しかしながら、かかる可変長符号化技術は、符号状態では符号化前の画像の位置が分からないので、任意の部分の画像のみを再生することができない。このため、この可変長符号化技術は、複写機のように画像の加工を伴う画像形成装置には適用することができない。
したがって、複写機のような画像形成装置の場合には、画像の1ブロックの符号結果が常に固定長となる固定長符号化技術が必要となるが、効率的な固定長符号化技術は知られていない。
具体的には、従来の固定長符号化技術では、たとえば8ビットの各画素からそれぞれ上位2ビットを取り出し、1/4の画像に圧縮するものが一般的であるが、この技術によれば画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映することができない。
換言すると、従来の固定長符号化技術では、視覚的に重要な画像領域とそれ以外の画像領域とを区別することができないため、結果的に画質の劣化を招くことになる。なお、画質を向上するためには、1画素に割り当てるビット数を多くせざるを得ないので、符号化効率の低下を招くことになる。
これらのことから、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映することができる固定長符号化技術をいかに効率良く実現するかが極めて重要な課題となっている。
この発明は、上述した課題を解消するためになされたものであり、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる画像処理装置、画像処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、多値画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理装置において、前記ブロックを複数の小ブロックに再分割する再分割手段と、前記再分割手段により再分割された小ブロック内の画像データから特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内の画像データを固定長データに符号化する符号化手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、ブロックを複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、ブロック内の画像データを固定長データに符号化することとしたので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記符号化手段により符号化されたデータをブロックごとに復号する復号手段と、前記復号手段により復号されたブロックごとのデータを合成して画像データを生成する生成手段とをさらに備えたことを特徴とする。
この請求項2の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成することとしたので、画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することができる。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記再分割手段は、前記ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割することを特徴とする。
この請求項3の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割することとしたので、符号化処理を効率良くおこなうことができる。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の発明において、前記抽出手段は、前記小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出することを特徴とする。
この請求項4の発明によれば、小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出することとしたので、小ブロック内の画像データの高周波成分および低周波成分を利用した符号化処理をおこなうことができる。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記抽出手段は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項5の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することとしたので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項6の発明は、請求項2の発明において、前記復号手段は、前記変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号することを特徴とする。
この請求項6の発明によれば、変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号することとしたので、符号化と同様の処理で復号することができ、もって装置の小型化などを図ることができる。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記復号手段により復号されたデータにノイズ情報を付加するノイズ付加手段をさらに備えたことを特徴とする。
この請求項7の発明によれば、復号されたデータにノイズ情報を付加することとしたので、ブロック内の画素の画素値が同一になることを防いでブロック歪みを目立ちにくくし、もって高画質な画像を再現することができる。
また、請求項8の発明は、多値画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理装置において、前記ブロックを階層構造を有する小ブロックに再帰的に多重分割する多重分割手段と、前記多重分割手段により多重分割された小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内の画像データを固定長データに符号化する符号化手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項8の発明によれば、ブロックを小ブロックに多重分割しつつ、該小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出し、エッジ情報を有する小ブロックをさらに再帰的に再分割する処理を繰り返した後に、小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、ブロック内の画像データを固定長データに符号化することとしたので、画像が持つ部分的な特徴を符号データにより正確に符号データに反映して画質の向上を図ることができる。
また、請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記多重分割手段は、前記ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再帰的に多重分割することを特徴とする。
この請求項9の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを階層的に多重分割することとしたので、階層的に繰り返される固定長符号化処理を迅速におこなうことができる。
また、請求項10の発明は、請求項8または9の発明において、前記抽出手段は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項10の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することとしたので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項11の発明は、CMYK表色系のカラー画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理装置において、前記ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割する再分割手段と、前記再分割手段により再分割された小ブロック内の画像データから特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化する符号化手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項11の発明によれば、ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化することとしたので、カラー画像であっても、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記符号化手段により符号化されたデータをブロックごとに復号する復号手段と、前記復号手段により復号されたブロックごとのデータを合成して画像データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成するカラー形成手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
この請求項12の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成し、生成したC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成することとしたので、カラー画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することができる。
また、請求項13の発明は、請求項11または12の発明において、前記抽出手段は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項13の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出することとしたので、C、M、Y、K成分それぞれのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項14の発明は、多値画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理方法において、前記ブロックを複数の小ブロックに再分割する再分割工程と、前記再分割工程により再分割された小ブロック内の画像データから特徴量を抽出する抽出工程と、前記抽出工程により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内の画像データを固定長データに符号化する符号化工程と、を含んだことを特徴とする。
この請求項14の発明によれば、ブロックを複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、ブロック内の画像データを固定長データに符号化することとしたので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項15の発明は、請求項14の発明において、前記符号化工程により符号化されたデータをブロックごとに復号する復号工程と、前記復号工程により復号されたブロックごとのデータを合成して画像データを生成する生成工程とをさらに含んだことを特徴とする。
この請求項15の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成することとしたので、画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することができる。
また、請求項16の発明は、請求項14または15の発明において、前記再分割工程は、前記ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割することを特徴とする。
この請求項16の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割することとしたので、符号化処理を効率良くおこなうことができる。
また、請求項17の発明は、請求項14、15または16の発明において、前記抽出工程は、前記小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出することを特徴とする。
この請求項17の発明によれば、小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出することとしたので、小ブロック内の画像データの高周波成分および低周波成分を利用した符号化処理をおこなうことができる。
また、請求項18の発明は、請求項16の発明において、前記抽出工程は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項18の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することとしたので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項19の発明は、請求項15の発明において、前記復号工程は、前記変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号することを特徴とする。
この請求項19の発明によれば、変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号することとしたので、符号化と同様の処理で復号することができ、もって装置の小型化などを図ることができる。
また、請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記復号工程により復号されたデータにノイズ情報を付加するノイズ付加工程をさらに含んだことを特徴とする。
この請求項20の発明によれば、復号されたデータにノイズ情報を付加することとしたので、ブロック内の画素の画素値が同一になることを防いでブロック歪みを目立ちにくくし、もって高画質な画像を再現することができる。
また、請求項21の発明は、多値画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理方法において、前記ブロックを階層構造を有する小ブロックに再帰的に多重分割する多重分割工程と、前記多重分割工程により再帰的に多重分割された小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出する抽出工程と、前記抽出工程により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内の画像データを固定長データに符号化する符号化工程と、を含んだことを特徴とする。
この請求項21の発明によれば、ブロックを小ブロックに多重分割しつつ、該小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出し、エッジ情報を有する小ブロックをさらに再帰的に再分割する処理を繰り返した後に、小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、ブロック内の画像データを固定長データに符号化することとしたので、画像が持つ部分的な特徴を符号データにより正確に符号データに反映して画質の向上を図ることができる。
また、請求項22の発明は、請求項21の発明において、前記多重分割工程は、前記ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを階層的に多重分割することを特徴とする。
この請求項22の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを階層的に多重分割することとしたので、階層的に繰り返される固定長符号化処理を迅速におこなうことができる。
また、請求項23の発明は、請求項21または22の発明において、前記抽出工程は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項23の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出することとしたので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項24の発明は、CMYK表色系のカラー画像を符号化単位のブロックに分割し、該分割したブロック内の画像データを固定長データに符号化する画像処理方法において、前記ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割する再分割工程と、前記再分割工程により再分割された小ブロック内の画像データから特徴量を抽出する抽出工程と、前記抽出工程により抽出された各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、前記ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化する符号化工程と、を含んだことを特徴とする。
この請求項24の発明によれば、ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化することとしたので、カラー画像であっても、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項25の発明は、請求項24の発明において、前記符号化工程により符号化されたデータをブロックごとに復号する復号工程と、前記復号工程により復号されたブロックごとのデータを合成して画像データを生成する生成工程と、前記生成工程により生成されたC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成するカラー形成工程と、をさらに含んだことを特徴とする。
この請求項25の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成し、生成したC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成することとしたので、カラー画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することができる。
また、請求項26の発明は、請求項24または25の発明において、前記抽出工程は、前記小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、前記小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出することを特徴とする。
この請求項26の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出することとしたので、C、M、Y、K成分それぞれのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことができる。
また、請求項27の発明は、請求項26の発明において、前記符号化工程は、前記ブロックを形成する各小ブロックのエッジ情報の有無に基づいて変換モードを決定する変換モード決定工程と、各小ブロックへの割り当てビット数と前記変換モードとを対応づけた変換テーブルに基づいて前記ブロック内の画像データを形成するC、M、Y、K成分をそれぞれ固定長データに符号化する固定長符号化工程と、を含んだことを特徴とする。
この請求項27の発明によれば、各小ブロックへの割り当てビット数と変換モードとを対応づけた変換テーブルを設けておき、ブロックを形成する各小ブロックのエッジ情報の有無に基づいて変換モードを決定し、変換テーブルに基づいてブロック内の画像データを形成するC、M、Y、K成分をそれぞれを固定長データに符号化することとしたので、変換テーブルを利用して効率良くC、M、Y、K成分を固定長符号化することができる。
また、請求項28の発明に係る記録媒体は、請求項14〜27のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことで、そのプログラムを機械読み取り可能となり、これによって、請求項14〜27のいずれか一つの動作をコンピュータによって実現することができる。
請求項1の発明によれば、ブロックを複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、各小ブロックへの割り当てビット数を決定し、ブロック内の画像データを固定長データに符号化するよう構成したので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項2の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成するよう構成したので、画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項3の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割するよう構成したので、符号化処理を効率良くおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項4の発明によれば、小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出するよう構成したので、小ブロック内の画像データの高周波成分および低周波成分を利用した符号化処理をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項5の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出するよう構成したので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項6の発明によれば、変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号するよう構成したので、符号化と同様の処理で復号することができ、もって装置の小型化などを図ることが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項7の発明によれば、復号されたデータにノイズ情報を付加するよう構成したので、ブロック内の画素の画素値が同一になることを防いでブロック歪みを目立ちにくくし、もって高画質な画像を再現することが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項8の発明によれば、ブロックを小ブロックに多重分割しつつ、該小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出し、エッジ情報を有する小ブロックをさらに再帰的に再分割する処理を繰り返した後に、小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内の画像データを固定長データに符号化するよう構成したので、画像が持つ部分的な特徴を符号データにより正確に符号データに反映して画質の向上を図ることが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項9の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを階層的に多重分割するよう構成したので、階層的に繰り返される固定長符号化処理を迅速におこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項10の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出するよう構成したので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項11の発明によれば、ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化するよう構成したので、カラー画像であっても、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項12の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成し、生成したC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成するよう構成したので、カラー画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項13の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出するよう構成したので、C、M、Y、K成分それぞれのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理装置が得られるという効果を奏する。
また、請求項14の発明によれば、ブロックを複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内の画像データを固定長データに符号化するよう構成したので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項15の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成するよう構成したので、画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項16の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを再分割するよう構成したので、符号化処理を効率良くおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項17の発明によれば、小ブロック内の画像データに周波数変換をおこなって、該画像データの高周波成分および低周波成分を抽出するよう構成したので、小ブロック内の画像データの高周波成分および低周波成分を利用した符号化処理をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項18の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出するよう構成したので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項19の発明によれば、変換テーブルに基づいて各ブロックごとのデータをそれぞれ復号するよう構成したので、符号化と同様の処理で復号することができ、もって装置の小型化などを図ることが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項20の発明によれば、復号されたデータにノイズ情報を付加するよう構成したので、ブロック内の画素の画素値が同一になることを防いでブロック歪みを目立ちにくくし、もって高画質な画像を再現することが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項21の発明によれば、ブロックを小ブロックに多重分割しつつ、該小ブロック内の画像データからエッジ情報を抽出し、エッジ情報を有する小ブロックをさらに再帰的に再分割する処理を繰り返した後に、小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内の画像データを固定長データに符号化するよう構成したので、画像が持つ部分的な特徴を符号データにより正確に符号データに反映して画質の向上を図ることが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項22の発明によれば、ブロックと相似形状となる複数の小ブロックに該ブロックを階層的に多重分割するよう構成したので、階層的に繰り返される固定長符号化処理を迅速におこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項23の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用して画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してエッジ情報を抽出するよう構成したので、輪郭線などのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項24の発明によれば、ブロックをC、M、Y、Kの各成分ごとに複数の小ブロックに再分割し、再分割した小ブロック内の画像データから特徴量を抽出し、抽出した各小ブロック内の画像データの特徴量に基づいて、ブロック内のC、M、Y、Kデータをそれぞれ固定長データに符号化するよう構成したので、カラー画像であっても、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項25の発明によれば、符号化されたデータをブロックごとに復号し、復号したブロックごとのデータを合成して画像データを生成し、生成したC、M、Y、Kの各画像データを合成してカラー画像を形成するよう構成したので、カラー画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを復元することが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項26の発明によれば、小ブロック内の画像データの各画素の平均を求める低域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれの画素平均を抽出するとともに、小ブロック内の画像データの各画素の最大画素値と最小画素値の差分を求める高域通過フィルタを適用してC、M、Y、K成分それぞれのエッジ情報を抽出するよう構成したので、C、M、Y、K成分それぞれのエッジを考慮した固定長符号化をおこなうことが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項27の発明によれば、各小ブロックへの割り当てビット数と変換モードとを対応づけた変換テーブルを設けておき、ブロックを形成する各小ブロックのエッジ情報の有無に基づいて変換モードを決定し、変換テーブルに基づいてブロック内の画像データを形成するC、M、Y、K成分をそれぞれを固定長データに符号化するよう構成したので、変換テーブルを利用して効率良くC、M、Y、K成分を固定長符号化することが可能な画像処理方法が得られるという効果を奏する。
また、請求項28の発明によれば、請求項14〜27のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことで、そのプログラムを機械読み取り可能となり、これによって、請求項14〜27のいずれか一つの動作をコンピュータによって実現することが可能な記録媒体が得られるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像処理装置、画像処理方法、およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態では、本発明をファクシミリ装置に適用した場合を示すこととし、具体的には、実施の形態1では、(2,2)のウエーブレット(wavelet)変換を用いて特徴量を抽出する場合を示し、実施の形態2では、微分オペレータおよび積分オペレータを用いて特徴量を抽出する場合を示し、実施の形態3では、カラー画像に本発明を適用する場合を示すこととする。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係るファクシミリシステムの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すファクシミリシステムは、多値の白黒濃淡画像をブロックごとに固定長符号化して送信する送信装置10と、送信装置10から受信した符号データをブロックごとに復号して画像を出力する受信装置11とからなる。
具体的には、送信装置10は、画像読取り部101と、ブロック分割処理部102と、ブロック再分割処理部103と、画像変換処理部104と、変換テーブル105と、符号化処理部106と、データ送信部107とからなる。
画像読取り部101は、図示しない原稿台に載置された原稿をCCDセンサで光学的に読み取り、読み取った画像データをブロック分割処理部102に出力する入力デバイスである。なお、本実施の形態1では、この画像読取り部101では、縦横それぞれ256画素の白黒濃淡画像を入力するものとし、各画素の画素値は256階調とする。
ブロック分割処理部102は、画像読取り部101で読み取られた画像データを所定サイズの矩形ブロックに分割する処理部である。具体的には、かかるブロックは符号化処理単位のサイズのブロックであり、ここでは4画素×4画素であるものとする。
ブロック再分割処理部103は、ブロック分割処理部102により分割された各ブロックを画像変換処理部104の処理単位のブロック(以下「小ブロック」と言う)に再分割する処理部である。ここでは、この小ブロックのサイズを2画素×2画素とする。
画像変換処理部104は、ブロック再分割処理部103で再分割された小ブロック内の画像データに周波数変換などをおこなう処理部であり、具体的には、小ブロック内の画素平均およびエッジを抽出するウエブレット変換をおこなって特徴量を抽出する。
符号化処理部106は、変換テーブル105を利用してブロック分割処理部102で分割した4×4の各ブロックの画素値を固定長データに符号化する処理である。具体的には、各画素の画素値に単に同じビット数を割り当てるのではなく、エッジ位置を保存しつつ該エッジ部をなす画素に多くのビット数を割り当てつつ、ブロック全体として固定長になるよう符号化する。なお、変換テーブル105および符号化処理106の具体的な処理の説明については後述する。
データ送信部107は、符号化処理部106で符号化された固定長データを受信装置に送信する処理部である。なお、この送信装置10は、図示しない表示部や操作パネルなども有するが、ここではその説明を省略する。
上記構成を有する送信装置10を用いることにより、画像読取り部101で読み取った画像データをブロックに分割しつつ、該ブロック内の画像データを固定長のデータに順次符号化することができる。ここで、本発明では、画像データのエッジ部に多くのビット数を割り当てることとしているので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映することができることになる。
次に、図1に示した受信装置11の構成について説明する。同図に示すように、この受信装置11は、データ受信部111と、変換テーブル112と、復号処理部113と、ブロック合成処理部114と、画像処理部115と、画像出力部116とを有する。
データ受信部111は、送信装置10から送信された固定長データを回線を介して順次受信する処理部である。変換テーブル112は、送信装置10内の変換テーブル105と同一の内容を格納したテーブルである。
復号処理部113は、変換テーブル112を利用してデータ受信部111により受信された固定長データを4×4のブロックの画素値に復号化する処理部である。なお、この復号処理部113では、変換テーブル112を利用して画像データの復号処理を終えた後に、あらかじめランダムノイズを付加する旨が設定されている場合には、M系列などの疑似乱数系列にしたがう乱数を順次発生して、画像データに埋め込む処理をおこなう。かかるノイズを埋め込む理由は、ブロック境界での濃度差やブロック内での画素値の同一さに起因するブロック歪みを減少させ、より高画質な画像を再現するためである。
ブロック合成処理部114は、復号処理部113が固定長データを復号した各ブロックの画像データを順次合成して、最終的に全体の画像データを形成する処理部である。
画像処理部115は、合成した画像データに対して各種画像処理をおこなう処理部である。画像出力部116は、画像処理部115によって画像処理された画像データを出力する処理部であり、具体的には、図示しない表示部への画像データの表示や印刷用紙への画像データの印字などをおこなう。
上記構成を有する受信装置11を用いることにより、画像が持つ部分的な特徴を損なうことなく、固定長符号化された符号データを効率良く復元することができる。
次に、図1に示したブロック分割処理部102およびブロック再分割処理部103によるブロック分割についてさらに具体的に説明する。図2は、図1に示したブロック分割処理部102およびブロック再分割処理部103によるブロック分割の概念を説明するための説明図である。なお、ここでは説明の便宜上、画像データのサイズを8×8とする。
同図(a)に示すように、ブロック分割処理部102は、画像読取り部101が読み取った8×8の画像データを4×4の4つのブロックa0,a1,a2,a3に分割する。かかるブロックサイズは、符号化処理部106による符号化処理単位に合わせるために4×4としている。なお、このブロック分割処理部102は、本発明独自のものというわけではなく、ブロック符号化をおこなう各種画像処理装置で広く採用されるものである。
これに対して、ブロック再分割処理部103は本発明に係るものであり、具体的には、同図(b)に示すように、ブロック分割処理部102により分割されたブロックを2×2の小ブロックb0,b1,b2,b3にさらに分割するものである。この2×2の小ブロックに分割する理由は、画像変換処理部104で用いる(2,2)ウエーブレット変換の処理単位に合わせるためであり、このウエーブレット変換をおこなう理由は、エッジを保存した固定長符号化を実現するためである。
なお、ここでは説明の便宜上、画像データを4×4のブロックに分割した後、これを2×2の小ブロックに再分割する場合を示したが、画像データをn×m(n,mは整数)の矩形ブロックに分割し、これをさらに(n/p)×(m/r)(p,rは整数)の小ブロックに分割することもできる。この場合には、n×mの矩形ブロック単位で符号化処理をおこない、(n/p)×(m/r)の小ブロック単位で画像変換をおこなうことになる。
次に、図1に示した画像変換処理部104でおこなう周波数変換処理について具体的に説明する。図3および図4は、図1に示した画像変換処理部104でおこなう周波数変換処理の概念を説明するための説明図である。
図3に示すように、かかる画像変換処理部104では、小ブロック内の画像データについて高域通過フィルタ104aと低域通過フィルタ104bとを適用することになる。たとえば、この高域通過フィルタ104aの一例としては、小ブロック内の画素の最大値と最小値の差を方向を考慮して求めるものがあげられ、低域通過フィルタ104bの一例としては、小ブロック内の画素の平均を求めるものがあげられる。
かかる高域通過フィルタ104aと低域通過フィルタ104bとを1パスで実行する技術として、図4に示したウエーブレット変換が知られている。同図に示すように、2×2の小ブロック内の4つの画素の画素値をそれぞれa,b,c,dとすると、低域通過フィルタ(L)は、
L=(a+b+c+d)/4
の処理をおこない、高域通過フィルタ(H1,H2,H3)は、
H1=(a+c)/2 − (b+d)/2
H2=(a+b)/2 − (c+d)/2
H3=(a−b) − (c−d)
の処理をおこなうことになる。
次に、図1に示した符号化処理部106がおこなう固定長符号化処理について具体的に説明する。図5は、図1に示した変換テーブル105の一例を示す図であり、図6は、小ブロックのエッジの有無に基づいて定まるモード0〜15を説明するための説明図である。
まず最初に、図5(a)に示すように、ブロック内の画素の画素値をd0〜d15とし、同図(b)に示すように、ブロックを形成する4つの小ブロックをb0,b1,b2,b3とする。
また、小ブロック内の各画素がエッジの一部をなすか否かを確認すると、図6に示すように、各ブロックは、モード0〜モード15のいずれかと一致することになる。具体的には、このモード0は、いずれの小ブロックにもエッジが存在しない場合を示しており、モード1は、左上の小ブロックb0のみにエッジが存在する場合を示している。同様に、モード15は、いずれの小ブロックb0〜b3にもエッジが存在する場合を示している。
そして、変換テーブル105では、図5(c)に示すように、各モードごとに各小ブロックに割り当てるビット数を規定する。この変換テーブル105を用いることとした理由は、各モードごとに異なる符号化をおこなうためである。言い換えると、モードごとに異なる符号化をおこなえば、エッジが存在するか否かによって符号化方式を変え、エッジを保存しつつ固定長符号化をおこなえることになる。
具体的には、モード0の場合には、各小ブロックb0,b1,b2,b3にそれぞれ7ビットを割り当てる。モードの種別を示すモードビットが4ビットあるので、合計32ビットとなる。
ここで、各小ブロックに低域通過フィルタ104bを適用して得られる画素値の平均(以下、「画素平均」と言う)を各小ブロックの7ビットとすることになるが、かかる画素平均が8ビット以上である場合には、上位ビットから7ビット選択し下位ビットを捨てる切り詰めをおこなう。モード0の場合に7ビットの画素平均を用いて符号化することとした理由は、このケースではいずれの小ブロックにもエッジが存在しないからである。
また、モード1の場合には、エッジが存在しない小ブロックb1,b2,b3にはそれぞれ5ビットを割り当て、エッジが存在する小ブロックb0には13ビットを割り当てる。このため、モードビットとの合計は32ビットとなる。
ここで、エッジが存在する小ブロックb0については、エッジでない画素の画素値(min)に4ビット、エッジをなす画素の画素値(max)に5ビット、小ブロックb0内の各画素がエッジをなすか否かを示すエッジの位置情報に4ビットを割り当てる。
このため、このモード1の場合には、エッジをなす画素には5ビットが割り当てられ、エッジをなさない画素には4ビット(小ブロックb0の場合)または5ビット(小ブロックb1,b2,b3)が割り当てられることになる。
従来の固定長符号化技術により、1ブロック内の16画素を32ビットで固定長符号化する場合には、エッジをなすか否かを問わずに各画素を2ビットで表現することになるので、本発明の符号化により解像度が大幅に改善されることが分かる。
同様に、モード15の場合には、エッジでない画素の画素値(min)に6ビット、エッジをなす画素の画素値(max)に6ビット、小ブロックb0,b1,b2,b3内の各画素がエッジをなすか否かを示すエッジの位置情報に16ビットを割り当てる。このため、モードビットとの合計はやはり32ビットとなる。なお、このモード15においては、すべての小ブロックがエッジをなす画素を含むため、画素平均は用いていない。
このように、上記変換テーブル105を用いることにより、符号化処理部106では、各小ブロックにエッジをなす画素が存在するか否かによって符号化方式を変えることができ、エッジを保存した固定長符号化をおこなうことができることになる。なお、受信装置11が有する変換テーブル112についても、この変換テーブル105と同様のものであり、この変換テーブル112を用いて復号処理部113が復号処理をおこなうことになる。
次に、図1に示した復号処理部113についてさらに具体的に説明する。図7は、図1に示した復号処理部113の細部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この復号処理部113は、復号部113aと、切換部113bと、ノイズ付加処理部113cとからなる。
復号部113aは、変換テーブル112に基づいて固定長データからブロックごとの画像データを復号する処理部である。具体的には、図5(c)に示した変換テーブル112を有する場合には、この固定長データのモードビットに応じて画像データの復号をおこなうことになる。
たとえば、この固定長データのモードビットがモード0を示す場合には、ビット0〜ビット6を小ブロックb3内の各画素の画素値とし、ビット7〜ビット13を小ブロックb2内の各画素の画素値とし、ビット14〜ビット20を小ブロックb1内の各画素の画素値とし、ビット21〜ビット27を小ブロックb0内の各画素の画素値とする。
切換部113bは、復号部113aにおいて復号された画像データにノイズを付加するか否かを切り換える切換スイッチであり、操作パネルなどからノイズを付加する旨が指定されている場合には、ノイズ付加処理部113cに画像データを出力し、該指定がなされていない場合には、ノイズ付加処理部113cではなくブロック合成処理部114に対して画像データを直接出力する。
ノイズ付加処理部113cは、所定の原始既約多項式に基づいて最大長周期の疑似乱数系列(M系列)を順次生成し、生成した疑似乱数をノイズとして画像データに付加する処理部である。具体的には、図5(c)のモード0の場合には、各画素の画素値が7ビットに切り詰められているので、最下位ビットにノイズを付加することになる。また、モード1の場合には、たとえば小ブロックb1の各画素の画素値が5ビットに切り詰められているので、下位3ビットにノイズを付加することになる。
このように、ブロック内の画像データにノイズを付加すると、ブロック境界での濃度差やブロック内での画素値が同一であることに起因するブロック歪みを減少させ、もって高画質な画像を再現することができる。
次に、図1に示した送信装置10の処理手順について説明する。図8は、図1に示した送信装置10の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この送信装置10では、画像読取り部101によって画像データを読み取ったならば(ステップS801)、ブロック分割処理部102がこの画像データを符号化処理単位となるブロックに分割する(ステップS802)。
その後、ブロック再分割処理部103が、該分割された各ブロックを画像変換処理部104の処理単位となる小ブロックに分割し(ステップS803)、画像変換処理部104が、各小ブロックに対してウエーブレット変換をおこなってエッジおよび画素平均を求める(ステップS804〜S805)。
そして、符号化処理部106では、かかる小ブロック内のエッジの有無に基づいてモードを選択し(ステップS806)、選択したモードにしたがってブロック内の画像データを固定長データに符号化し(ステップS807)、該符号化した固定長データを送信する(ステップS808)。
次に、図1に示した受信装置11の処理手順について説明する。図9は、図1に示した受信装置11の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この受信装置11では、データ受信部111が送信装置10から送信された各固定長データを回線を介して順次受信したならば(ステップS901)、復号処理部113がこの固定長データに含まれるモードビットおよび変換テーブル112にしたがってブロック内の画素値を復元する(ステップS902)。
そして、ランダムノイズの付加をおこなう設定がなされているか否かを確認し(ステップS903)、ノイズを付加する設定がなされている場合には(ステップS903肯定)、ランダムノイズを発生して各画素の画素値に付加する(ステップS904)。
そして、復号した各ブロックを順次合成して画像データを生成し(ステップS905)、生成した画像データを表示部に表示するか印刷用紙に印字する(ステップS906)。
次に、図5(c)に示した変換テーブル105を用いた固定長符号化をおこなう利点について説明する。すでに説明したように、かかる変換テーブル105を用いた固定長符号化をおこなうと、符号化効率の低下を招くことなく画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映できるという利点以外に、符号状態のまま回転、ミラーリングまたは編集をおこなえるという利点がある。
図10は、符号状態のまま時計回りに90度回転する場合を説明するための説明図であり、図11は、符号状態のままミラーリングする場合を説明するための説明図である。
図10に示すように、90度の回転をおこなう場合には、変換テーブル105のモードの変更並びにビットの順序変更により対応することができる。具体的には、モード1をモード2にし、モード2をモード8にし、モード3をモード10に変更するなどのモードビットの変更をおこなうとともに、各モードごとのビットの順序を入れ替えることにより、符号状態のままで簡単に画像を90度回転することができる。
図11に示すように、ミラーリングをおこなう場合も、変換テーブル105のモードの変更並びにビットの順序変更により対応することができる。具体的には、モード1をモード2にし、モード2をモード1にし、モード4をモード8に変更するなどのモードビットの変更をおこなうとともに、各モードごとのビットの順序を入れ替えることにより、符号状態のままで簡単に画像をミラーリングすることができる。
なお、180度または270度の回転をおこなう場合にも、同様にしてモードの変更並びにビットの順序変更をおこなうだけで、画像を符号状態のままで回転することができる。
上述してきたように、本実施の形態1では、ブロック再分割処理部103がブロックを複数の小ブロックに再分割し、画像変換処理部104が小ブロック内の画像データからエッジおよび画素平均を抽出し、抽出した各小ブロック内のエッジの有無並びに変換テーブル105に基づいて、符号化処理部106がブロック内の画像データを固定長データに符号化するよう構成したので、符号化効率の低下を招くことなく、画像が持つ部分的な特徴を符号データに反映する固定長符号化をおこなうことができる。
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、(2,2)のウエーブレット変換を用いて小ブロック内のエッジと画素平均を求めることとしたが、微分フィルタおよび局所平均フィルタをそれぞれ適用してエッジと画素平均を求めることもできる。
そこで、本実施の形態2では、微分フィルタと局所平均フィルタをそれぞれ別個に適用してエッジと画素平均を求める場合を示すこととする。なお、ここでは、小ブロックのサイズが3×3であるものとする。
図12は、本実施の形態2で用いる画像変換処理部201の構成を示す機能ブロック図である。同図(a)に示すように、この画像変換処理部201は、微分フィルタ202と、局所平均フィルタ203とを有する。
具体的には、この微分フィルタ202としては、同図(b)に示すソーベル(sobel)のオペレータなどを用いることができ、局所平均フィルタ203としては、同図(c)に示す重み係数行列Wを用いた局所加重平均フィルタなどを用いることができる。
なお、ここでは局所フィルタを用いてエッジおよび画素平均を用いる場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フーリエ変換や離散コサイン変換などを用いることもできる。
(実施の形態3)
ところで、上記実施の形態1および2では、ブロックを小ブロックに再分割て符号化する場合を示したが、かかる再分割を多重におこなうこともできる。このため、本実施の形態3では、再分割を多重におこなう場合について説明する。なお、ここでは符号化処理の単位を8×8画素とし、画像変換処理部104の処理単位を2×2画素とする。
図13は、再分割を再帰的に繰り返す場合を説明するための説明図である。同図(a)は、符号化単位(8×8)に分割されたブロック(対象画像)であり、同図に示すような画質に寄与する画素が所在する。
ここで、このブロック(対象画像)を再帰的に再分割しない場合には、同図(c)に示すように、このブロックを2×2の小ブロックに多重に分割し、該小ブロック内のエッジの有無に基づいてブロックを符号化することになる。
しかしながら、かかる再分割をおこなうこととすると、エッジが存在しない微小ブロックについては図中に示すA1の画素平均を用いざるを得ず、小ブロックA0内の画素平均を用いることができず、符号化効率を高めることができない。
これに対して、同図(b)に示すように、ブロック(対象画像)を再帰的に再分割する場合には、まずブロックを4×4の小ブロックに分割した後、特徴的な画素が存在する小ブロックを再帰的に2×2の小ブロックに分割することになる。
このように、ブロックを再帰的に再分割すると、4×4の小ブロックA0の画素平均を用いることができるので、同図(c)に示す場合よりも全体のビット数を減らすことができることになる。そして、この減らしたビット数は、特徴的な画素に割り振ることができるので、再帰的に再分割する場合には、結果的に画質を向上することができることになる。
上述してきたように、本実施の形態3では、ブロックを再帰的に再分割するよう構成したので、特徴的でない画素に割り振るビット数を減らしてこれを特徴的な画素に割り振り、もって画質の向上を図ることができる。なお、ここでは説明の便宜上再分割を2度おこなう場合を示したが、3回以上再分割する場合に本発明を適用することもできる。
なお、上記実施の形態1〜3では、本発明を白黒濃淡画像に適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、多値のカラー画像に適用することもできる。
具体的には、CMYK表色系のカラー画像の場合には、送信装置10は、C,M,Y,K成分それぞれについて本発明を適用して各成分の固定長データを取得し、取得した固定長データをそれぞれ受信装置11に送信する。一方、受信装置11は、C,M,Y,K成分それぞれについて本発明を適用して各成分の画像データを復元し、復元した画像データを合成して出力することになる。