に対して孔の内周の長さが出来るだけ長くなるように形成することが好ましい。
さらに、泡発生手段は、飲料缶本体と一体に形成されていても、飲料缶本体に着脱自在に形成されていてもよく、特に限定されない
【0015】
また、発泡飲料用缶の飲み口または注ぎ口は、缶のどの位置に設けられてもよく特に限定されず、飲み口または注ぎ口の形状も特に限定されないが、缶本体の上面に飲み口や注ぎ口を開口させる開口手段が設けられ、この開口手段を操作することにより飲み口や注ぎ口が形成されるようになっているタイプが最も一般的である。
この場合、飲み口または注ぎ口は、缶上面の一部分が開口するようになっていても(パーシャルオープンエンド)、缶上面の全体が開口するようになっていても(フルオープンエンド)よく特に限定されない。
【0016】
また、開口手段は、いわゆるプルタブ式といわれるプルタブを缶から取り外すことにより飲み口が形成されるようになっていても良いが、請求項2の缶のようにプルトップ構造を備えている構成(「スティオンタブ式」とも呼ばれる。)をしていると、プルタブを缶とは別に片付ける必要がなくなり、環境的にも好ましい。
【0017】
また、請求項2の缶のように、プルトップ構造を有している発泡飲料用缶のプルタブが泡発生手段を備えている場合、泡発生手段は、プルタブを製造する際、プルタブの一部の閉鎖面となる部位に孔を穿設することで形成されるようにしてもよいし、従来一般に使用されている後端部がリング形状をしたプルタブの後端部に孔が穿設されたキャップを被せることにより形成されるようにしてもよいし、特に限定されないが、プルタブを製造する際、プルタブと一体に泡発生手段を形成させるようにするほうが泡発生手段の製造コストを安く抑えることができるため好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる発泡飲料用缶の一実施の形態を示した斜視図である。発泡飲料用缶1は、アルミニウムで形成されており、図1に示したように、飲料缶本体(以下、「缶本体」とのみ記す。)2の上面20にプルトップ構造を有した開閉手段(以下、「プルトップ」とのみ記す。)10を備えている。
【0019】
プルトップ10は、図1および図2に示したように、開口片11と、プルタブ12と、リベット13とを備えている。
開口片11は、図1および図2に示したように、缶本体2の上面20の一部を形成するようになっており、周囲の三方が薄肉の脆弱部110により囲まれている。
【0020】
プルタブ12は、図3(a)に示したように、先端部121が開口片11に上方から重なるようにリベット13により缶本体2の上面20に配置固定されており、図3(a)に示した状態から後端部122を上方に引き起こすことで、図3(b)に示したように、先端部121が開口片11を押し下げるようになっている。
すると、図3(c)に示したように、缶本体2の上面20が開口して飲み口4が形成されるのである。
【0021】
上述したような働きを有するプルタブ12は、図1および図2に示したように、閉鎖面となる後端部122に、径が2〜3mmの孔3が複数穿設されているとともに、後端中央部に切り欠き30が形成されている。また、プルタブ12は、リベット13を回動中心として回動するようになっており、図3(d)および図4に示したように、飲み口4が略塞がれるように後端部122を配置させることが可能となっている。
このようにして、プルタブ12の後端部122で飲み口4が略塞がれるように、プルタブ12を回動させたとき、缶本体2内の発泡飲料は、孔3および、飲み口4とプルタブ12の後端部122の後端に形成された切り欠き30との間の隙間を介してのみ缶本体2の外へ排出可能な状態となる。
すなわち、後端部122と孔3とによって、泡発生手段が形成されるようになっている。
【0022】
リベット13は、上述したように、プルタブ12を回動可能な状態で、缶本体2の上面20に取り付けている。
缶本体2は、一般的なビール缶と同様の形態をしている。
【0023】
次に、発泡飲料用缶1がビール缶として使用されていることを例として、発泡飲料用缶1の使用形態について説明する。
通常、発泡飲料用缶1は、通常の飲料缶と同様、図1に示したように、開口片11が缶本体2の上面20の一部を構成するように、すなわち、開口片11により缶本体2の上面が封止されている状態にある。
【0024】
そして、発泡飲料用缶1に入っているビールを飲むとき、発泡飲料用缶1は、図1、図2、および図3(a)に示した状態から、一般的な缶ビールを開封するときと同様に、プルタブ12の後端部122と缶本体2の上面20との間に指先などを挿入して、図3(b)に示したようにプルタブ12を上方に引き上げるようにする。
すると、図3(b)に示したように、プルタブ12の前端部121が開口片11を押し下げて、脆弱部110に沿うように缶本体2の上面20が開封され、図3(c)に示したように発泡飲料用缶1の上面20に飲み口4が形成された状態となる。
【0025】
以上のようにして飲み口4が形成された発泡飲料用缶1は、通常の缶ビールを飲む時と同様に、飲み口4にそのまま口をつけてビールを飲むことも可能である。
このとき、プルタブ12は、図3(c)に示したように、後端部122が立ち上がった状態のままにしておいても良いが、図3(a)に示した位置にプルタブ12の後端部122が位置するように、プルタブ12の位置を元に戻すようにしておくと、飲むときの邪魔にならない。
【0026】
そして、ビールを発泡飲料用缶1からグラスに注いで飲むときは、図3(d)に示したように、リベット13を回動中心として、後端部122が飲み口4を略塞ぐように、プルタブ12を回動させ、僅かに後端部122が缶の中に入り込んだ状態とする。(図3(d)、図4参照)
【0027】
この状態で、発泡飲料用缶1内に充填されているビールは、プルタブ12の後端部122に設けられている泡発生用孔3、または、プルタブ12の後端部122の端辺に形成された切り欠き30と飲み口4の周壁との間に形成されている隙間を通過しなければ、グラスに注ぐことが出来ない状態となる。
したがって、発泡飲料用缶1からグラスにビールを注ぐとき、発泡飲料用缶1内に充填されているビールは、泡発生用孔3を通過する際に、流れが不規則に変化し、ビール内の炭酸ガスがきめ細かな泡としてグラスに注がれたビールの上方を覆うように発生する。
【0028】
以上のように、発泡飲料用缶1からグラスに注がれたビールは、通常の缶ビールをグラスに注いだときに発生する泡と比べて、泡のきめが細かいため、より長時間にわたって、ビールの上方を覆うこととなり、本格的なビールサーバーで注がれたビールのように、風味をまろやかにする。
【0029】
また、発泡飲料用缶1は、プルタブ12の後端部122を飲み口4が略塞がれるように配置させるようにプルタブ12を回動させるだけの容易な操作で、きめの細かい泡を発生させることが可能となり、さらに、泡発生手段がプルタブ12に設けられているため、泡発生手段が缶本体2と離別してしまうなどの問題が生じることもない。
【0030】
なお、本発明にかかる発泡飲料用缶は、上述した実施の形態に限定されない。たとえば、発泡飲料用缶1は、プルタブ12を回動させて、後端部122が飲み口4を略塞ぐように配置させるだけであったが、この配置させた状態を固定するために、プルタブに引っ掛かり部を設けるとともに、発泡飲料用缶の上面に前記引っ掛かり部を係止させる被係止部を設けるようにしても構わない。
【0031】
また、発泡飲料用缶1は、プルタブ12の後端部122の端辺に切り欠き30が形成されており、この切り欠き30と飲み口4との間に形成される隙間からビールが排出されるようになっていたが、このような切り欠き30が設けられていなくても構わない。
この場合、プルタブ12の形状または飲み口4の形状を変えて、プルタブ後端部と飲み口4との間にビールの通過を助ける小さな隙間が形成されるようにすると、スムースにビールを排出させることが可能となる。
【0032】
また、上記実施の形態では、閉鎖面としての後端部122が飲み口4よりも缶内側で閉鎖面を配置させいたが、飲み口4の開口部分と略同一面に後端部122を配置させても、飲み口4よりも缶外側で配置させてもよく特に限定されない。また、上記後端部122の大きさは、飲み口4の開口部分の大きさよりも大きく形成されていてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上のことより、本発明にかかる請求項1の発泡飲料用缶は、泡発生手段を備えているため、この泡発生手段を飲料缶の飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置させるだけで、容易にきめの細かい泡を発生させた状態でビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐことが可能となる。
したがって、特別な技術を有していなくても、きめの細かな泡がバランスよく発生させ、ビールをより美味しく飲むことができる。
【0034】
また、本発明にかかる請求項2の飲料缶は、上述したように、きめの細かい泡を容易に発生させた状態でビールなどの発泡飲料をグラスに注ぐことができるとともに、泡発生手段がプルタブに設けられているため、泡発生手段が缶本体から離別することなく、また、プルタブを回動させるだけで、泡発生手段を飲料缶の飲み口を略塞ぐように配置させることが可能となり、容易に泡発生手段を飲み口に配置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる飲料缶の1実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した飲料缶の上面図である。
【図3】図1に示した飲料缶の飲み口を開封する操作を示した断面図である。
【図4】図1に示した飲料缶の飲み口に泡発生用孔が臨むようにプルタブを配置させた状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡飲料用缶
10 プルトップ
11 開口片
110 脆弱部
12 プルタブ
121 先端部
122 後端部(閉鎖面)
13 リベット
2 缶本体
3 孔
4 飲み口
Claims (2)
- 飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設され、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置される泡発生手段を備えた発泡飲料用缶。
- プルタブを引き起こすことにより飲み口または注ぎ口が形成されるプルトップ構造を有する発泡飲料用缶において、
前記プルタブは、飲み口または注ぎ口よりも小さい孔が閉鎖面に穿設されるとともに、前記閉鎖面が前記飲み口または注ぎ口を略塞ぐように配置可能となっている泡発生手段を備えていることを特徴とする発泡飲料用缶。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006232366A (ja) * | 2005-02-28 | 2006-09-07 | Suntory Ltd | 缶蓋及び缶 |
US20230014001A1 (en) * | 2021-07-16 | 2023-01-19 | Randy D. Sines | Rotatable Beverage Can Cover |
-
2002
- 2002-08-23 JP JP2002243454A patent/JP2004083029A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20230014001A1 (en) * | 2021-07-16 | 2023-01-19 | Randy D. Sines | Rotatable Beverage Can Cover |
US11565846B1 (en) * | 2021-07-16 | 2023-01-31 | Randy D. Sines | Rotatable beverage can cover |
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