JP2004076158A - 表面処理鋼板 - Google Patents

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Naomasa Nakakoji
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加藤 千昭
Katsuhiro Takebayashi
竹林 克浩
Nobuhiko Uesugi
上杉 暢彦
Kazumasa Yoshida
吉田 一雅
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Abstract

【課題】 プレス成形や平面摺動等により摺動を受けた表面の塗装仕上がりを良好にすることができる電着塗装外観に優れた表面処理鋼板を提供する。
【解決手段】 鋼板と、該鋼板上に形成された少なくとも2種の被膜層(例えば、該鋼板上に形成された亜鉛系めっき層と、該めっき層表面に形成されたリン酸亜鉛被膜)を有し、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaが0.7〜1.5μm、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有する。
【選択図】    図4

Description

 本発明は、表面処理鋼板に関し、自動車車体や家電製品などに好適に用いることができ、特にプレス成形などにより摺動を受けた表面の塗装仕上がりを良好することができる電着塗装外観に優れた表面処理鋼板に関する。
 亜鉛系めっき層を有する表面処理鋼板は、優れた耐食性を有し、自動車車体や家電製品に用いられている。特に日本では、自動車用として亜鉛−ニッケル合金めっき層や亜鉛−鉄合金めっき層をもつ表面処理鋼板が主に使用されていた。
 亜鉛−ニッケル合金めっき層をもつ表面処理鋼板は、電気めっき法によって製造され、Ni含有量を極めて狭い範囲(通常12±1質量%)に制御しなければならない。このため、それを製造するには高度な製造技術が必要とされ、かつNiを使用するため高価である。
 一方、亜鉛−鉄合金めっき層をもつ表面処理鋼板は、溶融めっき法や電気めっき法により製造される。その際、鉄含有率を高度に制御しなければならず、高度な製造技術が必要とされ、また溶融めっき法で製造される場合、前者の亜鉛−ニッケル合金めっき層に比べプレス成形性が不十分であるため、めっき層表面にプレス成形性を改善できる第2層被膜を形成するのが普通である。
近年、自動車製造業においては、グローバル化や自動車部品共用化に伴い、世界各地で安価で製造しやすい表面処理鋼板を採用する方向にある。日本では、溶融めっき法により製造される亜鉛−鉄合金めっき層をもつ表面処理鋼板や電気めっき法によって製造される亜鉛−ニッケル合金めっき層をもつ表面処理鋼板から、純亜鉛めっき鋼板(電気めっき法で製造されるかもしくは溶融めっき法で製造され、加熱・合金化処理を施さないもの)への変換が図られている。欧州では、表面処理鋼板使用側ではプレス金型や溶接機等の工夫がなされ、表面処理鋼板製造側では、プレス成形性を改善するため、めっき層表面にリン酸亜鉛被膜を形成させるなどして対応している。なお、第2層として形成させるリン酸亜鉛被膜は、プレス金型と亜鉛めっきとの直接接触を防ぎ、緩衝剤として働くこと、またリン酸亜鉛被膜がその結晶の隙間に油を保持する効果があることにより、プレス成形性を改善するとされている。
 ところで、表面処理鋼板、例えば自動車車体の外板材などに用いる亜鉛めっき鋼板は、自動車製造工程においてプレス成形して使用される。プレス成形した亜鉛めっき鋼板には、その後、下地塗装として初めに鋼板の防錆を目的とした電着塗装が施され、さらに外面側には外観意匠性のために中塗り塗装、上塗り塗装等のスプレー塗装による仕上げ塗装が施され、自動車部品とされる。
 自動車車体外面側はとりわけ外観が重要視され、塗装後の鮮映性に優れることが要求される。この要求を満たす表面処理鋼板として、電着塗装後の凹凸の小さいものが好適であると言える。
 リン酸亜鉛被膜が形成された亜鉛めっき鋼板を使用した場合、プレス成形により摺動を受けた表面に電着塗装外観の悪いものがあり、このようなプレス成形後の部品は、自動車製造工程において、スプレーによる仕上げ塗装を行う前に電着塗装面を研いて表面を平滑にする表面手入れを行わなければならず、問題となることがあった。
 表面処理鋼板においては、電着塗装後の表面の凹凸は鋼板素地表面の凹凸を反映するのはもちろんのこと、表面処理鋼板の表面抵抗が大きい場合などでは、電着塗装時に局部的に電流が流れるため不均一な電着膜厚が形成され、鋼板素地表面の凹凸が小さいものであっても電着塗装後の表面凹凸が大きくなる場合がある。このような従来の表面処理鋼板においては、表面抵抗の大きい例えば有機皮膜のようなものを鋼板表面に有する場合は親水性を付与し、鋼板表面抵抗を下げる方法が提案されている(特許文献1参照)。
 しかしながらこのように下地鋼板表面の抵抗を小さくし,電着塗膜自身の均一性を改善し優れた塗装外観を得る方法あるいは知見は表面に有機皮膜を有する有機複合被覆鋼板の場合のみであり、有機複合被膜鋼板以外の場合については、鋼板そのものの表面粗さを小さくする方法により塗装外観を良好にする方法が提案されているだけである。
 鋼板素地の粗度を規定し、優れた塗装外観性を得る方法が特許文献2に開示されている。これは溶融亜鉛めっき鋼板表面のWcaとPPIの積が40以下、またはWcaが0.5μm以下でPPIが80以下とすることにより、鋼板素地そのものの表面凹凸を小さくし塗装後の鮮映性を向上させるものであり、塗装は塗布またはロールコータ等とあるので電着塗装ではない。このため鋼板素地表面の凹凸が反映されるため、塗装後の鮮映性はWcaもPPIも小さい方が良くなるものであるが、表面抵抗の影響を受ける、プレス成形により摺動を受けた表面の電着塗装外観については言及がない。
また、鋼板素地の粗度を規定した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が特許文献3に開示されている。これは鋼板素地の粗度Raを1.0μm以下、PPIを250以上として、ダイとの摩擦抵抗を減少させてプレス成形性を向上させるものである。PPIを250以上とするのは合金化溶融亜鉛めっき特有の合金結晶構造と関係しており、塗装性に関して、プレス成形や平面摺動等により摺動を受けた表面の電着塗装外観についての言及はない。
また、塗装鮮映性とプレス成形性に優れた鋼板が特許文献4、特許文献5に開示されている。これらは、鋼板凹部のRaが0.8μm以下、凸部頂面の大きさと凸部間隔を規定し、さらにはプレス成形時の内面側凸部高さを外面側凸部高さより高くすること、他面側の凹部面積率を70〜96%とし、他面側の凹部平均面積率を片面側より小さくすることによりプレス成形後も塗装鮮映性が優れるというものである。
 すなわち、表裏で異なる粗度プロフィルを付与しプレス成形後も塗装鮮映性が優れるというものである。このうち、凹部のRa、面積率等は塗装後鮮映性を良好とするためのもので、凸部に関する規定はプレス成形性を良好とするためのものである。またプレス成形後に鮮映性が劣化するのはプレス成形によって鋼板表面粗度が変化し、プレス成形時の圧下によって一方の面のうねり成分が反対面側に浮き出るため、表裏で異なる粗度プロフィルを付与するというものである。この方法はプレス成形後の粗度を踏まえたものでプレス成形により変化する表面粗度を予め予測して変化の少ない様に考慮されており、冷延鋼板や一層のみで形成された表面処理鋼板においては有効と考えられるが、二層以上の皮膜を有する表面処理鋼板の場合には充分な改善効果はみられず、また表裏で異なる粗度制御や凸部の面積高さ等のチェックならびに圧延ロールの更新頻度など製品の製造が煩雑となってしまうこともある。
 しかし、これら従来の技術はいずれも冷延鋼板あるいは表面処理鋼板が製造されたままで評価されたものである。つまり上記特許文献4、特許文献5には、表面処理鋼板の塗装性に関して、プレス成形や平面摺動等により摺動を受けた表面の電着塗装外観についての言及はない。
特許第2922426号明細書 特開平9−263967号公報 特公平5−83628号公報 特開平6−246306号公報 特開平6−269803号公報 しかしながら実際の自動車製造工程では表面処理鋼板は、プレス成形、溶接、外観チェックによる砥石掛け等を経た後、塗装工程へと進み、塗装前処理としてリン酸塩処理された後電着塗装される。前記従来技術の冷延鋼板又は表面処理鋼板の鋼板製造側での評価では塗装後鮮映性に優れるという結果が得られるにもかかわらず、実際に使用者側でこのような製造工程を経て電着塗装された場合には、電着塗装外観が劣化することがあった。
 このことから、自動車用の表面処理鋼板のようにプレス成形を行ってから摺動を受けた表面に電着塗装を行う場合の電着塗装外観の評価として、プレス成形や平面摺動等により摺動を受ける前の表面処理鋼板を用いて行ったのでは、いくら表面処理鋼板製造側での実験で電着塗装外観に優れた評価結果が得られたとしても、使用側での実際の使用状態とは評価条件が異なる。つまり、プレス成形や表面摺動等により摺動を受ける前の表面処理鋼板を評価したのでは、使用者側における電着塗装外観評価と一致しないことが判明した。よって、実使用での評価を一致させるために、表面処理鋼板製造側の電着塗装外観評価としては、電着塗装前にプレス成形、もしくは平面摺動試験を行って摺動を受けた表面の電着塗装外観を評価するようにした。
 なお、表面処理鋼板使用側では、プレス成形時に発生する表面疵などの外観を改善するために電着塗装前にプレス成形後の表面処理鋼板を砥石掛けすることがあり、表面処理鋼板によってはその後電着塗装を施すと砥石掛け模様が浮き出てしまうということが問題となることもある。この場合も実際に砥石掛けを行った表面について電着塗装を行うことにより、電着塗装外観が正しく評価されることが判明したのである。
 本発明は、前述したプレス成形や平面摺動等により摺動を受けた表面の塗装仕上がりを良好にすることができる電着塗装外観に優れた表面処理鋼板を提供することを目的とする。
  本発明は、以下の電着塗装外観に優れた表面処理鋼板である。
 本発明は、鋼板表面に形成された少なくとも2種の被膜層を有し、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaが0.7〜1.5μm、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有することを特徴とする表面処理鋼板である。
 さらに、本発明は、鋼板表面に形成された亜鉛系めっき層と、該めっき層表面に形成されたリン酸亜鉛被膜とを有し、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaが0.7〜1.5μm、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有することを特徴とする表面処理鋼板である。
 前記表面粗さ特性が、さらに、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積が、波長周期が25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積の25%以上であることが好ましい。   
 また、前記算術平均粗さRaが0.8〜1.3μmであることが好ましい。また、前記1インチ当りの山数PPIが190〜240であることが好ましい。
 前記亜鉛系めっき層が片面当たり20〜60g/m2 の付着量を有することが好ましい。また、前記リン酸亜鉛被膜が、片面当たり1.0〜3.0g/m2 の付着量を有することが好ましい。
 本発明によれば、プレス成形や平面摺動等により摺動を受けた表面の電着塗装外観をより優れたものにできる。
 本発明者らは、プレス成形により金型と接触して摺動を受けた表面の電着塗装外観に影響を与える要因を究明し、表面粗さ特性を規定することにより、上記課題を解決した。
まず、電着塗装外観に影響を与える要因がプレス成形などにより摺動を受ける前の表面処理鋼板の表面粗さ特性にあるとの知見に至った過程について以下詳細に述べる。
 発明者らは、表1に示す表面粗さ特性が異なるリン酸亜鉛処理を施した亜鉛めっき鋼板A、B、C(以下、表面処理鋼板A、B、C又は単にA、B、Cともいう)を用い、以下の3条件において各工程での表面を種々の分析装置を駆使して観察、分析を行った。調査は、条件1;プレス成形せず、実施例に示す塗装前処理を施し、電着塗装した場合、条件2;プレス成形により摺動を受けた表面を条件1と同様に塗装前処理を施し、電着塗装した場合、条件3;砥石掛け後、条件1と同様に塗装前処理を施し、電着塗装した場合の3条件で行った。なお、プレス成形はプレス機にて行い、自動車車体部品にプレス成形した。
 図2に表面処理鋼板Aの、図3に表面処理鋼板Bの、図4に表面処理鋼板Cの、プレス成形により摺動を受けた後の表面状態を示した。図2、3、4は、試料表面の電子顕微鏡写真であり、図中、黒色部がプレス成形時、金型と接触し摺動により押し潰された部分である。
Figure 2004076158
 表面処理鋼板Aの表面粗さは、Raが0.7μm、PPIが140であり、凹凸が少なく且つ山数も少ない。表面処理鋼板Aをプレス成形した場合、摺動を受けた表面は、図2に示す表面状態となり、このような表面状態では、電着塗装仕上がりが悪くなった。一方、表面処理鋼板Bの表面粗さはRaが1.1μm、PPIが200であり、表面の粗さが表面処理鋼板Aに比べて大きいのでプレス成形しない場合、電着塗装後の表面粗さは表面処理鋼板Aより大きい結果となった。しかしながら表面処理鋼板Bが摺動を受けると、図3に示す表面状態となり、表面処理鋼板Aより電着塗装後の表面粗さは小さく、良好な外観となった。
 この結果から、図3のように、摺動を受け、金型と接触して突起(表面処理鋼板表面の山)が押し潰された部分が、小さな面積で数多く存在している状態であると、電着塗装外観は良好である一方、図2のように、摺動を受け、金型と接触して突起が押し潰された部分が、その数は少ないが面積の大きいものが存在している状態であると、電着塗装外観が劣ることがわかった。
 さらに表面処理鋼板Cは、Raが0.9μm、PPIが200である。プレス成形あるいは砥石掛けにより摺動を受けた場合の電着塗装外観が極めて良好だった。表面処理鋼板CのPPIは製品Bと同じであり、摺動を受けると、金型と接触して突起が押し潰された部分が、小さな面積で数多く存在しているのは表面処理鋼板Bと同様である。しかしながらその押し潰された部分の分布状態がBとCで異なり、Bは押し潰された部分の1つ1つは小さいが集合して大きくなっているのに対して、Cでは小さな押し潰された部分の1つ1つが均等に分散していることがわかった。
 すなわち、A、B、Cの表面の形状を模式的な断面図で表すと図5のようになっており、鋼板表面の凸形状部(山形状部)が、小さく数多く均等に分散している場合(Cの場合)、プレス成形あるいは砥石手入れなどを受けても電着塗装外観への影響が小さく、摺動を受けない場合の仕上がりに近い良好な電着塗装外観が得られるものと考えられる。
 また、このような金型により押し潰された部分を拡大観察あるいはX線マイクロアナライザーによる分析を行ったところ、部分的にリン酸亜鉛被膜が減少あるいは無くなっていることがわかった。また、このような部分には自動車用塗装前処理を施してもリン酸塩被膜が形成されにくいことも判明した。なお、条件3の砥石掛けした場合においてもA、B、Cに関してプレス成形した場合と同様な傾向であったので説明を省略した。
 これから、プレス成形や砥石手入れなど無いままに自動車用塗装前処理、電着塗装される場合、表面処理鋼板の表面は均一なリン酸亜鉛系皮膜で覆われているので電着塗装時も表面に均一に電流が流れる。その結果、表面処理鋼板の表面形状に沿った電着塗膜が形成され、表面処理鋼板そのものの粗度(Ra、Wca)が小さい方が良好となる。しかしプレス成形や砥石手入れされた場合には、プレス金型あるいは砥石が接触した凸部はリン酸亜鉛系皮膜が部分的に削られており、接触していない凹部にはリン酸亜鉛被膜が存在する。その結果電着塗装時に不均一な電流密度を生じ、電着塗膜が不均一に形成してしまうことがわかった。
 さらにCにおいて、摺動を受けた場合にも電着塗装外観が極めて優れる理由についてさらに調査した。図6(a)は、表面処理鋼板B表面の、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析を示す図、図6(b)は、表面処理鋼板Bをプレス成形せず電着塗装した後の表面の表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析を示す図である。周期(波長)が200μm以下の振幅(すなわち、凹凸)は、電着塗装を施すことによって大きく減衰する一方、周期(波長)が200μm以上の凹凸はほとんど残ってしまうことがわかった。電着塗装時には、下地鋼板の凹凸や上記電流の部分集中等によって周期が200μm以下の凹凸も形成されているが、電着塗装後の焼付けによって電着被膜を構成する樹脂がフローし、周期が200μm以下の凹凸はほとんどなくなってしまうものと考えられる。
 すなわち、表面処理鋼板の鋼板表面に存在する、周期が200μm以下の成分はその振幅、すなわち凹凸が大きくても、電着塗装後の外観に影響を及ぼさないと考えられる。
 これは先に記載した、プレス成形や砥石手入れによって潰される突起の周期が、200μm以下であれば、電着塗装後の焼付けによって、平滑化されることを意味する。つまり、Cは突起の周期が図5(C)に示す様に小さいため、電着塗装後の焼付けによって平滑化され、優れた電着塗装外観を有すると考えられる。
 ここで、表面粗さ特性として平均山間隔(Sm)という指標がある。Cの平均山間隔(Sm)は、Bと同じであり、これは電着塗装外観に影響を与える因子ではないことが判明した。
 以上より、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析における200μm以下の周期の存在割合が、電着塗装外観に影響を与えることが判明したものである。
 さらに、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板の場合においては、めっき層のみの1層から成るため、摺動を受けてめっき層がある程度損傷した場合でも、電着塗装時に不均一な電流密度を生じることがないために、電着塗装外観の不良が発生し難かったことも判明した。
 次いで、表面処理鋼板の表面粗さ特性として、算術平均粗さRaが0.7μm以上1.5μm以下、1インチ当りの山数PPIが180以上、250以下と限定する理由について説明する。
 プレス成形時に、表面の突起が金型で潰されても隣接する潰された部分とつながってしまわないようにするという観点から高Raとし、かつ高PPIとする。つまり、算術平均粗さRaが0.7μmを下回るか、もしくは1インチ当りの山数PPIが180を下回ると、表面の突起が潰されたときに、前者では潰された部分が隣接する山とつながってしまい、後者では山数が過小のため、例えば亜鉛めっき層表面に形成されるリン酸亜鉛被膜の損傷が大きくなり、どちらの場合でも電着塗装外観が悪化する。
 また、1インチ当りの山数PPIが180を下回ると、必然的に山間隔が大きくなってしまうことも、表面のうねり成分に影響を及ぼし、電着塗膜外観を悪化させる要因となる。このため、亜鉛系めっき鋼板の表面粗さ特性を、算術平均粗さRaが0.7μm以上、1インチ当りの山数PPIが180以上とした。さらに、PPIは190以上とすることが好ましい。
 一方、算術平均粗さRaが1.5μmを超えるようになると、表面の凹凸が過大となって電着塗装外観が悪化し、また、1インチ当りの山数PPIが250を超えるようになると摺動により潰された部分同士がつながり、面積が大きくなって電着塗装外観が悪化する。このため、算術平均粗さRaが1.5μm以下、1インチ当りの山数PPIが250以下と限定した。さらに、Raは1.3μm以下、PPIは240以下とすることが好ましい。
 また、プレス成形性を勘案した場合には、算術平均粗さRaを0.8μm以上とすることにより、自動車外板のように張出し成形されるビードのR が小さい部品に適用した場合でも潤滑油保持効果を高めることができ、かじりやプレス割れを抑制することができる。そこで、算術平均粗さRaは0.8μm以上とすることが好ましい。以上をまとめると、算術平均粗さRaは0.8〜1.3μmであることが好ましい。1インチ当たりの山数PPIは190〜240であることが好ましい。
 上述した本発明に係る表面処理鋼板は、その表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積SA が、波長周期が25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積SB の25%以上であることが好ましい。この理由は、先述のように波長周期が200μm以下の振幅は、電着塗装後の焼付けによって電着被膜を構成する樹脂がフローしたことにより減衰し、ほとんどなくなってしまうので、この波長周期の割合の大きい方が電着塗装外観がより良くなるためである。その際、SA /SB ×100(%)が25%未満となると、波長周期が200μmを超える振幅の割合が増え、摺動条件あるいは電着塗装後の焼付け時における樹脂のフロー状態によっては、波長周期が200μmを超える凹凸の振幅を十分に減衰することが難しいからである。
 ここで、プレス成形や砥石手入れを受けない場合は、振幅の値が小さいレベルであれば良いと考えられる。一方、プレス成形や砥石手入れを受けた場合、必ず表面に摺動を受けるため、その際の金型あるいは砥石の当たり分布が電着塗装時の電流集中を支配することになる。自動車用又は家電用表面処理鋼板においては、プレス成形して使用されるため、プレス成形後、つまり摺動を受けた後の表面粗さ特性が電着塗装外観を大きく支配することになる。本発明では摺動を受けた後の表面粗さ特性を考慮した上で、SA /SB ×100(%)を25%以上とすることにより、波長周期が200μmを超える凹凸の割合小さくして、優れた電着塗装外観を得ることができる。
 図7は、スペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積SA と、波長周期が25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積SB をそれぞれ例示した。波長周期が200μmを超える振幅曲線の面積はSC =SB −SA で求めることができる。
 以上の説明では亜鉛系めっき鋼板として説明したが、本発明の表面処理鋼板は亜鉛系めっき鋼板に限定されない。
本発明に用いる鋼板としては、冷延鋼板あるいは熱延鋼板を用いる。また、本発明の表面処理鋼板は少なくとも2種の被膜層を有する。鋼板表面の第1層は、公知の電気めっき法、溶融めっき法あるいは化成処理法により形成することができる。前記めっき法により形成した第1層表面に形成する第2層はリン酸亜鉛被膜又はクロメート被膜とすることが好ましい。なお適宜、前記第2層の表面に、第3層として耐孔あき性作用を有する有機樹脂被膜や耐錆性作用を有する無機被膜(シーリング被膜)を形成することもできる。
 また、第1層として化成処理法により、リン酸亜鉛被膜又はクロメート被膜を形成する場合には、第2層は、有機樹脂被膜とすることが好ましい。
 さらに、第1層被膜は、耐食性を高めるため亜鉛系めっき層とすることが好ましい。
 このような2種の被膜層を有し、かつ上記した表面粗さ特性を有する表面処理鋼板によれば、プレス成形、砥石掛け、金型などにより摺動を受けた表面の電着塗装外観を良好とすることができる。
 ところで、前記亜鉛系めっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板(純亜鉛をめっきした鋼板)、合金化亜鉛めっき鋼板、又は亜鉛合金めっき鋼板である。これらは電気めっき法または溶融めっき法により鋼板表面にめっき層を形成することができる。
 合金化亜鉛めっき鋼板は、Sn、Fe、Al等の不可避的不純物を含有する純亜鉛溶融めっき浴に浸漬し、引き上げて鋼板表面にめっき層を形成し、その後、加熱・合金化処理を行って製造することができる。
 亜鉛合金めっき鋼板の代表的なものとしては、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板や亜鉛鉄合金めっき鋼板がある。これら亜鉛合金めっき鋼板は、電気めっき法によって、それぞれ公知の合金組成のめっき層を形成することができる。
 なお、溶融めっき法や電気めっき法により製造される亜鉛合金めっき鋼板は、製造が困難であり高価である。したがって、最近は、日本でも亜鉛めっき鋼板への変換が図られているのである。亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げて鋼板表面に亜鉛めっき層を形成し、加熱・合金化処理を行わずに冷却する溶融めっき法で製造することもできるし、電気めっき法で鋼板表面に亜鉛めっき層を形成し、製造することもできる。
 亜鉛系めっき鋼板の場合について説明すると、第1層のめっき層の付着量は片面当たり20〜60g/m2 とすることが好ましい。この理由は、めっき付着量が20g/m2 未満になると、耐食性が不十分となり、一方めっき付着量が60g/m2 を超えた場合、耐食性向上効果が飽和し、余分なめっきを付着させることは不経済であるばかりでなく、プレス成形性や溶接性を悪化させる原因ともなるからである。なお、亜鉛めっき鋼板の場合、めっき層はSn、Fe、Al等の不可避的不純物を含有するのが一般的であり、このめっき中の上記不可避的不純物の各含有量は耐食性を向上させる観点から1質量%以下とすることが好ましい。
 上記めっき層表面に形成する第2層は、プレス成形性を高めるため、プレス成形時にプレス油を保持する効果を有するリン酸亜鉛被膜とするのが好ましい。例えばリン酸亜鉛被膜の付着量は、片面当たり1.0〜3.0g/m2とするのが好ましい。リン酸亜鉛被膜の付着量が1.0g/m2未満の場合、プレス条件によってはプレス油保持能力が充分でなく、金型とめっき層とが直接接触を起こす場合があり、一方、リン酸亜鉛被膜の付着量が3.0g/m2を超えた場合、プレス条件によっては金型に対する摺動抵抗が大きくなり、プレス成形性が劣化する場合があるからである。また、リン酸亜鉛被膜中には、プレス成形性、塗料密着性、耐食性等の向上を目的としてNi、Mn、Mg等を含有しても良い。
 リン酸亜鉛被膜を形成するには、自動車塗装ラインの塗装前処理で使用される一般的なリン酸塩処理液を用いても良いが、さらにこれに硝酸Ni、硝酸Mn、硝酸Mgなどを適宜添加したリン酸塩処理液を用いるのが望ましい。電着塗膜密着性、プレス成形性、電着塗装外観の点からはリン酸亜鉛被膜中のNi含有量が0.5〜1.4質量%、Mn含有量が3〜8質量%の範囲内となるようにリン酸塩処理液を調整することが望ましい。第2層のリン酸亜鉛被膜は、表面処理鋼板表面でのばらつきを小さくするため、結晶サイズを3μm 以下として緻密な被膜とするのが望ましい。表2に亜鉛めっき鋼板製造ラインにおけるリン酸亜鉛処理液の組成の1例を示した。
Figure 2004076158
 本発明の表面処理鋼板の表面粗さ特性を制御する方法としては、原板として用いる冷延鋼板または熱延鋼板の表面粗さを調整する。原板のタンデム圧延又は調質圧延のロールをショットブラスト加工法、放電加工法、レーザー加工法その他の表面加工法でダル加工を施したロールとしてタンデム圧延又は調質圧延する方法が使用できる。
 本発明の被膜層を電気めっき法または化成処理法で製造する場合には、鋼板表面にこれらの被膜が鋼板表面の凹凸にほぼ沿うようにして形成されるので、表面処理鋼板の表面粗さ調整はこれらの被膜を形成する前の鋼板の粗度を制御するのが好ましい。鋼板の粗度は、粗度を調整した調質圧延ロールを用いて調質圧延することにより所定の粗度パターンとすることが可能である。
 一方、本発明の被膜層を溶融めっき法で製造する場合には、鋼板を溶融めっき浴に浸漬して形成するため、めっき前の鋼板の表面の凹部はめっき金属により塞がれてしまいやすい。したがって、めっき後の表面粗さはめっき前の表面粗さに追随しない。そこで溶融めっき法で被膜を形成する場合にはめっき後に粗度を調整した調質圧延ロールを用いて調質圧延を行うのが好ましい。
 ところで、調質圧延ロールの粗度パターンは調質圧延しても100%そのまま鋼板に転写されず、Ra値はロール表面の値の40〜50%前後程度の値として鋼板側に転写され、PPI値はロール表面の値の80%前後程度の値として鋼板側に転写される。以上より、算術平均粗さRaが0.7μm以上1.5μm以下、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有する表面処理鋼板を得るためには、調質圧延ロールの表面粗さとしてRaを1.4〜4μm、PPIを220〜320とするのが好ましい。
 さらに、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積比率を大きくするには、波長周期が200μm以上の振幅の面積、Scの比率を小さくすることにより実現できる。すなわち、波長周期が200μm超のうねり成分を低減する。うねり成分を低減する方法として、従来、調質圧延を特定の圧延ロールを用いて行うことが提案されていた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、波長周期が200μm超の鋼板のうねり成分は、特定の圧延ロールを用いた調質圧延では十分に低減することができず、タンデム圧延する際に、粗度パターン制御範囲の広い放電加工ロールやレーザー加工ロールを用いて、Raとは別にろ波中心線うねりWcaを制御し、粗さを調整したロールを用いることで効果的に低減することができることが判明した。タンデム圧延後の鋼板表面のWcaを0.8μm以下に制御することにより、波長周期が200μm超の振幅の面積Scを低減でき、25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積SB に対し、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積SA の比率を大きくすることができる。ここで、WcaとはJIS B 0610−1987で規定されるろ波中心線うねりである。
 次に、この発明の実施例について説明する。
 表3、表5に示す供試材を、(i)焼鈍したSPCE冷延鋼板→調質圧延(表面粗度調整)→電気めっき(第1層被膜形成)→第2層被膜形成→場合により第3層の被膜形成、あるいは(ii)焼鈍したSPCE冷延鋼板→溶融めっき(場合により加熱合金化処理)→調質圧延(表面粗度調整)→第2層被膜形成の工程を経て製造した。
 なお、調質圧延ロールの表面粗度は、Raが1.5〜6.0、PPIが170〜350の範囲で変化させ、調質圧延時の鋼板伸び率は0.7〜0.8%とし、板厚0.75mmの供試材を得た。特に実施例2、4、7、8については、SPCE冷延鋼板を得るために冷間タンデム圧延する際に最後の圧延ロールをRa:2.5〜3.2μm、Wca:0.6〜1.0μmの放電加工ロールを用いて圧延することにより、波長周期25〜200μmの面積率を25%以上とし、表面処理鋼板を得た。
 得られた供試材及び使用した調質圧延ロールの算術平均粗さRaと1インチ当りの山数PPIは、触針の先端曲率半径:5μmの触針式粗度計(東京精密( 株) 製)を用い、走査速度:0.3mm/sにて、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaはカットオフ値:0.8mm、評価長さ:4mmとし、1インチ当りの山数PPIはカットオフ値:0.8mm、評価長さ:8mmとして測定した。表面粗さ測定曲線のスペクトル解析は、明伸工機(株)製の解析装置を用いて行った。
 また、使用したタンデム圧延ロールのろ波中心線うねりは触針の先端曲率径:5μmの触針式粗度計(東京精密(株)製)を用い、走査速度:3mm/sにて、高域カットオフ値:0.8mm、低域カットオフ値:8mm、評価長さ:48mmとして測定した。
 得られた供試材から試験片を採取し、摺動を施し、摺動を受けた表面の電着塗装外観を評価した。また、得られた供試材のプレス成形性を評価した。その結果をそれぞれ表4、6に示した。
Figure 2004076158
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〔電着塗装外観〕
 電着塗装外観は、評価1および評価2の2通りで行った。両方が合格レベルの場合、良好として判断した。
 評価1
 下記に示す条件で砥石掛け、あるいは金型により平面摺動を行った後、電着塗装し、図1(a)の符号1で示す砥石掛けを受けた面および図1(b)の符号1で示す平面摺動を受けた面の電着塗装外観を次の様に目視測定した。ゆず肌が観察されたものを×、砥石掛けや平面摺動を受けることにより電着塗装外観が劣化するが、ゆず肌が観察されないものを○、ゆず肌が観察されずかつ、砥石掛けや平面摺動を受けなかった面と同程度の電着塗装外観が得られたものを◎とした。ゆず肌が観察された×のものは、仕上げ塗装前に電着塗装面を研いて平滑にしなければならないレベルである。
 ここで、図1(a)は、砥石掛け試験片の平面図であって、符号3は砥石掛け後の試験片における砥石掛けを受けた面1と砥石掛けを受けていない面2との境界線を示している。また、図1(b)は、平面摺動試験片の平面図であって、符号は3は平面摺動を受けた面1と平面摺動を受けていない面2との境界線を示している。なお、Lは試験片長さ、Wは試験片幅である。
 評価2
 下記に示す条件で砥石掛け、あるいは金型により平面摺動を行い、その後、試験片を電着塗装し、砥石掛け(平面摺動)を受けた面と、砥石掛け(平面摺動)を受けていない面との境界線3が明瞭に見えるか、境界線が不明瞭であるかにより判定した。境界線がはっきり見える場合を×、境界線がほとんどわからない場合を○、境界線が全くわからない場合を◎として目視判定した。境界線がはっきり見える×のものは、仕上げ塗装前に電着塗装面を研いて平滑にしなければならない不合格レベルである。
 電着塗装方法;平面摺動を行った試験片を自動車車体製造工程に準じて、アルカリ脱脂、次いで表面調整を行ったのち、りん酸塩処理を施すという塗装前処理を施した。その後、電着塗装、焼付けにより、電着塗膜(砥石掛け、平面摺動を受けていない表面の目標膜厚:17μm )を形成した。上記各処理の詳細は以下とした。
アルカリ脱脂:(ガードクリーン、ケメタル社製)
表面調整:(ガードロンZ2 、ケメタル社製)
りん酸塩処理:(ガードボンド、ケメタル社製)、50℃、2分間浸漬
電着塗装:
 電着塗料:EC3000(浴温:28〜30℃)、(ハーバーツ社製)
 電着電圧:170V、180秒間
 焼付け条件:185℃、20分間
(砥石掛け方法);各供試材から採取した長さLが150mm、幅Wが70mmの評価試験片(図1(a)参照)の表面に#2000の研磨紙を当て、その上に底面が50mm×50mm、質量が1.7kgの平らなおもりを乗せて摺動(1回)した。
(平面摺動方法);各供試材から採取した長さLが300mm、幅Wが50mmの試験片(図1(b)参照)について、その表面を溶剤脱脂後、防錆油(出光興産製Z5)を 1.5g/m2 で塗布した後、金型を取り付けた平面摺動試験機を用い、押し付け荷重:7800MPa、引抜き速度:1000 mm/分、試験温度:室温の条件で摺動(1回)した。なお、金型は試験片長手方向が10mm、試験片幅方向が50mmの押圧面を有する。
〔プレス成形性〕
 各供試材を使用し、90mmのブランク径に打ち抜き、ポンチ径50mmφ、ダイス径52mmφでしわ押さえ圧10kN、ポンチスピード120mm/分で円筒形に成形し、ポンチ荷重と円筒壁面の損傷程度によりプレス成形性を評価した。なお、ポンチ荷重が39kN以下でかつ目視でめっき層の剥離が観察されなかった、すなわち、損傷が軽度の場合、プレス成形性が良好:○、ポンチ荷重が39kNを超えるか、もしくは目視でめっき層の剥離が観察された、すなわち損傷が中程度以上の場合をプレス成形性が不良:×とした。
 表4、6に示す電着塗装後外観の評価結果から明らかなように、本発明の範囲内の表面粗さ特性値を有する供試材(実施例1〜9)は、表面粗さ特性値が本発明の範囲を外れた比較例1〜6に比べて、摺動を受けた表面の電着塗装外観が良好であることがわかる。
図1(a)は、砥石掛け試験片の平面図、図1(b)は、金型摺動試験片の平面図である。 図2は、プレス成形により摺動を受けた製品Aの表面の顕微鏡写真である。 図3は、プレス成形により摺動を受けた製品Bの表面の顕微鏡写真である。 図4は、プレス成形により摺動を受けた製品Cの表面の顕微鏡写真である。 図5は、表面処理鋼板製品の表面形状を表す模式図で、(a)は表面処理鋼板A、(b)は表面処理鋼板B、(c)は表面処理鋼板Cを示す。 図6(a)は、鋼板表面の、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析を示す図、図6(b)は、鋼板を電着塗装した後、塗装表面の表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析を示す図である。 図7(a)は、スペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積を示す図、図7(b)は、同スペクトル解析において、波長周期が25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積を示す図である。
符号の説明
 1 平面摺動あるいは砥石掛けを受けた表面
 2 平面摺動あるいは砥石掛けを受けていない表面
 3 境界線
 L 試験片長さ
 W 試験片幅
                       

Claims (3)

  1.  鋼板表面に形成された少なくとも2種の被膜層を有し、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaが0.7〜1.5μm、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有することを特徴とする表面処理鋼板。
  2.  鋼板表面に形成された亜鉛系めっき層と、該めっき層表面に形成されたリン酸亜鉛被膜とを有し、JIS B 0601-1994 で規定される算術平均粗さRaが0.7〜1.5μm、1インチ当りの山数PPIが180〜250である表面粗さ特性を有することを特徴とする表面処理鋼板。
  3.  前記表面粗さ特性が、さらに、表面粗さ測定曲線をフーリエ変換して得られるスペクトル解析において、波長周期が25〜200μmの振幅曲線から得られる面積が、波長周期が25〜1000μmの振幅曲線から得られる面積の25%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
                           
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