JP4939384B2 - 成形品の製造方法および成形型の製造方法 - Google Patents
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[1]成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
前記成形型として、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定された成形面形状を有する成形型を使用し、かつ前記離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量は、離間距離に比例する値であることを特徴とする成形品の製造方法。
[2]複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定する[1]に記載の成形品の製造方法。
[3]成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
前記成形型として、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定された成形面形状を有する成形型を使用し、
複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定することを特徴とする成形品の製造方法。
[4]成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形法に使用される成形型の製造方法であって、
前記成形面形状を、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定し、かつ前記離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量は、離間距離に比例する値であることを特徴とする成形型の製造方法。
[5]複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定する[4]に記載の成形型の製造方法。
[6]成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形法に使用される成形型の製造方法であって、
前記成形面形状を、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定し、
複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定することを特徴とする成形型の製造方法。
通常、熱垂下成形法では、被成形ガラス素材を、ガラス素材下面中央部と成形型成形面が離間した状態となるように成形型上に配置した状態(図1(a))で加熱処理を施す。これにより、被成形ガラス素材の下面は自重により変形し成形型成形面と密着し(図1(b))、成形型成形面形状がガラス素材上面に転写され、その結果、ガラス素材上面を所望形状に成形することができる。
ガラス素材下面と成形型成形面との離間距離を決定する→関係式から「離間距離に依存しない変形量」と「離間距離に依存する変形量」の和として予測総変形量を算出する→算出された予測変形量から定まる予測上面形状が所望形状であれば、決定した離間距離でガラス素材を配置できる形状に成形型の成形面を補正する。
所望形状の成形品を得ることができる変形量(所望変形量)を決定する→所望変形量を関係式に代入することにより離間距離を算出する→算出された離間距離でガラス素材を配置できる形状に成形型の成形面を補正する。
所望形状の成形品を得ることができる変形量(所望変形量)を決定する→ガラス素材と成形型をそれぞれ選択する→選択したガラス素材を選択した成形型上に配置した場合のガラス素材下面と成形型成形面との離間距離を求める→測定された離間距離を関係式に代入することにより予測総変形量を算出する→算出された予測総変形量と所望変形量との差分から関係式により離間距離不足分を算出する→算出された離間距離不足分の補正を成形型の成形面に加える。
(工程1)テスト成形1
離間距離がゼロとなるような成形面形状を有する成形型上に試験用ガラス素材を配置し、実成形で使用する加熱条件と同条件で加熱処理を行う。次いで、加熱処理により発生する変形量を測定する。「変形量」とは、例えば、加熱処理前と加熱処理後における、幾何中心を基準としたサジタルハイト(中心を基準とする鉛直方向高さ)の差分として表すことができる。上記変形量は、例えばタリサーフ(接触式2次元形状測定装置)により測定することができる。
(工程2)テスト成形2
成形型成形面と試験用ガラス素材下面中央部が所定距離をもって離間するような成形面形状を有する成形型上に試験用ガラス素材を配置し変形量を求める工程を、使用する成形型を変えることにより離間距離を変化させて繰り返す。
(工程3)離間距離に依存する変形量算出のための係数決定
下記式1’に前記テスト成形1、2の数値を代入して係数kを求める。
テスト成形2において測定された変形量=テスト成形1において測定された変形量+各測定点における離間距離×k(kは実験的に求められる定数)・・・(式1’)
(工程4)関係式(補正関数)の決定
工程3で求めた係数kを用いて、実成形に使用する成形型成形面形状決定のための関係式(補正関数)を得ることができる。
総変形量=テスト成形1において測定された変形量+成形型成形面とガラス素材下面との離間距離×k・・・(式1”)
例えば、上記式1”の総変形量に所望の変形量を代入することより、所望形状を得るための離間距離を決定することができる。また、離間距離を決定すれば総変形量(予測総変形量)を算出することができる。
(工程5)成形型成形面形状補正
被成形ガラス素材形状と工程4で求めた離間距離や予測総変形量から成形面形状が決定できる。決定された成形面形状となるように成形型成形面に形状補正を加える。
(工程6)実成形
被成形ガラス素材を工程5で形状補正を加えた成形型成形面上に配置し加熱処理を施す。工程4で求めた式1”から求められる予測変形量と同一または近似する変形量での変形が発生することにより、被成形ガラス素材の上面を所望形状に成形することができる。
上記工程により、例えば4〜5種類程度、更には10〜30種類程度、または更に多種の異なる面形状を有する成型品を同一形状のブランクスから製造することができる。
以下に、上記各工程を更に詳細に説明するが、本発明は下記態様に限定されるものではない。
前述の通り、成形型成形面上に離間状態で配置されたガラス素材の加熱による変形量は、「離間距離に依存しない変形量」と「離間距離に依存する変形量」との2成分を含み、例えば、
離間距離に依存しない変形量CA+離間距離に依存する変形量CB・・・(式a)
として表すことができる。テスト成形1は、離間距離に依存しない変形量CAを求めるための工程であり、離間距離がゼロとなるような成形面形状を有する成形型上に試験用ガラス素材を嵌合配置し、実成形で使用する加熱条件と同条件で加熱処理を行い離間距離ゼロでの変形量を測定する。ガラス素材を、ガラス素材下面と一致または略一致する形状を有する成形面上にガラス素材を配置することによりガラス素材下面と成形面を嵌合させることができる。
工程2は、離間距離に依存する変形量CBを求めるための工程であり、テスト成形1で使用したガラス素材と同一組成かつ同一形状の新たな試験用ガラス素材を、ガラス素材下面が成形型成形面と離間した状態になるように成形型上に配置し、工程1と同条件下で加熱処理を施す。成形型成形面の加工曲率半径を変化させることにより離間距離を変えることができる。離間距離は、ガラス素材下面の幾何中心から成形型成形面までの鉛直方向距離として、例えば0.2mm、0.5mm、1.0mmと3通り設定することができるが、設定する離間距離および設定数は良好な成形精度が得られる範囲で適宜変更することができる。ガラス素材下面における離間距離は、測定位置において異なり、例えば図1に示すように、上面が凹面、下面が凸面のガラス素材を、凹面形状を有する成形型成形面上に配置する場合、中心部から周縁部に向かって離間距離は小さくなる。例えば幾何中心から0.1mm〜4mmピッチ程度、例えば2mmピッチ程度でガラス素材下面の複数点において離間距離と加熱後の変形量を測定することが好ましい。このように複数点で測定を行い得られたデータを平均化し離間距離と変形量との相関を求めることにより、信頼性の高い補正関数を得ることができる。具体的には、例えば図2に示すようにガラス素材と成形型のノッチ部分を合わせてガラス素材を配置し、ノッチ方向を基準の0°方向とし、0°方向に直交する方向を90°方向として、それぞれの方向において測定することができる。前述の工程1における変形量測定も、同様の理由から複数点で行うことが好ましい。なお、連続式電気炉を使用し加熱処理を行う場合、上記0°方向または90°方向のいずれか一方を炉内での進行方向とすることが好ましい。連続式電気炉内には温度分布があり、一般に進行方向では温度変化があり進行方向に直交する方向における温度変化は少ない。2方向での測定値を平均化することにより、温度分布による影響を低減し信頼性の高いデータを得ることができる。
上記の通り、離間状態における変形量は、離間距離に依存しない変形量CAと離間距離に依存する変形量CBの和として表すことができ、更にCBは離間距離tに比例する値として表すことができる。そこで離間距離に基づき実成形における被成形ガラス素材の総変形量を予測するための関係式としては、下記式1を用いることができる。
総変形量=CA+CB=CA+(t×k)・・・(式1)
上記kは実験的に求められる係数である。工程3では、下記式1’に前記テスト成形1、2において得た測定値を代入して係数kを求める。kは、ガラス素材等により変化するが、例えば図3および図4に示す態様では1.013〜1.225程度となる。D1613について、k=1.1196であった。
テスト成形2において測定された変形量=テスト成形1において測定された変形量(離間距離ゼロでの変形量)+各測定点における離間距離×k・・・(式1’)
工程3で求めたkを使用することにより、下記式1”により成形型成形面の補正関数を得ることができる。
総変形量(予測値または所望値)=テスト成形1において測定された変形量+成形型成形面とガラス素材下面との離間距離×k・・・(式1”)
上記式1”を使用し成形型成形面形状を決定する方法としては、前述の方法1〜3を用いることができる。なお、離間距離の測定または決定は、ガラス素材下面上の複数点について行うことが好ましい。例えば図1に示すように、幾何中心における離間距離n0から一定間隔(n1、n2、n3、…)で行うことができる。具体的には、ガラス素材下面の幾何中心から周縁部まで1〜3mm間隔で15〜20点程度行うことや、0.1〜4mm間隔で9〜400点程度行うことが好適である。
実成形で成形されるガラス素材の形状と工程4で求めた離間距離や予測総変形量から成形面形状を決定することができる。実成形で使用する成形型に対し、決定された成形面形状となるように成形型成形面に形状補正を加える。形状補正は研削、研磨等の公知の加工方法によって行うことができる。ただし、実成形用に選択した成形型が、工程4で決定された成形面形状を有する場合は補正を加えずそのまま実成形に使用することもできる。
工程6では、被成形ガラス素材を工程5で形状補正を加えた成形型成形面上に配置し加熱処理を施す。被成形ガラス素材が、工程4で設定した予測変形量と同一または近似する変形量で変形すれば、被成形ガラス素材の上面を所望形状に成形することができる。
離間距離に依存しない変形量=テスト成形(離間なし)における変形量×厚み変化比率CC・・・(式2)
(厚み変化比率CC=実成形に使用するガラス素材の厚み/試験用ガラス素材の厚み)
ここで厚み変形比率を求めるためのガラス素材厚みは、鉛直方向における厚みであってもよく、法線方向における厚みであってもよいが、鉛直方向または法線方向に等厚のガラス素材を使用する場合は該方向における厚みについて厚み変化比率を算出することが好ましい。
ここで、CD=[ [(テスト成形(離間)での上面変形量)−(テスト成形(離間なし)での上面変形量)]×実成形での下面幾何中心における離間距離+(テスト成形(離間なし)での上面変形量)]+実成形での下面幾何中心における離間距離
加熱条件および成形すべき成形品の面形状を決定した。保管されている成形型の中から使用する成形型を選択した。被成形ガラス素材として表1に示すD222を選択し、被成形ガラス素材の上面が所望の面形状に収束するまで選択した成形型の成形面形状に補正を加えながらテスト成形を繰り返した。テスト成形回数は4回であった。
図3および4に示す測定により得られたD1613について求めた定数k(k=1.1196)を使用し、被成形ガラス素材として表1に示すD222を選択し、前述の式2および式3を使用し成形面形状を決定した。D1613の法線方向における厚さは6.002mm、D222の法線方向における厚さは6.110mmであった。比較例で選択した成形型と同一面形状を有する成形型の成形面を、決定された成形面形状に補正した。
Claims (6)
- 成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
前記成形型として、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定された成形面形状を有する成形型を使用し、かつ前記離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量は、離間距離に比例する値であることを特徴とする成形品の製造方法。 - 複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定する請求項1に記載の成形品の製造方法。
- 成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形品の製造方法であって、
前記成形型として、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定された成形面形状を有する成形型を使用し、
複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定することを特徴とする成形品の製造方法。 - 成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形法に使用される成形型の製造方法であって、
前記成形面形状を、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定し、かつ前記離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量は、離間距離に比例する値であることを特徴とする成形型の製造方法。 - 複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定する請求項4に記載の成形型の製造方法。
- 成形型成形面上に被成形ガラス素材を、下面周縁部の少なくとも一部が成形面と接触し、かつ下面中央部が成形面と離間した状態になるように配置すること、および、
成形型成形面上に配置された被成形ガラス素材に加熱処理を施すことにより、前記被成形ガラス素材の上面を成形して成形品を得る成形法に使用される成形型の製造方法であって、
前記成形面形状を、被成形ガラス素材下面と成形面との離間距離に依存する被成形ガラス素材の予測変形量に基づき決定し、
複数の同一形状および同一組成の試験用ガラス素材を使用し、各試験用ガラス素材を、試験用成形型成形面上に配置した状態で前記加熱処理と同一加熱条件下でテスト加熱することを、試験用ガラス素材下面と試験用成形型成形面との離間距離を変化させて繰り返すテスト成形により、被成形ガラス素材の総変形量を予測するための式を導出することを含み、該導出される式を用いて成形型成形面の形状を決定することを特徴とする成形型の製造方法。
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