JP2003098302A - プラスチック光学材料用単量体組成物、その硬化物及びレンズ - Google Patents

プラスチック光学材料用単量体組成物、その硬化物及びレンズ

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JP2003098302A
JP2003098302A JP2001292633A JP2001292633A JP2003098302A JP 2003098302 A JP2003098302 A JP 2003098302A JP 2001292633 A JP2001292633 A JP 2001292633A JP 2001292633 A JP2001292633 A JP 2001292633A JP 2003098302 A JP2003098302 A JP 2003098302A
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plastic optical
optical material
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monomer
meth
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Mutsuo Kuwata
睦男 桑田
Katsuyoshi Tanaka
克佳 田中
Toshiaki Takaoka
利明 高岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトクロミック化合物の劣化による色変化
が抑制され、しかも硬化物中のフォトクロミック化合物
による光応答性が速い上に、しかも低比重、耐熱性、耐
衝撃性等の諸物性にも優れるプラスチック光学材料用単
量体組成物、その硬化物及びレンズを提供する。 【解決手段】 分子内にメタクリル基又はアクリル基を
有する重合性単量体、アミン系化合物およびフォトクロ
ミック化合物を含有するプラスチック光学材料用単量体
組成物。これにラジカル重合開始剤を添加後、硬化させ
て得られるプラスチック光学材料及びレンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトクロミック
化合物の劣化による色変化が抑制され、しかも硬化物中
のフォトクロミック化合物による光応答性が速い上に、
しかも低比重、耐熱性、耐衝撃性等の諸物性にも優れる
プラスチック光学材料用単量体組成物、その硬化物及び
レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学材料の分野では軽量性、安全
性、ファッション性等が益々重視されるようになり、従
来の無機ガラスから合成樹脂へと材料が移行してきてい
る。その代表的なものとして、ポリジエチレングリコー
ルビスアリルカーボネート(以下、PADCと略記す
る。)、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと
略記する。)、ポリカーボネート(以下、PCと略記す
る。)等がよく知られている。
【0003】これら合成樹脂に対して、最近、太陽光や
紫外線によって着色し暗所で退色するフォトクロミック
性を持たせたフォトクロミックレンズが使用されるよう
になってきた。一般的にこのようなフォトクロミックレ
ンズを製造する方法には、光学用樹脂にフォトクロミッ
ク化合物を練り込んで成型する方法、光学用樹脂をフォ
トクロミック化合物を溶解又は分散させた溶液に含浸さ
せて樹脂表面に分散或いはコーティングさせる方法、お
よびフォトクロミック化合物を単量体に溶解した後硬化
させて得る方法が知られている。例えば、特開昭61−
161286号公報にはスピロオキサジン化合物を樹脂
に練り込む方法が開示されている。しかしながら、この
方法は樹脂を200℃以上の高温で溶融するためフォト
クロミック化合物の劣化や分散に欠点があり、成型物で
の光応答性が低いことなども問題であった。また、米国
特許第3216958号明細書、特開昭61−2284
02号公報にはフォトクロミック化合物を樹脂の表面に
拡散する方法やあるいは塗布させる方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法では樹脂が限定されたり、
光学用レンズの処理工程が多くかかることやフォトクロ
ミック化合物が混合物の場合では含浸量の制御が難しい
などの問題があった。さらに特開昭61−233079
号公報ではスピロオキサジン化合物をメチルメタクリレ
ートに溶解させて硬化させる方法が提案されている。こ
の方法では、単量体の性質や硬化剤のラジカル重合開始
剤のためフォトクロミック化合物が劣化する問題、光応
答性の低さや硬化物の屈折率が1.49程度と低いなど
の欠点もあった。
【0004】このため、これらを改良する方法として特
開平1−259013号公報、特開平7−2938号公
報に重合性アリルカーボネートを使用する方法が開示さ
れているが、この方法ではアリル系単量体を使用してい
るため、硬化剤であるラジカル重合開始剤が限定されて
しまい、フォトクロミック化合物が劣化してしまう問題
があり、さらに硬化物の発色と退色の光応答速度が十分
でない。一方、特開昭62−267316号公報で開示
されているポリイソシアネートとポリチオールからなる
チオウレタン樹脂では屈折率が高いものが得られている
が、フォトクロミック化合物がイソシアネートと反応し
てしまうためフォトクロミック性が見られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように前記の方
法により得られる各種フォトクロミックレンズではフォ
トクロミック化合物の性能が発揮されないことが多い。
本発明の目的は、前述の従来技術の欠点を改善して、単
量体や硬化物中の酸によるフォトクロミック化合物の劣
化が抑制され、しかも硬化物の光応答性が速い上に、し
かも低比重、耐熱性、耐衝撃性等の諸物性にも優れるプ
ラスチック光学材料用単量体組成物、その硬化物及びレ
ンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、分子内に
メタクリル基又はアクリル基を有する重合性単量体、ア
ミン系化合物およびフォトクロミック化合物を含有する
プラスチック光学材料用単量体組成物である。第2の発
明は、分子内にメタクリル基又はアクリル基を有する重
合性単量体、チオウレタン樹脂単量体成分、アミン系化
合物およびフォトクロミック化合物を含有するプラスチ
ック光学材料用単量体組成物である。第3の発明は、分
子内にメタクリル基又はアクリル基を有する重合性単量
体が、下記式(1)で示されるものを含んでなる第1又
は第2の発明のプラスチック光学材料用単量体組成物。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、Phはフェニレン基を示し、j、nは同一又は異
なる1〜10の整数を示し、k、p、mは0又は1を示
す。)第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明の
プラスチック光学材料用単量体組成物にラジカル重合開
始剤を添加後、硬化させて得られるプラスチック光学材
料である。第5の発明は、第4の発明のプラスチック光
学材料からなるレンズである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の分子内にメタクリル基又
はアクリル基を有する重合性単量体は、1分子中にメタ
クリル基又はアクリル基を1個以上有する化合物であれ
ば特に限定されない。具体的には、メチル(メタ)アク
リレート(メチルメタクリレート及び/又はメチルアク
リレートを意味する。以下、同様に表記する。)、エチ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、s−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グ
リセロイルモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、2ーメトキシエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メ
トキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の
単量体が挙げられる。
【0010】さらに、硬化後の樹脂においてより速い光
応答性をもたせると共に耐熱性、耐衝撃性、耐久性や硬
度等の光学材料に要求される諸特性を付与する目的には
前記式(1)に示されるジ(メタ)アクリレートを含む
ことが好ましい。式(1)において、k、p、mは0又
は1を示す。j、nは同一又は異なる整数で1〜10を
示し、より好ましくは3〜8である。10を超えると硬
化時の樹脂の耐熱性、耐久性、硬度が著しく低下する傾
向にある。
【0011】前記ジ(メタ)アクリレートの具体的な例
としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げら
れる。硬化時の樹脂の屈折率、耐熱性、硬度等の諸特性
をより向上させる目的には芳香族環を有するジ(メタ)
アクリレートも有効で、例えば2,2−ビス(4−(メ
タ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス[4−(2−(メタ)アクリロキシエトキシ)エ
トキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−
(メタ)アクリロキシエトキシ)ジエトキシフェニル]
プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロ
キシエトキシ)トリエトキシフェニル]プロパン、2,
2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロキシエトキシ)
テトラエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4
−((メタ)アクリロキシエトキシ)ポリエトキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)ア
クリロキシエトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロ
パン、2,2−ビス{4−[(2−(メタ)アクリロキ
シエトキシ)エトキシカルボニルオキシ]フェニル}プ
ロパン等が挙げられる。さらに、耐熱性、硬度を調整す
るために(メタ)アクリル基を3個以上有する単量体を
用いることもでき、例えば各種ウレタン系ポリ(メタ)
アクリレート、各種ウレタンポリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
が挙げられる。これらのアクリル基又はメタクリル基を
有する単量体は1種又は2種以上の混合物で使用するこ
とができる。
【0012】アクリル基又はメタクリル基を有する単量
体のプラスチック光学材料用単量体組成物中に占める割
合は、通常は、99.99〜40重量%、好ましくは9
9.9〜60重量%の範囲で用いられ、40重量%未満
では硬化時の樹脂においてより速い光応答性をもたせる
と共に耐熱性、耐衝撃性、耐久性や硬度等の光学材料に
要求される諸特性を付与することができない。
【0013】本発明のプラスチック光学材料用単量体組
成物中には、前記分子内にメタクリル基又はアクリル基
を有する単量体が使用されるが、他の単量体を含ませる
ことができる。他の単量体としては、スチレン、ハロゲ
ン核置換スチレン、メチル核置換スチレン、ジビニルベ
ンゼン、ビニルナフタレン、ジアリルオルソフタレー
ト、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレー
ト、(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチルアク
リルアミド等のビニル系単量体が挙げられる。これらの
一種ないし二種以上の混合単量体が硬化時の樹脂の屈折
率、染色性を調整するために適宜選択し使用することも
できる。
【0014】本発明のプラスチック光学材料用単量体組
成物は、硬化後のプラスチック光学材料の屈折率を高め
るために、さらに、チオウレタン樹脂単量体成分を含む
ことが好ましい。チオウレタン樹脂単量体成分とは、チ
オウレタン樹脂の構成単量体であり、例えば、3−イソ
プロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ−
ト、イソシアネートエチルメタクリレート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネー
ト、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物とエ
タンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、3,
3'−ジチオジプロピオン酸、エチレングリコールジチ
オグリコレート、2,2'−チオジエタンチオール、
2,2'−オキシエタンチオール、ジメルカプトトリエ
チレンジスルフィド、1,2−ジチオグリセリン、1,
3−ジチオグリセリン、1,4−ベンゼンジチオール、
1,2−ビス(メルカプトメチレン)ベンゼン、トリメ
チロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタ
エリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペン
タエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネー
ト)等のポリチオールがそれぞれ組み合わされ使用され
る。チオウレタン樹脂単量体成分のプラスチック光学材
料用単量体組成物中に占める割合は、通常は、20〜7
0重量%、好ましくは30〜60重量%の範囲である。
【0015】本発明に用いるアミン化合物により、硬化
時において発色と退色の光応答速度を維持し、単量体お
よび硬化物中のエステル化合物に含まれるごく微量の酸
によるフォトクロミック化合物の劣化を抑制することが
できる。アミン化合物としては具体的には、例えばトリ
メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチレン、ジエチ
ルアミン、エチルアミン、トリエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、アリルアミン、N,N−ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、N−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)メタクリルアミド、α−メルカプトエチルアミン、
β−メルカプトエチルアミン、テトラメチルブタンジア
ミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、1、8−ジア
ザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられ
る。なかでも、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリ
ルアミド、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウン
デセン−7が好ましい。
【0016】前記アミン化合物は1種又は2種以上の混
合物で使用することができる。アミン化合物の添加量
は、プラスチック光学材料用単量体組成物中、通常5〜
50000ppm、好ましくは100〜30000pp
mの範囲である。5ppm未満ではアミン化合物による
効果が不十分であり、50000ppmを超えると硬化
不良を生じてしまう。また、ウレタン樹脂単量体成分を
含む場合は、10〜5000ppmの範囲が好ましい。
【0017】本発明に用いるフォトクロミック化合物
は、紫外線や可視光線により光透過性が変化し、光源を
断つと元に戻る特性を有する化合物である。フォトクロ
ミック化合物としては、具体的には例えば二チオン酸水
銀、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、ス
ピロ−インドリン化合物、フルギド化合物、フルギミド
化合物、アダマンチリデン化合物、シクロファン化合
物、クロメン化合物等の1種ないし2種以上の混合系が
挙げられる。フォトクロミック化合物の添加量は、プラ
スチック光学材料用単量体組成物中0.001〜10重
量%で、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
0.001重量%未満ではフォトクロミック化合物によ
る効果が不十分であり、10重量%を超えるとレンズの
硬化不良やレンズの硬化物の光線透過率が著しく低下し
てしまう。
【0018】本発明のプラスチック光学材料用単量体組
成物は、前記メタクリル基を有する重合性単量体、アミ
ン系化合物およびフォトクロミック化合物とを含有する
が、さらに紫外線吸収剤を添加成分として加えたもので
もよく、レンズにUVカット性能を付与し、レンズ材料
の劣化や目への影響を少なくすることができる。紫外線
吸収剤としては、例えばサリチル酸フェニル系化合物、
ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合
物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられ、その他
ヒンダ−ドアミン系の光安定剤を用いることもでき、前
記化合物の1種ないし2種以上の混合系が挙げられる。
好ましくは、2−(2'‐ヒドロキシ‐5'‐メチルフェ
ニル)‐ベンゾトリアゾール、2−(2'‐ヒドロキシ
‐3',5'‐ジタ−シャリブチルフェニル)‐5‐クロ
ロ‐ベンゾトリアゾール、2−(2'‐ヒドロキシ‐3'
−タ−シャリブチル−5'‐メチルフェニル)‐5‐ク
ロロ‐ベンゾトリアゾール、2−(2'‐ヒドロキシ‐
3',5'‐ジタ−シャリアミルフェニル)‐ベンゾトリ
アゾール、2−(2'‐ヒドロキシ‐3',5'‐ジタ−
シャリブチルフェニル)‐ベンゾトリアゾール、2−
(2'‐ヒドロキシ‐5'‐タ−シャリブチルフェニル)
‐ベンゾトリアゾール、2−(2'‐ヒドロキシ‐5'‐
タ−シャリオクチルフェニル)‐ベンゾトリアゾール等
のベンゾトリアゾールが使用される。紫外線吸収剤のプ
ラスチック光学材料用単量体組成物中に占める割合は、
通常は、0.001〜5重量%であり、好ましくは0.
01〜1重量%である。この割合が0.001重量%未
満では硬化したレンズにUVカット性能を付与する効果
が十分得られず、5重量%を超えると紫外線吸収剤自体
によるレンズ黄変の問題を起こす傾向にある。
【0019】本発明のプラスチック光学材料は、プラス
チック光学材料用単量体組成物にラジカル重合開始剤を
添加し、次に加熱硬化法又は活性エネルギー線硬化法に
より硬化させて得ることができる。前記ラジカル重合開
始剤は、ビニルモノマー類を硬化させるために用いら
れ、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ
イソプロピルジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−
2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバ
レート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−
ブチルペルオキシイソブチレート、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げら
れる。これらは一種又は2種以上を混合して用いること
ができる。重合開始剤の添加量は、プラスチック光学材
料用単量体組成物に対して、通常0.01〜10重量
%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。0.0
1重量%未満では硬化が不十分であり、10重量%を超
えると硬化物に歪みが入る傾向にある。
【0020】また、本発明のプラスチック光学材料用単
量体組成物中には、前記各成分以外にも、酸化防止剤、
着色剤、離型剤、界面活性剤、抗菌剤等の添加剤を通常
使用する範囲で用いることができる。
【0021】本発明のプラスチック光学材料用単量体組
成物中にラジカル重合開始剤を添加後、所望のレンズ形
状の金属製、ガラス製、プラスチック製等の注型に注入
し、加熱硬化する。その後、脱型することによって得る
ことができる。硬化後の樹脂は、無色又は有色透明で、
溶媒に不溶の架橋型の樹脂である。硬化の条件として
は、重合温度30〜100℃の範囲で、好ましくは該温
度範囲で昇温を行い、重合時間が5〜72時間、好まし
くは10〜36時間である。脱型後、窒素又は空気雰囲
気下、80〜120℃の温度で1〜5時間アニーリング
処理することが望ましい。また他の方法としては、硬化
物から直接所望のレンズ形状に切削加工して得ることも
できる。
【0022】本発明のレンズは、通常、前記方法により
得たものをそのまま用いることができるが、必要に応じ
て表面硬度を向上させるためのハードコート処理、ファ
ッション性を付与するための分散染料による着色処理を
行うこともできる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を参考例および実施例により詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお表中の略号は次の通りである。
【0024】(単量体) MA;メチルアクリレート、 MMA;メチルメタクリレート、 BA;n−ブチルアクリレート、 BMA;n−ブチルメタクリレート、 A4EG;メトキシテトラエチレングリコールモノアク
リレート、 MA4EG;メトキシテトラエチレングリコールモノメ
タクリレート、 A9EG;メトキシノナエチレングリコールモノアクリ
レート、 MA9EG;メトキシノナエチレングリコールモノメタ
クリレート、 DA−4EG;テトラエチレングリコールジアクリレー
ト、 DM−4EG;テトラエチレングリコールジメタクリレ
ート、 DA9EG;ノナエチレングリコールジアクリレート、 DM9EG;ノナエチレングリコールジメタクリレー
ト、 BzMA;ベンジルメタクリレート、 BPE−2EA;2,2−ビス(4−アクリロキシエト
キシフェニル)プロパン、 BPE−2E;2,2−ビス(4−メタクリロキシエト
キシフェニル)プロパン、 BPE−4EA;2,2−ビス[4−(2−アクリロキ
シエトキシ)エトキシ]プロパン、 BPE−4E;2,2−ビス[4−(2−メタクリロキ
シエトキシ)エトキシ]プロパン、 BPE−6EA;2,2−ビス[4−(2−アクリロキ
シエトキシ)ジエトキシ]プロパン、 BPE−6E ;2,2−ビス[4−(2−メタクリロ
キシエトキシ)ジエトキシ]プロパン、 HE−BP;2,2−ビス[4−(2−メタクリロキシ
エトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパン。
【0025】(チオウレタン樹脂単量体成分) TMI;3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジ
ルイソシアネ−ト、 XDI;m−キシリレンジイソシアネート、 ETT;2,2'−チオジエタンチオール、 PETT;ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオ
プロピオネート)。 (アミン化合物) MADE;N,N,−ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート、 MADN;N,N,−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、 TMA;トリエチルアミン、 TEA;トリエチレンジアミン、 DBU;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデ
セン−7。 (フォトクロミック化合物:表中においてはフォトクロ
と略す。) P1(スピロピラン化合物);1',3'−ジヒドロ−
5'−メトキシ−1',3',3'−トリメチル−6−ニト
ロスピロ[2H−1−ベンゾピラン−2,2'−(2
H)−インドール]、 P2(スピロオキサジン化合物);1,3−ジヒドロ−
1,3,3−トリメチル−スピロ[2H−インドール−
2,3'−[3H]フェナントロ[9,10−b]
[1,4]]オキサジン、 P3(フルギド化合物);3−アダマンタン−2−イリ
デン−4−[1−(2,5−ジメチル−チオフェン−3
−イル)−2−メチル−プロピリデン]−ジヒドロ−フ
ラン−2,5−ジオン、 P4(クロメン化合物);4−[3−フェニル−3−
(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−3H−ベン
ゾ[f]クロメン−6−イル]モルホリン。
【0026】また、得られた樹脂板の性能評価は、下記
の各試験方法により行った。 (1)光線透過率 視感度透過率測定器(朝日分光(株)製MODEL30
4)を用い、JIST 8141に従い、試験板の光線
透過率を測定した。試験は、試験板をUV照射した後
(機械名:SOLAX XC−500ESS形、セリッ
ク(株)製)、発色までの時間(R1)、その時の光線
透過率(T1)および消光までの時間(R2)、その時
の光線透過率(T2)によりフォトクロミック性能を評
価した。 (2)屈折率及びアッベ数 アッベ屈折計(アタゴ(株)製DR−M2)を用い25
℃で、硬化樹脂板から1cm×1.5cmの試験片を切
り出して測定した。 (3)比重 JIS K 7112に従い、25℃で試験片を水中置
換法により比重(g/cm3)測定した。 (4)耐衝撃性 重量16gのスチール製ボールを127cmの高さから
樹脂板上に自然落下させて、樹脂版に破損のないものを
○とし、破損のあるものを×とした。 (5)耐熱性 樹脂板から1cm×4cmの板を切り出し、レオバイブ
ロン(東洋ボールドウィン社製DDV−III−EP)
により動的粘弾性を測定し、そのtanδの最大を示す
温度をガラス転移温度(Tg)として耐熱性の指標とし
た。
【0027】実施例1〜9 表1に示される各成分の原料混合物20gを配合し、プ
ラスチック光学材料用単量体組成物を得た。次に、t−
ブチルペルオキシネオデカノエートを0.4g添加し
た。これを、直径7cmの2枚のガラス製円板と厚さ2
mmのエチレン−プロピレンラバー製ガスケットからな
る注型に注入した。その後、プログラム温度コントロー
ラー付熱風恒温槽中で、30℃から100℃まで18時
間かけて昇温し、次に100℃で2時間保持した後、4
0℃まで2時間かけて冷却した。硬化後、脱型した円盤
状の樹脂をさらに2時間、100℃でアニーリング処理
を行った。
【0028】実施例10〜17 表2に示される各成分の原料混合物20gを配合し、プ
ラスチック光学材料用単量体組成物を得た。次に、t−
ブチルペルオキシネオデカノエート0.4gを添加し、
実施例1〜9と同様に硬化した。試験片による物性評価
を行い、その結果を表2に示した。
【0029】比較例1 市販のジエチレングリコールビスアリルカーボネート
(ADC)20gおよびフォトクロミック化合物として
P2(0.02g)に硬化剤としてジイソプロピルペル
オキシカーボネート0.6gを添加し、実施例1〜9と
同様の条件で硬化し、物性評価を行った。結果を表3に
示した。
【0030】比較例2 表1に示した実施例1に、硬化剤としてアゾビスイソブ
チロニトリル0.2gを添加し、アミン化合物を除いた
以外は実施例1〜9と同様の条件で硬化し、物性評価を
行った。結果を表3に示した。
【0031】比較例3 XDI8.7gにPETT11.3gを添加した原料混
合物20gおよびフォトクロミック化合物としてP2
(0.02g)に、硬化剤としてジブチルチンジラウレ
ート200ppmを用いた以外実施例1〜9と同様に硬
化を行い、試験片による物性評価を行い、その結果を表
3に示した。
【0032】比較例4 表1に示した実施例5に、硬化剤としてt−ブチルペル
オキシネオデカノエートを0.4g添加し、アミン化合
物を除いた以外実施例1〜9と同様に硬化を行い、試験
片による物性評価を行い、その結果を表3に示した。
【0033】比較例5 表2に示した実施例13に、硬化剤としてt−ブチルペ
ルオキシネオデカノエート0.4gおよびジブチルチン
ジラウレート200ppmを用い、アミン化合物を除い
た以外実施例1〜9と全く同様に硬化を行い、試験片に
よる物性評価を行い、その結果を表3に示した。
【0034】比較例6 比較例1〜5でフォトクロミック化合物を含まない組成
物により硬化させた2mm板を、フォトクロミック化合
物P2をメタノールに20重量%溶解した溶液に80℃
にて1時間浸漬した。その後、試験板を水洗、乾燥させ
てから、実施例1〜9と同様に物性試験を行った。結果
を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】実施例により得られた樹脂は、合成樹脂製
レンズに要求される基本特性を有しているのみならず、
比較例の樹脂と比較してもフォトクロミック化合物の光
応答速度、色安定性に優れた物性が得られる。
【0039】
【発明の効果】本発明のプラスチック光学材料用単量体
組成物では、フォトクロミック化合物の劣化が抑えられ
るため、硬化物および光により発色した時の色の制御が
し易く、しかも硬化物中のフォトクロミック化合物の光
応答性が速い特徴という特徴を有している。さらに本発
明のレンズは、低比重、耐熱性、耐衝撃性等の諸物性に
も優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/23 G02B 5/23 G02C 7/10 G02C 7/10 Fターム(参考) 2H006 BA01 BE02 2H048 DA04 DA09 DA24 4J011 PA36 PA39 PB40 PC02 4J100 AL66P BA08P BA15P BC43P JA33

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にメタクリル基又はアクリル基を
    有する重合性単量体、アミン系化合物およびフォトクロ
    ミック化合物を含有するプラスチック光学材料用単量体
    組成物。
  2. 【請求項2】 分子内にメタクリル基又はアクリル基を
    有する重合性単量体、チオウレタン樹脂単量体成分、ア
    ミン系化合物およびフォトクロミック化合物を含有する
    プラスチック光学材料用単量体組成物。
  3. 【請求項3】 分子内にメタクリル基又はアクリル基を
    有する重合性単量体が、下記式(1)で示されるものを
    含んでなる請求項1又は2記載のプラスチック光学材料
    用単量体組成物。 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Phはフ
    ェニレン基を示し、j、nは同一又は異なる1〜30の
    整数を示し、k、p、mは0又は1を示す。)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプ
    ラスチック光学材料用単量体組成物にラジカル重合開始
    剤を添加後、硬化させて得られるプラスチック光学材
    料。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のプラスチック光学材料
    からなるレンズ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005090421A1 (ja) * 2004-03-22 2005-09-29 Hoya Corporation 硬化性組成物及びそれを用いた光学部材
WO2007073022A1 (en) * 2005-12-21 2007-06-28 Covis Optic Co., Ltd. Method for manufacturing photochromic plastic lens

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