JP2004082352A - レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ある成形型を用いて成形したレンズが所定範囲の球面収差を超えてしまった場合に、成形型の形状加工を何度もやり直すことなく、適正な球面収差を有するレンズを製造できる方法を提供する。
【解決手段】第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いて成形素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法。レンズ設計値を決定し、このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(型間距離という)を含む、型設計値を決定し、この型設計値に従って暫定成形型を作製し、作製した暫定成形型を用いて加熱軟化した成形素材をプレス成形して暫定レンズを得、得られた暫定レンズの球面収差値を測定し、暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求め、前記暫定成形型の型間距離を補正して、成形素材をプレス成形して、前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得る。
【選択図】

Description

【0001】
本発明は、成形型を用いて、ガラスやプラスチックなどの成形素材をプレス成形することにより、レンズを製造する方法に関する。特に、本発明は、成形後に研削や研磨を行なうことを不要とする、形状精度、面精度の高い精密プレスに関し、CDやDVDなどの光ディスク用ピックアップレンズなどの単レンズの製造に特に適する製法に関する。
【0002】
【従来技術】
所定の光学性能をもつレンズを成形するための成形型の作製、及びその精度の判断や補正については、以下の先行技術がある。
【0003】
特開2002−96332号公報には、量産型を作るにあたって、基準型を使って、量産暫定型でのプレスを行なうことなく量産暫定型が許容範囲内の球面収差のレンズを生産できるかどうかを判断するための方法が開示されている。しかし、この方法を適用するには、まず許容範囲内の光学性能を有する基準型を作製する必要があり、更に、量産型を複数作成してその中から量産に使用できるものを判断、抽出しなければならない。
【0004】
特開2002−96344号公報には、成形金型を設計する方法が記載されている。この方法では、所定の形状設計値に基づいて、暫定成形金型を作成し、それによってレンズを成形し、成形された暫定レンズの光学特性を測定する。この光学特性の測定値を所望の光学特性と比較し、その球面収差のズレ量を検出し、検出の結果、所望の光学特性からずれた非球面収差値のズレ量を、非球面を規定する式の非球面定数のうち高次項の微少な変化量と球面収差値の変動量との関係を予め求めたテーブルに照らし合わせる。その結果、対応する非球面定数のうち高次項の微少な変化量を調整量とし、該調整量を暫定成形金型の非球面式の非球面定数に加算して新たな形状設計値として成形金型を設計する。
【0005】
この方法では、予め非球面式の非球面定数の高次項の微少な変化量と球面収差値の変動量との関係を求めたテーブルを用意する必要がある。そして、このテーブルの確度を検証するためには、多くの型を加工し、それによって多数、かつ多種のレンズをプレスして光学性能を測定する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
球面又は非球面を有するレンズを成形する設計段階においては、レンズに必要とされる光学性能にもとづき、レンズ素材の光学恒数(屈折率、分散)を決定し、更にレンズの第1面、第2面(いずれも光学機能面を含む面である)の形状、レンズ厚を含む、レンズ設計値が決定される。それに基づいて、それを成形するための成形型の設計値を決定する。その際、例えばガラスレンズの場合、ガラスの熱膨張係数と成形型の熱膨張係数は異なるので、上記レンズ設計値に基づき、さらに、プレス後のガラスの収縮などの成形に影響する要素も織り込んで、型の設計値を決定する。
【0007】
レンズ設計値に対しては、通常、レンズの光学性能に対する許容誤差(公差)が定められる。特に、光ディスク用のピックアップ光学系に用いられる対物レンズは、仕様に定められた各パラメータの公差が非常に狭い。そのため、素材として用いるガラスが示す熱収縮挙動の僅かな変動によっても、許容される透過波面収差を満足できない場合がある。
【0008】
型の設計値をもとに、型材を形状加工したときに、精密加工をもってしても、型設計値との間にズレが生じることがある。そして、型設計値からずれた型を用いてプレスすると、レンズの光学性能(例えば、球面収差)が許容範囲を超えてしまうことがある。
【0009】
更に、型の設計値どおりの型を形状加工した場合でも、その型を用いてプレス成形して得たレンズは、当初のレンズ設計値に一致するものとならない(例えば、球面収差が許容範囲を超える)場合がある。これは、ガラス素材や型材の熱膨張及び収縮には、影響する要因が多く、かつ各要因に不確定要素が伴うため、あるいはプレス時の冷却速度に起因した屈折率の変化などが起きるためである。
【0010】
こうしたときに、成形型を再度設計し、加工し直すことは、納期上もコスト上も大きな負担となる。
【0011】
そこで本発明の目的は、ある成形型を用いて成形したレンズが所定範囲の球面収差を超えてしまった場合に、成形型の形状加工を何度もやり直すことなく、簡単な修正加工のみで簡便に補正して、適正な球面収差を有するレンズを製造できる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
[請求項1]第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いて成形素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法において、
レンズ設計値を決定し、
このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(以下、型間距離という)を含む、型設計値を決定し、
この型設計値に従って暫定成形型を作製し、
作製した暫定成形型を用いて加熱軟化した成形素材をプレス成形して暫定レンズを得、
得られた暫定レンズの球面収差値を測定し、
暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求め、
前記暫定成形型の型間距離を補正して、成形素材をプレス成形して、
前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得ることを特徴とするレンズの製造方法。
[請求項2]レンズ設計値は、レンズが所望の光学性能を有するように設定されている請求項1に記載の製造方法。
[請求項3]型設計値の型間距離の補正は、得られた暫定レンズの球面収差値の所定値からのズレ量に基づいてレンズ設計値のレンズ厚を補正し、更に補正されたレンズ厚にもとづき、型設計値の型間距離を補正することを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
[請求項4]レンズ設計値は、成形素材の屈折率、レンズの第1面の形状、第2面の形状、及びレンズ厚を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項5]レンズ設計値の成形素材の屈折率が、該ガラスの所定の冷却速度における屈折率であり、かつ
暫定レンズを得るために行うプレス成形後のプレス成形品の冷却が、前記所定の冷却速度と異なる冷却速度で行われ、
その結果、暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える請求項4に記載の製造方法。
[請求項6]得られた暫定レンズの第1面又は第2面の形状が、前記レンズ設計値の第1面又は第2面の形状と異なり、その結果、暫定レンズの球面収差測定値が所定範囲を超える請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項7]第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いて成形素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法において、
レンズ設計値を決定し、
このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(以下、型間距離という)を含む、型設計値を決定し、
この型設計値に従って暫定成形型を作製し、
得られた成形型の第1の成形面及び第2の成形面の形状を測定し、
測定した成形面の形状から、それによって成形されるレンズの球面収差値を予測し、
球面収差の予測値が上記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求め、前記暫定成形型の型間距離を補正し、成形素材をプレス成形して、
前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得ることを特徴とするレンズの製造方法。
[請求項8]レンズ設計値は、成形素材の屈折率、レンズの第1面の形状、第2面の形状、及びレンズ厚を含む請求項7に記載の製造方法。
[請求項9]型設計値の決定は、レンズ設計値を基に、ガラスの熱膨張係数を加味して行なう請求項7または8に記載の製造方法。
[請求項10]レンズが、光ディスク用ピックアップレンズである請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項11]波面収差の所定範囲が0.04λ rms以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項12]請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法により製造されたレンズを備える光ピックアップ。
【0013】
本発明の製造方法は、第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いてガラス素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法である。
本発明の製造方法に用いる第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型の種類(材質)や構造、ガラス素材の種類や形状、プレス成形の方法や条件等は公知のものをそのまま使用することができる。
球面収差は0(ゼロ)であることが最も好ましく、許容される所定範囲は、製造されるレンズの用途に応じて、適宜決定される。
レンズが、例えば、光ディスク用ピックアップレンズである場合、球面収差の所定範囲は、例えば、0.04λ rms以下の範囲で適宜決定される。
【0014】
以下、本発明の製造方法を、成形素材としてガラス素材を用いる場合を例に説明する。尚、成形素材としては、ガラス素材以外にプラスチック素材なども挙げることができる。
【0015】
本発明の製造方法においては、
(1)レンズ設計値を決定し、
(2)このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(即ち、型間距離)を含む、型設計値を決定し、
(3)この型設計値に従って暫定成形型を作製する。
【0016】
レンズ設計値は、例えば、ガラスの屈折率、第1面の形状、第2面の形状、及びレンズ厚を含む。レンズ設計値は、レンズが所望の光学性能を有するように設定される。
尚、本発明においては、レンズの第1面を第1の成形面により成形される面とし、レンズの第2面を、第2の成形面により成形される面とする。
型設計値は、レンズ設計値に基づいて決定されるが、その際、素材として用いるガラス素材の熱収縮(熱膨張率)も、勘案される。
型設計値に従った暫定成形型の作製には、従来の形状加工方法をそのまま使用できる。
【0017】
本発明の第1の態様の製造方法では、次いで、
(4)作製した暫定成形型を用いて加熱軟化したガラス素材をプレス成形して暫定レンズを得、
(5)得られた暫定レンズの球面収差値を測定し、
(6)暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求める。
【0018】
暫定成形型を用いての暫定レンズのプレス成形は、暫定成形型を用いること以外、実際のレンズの製造方法と同様の条件で行う。
得られた暫定レンズの球面収差値の測定は、公知の方法で行い、例えば、波面収差測定装置を用いて測定することができる。
暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求める。本発明においては、型設計値の中の型間距離のみを補正して球面収差を所定範囲になるように修正し、それにより得られるレンズ厚を補正して、許容範囲(所定範囲)内の球面収差をもつレンズを作製することが特徴である。
ここで、レンズ厚とは、レンズの中心部の厚みをいう。
【0019】
型設計値の型間距離の補正は、例えば、得られた暫定レンズの球面収差値の所定値からのズレ量に基づいてレンズ設計値のレンズ厚を補正し、補正されたレンズ厚に基づき、型設計値の型間距離を補正することにより行うことができる。
ここでいう所定値とは、所定範囲中の任意の基準の値であるが、通常は、球面収差は基準をゼロとする。
【0020】
本発明において、型間距離とは、一対の成形型によって、ガラス素材をプレスするときの成形面間の距離であり、例えば、一対の型の最も近づいた位置における、成形面同士の中心距離とすることができる。
型間距離の補正は、例えば、上下型が最も近づいた位置で胴型に当接して停止するような構造を有する成形型の場合には、胴型またはその一部の長さを変更することにより、行うことができる。また、それ以外の手段、例えば、上下型の位置決めをサーボモータなどの位置制御を用いて行う場合は、その制御プログラムを補正することで、型間距離を調整し、レンズ厚を調整してもよい。
【0021】
本発明の第1の態様の製造方法では、次いで、
(7)前記暫定成形型の型間距離を補正し、ガラス素材をプレス成形して、
(8)それにより、前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得る。
【0022】
レンズ設計値を決める際には、用いる素材の屈折率を決めることが前提である。しかしながら、プレス成形においては、プレス後の冷却過程で採用される冷却速度によって、屈折率が変動することが知られている。具体的には、冷却速度が速いと、屈折率の値は低下する。そして、例えば、この屈折率の低下により、暫定レンズの球面収差が所定範囲を超えてしまうことがありうる。そのような場合でも、本発明によれば、型間距離を補正した成形型を用いることでレンズ厚を調整して、所定範囲内の球面収差を有するレンズを生産することができる。
【0023】
即ち、レンズ設計値のガラスの屈折率が、該ガラスを所定の冷却速度において冷却して得たガラスの屈折率であり、かつ暫定レンズを得るために行うプレス成形後のプレス成形品の冷却が、前記所定の冷却速度と異なる冷却速度で行われ、その結果、暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合も、本発明の製造方法では、所定範囲内の球面収差を有するレンズを生産することができる。
【0024】
さらに、得られた暫定レンズの第1面又は第2面の形状が、例えば、レンズを構成するガラスの熱膨張係数と成形型の熱膨張係数とが相違するため、レンズ設計値の第1面又は第2面の形状と異なり、その結果、暫定レンズの球面収差測定値が所定範囲を超える場合も、本発明の製造方法では、所定範囲内の球面収差を有するレンズを生産することができる。
【0025】
このように、本発明の製造方法によれば、球面収差が許容範囲を超えてしまった場合でも、その理由が、ガラスと型の熱収縮の挙動に読みきれない要因があったか、型加工の精度に問題があったかを問わず、許容範囲内におさめるために、型加工を繰り返す必要なく、レンズ厚のみの修正によって、球面収差が許容範囲内にあるレンズを製造することができる。
【0026】
本発明の第2の態様の製造方法では、第1次の態様の製造方法における(1)〜(3)を行った後に、型形状測定データからのレンズ厚補正計算を以下のように行う。
(4’)得られた成形型の第1の成形面及び第2の成形面の形状を測定し、
(5’)測定した成形面の形状から、それによって成形されるレンズの球面収差値を予測し、
(6’)球面収差の予測値が上記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求める。
【0027】
高温のプレスから室温に冷却される間にレンズは収縮するが、この収縮を考慮して型設計値(第1面、第2面の形状設計値など)は決められる。熱収縮による型形状誤差とレンズ面形状誤差には、相関がある。既に型形状とレンズ波面収差の相関が把握されていれば、型形状誤差を光学設計ソフト上で定義して、成形型の第1の成形面及び第2の成形面の形状を測定し、その結果、光線追跡法により波面収差を計算(予測)することができる。球面収差の予測値が前記所定範囲を超える場合、型設計値の中の、型間距離の補正値を求める。型間距離の補正値は、上記第1の態様の製造方法と同様にして求めることができる。尚、光学設計ソフトは、例えば、市販のものをそのまま使用することができる。
【0028】
例えば、波面収差の3次の球面収差から、後述する実施態様で行ったと同様な計算を行なえば、最適なレンズ厚が求まる。すなわち、型形状を測定し、その型によってプレス成形されるレンズの波面収差を予測しながら、その波面収差を最小とすべく、最適の型間距離を算出し、型間を修正すればよい。
【0029】
この方法は、量産用に既に実績のある成形型を追加する場合などに有効である。ガラスと型の収縮挙動が予め把握されているから、実際に暫定レンズをプレス成形しなくても、成形型の型間距離(結果的に、レンズ厚)を調整するだけで、波面収差を小さくすることができる。
更に、量産用に複数作製した成形型のうち、第1面(R1面)、第2面(R2面)の各金型の形状を測定することにより、複数型の中から波面収差を最小にする最適な金型の組み合わせを計算できて、金型の歩留まりを向上させることもできる。
【0030】
次いで、本発明の第1の態様の製造方法と同様に、
(7’)前記暫定成形型の型間距離を補正し、ガラス素材をプレス成形して、
(8’)それにより、前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得る。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明を適用してプレス成形により製造できる光ディスク用ピックアップレンズとその光路図を示す。球面収差の許容値は、0.04λrms以内であるが、設計値上のレンズの球面収差はゼロである。
【0032】
光学設計ソフト(CODE V等)により、このレンズの設計データのうち、レンズ厚の変化によるレンズ波面収差の変化を図2に示す。
ここで、
WFE:波面収差総合値、
SA3:3次の球面収差、
SA5:5次の球面収差、
SA7:7次の球面収差、
SA9:9次の球面収差。
単位は、λrms。
図2より、波面収差総合値とレンズ厚との関係では、3次の球面収差が支配的であることが分かる。また、このレンズでは、
【数1】
SA3/Δt=−0.01λrms/μm
であることがわかる。
【0033】
一方、本レンズのレンズ設計値を基に、成形型の形状(第1面、第2面)を決定し、型加工を行なって暫定成形型を作製した。この暫定成形型を用いて、実際に加熱軟化したガラス素材をプレス成形して暫定ガラスレンズを得た。
上記プレス成形で使用した成形型は、CVD法により作製したSiCからなる上下型の成形面にカーボンの離型膜を設けたものである。ガラス素材としては、HOYA株式会社製M−NBFD82を球形に予備成形したプリフォームを使用した。プレス成形に際しては、プレス温度645℃、プレス圧力140kg/cmとし、60℃/minで冷却した。
【0034】
得られた暫定レンズの光学性能を、波面収差測定装置(Zygo社製)により、測定し、図3に示す。ここで、WFE=0.121λrms、SA3=−0.114λrmsであった。WFEが許容範囲である0.04λrmsを超えていた。ここでは、アス、コマといった非対称収差は補正されており、WFEは、実質的に球面収差と同等に考えられる。すなわち、レンズ設計時に予測できず、考慮していなかった要因により、成形されたレンズの形状や屈折率などのいずれかが設計値と異なっていることがわかる。そこで、レンズ厚補正によって球面収差をゼロに近づけるために型間距離の補正値を以下に求めた。
【0035】
レンズ厚補正量は3次の球面収差のズレ量を用い、
Δt=−0.114/0.01=−11.4μmと求めることができる。
【0036】
そこで、レンズ厚を−11.4μmだけ変化させるために、成形型(型間距離)を修正した。すなわち、レンズ厚を支配する、成形型の型間距離(上型と下型が、胴型に当接することにより、型間が最も近づく)を変更するために、胴型の高さを11.4μm削った。そして、型間距離を修正した成形型により、同じガラス素材を、型間距離以外の条件を同一にし、プレス成形してガラスレンズを得た。
【0037】
得られたレンズの波面収差データを図4に示す。
WFE=0.034λrms、SA3=−0.003λrmsであった。
型間距離の修正によってSA3が補正された結果、金型全体を加工し直すことなく、WFEが、0.04λrms以下と許容値範囲内のレンズが得られた。
【0038】
上記の例では、レンズ厚との関係で、支配的であった3次の波面収差にもとづいて、レンズ厚調整を行なったが、Zygo等の測定波面収差データを光学設計ソフト(CodeV等)に取り込んでレンズ厚補正計算を行うこともできる。この場合、SA5以上の高次の球面収差を考慮することが容易に可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、所望の光学性能、特に球面収差を有するレンズを得る際、設計値に基づいて作製した成形型を用いてプレス成形した暫定レンズの球面収差が所定範囲以下でない場合でも、型の加工を一からやり直すことなく、所望の球面収差を有するレンズが得られる。
本発明は、特に、レンズの第1面又は第2面の傾き角が大きい(例えば、40°以上)場合に、特に有効である。本発明の製造方法は、第1面又は第2面に非球面をもつ、レーザー光学系のレンズ(例えば光ディスク用ピックアップレンズ)、特に単レンズの製造に、有効である。
波面収差測定装置により波面収差(球面収差を含む)を求めることができ、この値をもとに、成形型の型距離を補正することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してプレス成形により製造できる光ディスク用ピックアップレンズとその光路図を示す。
【図2】レンズ厚の変化によるレンズ波面収差の変化。
【図3】波面収差測定装置により測定した暫定レンズの光学性能。
【図4】波面収差測定装置により測定した型設計値を修正した成形型で成形したレンズの光学性能。

Claims (12)

  1. 第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いて成形素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法において、
    レンズ設計値を決定し、
    このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(以下、型間距離という)を含む、型設計値を決定し、
    この型設計値に従って暫定成形型を作製し、
    作製した暫定成形型を用いて加熱軟化した成形素材をプレス成形して暫定レンズを得、
    得られた暫定レンズの球面収差値を測定し、
    暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求め、
    前記暫定成形型の型間距離を補正して、成形素材をプレス成形して、
    前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得ることを特徴とするレンズの製造方法。
  2. レンズ設計値は、レンズが所望の光学性能を有するように設定されている請求項1に記載の製造方法。
  3. 型設計値の型間距離の補正は、得られた暫定レンズの球面収差値の所定値からのズレ量に基づいてレンズ設計値のレンズ厚を補正し、更に補正されたレンズ厚にもとづき、型設計値の型間距離を補正することを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. レンズ設計値は、成形素材の屈折率、レンズの第1面の形状、第2面の形状、及びレンズ厚を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. レンズ設計値の成形素材の屈折率が、該ガラスの所定の冷却速度における屈折率であり、かつ
    暫定レンズを得るために行うプレス成形後のプレス成形品の冷却が、前記所定の冷却速度と異なる冷却速度で行われ、
    その結果、暫定レンズの球面収差測定値が前記所定範囲を超える請求項4に記載の製造方法。
  6. 得られた暫定レンズの第1面又は第2面の形状が、前記レンズ設計値の第1面又は第2面の形状と異なり、その結果、暫定レンズの球面収差測定値が所定範囲を超える請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 第1の成形面を有する型及び第2の成形面を有する型を含む成形型を用いて成形素材をプレス成形して、所定範囲の球面収差を有するレンズを製造する方法において、
    レンズ設計値を決定し、
    このレンズ設計値を基に、前記第1の成形面の形状、第2の成形面の形状、第1の成形面及び第2の成形面の間の距離(以下、型間距離という)を含む、型設計値を決定し、
    この型設計値に従って暫定成形型を作製し、
    得られた成形型の第1の成形面及び第2の成形面の形状を測定し、
    測定した成形面の形状から、それによって成形されるレンズの球面収差値を予測し、
    球面収差の予測値が上記所定範囲を超える場合、前記型間距離の補正値を求め、前記暫定成形型の型間距離を補正し、成形素材をプレス成形して、
    前記所定範囲内の球面収差を有するレンズを得ることを特徴とするレンズの製造方法。
  8. レンズ設計値は、成形素材の屈折率、レンズの第1面の形状、第2面の形状、及びレンズ厚を含む請求項7に記載の製造方法。
  9. 型設計値の決定は、レンズ設計値を基に、ガラスの熱膨張係数を加味して行なう請求項7または8に記載の製造方法。
  10. レンズが、光ディスク用ピックアップレンズである請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 波面収差の所定範囲が0.04λ rms以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法により製造されたレンズを備える光ピックアップ。
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