JP2004081899A - 燃焼排ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CO及び有害物質を含有する燃焼排ガスの処理方法において、該燃焼排ガスを、Na化合物を助触媒とする触媒系に接触させて前記COから炭素を析出させると共に、該析出炭素と燃焼排ガスを接触させて、前記有害物質を該析出炭素に吸着させることに要旨を有する燃焼排ガスの処理方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼排ガス中の有害物質の除去方法に関し、より詳細には燃焼排ガス中のCOから炭素を析出させ、該析出炭素によって燃焼排ガス中のダイオキシン類などの有害物質を吸着除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市廃棄物や産業廃棄物などの各種廃棄物の焼却処理、あるいは燃焼炉や溶融炉の如き各種工業設備を用いた燃焼処理においては、所謂ダイオキシン類(多塩素化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン,多塩素化ジベンゾフランなど)や、コプラナーPCBなどの有害物質が副次的に発生することがある。これら有害物質は極微量であっても環境や人体に有害であることから、大きな社会問題となっている。特にダイオキシン類は化学的に安定性で分解され難いため、土壌,河川,湖沼などに年々蓄積されおり、環境からのダイオキシン類の除去が急務となっている。そこで土壌や液体中のダイオキシン類を分解・除去する方法が各種提案されているが、ダイオキシン類の含有率は低いため、これらを効率よく除去することは難い。
【0003】
また近年、大気汚染防止法などによって燃焼排ガス中のダイオキシン濃度の規制が強化されるに及び、有害物質を削減するための技術も種々提案されている。例えば燃焼炉を連続運転したり、燃焼処理の処理条件の適正化を図ることによって、ダイオキシン発生量を抑制する技術や、燃焼排ガスから有害物質を除去する技術が提案されている。燃焼排ガスから有害物質を除去する技術としては例えば、燃焼排ガスに活性炭粉末を添加して有害物質を吸着除去する技術や、触媒や電子ビームなどを用いて有害物質を分解除去する技術が提案されている。
【0004】
上記の如く、燃焼排ガス中の有害物質を低減させる技術は多数提案されているが、例えばゴミ焼却炉などでは、処理量や被燃焼物も様々であるため、燃焼炉を連続運転したり、燃焼処理条件を適切に管理することが難しく、必ずしも有害物質の発生量を低減できるとは限らない。したがってこの様な場合は、分解促進用の触媒を用いたり、有害物吸着用の活性炭粉末を添加するなど、燃焼排ガスからの有害物除去対策を施し、有害物質の排出量を削減しなければならない。しかしながら燃焼排ガスに活性炭粉末を添加して有害物質を吸着除去する方法では、添加する活性炭粉末のコストが高いため、ランニングコストが高くなるという問題が生じていた。
【0005】
こうした活性炭粉末添加によるランニングコスト上昇の抑制対策として注目を集めている技術の一つに、特開平13−137658号に開示されている様な燃焼排ガス中のCOから炭素を析出させ、該析出炭素によって燃焼排ガス中の有害物質を除去する技術がある。この技術では触媒を用いてCOから炭素を析出させているが、炭素析出速度に改善の余地があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は燃焼排ガス中のCOからの炭素析出効率を飛躍的に向上させることによって、炭素析出装置を小型化すると共に、ランニングコストを更に低減することのできる技術を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の方法とは、CO及び有害物質を含有する燃焼排ガスの処理方法において、該燃焼排ガスを、主触媒にNa化合物を助触媒として共存させた触媒系に接触させて前記COから炭素を析出させると共に、該析出炭素と燃焼排ガスを接触させて、前記有害物質を該析出炭素に吸着させることに要旨を有する燃焼排ガスの処理方法である。
【0008】
本発明では燃焼排ガスの一部を分岐させて炭素を析出せしめ、この炭素を他の燃焼排ガスに合流させることによって燃焼排ガスの処理を行なうことも望ましい。
【0009】
本発明の方法は有害物質であるダイオキシン類の除去に極めて効果的である。
【0010】
本発明の方法を実施するにあたっては主触媒が鉄、コバルト、ニッケルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であることが望ましく、上記主触媒が粉末状、粒子状、或いは板状であることが好ましい。
【0011】
また上記Na化合物が無機Na化合物の少なくとも1種であることが推奨され、特にNaCl、Na2CO3、Na2O、NaOHよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるとより優れた効果を発揮する。
【0012】
更に上記析出炭素が繊維状であることも望ましい。
【0013】
本発明の方法を実施するにあたっては、上記有害物質を吸着した析出炭素を燃焼排ガスから分離させることも推奨される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは前述した如く燃焼排ガス中のCOを還元して炭素を析出せしめ、該析出炭素に同排ガス中の有害物質を吸着させて除去する従来技術の更なる改善を期して炭素析出効率の向上に主眼をおいて鋭意研究を重ねてきた。その結果、主触媒にNa化合物を助触媒として共存させた触媒系を使用すれば、飛躍的に燃焼排ガス中のCOからの炭素析出効率が向上することを見出し本発明に至った。
【0015】
即ち、本発明では、CO及び有害物質を含有する燃焼排ガスを処理する際に、該燃焼排ガスを、主触媒にNa化合物を助触媒として共存させた触媒系に接触させて前記COから炭素を析出させる。この処理を採用すれば、燃焼排ガス中のCOからの炭素の析出反応の効率を飛躍的に高めることができ、ひいては排ガス中の有害物質の除去効率も向上できる。また燃焼排ガス中のCOからの炭素析出効率を飛躍的に向上させることによって、炭素析出装置を小型化すると共に、ランニングコストを低減できる。
【0016】
本発明において上記析出炭素によって吸着除去される「有害物質」とは、「大気汚染防止法」や「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などの各種法律によって規制対象とされている化学物質や、PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register)によって指定されている化学物質(「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」)をいい、本発明では、これらの中でも特にダイオキシン類やコプラナーPCB、更にはクロロベンゼン、クロロフェノールなどのダイオキシン前駆体などの含塩素系有機化合物、或いは水銀などの如くガス状或いは微粒子状で存在する重金属類等、炭素の吸着力によって吸着される有害物質をいう。
【0017】
本発明は、上記の様な有害物質とCOを含む燃焼排ガスであればその成分組成などは特に限定されない。したがって本発明の方法は、有害物質とCOを含む燃焼排ガスが発生する施設であれば、例えばごみ焼却施設、化学工場施設、発電施設等の様に、熱分解、燃焼、溶融反応などが単独で、あるいはそれらが適宜組み合わせて実施される全ての施設に適用できる。
【0018】
燃焼排ガスが発生する設備のより具体的な例としては、例えば火格子式炉、流動層炉、箱型炉、回転炉床炉(RHF)を含む回転炉、シャフト炉、多段炉、揺動炉、ガス化溶融炉、ストーカ炉、燃焼炉、加熱炉など各種燃焼設備・焼却設備が挙げられる。
【0019】
本発明では、燃焼排ガス中のCOから炭素を析出させ、この炭素(以下、「析出炭素」という)を利用して燃焼排ガス中の有害物質を吸着除去することによって、燃焼排ガスの浄化度を高める。有害物質を効率的に除去するには、吸着性能に優れた性状の炭素を析出させることが好ましく、したがって析出炭素としては、粉状や塊状などよりも、繊維状であることが望ましい。ここで繊維状とは、所謂カーボンナノファイバー(carbon nanofiber)をいい、例えば繊維径が10〜数100nm程度であって、長さが数μm程度であるものをいう。繊維状炭素の炭素網面構造や組織等は特に限定されず、例えば炭素網面の繊維軸に対する配向が垂直(platelet型)、傾斜(herring−bone型)、平行(ribbon型)のいずれであってもよい。
【0020】
ところで、燃焼排ガス中のCOから炭素析出反応には一般的に次の2つが知られている。
CO+H2=C+H2O・・・▲1▼
2CO=C+CO2・・・▲2▼
これらいずれの反応によってもCOから炭素が析出するが、▲1▼の析出反応主体のときは繊維状炭素の析出量が多く、▲2▼の析出反応主体のときは粉状或いは塊状の炭素の析出量が多くなる。本発明では上記の如く析出炭素の吸着性能を向上させるうえで、繊維状炭素が好適であるので、上記▲1▼の析出反応が主体となる条件を採用することが望ましい。
【0021】
炭素析出反応を効率よく進めるには、燃焼排ガスを触媒に接触させることが望ましく、触媒としては上記炭素析出反応を促進するものであれば特に制限されないが、特に好ましいのは鉄、コバルト、ニッケルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0022】
そして本発明者らは、これらの触媒を用いた炭素析出反応の効率を一段と向上させるべく、鋭意研究を進めてきた。その結果、鉄、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の触媒に、特定の助触媒を共存させると、前記炭素析出反応▲1▼の反応速度が著しく高められることを見出した。用いる助触媒として好ましいのはNa化合物系助触媒であり、中でも無機Na化合物である。より具体的にはNaCl、Na2CO3、Na2O、NaOHよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、これらの中でも特に好ましいのはNa2CO3、Na2O、NaOHである。これら主触媒にNa化合物を助触媒として共存させた触媒系を使用すると、燃焼排ガス中のCOからの炭素析出反応が促進される。その結果、炭素を析出させる装置内での燃焼排ガスの滞留時間を短縮することができ、ひいては該装置の小型化が可能となる。
【0023】
Na化合物系助触媒は触媒に共存しておればよいので、塗布、噴霧、浸漬など公知の方法を用いて触媒に助触媒を共存させればよい。例えば触媒に助触媒を噴霧し、乾燥させたものを用いてもよい。助触媒の触媒における共存量については特に限定されないが、助触媒の効果を十分に発揮させるには2.5×10−6mol/cm2〜2.5×10−3mol/cm2共存せしめることが好ましく、より好ましくは2.5×10−5mol/cm2〜2.5×10−4mol/cm2である。
【0024】
触媒の形状にも格別の制限はなく、燃焼排ガスと効率よく接触して炭素析出反応を促進せしめ得る形状であればよいが、一般的には粉末状、粒子状、或いは板状のものが挙げられる。板状の主触媒は、直列或いは並列に並べたものでもよい。尚、触媒の表面積はガス流量やガス組成を考慮して決定すればよい。
【0025】
以下、本発明の方法を図1、図2に例示するプロセスに基づいて説明するが、本発明は前述した基本的な方法や作用効果を阻害しない範囲でプロセスに適宜変更を加えることができ、本発明の方法の適用は図1、図2に例示するプロセスに限定されるものではない。
【0026】
図1は家庭用ごみなどの一般廃棄物を焼却処理する際に排出される燃焼排ガスの処理工程を例示する概略説明図である。可燃性廃棄物を焼却設備1で燃焼すると、高温の燃焼排ガスが排出される。焼却設備1から排出された高温の燃焼排ガスはライン2から排出され、その一部はライン2aを通して冷却装置3へ送られ、残部はライン2bを通して任意の処理設備5へ送られる。この際、高温燃焼排ガスの一部または全部を任意の処理装置5へ送給してもよい。処理装置5として例えば熱交換器やボイラーなどの熱回収手段へ供給すると、熱回収手段で得られる熱エネルギーを発電設備や温水供給設備などの各種熱利用設備で利用できるので望ましい。また例えばライン2,ライン2aおよび/またはライン2bに任意の熱回収手段(図示しない)を介在させてもよい。燃焼排ガスの一部を分岐させたライン2aの燃焼排ガスに飛灰等の固形物が含まれている場合は、任意の位置にバグフィルターなどの固−気分離手段を設置して、固形物を除去してもよい。
【0027】
ライン2aへ送られる燃焼排ガスの量的比率は特に限定されず、燃焼排ガス中のCO濃度やダイオキシン等の炭素被吸着物の濃度等を考慮し、炭素析出装置4で必要量の炭素を析出せしめ得る様に適宜送給量を調整すればよい。
【0028】
冷却装置3では、高温燃焼排ガスを少なくとも炭素析出反応に適した温度にまで冷却することが好ましく、特に上記炭素析出反応▲1▼が主体となって炭素が析出する温度に冷却することが望ましい。例えば冷却温度としては、200〜600℃程度となる様に高温燃焼排ガスを冷却することが望ましい。
【0029】
冷却装置3で所望の温度に冷却された燃焼排ガスはライン2dを通して炭素析出装置4へ送られる。炭素析出装置4では、上記の如く燃焼排ガス中のCOを原料として炭素の析出が行なわれる。したがって該炭素析出装置4内には、炭素析出反応を加速させるべく、上記Na化合物を助触媒とする触媒が装入される。この触媒は、燃焼排ガスと接触し得るように装置内に存在していればよい。例えば粉末状、および/または粒子状の触媒を用いる場合、図示しないラインを通して炭素析出装置4へ該触媒を供給し、燃焼排ガスと触媒が適宜接触する様に攪拌してもよい。また例えば板状の触媒を用いる場合は、装置4内の板状触媒に燃焼排ガスを接触させればよい。尚、触媒の使用形態は上記例示に限られず、炭素析出装置4内で燃焼排ガスと触媒の接触が可能となるように適宜設計を変更すればよい。
【0030】
このときの反応条件は特に限定されず、炭素をより効率よく析出させる条件は燃焼排ガスの組成及び炭素析出装置4内での燃焼排ガスの滞留時間等に応じて決定すればよい。
【0031】
触媒表面に析出した炭素は、任意の方法で触媒表面から分離させ、該炭素を用いて後述する様に有害物質の吸着に用いてもよく、あるいは触媒上に付着・成長している炭素をそのままの状態で有害物質の吸着に用いてもよい。例えば粉末状や粒子状の触媒を用いた場合は、装置内で気流攪拌させることにより触媒同士を衝突させて表面に付着した炭素を分離してから有害物質の吸着に用いてもよいし、触媒に炭素が付着したままの状態で有害物質の吸着に用いてもよい。また板状触媒を用いた場合は、該板に析出した炭素を任意の剥離手段で触媒から剥離して分離すればよい。
【0032】
炭素析出装置4で得られた析出炭素の一部又は全部を任意の場所へ送給して燃焼排ガスと混合させ、該燃焼排ガス中の有害物質を吸着させればよい。例えば、炭素析出装置4で析出させた析出炭素(触媒から分離したもの、或いは触媒に付着した状態のものいずれであってもよい)を燃焼排ガスから任意の手段で分離し、析出炭素をライン2gを流れる燃焼排ガスへ供給すると共に、析出炭素分離後の燃焼排ガスをライン2bを流れる燃焼排ガスに合流させてもよい。また例えば処理装置5や冷却装置6に直接供給したり、ライン2b、ライン2cなど任意の位置から供給することもできる。また析出炭素と燃焼排ガスを分離せずに所望位置へ供給することも可能であり、装置4から排出される析出炭素及び燃焼排ガスの取り扱いについては一切限定されない。図示例では析出炭素は燃焼排ガスと共にライン2eを通してライン2bに分流させてから2次燃焼炉5へ供給し、燃焼排ガス中のCOなどの可燃成分を2次燃焼させている。
【0033】
尚、2次燃焼炉5は他の任意の設備と併設してもよく、例えば飛灰溶融装置を組合わせてもよい。燃焼排ガスにCOなどの可燃成分が残存している場合、大気中に放出されるCO濃度が高くなるので、燃焼排ガスを2次燃焼炉へ供給して再燃焼することが望ましい。2次燃焼炉で燃焼排ガスを再燃焼することによって、CO濃度を低減できる。2次燃焼炉内の温度は少なくともCO等の可燃成分を燃焼できる温度以上であればよく、不完全燃焼を抑止するには好ましくは800℃以上、より好ましくは850℃以上、更に好ましくは900℃以上とすることが推奨される。尚、析出炭素を燃焼排ガスと共に2次燃焼炉5へ送給する場合、燃焼温度を高くし過ぎると析出炭素が燃焼されていまい、有害物質の吸着が十分できなくなることがある。2次燃焼炉へ供給する空気量は特に限定されず、適宜調節すればよいが、供給する空気は図示しない予熱器等の加熱手段によって高温空気としてから2次燃焼炉へ供給すると、2次燃焼を一段と安定化できるので望ましい。
【0034】
処理装置5から排出された燃焼排ガスは、ライン2cを通して冷却装置6へ供給される。次いで図示する様に燃焼排ガスをバグフィルターなどの集塵装置7に導入する場合、フィルターの熱劣化を抑止する観点から冷却することが望ましいが、目的に応じて所望の温度まで冷却すればよい。尚、ダイオキシン類は300℃前後の温度域で生成しやすいので、冷却装置6へ送給される燃焼排ガスを200℃以下まで急冷することが望ましい。
【0035】
本発明で採用する冷却装置3、冷却装置6としては、燃焼排ガスを少なくとも所望の温度に冷却できる装置であればよい。冷却方式として例えば、スプレー冷却方式(ノズルから水を滴状またはミスト状に噴射し、水の蒸発潜熱を利用して燃焼排ガスを冷却する方式)や多管式冷却方式(複数の冷却用パイプを並列的に接続し、パイプ内を流通する燃焼排ガスとパイプ外を流通する冷媒との熱交換によって燃焼排ガスを冷却する方式)等が挙げられるが、勿論これらに制限されない。冷却速度は特に限定されないが、200℃以下に冷却する場合、冷却過程でのダイオキシン類の発生を抑制するために、スプレー冷却方式を採用することが推奨される。またスプレー冷却方式の場合、冷却水は蒸発型、循環型のいずれであってもよいが、蒸発型は廃水処理が不要であるので望ましい。
【0036】
冷却された燃焼排ガスはライン2gを通して集塵装置7へ供給される。ライン2gを流れる燃焼排ガスには析出炭素が存在しているので、ダイオキシンなどの有害物質は該析出炭素に吸着される。尚、析出炭素と共に、或いは個別に、必要に応じて任意の添加剤を燃焼排ガスへ混入させてもよい。例えば燃焼排ガスが酸性ガスである場合、その中和を目的として消石灰を供給してもよく、また必要であれば活性炭を追加投入してもよい。
【0037】
集塵装置7では、析出炭素、飛灰などの粉塵や析出炭素に吸着されなかった粒子状の有害物質などの固体成分が燃焼排ガスから分離除去される。集塵装置としては燃焼排ガス中の析出炭素や粉塵等の固形物を分離できるものであればよく、例えば超音波集塵装置、バグフィルター、湿式集塵装置など任意の集塵装置を単独で、或いは組み合わせて用いればよい。これらの中でも炭素とガスの接触に効果のあるバグフィルターを用いることが望ましい。尚、バグフィルターの具体的な構造は特に限定されず、被処理物の濃度、性質、水分や燃焼排ガスの種類、性質、温度などの要因を考慮して適宜決定すればよい。
【0038】
集塵装置7から排出された燃焼排ガスは、ライン2hから煙突8を通して大気中に放出される。尚、ライン2hおよび/または煙突8の任意の位置に他の燃焼排ガス処理装置を設けてもよい。例えば燃焼排ガス中のSOx、NOxなどの有害物質の低減・除去を目的として、脱硝触媒や脱臭触媒等を充填した触媒装置や活性炭を充填した吸着装置などを設置することも有効である。
【0039】
燃焼装置、冷却装置、集塵装置などの各工程で回収された飛灰などの粉塵は、適宜回収して任意の処理工程で処理すればよい。また特に図示しなかったが、必要に応じて空気送風器、空気予熱器、吸引送風器など必要に応じて設置してもよい。
【0040】
かくして本発明により処理されて大気に放出される燃焼排ガスは、ダイオキシン類などの有害物質を殆ど含まない浄化されたものとなり、大気汚染等の問題を引き起こす恐れはない。
【0041】
図2は、本発明を流動床式ガス化溶融炉を用いた廃棄物の処理に応用したフロー図である。勿論、流動床式以外の各種ガス燃焼式ガス化溶融炉(例えばシャフト炉式、キルン式など)やガス回収式ガス化溶融炉を用いた廃棄物の処理工程にも適用できる。尚、図1と同じ装置でよい場合には、図1と同じ番号を付している。
【0042】
ガス化炉11に導入された廃棄物は炉内で熱分解され、鉄や非鉄金属などの不燃物は図示しないラインを通して炉外へ排出されると共に、炉内で発生した燃焼排ガスはライン20から排出され、該燃焼排ガスの一部はライン20aを通して冷却装置3へ供給され、残部はライン20bを通して溶融炉12へ供給される。
【0043】
溶融炉12では燃焼排ガスと共に送られてくる飛灰などの熱分解残渣を溶融し、スラグとして図示しないラインを通して炉外に排出されると共に、燃焼排ガスはライン20fを通して処理装置(2次燃焼炉)5へ供給され、燃焼排ガスに残存するCOなどの可燃成分の燃焼が行なわれる。
【0044】
冷却装置3へ送給された燃焼排ガスは、先に説明した如く200〜600℃程度まで冷却された後、ライン20cを通して炭素析出装置4へ送られ、この部分で前記と同様の炭素析出が行なわれる。炭素析出方法については上述の如く適宜設定することができる。炭素析出装置4から排出される析出炭素を含む燃焼排ガスは、ライン20dを通して再燃炉へ供給され、COの燃焼が行なわれる。尚、図示しないが、ライン20aを流れる燃焼排ガス中の燃焼残渣を任意の手段で分離し、溶融炉へ供給してもよく、例えば冷却後、バグフィルター等で飛灰を分離除去し、溶融炉へ供給してもよい。
【0045】
再燃炉から排出される燃焼排ガスは冷却装置6へ導入されるが、図示する如くボイラ13などの熱回収手段を介在させて燃焼排ガスの熱を回収してもよい。冷却装置6へ供給された燃焼排ガスは上記の如く所望の温度まで急冷することが望ましい。冷却装置から排出された燃焼排ガスには析出炭素が存在しており、燃焼排ガス中の有害物質はこの析出炭素に吸着される。また燃焼排ガスは集塵装置7へ供給され、集塵装置によって燃焼排ガス中の析出炭素や微粒物等の固形物が分離・除去された後、燃焼排ガスはラインから煙突8を通して大気へ放出される。また上記した如く集塵装置7から排出された燃焼排ガスに任意の処理を施してもよい。
【0046】
【実施例】
表2に示すNa化合物を助触媒として主触媒に共存させた触媒系を用いた(尚、実験例1では助触媒を用いていない)。主触媒として電解鉄板(2cm×2cm×0.05cm:鉄純度99.99%)を用い、この鉄板に助触媒を塗布後、乾燥させてから該鉄板を縦型熱天秤炉の均熱帯に石英フックで吊り下げた。該鉄板をAr雰囲気中で昇温(400〜800℃の範囲)させてから、マスフローメーターにより制御した表1に示す所定組成の混合ガスを、主触媒に吹付け、電子天秤で触媒の重量変化を測定した。表1の実験条件下での結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示す様に、助触媒を用いない実験例1よりも助触媒を用いた実験例2〜5は、反応速度(炭素析出速度)が1.4〜2.1倍に向上している。
【0050】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、燃焼排ガス中のCOからの炭素析出効率を飛躍的に向上させることができるので、炭素析出装置の小型化、及び活性炭等の吸着材購入費の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般廃棄物の焼却処理の際に排出される燃焼排ガスの処理工程を例示する概略説明図である。
【図2】ガス化溶融炉を用いた燃焼排ガスの処理工程を例示する概略説明図である。
Claims (9)
- CO及び有害物質を含有する燃焼排ガスの処理方法において、該燃焼排ガスを、主触媒にNa化合物を助触媒として共存させた触媒系に接触させて前記COから炭素を析出させると共に、該析出炭素と燃焼排ガスを接触させて、前記有害物質を該析出炭素に吸着させることを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
- 燃焼排ガスの一部を分岐させて炭素を析出せしめ、この炭素を他の燃焼排ガスに合流させることによって行なう請求項1に記載の処理方法。
- 上記有害物質がダイオキシン類である請求項1または2に記載の処理方法。
- 上記主触媒が鉄、コバルト、ニッケルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法。
- 上記主触媒が粉末状、粒子状、或いは板状である請求項1〜4のいずれかに記載の処理方法。
- 上記Na化合物が無機Na化合物の少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の処理方法。
- 上記無機Na化合物が、NaCl、Na2CO3、Na2O、NaOHよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の処理方法。
- 上記析出炭素が繊維状である請求項1〜7のいずれかに記載の処理方法。
- 上記有害物質を吸着した析出炭素を燃焼排ガスから分離する請求項1〜8のいずれかに記載の処理方法。
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