JP2004079598A - 変圧器防音装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】防音構造物を大型化を抑制し、より効果的に変圧器の騒音を消音できる変圧器防音装置を得ることである。
【解決手段】変圧器本体12を収納する密閉型防音構造体11の内部に設けられた少なくとも1つの消音装置21は、ケーシング23により形成される一定の体積の密閉空間19と密閉型防音構造体11の内部とを開口部24を介して連通する。また、消音装置21に設けられた少なくとも1つのスピーカ22は、消音装置21のケーシング23内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。これにより、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、効果的な変圧器本体12の防音を実現する。
【選択図】 図1
【解決手段】変圧器本体12を収納する密閉型防音構造体11の内部に設けられた少なくとも1つの消音装置21は、ケーシング23により形成される一定の体積の密閉空間19と密閉型防音構造体11の内部とを開口部24を介して連通する。また、消音装置21に設けられた少なくとも1つのスピーカ22は、消音装置21のケーシング23内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。これにより、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、効果的な変圧器本体12の防音を実現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器の騒音を低減する変圧器防音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点から騒音規制が厳しくなっており、変圧器の低騒音化が強く望まれている。一般に、変圧器の騒音低減対策としては、鋼板やコンクリートなどにより構成された防音建屋や防音タンク、防音壁などの防音構造物を設置し、防音構造物の内部に変圧器を設置するようにしている。このような対策を施した場合、騒音源である変圧器の本体タンクからの騒音は、防音構造物により低減される。
【0003】
図10は、変圧器周囲に設置される防音構造物の従来例の説明図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられている。消音ダクト13は、図11に示すように、密閉型防音構造体11の開口部14に吸音材15が設置されて形成される。
【0004】
変圧器本体12から放射された騒音は、密閉型防音構造体11または消音ダクト13を透過して外部へ放射される。密閉型防音構造体11を透過して外部へ放射される騒音については、密閉型防音構造体11の持つ透過損失により低減される。消音ダクト13を通過する音16は、消音ダクト13の内部に設置された吸音材15が有する無数の穴による振動や摩擦などの影響により熱エネルギに変換されることにより低減される。
【0005】
一方、騒音を防止する防音装置として共鳴型吸音器がある。図12は共鳴型吸音器の説明図である。共鳴型吸音器17はケーシング18により所定の体積を持つ密閉空間19を形成し、その密閉空間19は開口部20により音源側と連通するように形成される。
【0006】
共鳴型吸音器17では、開口部20の部分の媒質は質量を持った一つの塊とみなすことができ、密閉空間19の体積はばねとして作用する。したがって、これらは1つの振動系と考えることができ、この系の共鳴周波数の音があたると、質量相当の開口部20の部分の媒質が激しく振動し、熱エネルギに変換されることにより音が吸音される。なお、共鳴周波数fresは、開口部20の形状を円形とした場合、式(1)のように決定される。
【0007】
fres =(c/2π)・{S/V(L+0.8d)}1/2 …(1)
ここで、cは媒質の音速、Vは密閉空間の体積、Sは開口部20の断面積、Lは開口部20の長さ、dは開口部20の直径である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11のように構成された防音構造物では、100Hzや200Hzといった変圧器騒音の周波数帯域では、遮音性能を効果的に高めるためには音響透過の質量則から、重くて大きな防音構造物を必要とする。また、密閉された構造物の内部で発生する音は、壁面における反射の影響などにより定在波が生じ、防音構造物内部の音圧が上昇する。そのため、防音構造物の騒音低減性能が悪化する。
【0009】
また、消音ダクト13は周波数によりその構成や大きさが決定されるので、変圧器騒音の周波数帯域では効果が十分でない場合がある。十分な効果を得るためにはかなり大きな構成とする必要があり、狭いスペースなどには設置できない場合がある。さらに、騒音低減効果を高めるために、吸音材15の面積を大きくすると、開口部14の機能が低減してしまうと共に、吸音材15の特性として低周波数領域の騒音低減効果が小さいなどの問題点がある。
【0010】
また、共鳴型吸音器17についても、周波数によりその構成や大きさが決定されるので、変圧器騒音の周波数帯域では効果が十分でない場合があり、十分な効果を得るためにはかなり大きな構成とする必要がある。さらに、共鳴型吸音器17については、対象周波数に調整する必要があるが、この調整が非常に難しく十分な性能を発揮できないなどの問題があった。
【0011】
既設変電所への防音構造の追加対策などでは、防音建屋や防音タンクのような大掛かりなものを後から設置することが困難であり、簡易な防音構造物の設置しかできない場合がある。また、新設の場合においても従来のような重厚な防音構造の設置が年々困難となってきている。
【0012】
本発明の目的は、防音構造物を大型化を抑制し、より効果的に変圧器の騒音を消音できる変圧器防音装置を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明に係る変圧器防音装置においては、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体の内部に設けられた少なくとも1つの消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通する。また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。これにより、密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、効果的な変圧器本体の防音を実現する。
【0015】
請求項2の発明に係る変圧器防音装置は、請求項1の発明において、前記消音装置を、前記密閉型防音構造体のコーナー部分に設置したことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明に係る変圧器防音装置においては、請求項1の発明の作用に加え、消音装置は密閉型防音構造体のコーナー部分での反射による定在波の発生を防止し、防音構造内部の音圧上昇を防止する。
【0017】
請求項3の発明に係る変圧器防音装置は、請求項1の発明において、前記消音装置を、前記密閉型防音構造体の内部に生ずる変圧器騒音の音響モードの腹の位置に設置したことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明に係る変圧器防音装置においては、請求項1の発明の作用に加え、消音装置は、密閉型防音構造体の内部に生ずる定在波を均一化し、密閉防音構造体内部の音圧上昇を防止する。
【0019】
請求項4の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明に係る変圧器防音装置においては、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。これにより、消音ダクトの開口部からの放射音を低減できるので、効果的な変圧器防音構造を実現できる。
【0021】
請求項5の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明に係る変圧器防音装置においては、密閉型防音構造体の内部に設けられた消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通し、また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。一方、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。これにより、消音装置で密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、さらに消音ダクトで放射音を低減する。
【0023】
請求項6の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカと、前記消音ダクトの近傍に設けられ変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置とを備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項6の発明に係る変圧器防音装置においては、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。また、消音ダクトの近傍に設けられた能動消音装置は、変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させ騒音を打ち消す。これにより、消音ダクトで放射音を低減し、能動消音装置で変圧器本体の騒音を打ち消す。
【0025】
請求項7の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明に係る変圧器防音装置においては、密閉型防音構造体の内部に設けられた消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通し、また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。また、消音ダクトの近傍に設けられた能動消音装置は、変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させ騒音を打ち消す。これにより、消音装置で密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、消音ダクトで放射音を低減し、さらに能動消音装置で変圧器本体の騒音を打ち消す。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部には消音装置21が設置されている。図1では2つの消音装置21が設置されており、各々の消音装置21には消音装置21の内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカ22が設けられている。
【0028】
図2に示しように、この消音装置21は、ある一定の体積を有する密閉空間19を確保するケーシング23と、このケーシング23と密閉型防音構造体11の内部とを連通する開口部24とから構成され、ケーシング23にはスピーカ22が取り付けられている。このスピーカ22はケーシング23内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。図2では2つのスピーカ22が消音装置21に取り付けられた場合を示しているが、消音装置21には、少なくとも1つ以上のスピーカ22が取り付けられる。
【0029】
変圧器本体12から放射された騒音は、周囲に設置された密閉型防音構造体11を透過して外部へ伝達する。密閉型防音構造体11を透過する騒音は、密閉型防音構造体11の透過損失により低減される。
【0030】
一方、密閉型防音構造体11内部に設置された消音装置21は、基本的には共鳴型吸音器の構造であるので、ケーシング23の密閉空間19の体積と開口部24の形状とにより低減する周波数が決定される。このケーシング23には、音響インピーダンス調整用のスピーカ22が設置されており、このスピーカ22により、吸音器である消音装置21のインピーダンスを変化させることができる。従って、対象周波数への調整が容易になるため、より消音効果を高めることができると共に、従来より小形の消音装置を実現することができ、これまで設置困難であった狭い場所への設置が可能となる。
【0031】
ところで、密閉防音構造体11の内部では、騒音は壁面での反射等により定在波が生じ音圧が上昇する。消音装置21は密閉型防音構造体11内部の騒音を吸音することにより音圧上昇を防止する。このため、密閉型防音構造体11の単独の場合よりも効果的に騒音を低減することができる。従って、従来のものと比較して、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止することができるので、効果的な変圧器防音装置を提供できる。
【0032】
ここで、図3に示すように、消音装置21を密閉型防音構造体11内部のコーナー部分に設置するようにしても良い。これにより、密閉された防音構造のコーナー部分での反射による定在波の発生を防止し音圧の上昇を防ぐので、より効果的な変圧器防音装置を実現できる。
【0033】
また、図4に示すように、消音装置21を密閉型防音構造体11内部の音響モードが腹となる位置に設置するようにしても良い。これにより、密閉型防音構造体11の内部に生じる定在波を均一化し、密閉型防音構造体11内部の音圧上昇を防止することができるので、より効果的な変圧器防音構造を実現できる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられている。そして、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。すなわち、密閉型密閉型防音構造体11の開口部14には消音ダクト13が形成されており、この消音ダクト13は、図6に示すように、吸音材15がスリット状に付加され、さらに、この開口部14の下部にはスピーカ25が設置されている。
【0035】
消音ダクト13の開口部14を通過して外部へ放射される騒音については、開口部14に設置された吸音材15の効果により低減される。この構成では、騒音低減対象となる周波数帯域や騒音低減効果は、開口部14の開口面積と吸音材15の面積の比率で決定される。この構成は、主に高周波数帯域において効果的である。一方、このスリット構成部分に付加されたスピーカ25は、主に低周波数領域の音を対象として、この音を打ち消すような逆位相の周波数の音を放射することにより騒音を低減する。
【0036】
従って、消音ダクト13と消音用スピーカ25とを組み合わせることにより、それぞれの特性の有効な面が協調して、より効果的な防音構造を実現することが可能となる。つまり、密閉型防音構造体11の透過損失、消音ダクト13およびスピーカ25の消音効果により、効果的な変圧器防音装置を実現できる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、スピーカ22が取り付けられた消音装置21を密閉型防音構造体11内部に追加して設置したものである。
【0038】
図7に示すように、密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部にはスピーカ22が取り付けられた消音装置21が設置されている。また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられ、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。
【0039】
密閉型防音構造体11の内部に設けられた消音装置21は、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、消音装置21に設けられたスピーカ22は、消音装置221のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。一方、スリット状の消音材15を有した消音ダクト13は、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクト13に設けられたスピーカ25により低周波領域の騒音を低減する。これにより、防音構造内部の音圧上昇を防止できるとともに、開口部から外部へ放射される低減されるので、より効果的な変圧器防音構造を実現することができる。
【0040】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図8は本発明の第4の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、消音ダクト13の近傍に変圧器本体12からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置26を追加して設けたものである。
【0041】
能動消音装置26は、変圧器1より放射された音を測定するマイクロフォン27、マイクロフォン27で検出された放射音の逆位相の音を演算する制御処理部28、制御処理部28で演算された逆位相の音を出力する制御用スピーカ29とから構成されている。
【0042】
消音ダクト13の開口部14を通過して外部へ放射される騒音については、開口部14に設置された吸音材15の効果により低減される。この構成では、騒音低減対象となる周波数帯域や騒音低減効果は、開口部15の開口面積と吸音材15の面積の比率で決定される。この構成は、主に高周波数帯域において効果的である。
【0043】
さらに、密閉型防音構造体11の内部における消音ダクト13の開口部14付近に設置されたマイクロフォン27により、変圧器本体12より放射された音を測定し、その信号を制御処理装置28に入力する。そして、制御処理装置28により、その制御位置において逆位相となるような音信号を出力し、制御用スピーカ29より放射する。この能動消音装置26は、消音ダクト13よりも低周波数で有効であり、また広い周波数領域で有効である。
【0044】
これにより、変圧器本体11からの騒音を相殺し騒音を低減する。従って、消音ダクト13により、その開口部14付近の音を低減すると共に、消音ダクト13の開口部14を通過する音圧が能動消音装置26で低減されるので、より効果的な防音構造を実現することができる。
【0045】
なお、能動消音装置26の制御用スピーカ29の設置個数や設置位置は、密閉型防音構造体11の内部における消音ダクト13の開口部14付近である必要はなく、対象とする密閉型防音構造体11に対して最適となるように設置すれば良い。
【0046】
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図9は本発明の第5の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第5の実施の形態は、図8に示した第4の実施の形態に対し、スピーカ22が取り付けられた消音装置21を密閉型防音構造体11内部に追加して設置したものである。
【0047】
図9に示すように、密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部にはスピーカ22が取り付けられた消音装置21が設置されている。また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられ、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。さらに、消音ダクト13の近傍に変圧器本体12からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置26が追加して設けられている。
【0048】
このような構成とすることにより、消音装置21で密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、消音ダクト13で放射音を低減し、さらに能動消音装置26で変圧器本体の騒音を打ち消すことができる。従って、より効果的な変圧器防音構造を実現することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、変圧器周囲に設置される密閉型防音構造体の内部に設置される消音装置、密閉型防音構造体の開口部に設けられる消音ダクトをより高性能とすることができ、さらに密閉型防音構造体と能動消音装置の相乗的な効果により、より効果的な変圧器防音装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における消音装置の構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における消音装置を密閉型防音構造体内部のコーナーに配置した場合の変圧器防音装置の構成図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における消音装置を密閉型防音構造体内部の音響モードが腹となる位置に設置した場合の変圧器防音装置の構成図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における消音ダクトの構成図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図10】従来の変圧器防音装置の説明図。
【図11】従来の消音ダクトの説明図。
【図12】従来の共鳴型吸音器の説明図。
【符号の説明】
11…密閉型防音構造体、12…変圧器本体、13…消音ダクト、14…開口部、15…吸音材、16…音、17…共鳴型吸音器、18…ケーシング、19…密閉空間、20…開口部、21…消音装置、22…スピーカ、23…ケーシング、24…開口部、25…スピーカ、26…能動消音装置、27…マイクロフォン、28…制御処理装置、29…制御用スピーカ
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器の騒音を低減する変圧器防音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点から騒音規制が厳しくなっており、変圧器の低騒音化が強く望まれている。一般に、変圧器の騒音低減対策としては、鋼板やコンクリートなどにより構成された防音建屋や防音タンク、防音壁などの防音構造物を設置し、防音構造物の内部に変圧器を設置するようにしている。このような対策を施した場合、騒音源である変圧器の本体タンクからの騒音は、防音構造物により低減される。
【0003】
図10は、変圧器周囲に設置される防音構造物の従来例の説明図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられている。消音ダクト13は、図11に示すように、密閉型防音構造体11の開口部14に吸音材15が設置されて形成される。
【0004】
変圧器本体12から放射された騒音は、密閉型防音構造体11または消音ダクト13を透過して外部へ放射される。密閉型防音構造体11を透過して外部へ放射される騒音については、密閉型防音構造体11の持つ透過損失により低減される。消音ダクト13を通過する音16は、消音ダクト13の内部に設置された吸音材15が有する無数の穴による振動や摩擦などの影響により熱エネルギに変換されることにより低減される。
【0005】
一方、騒音を防止する防音装置として共鳴型吸音器がある。図12は共鳴型吸音器の説明図である。共鳴型吸音器17はケーシング18により所定の体積を持つ密閉空間19を形成し、その密閉空間19は開口部20により音源側と連通するように形成される。
【0006】
共鳴型吸音器17では、開口部20の部分の媒質は質量を持った一つの塊とみなすことができ、密閉空間19の体積はばねとして作用する。したがって、これらは1つの振動系と考えることができ、この系の共鳴周波数の音があたると、質量相当の開口部20の部分の媒質が激しく振動し、熱エネルギに変換されることにより音が吸音される。なお、共鳴周波数fresは、開口部20の形状を円形とした場合、式(1)のように決定される。
【0007】
fres =(c/2π)・{S/V(L+0.8d)}1/2 …(1)
ここで、cは媒質の音速、Vは密閉空間の体積、Sは開口部20の断面積、Lは開口部20の長さ、dは開口部20の直径である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11のように構成された防音構造物では、100Hzや200Hzといった変圧器騒音の周波数帯域では、遮音性能を効果的に高めるためには音響透過の質量則から、重くて大きな防音構造物を必要とする。また、密閉された構造物の内部で発生する音は、壁面における反射の影響などにより定在波が生じ、防音構造物内部の音圧が上昇する。そのため、防音構造物の騒音低減性能が悪化する。
【0009】
また、消音ダクト13は周波数によりその構成や大きさが決定されるので、変圧器騒音の周波数帯域では効果が十分でない場合がある。十分な効果を得るためにはかなり大きな構成とする必要があり、狭いスペースなどには設置できない場合がある。さらに、騒音低減効果を高めるために、吸音材15の面積を大きくすると、開口部14の機能が低減してしまうと共に、吸音材15の特性として低周波数領域の騒音低減効果が小さいなどの問題点がある。
【0010】
また、共鳴型吸音器17についても、周波数によりその構成や大きさが決定されるので、変圧器騒音の周波数帯域では効果が十分でない場合があり、十分な効果を得るためにはかなり大きな構成とする必要がある。さらに、共鳴型吸音器17については、対象周波数に調整する必要があるが、この調整が非常に難しく十分な性能を発揮できないなどの問題があった。
【0011】
既設変電所への防音構造の追加対策などでは、防音建屋や防音タンクのような大掛かりなものを後から設置することが困難であり、簡易な防音構造物の設置しかできない場合がある。また、新設の場合においても従来のような重厚な防音構造の設置が年々困難となってきている。
【0012】
本発明の目的は、防音構造物を大型化を抑制し、より効果的に変圧器の騒音を消音できる変圧器防音装置を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明に係る変圧器防音装置においては、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体の内部に設けられた少なくとも1つの消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通する。また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。これにより、密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、効果的な変圧器本体の防音を実現する。
【0015】
請求項2の発明に係る変圧器防音装置は、請求項1の発明において、前記消音装置を、前記密閉型防音構造体のコーナー部分に設置したことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明に係る変圧器防音装置においては、請求項1の発明の作用に加え、消音装置は密閉型防音構造体のコーナー部分での反射による定在波の発生を防止し、防音構造内部の音圧上昇を防止する。
【0017】
請求項3の発明に係る変圧器防音装置は、請求項1の発明において、前記消音装置を、前記密閉型防音構造体の内部に生ずる変圧器騒音の音響モードの腹の位置に設置したことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明に係る変圧器防音装置においては、請求項1の発明の作用に加え、消音装置は、密閉型防音構造体の内部に生ずる定在波を均一化し、密閉防音構造体内部の音圧上昇を防止する。
【0019】
請求項4の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明に係る変圧器防音装置においては、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。これにより、消音ダクトの開口部からの放射音を低減できるので、効果的な変圧器防音構造を実現できる。
【0021】
請求項5の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明に係る変圧器防音装置においては、密閉型防音構造体の内部に設けられた消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通し、また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。一方、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。これにより、消音装置で密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、さらに消音ダクトで放射音を低減する。
【0023】
請求項6の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカと、前記消音ダクトの近傍に設けられ変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置とを備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項6の発明に係る変圧器防音装置においては、スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。また、消音ダクトの近傍に設けられた能動消音装置は、変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させ騒音を打ち消す。これにより、消音ダクトで放射音を低減し、能動消音装置で変圧器本体の騒音を打ち消す。
【0025】
請求項7の発明に係る変圧器防音装置は、変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明に係る変圧器防音装置においては、密閉型防音構造体の内部に設けられた消音装置は、ケーシングにより形成される一定の体積の密閉空間と密閉型防音構造体の内部とを開口部を介して連通し、また、消音装置に設けられた少なくとも1つのスピーカは、消音装置のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。スリット状の消音材を有した消音ダクトは、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクトに設けられたスピーカにより低周波領域の騒音を低減する。また、消音ダクトの近傍に設けられた能動消音装置は、変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させ騒音を打ち消す。これにより、消音装置で密閉型防音構造体の内部の音圧上昇を防止し、消音ダクトで放射音を低減し、さらに能動消音装置で変圧器本体の騒音を打ち消す。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部には消音装置21が設置されている。図1では2つの消音装置21が設置されており、各々の消音装置21には消音装置21の内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカ22が設けられている。
【0028】
図2に示しように、この消音装置21は、ある一定の体積を有する密閉空間19を確保するケーシング23と、このケーシング23と密閉型防音構造体11の内部とを連通する開口部24とから構成され、ケーシング23にはスピーカ22が取り付けられている。このスピーカ22はケーシング23内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。図2では2つのスピーカ22が消音装置21に取り付けられた場合を示しているが、消音装置21には、少なくとも1つ以上のスピーカ22が取り付けられる。
【0029】
変圧器本体12から放射された騒音は、周囲に設置された密閉型防音構造体11を透過して外部へ伝達する。密閉型防音構造体11を透過する騒音は、密閉型防音構造体11の透過損失により低減される。
【0030】
一方、密閉型防音構造体11内部に設置された消音装置21は、基本的には共鳴型吸音器の構造であるので、ケーシング23の密閉空間19の体積と開口部24の形状とにより低減する周波数が決定される。このケーシング23には、音響インピーダンス調整用のスピーカ22が設置されており、このスピーカ22により、吸音器である消音装置21のインピーダンスを変化させることができる。従って、対象周波数への調整が容易になるため、より消音効果を高めることができると共に、従来より小形の消音装置を実現することができ、これまで設置困難であった狭い場所への設置が可能となる。
【0031】
ところで、密閉防音構造体11の内部では、騒音は壁面での反射等により定在波が生じ音圧が上昇する。消音装置21は密閉型防音構造体11内部の騒音を吸音することにより音圧上昇を防止する。このため、密閉型防音構造体11の単独の場合よりも効果的に騒音を低減することができる。従って、従来のものと比較して、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止することができるので、効果的な変圧器防音装置を提供できる。
【0032】
ここで、図3に示すように、消音装置21を密閉型防音構造体11内部のコーナー部分に設置するようにしても良い。これにより、密閉された防音構造のコーナー部分での反射による定在波の発生を防止し音圧の上昇を防ぐので、より効果的な変圧器防音装置を実現できる。
【0033】
また、図4に示すように、消音装置21を密閉型防音構造体11内部の音響モードが腹となる位置に設置するようにしても良い。これにより、密閉型防音構造体11の内部に生じる定在波を均一化し、密閉型防音構造体11内部の音圧上昇を防止することができるので、より効果的な変圧器防音構造を実現できる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられている。そして、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。すなわち、密閉型密閉型防音構造体11の開口部14には消音ダクト13が形成されており、この消音ダクト13は、図6に示すように、吸音材15がスリット状に付加され、さらに、この開口部14の下部にはスピーカ25が設置されている。
【0035】
消音ダクト13の開口部14を通過して外部へ放射される騒音については、開口部14に設置された吸音材15の効果により低減される。この構成では、騒音低減対象となる周波数帯域や騒音低減効果は、開口部14の開口面積と吸音材15の面積の比率で決定される。この構成は、主に高周波数帯域において効果的である。一方、このスリット構成部分に付加されたスピーカ25は、主に低周波数領域の音を対象として、この音を打ち消すような逆位相の周波数の音を放射することにより騒音を低減する。
【0036】
従って、消音ダクト13と消音用スピーカ25とを組み合わせることにより、それぞれの特性の有効な面が協調して、より効果的な防音構造を実現することが可能となる。つまり、密閉型防音構造体11の透過損失、消音ダクト13およびスピーカ25の消音効果により、効果的な変圧器防音装置を実現できる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、スピーカ22が取り付けられた消音装置21を密閉型防音構造体11内部に追加して設置したものである。
【0038】
図7に示すように、密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部にはスピーカ22が取り付けられた消音装置21が設置されている。また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられ、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。
【0039】
密閉型防音構造体11の内部に設けられた消音装置21は、密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、消音装置21に設けられたスピーカ22は、消音装置221のケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する。一方、スリット状の消音材15を有した消音ダクト13は、高周波領域の騒音を低減し、消音ダクト13に設けられたスピーカ25により低周波領域の騒音を低減する。これにより、防音構造内部の音圧上昇を防止できるとともに、開口部から外部へ放射される低減されるので、より効果的な変圧器防音構造を実現することができる。
【0040】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図8は本発明の第4の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図5に示した第2の実施の形態に対し、消音ダクト13の近傍に変圧器本体12からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置26を追加して設けたものである。
【0041】
能動消音装置26は、変圧器1より放射された音を測定するマイクロフォン27、マイクロフォン27で検出された放射音の逆位相の音を演算する制御処理部28、制御処理部28で演算された逆位相の音を出力する制御用スピーカ29とから構成されている。
【0042】
消音ダクト13の開口部14を通過して外部へ放射される騒音については、開口部14に設置された吸音材15の効果により低減される。この構成では、騒音低減対象となる周波数帯域や騒音低減効果は、開口部15の開口面積と吸音材15の面積の比率で決定される。この構成は、主に高周波数帯域において効果的である。
【0043】
さらに、密閉型防音構造体11の内部における消音ダクト13の開口部14付近に設置されたマイクロフォン27により、変圧器本体12より放射された音を測定し、その信号を制御処理装置28に入力する。そして、制御処理装置28により、その制御位置において逆位相となるような音信号を出力し、制御用スピーカ29より放射する。この能動消音装置26は、消音ダクト13よりも低周波数で有効であり、また広い周波数領域で有効である。
【0044】
これにより、変圧器本体11からの騒音を相殺し騒音を低減する。従って、消音ダクト13により、その開口部14付近の音を低減すると共に、消音ダクト13の開口部14を通過する音圧が能動消音装置26で低減されるので、より効果的な防音構造を実現することができる。
【0045】
なお、能動消音装置26の制御用スピーカ29の設置個数や設置位置は、密閉型防音構造体11の内部における消音ダクト13の開口部14付近である必要はなく、対象とする密閉型防音構造体11に対して最適となるように設置すれば良い。
【0046】
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図9は本発明の第5の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図である。この第5の実施の形態は、図8に示した第4の実施の形態に対し、スピーカ22が取り付けられた消音装置21を密閉型防音構造体11内部に追加して設置したものである。
【0047】
図9に示すように、密閉型防音構造体11の内部に変圧器本体12が収納され、また、密閉型防音構造体11の内部にはスピーカ22が取り付けられた消音装置21が設置されている。また、密閉型防音構造体11には消音ダクト13が設けられ、消音ダクト13には低周波領域の騒音を低減するスピーカ25が設けられている。さらに、消音ダクト13の近傍に変圧器本体12からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置26が追加して設けられている。
【0048】
このような構成とすることにより、消音装置21で密閉型防音構造体11の内部の音圧上昇を防止し、消音ダクト13で放射音を低減し、さらに能動消音装置26で変圧器本体の騒音を打ち消すことができる。従って、より効果的な変圧器防音構造を実現することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、変圧器周囲に設置される密閉型防音構造体の内部に設置される消音装置、密閉型防音構造体の開口部に設けられる消音ダクトをより高性能とすることができ、さらに密閉型防音構造体と能動消音装置の相乗的な効果により、より効果的な変圧器防音装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における消音装置の構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における消音装置を密閉型防音構造体内部のコーナーに配置した場合の変圧器防音装置の構成図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における消音装置を密閉型防音構造体内部の音響モードが腹となる位置に設置した場合の変圧器防音装置の構成図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における消音ダクトの構成図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る変圧器防音装置の構成図。
【図10】従来の変圧器防音装置の説明図。
【図11】従来の消音ダクトの説明図。
【図12】従来の共鳴型吸音器の説明図。
【符号の説明】
11…密閉型防音構造体、12…変圧器本体、13…消音ダクト、14…開口部、15…吸音材、16…音、17…共鳴型吸音器、18…ケーシング、19…密閉空間、20…開口部、21…消音装置、22…スピーカ、23…ケーシング、24…開口部、25…スピーカ、26…能動消音装置、27…マイクロフォン、28…制御処理装置、29…制御用スピーカ
Claims (7)
- 変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカとを備えたことを特徴とする変圧器防音装置。
- 前記消音装置を、前記密閉型防音構造体のコーナー部分に設置したことを特徴とする請求項1記載の変圧器防音装置。
- 前記消音装置を、前記密閉型防音構造体の内部に生ずる変圧器騒音の音響モードの腹の位置に設置したことを特徴とする請求項1記載の変圧器防音装置。
- 変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする変圧器防音装置。
- 変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする変圧器防音装置。
- 変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカと、前記消音ダクトの近傍に設けられ変圧器本体からの騒音を打ち消す音を発生させる能動消音装置とを備えたことを特徴とする変圧器防音装置。
- 変圧器本体を収納する密閉型防音構造体と、前記密閉型防音構造体の内部に設けられ一定の体積の密閉空間を形成するケーシングに前記密閉型防音構造体の内部に連通する開口部を有する少なくとも1つの消音装置と、前記消音装置に設けられ前記ケーシング内部の音響インピーダンスを調整する音を発生する少なくとも1つのスピーカと、前記密閉型防音構造体に設けられスリット状の消音材を有し高周波領域の騒音を低減する消音ダクトと、前記消音ダクトに設けられ低周波領域の騒音を低減するスピーカとを備えたことを特徴とする変圧器防音装置。
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JP2013021035A (ja) * | 2011-07-08 | 2013-01-31 | Mitsubishi Electric Corp | 変圧器用騒音低減構造 |
CN107256760A (zh) * | 2017-06-29 | 2017-10-17 | 国家电网公司 | 用于换流变压器的密闭安装空间的模块式降噪装置 |
CN111554491A (zh) * | 2020-05-14 | 2020-08-18 | 广东电网有限责任公司东莞供电局 | 一种隔音装置及隔音方法 |
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2002
- 2002-08-12 JP JP2002234398A patent/JP2004079598A/ja active Pending
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