JP2004078052A - フォトクロミック光学材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトクロミック光学材料の製造方法、及びフォトクロミックレンズを提供する。
【解決手段】フォトクロミック化合物を含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体5〜60重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤の1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【選択図】 なし
【解決手段】フォトクロミック化合物を含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体5〜60重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤の1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック光学材料の製造方法、及びフォトクロミックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学材料の分野では軽量性、安全性、ファッション性等が益々重視されるようになり、従来の無機ガラスから合成樹脂へと材料が移行してきている。その代表的なものとして、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(以下、PADCと略記する。)、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記する。)、ポリカーボネート(以下、PCと略記する。)等がよく知られている。 また、特開昭62−267316号公報で開示されているポリイソシアネートとポリチオールからなるチオウレタン樹脂では屈折率が高い光学材料が得られている。
【0003】
これら光学材料について、最近、太陽光や紫外線によって着色し暗所で退色する機能(フォトクロミック性)を持たせたフォトクロミック光学材料が使用されるようになってきた。このようなフォトクロミック光学材料を製造する方法には、フォトクロミック化合物を溶解又は分散させた溶液に合成樹脂を含浸させて表面に分散あるいはコーティングさせる方法(例えば、米国特許第3216958号明細書、特公平4−45801号公報)が知られている。さらに、フォトクロミック化合物を単量体組成物に溶解した後硬化させて得る方法が知られている。特開昭61−233079号公報ではスピロオキサジン化合物をメチルメタクリレートに溶解させて硬化させる製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォトクロミック化合物を光学材料の表面に分散あるいはコーティングさせる方法は、表面とフォトクロミック化合物との親和性のため使用できる光学材料の種類が限定され、光学用レンズ成形後に多くの処理工程を要し、含浸量の制御が難しいなどの問題があり、実用に適していない。
フォトクロミック化合物を単量体組成物に溶解した後、硬化させる製造方法では、フォトクロミック化合物の単量体組成物への溶解性、硬化後の光応答性の低さや硬化物の屈折率が1.49程度と低いなどの欠点があった(特開昭61−233079号公報)。また、フォトクロミック化合物が反応し、樹脂内部でのフォトクロミック化合物の光応答性が著しく劣るなどの問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、フォトクロミック化合物含有光学材料を製造する場合に、光応答性の速いフォトクロミック性を有するとともに、低比重、耐衝撃性等の諸物性を有するフォトクロミック光学材料の製造方法、さらに高屈折率であるフォトクロミック光学材料の製造方法及びフォトクロミックレンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を以下に示す。
(1)フォトクロミック化合物を含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体5〜60重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系重合ラジカル開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤から選ばれる1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【0009】
(2)フォトクロミック化合物と、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体20〜70重量%、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを合計量で30〜80重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤から選ばれる1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【0012】
(3)前記(1)又は(2)に記載のフォトクロミック光学材料の製造方法により得られるフォトクロミックレンズ。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基(メタクリル基又はアクリル基を意味する。)を有する重合性単量体を5〜60重量%含む単量体組成物を硬化するものである。式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体の使用により、硬化後の透明材料においてより速い光応答性をもたせると共に低比重、耐衝撃性、耐熱性、耐久性、硬度等の光学材料に要求される諸特性を付与することができる。ここで、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、k、p、mは0又は1を示す。j、nは同一又は異なる整数で4〜20の整数を示し、より好ましくは4〜8である。20を超えると硬化後の光学材料の耐熱性、耐久性、硬度が著しく低下する。
【0014】
式(1)で示される(メタ)アクリレートの好ましい具体的な例としては、硬化後のフォトクロミック光学材料、フォトクロミックレンズの屈折率、耐衝撃性、耐熱性、硬度等の諸特性をより向上させるためには、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0015】
また、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシヘキサエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシヘプタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス4−2−(メタ)アクリロキシオクタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタデカエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス{4−[(2−(メタ)アクリロキシエトキシ)エトキシカルボニルオキシ]フェニル}プロパン等の芳香族環を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族環を有するジ(メタ)アクリレートを使用すると、より光学材料の屈折率、耐熱性、硬度等の諸特性を向上させることができる。これらの単量体は1種又は2種以上の混合物で使用することができる。
【0016】
式(1)で示される(メタ)アクリル基を有する重合性単量体の光学材料を得るための単量体組成物中の割合は、通常は、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で用いられる。5重量%未満では、硬化後にフォトクロミック化合物に十分な光応答性をもたせることができず、60重量%を超えると製造後の光学材料が耐熱性、耐久性、硬度等の光学材料に要求される諸特性を満たさなくなる。
【0017】
本発明の単量体組成物に含むことのできる単量体は、式(1)のジ(メタ)アクリレートがラジカル重合開始剤により重合反応を行うものであれば特に限定されない。具体的には、光学材料の原料として一般に使用されるビニル単量体、例えば、メチルメタクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカ−ボネ−ト、スチレン、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシエチルエトキシ)フェニル]プロパン、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、アリルエステルオリゴマー等の1種あるいは2種以上の混合物が好ましい。単量体は単量体組成物中40〜95重量%用いることができる。
【0018】
また、硬化物であるフォトクロミック光学材料の屈折率を高めるため、ウレタン系樹脂又はチオウレタン系樹脂の原料であるポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを含んだ単量体組成物を使用することができる。
【0019】
使用できるポリオール又はポリチオールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、3,3’−ジチオジプロピオン酸、エチレングリコールジチオグリコレート、2,2’−チオジエタンチオール、2,2’−オキシエタンチオール、ジメルカプトトリエチレンジスルフィド、1,3−ジチオグリセリン、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0020】
ポリイソシアネートとしては、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ−ト、イソシアネートエチルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
これらのポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートの単量体組成物中の割合は、合計量で単量体組成物中30〜80重量%が適している。30重量%未満では目的の十分な屈折率が得られない。
前述のポリオール又はポリチオールはそれらの1種又は2種以上の混合物でも使用できる。
【0022】
この場合、屈折率、硬度、比重、染色性、ハードコート密着性等の硬化物の諸特性を調整する目的で単量体を含ませることができる。単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロイルモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を1個有する単量体;ハロゲン核置換スチレン、メチル核置換スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のビニル系単量体が挙げられる。
【0023】
さらに、耐熱性、硬度を調整するために式(1)のジ(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル基を2個以上有する単量体である2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、各種ウレタン系ポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを使用できる。
【0024】
これらの単量体は1種又は2種以上の混合物で使用することができ、単量体組成物中に添加使用される量は、20重量%以下の範囲が適している。20重量%を超えると硬化後の光学材料に十分なフォトクロミック性が発現し難くなる。
【0025】
本発明に用いるフォトクロミック化合物は、紫外線や可視光線の吸収により光透過性が変化し、光源を断つと透過性が元に戻る特性を有する化合物である。フォトクロミック化合物としては、具体的には例えば二チオン酸水銀、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、スピロ−インドリン化合物、フルギド化合物、フルギミド化合物、アダマンチリデン化合物、シクロファン化合物、クロメン化合物等の1種ないし2種以上の混合系が挙げられる。フォトクロミック化合物の添加量は、単量体組成物に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の割合である。0.001重量%未満ではフォトクロミック化合物によるフォトクロミック性が十分発揮できず、10重量%を超えると光学材料の硬化不良や光線透過率が著しく低下する傾向がある。
【0026】
本発明は、さらに単量体組成物に紫外線吸収剤を添加することもでき、フォトクロミック光学材料にUVカット性能を付与し、劣化やレンズとして使用する際に目への影響を少なくすることができる。
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸フェニル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられ、ヒンダードアミン系の光安定剤を用いることもでき、これらの1種ないし2種以上の混合系にて使用できる。
【0027】
好ましい紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジタ−シャリブチルフェニル)−5−クロロ‐ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリアミルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’‐ヒドロキシ−3’,5’−ジタ−シャリブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリオクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0028】
紫外線吸収剤の添加量は単量体中組成物に対して、通常は、0.001〜5重量%であり、好ましくは0.01〜1重量%の割合である。この割合が0.001重量%未満では硬化したフォトクロミック光学材料にUVカット性能を付与する効果が十分得られず、5重量%を超えると紫外線吸収剤自体によりフォトクロミック光学材料が黄変する傾向にある。
【0029】
本発明の製造法において光学材料を製造するために単量体組成物を硬化するためには、単量体組成物にラジカル重合開始剤を添加し、次に加熱硬化法又は活性エネルギー線硬化法により硬化させて得ることができる。
ここで、本発明において、ラジカル重合開始剤としてペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤を用いることを特徴とする。これらのラジカル重合開始剤を用いて単量体組成物を硬化すると、硬化時のフォトクロミック化合物の分解を防止し、さらに、ポリオール、ポリチオール、ポリイソシアネート等を含む場合には、硬化時の着色を抑制することができる。
【0030】
ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−へキシルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルぺルオキシネオデカノエート、t−へキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシノナノエートが挙げられる。
【0031】
パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤としては、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0032】
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルが挙げられる。
これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、さらに必要に応じて他のラジカル重合開始剤を併用しても良い。
【0033】
本発明において、ラジカル重合開始剤の添加量は、単量体組成物に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。0.01重量%未満では硬化が不十分となり、10重量%を超えると硬化物に歪みが入る傾向にある。
【0034】
また、本発明のフォトクロミック光学材料を得るための単量体組成物には、酸化防止剤、着色剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤等の添加剤を通常使用する範囲で用いることができる。
さらに、フォトクロミック化合物の劣化防止あるいは単量体組成物の安定化の目的で、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類を添加することもできる。
【0035】
本発明の製造方法によりフォトクロミックレンズを得ることができる。例えば、単量体組成物にラジカル重合開始剤を添加後、所望のレンズ形状の金属製、ガラス製、プラスチック製等の金型に注入し、加熱硬化する。その後、脱型することによって得ることができる。得られたレンズは透明で、溶媒に不溶な架橋型のフォトクロミックレンズを得ることができる。
【0036】
このとき硬化の条件としては、一般的には、重合温度30〜100℃の範囲で、好ましくは該温度範囲で昇温しながら硬化を行う。重合時間は一般的には5〜72時間、好ましくは10〜36時間である。
脱型後、窒素又は空気雰囲気下、80〜120℃の温度でレンズを1〜5時間アニーリング処理することが望ましい。
また他の方法としては、硬化物から所望のレンズ形状に切削加工して得ることもできる。
【0037】
本発明の製造方法により得られたフォトクロミックレンズはそのまま用いることもできるが、必要に応じて表面硬度を向上させるためのハードコート処理、ファッション性を付与するための分散染料による着色処理を行うこともできる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜8
表1に示される各成分の単量体組成物(20g)に、フォトクロミック化合物(0.02g)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(商品名;パーブチルND、日本油脂(株)製、0.4g)添加し、攪拌混合した(実施例1、2、4、6、7)。また、単量体成分にジエチレングリコールビスアリルカーボネートを含む場合にはラジカル重合開始剤としてペルオキシケタール(商品名;パーヘキサ3M、日本油脂(株)製、0.7g)とt−ブチルペルオキシネオデカノエート(0.1g)を撹拌混合した(実施例3、5、8)。
これを、直径7cmの2枚のガラス製円板と厚さ2mmのエチレン−プロピレンラバー製ガスケットからなる注型に注入した。その後、プログラム温度コントローラー付熱風恒温槽中で、30℃から100℃まで18時間かけて昇温し、次に100℃で2時間保持した後、40℃まで2時間かけて冷却した。その後、脱型した円盤状の樹脂をさらに2時間、110℃でアニーリング処理をおこなった。
【0040】
実施例9〜16
表2に示される各成分の単量体組成物(20g)にアミン系化合物として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(100ppm)、さらにラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシネオデカノエート(0.4g)を用いた。実施例1〜8と同様に硬化を行い、試験片による物性評価を行った。その結果を表2に示した。
【0041】
比較例1
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(20g)にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、ラジカル重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシカーボネート(以後IPPと表記する。0.6g)を添加し、実施例1〜8と同様の条件で硬化し、物性評価を行った。結果を表3に示した。
【0042】
比較例2
メチルメタクリレート(20g)にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(0.2g)を添加し、実施例1〜8と同様の条件で硬化し、物性評価した。結果を表3に示した。
【0043】
比較例3
表1に示した実施例6において、t−ブチルペルオキシネオデカノエートの代わりにIPP(0.6g)を添加した。実施例6と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0044】
比較例4
表2に示した実施例12において、t−ブチルペルオキシネオデカノエートの代わりにIPP(0.6g)を添加した。実施例12と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0045】
比較例5
XDI(8.7g)及び、PETT(11.3g)からなる単量体組成物にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、硬化剤としてジブチルチンジラウレート(200ppm)を添加した。実施例1〜8と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0046】
比較例6
表2に示した実施例12において、単量体としてBPE−5E(7g)の代わりBPE−2E(7g)を用いた。実施例12と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0047】
比較例7
フォトクロミック化合物を含ませず、比較例1〜6の単量体組成物を硬化させた。次に、これをフォトクロミック化合物P2がメタノールに20重量%の濃度で溶解した溶液に80℃で1時間浸漬した。その後、試験板を水洗、乾燥させてから物性試験した。その結果を表3に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
表中( )は、単量体成分の単量体組成物中の重量%を示す。なお、フォトクロミック化合物については、単量体組成物に対する重量%を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表中( )は、単量体成分の単量体組成物中の重量%を示す。なお、フォトクロミック化合物については、単量体組成物に対する重量%を示す。
【0052】
【表3】
【0053】
なお表中の略号は次の通りである。
A成分(ジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体)
DA9EG;ノナエチレングリコールジアクリレート、
DM9EG;ノナエチレングリコールジメタクリレート、
BPE−5EA;2,2−ビス(4−アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、
BPE−5E;2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、
BPE−15E;2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタデカエトキシフェニル)プロパン、
HE−5BP;2,2−ビス[(4−メタクリロキシペンタエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン。
【0054】
B成分(単量体成分)
MMA;メチルメタクリレート、
BPE−2E;2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
ADC;ジエチレングリコールビスアリルカ−ボネ−ト(登録商標CR−39、PPG社製)。
【0055】
C成分(ポリオール、ポリチオール、又はポリイソシアネート)
TMI;3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ−ト、
XDI;m−キシリレンジイソシアネート、
ETT;2、2’−チオジエタンチオール、
PETT;ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、
【0056】
フォトクロミック化合物
P1(スピロピラン系);1’,3’−ジヒドロ−5’−メトキシ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、
P2(スピロオキサジン系);1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−スピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]フェナントロ[9,10−b][1,4]]オキサジン、
P3(フルギド系);3−アダマンタン−2−イリデン−4−[1−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2−メチル−プロピリデン]−ジヒドロ−フラン−2,5−ジオン、
P4(クロメン系);4−[3−フェニル−3−(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−3H−ベンゾ[f]クロメン−6−イル]モルホリン。
【0057】
また、得られた樹脂板の性能評価は、下記の各試験方法により行った。
(1)光線透過率
日本電色工業(株)製透過率光度計を用い、JIS K 7105に従い、試験板の光線透過率を測定した。試験は、試験板をUV照射(セリック(株)製、SOLAX XC−500ESS)した後、発色までの時間(R1)、その時の光線透過率(T1)および消光までの時間(R2)、その時の光線透過率(T2)によりフォトクロミック性を評価した。
(2)屈折率及びアッベ数
アタゴ製アッベ屈折計を用い25℃で、樹脂板から1cm×1.5cmの試験片を切り出して、これを測定した。
【0058】
(3)比重
JIS K 7112に従い、25℃で水中置換法により比重(g/cm3)測定した。
(4)耐衝撃性
重量16gのスチール製ボールを127cmの高さから樹脂板上に自然落下させて、破損のないものを○とし、破損のあるものを×とした。
(5)耐熱性
樹脂板から1cm×4cmの板を切り出し、東洋ボールドウィン社製レオバイブロンにより動的粘弾性を測定し、そのtanδの最大を示す温度をガラス転移温度(Tg)として耐熱性の指標とした。
【0059】
実施例により得られた硬化物は、光学材料、あるいはレンズに要求される基本特性を有しているのみならず、比較例の樹脂と比較してもフォトクロミック化合物の光応答速度、色安定性に優れた物性が得られる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の光学材料の製造方法では、光応答性の速いフォトクロミック性を有するとともに、低比重、耐衝撃性等の諸物性を有するフォトクロミック光学材料を製造でき、さらに高屈折率であるフォトクロミック光学材料を製造できる。
低比重、耐熱性、耐衝撃性、高屈折率、色安定姓等の諸物性にも優れているフォトクロミックレンズを提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック光学材料の製造方法、及びフォトクロミックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学材料の分野では軽量性、安全性、ファッション性等が益々重視されるようになり、従来の無機ガラスから合成樹脂へと材料が移行してきている。その代表的なものとして、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(以下、PADCと略記する。)、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記する。)、ポリカーボネート(以下、PCと略記する。)等がよく知られている。 また、特開昭62−267316号公報で開示されているポリイソシアネートとポリチオールからなるチオウレタン樹脂では屈折率が高い光学材料が得られている。
【0003】
これら光学材料について、最近、太陽光や紫外線によって着色し暗所で退色する機能(フォトクロミック性)を持たせたフォトクロミック光学材料が使用されるようになってきた。このようなフォトクロミック光学材料を製造する方法には、フォトクロミック化合物を溶解又は分散させた溶液に合成樹脂を含浸させて表面に分散あるいはコーティングさせる方法(例えば、米国特許第3216958号明細書、特公平4−45801号公報)が知られている。さらに、フォトクロミック化合物を単量体組成物に溶解した後硬化させて得る方法が知られている。特開昭61−233079号公報ではスピロオキサジン化合物をメチルメタクリレートに溶解させて硬化させる製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォトクロミック化合物を光学材料の表面に分散あるいはコーティングさせる方法は、表面とフォトクロミック化合物との親和性のため使用できる光学材料の種類が限定され、光学用レンズ成形後に多くの処理工程を要し、含浸量の制御が難しいなどの問題があり、実用に適していない。
フォトクロミック化合物を単量体組成物に溶解した後、硬化させる製造方法では、フォトクロミック化合物の単量体組成物への溶解性、硬化後の光応答性の低さや硬化物の屈折率が1.49程度と低いなどの欠点があった(特開昭61−233079号公報)。また、フォトクロミック化合物が反応し、樹脂内部でのフォトクロミック化合物の光応答性が著しく劣るなどの問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、フォトクロミック化合物含有光学材料を製造する場合に、光応答性の速いフォトクロミック性を有するとともに、低比重、耐衝撃性等の諸物性を有するフォトクロミック光学材料の製造方法、さらに高屈折率であるフォトクロミック光学材料の製造方法及びフォトクロミックレンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を以下に示す。
(1)フォトクロミック化合物を含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体5〜60重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系重合ラジカル開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤から選ばれる1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【0009】
(2)フォトクロミック化合物と、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体20〜70重量%、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを合計量で30〜80重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤から選ばれる1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる4〜20の整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
【0012】
(3)前記(1)又は(2)に記載のフォトクロミック光学材料の製造方法により得られるフォトクロミックレンズ。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基(メタクリル基又はアクリル基を意味する。)を有する重合性単量体を5〜60重量%含む単量体組成物を硬化するものである。式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体の使用により、硬化後の透明材料においてより速い光応答性をもたせると共に低比重、耐衝撃性、耐熱性、耐久性、硬度等の光学材料に要求される諸特性を付与することができる。ここで、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフェニレン基を示し、k、p、mは0又は1を示す。j、nは同一又は異なる整数で4〜20の整数を示し、より好ましくは4〜8である。20を超えると硬化後の光学材料の耐熱性、耐久性、硬度が著しく低下する。
【0014】
式(1)で示される(メタ)アクリレートの好ましい具体的な例としては、硬化後のフォトクロミック光学材料、フォトクロミックレンズの屈折率、耐衝撃性、耐熱性、硬度等の諸特性をより向上させるためには、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0015】
また、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシヘキサエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシヘプタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス4−2−(メタ)アクリロキシオクタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタデカエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス{4−[(2−(メタ)アクリロキシエトキシ)エトキシカルボニルオキシ]フェニル}プロパン等の芳香族環を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族環を有するジ(メタ)アクリレートを使用すると、より光学材料の屈折率、耐熱性、硬度等の諸特性を向上させることができる。これらの単量体は1種又は2種以上の混合物で使用することができる。
【0016】
式(1)で示される(メタ)アクリル基を有する重合性単量体の光学材料を得るための単量体組成物中の割合は、通常は、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で用いられる。5重量%未満では、硬化後にフォトクロミック化合物に十分な光応答性をもたせることができず、60重量%を超えると製造後の光学材料が耐熱性、耐久性、硬度等の光学材料に要求される諸特性を満たさなくなる。
【0017】
本発明の単量体組成物に含むことのできる単量体は、式(1)のジ(メタ)アクリレートがラジカル重合開始剤により重合反応を行うものであれば特に限定されない。具体的には、光学材料の原料として一般に使用されるビニル単量体、例えば、メチルメタクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカ−ボネ−ト、スチレン、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシエチルエトキシ)フェニル]プロパン、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、アリルエステルオリゴマー等の1種あるいは2種以上の混合物が好ましい。単量体は単量体組成物中40〜95重量%用いることができる。
【0018】
また、硬化物であるフォトクロミック光学材料の屈折率を高めるため、ウレタン系樹脂又はチオウレタン系樹脂の原料であるポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを含んだ単量体組成物を使用することができる。
【0019】
使用できるポリオール又はポリチオールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、3,3’−ジチオジプロピオン酸、エチレングリコールジチオグリコレート、2,2’−チオジエタンチオール、2,2’−オキシエタンチオール、ジメルカプトトリエチレンジスルフィド、1,3−ジチオグリセリン、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0020】
ポリイソシアネートとしては、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ−ト、イソシアネートエチルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
これらのポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートの単量体組成物中の割合は、合計量で単量体組成物中30〜80重量%が適している。30重量%未満では目的の十分な屈折率が得られない。
前述のポリオール又はポリチオールはそれらの1種又は2種以上の混合物でも使用できる。
【0022】
この場合、屈折率、硬度、比重、染色性、ハードコート密着性等の硬化物の諸特性を調整する目的で単量体を含ませることができる。単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロイルモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を1個有する単量体;ハロゲン核置換スチレン、メチル核置換スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のビニル系単量体が挙げられる。
【0023】
さらに、耐熱性、硬度を調整するために式(1)のジ(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル基を2個以上有する単量体である2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、各種ウレタン系ポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを使用できる。
【0024】
これらの単量体は1種又は2種以上の混合物で使用することができ、単量体組成物中に添加使用される量は、20重量%以下の範囲が適している。20重量%を超えると硬化後の光学材料に十分なフォトクロミック性が発現し難くなる。
【0025】
本発明に用いるフォトクロミック化合物は、紫外線や可視光線の吸収により光透過性が変化し、光源を断つと透過性が元に戻る特性を有する化合物である。フォトクロミック化合物としては、具体的には例えば二チオン酸水銀、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、スピロ−インドリン化合物、フルギド化合物、フルギミド化合物、アダマンチリデン化合物、シクロファン化合物、クロメン化合物等の1種ないし2種以上の混合系が挙げられる。フォトクロミック化合物の添加量は、単量体組成物に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の割合である。0.001重量%未満ではフォトクロミック化合物によるフォトクロミック性が十分発揮できず、10重量%を超えると光学材料の硬化不良や光線透過率が著しく低下する傾向がある。
【0026】
本発明は、さらに単量体組成物に紫外線吸収剤を添加することもでき、フォトクロミック光学材料にUVカット性能を付与し、劣化やレンズとして使用する際に目への影響を少なくすることができる。
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸フェニル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられ、ヒンダードアミン系の光安定剤を用いることもでき、これらの1種ないし2種以上の混合系にて使用できる。
【0027】
好ましい紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジタ−シャリブチルフェニル)−5−クロロ‐ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリアミルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’‐ヒドロキシ−3’,5’−ジタ−シャリブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリオクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0028】
紫外線吸収剤の添加量は単量体中組成物に対して、通常は、0.001〜5重量%であり、好ましくは0.01〜1重量%の割合である。この割合が0.001重量%未満では硬化したフォトクロミック光学材料にUVカット性能を付与する効果が十分得られず、5重量%を超えると紫外線吸収剤自体によりフォトクロミック光学材料が黄変する傾向にある。
【0029】
本発明の製造法において光学材料を製造するために単量体組成物を硬化するためには、単量体組成物にラジカル重合開始剤を添加し、次に加熱硬化法又は活性エネルギー線硬化法により硬化させて得ることができる。
ここで、本発明において、ラジカル重合開始剤としてペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤を用いることを特徴とする。これらのラジカル重合開始剤を用いて単量体組成物を硬化すると、硬化時のフォトクロミック化合物の分解を防止し、さらに、ポリオール、ポリチオール、ポリイソシアネート等を含む場合には、硬化時の着色を抑制することができる。
【0030】
ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−へキシルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルぺルオキシネオデカノエート、t−へキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシノナノエートが挙げられる。
【0031】
パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤としては、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0032】
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルが挙げられる。
これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、さらに必要に応じて他のラジカル重合開始剤を併用しても良い。
【0033】
本発明において、ラジカル重合開始剤の添加量は、単量体組成物に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。0.01重量%未満では硬化が不十分となり、10重量%を超えると硬化物に歪みが入る傾向にある。
【0034】
また、本発明のフォトクロミック光学材料を得るための単量体組成物には、酸化防止剤、着色剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤等の添加剤を通常使用する範囲で用いることができる。
さらに、フォトクロミック化合物の劣化防止あるいは単量体組成物の安定化の目的で、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類を添加することもできる。
【0035】
本発明の製造方法によりフォトクロミックレンズを得ることができる。例えば、単量体組成物にラジカル重合開始剤を添加後、所望のレンズ形状の金属製、ガラス製、プラスチック製等の金型に注入し、加熱硬化する。その後、脱型することによって得ることができる。得られたレンズは透明で、溶媒に不溶な架橋型のフォトクロミックレンズを得ることができる。
【0036】
このとき硬化の条件としては、一般的には、重合温度30〜100℃の範囲で、好ましくは該温度範囲で昇温しながら硬化を行う。重合時間は一般的には5〜72時間、好ましくは10〜36時間である。
脱型後、窒素又は空気雰囲気下、80〜120℃の温度でレンズを1〜5時間アニーリング処理することが望ましい。
また他の方法としては、硬化物から所望のレンズ形状に切削加工して得ることもできる。
【0037】
本発明の製造方法により得られたフォトクロミックレンズはそのまま用いることもできるが、必要に応じて表面硬度を向上させるためのハードコート処理、ファッション性を付与するための分散染料による着色処理を行うこともできる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜8
表1に示される各成分の単量体組成物(20g)に、フォトクロミック化合物(0.02g)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(商品名;パーブチルND、日本油脂(株)製、0.4g)添加し、攪拌混合した(実施例1、2、4、6、7)。また、単量体成分にジエチレングリコールビスアリルカーボネートを含む場合にはラジカル重合開始剤としてペルオキシケタール(商品名;パーヘキサ3M、日本油脂(株)製、0.7g)とt−ブチルペルオキシネオデカノエート(0.1g)を撹拌混合した(実施例3、5、8)。
これを、直径7cmの2枚のガラス製円板と厚さ2mmのエチレン−プロピレンラバー製ガスケットからなる注型に注入した。その後、プログラム温度コントローラー付熱風恒温槽中で、30℃から100℃まで18時間かけて昇温し、次に100℃で2時間保持した後、40℃まで2時間かけて冷却した。その後、脱型した円盤状の樹脂をさらに2時間、110℃でアニーリング処理をおこなった。
【0040】
実施例9〜16
表2に示される各成分の単量体組成物(20g)にアミン系化合物として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(100ppm)、さらにラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシネオデカノエート(0.4g)を用いた。実施例1〜8と同様に硬化を行い、試験片による物性評価を行った。その結果を表2に示した。
【0041】
比較例1
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(20g)にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、ラジカル重合開始剤としてジイソプロピルペルオキシカーボネート(以後IPPと表記する。0.6g)を添加し、実施例1〜8と同様の条件で硬化し、物性評価を行った。結果を表3に示した。
【0042】
比較例2
メチルメタクリレート(20g)にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(0.2g)を添加し、実施例1〜8と同様の条件で硬化し、物性評価した。結果を表3に示した。
【0043】
比較例3
表1に示した実施例6において、t−ブチルペルオキシネオデカノエートの代わりにIPP(0.6g)を添加した。実施例6と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0044】
比較例4
表2に示した実施例12において、t−ブチルペルオキシネオデカノエートの代わりにIPP(0.6g)を添加した。実施例12と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0045】
比較例5
XDI(8.7g)及び、PETT(11.3g)からなる単量体組成物にフォトクロミック化合物P2(0.02g)、硬化剤としてジブチルチンジラウレート(200ppm)を添加した。実施例1〜8と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0046】
比較例6
表2に示した実施例12において、単量体としてBPE−5E(7g)の代わりBPE−2E(7g)を用いた。実施例12と同様にして硬化し、試験片による物性評価した。その結果を表3に示した。
【0047】
比較例7
フォトクロミック化合物を含ませず、比較例1〜6の単量体組成物を硬化させた。次に、これをフォトクロミック化合物P2がメタノールに20重量%の濃度で溶解した溶液に80℃で1時間浸漬した。その後、試験板を水洗、乾燥させてから物性試験した。その結果を表3に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
表中( )は、単量体成分の単量体組成物中の重量%を示す。なお、フォトクロミック化合物については、単量体組成物に対する重量%を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表中( )は、単量体成分の単量体組成物中の重量%を示す。なお、フォトクロミック化合物については、単量体組成物に対する重量%を示す。
【0052】
【表3】
【0053】
なお表中の略号は次の通りである。
A成分(ジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体)
DA9EG;ノナエチレングリコールジアクリレート、
DM9EG;ノナエチレングリコールジメタクリレート、
BPE−5EA;2,2−ビス(4−アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、
BPE−5E;2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、
BPE−15E;2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタデカエトキシフェニル)プロパン、
HE−5BP;2,2−ビス[(4−メタクリロキシペンタエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン。
【0054】
B成分(単量体成分)
MMA;メチルメタクリレート、
BPE−2E;2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
ADC;ジエチレングリコールビスアリルカ−ボネ−ト(登録商標CR−39、PPG社製)。
【0055】
C成分(ポリオール、ポリチオール、又はポリイソシアネート)
TMI;3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ−ト、
XDI;m−キシリレンジイソシアネート、
ETT;2、2’−チオジエタンチオール、
PETT;ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、
【0056】
フォトクロミック化合物
P1(スピロピラン系);1’,3’−ジヒドロ−5’−メトキシ−1’,3’,3’−トリメチル−6−ニトロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2’−(2H)−インドール]、
P2(スピロオキサジン系);1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−スピロ[2H−インドール−2,3’−[3H]フェナントロ[9,10−b][1,4]]オキサジン、
P3(フルギド系);3−アダマンタン−2−イリデン−4−[1−(2,5−ジメチル−チオフェン−3−イル)−2−メチル−プロピリデン]−ジヒドロ−フラン−2,5−ジオン、
P4(クロメン系);4−[3−フェニル−3−(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−3H−ベンゾ[f]クロメン−6−イル]モルホリン。
【0057】
また、得られた樹脂板の性能評価は、下記の各試験方法により行った。
(1)光線透過率
日本電色工業(株)製透過率光度計を用い、JIS K 7105に従い、試験板の光線透過率を測定した。試験は、試験板をUV照射(セリック(株)製、SOLAX XC−500ESS)した後、発色までの時間(R1)、その時の光線透過率(T1)および消光までの時間(R2)、その時の光線透過率(T2)によりフォトクロミック性を評価した。
(2)屈折率及びアッベ数
アタゴ製アッベ屈折計を用い25℃で、樹脂板から1cm×1.5cmの試験片を切り出して、これを測定した。
【0058】
(3)比重
JIS K 7112に従い、25℃で水中置換法により比重(g/cm3)測定した。
(4)耐衝撃性
重量16gのスチール製ボールを127cmの高さから樹脂板上に自然落下させて、破損のないものを○とし、破損のあるものを×とした。
(5)耐熱性
樹脂板から1cm×4cmの板を切り出し、東洋ボールドウィン社製レオバイブロンにより動的粘弾性を測定し、そのtanδの最大を示す温度をガラス転移温度(Tg)として耐熱性の指標とした。
【0059】
実施例により得られた硬化物は、光学材料、あるいはレンズに要求される基本特性を有しているのみならず、比較例の樹脂と比較してもフォトクロミック化合物の光応答速度、色安定性に優れた物性が得られる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の光学材料の製造方法では、光応答性の速いフォトクロミック性を有するとともに、低比重、耐衝撃性等の諸物性を有するフォトクロミック光学材料を製造でき、さらに高屈折率であるフォトクロミック光学材料を製造できる。
低比重、耐熱性、耐衝撃性、高屈折率、色安定姓等の諸物性にも優れているフォトクロミックレンズを提供できる。
Claims (3)
- フォトクロミック化合物を含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体5〜60重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤の1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
- フォトクロミック化合物と、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを含む単量体組成物を硬化させてフォトクロミック光学材料を製造するに際し、単量体組成物を下記式(1)で示されるジ(メタ)アクリル基を有する重合性単量体20〜70重量%、ポリオール又はポリチオールとポリイソシアネートとを合計量で30〜80重量%を含む単量体組成物とし、これにフォトクロミック化合物を単量体組成物に対して0.001〜10重量%、ペルオキシエステル系ラジカル重合開始剤、ペルオキシケタール系ラジカル重合開始剤又はアゾ系ラジカル重合開始剤の1種又は2種以上のラジカル重合開始剤を単量体組成物に対して0.01〜10重量%の割合で添加して、硬化することを特徴とするフォトクロミック光学材料の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のフォトクロミック光学材料の製造方法により得られるフォトクロミックレンズ。
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