JP2004077814A - 現像ローラ及びそれを有する現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像ローラ全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供する。
【解決手段】芯軸1、弾性層2、中間層3及び最外層4を順次有する現像ローラ10において、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足している。前記Rv1 ,Rv3 及びRv2 は、好ましくは、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】芯軸1、弾性層2、中間層3及び最外層4を順次有する現像ローラ10において、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足している。前記Rv1 ,Rv3 及びRv2 は、好ましくは、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置において用いられる現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置、特に、小型の電子写真装置の分野においては、メンテナンスの簡素化が進められており、例えば、特開昭53−3233号公報に示されているように、感光体表面、感光紙、記録紙等の画像担持体上に形成された静電潜像を1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置(以下、「従来技術1」という。)が実用化されている。図15は、このような従来技術に係わる従来の現像装置の概略説明図である。
【0003】
図15に示されているように、感光体ドラム101は、表層部Aと基体部Bとからなっている。表層部Aは、画像担持体として機能するものであり、そして、基体部Bは、画像担持体支持部材として機能するものである。基体部Bは、金属製ドラム102の表面に接着された比較的弾性を示す導電性ゴム103、及び、その導電性ゴム103の上に接着されたアルミニウム箔のような可撓性金属箔104よりなる。また、表層部Aは、前記可撓性金属箔104の上にセレンのような金属を蒸着して形成した光導電性絶縁体層105よりなる。感光体ドラム101の表面には、現像ローラ106が圧接して設けられている。現像ローラ106は、金属ローラ107及びその表面に形成された導電性の合成ゴム、ウレタンフォーム等よりなる弾性層108を有している。このような現像ローラ106の弾性層108からブリードアウトしてきた可塑剤や低分子物質が感光体ドラム101の表面部Aを汚染したり、また、トナーの粘着(タッキング)やフィルミングが現像ローラ106の弾性層108上に生じるので、現像ローラ106の弾性層108の表面にトナー離型性のよい樹脂からなる表面層(図示せず)を被覆して、前記可塑剤や低分子物質のブリードアウトを防止すると共にトナーの粘着やフィルミングを防止した現像ローラもある。
【0004】
そして、現像ローラ106と感光体ドラム101の基体部Bとの間には、バイアス電源109が接続されている。現像ローラ106の上部には、1成分非磁性トナー110を収容したホッパー111がその開口下部を現像ローラ106の表面に所定の間隔を置いて設けられている。ホッパー111の右側側壁の内側には、摩擦帯電部材112が接着されている。現像ローラ106の右側側面には、均平部材113がその表面を現像ローラ106の表面に圧接して設けられている。この均平部材113は、金属製ローラ114の表面にゴム層115を接着し、その上に摩擦帯電部材116を被覆してなり、回転不能に設けられている。
【0005】
かかる現像ローラ106によれば、その表面に薄層化させたトナーを担持させ、これを静電潜像の形成された感光体ドラム101に当接させると、トナーが感光体ドラム101に現像電界に応じて移行するので、感光体ドラム101に形成された静電潜像が可視像化される。このような現像ローラ106においては、トナーと現像ローラ106の表面との接触による摩擦帯電によってトナーの帯電の極性及び帯電量を制御する必要がある。トナーの感光体ドラム101への移動は、トナーの帯電の極性及び現像電解に応じて、静電潜像の画像部及び非画像部(地肌部)を選択することにより行われる。この装置によれば、トナーに磁性材料を使うことなく、カラー化が容易であるという利点がある。
【0006】
また、特公昭64−1022号公報には、磁気ブラシから一成分系非磁性トナー粒子を現像ローラーに受け渡すようにした現像装置(以下、「従来技術2」という)が記載されている。図16は、このような従来の現像装置の概略説明図である。
【0007】
図16に示すように、一成分系非磁性トナー粒子を帯電するための磁性キャリヤを吸着して磁気ブラシ212を形成する回転可能な磁気ローラー208と、該磁気ローラー208と静電像保持体201との間に位置し、磁気ローラー208が形成する磁気ブラシ212から分離した帯電トナー207を担持して、静電像保持体201上の静電像を現像するための現像ローラー211と、を有し、上記磁気ローラー208と現像ローラー211との間に交番電界を形成して上記磁気ブラシ212から一成分系非磁性トナー207を現像ローラー211に受け渡す現像装置203が記載されている。この現像装置203によれば、トナー帯電を2成分現像剤で立ち上げて、磁気ローラー208上に形成した磁気ブラシ212で現像ローラー211上にトナー207を供給することにより、現像ローラー211への接触部材を無くし、かつ、トナー粒子207へのストレスを低減することにより、現像装置203の据え置きが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術1の「画像担持体上に形成された静電潜像を1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置」においては、システムの高寿命化のために、特に、感光体の高寿命化ために、低帯電電位にして、帯電時のハザードを低減しようとする試みがなされてきたが、未だに実現されて無く、そのために、低現像ポテンシャルで現像できるシステムが必要になってきている。また、高画質化という観点からは、デジタルにおける画像の階調表現方法を面積階調にするため、多値(画像の書き込み変調パターンを多数の階調を用いて出すもの)から2値(画像の書き込み変調パターンを2つの階調を用いて出すもの、即ち、ドットの濃度がすべて同じで、ドットの打ち方により階調を変化させるもの)にするために、現像γ(静電電位に対する画像濃度の特性曲線の勾配)をできるだけ立たせ、且つ、飽和の現像ポテンシャルをできるだけ小さくする必要性が生じてきた。
【0009】
現像γを立たせるために、現像ローラの抵抗を低抵抗にするということは公知の事実であるが、現像ローラの抵抗を低抵抗にすると、バイアス電圧として、例えば、−250Vのような高電圧を印加することとなるので、静電潜像担持体へのリークが発生するという問題があった。そのために、従来においては、弾性層にカーボンブラック等の導電性付与剤を添加して、弾性層の抵抗を表面層の抵抗より低くすることにより、静電潜像担持体へのリークを防止している。しかしながら、カーボンブラック等の導電性付与剤を弾性層に高充填すると、弾性層の硬度が高くなるので、感光体ドラムとの間に十分なニップが取れなくなり、そのために、画像に不具合が生じてしまうという問題があり、また、加工性が損なわれることとなるので、弾性層をローラの形状に成形することが難しくなるという問題があった。
【0010】
また、非磁性1成分現像方式では、トナー薄層ブレードへのトナー固着、現像ローラへのトナーフィルミング、現像ローラ表面への経時でのスジ等による傷の発生、トナーの劣化(ストレス)によるトナー帯電量及び現像ローラ上へのトナー付着量の経時変化、トナー補給時の地汚れ、最外層の磨耗による現像ローラ特性変化等のために画像の劣化が生じるので、数十kレベルプリントして交換できるカートリッジ形態を取らざるを得ず、そのために、環境問題から現像装置の据え置きが求められている。
【0011】
このような問題を解決するために、「従来技術2」では、トナー帯電を2成分現像剤で立ち上げて、マグローラ上に形成した磁気ブラシで現像ローラ上にトナーを供給することにより、現像ローラへの接触部材をなくし、かつ、トナーへのストレスを低減することが提案されている。しかしながら、昨今の高画質化の要求に対して、プロセス側だけでは対応できなくなってきており、経時で特性変化が生じない現像ローラへの要求が高まっている。弾性層の抵抗を最外層の抵抗よりも大きくした弾性層と最外層との組み合わせでは、最外層の磨耗により、抵抗が上昇するという現象が見られる。
【0012】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、現像ローラ全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、芯軸、弾性層、中間層及び最外層を順次有する現像ローラにおいて、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していることを特徴とする現像ローラである。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であることを特徴とするもである。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層とで、1.0×106 Ω以下であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層と最外層とで、1.0×108 Ω以下であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記中間層の膜厚が、弾性層の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された発明において、前記最外層の膜厚が、中間層を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とするものである。
【0019】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載された発明において、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下で、感光体上へのトナー付着量が飽和することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。図2は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。図3は、ローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。図4は、現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【0022】
図1において、10は現像ローラである。現像ローラ10は、芯軸1、弾性層2、中間層3及び最外層4を順次有している。そして、この現像ローラ10における1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足している。
【0023】
前記金属の芯軸1は、金属で構成されるが、その形状は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのようなものを使用してもかまわない。前記芯軸1としては、例えば、金属製の中実体からなる芯金、及び、内部を中空にくりぬいた金属製の円筒体がある。そして、その金属材料としては、アルミニウム、ステンレス、及び、鉄にメッキを施したものが挙げられる。
【0024】
前記弾性層2は、弾性材料で構成されるが、その弾性材料は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのような弾性を有する樹脂又はゴム材料を用いても構わない。それらの弾性を有する樹脂又はゴム材料としては、例えば、ポリウレタン、EPDM、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、NBR、エピクロルヒドリンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム及びこれらの混合物が挙げられる。ここに記載した弾性を有する樹脂又はゴム材料は、あくまでも例示であって、本発明の目的に反しないかぎりその他の弾性を有する樹脂又はゴム材料であってもかまわない。
【0025】
これらの弾性を有する樹脂又はゴム材料には、架橋してゴム弾性を出すために、架橋剤、加硫剤等の配合剤を添加することができる。これらの配合剤を用いて有機過酸化物架橋又は硫黄架橋をする場合には、いずれの場合においても、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等の配合剤を弾性材料に配合することができる。また、上記配合剤以外にもゴム配合剤として一般に用いられている発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等の配合剤を弾性層2の特性を損なわない範囲で弾性を有する樹脂又はゴム材料に添加することができる。
【0026】
このような現像ローラ10は、電気特性、特に、電気抵抗が重要であるので、電気抵抗を調整するために、弾性を有する樹脂又はゴム材料に種々の導電性付与材を添加する。導電性付与材料の添加量を多くすればするほど、弾性層2の抵抗は小さくなる。導電性付与材料としては、例えば、粉体として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピローラ、ポリアセチレン等の導電性ポリマーが挙げられる。また、導電性付与材として、イオン導電性物質があり、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、並びに、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート、オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン性導電性物質がある。
【0027】
本発明においては、弾性層2の抵抗値は、好ましくは、1.0×109 Ω・cm以下であり、さらに好ましくは、103 〜109 Ω・cmである。抵抗値が103 Ω・cm未満では、材料の加工性を著しく損ねると共に硬度アップを招き、また、109 Ω・cmを越えると、表面層3をコーティングした現像ローラ全体としての体積抵抗を好ましい値(1.0×107 Ω・cm以下)にすることが難しくなる。
【0028】
この弾性層2の硬度は、特に制限されるものではないが、現像ローラ10が感光体と接触する場合には、A型で60度以下、望ましくは、25〜50度が求められる。硬度が高すぎる場合、感光体がドラムの場合は、ニップ幅が小さくなるので、良好な現像が行えなくなる。逆に、硬度が低くなりすぎると、圧縮永久歪みが大きくなり、現像ローラに変形や偏芯が生じた場合、濃度ムラが発生する。また、低硬度側では、材料の固有の物性に大きく左右されるので、使用できる材料が限定される。弾性層2の硬度を低硬度にする場合でも、圧縮永久歪みは小さくすることが望ましく、具体的には20%以下とすることが望ましい。
【0029】
中間層3を構成する材料は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのような材料を用いても構わない。中間層3を構成する材料としては、例えば、EPDM、SBR、ニトリルゴム、水素添加NBR、ポリウレタンエラストマー、ポリエステル、ポリアミド、及び、N−メトキシメチル化ナイロンが挙げられる。前記中間層3を構成する材料には、さらに、前述の導電性付与剤を添加し、導電化させる。中間層3は、弾性層2の外周面に、例えば、ディップ法、スプレーコート、ローラコートなどの種々公知のコーティング方法により形成される。
【0030】
最外層4は、トナー又は静電潜像担持体に対して非汚染性の材料であれば、特に制限されるものではない。しかし、最外層4は、中間層3の表面にコーティングされるので、柔軟性、耐摩耗性等が要求される。最外層4は、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及び、フルオロオレフィンとビニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類等のエチレン性不飽和単量体の共重合体で構成される。これらの樹脂も導電性にするために、弾性層、中間層と同様、種々の導電性付与剤を添加する。また、耐トナー性、耐摩耗性等を向上させるために、硬化剤を用いることも可能である。表面層4は、中間層3の外周面に、例えば、ディップ法、スプレーコート、ローラコートなどの種々公知のコーティング方法により形成される。
【0031】
本発明における現像ローラ10の重要な特徴は、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していることである。このように、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していると、経時における表面の摩耗が生じても抵抗変化が小さいので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を飽和させることができ、そのために、現像ローラ10全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することができる。
【0032】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、前記Rv1 は1.0×109 Ωcm以下、Rv3 は1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 は1.0×105 Ωcm以下である。このように、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を確実に飽和させることができる。
【0033】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)は、弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下である。このように、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をより確実に飽和させることができる。
【0034】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)は、弾性層2と中間層3と最外層4とで、1.0×108 Ω以下である。このように、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3と最外層4とで、1.0×108 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をさらにより確実に飽和させることができる。
【0035】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、中間層3の膜厚は、弾性層2の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さい。中間層3の膜厚が中間層3を含んだ表面粗さより小さい場合、中間層3の表面が点在的に剥き出しになり、該当部分が電気的に異常点となる(本発明の構成では低抵抗点となる)。そのために、感光体へのリークが発生する可能性がある。また、中間層3の膜が30μmを越えると、▲1▼弾性層2の硬度より硬くなること、▲2▼割れやすくなること、▲3▼最外層にしわが発生すること、▲4▼クリープ特性が悪くなる(へこみの回復が遅くなる)こと等の不具合が発生する。このように、中間層3の膜厚が、弾性層2の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好であり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0036】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、最外層4の膜厚は、中間層3を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さい。中間層3を含んだ表面粗さより小さい場合、中間層3の表面が点在的に剥き出しになり、該当部分が電気的に異常点となる(本発明の構成では低抵抗点となる)。そのために、感光体へのリークが発生する可能性がある。また、30μmを越えると、弾性層の硬度より硬くなること、割れやすくなること、最外層にしわが発生すること、クリープ特性が悪くなる(へこみの回復が遅くなる)こと等の不具合が発生する。このように、最外層4の膜厚が、中間層3を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層2の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好となり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0037】
図2において、20は、現像装置である。本発明の現像装置20は、請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを有している。このような現像装置20は、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下において感光体上へのトナー付着量が飽和する。本発明の現像装置20は、このように、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下において感光体上へのトナー付着量が飽和することにより、(a)低抵抗ローラであるにもかかわらず感光体へのリーク等の発生が起こらないようにすることができ、また、(b)低電位2値現像を達成することができ、さらに、(c)感光体の帯電電位を下げることができるために感光体の寿命を伸ばすことができる。
【0038】
図2に示すように、本発明の一実施の形態を示す現像装置においては、現像ローラ10、芯軸の周囲にスポンジを形成してなる補給ローラ11、及び、トナー攪拌部材12は、ケース13の側板に軸支されている。トナー17は、トナー攪拌部材12及び補給ローラ11を介して現像ローラ10の表面に供給される。現像ローラ10上に供給されたトナー17は、さらに、トナー層規制部材14によって所定量に薄層化され、回転する現像ローラ10によって感光体15に搬送される。現像ローラ10は、感光体15に接触し、電極を介して感光体15の帯電電位と光書き込み後(露光後)の残留電位の中間のバイアス電圧がバイアス電源16によって印加されている。現像ローラ10上のトナー17が感光体15との接触部に搬送され、感光体電位と現像バイアスによる現像電界に応じて、帯電したトナー17が感光体15に付着し静電潜像が可視像化される。
【0039】
本発明において用いられるトナー17は、例えば、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレ系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂に帯電制御剤(CCA)及び色剤を混合した樹脂粉末であるが、かかる樹脂粉末の周りにシリカ、酸化チタン等の物質からなる添加剤を外添して、その流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常0.1〜1.5μmの範囲である。色剤は、カ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、キナクリドン、カ−ミン等をあげることができる。帯電極性は、負帯電である。トナー17は更に場合によってはワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。トナー17の体積平均粒径の範囲は、好適には、3〜12μmであるが、本実施例では7μmであり、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
【0040】
トナー層形成部材14は、ステンレス、リン青銅等の金属を使用することでき、また、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の弾性体も用いることができる。そして、トナー層形成部材14は、現像ローラと接触する部分に種々の材料をコーティングすることが可能である。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン社製)とイソシアネート(コロネートT−65)とからなる樹脂組成物を予め接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲に1ショット法にて被覆してウレタンエラストマー層を形成し、このウレタンエラストマー層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し15重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、カーボンブラック20重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0042】
(実施例2)
カーボンブラックを分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM40)のマスターバッチにさらに前記AM40を添加してカーボンブラック添加比を樹脂に対して20重量%とした塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートして20μm厚の最外層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0043】
(実施例3)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0044】
(実施例4)
フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートして20μm厚の最外層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0045】
(実施例5)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0046】
(比較例1)
水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。そして、このようにして得られた塗布液を弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0047】
(比較例2)
水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。そして、このようにして得られた塗布液を弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0048】
(比較例3)
実施例1と同様にSUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、カーボンブラック3重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0049】
(比較例4)
カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン社製)とイソシアネート(コロネートT−65)とからなる樹脂組成物を予め接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲に1ショット法にて被覆してウレタンエラストマー層を形成し、このウレタンエラストマー層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し15重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)58重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0050】
(比較例5)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これ弾性層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0051】
(比較例6)
実施例1と同様にSUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、カーボンブラック3重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0052】
そして、実施例1〜5及び比較例1〜6により得られた現像ローラの現像ポテンシャル(V)及び感光体上トナー付着量(mg/cm2 )を測定して現像ポテンシャル(V)と感光体上トナー付着量(mg/cm2 )との関係を調べた。図5〜9は、それぞれ、実施例1〜5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。図10,11は、比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期、経時)であり、図12〜14は、実施例3〜6の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【0053】
実施例1〜5のローラは、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)でも、同様の現像特性を示し、150V以下という低現像ポテンシャルで感光体上トナー付着量は飽和した。また400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)の体積抵抗はほとんど変化がなく、表面抵抗(実抵抗)は中間層の表面抵抗(最外層より低抵抗)に若干近づいていた程度であった。
比較例2〜6のローラは、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)では、比較例1の経時と同様な現像特性を示し、150V以上の現像ポテンシャルでも飽和することがなかった。
また、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)の体積抵抗は、比較例1〜6でほとんど変化がなかった。表面抵抗(実抵抗)は比較例1、2、5(中間層あるいは弾性層の抵抗が最外層の抵抗より高いローラ)で著しく上昇したが、比較例3、4、6では10×108 Ωcmオーダーのまま、ほとんど変化していなかった。
【0054】
また、実施例1〜5及び比較例1〜6により得られた現像ローラにおける「体積抵抗(Ω・cm)」、即ち、弾性層単独での体積抵抗:Rv1 、弾性層と中間層とでの体積抵抗:Rv2 、及び、弾性層と中間層と最外層とでの体積抵抗:Rv3 をそれぞれ測定すると共にそれらの体積抵抗の比較をし、そして、弾性層と中間層と最外層とにおける「表面抵抗(Ω)」及び表面粗さRz(μm)をそれぞれ測定した。また、それらの現像ローラの飽和現像ポテンシャル(初期、経時)をもそれぞれ測定した。
【0055】
前記「体積抵抗(Ω・cm)」については、抵抗計(アドバンテスト社製、R8340A)を用いて測定した。図3は、このようなローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。即ち、図3に示すように、ローラを平板電極に平行に押し当て、その両シャフトに各500gの荷重を平行電極方向に加えた状態で導電シャフトと平行電極との間に1Vの電圧を30秒印加して測定した。また、前記「表面抵抗(Ω)」については、抵抗計(アドバンテスト社製、R8340A)を用いて測定した。図4は、このような現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。即ち、図4に示すように、現像ローラをローラ電極に平行に押し当て、導電シャフトとローラ電極との間に1Vの電圧を30秒印加して測定した。
【0056】
測定結果は、次の表1に示される。
【0057】
【表1】
【0058】
従来は、低抵抗化するためには、弾性層の抵抗を低抵抗にして、最外層の抵抗を弾性層の抵抗と同等か若干高くしていたが、表1に示されているように、最外層の抵抗を弾性層より低抵抗にすることにより、最外層形成後の体積抵抗を弾性層単独の抵抗より低くすることができる。このことにより、低電位現像が可能となる。
実施例1〜5、比較例1〜6より弾性層の抵抗を最適化して低抵抗化することにより、150V以下という低現像ポテンシャルで、感光体上トナー付着量を飽和させることが可能となる。
弾性層と最外層の中間にいずれの層よりも低抵抗の中間層を設けることによって、最外層の磨耗による、経時での電気特性変化を抑えることが可能となり、そのため、経時でも150V以下という低現像ポテンシャルで、感光体上トナー付着量を飽和させることが可能となる。
中間層及び最外層の膜厚は、30μm以下とすることにより、弾性層の硬度を損ねることなく、かつ、収縮率等の影響を受けないためしわ等の発生を防止することができる。
中間層及び最外層の膜厚を弾性層並びに中間層形成後の表面粗さRzより大きくすることにより、感光体に上トナー層を欠陥なく得ることが可能となる。
【0059】
【発明の効果】
(1) 請求項1に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していると、経時における表面の摩耗が生じても抵抗変化が小さいたので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を飽和させることができ、そのために、現像ローラ全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することができる。
【0060】
(2)請求項2に記載された発明によれば、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であるので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を確実に飽和させることができる。
【0061】
(3)請求項3に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をより確実に飽和させることができる。
【0062】
(4)請求項4に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層と中間層と最外層とで、1.0×108 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をさらにより確実に飽和させることができる。
【0063】
(5)請求項5に記載された発明によれば、中間層の膜厚が、弾性層の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいので、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好であり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0064】
(6)請求項6に記載された発明によれば、最外層の膜厚が、中間層を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好となり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0065】
(7)請求項7、8に記載された発明によれば、感光体上へのトナー付着量が飽和することにより、(a)低抵抗ローラであるにもかかわらず感光体へのリーク等の発生が起こらないようにすることができ、また、(b)低電位2値現像を達成することができ、さらに、(c)感光体の帯電電位を下げることができるために感光体の寿命を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。
【図3】ローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【図4】現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【図5】実施例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図6】実施例2の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例3の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図8】実施例4の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図9】実施例5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図10】比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図11】比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(経時)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図12】比較例3の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図13】比較例5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図14】比較例6の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図15】従来の現像装置の概略説明図である。
【図16】従来の現像装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 芯軸
2 弾性層
3 中間層
4 最外層
10 現像ローラ
11 補給ローラ
12 トナー攪拌部材
13 ケース
14 トナー層形成部材
15 感光体
16 バイアス電源
17 トナー
20 現像装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置において用いられる現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置、特に、小型の電子写真装置の分野においては、メンテナンスの簡素化が進められており、例えば、特開昭53−3233号公報に示されているように、感光体表面、感光紙、記録紙等の画像担持体上に形成された静電潜像を1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置(以下、「従来技術1」という。)が実用化されている。図15は、このような従来技術に係わる従来の現像装置の概略説明図である。
【0003】
図15に示されているように、感光体ドラム101は、表層部Aと基体部Bとからなっている。表層部Aは、画像担持体として機能するものであり、そして、基体部Bは、画像担持体支持部材として機能するものである。基体部Bは、金属製ドラム102の表面に接着された比較的弾性を示す導電性ゴム103、及び、その導電性ゴム103の上に接着されたアルミニウム箔のような可撓性金属箔104よりなる。また、表層部Aは、前記可撓性金属箔104の上にセレンのような金属を蒸着して形成した光導電性絶縁体層105よりなる。感光体ドラム101の表面には、現像ローラ106が圧接して設けられている。現像ローラ106は、金属ローラ107及びその表面に形成された導電性の合成ゴム、ウレタンフォーム等よりなる弾性層108を有している。このような現像ローラ106の弾性層108からブリードアウトしてきた可塑剤や低分子物質が感光体ドラム101の表面部Aを汚染したり、また、トナーの粘着(タッキング)やフィルミングが現像ローラ106の弾性層108上に生じるので、現像ローラ106の弾性層108の表面にトナー離型性のよい樹脂からなる表面層(図示せず)を被覆して、前記可塑剤や低分子物質のブリードアウトを防止すると共にトナーの粘着やフィルミングを防止した現像ローラもある。
【0004】
そして、現像ローラ106と感光体ドラム101の基体部Bとの間には、バイアス電源109が接続されている。現像ローラ106の上部には、1成分非磁性トナー110を収容したホッパー111がその開口下部を現像ローラ106の表面に所定の間隔を置いて設けられている。ホッパー111の右側側壁の内側には、摩擦帯電部材112が接着されている。現像ローラ106の右側側面には、均平部材113がその表面を現像ローラ106の表面に圧接して設けられている。この均平部材113は、金属製ローラ114の表面にゴム層115を接着し、その上に摩擦帯電部材116を被覆してなり、回転不能に設けられている。
【0005】
かかる現像ローラ106によれば、その表面に薄層化させたトナーを担持させ、これを静電潜像の形成された感光体ドラム101に当接させると、トナーが感光体ドラム101に現像電界に応じて移行するので、感光体ドラム101に形成された静電潜像が可視像化される。このような現像ローラ106においては、トナーと現像ローラ106の表面との接触による摩擦帯電によってトナーの帯電の極性及び帯電量を制御する必要がある。トナーの感光体ドラム101への移動は、トナーの帯電の極性及び現像電解に応じて、静電潜像の画像部及び非画像部(地肌部)を選択することにより行われる。この装置によれば、トナーに磁性材料を使うことなく、カラー化が容易であるという利点がある。
【0006】
また、特公昭64−1022号公報には、磁気ブラシから一成分系非磁性トナー粒子を現像ローラーに受け渡すようにした現像装置(以下、「従来技術2」という)が記載されている。図16は、このような従来の現像装置の概略説明図である。
【0007】
図16に示すように、一成分系非磁性トナー粒子を帯電するための磁性キャリヤを吸着して磁気ブラシ212を形成する回転可能な磁気ローラー208と、該磁気ローラー208と静電像保持体201との間に位置し、磁気ローラー208が形成する磁気ブラシ212から分離した帯電トナー207を担持して、静電像保持体201上の静電像を現像するための現像ローラー211と、を有し、上記磁気ローラー208と現像ローラー211との間に交番電界を形成して上記磁気ブラシ212から一成分系非磁性トナー207を現像ローラー211に受け渡す現像装置203が記載されている。この現像装置203によれば、トナー帯電を2成分現像剤で立ち上げて、磁気ローラー208上に形成した磁気ブラシ212で現像ローラー211上にトナー207を供給することにより、現像ローラー211への接触部材を無くし、かつ、トナー粒子207へのストレスを低減することにより、現像装置203の据え置きが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術1の「画像担持体上に形成された静電潜像を1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置」においては、システムの高寿命化のために、特に、感光体の高寿命化ために、低帯電電位にして、帯電時のハザードを低減しようとする試みがなされてきたが、未だに実現されて無く、そのために、低現像ポテンシャルで現像できるシステムが必要になってきている。また、高画質化という観点からは、デジタルにおける画像の階調表現方法を面積階調にするため、多値(画像の書き込み変調パターンを多数の階調を用いて出すもの)から2値(画像の書き込み変調パターンを2つの階調を用いて出すもの、即ち、ドットの濃度がすべて同じで、ドットの打ち方により階調を変化させるもの)にするために、現像γ(静電電位に対する画像濃度の特性曲線の勾配)をできるだけ立たせ、且つ、飽和の現像ポテンシャルをできるだけ小さくする必要性が生じてきた。
【0009】
現像γを立たせるために、現像ローラの抵抗を低抵抗にするということは公知の事実であるが、現像ローラの抵抗を低抵抗にすると、バイアス電圧として、例えば、−250Vのような高電圧を印加することとなるので、静電潜像担持体へのリークが発生するという問題があった。そのために、従来においては、弾性層にカーボンブラック等の導電性付与剤を添加して、弾性層の抵抗を表面層の抵抗より低くすることにより、静電潜像担持体へのリークを防止している。しかしながら、カーボンブラック等の導電性付与剤を弾性層に高充填すると、弾性層の硬度が高くなるので、感光体ドラムとの間に十分なニップが取れなくなり、そのために、画像に不具合が生じてしまうという問題があり、また、加工性が損なわれることとなるので、弾性層をローラの形状に成形することが難しくなるという問題があった。
【0010】
また、非磁性1成分現像方式では、トナー薄層ブレードへのトナー固着、現像ローラへのトナーフィルミング、現像ローラ表面への経時でのスジ等による傷の発生、トナーの劣化(ストレス)によるトナー帯電量及び現像ローラ上へのトナー付着量の経時変化、トナー補給時の地汚れ、最外層の磨耗による現像ローラ特性変化等のために画像の劣化が生じるので、数十kレベルプリントして交換できるカートリッジ形態を取らざるを得ず、そのために、環境問題から現像装置の据え置きが求められている。
【0011】
このような問題を解決するために、「従来技術2」では、トナー帯電を2成分現像剤で立ち上げて、マグローラ上に形成した磁気ブラシで現像ローラ上にトナーを供給することにより、現像ローラへの接触部材をなくし、かつ、トナーへのストレスを低減することが提案されている。しかしながら、昨今の高画質化の要求に対して、プロセス側だけでは対応できなくなってきており、経時で特性変化が生じない現像ローラへの要求が高まっている。弾性層の抵抗を最外層の抵抗よりも大きくした弾性層と最外層との組み合わせでは、最外層の磨耗により、抵抗が上昇するという現象が見られる。
【0012】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、現像ローラ全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、芯軸、弾性層、中間層及び最外層を順次有する現像ローラにおいて、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していることを特徴とする現像ローラである。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であることを特徴とするもである。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層とで、1.0×106 Ω以下であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層と最外層とで、1.0×108 Ω以下であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記中間層の膜厚が、弾性層の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された発明において、前記最外層の膜厚が、中間層を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とするものである。
【0019】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載された発明において、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下で、感光体上へのトナー付着量が飽和することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。図2は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。図3は、ローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。図4は、現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【0022】
図1において、10は現像ローラである。現像ローラ10は、芯軸1、弾性層2、中間層3及び最外層4を順次有している。そして、この現像ローラ10における1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足している。
【0023】
前記金属の芯軸1は、金属で構成されるが、その形状は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのようなものを使用してもかまわない。前記芯軸1としては、例えば、金属製の中実体からなる芯金、及び、内部を中空にくりぬいた金属製の円筒体がある。そして、その金属材料としては、アルミニウム、ステンレス、及び、鉄にメッキを施したものが挙げられる。
【0024】
前記弾性層2は、弾性材料で構成されるが、その弾性材料は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのような弾性を有する樹脂又はゴム材料を用いても構わない。それらの弾性を有する樹脂又はゴム材料としては、例えば、ポリウレタン、EPDM、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、NBR、エピクロルヒドリンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム及びこれらの混合物が挙げられる。ここに記載した弾性を有する樹脂又はゴム材料は、あくまでも例示であって、本発明の目的に反しないかぎりその他の弾性を有する樹脂又はゴム材料であってもかまわない。
【0025】
これらの弾性を有する樹脂又はゴム材料には、架橋してゴム弾性を出すために、架橋剤、加硫剤等の配合剤を添加することができる。これらの配合剤を用いて有機過酸化物架橋又は硫黄架橋をする場合には、いずれの場合においても、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等の配合剤を弾性材料に配合することができる。また、上記配合剤以外にもゴム配合剤として一般に用いられている発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等の配合剤を弾性層2の特性を損なわない範囲で弾性を有する樹脂又はゴム材料に添加することができる。
【0026】
このような現像ローラ10は、電気特性、特に、電気抵抗が重要であるので、電気抵抗を調整するために、弾性を有する樹脂又はゴム材料に種々の導電性付与材を添加する。導電性付与材料の添加量を多くすればするほど、弾性層2の抵抗は小さくなる。導電性付与材料としては、例えば、粉体として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピローラ、ポリアセチレン等の導電性ポリマーが挙げられる。また、導電性付与材として、イオン導電性物質があり、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、並びに、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート、オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン性導電性物質がある。
【0027】
本発明においては、弾性層2の抵抗値は、好ましくは、1.0×109 Ω・cm以下であり、さらに好ましくは、103 〜109 Ω・cmである。抵抗値が103 Ω・cm未満では、材料の加工性を著しく損ねると共に硬度アップを招き、また、109 Ω・cmを越えると、表面層3をコーティングした現像ローラ全体としての体積抵抗を好ましい値(1.0×107 Ω・cm以下)にすることが難しくなる。
【0028】
この弾性層2の硬度は、特に制限されるものではないが、現像ローラ10が感光体と接触する場合には、A型で60度以下、望ましくは、25〜50度が求められる。硬度が高すぎる場合、感光体がドラムの場合は、ニップ幅が小さくなるので、良好な現像が行えなくなる。逆に、硬度が低くなりすぎると、圧縮永久歪みが大きくなり、現像ローラに変形や偏芯が生じた場合、濃度ムラが発生する。また、低硬度側では、材料の固有の物性に大きく左右されるので、使用できる材料が限定される。弾性層2の硬度を低硬度にする場合でも、圧縮永久歪みは小さくすることが望ましく、具体的には20%以下とすることが望ましい。
【0029】
中間層3を構成する材料は、特に制限されるものではなく、従来公知のどのような材料を用いても構わない。中間層3を構成する材料としては、例えば、EPDM、SBR、ニトリルゴム、水素添加NBR、ポリウレタンエラストマー、ポリエステル、ポリアミド、及び、N−メトキシメチル化ナイロンが挙げられる。前記中間層3を構成する材料には、さらに、前述の導電性付与剤を添加し、導電化させる。中間層3は、弾性層2の外周面に、例えば、ディップ法、スプレーコート、ローラコートなどの種々公知のコーティング方法により形成される。
【0030】
最外層4は、トナー又は静電潜像担持体に対して非汚染性の材料であれば、特に制限されるものではない。しかし、最外層4は、中間層3の表面にコーティングされるので、柔軟性、耐摩耗性等が要求される。最外層4は、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、及び、フルオロオレフィンとビニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類等のエチレン性不飽和単量体の共重合体で構成される。これらの樹脂も導電性にするために、弾性層、中間層と同様、種々の導電性付与剤を添加する。また、耐トナー性、耐摩耗性等を向上させるために、硬化剤を用いることも可能である。表面層4は、中間層3の外周面に、例えば、ディップ法、スプレーコート、ローラコートなどの種々公知のコーティング方法により形成される。
【0031】
本発明における現像ローラ10の重要な特徴は、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していることである。このように、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していると、経時における表面の摩耗が生じても抵抗変化が小さいので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を飽和させることができ、そのために、現像ローラ10全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することができる。
【0032】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、前記Rv1 は1.0×109 Ωcm以下、Rv3 は1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 は1.0×105 Ωcm以下である。このように、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を確実に飽和させることができる。
【0033】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)は、弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下である。このように、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をより確実に飽和させることができる。
【0034】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)は、弾性層2と中間層3と最外層4とで、1.0×108 Ω以下である。このように、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3と最外層4とで、1.0×108 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をさらにより確実に飽和させることができる。
【0035】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、中間層3の膜厚は、弾性層2の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さい。中間層3の膜厚が中間層3を含んだ表面粗さより小さい場合、中間層3の表面が点在的に剥き出しになり、該当部分が電気的に異常点となる(本発明の構成では低抵抗点となる)。そのために、感光体へのリークが発生する可能性がある。また、中間層3の膜が30μmを越えると、▲1▼弾性層2の硬度より硬くなること、▲2▼割れやすくなること、▲3▼最外層にしわが発生すること、▲4▼クリープ特性が悪くなる(へこみの回復が遅くなる)こと等の不具合が発生する。このように、中間層3の膜厚が、弾性層2の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好であり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0036】
本発明における現像ローラ10においては、好ましくは、最外層4の膜厚は、中間層3を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さい。中間層3を含んだ表面粗さより小さい場合、中間層3の表面が点在的に剥き出しになり、該当部分が電気的に異常点となる(本発明の構成では低抵抗点となる)。そのために、感光体へのリークが発生する可能性がある。また、30μmを越えると、弾性層の硬度より硬くなること、割れやすくなること、最外層にしわが発生すること、クリープ特性が悪くなる(へこみの回復が遅くなる)こと等の不具合が発生する。このように、最外層4の膜厚が、中間層3を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層2の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好となり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0037】
図2において、20は、現像装置である。本発明の現像装置20は、請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを有している。このような現像装置20は、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下において感光体上へのトナー付着量が飽和する。本発明の現像装置20は、このように、感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下において感光体上へのトナー付着量が飽和することにより、(a)低抵抗ローラであるにもかかわらず感光体へのリーク等の発生が起こらないようにすることができ、また、(b)低電位2値現像を達成することができ、さらに、(c)感光体の帯電電位を下げることができるために感光体の寿命を伸ばすことができる。
【0038】
図2に示すように、本発明の一実施の形態を示す現像装置においては、現像ローラ10、芯軸の周囲にスポンジを形成してなる補給ローラ11、及び、トナー攪拌部材12は、ケース13の側板に軸支されている。トナー17は、トナー攪拌部材12及び補給ローラ11を介して現像ローラ10の表面に供給される。現像ローラ10上に供給されたトナー17は、さらに、トナー層規制部材14によって所定量に薄層化され、回転する現像ローラ10によって感光体15に搬送される。現像ローラ10は、感光体15に接触し、電極を介して感光体15の帯電電位と光書き込み後(露光後)の残留電位の中間のバイアス電圧がバイアス電源16によって印加されている。現像ローラ10上のトナー17が感光体15との接触部に搬送され、感光体電位と現像バイアスによる現像電界に応じて、帯電したトナー17が感光体15に付着し静電潜像が可視像化される。
【0039】
本発明において用いられるトナー17は、例えば、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレ系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂に帯電制御剤(CCA)及び色剤を混合した樹脂粉末であるが、かかる樹脂粉末の周りにシリカ、酸化チタン等の物質からなる添加剤を外添して、その流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常0.1〜1.5μmの範囲である。色剤は、カ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、キナクリドン、カ−ミン等をあげることができる。帯電極性は、負帯電である。トナー17は更に場合によってはワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。トナー17の体積平均粒径の範囲は、好適には、3〜12μmであるが、本実施例では7μmであり、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
【0040】
トナー層形成部材14は、ステンレス、リン青銅等の金属を使用することでき、また、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の弾性体も用いることができる。そして、トナー層形成部材14は、現像ローラと接触する部分に種々の材料をコーティングすることが可能である。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン社製)とイソシアネート(コロネートT−65)とからなる樹脂組成物を予め接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲に1ショット法にて被覆してウレタンエラストマー層を形成し、このウレタンエラストマー層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し15重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、カーボンブラック20重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0042】
(実施例2)
カーボンブラックを分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM40)のマスターバッチにさらに前記AM40を添加してカーボンブラック添加比を樹脂に対して20重量%とした塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートして20μm厚の最外層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0043】
(実施例3)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0044】
(実施例4)
フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートして20μm厚の最外層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0045】
(実施例5)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0046】
(比較例1)
水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。そして、このようにして得られた塗布液を弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0047】
(比較例2)
水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。そして、このようにして得られた塗布液を弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0048】
(比較例3)
実施例1と同様にSUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し5重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、カーボンブラック3重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0049】
(比較例4)
カーボンブラックを分散したポリオール(住友バイエルウレタン社製)とイソシアネート(コロネートT−65)とからなる樹脂組成物を予め接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲に1ショット法にて被覆してウレタンエラストマー層を形成し、このウレタンエラストマー層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、水素添加NBR(日本ゼオン社製)に炭酸カルシウム、カーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を混練し、これをトルエンに溶解させて塗布液とした。その際のカーボンブラック配合量は、水素添加NBRに対し15重量%とした。このようにして得られた塗布液を前記ローラの弾性層の表面にスプレーコートし、これを風乾して20μm厚の中間層とした。次に、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)58重量%を添加して塗布液とし、これを中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0050】
(比較例5)
接着剤を塗布した直径8mmのステンレススチール(SUS)芯軸の周囲にエピクロルヒドリンゴム(ダイソー社製)をプレス成形により被覆してエピクロルヒドリンゴム層を形成し、このエピクロルヒドリンゴム層を外径研削して直径16mmに調整することにより、SUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、フルオロオレフィンとエチレン性不飽和単量体との共重合体であるフッ素系樹脂(旭ガラス社製、ルミフロン)をトルエン及びキシレンの混合溶媒で希釈した後、これに硬化剤20重量%及び金属酸化物(ITO)66重量%を添加して塗布液とし、これ弾性層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0051】
(比較例6)
実施例1と同様にSUSの芯軸の表面に4mm厚の弾性層を有するローラを形成した。そして、カーボンブラック3重量%を分散させた水系ウレタン樹脂(旭電化工業社製、AM36)のマスターバッチにさらに前記AM36添加して塗布液とし、これを前記中間層の表面にスプレーコートした後、オーブン中で加熱して溶剤を揮発させて20μm厚の最外層とすることにより現像ローラを得た。
【0052】
そして、実施例1〜5及び比較例1〜6により得られた現像ローラの現像ポテンシャル(V)及び感光体上トナー付着量(mg/cm2 )を測定して現像ポテンシャル(V)と感光体上トナー付着量(mg/cm2 )との関係を調べた。図5〜9は、それぞれ、実施例1〜5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。図10,11は、比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期、経時)であり、図12〜14は、実施例3〜6の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【0053】
実施例1〜5のローラは、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)でも、同様の現像特性を示し、150V以下という低現像ポテンシャルで感光体上トナー付着量は飽和した。また400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)の体積抵抗はほとんど変化がなく、表面抵抗(実抵抗)は中間層の表面抵抗(最外層より低抵抗)に若干近づいていた程度であった。
比較例2〜6のローラは、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)では、比較例1の経時と同様な現像特性を示し、150V以上の現像ポテンシャルでも飽和することがなかった。
また、400Kプリント枚数ランニング試験後(経時)の体積抵抗は、比較例1〜6でほとんど変化がなかった。表面抵抗(実抵抗)は比較例1、2、5(中間層あるいは弾性層の抵抗が最外層の抵抗より高いローラ)で著しく上昇したが、比較例3、4、6では10×108 Ωcmオーダーのまま、ほとんど変化していなかった。
【0054】
また、実施例1〜5及び比較例1〜6により得られた現像ローラにおける「体積抵抗(Ω・cm)」、即ち、弾性層単独での体積抵抗:Rv1 、弾性層と中間層とでの体積抵抗:Rv2 、及び、弾性層と中間層と最外層とでの体積抵抗:Rv3 をそれぞれ測定すると共にそれらの体積抵抗の比較をし、そして、弾性層と中間層と最外層とにおける「表面抵抗(Ω)」及び表面粗さRz(μm)をそれぞれ測定した。また、それらの現像ローラの飽和現像ポテンシャル(初期、経時)をもそれぞれ測定した。
【0055】
前記「体積抵抗(Ω・cm)」については、抵抗計(アドバンテスト社製、R8340A)を用いて測定した。図3は、このようなローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。即ち、図3に示すように、ローラを平板電極に平行に押し当て、その両シャフトに各500gの荷重を平行電極方向に加えた状態で導電シャフトと平行電極との間に1Vの電圧を30秒印加して測定した。また、前記「表面抵抗(Ω)」については、抵抗計(アドバンテスト社製、R8340A)を用いて測定した。図4は、このような現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。即ち、図4に示すように、現像ローラをローラ電極に平行に押し当て、導電シャフトとローラ電極との間に1Vの電圧を30秒印加して測定した。
【0056】
測定結果は、次の表1に示される。
【0057】
【表1】
【0058】
従来は、低抵抗化するためには、弾性層の抵抗を低抵抗にして、最外層の抵抗を弾性層の抵抗と同等か若干高くしていたが、表1に示されているように、最外層の抵抗を弾性層より低抵抗にすることにより、最外層形成後の体積抵抗を弾性層単独の抵抗より低くすることができる。このことにより、低電位現像が可能となる。
実施例1〜5、比較例1〜6より弾性層の抵抗を最適化して低抵抗化することにより、150V以下という低現像ポテンシャルで、感光体上トナー付着量を飽和させることが可能となる。
弾性層と最外層の中間にいずれの層よりも低抵抗の中間層を設けることによって、最外層の磨耗による、経時での電気特性変化を抑えることが可能となり、そのため、経時でも150V以下という低現像ポテンシャルで、感光体上トナー付着量を飽和させることが可能となる。
中間層及び最外層の膜厚は、30μm以下とすることにより、弾性層の硬度を損ねることなく、かつ、収縮率等の影響を受けないためしわ等の発生を防止することができる。
中間層及び最外層の膜厚を弾性層並びに中間層形成後の表面粗さRzより大きくすることにより、感光体に上トナー層を欠陥なく得ることが可能となる。
【0059】
【発明の効果】
(1) 請求項1に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していると、経時における表面の摩耗が生じても抵抗変化が小さいたので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を飽和させることができ、そのために、現像ローラ全体としての抵抗を低抵抗にすることに伴って現像バイアスを低く設定してリークが発生しないようにすると共に、最外層の磨耗によるローラ特性変化を最小限に抑えて経時で画質の変化が生じないようにした現像ローラ並びにそれを有する現像装置を提供することができる。
【0060】
(2)請求項2に記載された発明によれば、Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であるので、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量を確実に飽和させることができる。
【0061】
(3)請求項3に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層2と中間層3とで、1.0×106 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をより確実に飽和させることができる。
【0062】
(4)請求項4に記載された発明によれば、1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が弾性層と中間層と最外層とで、1.0×108 Ω以下であると、従来の現像システムにおける現像ポテンシャルよりはるかに低電位の150V以下の現像ポテンシャルで感光体上のトナー付着量をさらにより確実に飽和させることができる。
【0063】
(5)請求項5に記載された発明によれば、中間層の膜厚が、弾性層の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいので、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好であり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0064】
(6)請求項6に記載された発明によれば、最外層の膜厚が、中間層を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいと、感光体上トナー層を欠陥なく得ることが可能となり、かつ、弾性層の硬度を損なうことなく、クリープ特性(へこみの回復性)が良好となり、そのために、しわ等の発生を防止することができる。
【0065】
(7)請求項7、8に記載された発明によれば、感光体上へのトナー付着量が飽和することにより、(a)低抵抗ローラであるにもかかわらず感光体へのリーク等の発生が起こらないようにすることができ、また、(b)低電位2値現像を達成することができ、さらに、(c)感光体の帯電電位を下げることができるために感光体の寿命を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。
【図3】ローラの体積抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【図4】現像ローラの表面層の抵抗の測定法を説明するための説明図である。
【図5】実施例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図6】実施例2の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例3の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図8】実施例4の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図9】実施例5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図10】比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図11】比較例1の現像ローラの現像ポテンシャル(経時)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図12】比較例3の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図13】比較例5の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図14】比較例6の現像ローラの現像ポテンシャル(初期)と感光体トナー付着量との関係を示すグラフである。
【図15】従来の現像装置の概略説明図である。
【図16】従来の現像装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 芯軸
2 弾性層
3 中間層
4 最外層
10 現像ローラ
11 補給ローラ
12 トナー攪拌部材
13 ケース
14 トナー層形成部材
15 感光体
16 バイアス電源
17 トナー
20 現像装置
Claims (8)
- 芯軸、弾性層、中間層及び最外層を順次有する現像ローラにおいて、1Vの印加電圧でローラ体積方向に測定した体積抵抗が、弾性層単独でRv1 、弾性層と中間層とでRv2 、弾性層と中間層と最外層とでRv3 としたときに、Rv1 >Rv3 >Rv2 の関係を満足していることを特徴とする現像ローラ。
- Rv1 が1.0×109 Ωcm以下、Rv3 が1.0×107 Ωcm以下、そして、Rv2 が1.0×105 Ωcm以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
- 1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層とで、1.0×106 Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
- 1Vの印加電圧でローラ表面方向に測定した表面抵抗(実抵抗)が、弾性層と中間層と最外層とで、1.0×108 Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
- 前記中間層の膜厚が、弾性層の表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像ローラ。
- 前記最外層の膜厚が、中間層を含んだ表面の十点平均粗さRzより大きく、30μmより小さいことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の現像ローラ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラを有することを特徴とする現像装置。
- 感光体における画像部の表面電位と現像バイアスとの差が150V以下で、感光体上へのトナー付着量が飽和することを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
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JP2016038511A (ja) * | 2014-08-08 | 2016-03-22 | 住友ゴム工業株式会社 | 導電性ローラおよび画像形成装置 |
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-
2002
- 2002-08-19 JP JP2002238187A patent/JP2004077814A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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JP4570385B2 (ja) * | 2004-04-06 | 2010-10-27 | 株式会社ブリヂストン | 現像ローラ及びそれを用いた画像形成装置 |
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