JP2004080906A - 同期モータの推力脈動抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる同期モータの第1の推力脈動を、同期モータ10への電機子電流Iに高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺するようにする。これにより、同期モータ10の低騒音化や低振動化が図れるばかりか、同期モータ10の定速度運転や高度位置決め運転を容易なものとすることができる。また、たとえば空心構造の同期モータ10において速度起電力高調波が多く誘起される場合であっても、速度起電力高調波による推力脈動も確実に抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期モータの推力脈動抑制装置に係り、特に、同期モータの構造によって生じる推力脈動を打ち消すような高調波電流を電機子電流に重畳させることで速度起電力高調波による同期モータの推力脈動を抑制する同期モータの推力脈動抑制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周波数制御によって駆動される同期モータは、小型OA機器の駆動やFA機器の駆動、さらには超電導磁気浮上式鉄道の駆動方式への適用など幅広い分野で用いられている。また、適用分野に応じて、その構造も非常に小型なものから浮上式鉄道に見られるような大規模なものまで多数存在している。また、同期モータは回転機やリニアを問わず、速度制御が容易であったり、位置決め運転が比較的容易であったりするといった特長を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような同期モータを、周波数制御によって駆動する場合、駆動回路を構成する半導体素子のスイッチングに伴い、その出力に発生する高調波成分に起因して同期モータに推力脈動が生じてしまう。そのため一般に駆動回路においては、より正弦波に近い電機子電流が通電されるような制御が行われる。しかしながら、可動子の運動方向における界磁磁束空間分布に高調波が含まれる場合には、この界磁磁束が電機子コイルを横切ることによって誘起される速度起電力に高調波が含まれることになる。そして、界磁磁束空間高調波の振幅・ピッチと電機子コイル幅との関係により誘起される速度起電力高調波の振幅や位相が決まり、その速度起電力高調波の振幅や位相に応じて推力脈動が生じてしまう。この推力脈動は、騒音や振動といった障害を引き起こしてしまうばかりか、定速度運転や高度位置決め運転を困難なものにしてしまう。
【0004】
この場合、界磁磁束空間高調波の振幅・ピッチと電機子コイル幅との組合わせを考慮することで、特定の速度起電力高調波を消去することは可能であるが、特に、集中巻電機子配置の場合には、限られた次数の速度起電力高調波しか消去できないために、推力脈動の抑制が不十分なものとなってしまう。また、界磁磁束空間高調波の振幅・ピッチと電機子コイル幅との組合わせを考慮した電機子構造は、同じ界磁を利用する場合において、一般に出力が低下する電機子構造となる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、同期モータにおける推力脈動の抑制を十分に行うことができる同期モータの推力脈動抑制装置を提供することができるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の同期モータの推力脈動抑制装置は、同期モータの推力脈動を抑制する同期モータの推力脈動抑制装置であって、速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる前記同期モータの第1の推力脈動を、前記同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺する制御手段を備えることを特徴とする。
また、前記第1の推力脈動の周波数が電源周波数に対して6の倍数次数であるのに対し、前記第2の推力脈動の周波数を電源周波数に対して3の倍数次数とするようにすることができる。
また、前記電機子電流高調波は、6の倍数次数の前記第1の推力脈動を抑制する場合、奇数の次数の高調波であり、前記6の倍数次数の前記第1の推力脈動を含む3の倍数次数の推力脈動を抑制する場合、奇数及び/又は偶数の次数の高調波であるようにすることができる。
また、同期モータの推力脈動を抑制する同期モータの推力脈動抑制方法であって、速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる前記同期モータの第1の推力脈動を、前記同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺する工程を有するようにすることができる。
また、前記第1の推力脈動の周波数が電源周波数に対して6の倍数次数であるのに対し、前記第2の推力脈動の周波数を電源周波数に対して3の倍数次数となるように前記第2の推力脈動を生じさせる工程が含まれるようにすることができる。
また、前記電機子電流高調波は、前記6の倍数次数の前記第1の推力脈動を抑制する場合、奇数の次数の高調波であり、前記6の倍数次数の前記第1の推力脈動を含む3の倍数次数の推力脈動を抑制する場合、奇数及び/又は偶数の次数の高調波であるようにすることができる。
本発明に係る同期モータの推力脈動抑制装置においては、速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる同期モータの第1の推力脈動を、同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺するようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
図1は本発明の同期モータの推力脈動抑制装置の一実施の形態を示すブロック図、図2〜図10は、図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制方法を説明するための図である。
【0009】
図1に示す同期モータの推力脈動抑制装置は、加算器1a,1bと、電流制御回路2と、パルス幅変調回路3と、インバータ4と、電流/電圧検出器5と、高調波重畳回路6と、制御部7と、位置検出センサ8とを備えている。ここで、制御手段は、電流/電圧検出器5と、高調波重畳回路6と、制御部7とで構成されている。
【0010】
加算器1aは、外部より瞬時値として与えられる出力電流指令値I* と、電流/電圧検出器5により検出された電機子電流Iとを差し引いて、電流偏差Ierrを算出し、この電流偏差Ierrを電流制御回路2に与えるものである。加算器1bは、電流制御回路2からの出力電圧指令値e* に、高調波重畳回路6からの同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すような後述する高調波電圧指令値を加算するものである。電流制御回路2は、加算器1aからの電流偏差Ierr から出力電圧指令値e* を算出して出力するものである。パルス幅変調回路3は、加算器1bからの高調波を含んだ電圧指令値をパルス幅変調信号に変換して出力するものである。
【0011】
インバータ4は、同期モータ10を周波数制御駆動させるものであり、パルス幅変調回路3からのパルス幅変調信号に基づき、内部の各半導体素子がスイッチング動作を行う。このとき、インバータ4は、出力電圧eの3相交流電力を発生し、負荷である同期モータ10に出力電流指令値I* 及び制御部7によって算定される後述の高調波電流の和と同じ電流を与える。
【0012】
電流/電圧検出器5は、インバータ4の出力である電流及び電圧を検出する。高調波重畳回路6は、制御部7によって算定された高調波電圧指令値を発生するものである。この高調波電圧指令値は、同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すためものであるが、その詳細は後述する。なお、図1では、高調波重畳回路6を1個の場合で示しているが、発生させるべき高調波電流の次数に応じて複数設けるようにしてもよい。
【0013】
制御部7は、同期モータ10の推力脈動を抑制するために、高調波重畳回路6による高調波電流の発生動作を制御するものである。すなわち、推力脈動抑制に必要な高調波電流を算定した後、その高調波電流を得るための高調波電圧指令値の算定を行い、高調波重畳回路6に対してその算定した高調波電圧指令値を発生させるものである。位置検出センサ8は、同期モータ10の電機子又は界磁磁極の位置を検出するものである。
【0014】
ここで、同期モータ10は、たとえば図2(a),(b)に示すような空心リニア同期モータとしている。また、その同期モータ10は、集中巻で120度配置の矩形コイルを電機子とする構成となっている。なお、同期モータ10は、空心リニア同期モータに限らず、回転機のものであってもよいことは勿論である。
【0015】
次に、このような構成の同期モータの推力脈動抑制装置による推力脈動抑制方法について説明する。
【0016】
制御部7により、高調波重畳回路6による高調波電流の発生動作を制御する場合、電流/電圧検出器5からの電圧及び電流より算出される速度起電力Eと実効値で与えられる電流指令値Ia*とを用いて、同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すような高調波電流の発生制御が行われる。又は、電流/電圧検出器5からの電圧及び電流より速度起電力Eを得ることが困難である場合や速度起電力以外に起因する推力脈動が影響する場合は、高調波を含まない電圧を持つ交流電力を加えた場合に発生する同期モータ10の推力脈動を予め測定しておき、予め測定した同期モータ10の推力脈動の測定結果と位置検出センサ8からの検出結果と電流/電圧検出器5からの電流を用いて、同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すような高調波電流の発生制御が行われる。ちなみに、後者の方法においては、電圧情報が不要になることから、電流/電圧検出器5からは電流のみの情報が得られればよく、電流/電圧検出器5の代りに電流検出器を用いてもよい。なお、同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すような高調波電流の詳細については後述する。
【0017】
このとき、加算器1aは、外部より瞬時値として与えられる出力電流指令値I*と、電流/電圧検出器5により検出された電機子電流Iとを差し引いて、電流偏差Ierrを算出し、この電流偏差Ierrを電流制御回路2に与える。電流制御回路2は、与えられた電流偏差Ierrから出力電圧指令値e*を算出して出力する。またこのとき、加算器1bにより、出力電圧指令値e*に高調波重畳回路6からの同期モータ10の構造によって生じる推力脈動を打ち消すような高調波電流に応じた高調波電圧指令が加算され、この加算値がパルス幅変調回路3の電圧指令として与えられる。そして、パルス幅変調回路3により、高調波電流が加算された加算値がパルス幅変調信号に変換されると、インバータ4の各半導体素子がスイッチング動作を行う。そして、インバータ4により、出力電圧eの3相交流電力が発生され、負荷である同期モータ10に推力脈動を打ち消すように制御された電機子電流Iが与えられることで、同期モータ10が駆動する。このとき、同期モータ10での推力脈動は後述するように低減されたものとなる。
【0018】
次に、同期モータ10の推力脈動の低減につき、実験結果に基づいて説明する。
【0019】
まず、図2(a),(b)に示す同期モータ10にあっては、その電機子コイルをほぼ正方形とし、ポールピッチに対する電機子コイル中心間(ギャップ方向)の距離をたとえば1/11程度とした。なお、以下に説明する解析にはフーリエ級数を用いた解析的手法を用いており、導体断面積についても考慮している。
【0020】
ここで、同期モータ10のたとえばU相における速度起電力Eの波形(基本波振幅を1とする)と高調波含有率En *とを、図3及び図4に示す。なお、図3の波形は、基本波と高調波成分とが混在したものであり、図4は、図3の高調波成分を分析した結果である。同期モータ10の電機子配置では、速度起電力Eの波形が高調波の影響により正弦波波形に比べピーク値付近が増加しているため、図3のように若干三角波波形に近づいている。周波数分析の結果、図4に示すように、高調波含有率En *については3次調波と9次調波が突出していることが分かる。数値としては大きいものから順に3次が12%、9次が7.7%、11次が2.5%、7次が1.5%、5次が1.3%程度となっている。
【0021】
次に、同期モータ10における速度起電力Eと電機子電流Iとを同相で駆動した場合の推力波形Fx(時間平均値を1とする)とその脈動成分Fx,kの周波数の分析結果とを、図5及び図6に示す。
【0022】
ここで、推力脈動の次数kとは、電源周波数に対する推力脈動周波数の次数をいう。図6から、同期モータ10は電源周波数に対して12次の推力脈動が顕著に見られる。数値としては大きいものから順に12次が8.5%、18次が1.5%、6次が1.0%程度となっている。図4に示した速度起電力高調波においては、3次、9次、11次調波が突出していたのに対し、推力脈動は6の倍数の次数において観測されることが分かる。
【0023】
ここで、速度起電力高調波と推力脈動の関係について整理する。ある相の速度起電力Eph,lと電機子電流Iph,lについて、それぞれの高調波成分を考慮すると(1),(2)式で表現される。
【式1】
【0024】
ここで、n,mはそれぞれ速度起電力高調波の次数、電機子電流高調波の次数であり、En,Imはそれぞれ速度起電力高調波の振幅、電機子電流高調波の振幅を表す。また,N,Mはそれぞれの高調波の最高次数を表している。通常の電機子電流高調波を考慮しない場合においてはM=1である。また,ωは同期角速度である。αn,βmはそれぞれ速度起電力高調波、電機子電流高調波の位相を示しており、速度起電力基本波を位相基準にとるものとする。すなわち、α1=0である。推力Fxは3相出力P3phを速度vxで除したものであるので、これらの式より(3)式を得ることができる。
【0025】
【式2】
3相分の和をとると、(3)式中の推力脈動の周波数次数を表す部分のn−m,n+mが3の倍数のときにのみ脈動が現れ、それ以外では脈動は3相間で相殺されることが分かる。ここで、通常、速度起電力高調波の次数nは奇数であり、基本波電流の次数m=1も奇数であるため、n−1,n+1は偶数である。したがって、n−1,n+1が6の倍数のときに脈動を生じることになる。言い換えると、3相機においては6n±1次の速度起電力高調波から6n次の推力脈動が生じることになる。
【0026】
ここで、速度起電力高調波により発生する第1の推力脈動である推力脈動についてのまとめを、図7に示す。ただし、ここでは電機子電流Iについては基本波(m=1)のみを想定している。速度起電力高調波に起因する推力脈動の発生を表現した上記の(3)式は、速度起電力Eと電機子電流Iについて対称式を成している。よって、電機子電流Iに高調波が含有されていても同じメカニズムで推力脈動を生じることになる。これを積極的に利用することにより、速度起電力高調波による推力脈動を相殺することができる。ここで、電機子電流高調波による推力脈動振幅はEn・Imに比例するが、速度起電力高調波振幅Enの中では基本波E1が卓越しているため、E1・Imのみに着目しても差し支えない。
【0027】
ここで、電機子電流高調波により発生できる第2の推力脈動である推力脈動についてのまとめを、図8に示す。つまり、図7による推力脈動を図8による推力脈動で相殺することにより、推力脈動抑制を行うことができる。なお、図8では電機子電流Iの偶数次高調波についても記している。偶数次高調波により、速度起電力高調波に起因する推力脈動の次数とは異なる推力脈動も発生できることが分かる。つまり、奇数・偶数両方の電機子電流高調波を利用することで、3の倍数次数の推力脈動を発生させることができる。これを利用することで、速度起電力高調波以外に起因する推力脈動の抑制も考えられる。
【0028】
ここで,位相条件も考慮した脈動抑制法の詳細について説明する。
1)速度起電力高調波Ek+1によりk次の推力脈動を生じている場合、推力脈動は上記の(3)式より次の(4)式のように表現される。
【式3】
これに対し,高調波電流Ik+1を次の(5),(6)式の条件にて重畳することにより、同様な脈動を逆位相で発生し、元の脈動を抑制することができる。
【0029】
【式4】
【0030】
又は、電流Ik−1を次の(7),(8)式の条件にて重畳しても脈動を相殺することができる。
【式5】
【0031】
2)速度起電力高調波Ek−1によりk次の推力脈動を生じている場合、推力脈動は(3)式より次の(9)式のように表現される。
【式6】
【0032】
これに対し、高調波電流Ik+1を次の(10),(11)式の条件にて重畳すると、脈動を相殺できる。
【式7】
【0033】
又は、電流Ik−1を次の(12),(13)式の条件にて重畳しても脈動を相殺することができる。
【式8】
【0034】
上記の1),2)の何れの場合においても、高調波電流Ik+1とIk−1の2つの何れかを重畳することにより推力脈動を抑制することができるが、Ik+1とIk−1の相違は位相がπ(rad)異なることのみである(上式では振幅条件に−を付して表現した)。これはIk+1とIk−1とでは相回転が正逆反対であるためであると理解できる。あるIk+1で脈動抑制条件が成立するとき,同じ大きさのIk−1を逆極性で重畳しても脈動抑制条件が成立することを意味する。
【0035】
ここで、図5及び図6に見られる12次の推力脈動について、11次の高調波電流を重畳することにより抑制した場合の推力波形と周波数分析結果を図9及び図10にそれぞれ示す。これらの図から、12次の推力脈動が完全に抑制され、6次と18次の推力脈動が残留するのみである様子が分かる。ちなみに、図5及び図6に見られる12次の推力脈動は、図8から13次の高調波電流を重畳することでも抑制することができる。よって、図5及び図6に見られる12次の推力脈動を抑制する場合には、11次の高調波電流及び13次の高調波電流のうち何れか一方、もしくは両方を電機子電流Iに重畳させればよい。また、図10に示すように残留している6次と18次の推力脈動を抑制する場合には、図8から5次及び/又は7次の高調波電流と17次及び/又は19次の高調波電流とを電機子電流Iに重畳させればよい。
【0036】
このように、本実施の形態では、速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる同期モータの第1の推力脈動を、同期モータ10への電機子電流Iに高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺するようにしたので、同期モータ10における推力脈動の抑制を十分に行うことができる。その結果、同期モータ10の低騒音化や低振動化が図れるばかりか、同期モータ10の定速度運転や高度位置決め運転を容易なものとすることができる。また、たとえば空心構造の同期モータ10において界磁・電機子間が短い場合等に見られるように、電機子側に鎖交する界磁磁束空間分布に多くの高調波が含まれるとき、その分速度起電力高調波も多く誘起されることになるが、このような速度起電力高調波による推力脈動も確実に抑制することができる。
【0037】
また、速度起電力高調波による同期モータ10の推力脈動のモータ構造上の低減対策を講じることが不要となり、同期モータ10の簡素化や小型化を図ることができるばかりか、同期モータ10の構造設計を行うに際して、高出力に有利な設計を容易に行うことができる。また、推力脈動の低減により同期モータ10の長寿命化も図ることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、第1の推力脈動の周波数が電源周波数に対して6の倍数次数であるのに対し、第2の推力脈動の周波数が電源周波数に対して3の倍数次数となるようにその第2の推力脈動を生じさせることができるので、第1の推力脈動の抑制を確実に行うことができる。
【0039】
また、本実施の形態では、図8で示したように、奇数及び偶数の次数の電機子電流高調波を用いるようにしたので、速度起電力高調波以外に起因する同期モータ10の推力脈動の抑制も電源周波数に対して3の倍数次数において可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上の如く本発明に係る同期モータの推力脈動抑制装置によれば、速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる同期モータの第1の推力脈動を、同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺するようにしたので、同期モータにおける推力脈動の抑制を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同期モータの推力脈動抑制装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための空心リニア同期モータを示す図である。
【図3】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための波形であって、速度起電力の波形を示す図である。
【図4】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための速度起電力高調波含有率を示すものであって、図3の高調波成分を分析した結果を示す図である。
【図5】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための推力波形を示す図である。
【図6】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための推力脈動率を示す図である。
【図7】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための速度起電力高調波による推力脈動を示す図である。
【図8】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための電機子電流高調波による推力脈動を示す図である。
【図9】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための推力波形を示す図である。
【図10】図1の同期モータの推力脈動抑制装置における推力脈動抑制を説明するための推力脈動率を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b 加算器
2 電流制御回路
3 パルス幅変調回路
4 インバータ
5 電流/電圧検出器
6 高調波重畳回路
7 制御部
8 位置検出センサ
10 同期モータ
Claims (6)
- 同期モータの推力脈動を抑制する同期モータの推力脈動抑制装置であって、
速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる前記同期モータの第1の推力脈動を、前記同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺する制御手段を備えることを特徴とする同期モータの推力脈動抑制装置。 - 前記第1の推力脈動の周波数が電源周波数に対して6の倍数次数であるのに対し、前記第2の推力脈動の周波数を電源周波数に対して3の倍数次数とすることを特徴とする請求項1に記載の同期モータの推力脈動抑制装置。
- 前記電機子電流高調波は、6の倍数次数の前記第1の推力脈動を抑制する場合、奇数の次数の高調波であり、前記6の倍数次数の前記第1の推力脈動を含む3の倍数次数の推力脈動を抑制する場合、奇数及び/又は偶数の次数の高調波であることを特徴とする請求項1又は2に記載の同期モータの推力脈動抑制装置。
- 同期モータの推力脈動を抑制する同期モータの推力脈動抑制方法であって、
速度起電力高調波と電機子電流基本波とにより生じる前記同期モータの第1の推力脈動を、前記同期モータへの電機子電流に高調波電流を重畳させ速度起電力基本波と電機子電流高調波とにより生じさせた第2の推力脈動によって相殺する工程を有することを特徴とする同期モータの推力脈動抑制方法。 - 前記第1の推力脈動の周波数が電源周波数に対して6の倍数次数であるのに対し、前記第2の推力脈動の周波数を電源周波数に対して3の倍数次数となるように前記第2の推力脈動を生じさせる工程が含まれることを特徴とする請求項4に記載の同期モータの推力脈動抑制方法。
- 前記電機子電流高調波は、6の倍数次数の前記第1の推力脈動を抑制する場合、奇数の次数の高調波であり、前記6の倍数次数の前記第1の推力脈動を含む3の倍数次数の推力脈動を抑制する場合、奇数及び/又は偶数の次数の高調波であることを特徴とする請求項4又は5に記載の同期モータの推力脈動抑制方法。
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Cited By (6)
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