JP2004077707A - 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来の技術では透明性、色相、彩度に優れ、なおかつ耐光堅牢度の高いカラートナーを得ることができてはいないことに鑑み、染料の持つ透明性、色相、彩度を維持しつつ、耐光堅牢度の高いカラートナーを提供することを第一の目的とし、併せて得られたトナーを用いた画像形成方法を提供することを第二の目的とする。
【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイド及び/又は界面活性剤を含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液中の溶媒を除去することにより得られる。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真や静電記録などにおいて、感光体表面に形成された静電潜像を顕像化する静電荷像現像用トナー、及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子写真や静電記録等においては、電気的または磁気的潜像をトナーによって可視化することが行われている。例えば、電子写真では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像している。該トナー像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで加熱等の方法で転写材上に定着される。
【0003】
近年では、画像の高品質化すなわち、高精細化、カラー化が進められている。例えば電子写真方式においては、カラー画像を形成するために用いられるカラートナーとしてプロセスカラー、すなわち減法混色の三原色:イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックに着色されたトナーが用いられている。
【0004】
具体的には、静電荷像(潜像)の現像におけるカラー画像を形成するためのカラートナーとして、特開平9−171268号公報にはシアントナーがβフタロシアニン、マゼンタトナーがローダミン6Gキサンテンシリコモリブデン塩、イエロートナーがベンジジン系顔料、黒トナーがカーボンブラックを含有することを特徴とする組み合わせが開示されている。また特開平9−171269号公報にはシアントナーがβフタロシアニン、マゼンタトナーがモノアゾリトールルビン、イエロートナーがベンジジン系顔料、黒トナーがカーボンブラックを含有することを特徴とする組み合わせが開示されている。さらに特開平2−66562号公報、特開平3−107869号公報にはマゼンタ色材としてキナクリドン系顔料を使用する例が開示されている。
【0005】
このようにカラー画像を形成する上では、顔料による着色が主流ではあるが、顔料による着色では、色材は単にトナーの結着剤樹脂に分散しているのみであるため透明性に劣る。そのため複数の色を重ねた場合の色再現性が不十分であり、中間色の再現域が狭くなってしまう。透明性の問題は、顔料粒子の粒径を光の波長以下、すなわちサブミクロン程度に小さくすることにより、ある程度は改善が可能である。しかし、顔料をサブミクロンサイズにまで粉砕することは技術的に困難であり、色材分散コストが著しく上昇してしまう。またサブミクロン程度にまで粉砕された顔料を樹脂に均一に分散することは困難であり、実際問題としては樹脂中においてある程度凝集した集合体として存在し、十分な色再現性が得られてはいない。
【0006】
上記顔料着色の欠点を改良する目的から、カラートナーの着色に染料を用いる試みがなされてきている。染料を着色材として用いた場合には透明かつ高彩度で理想的なプロセスカラーに近い色相が得られる。しかし、多くの染料は顔料に比較して耐光性に劣り特にカラー画像の保持という点で満足できるものは少ない。耐光性改良の目的として特開平6−118716号公報において紫外線吸収剤を染着した例が、特開平6−148928号公報において酸化防止剤を染着した例が、特開平6−175406号公報において酸化防止剤を含有した例が開示されている。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤などをトナーに配合する提案もなされているが実効的には大きな効果をあげていない。
【0007】
一方、染料を基材に固定化して耐光性を改良しようとする試みが、特開平4−256962号公報、特開平4−330462号公報、特開平4−313761号公報、特開平4−338975号公報、特開平4−338976号公報、特表2001−514320に記載されているが、いずれも十分に着色力が得にくいという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術では透明性、色相、彩度に優れ、なおかつ耐光堅牢度の高いカラートナーを得ることができてはいないことに鑑み、染料の持つ透明性、色相、彩度を維持しつつ、耐光堅牢度の高いカラートナーを提供することを第一の目的とし、併せて得られたトナーを用いた画像形成方法を提供することを第二の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示す静電荷像現像用トナー、及び画像形成方法が提供される。
(1)活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイド及び/又は界面活性剤を含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液中の溶媒を除去することにより得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2)前記活性水素と反応する基が、エポキシ基であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)前記活性水素と反応する基が、イソシアネート基であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(4)前記活性水素と反応する基を有する樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(5)前記活性水素と反応する基を有する樹脂が、活性水素と反応する基を有するポリエステル樹脂であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(6)活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材と活性水素を2ヶ以上有する化合物を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイドを含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液の溶媒を除去することにより得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。(7)前記活性水素と反応する基が、エポキシ基であることを特徴とする前記(6)に記載の静電荷像現像用トナー。
(8)前記活性水素と反応する基が、イソシアネート基であることを特徴とする前記(6)に記載の静電荷像現像用トナー。
(9)前記活性水素と反応する基を有する樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする前記(6)に記載の静電荷像現像用トナー。
(10)前記活性水素と反応する基を有する樹脂が、活性水素と反応する基を有するポリエステル樹脂であることを特徴とする前記(6)に記載の静電荷像現像用トナー。
(11)前記着色材が、分散染料であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(12)酸化防止剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(13)前記水系媒体中に含まれる微粒子が、樹脂微粒子であることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(14)前記トナーのガラス転移点(Tg)が、50〜70℃であることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(15)前記トナー粒子の重量平均粒径が、3〜8μmであることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(16)前記トナー粒子のD4(重量平均粒径)/Dn(個数平均径)が、1.25以下であることを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(17)前記(1)〜(16)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用い、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像し、得られたトナー像を画像担持体に転写し、加熱定着を行うことにより画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
(18)複数色のトナーを用い、画像担持体上に複数色のトナー像を重ね合わせることにより多色画像を得る画像形成法において、少なくともトナーの1種が前記(1)〜(16)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳述する。
本発明の電荷像現像用トナー(以下、本発明トナーともいう。)には、二つの態様がある。第一の態様は、活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイドを含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液中の溶媒を除去することにより得られるトナーである。かかる構成により、本発明トナーは、染料の持つ透明性、色相、彩度を維持しつつ、耐光堅牢度も高いものとなる。これは、分散液中の樹脂と着色材とを反応させることにより、樹脂が伸長するさいに、着色材の一部が樹脂中に取り込まれ、さらに分散液中の溶媒を除去する過程で樹脂中に取り込まれた着色材分子を中心に析出が進むため、着色材が固定化されることで耐光堅牢度が向上するものと考えられる。
【0011】
本発明トナーの第二の態様は、活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材と活性水素を2ヶ以上有する化合物を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイドを含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液の溶媒を除去することにより得られるトナーである。かかる構成の本発明トナーも、染料の持つ透明性、色相、彩度を維持しつつ、耐光堅牢度が高いものとなる。
【0012】
本発明において用いる、活性水素と反応する基を有する樹脂としては、機械特性や熱特性が適切であれば特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂やイソシアネート基を有するポリエステル樹脂が好適である。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAやビスフェノールとエピクロロヒドリン樹脂とを縮合反応させて得られたものが挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル樹脂としては、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネートと反応させた物などが挙げられる。
【0013】
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0014】
本発明において好適に用いられるポリエステル樹脂は、例えば次のように得ることができる。
まず、ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネートを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂を得ることができる。
【0015】
上記ポリエステル樹脂の合成に用いる、ポリオールとしては、ジオールおよび3価以上のポリオールが挙げられ、ジオール単独、またはジオールと少量のポリオールの混合物が好ましい。ジオールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオールとしては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0016】
前記ポリエステル樹脂の合成に用いる、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸および3価以上のポリカルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸単独、およびジカルボン酸と少量のポリカルボン酸の混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオールと反応させてもよい。
【0017】
本発明で用いられるポリエステル樹脂においては、ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0018】
前記活性水素基を有するポリエステルと反応させる、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
本発明における上記ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0020】
イソシアネート基を有するポリエステル樹脂中の1分子当たりのイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
【0021】
本発明トナーの第二の態様において、エポキシ樹脂やイソシアネート基を有するポリエステル樹脂を伸長する目的で導入している活性水素を2ヶ以上有する化合物としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノールや、マレイン酸やフマル酸などのジカルボン酸、ジアミンが挙げられ、これらの中でも反応性からジアミンが好ましい。
【0022】
上記ジアミンとしては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
【0023】
本発明トナーにおいては、反応に寄与しない樹脂を併用することができる。かかる樹脂を併用すると、低温定着性、およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上するので好ましい。該併用できる樹脂としては、ポリエステル樹脂やポリエーテルポリオール樹脂が好適である。又、該併用できる樹脂の少なくとも一部が活性水素を有する樹脂と相溶していることが、低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。
【0024】
本発明トナーを構成する染料としては分散染料、油溶性染料、建浴染料、バット染料、スレン染料、塩基性染料、カチオン染料、酸性染料、反応型染料、反応型分散染料等の中から活性水素を1ヶ以上有する着色剤を用いることができる。分散染料が特に好適に用いられ、具体例として、以下から選択される少なくとも1種の染料が好ましく用いられる。
【0025】
・C.I.Disperse  Yellow  198
・C.I.Disperse  Yellow   42
・C.I.Disperse  Red      92
・C.I.Disperse  Violet   26
・C.I.Disperse  Violet   35
・C.I.Disperse  Blue     60
・C.I.Disperse  Blue     87
【0026】
これらの分散染料の含有量は結着材樹脂に対し0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜4重量%程度である。
【0027】
本発明トナーは、酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明における酸化防止剤とは、連鎖開始疎外剤、ラジカル連鎖禁止剤(一次酸化防止剤)、過酸化物分解剤(二次酸化防止剤)、相乗剤等の総称である。連鎖開始疎外剤としては紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性剤、オゾン劣化防止剤、等を、例示できる。紫外線吸収剤、光安定剤としてはフェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、ターシャルブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系化合物、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラハイドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャルアミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャルブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’−タ−シャルブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャルブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等のベンゾトリアゾール系化合物、そのほか、レゾルシノールモノベンゾエート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等を用いることができる。
【0028】
前記金属不活性剤としてはN−サリシロイル−N’−アルデヒドヒドラジン、N−サリシロイル−N’−アセチルヒドラジン、N,N’−ジフェニル−オキサミド、N、N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)オキサミド等を用いることができる。オゾン劣化防止剤としては6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等を用いることができる。
【0029】
前記ラジカル連鎖禁止剤(一次酸化防止剤)としては2,6−ジ−ターシャルブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−ターシャルブチル−フェノール、2,4−ジメチル−6−ターシャルブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャルブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−タ−シャルブチルフェニル)ブタン等のフェノール系化合物、フェニル−β−ナフリルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−イソブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、アスコルビン酸系化合物等を用いることができる。
【0030】
前記過酸化物分解剤(二次酸化防止剤)としてはジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリツチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ、β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等の硫黄系化合物、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト等のりん系化合物、相乗剤としてはクエン酸、りん酸等を用いることができる。本発明ではベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾサリシレート系から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0031】
これら酸化防止剤の配合量は結着材樹脂に対し0.01〜5.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0032】
本発明トナーにおいては、クエンチャーを使用することが好ましい。該クエンチャーは、紫外線の作用により空気中の3重項酸素によって励起状態になった染料分子を元に戻す働きがある。該クエンチャーとしては、次のような化合物が挙げられる。例えば、β−カロチン、DABCO〔1,4−ジアゾビシクロ(2,2,2)−オクタン〕、α−トコフェノール、トリフェニルアミン、P−トルエンスルホン酸のニッケル塩等や、下記表1から7に示されるニッケル錯体等がある。
【0033】
【表1】
Figure 2004077707
【0034】
【表2】
Figure 2004077707
【0035】
【表3】
Figure 2004077707
【0036】
【表4】
Figure 2004077707
【0037】
【表5】
Figure 2004077707
【0038】
【表6】
Figure 2004077707
【0039】
【表7】
Figure 2004077707
【0040】
前記クエンチャーの配合量は結着材樹脂に対し、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.02〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0041】
また、本発明トナーにおいては、ワックスを含有させることもできる。該ワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
【0042】
本発明で用いるワックスの融点は、好ましくは40〜160℃であり、より好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0043】
本発明においては、活性水素と反応する基を有する樹脂と、特定のトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させる。ここで、使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのエポキシ基やイソシアネート基に対して不活性なものが挙げられる。
【0044】
本発明においては、特定の樹脂と、特定のトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させることにより得られた溶解物(以下、トナー組成物ともいう。)を、微粒子を含む水系媒体中に分散させる。本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0045】
トナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0046】
本発明においては、上記トナー組成物が分散された油性相を水系媒体に乳化、分散するために分散剤を用いることが好ましい。該分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0047】
本発明においては、分散された油性相の合一防止のために、水系媒体に難溶の無機化合物や樹脂からなる微粒子を添加したものが用いられる。該無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。該樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0048】
上記ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0049】
本発明においては、また高分子系保護コロイドにより水系媒体を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0050】
前記分散された油性相の合一防止のために用いられる、微粒子やコロイドの中でも、樹脂微粒子が帯電や熱特性の制御が可能で、残存しても副作用を起こさない材料が選択可能であるため、特に好適である。
【0051】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。また、分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、分散液中で樹脂と着色材とを反応させてから、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0052】
本発明における分散の方法は、特に限定されないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0053】
尚、本発明においては、離型剤、荷電制御剤などを、水系媒体中で樹脂と着色材とを反応させてトナー粒子を形成させる際に混合しておくことができる。但し、後述するように、粒子を形成せしめてから混合する等してもよい。
【0054】
上記帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0055】
本発明においては、前記トナー組成物を微粒子及び/又はコロイドを含む水系媒体中に分散させることにより得られた分散液中で、樹脂と着色材とを反応させる。このときの反応時間は、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
【0056】
本発明トナーは、このようにして樹脂と着色材とを反応させてから、上記分散液中の溶媒を除去することにより得られる。樹脂と着色材とを反応させた後の乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0057】
分散液中で樹脂と着色材とを反応させることにより得られた粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保ったままで洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
また、用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0058】
本発明においては、前記乾燥後のトナーの粉体を、クリーニング性向上剤や離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによってこれらの異種粒子を表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0059】
前記流動化剤微粒子としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0060】
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子を使用してもよい。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0061】
前記クリーニング性向上剤(感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために用いられる。)としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0062】
離型剤微粒子、帯電制御性微粒子としては、前述の離型剤、帯電制御剤を各々用いることができる。
【0063】
本発明トナーは、キャリアと混合して用いる二成分現像剤としても、単独で用いる一成分現像剤としても使用できる。
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0064】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0065】
本発明においては、トナーのガラス転移点(Tg)が50〜70℃であることが好ましい。Tgが50℃以下であると、トナーの高温下での保存によりブロッキングが生じ易く、70℃以上であると定着時にトナー粒子が十分に融解せず、発色が悪い当の問題が生じる。
【0066】
Tgの測定は次のように行う。
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用する。まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行う。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出する。
【0067】
本発明トナーは、トナー粒子をコールターカウンター法で計測した場合における、重量平均粒径が3〜8μmで、トナー粒径分布の指標であるD4(重量平均粒径)/Dn(個数平均粒径)が1.25以下であることが好ましい。かかるトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われた場合、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
【0068】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、重量平均粒径が3μm未満の場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
【0069】
逆に、トナーの粒子径が8μmを超える場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様である。
【0070】
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0071】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0072】
本発明の画像形成方法においては、前記本発明トナーを用い、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像し、得られたトナー像を画像担持体に転写し、加熱定着を行うことにより画像を形成する。このようにして得られた画像は、透明性、色相、彩度に優れ、なおかつ耐光堅牢度にも優れている。
【0073】
また、複数色のトナーを用い、画像担持体上に複数色のトナー像を重ね合わせることにより多色画像を得る画像形成法においても、前記本発明トナーを用いることにより、透明性、色相、彩度に優れ、なおかつ耐光堅牢度にも優れている画像を形成することができる。
【0074】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0075】
製造例1
〔有機微粒子エマルションの合成〕
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレンモノマー138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エテレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは152℃であった。
【0076】
製造例2
〔水相の調整〕
水990部、[微粒子分散液1]80部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体[水相1]を得た。
【0077】
製造例3
〔ポリエステルの合成〕
製造例3−1
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル樹脂1]を得た。[ポリエステル樹脂1]は、数平均分子量2600、重量平均分子量6600、Tg45℃、酸価23であった。
【0078】
製造例3−2
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物80部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物700部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド3部を入れ、常圧250℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル樹脂2]を得た。[ポリエステル樹脂2]は、数平均分子量2100、重量平均分子量5800、Tg38℃、酸価19であった。
【0079】
製造例3−3
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物740部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物40部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド1部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル樹脂3]を得た。[ポリエステル樹脂3]は、数平均分子量2900、重量平均分子量8300、Tg65℃、酸価20であった。
【0080】
製造例4
〔反応性ポリエステル樹脂の合成〕
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2150、重量平均分子量9700、Tg56℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート90部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[反応性ポリエステル樹脂1]を得た。[反応性ポリエステル樹脂1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0081】
製造例5
〔ケチミンの合成〕
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0082】
製造例6
〔ポリエーテルポリオール樹脂の合成〕
撹拌装置、温度計、N導入口、冷却管付セパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378.4g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86.0g、下記一般式(I)で表されるビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のジグリシジル化物〔一般式(I)においてn+m:約2.1〕191.0g、ビスフェノールF274.5g、p−クミルフェノール70.1g、キシレン200gを加えた。N雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、[ポリエーテルポリオール樹脂1]を得た。[ポリエーテルポリオール樹脂1]の軟化点109℃、Tg58℃であった。
【化1】
Figure 2004077707
【0083】
〔実施例1〕
撹拌棒および温度計をセットした容器に、前記[ポリエーテルポリオール樹脂1]800部、カルナバWAX120部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)20部、酢酸エチル1000部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器にC.I.Disperse Red 92100部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合した。
混合物をさらに、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填して染料、WAXの分散を行った。次いで、前記[ポリエーテルポリオール樹脂1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え染料・WAX分散液を得た。
該染料・WAX分散液648部、エポキシ樹脂R301(三井化学製)を154部、前記[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に前記[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8000rpmで20分間混合し乳化スラリーを得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリーを投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
該分散スラリー100部を減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。それから超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。さらに、得られた濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径D4;7.5μm、個数平均粒径Dn;6.3μm、D4/Dn;1.19(マルチサイザーIIで測定)のトナーを得た。
【0084】
〔実施例2〕
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル樹脂1]800部、カルナバWAX120部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)20部、酢酸エチル1000部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器にC.I.Disperse Red 91 100部、2(2’ヒドロキシ−3,5ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部、ビス(ジチオベンジル)ニッケルのテトラブチルアンモニウム塩2部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合した。
得られた混合物をさらに、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填して染料、WAXの分散を行った。次いで、前記[ポリエステル樹脂1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え染料・WAX分散液を得た。
該染料・WAX分散液648部、前記[反応性ポリエステル樹脂1]154部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に前記[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数10000rpmで20分間混合し乳化スラリーを得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、該乳化スラリーを投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
該分散スラリー100部を減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。それから超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。さらに、得られた濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径D4;3.5μm、個数平均粒径Dn;3.0μm、D4/Dn;1.15(マルチサイザーIIで測定)の本発明トナーを得た。
【0085】
〔実施例3〕
[ケチミン化合物1]を用いなかった他は、実施例1と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0086】
〔実施例4〕
[ケチミン化合物1]を用いなかった他は、実施例2と同様に行ないトナーを得た。
【0087】
〔実施例5〕
[ポリエステル樹脂1]の代わりに前記[ポリエステル樹脂2]を同量用いた他は、実施例2と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0088】
〔実施例6〕
[ポリエステル樹脂1]の代わりに前記[ポリエステル樹脂3]を同量用いた他は、実施例2と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0089】
〔実施例7〕
乳化工程において、TKホモミキサーの回転数を15000rpmに上げて20分間混合し乳化スラリーを得た他は、実施例2と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0090】
〔実施例8〕
乳化工程において、TKホモミキサーの回転数を7000rpmに下げて10分間混合し乳化スラリーを得た他は、実施例2と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0091】
〔実施例9〕
乳化工程において、TKホモミキサーの回転数を15000rpmに上げてさらに60分間混合して乳化スラリーを得た他は、実施例2と同様に行ない本発明トナーを得た。
【0092】
〔比較例1〕
エポキシ樹脂R301(三井化学製)の代わりに前記[ポリエーテルポリオール樹脂1]を154部使用し、さらに[ケチミン化合物1]を用いなかった他は、実施例1と同様に行ないトナーを得た。
【0093】
〔比較例2〕
[反応性ポリエステル樹脂1]の代わりに前記[ポリエステル樹脂1]を154部使用し、さらに[ケチミン化合物1]を用いなかった他は、実施例2と同様に行ないトナーを得た。
【0094】
すべての実施例、比較例において得られたトナー粒子100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し外添剤処理を施した。このトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、定着部を改良したリコー製Imagio Color 5000を用いて、下記の評価を行った。結果を表8に示す。
【0095】
【表8】
Figure 2004077707
【0096】
(評価項目)
(a)画像濃度
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定。これを各色単独に5点測定し、各色ごとに平均を求めた。値が高いほど鮮明な画像を表現できる。
【0097】
(b)地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差をX−Rite938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定した。値が小さいほど良好である。
【0098】
(c)退色性
静電荷現像用カラートナーの退色率評価サンプルは、複写機により付着量1.0〜1.5mg/cmのカラー画像を用いた。
耐退色性の評価装置はXenon Tester XW−l50(島津社製)を用い、キセノン光を5時間照射しX−Rite938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)で分光濃度を測定して、退色率%として以下のように定量値化して評価した。退色率の測定は上記のサンプルのいずれかを用い、サンプルを約1cm×10cm片にし、上側約5cm程度の部分はそのままの状態で、下側約5cm程の部分をアルミ板でカバーし、キセノンテスターで5時間照射後、暴露部の分光濃度(IDB)とカバー部の分光濃度(IDC)をマクべス濃度計で測定し、式(A)から退色率を計算した。値が小さい方が良好で、0%は全く退色しないことを意味する。
【数1】
退色率=〔1−(IDB)/(IDC)〕×100………(A)
【0099】
(d)クリーニング性
清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランクとの差を数値として評価した。値が小さい方が良好で、0の時は完全にクリーニングされることを意味する。
【0100】
(e)定着温度幅
(定着下限温度)
リコー製Imagio Color 5000の定着部をオイル塗布無しに改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率を残存濃度で評価し、残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
【0101】
(ホットオフセット発生温度)
上記定着下限温度と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度を、ホットオフセット発生温度とした。式(B)から定着温度幅を計算し、トナーの定着能力の指標とした。値が大きいほど定着性能が良いことを意味する。
【数2】
(定着温度幅)=(ホットオフセット発生温度)−(定着下限温度)・・・(B)
【0102】
【発明の効果】
本発明により、染料の持つ透明性、色相、彩度を維持しつつ、耐光堅牢度の高い静電荷像現像用トナーを得ることができる。該トナーを用いると、色相、彩度が高く耐光堅牢度の高い画像形成が可能となる。

Claims (18)

  1. 活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイド及び/又は界面活性剤を含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液中の溶媒を除去することにより得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 該活性水素と反応する基が、エポキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該活性水素と反応する基が、イソシアネート基であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 該活性水素と反応する基を有する樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 該活性水素と反応する基を有する樹脂が、活性水素と反応する基を有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 活性水素と反応する基を有する樹脂と、有機溶剤に可溶で活性水素を1ヶ以上有する着色材と活性水素を2ヶ以上有する化合物を含むトナー組成分とを、有機溶媒中に溶解させ、得られた溶解物を、微粒子及び/又はコロイドを含む水系媒体中に分散させ、得られた分散液中の樹脂と着色材とを反応させ、該分散液の溶媒を除去することにより得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  7. 該活性水素と反応する基が、エポキシ基であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 該活性水素と反応する基が、イソシアネート基であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 該活性水素と反応する基を有する樹脂が、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 該活性水素と反応する基を有する樹脂が、活性水素と反応する基を有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 該着色材が、分散染料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 該水系媒体中に含まれる微粒子が、樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  14. 該トナーのガラス転移点(Tg)が、50〜70℃であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  15. 該トナー粒子の重量平均粒径が、3〜8μmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  16. 該トナー粒子のD4(重量平均粒径)/Dn(個数平均径)が、1.25以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用い、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像し、得られたトナー像を画像担持体に転写し、加熱定着を行うことにより画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
  18. 複数色のトナーを用い、画像担持体上に複数色のトナー像を重ね合わせることにより多色画像を得る画像形成法において、少なくともトナーの1種が請求項1〜16のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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