JP2004076209A - 衣料 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体の形状に関連して付与すべき伸縮性能や厚みを自由に設計でき、しかも着用時の快適性に必要な機能性を編地に付与し、しかも縫製工程をできるだけ少なくし、製品価値の高い衣料を提供すること。
【解決手段】筒状に編成された編地により、少なくとも一部が形成された衣料であって、筒状に編成された編地は、表裏二枚の地編地が連結糸で連結され、少なくとも一方の地編地は連結糸とタックループで結合されている編地が筒状に編成されたものである衣料
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】筒状に編成された編地により、少なくとも一部が形成された衣料であって、筒状に編成された編地は、表裏二枚の地編地が連結糸で連結され、少なくとも一方の地編地は連結糸とタックループで結合されている編地が筒状に編成されたものである衣料
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣料の少なくとも一部が縫製されることなく、筒状に編成された編地で構成された衣料(以下、成形衣料、という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からニットを中心に縫製工程を簡略化したり、縫い目をなくすことにより着用時の快適性を向上する目的で衣料の開発が進められている。これらは、丸編機に給糸切り替え装置、度目変更装置、目移し装置、編地の端部の処理装置、単品毎の巻き取りを可能にするためのエアー吸引巻取り装置等を取り付けた特殊編機で製造されている。
【0003】
成形衣料は、その一部を縫製することなく、筒状で製品化されるという特徴を持っており、ウエルト部や裾部を除く、所謂、身頃部位の編地は、通常、平編等のシングル緯編地であった。このため、単調な編地となり、肌面の素材と製品表の素材を替えたリバーシブル効果は得られず、生地の厚みも製品の部位によって大きく変えることはできない、という問題点があった。また、ダブル緯編地であっても、リブ編やインターロック編では、前記と同様の理由で製品価値の低いものであった。
【0004】
最近、平編や鹿の子編のシングル緯編地に弾性繊維を添え糸編で編みこんで、伸縮性能を付与したショーツやブラジャー製品が開発されている。しかし、添え糸編した弾性繊維は、編地裏面に露出するため、肌に直接触れやすく、不快感を受けることがあった。特に、弾性繊維が太いスパンデックスの場合に顕著であり、太い弾性繊維を使用したパワーの強い衣料は実用化されていない。
弾性繊維を用いた編地においても、伸縮力の経緯バランスが悪いという問題点もあった。弾性繊維が平編構造の場合、常にウエール方向の編地パワーがコース方向より大きくなり、コース方向の編地の伸縮力を上げればウエール方向の伸縮力が必要以上に大きくなる。
【0005】
このように、従来の衣料では、編地ウエール方向、コース方向の伸縮性能を自在にコントロールすることに限界があった。身体の補整機能と着用時の運動快適機能を両立させるために、従来の縫製製品は部位によって多様な伸縮力を生地をアッセンブルしているが、衣料においても、縫製することなく、同様の機能を付与することが望まれていた。さらに、従来の衣料は、シングル緯編地のため、編地表裏の素材を変えて快適性能等の機能性をつけることはできなかった。
【0006】
一方、シリンダーベッドとダイヤルベッドを装備するダブル丸編機に前記の特殊装置を取り付け、衣料を形成することも既に行われている。しかし、これらにより形成される編地は、コースゲージの編機を用いて、外衣中心に製造されており、弾性糸が編込まれることはなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来の衣料の欠点を改良し、人体の形状に関連して付与すべき伸縮性能や厚みを自由に設計でき、しかも着用時の快適性に必要な機能性を編地に付与し、縫製工程ができるだけ省略された、製品価値の高い衣料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、筒状に編成された編地により、少なくとも一部が形成された衣料であって、筒状に編成された編地は、表裏二枚の地編地が連結糸で連結され、少なくとも一方の地編地は連結糸とタックループで結合されている編地が筒状に編成されたものである衣料、及びダブル丸編機を用いて、表裏二枚の地編地が弾性糸からなる連結糸で連結され、かつ、少なくとも一方の地編地が連結糸とタックループで結合されている編地を、筒状に編成し、筒状に編成された編地の一部を裁断、縫製して衣料に成形し、次いで、精錬、染色後、金枠に固定された状態で100〜130℃で型セット仕上げすることを特徴とする衣料の製造方法である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成型衣料は、表裏二枚の地編地が結合糸によって連結された編地が、筒状に編成された編地によって、少なくともその一部が形成されている。表裏の地編地は、まったく独立して形成されているため、一方の地編地を形成する糸が、他方の地編地の表面に現れることがない。このため、衣料の用途、目的にそって繊維を選択すれば、表裏の地編地にそれぞれ別の機能性を付与することができる。また結合糸の送り込み量を変更することによって、二枚の地編地を貼り合せた薄い生地から、結合糸によって二枚の地編地間に空間が生まれる程の立体構造をした厚い生地まで、一つの成形衣料において、部位別に自在に形成できる。結合糸は、少なくとも一方の地編地とタックループで結合されることが必要であり、両方の地編地とタックループで結合されることが好ましい。
【0010】
筒状に編成された編地を、例えば、衣料の胴回りの個所に用いることができる。例えば、筒状に編成された編地に肩紐を取り付ければブラジャーのようなカジュアルウエアーになり、裾部を取り付けて股の部分だけ縫製することによってパンツが形成される。
【0011】
結合糸が弾性繊維で形成されている場合には、筒状に編成された編地が用いられている個所に伸縮性を付与でき、人体に沿うように縫製しなくても、人体にフィットする製品が得られるため好ましい。従来のシングル編に、弾性糸を引き揃えて編成した編地では、製品の伸縮力を高めるために太い繊度の弾性繊維を使用してニットループを形成していたが、高価な弾性繊維を多量に使用しなければならないという問題があった。本発明において、結合糸として弾性繊維を用い、この結合糸をタックループにより表及び/又は裏地を結合させることによって上記の問題が解消され、同時に所定の伸縮力を製品に付与できる。さらに、結合糸は、ほぼ完全に表裏二枚の地編地中に納めることができ、衣料の表面に露出しないため、肌触り等の点で好ましい。
【0012】
本発明の筒状に編成された編地を構成する表裏の地編地には、例えば、木綿、羊毛等の天然繊維、キュプラレーヨン、リヨセル等の再生繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ポリエステル系繊維等の合成繊維が用いられる。これらの繊維は、原糸のまま、仮撚り加工等捲縮付与糸、紡績糸、各種の複合糸等の形態で用いられる。
地編地に、これらの非弾性繊維に加え、弾性繊維を併用すると、編地に伸縮性を与えることができるため好ましい。比較的弱い伸縮力を付与するだけで十分な衣料では、比較的細い繊度の弾性繊維を表裏二枚の地編地の少なくとも一方に引き揃えてニットループを形成すると、経緯の2Way方向に伸縮力が付与できる。表裏二枚の両方に弾性繊維を非弾性繊維と引き揃えて添え糸編みすれば、生地カールが発生しないため縫製工程で取り扱いが極めて有利である。
【0013】
表裏編地が、それぞれ、異なる非弾性繊維で形成されていれば、製品の表裏で完全なリバーシブル効果を付与できる。これを製品の部位別に反転させることにより、衣料に意匠柄を付与できるため好ましい。一方の地編地に、公定水分率の高い、例えば、再生セルロース繊維、綿、ウール等の親水性繊維、他方の地編地に、公定水分率の低い、例えば、ポリエステル繊維等の疎水性繊維を使用すると、着用時の汗の吸収、発散効果が付与され、衣料の快適性を高めることができる。この衣料を、直接、肌に着用する場合に最適な衣料となる。例えば、裏編地を吸湿性の高い綿、表編地を光沢のあるナイロン繊維で形成すると、着用時の汗による不快感をなくしたインナー用衣料として最適な製品が得られる
【0014】
本発明者らは、地編地に弾性繊維を添え糸編みしただけの編地では、コース方向(緯方向)の伸縮力がウエール方向(経方向)の伸縮力より弱くなる傾向にあるが、結合糸にも弾性繊維を用いることによって経緯方向の伸縮力バランスの良好な編地を得られることを見出した。表裏編地を結合するのに使われる弾性繊維のタックループが、結果として、編地コース方向のパワーを補強し、経緯バランスが向上するため、着用快適性の面で好ましい。
【0015】
本発明の筒状に編成された編地を構成する表裏二枚の地編地を連結した編地において、編地の緯方向に20%伸張したときの復応力は、衣料の身体補正機能及び着用地の運動快適機能を向上させるのに重要である。本発明の成形衣料において、身体を支える個所の部位と、そうでない部位によって編地の伸縮力を変えれば快適な衣料となる。身体を支える個所の部位に該当する編地の緯方向20%伸長時の復応力をA、そうでない部位に該当する編地の緯方向20%伸長時の復応力をBとしたときに、A/B>1.50である場合、衣料の身体補正機能及び着用時の運動快適機能を高めることができ好ましい。
【0016】
この条件を満たす衣料を得る方法として、表裏編地の非弾性繊維と引き揃えて編込むポリウレタン弾性繊維に部分的に伸縮力の異なる少なくとも2種のポリウレタン弾性繊維を使用してもよいし、表裏の内どちらか一方の非弾性繊維に弾性繊維を引き揃え編した部位と表裏両面に弾性繊維を引き揃え編した部位を形成してもよい。
【0017】
結合糸は、編地全体のコース方向(緯方向)の伸縮力に大きく影響する。したがって、衣料の部位によって、伸縮力の異なる、少なくとも2種の弾性繊維を結合糸として使用すると、伸縮力の異なる少なくとも2種の編地が衣料の部位別に形成されるため好ましい。例えば、補整機能をもつ、膝上丈のガードル製品において、脚部の編地を構成する結合糸に細繊度のポリウレタン弾性繊維を用い、高い補整力を要求されるヒップ下部の部位の編地を構成する結合糸には太繊度のポリウレタン弾性繊維を使用する。そうすることによって、脚部は経緯2Way方向に比較的ソフトな伸縮性があり、下腹部は高い緊迫力のある補整機能と着用運動性の優れたガードル製品が得られる。さらに、異なる伸縮力を持つ表裏編地と、結合糸の繊度違い等との組み合わせにより、何段階かの緊迫力の部位をもった衣料が形成できる。編成されるスパンデックス弾性繊維を、衣料の筒状の編地1コース編成完了までの間に、別の伸縮力の弾性繊維に切り替える操作を繰り返せば、例えば、ヒップ側と腹部側で緊迫力の異なる衣料ができる。
【0018】
本発明に用いられる弾性繊維として、例えば、ポリウレタン弾性繊維、ポリエーテル・エステル弾性繊維、ポリエチレンテレフタレート2成分バイコニカル型弾性繊維、ポリトリメチレンテレフタレート2成分バイコニカル型弾性繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の組み合わせによる2成分バイコニカル型弾性繊維等が挙げられる。これらの弾性繊維が、非弾性繊維によって被覆されたカバリング糸、非弾性繊維と合撚加工又は短繊維で被覆されたコアースパン糸等を用いることもできる。
【0019】
弾性繊維としてポリウレタン弾性繊維の裸糸を用いると、カバリング加工等の手間が省け、衣料が高コストになるのを防ぐことができるため好ましい。ポリウレタン弾性糸の裸糸が表裏編地の少なくとも一方で非弾性繊維に添え糸編みされても、表裏二枚の地編地間にニットループが形成されるため表面に露出することはない。また、結合糸がポリウレタン弾性糸の裸糸であっても、やはり表裏二枚の地編地間に位置するため、製品表面に露出することはない。このため結合糸に太い弾性繊維を使用しても着用時に弾性繊維の不快な肌さわりがない衣料が得られる。
【0020】
ポリウレタン弾性繊維の繊度は5〜1360デシテックスが好ましく、19〜560デシテックスがより好ましい。弾性繊維の破断伸度は400%〜1000%が好ましく、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないものが好ましい。
ポリウレタン弾性繊維裸糸は、公知の溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法等により製造される。ポリマーの種類や製造方法は限定されるものではない。後加工で利用し易くするために、粘着防止剤、平滑性促進剤等の添加物を含む鉱物系又はシリコン系、さらには、これらの混合物の油剤を糸条の表面に適宜付着させた後、巻き取り機で巻き取ることによって製造することが好ましい。
【0021】
ポリウレタン重合体は、2種類の型のセグメント;(a)長鎖のポリエーテル、ポリエステルセグメントであるソフトセグメントと(b)イソシアネートとジアミン又はジオール鎖身長剤との反応により誘導された比較的短鎖のセグメントであるハードセグメントとを含有する。このポリウレタン重合体はヒドロキシン末端ソフトセグメント前駆体を有機ジイソシアネートでキャッピングすることによって得られるプレポリマ生成物をジアミン又はジオールで鎖伸長させて製造することが好ましい。
【0022】
ポリウレタン系弾性繊維は、例えば、共重合ポリアルキレンエーテルジオール、主として、4,4‘ジフェニルメタンジイソシアネートからなる芳香族ジイソシアネート、及び二官能性ジアミンから得られるポリウレタンからなり、ポリウレタンにおけるウレタン部分の数平均分子量が6000〜9500、ウレア部分の数平均分子量が650〜950であって、300%モジュラスが0.20g/デシテックス以下のポリウレタン弾性繊維が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の衣料は、ダブル丸編機を用いて、表裏二枚の地編地が弾性糸からなる連結糸で連結され、かつ、少なくとも一方の地編地が連結糸とタックループで結合されている編地を、筒状に編成し、筒状に編成された編地の一部を裁断、縫製して衣料に成形し、次いで、精錬、染色後、金枠に固定された状態で100〜130℃で型セット仕上げすることにより製造される。
【0024】
編地を三層にすることにより、染色時の折れシワが入りやすくなるため、金枠に緊張固定下で熱セットすることが好ましい。本発明の衣料は、表裏二枚の地編地を編成するために、例えば、ダブル丸編機が使用される。一般的に、縫製をできるだけ省略する成形衣料を編成するには、給糸切り替え装置や度目変更装置、目移し装置、編地の端部の処理装置、単品毎の巻き取りを可能にするためのエアー吸引巻取り装置等を取り付けた特殊編機が使用される。本発明の衣料は、筒状に編成された編地の編成部位で編成する弾性糸を変更したり、編目の大きさを制御するため、給糸切り替え装置や度目変更装置を装備した編機が好ましく、その他の、前記装置を装備している編機でもよい。
【0025】
筒状に編成された編地は、ダブル丸編機の第一給糸口から、シリンダー針のみに非弾性繊維及び/又は非弾性繊維と弾性繊維を引き揃えて供給し、第二給糸口から、ダイヤル針のみに非弾性繊維及び/又は非弾性繊維と弾性繊維を引き揃えて供給する。第三給糸口からはポリウレタン弾性繊維の裸糸を供給し、シリンダーロング針とダイヤルロング針で交互にタック編成する。第四、第五給糸口には、それぞれ第一、第二給糸口と同様に、第六給糸口からは、同様のポリウレタン弾性繊維の裸糸をシリンダーショート針とダイヤルショート針で交互にタック編成する。次いで、得られた生機の一部を開反・縫製したり、そのまま一部を縫製して成形衣料とし、パドル染色機やオーバーマイヤー型染色機等を用いて染色する。染色後のシワを伸ばし、製品品位を向上させるために1点ごと金枠や、金属板に装着し、この状態で熱セットする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
【実施例1】
糸切れ替え装置を装備した18インチ径・28ゲージのダブル丸編機のそれぞれシリンダー針とダイヤル針で平編地を筒状に形成した。第一給糸口には、シリンダー針のみに44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸を供給し、第二給糸口には、ダイヤル針に綿糸80番を供給し、第三給糸口からはポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を供給し、シリンダーロング針とダイヤルロング針で交互にタック編成した。第四、第五給糸口には、それぞれ第一、第二給糸口と同様に、第六給糸口からは、同様のポリウレタン弾性繊維の裸糸をシリンダーショート針とダイヤルショート針で交互にタック編成した。
【0028】
この操作を繰り返し、表面地編地がポリアミド、裏面地編地が綿、結合糸がポリウレタンからなる生機「C」を30cm編み上げた。
次いで、上記使用糸の内、ポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックスに替えポリウレタン弾性繊維の裸糸22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を使用し、同様の給糸方法で生機「D」を30cm編み上げた。
【0029】
得られた筒状の編地は、伸縮力が異なる二つの部位からなり、このうち低伸縮力の筒状に編成された編地「D」の中央二箇所を切り開き、二本の筒状に縫製し、膝上までのストレッチパンツを得た。次いで、通常の方法で精錬・綿晒し・酸性染料でポリアミド繊維染色し、乾燥後金枠に緊張下で挿入固定し、熱セット温度120度の高圧蒸気で40秒間熱セットした。
【0030】
得られた衣料は、編地「C」部の緯20%伸長時の応力Cは62cN/cm、編地「D」部の緯20%伸長時の応力Cは20cN/cm、応力比C/D=3.1であった。製品の裏面は綿、表面はポリアミド繊維からなり、綿を用いた側は白色のままの完全なリバーシブルで、腹部とヒップ部位の伸縮力が高く、補整機能があり、大腿部は、弱い伸縮力で歩行時の抵抗が少なく運動快適な衣料であった。
【0031】
【実施例2】
実施例1の編地「C」部の代わりに、第一、第四給糸口に44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸とポリウレタン弾性繊維の裸糸44デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を引き揃えて供給し、編目のシンカーループ側にポリウレタン弾性繊維の編目が位置するように編成し、それ以外は実施例1と同様にして編地「A」を編成した。
【0032】
次いで、編地「D」部の代わりに、第一、第四給糸口に44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸とポリウレタン弾性繊維の裸糸22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を引き揃えて供給し、編目のシンカーループ側にポリウレタン弾性繊維の編目が位置するように編成し、それ以外は実施例1と同様にして編地「B」を得た。
その他は実施例1と同様の方法で衣料を得た。編地「A」部の経20%伸長時の応力Aは54cN/cm、編地「B」部の経20%伸長時の応力Bは20cN/cm、応力比C/D=2.7であった。製品の裏面は綿、表面はポリアミド繊維とポリウレタン弾性繊維からなり、綿を用いた側は白色のままの完全なリバーシブルで、補整機能と運動快適性を兼ね備えた衣料であった。
【0033】
地編地でニットループを形成しているポリウレタン弾性繊維とタック結合しているポリウレタン弾性繊維が互いに融着しており、編地端からのほつれが発生しないという特徴を持っていた。このため膝上の製品端部もパイピングや、ミシンによる処理を必要とせず、切りっ放しの状態でも十分着用に耐える特徴を有していた。
【0034】
【実施例3】
ブラジャーを作るために、実施例1と同様の編機を用いて筒状の編地を編成した。実施例2における編地「A」において、ポリウレタン弾性繊維の裸糸960デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を結合糸に使用し、生機で3cm編成した。
次いで、編地「B」において、ポリアミドマルチフィラメントを56デシテックス/17フィラメントに、結合糸をポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)に替え18cm編成した。このとき、ポリウレタン弾性繊維22デシテックスを第一、第二給糸口からそれぞれポリアミド繊維と綿糸に引き揃えてそれぞれ平編を形成した。
【0035】
このときのポリアミド繊維と綿糸の給糸長は10編目当たり2.4cm、第一、第二給糸口から引き揃えて編成するポリウレタン弾性繊維22デシテックスは10編目当たり1.2cm、延伸倍率は2.0倍とした。結合糸のポリウレタン弾性繊維裸糸155デシテックスの給糸長は、ブラジャーバックに相当する部位の編地を編成するときは、地編地10編目当たり0.6cmの編成条件としたが、ブラジャーのカップに相当する部位の編地を編成するところは給糸長を地編地10編目当たり2.4cmに増加させて編成した。この場合、ブラバックに相当する編地は表裏二枚を貼り合せた構造にもかかわらず、厚み0.4mmで薄い編地であったが、ブラカップに相当する編地は結合糸による表裏二枚の編地の結合部で空間を持った立体構造をしており、厚みが2.6mmもあった。
【0036】
得られた筒状の編地を編み終わり部位がブラジャーの上部になるように裁断縫製し、上部縁をパイピングし、ストラップを取り付けた。これを実施例1と同様の工程で染色仕上げし、最終的にブラジャーカップに相当する部位の編地を180度の凹凸金型で40秒間モールド成形したところ、立体的に縫製されたブラジャーのような立体感があり、ブラカップの縁に縫い目が無いため着用時のゴア付き感もないブラジャーとなった。さらにブラカップが地厚で立体構造をしているため、着用時に乳首の形状が目立たないという利点もあった。
【0037】
【比較例】
糸切れ替え装置を装備した45cm径・28ゲージのシングル丸編機を用い、シリンダー針で平編地を筒状に形成した。実施例1と同様のポリアミドマルチフィラメント糸を供給し、同時にポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックスを引き揃えて供給し、筒状の編地を編成し、その他は、実施例1と同様の工程を経てストレッチパンツを得た。
【0038】
この衣料を着用したところ、編地裏面(肌面)にポリウレタン弾性繊維が露出しており、ゴムのような不快な肌触りであった。また腹部とヒップ部の補整機能は本発明と大差なかったが、大腿部は、編地伸縮力が高すぎ、着用時は、締め付けによる不快感と自由な動きが阻害される衣料であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、従来の衣料の欠点を改良し、人体の形状に関連して付与すべき伸縮性能や厚みを自由に設計でき、しかも着用時の快適性に必要な機能性を編地に付与し、しかも縫製工程をできるだけ少なくし、製品価値の高い衣料を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣料の少なくとも一部が縫製されることなく、筒状に編成された編地で構成された衣料(以下、成形衣料、という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からニットを中心に縫製工程を簡略化したり、縫い目をなくすことにより着用時の快適性を向上する目的で衣料の開発が進められている。これらは、丸編機に給糸切り替え装置、度目変更装置、目移し装置、編地の端部の処理装置、単品毎の巻き取りを可能にするためのエアー吸引巻取り装置等を取り付けた特殊編機で製造されている。
【0003】
成形衣料は、その一部を縫製することなく、筒状で製品化されるという特徴を持っており、ウエルト部や裾部を除く、所謂、身頃部位の編地は、通常、平編等のシングル緯編地であった。このため、単調な編地となり、肌面の素材と製品表の素材を替えたリバーシブル効果は得られず、生地の厚みも製品の部位によって大きく変えることはできない、という問題点があった。また、ダブル緯編地であっても、リブ編やインターロック編では、前記と同様の理由で製品価値の低いものであった。
【0004】
最近、平編や鹿の子編のシングル緯編地に弾性繊維を添え糸編で編みこんで、伸縮性能を付与したショーツやブラジャー製品が開発されている。しかし、添え糸編した弾性繊維は、編地裏面に露出するため、肌に直接触れやすく、不快感を受けることがあった。特に、弾性繊維が太いスパンデックスの場合に顕著であり、太い弾性繊維を使用したパワーの強い衣料は実用化されていない。
弾性繊維を用いた編地においても、伸縮力の経緯バランスが悪いという問題点もあった。弾性繊維が平編構造の場合、常にウエール方向の編地パワーがコース方向より大きくなり、コース方向の編地の伸縮力を上げればウエール方向の伸縮力が必要以上に大きくなる。
【0005】
このように、従来の衣料では、編地ウエール方向、コース方向の伸縮性能を自在にコントロールすることに限界があった。身体の補整機能と着用時の運動快適機能を両立させるために、従来の縫製製品は部位によって多様な伸縮力を生地をアッセンブルしているが、衣料においても、縫製することなく、同様の機能を付与することが望まれていた。さらに、従来の衣料は、シングル緯編地のため、編地表裏の素材を変えて快適性能等の機能性をつけることはできなかった。
【0006】
一方、シリンダーベッドとダイヤルベッドを装備するダブル丸編機に前記の特殊装置を取り付け、衣料を形成することも既に行われている。しかし、これらにより形成される編地は、コースゲージの編機を用いて、外衣中心に製造されており、弾性糸が編込まれることはなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来の衣料の欠点を改良し、人体の形状に関連して付与すべき伸縮性能や厚みを自由に設計でき、しかも着用時の快適性に必要な機能性を編地に付与し、縫製工程ができるだけ省略された、製品価値の高い衣料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、筒状に編成された編地により、少なくとも一部が形成された衣料であって、筒状に編成された編地は、表裏二枚の地編地が連結糸で連結され、少なくとも一方の地編地は連結糸とタックループで結合されている編地が筒状に編成されたものである衣料、及びダブル丸編機を用いて、表裏二枚の地編地が弾性糸からなる連結糸で連結され、かつ、少なくとも一方の地編地が連結糸とタックループで結合されている編地を、筒状に編成し、筒状に編成された編地の一部を裁断、縫製して衣料に成形し、次いで、精錬、染色後、金枠に固定された状態で100〜130℃で型セット仕上げすることを特徴とする衣料の製造方法である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成型衣料は、表裏二枚の地編地が結合糸によって連結された編地が、筒状に編成された編地によって、少なくともその一部が形成されている。表裏の地編地は、まったく独立して形成されているため、一方の地編地を形成する糸が、他方の地編地の表面に現れることがない。このため、衣料の用途、目的にそって繊維を選択すれば、表裏の地編地にそれぞれ別の機能性を付与することができる。また結合糸の送り込み量を変更することによって、二枚の地編地を貼り合せた薄い生地から、結合糸によって二枚の地編地間に空間が生まれる程の立体構造をした厚い生地まで、一つの成形衣料において、部位別に自在に形成できる。結合糸は、少なくとも一方の地編地とタックループで結合されることが必要であり、両方の地編地とタックループで結合されることが好ましい。
【0010】
筒状に編成された編地を、例えば、衣料の胴回りの個所に用いることができる。例えば、筒状に編成された編地に肩紐を取り付ければブラジャーのようなカジュアルウエアーになり、裾部を取り付けて股の部分だけ縫製することによってパンツが形成される。
【0011】
結合糸が弾性繊維で形成されている場合には、筒状に編成された編地が用いられている個所に伸縮性を付与でき、人体に沿うように縫製しなくても、人体にフィットする製品が得られるため好ましい。従来のシングル編に、弾性糸を引き揃えて編成した編地では、製品の伸縮力を高めるために太い繊度の弾性繊維を使用してニットループを形成していたが、高価な弾性繊維を多量に使用しなければならないという問題があった。本発明において、結合糸として弾性繊維を用い、この結合糸をタックループにより表及び/又は裏地を結合させることによって上記の問題が解消され、同時に所定の伸縮力を製品に付与できる。さらに、結合糸は、ほぼ完全に表裏二枚の地編地中に納めることができ、衣料の表面に露出しないため、肌触り等の点で好ましい。
【0012】
本発明の筒状に編成された編地を構成する表裏の地編地には、例えば、木綿、羊毛等の天然繊維、キュプラレーヨン、リヨセル等の再生繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、ポリエステル系繊維等の合成繊維が用いられる。これらの繊維は、原糸のまま、仮撚り加工等捲縮付与糸、紡績糸、各種の複合糸等の形態で用いられる。
地編地に、これらの非弾性繊維に加え、弾性繊維を併用すると、編地に伸縮性を与えることができるため好ましい。比較的弱い伸縮力を付与するだけで十分な衣料では、比較的細い繊度の弾性繊維を表裏二枚の地編地の少なくとも一方に引き揃えてニットループを形成すると、経緯の2Way方向に伸縮力が付与できる。表裏二枚の両方に弾性繊維を非弾性繊維と引き揃えて添え糸編みすれば、生地カールが発生しないため縫製工程で取り扱いが極めて有利である。
【0013】
表裏編地が、それぞれ、異なる非弾性繊維で形成されていれば、製品の表裏で完全なリバーシブル効果を付与できる。これを製品の部位別に反転させることにより、衣料に意匠柄を付与できるため好ましい。一方の地編地に、公定水分率の高い、例えば、再生セルロース繊維、綿、ウール等の親水性繊維、他方の地編地に、公定水分率の低い、例えば、ポリエステル繊維等の疎水性繊維を使用すると、着用時の汗の吸収、発散効果が付与され、衣料の快適性を高めることができる。この衣料を、直接、肌に着用する場合に最適な衣料となる。例えば、裏編地を吸湿性の高い綿、表編地を光沢のあるナイロン繊維で形成すると、着用時の汗による不快感をなくしたインナー用衣料として最適な製品が得られる
【0014】
本発明者らは、地編地に弾性繊維を添え糸編みしただけの編地では、コース方向(緯方向)の伸縮力がウエール方向(経方向)の伸縮力より弱くなる傾向にあるが、結合糸にも弾性繊維を用いることによって経緯方向の伸縮力バランスの良好な編地を得られることを見出した。表裏編地を結合するのに使われる弾性繊維のタックループが、結果として、編地コース方向のパワーを補強し、経緯バランスが向上するため、着用快適性の面で好ましい。
【0015】
本発明の筒状に編成された編地を構成する表裏二枚の地編地を連結した編地において、編地の緯方向に20%伸張したときの復応力は、衣料の身体補正機能及び着用地の運動快適機能を向上させるのに重要である。本発明の成形衣料において、身体を支える個所の部位と、そうでない部位によって編地の伸縮力を変えれば快適な衣料となる。身体を支える個所の部位に該当する編地の緯方向20%伸長時の復応力をA、そうでない部位に該当する編地の緯方向20%伸長時の復応力をBとしたときに、A/B>1.50である場合、衣料の身体補正機能及び着用時の運動快適機能を高めることができ好ましい。
【0016】
この条件を満たす衣料を得る方法として、表裏編地の非弾性繊維と引き揃えて編込むポリウレタン弾性繊維に部分的に伸縮力の異なる少なくとも2種のポリウレタン弾性繊維を使用してもよいし、表裏の内どちらか一方の非弾性繊維に弾性繊維を引き揃え編した部位と表裏両面に弾性繊維を引き揃え編した部位を形成してもよい。
【0017】
結合糸は、編地全体のコース方向(緯方向)の伸縮力に大きく影響する。したがって、衣料の部位によって、伸縮力の異なる、少なくとも2種の弾性繊維を結合糸として使用すると、伸縮力の異なる少なくとも2種の編地が衣料の部位別に形成されるため好ましい。例えば、補整機能をもつ、膝上丈のガードル製品において、脚部の編地を構成する結合糸に細繊度のポリウレタン弾性繊維を用い、高い補整力を要求されるヒップ下部の部位の編地を構成する結合糸には太繊度のポリウレタン弾性繊維を使用する。そうすることによって、脚部は経緯2Way方向に比較的ソフトな伸縮性があり、下腹部は高い緊迫力のある補整機能と着用運動性の優れたガードル製品が得られる。さらに、異なる伸縮力を持つ表裏編地と、結合糸の繊度違い等との組み合わせにより、何段階かの緊迫力の部位をもった衣料が形成できる。編成されるスパンデックス弾性繊維を、衣料の筒状の編地1コース編成完了までの間に、別の伸縮力の弾性繊維に切り替える操作を繰り返せば、例えば、ヒップ側と腹部側で緊迫力の異なる衣料ができる。
【0018】
本発明に用いられる弾性繊維として、例えば、ポリウレタン弾性繊維、ポリエーテル・エステル弾性繊維、ポリエチレンテレフタレート2成分バイコニカル型弾性繊維、ポリトリメチレンテレフタレート2成分バイコニカル型弾性繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の組み合わせによる2成分バイコニカル型弾性繊維等が挙げられる。これらの弾性繊維が、非弾性繊維によって被覆されたカバリング糸、非弾性繊維と合撚加工又は短繊維で被覆されたコアースパン糸等を用いることもできる。
【0019】
弾性繊維としてポリウレタン弾性繊維の裸糸を用いると、カバリング加工等の手間が省け、衣料が高コストになるのを防ぐことができるため好ましい。ポリウレタン弾性糸の裸糸が表裏編地の少なくとも一方で非弾性繊維に添え糸編みされても、表裏二枚の地編地間にニットループが形成されるため表面に露出することはない。また、結合糸がポリウレタン弾性糸の裸糸であっても、やはり表裏二枚の地編地間に位置するため、製品表面に露出することはない。このため結合糸に太い弾性繊維を使用しても着用時に弾性繊維の不快な肌さわりがない衣料が得られる。
【0020】
ポリウレタン弾性繊維の繊度は5〜1360デシテックスが好ましく、19〜560デシテックスがより好ましい。弾性繊維の破断伸度は400%〜1000%が好ましく、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度180℃近辺で伸縮性を損なわないものが好ましい。
ポリウレタン弾性繊維裸糸は、公知の溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法等により製造される。ポリマーの種類や製造方法は限定されるものではない。後加工で利用し易くするために、粘着防止剤、平滑性促進剤等の添加物を含む鉱物系又はシリコン系、さらには、これらの混合物の油剤を糸条の表面に適宜付着させた後、巻き取り機で巻き取ることによって製造することが好ましい。
【0021】
ポリウレタン重合体は、2種類の型のセグメント;(a)長鎖のポリエーテル、ポリエステルセグメントであるソフトセグメントと(b)イソシアネートとジアミン又はジオール鎖身長剤との反応により誘導された比較的短鎖のセグメントであるハードセグメントとを含有する。このポリウレタン重合体はヒドロキシン末端ソフトセグメント前駆体を有機ジイソシアネートでキャッピングすることによって得られるプレポリマ生成物をジアミン又はジオールで鎖伸長させて製造することが好ましい。
【0022】
ポリウレタン系弾性繊維は、例えば、共重合ポリアルキレンエーテルジオール、主として、4,4‘ジフェニルメタンジイソシアネートからなる芳香族ジイソシアネート、及び二官能性ジアミンから得られるポリウレタンからなり、ポリウレタンにおけるウレタン部分の数平均分子量が6000〜9500、ウレア部分の数平均分子量が650〜950であって、300%モジュラスが0.20g/デシテックス以下のポリウレタン弾性繊維が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の衣料は、ダブル丸編機を用いて、表裏二枚の地編地が弾性糸からなる連結糸で連結され、かつ、少なくとも一方の地編地が連結糸とタックループで結合されている編地を、筒状に編成し、筒状に編成された編地の一部を裁断、縫製して衣料に成形し、次いで、精錬、染色後、金枠に固定された状態で100〜130℃で型セット仕上げすることにより製造される。
【0024】
編地を三層にすることにより、染色時の折れシワが入りやすくなるため、金枠に緊張固定下で熱セットすることが好ましい。本発明の衣料は、表裏二枚の地編地を編成するために、例えば、ダブル丸編機が使用される。一般的に、縫製をできるだけ省略する成形衣料を編成するには、給糸切り替え装置や度目変更装置、目移し装置、編地の端部の処理装置、単品毎の巻き取りを可能にするためのエアー吸引巻取り装置等を取り付けた特殊編機が使用される。本発明の衣料は、筒状に編成された編地の編成部位で編成する弾性糸を変更したり、編目の大きさを制御するため、給糸切り替え装置や度目変更装置を装備した編機が好ましく、その他の、前記装置を装備している編機でもよい。
【0025】
筒状に編成された編地は、ダブル丸編機の第一給糸口から、シリンダー針のみに非弾性繊維及び/又は非弾性繊維と弾性繊維を引き揃えて供給し、第二給糸口から、ダイヤル針のみに非弾性繊維及び/又は非弾性繊維と弾性繊維を引き揃えて供給する。第三給糸口からはポリウレタン弾性繊維の裸糸を供給し、シリンダーロング針とダイヤルロング針で交互にタック編成する。第四、第五給糸口には、それぞれ第一、第二給糸口と同様に、第六給糸口からは、同様のポリウレタン弾性繊維の裸糸をシリンダーショート針とダイヤルショート針で交互にタック編成する。次いで、得られた生機の一部を開反・縫製したり、そのまま一部を縫製して成形衣料とし、パドル染色機やオーバーマイヤー型染色機等を用いて染色する。染色後のシワを伸ばし、製品品位を向上させるために1点ごと金枠や、金属板に装着し、この状態で熱セットする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
【実施例1】
糸切れ替え装置を装備した18インチ径・28ゲージのダブル丸編機のそれぞれシリンダー針とダイヤル針で平編地を筒状に形成した。第一給糸口には、シリンダー針のみに44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸を供給し、第二給糸口には、ダイヤル針に綿糸80番を供給し、第三給糸口からはポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を供給し、シリンダーロング針とダイヤルロング針で交互にタック編成した。第四、第五給糸口には、それぞれ第一、第二給糸口と同様に、第六給糸口からは、同様のポリウレタン弾性繊維の裸糸をシリンダーショート針とダイヤルショート針で交互にタック編成した。
【0028】
この操作を繰り返し、表面地編地がポリアミド、裏面地編地が綿、結合糸がポリウレタンからなる生機「C」を30cm編み上げた。
次いで、上記使用糸の内、ポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックスに替えポリウレタン弾性繊維の裸糸22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を使用し、同様の給糸方法で生機「D」を30cm編み上げた。
【0029】
得られた筒状の編地は、伸縮力が異なる二つの部位からなり、このうち低伸縮力の筒状に編成された編地「D」の中央二箇所を切り開き、二本の筒状に縫製し、膝上までのストレッチパンツを得た。次いで、通常の方法で精錬・綿晒し・酸性染料でポリアミド繊維染色し、乾燥後金枠に緊張下で挿入固定し、熱セット温度120度の高圧蒸気で40秒間熱セットした。
【0030】
得られた衣料は、編地「C」部の緯20%伸長時の応力Cは62cN/cm、編地「D」部の緯20%伸長時の応力Cは20cN/cm、応力比C/D=3.1であった。製品の裏面は綿、表面はポリアミド繊維からなり、綿を用いた側は白色のままの完全なリバーシブルで、腹部とヒップ部位の伸縮力が高く、補整機能があり、大腿部は、弱い伸縮力で歩行時の抵抗が少なく運動快適な衣料であった。
【0031】
【実施例2】
実施例1の編地「C」部の代わりに、第一、第四給糸口に44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸とポリウレタン弾性繊維の裸糸44デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を引き揃えて供給し、編目のシンカーループ側にポリウレタン弾性繊維の編目が位置するように編成し、それ以外は実施例1と同様にして編地「A」を編成した。
【0032】
次いで、編地「D」部の代わりに、第一、第四給糸口に44デシテックス/34フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸とポリウレタン弾性繊維の裸糸22デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を引き揃えて供給し、編目のシンカーループ側にポリウレタン弾性繊維の編目が位置するように編成し、それ以外は実施例1と同様にして編地「B」を得た。
その他は実施例1と同様の方法で衣料を得た。編地「A」部の経20%伸長時の応力Aは54cN/cm、編地「B」部の経20%伸長時の応力Bは20cN/cm、応力比C/D=2.7であった。製品の裏面は綿、表面はポリアミド繊維とポリウレタン弾性繊維からなり、綿を用いた側は白色のままの完全なリバーシブルで、補整機能と運動快適性を兼ね備えた衣料であった。
【0033】
地編地でニットループを形成しているポリウレタン弾性繊維とタック結合しているポリウレタン弾性繊維が互いに融着しており、編地端からのほつれが発生しないという特徴を持っていた。このため膝上の製品端部もパイピングや、ミシンによる処理を必要とせず、切りっ放しの状態でも十分着用に耐える特徴を有していた。
【0034】
【実施例3】
ブラジャーを作るために、実施例1と同様の編機を用いて筒状の編地を編成した。実施例2における編地「A」において、ポリウレタン弾性繊維の裸糸960デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)を結合糸に使用し、生機で3cm編成した。
次いで、編地「B」において、ポリアミドマルチフィラメントを56デシテックス/17フィラメントに、結合糸をポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックス(ロイカ(登録商標)、旭化成(株)製)に替え18cm編成した。このとき、ポリウレタン弾性繊維22デシテックスを第一、第二給糸口からそれぞれポリアミド繊維と綿糸に引き揃えてそれぞれ平編を形成した。
【0035】
このときのポリアミド繊維と綿糸の給糸長は10編目当たり2.4cm、第一、第二給糸口から引き揃えて編成するポリウレタン弾性繊維22デシテックスは10編目当たり1.2cm、延伸倍率は2.0倍とした。結合糸のポリウレタン弾性繊維裸糸155デシテックスの給糸長は、ブラジャーバックに相当する部位の編地を編成するときは、地編地10編目当たり0.6cmの編成条件としたが、ブラジャーのカップに相当する部位の編地を編成するところは給糸長を地編地10編目当たり2.4cmに増加させて編成した。この場合、ブラバックに相当する編地は表裏二枚を貼り合せた構造にもかかわらず、厚み0.4mmで薄い編地であったが、ブラカップに相当する編地は結合糸による表裏二枚の編地の結合部で空間を持った立体構造をしており、厚みが2.6mmもあった。
【0036】
得られた筒状の編地を編み終わり部位がブラジャーの上部になるように裁断縫製し、上部縁をパイピングし、ストラップを取り付けた。これを実施例1と同様の工程で染色仕上げし、最終的にブラジャーカップに相当する部位の編地を180度の凹凸金型で40秒間モールド成形したところ、立体的に縫製されたブラジャーのような立体感があり、ブラカップの縁に縫い目が無いため着用時のゴア付き感もないブラジャーとなった。さらにブラカップが地厚で立体構造をしているため、着用時に乳首の形状が目立たないという利点もあった。
【0037】
【比較例】
糸切れ替え装置を装備した45cm径・28ゲージのシングル丸編機を用い、シリンダー針で平編地を筒状に形成した。実施例1と同様のポリアミドマルチフィラメント糸を供給し、同時にポリウレタン弾性繊維の裸糸155デシテックスを引き揃えて供給し、筒状の編地を編成し、その他は、実施例1と同様の工程を経てストレッチパンツを得た。
【0038】
この衣料を着用したところ、編地裏面(肌面)にポリウレタン弾性繊維が露出しており、ゴムのような不快な肌触りであった。また腹部とヒップ部の補整機能は本発明と大差なかったが、大腿部は、編地伸縮力が高すぎ、着用時は、締め付けによる不快感と自由な動きが阻害される衣料であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、従来の衣料の欠点を改良し、人体の形状に関連して付与すべき伸縮性能や厚みを自由に設計でき、しかも着用時の快適性に必要な機能性を編地に付与し、しかも縫製工程をできるだけ少なくし、製品価値の高い衣料を提供できる。
Claims (8)
- 筒状に編成された編地により、少なくとも一部が形成された衣料であって、筒状に編成された編地は、表裏二枚の地編地が連結糸で連結され、少なくとも一方の地編地は連結糸とタックループで結合されている編地が筒状に編成されたものである衣料。
- 連結糸が弾性繊維である請求項1記載の衣料。
- 筒状に編成された編地を構成する表裏二枚の地編地の少なくとも一方に弾性繊維を含んでいる請求項1又は2記載の衣料。
- 筒状に編成された編地が、衣料の部位によって、結合糸及び/又は地編地に伸縮力の異なる弾性繊維が使用されることにより緊迫力が異なった編地で構成されており、緊迫力の異なる編地を、編地の緯方向に20%伸張したときの復応力をA及びBとしたときに、A/B>1.5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣料。
- 結合糸に用いられる弾性繊維がポリウレタン弾性繊維の裸糸である請求項2〜4のいずれか1項に記載の衣料。
- 表裏2枚の地編地は、異なる非弾性繊維で構成されている請求項1記載の衣料。
- 表裏2枚の地編地のうち、一方に親水性繊維、他方に疎水性繊維が使用されている請求項1記載の衣料。
- ダブル丸編機を用いて、表裏二枚の地編地が弾性糸からなる連結糸で連結され、かつ、少なくとも一方の地編地が連結糸とタックループで結合されている編地を、筒状に編成し、筒状に編成された編地の一部を裁断、縫製して衣料に成形し、次いで、精錬、染色後、金枠に固定された状態で100〜130℃で型セット仕上げすることを特徴とする衣料の製造方法。
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