JP2004076029A - α型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法 - Google Patents

α型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングして基板上にアルミナ膜を形成するに当たり、α型結晶構造主体のアルミナ膜を比較的低温域で効率よく形成することのできる方法を提供する。
【解決手段】酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングして基板上にアルミナ膜を形成するに当たり、1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とし、基板上にアルミナ膜を複数回に分けて断続的に成膜する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法に関し、詳細には、切削工具、摺動部材、金型等の如き耐摩耗部材に被覆されるα型結晶構造主体のアルミナ膜を、比較的低温域で効率よく形成することのできる有用な方法に関するものである。尚、本発明によって得られるアルミナ膜は、上記した様々な用途に適用できるが、以下では代表例として切削工具に適用する場合を中心に説明を進める。
【0002】
【従来の技術】
一般に、優れた耐摩耗性や摺動特性が求められる切削工具や摺動部材として、高速度鋼製や超硬合金製等の基材表面に、チタン窒化物やチタンアルミニウム窒化物等の硬質皮膜を、物理蒸着法(以下、PVD法という)や化学蒸着法(以下、CVD法という)等の方法で形成したものが用いられている。特に切削工具として使用する場合、前記硬質皮膜には耐摩耗性と耐熱性(高温での耐酸化性)が要求され、例えば前記チタンアルミニウム窒化物(TiAlN)などは、800℃程度の高温まで安定して前記両特性を維持しうることから、切削時の刃先温度が高温となる超硬工具等への被覆材料として近年多く使用されている。
【0003】
ところで切削工具等の刃先は、切削時に1000℃以上の高温となる場合がある。この様な状況下、上記硬質皮膜のみでは十分な耐熱性を確保できないため、例えば、特許第2742029号に示されるように、硬質皮膜を形成した上に、更にアルミナ層を形成して耐熱性を確保することが行われている。
【0004】
アルミナは、形成される温度によって結晶構造が異なり、基板温度が約500℃以下の場合にはアモルファス構造が主体となり、約500〜1000℃の範囲ではγ型結晶構造が主体となり、いずれの結晶構造も熱的に準安定状態にある。しかし切削工具の如く、切削時における刃先の温度が常温から1000℃以上にわたる広範囲で著しく変動する場合、アルミナの結晶構造が著しく変化して、皮膜に亀裂が生じたり剥離する等の問題を生じる。
【0005】
ところが、CVD法等を採用して基材温度を1000℃以上に高めた状態で形成されるα型結晶構造(コランダム構造)のアルミナだけは、一旦形成されると、以後は、温度に関係なく熱的に安定な構造を維持する。したがって、切削工具等に耐熱性を付与するには、α型結晶構造のアルミナで被覆することが非常に有効な手段とされている。
【0006】
しかしながら、上述した通りα型結晶構造のアルミナは、基材を1000℃以上に加熱しなければ形成できないため、適用できる基材が限られる。基材の種類によっては、1000℃以上の高温にさらされると軟質化し、耐摩耗部材用基材としての適性が失われるからである。また、超硬合金の様な高温用基材であっても、この様な高温にさらされると変形等の問題が生じる。更に、耐摩耗性を発揮する膜として基材上に形成されるTiAlN膜等の硬質皮膜の実用温度域は、一般に最高でも800℃程度であることから、1000℃以上の高温に加熱すると、該皮膜の変質が生じて耐摩耗性が劣化するおそれがある。
【0007】
こうした問題に対処するため、基板温度をより低温にしてα型結晶構造のアルミナ膜を形成することのできる方法が提案されている。例えばO.Zywitzki,G.Hoetzschらは、高出力(11−17kW)のパルス電源を用いた反応性スパッタリング(Pulsed Magnetron Sputtering)を行えば、750℃でもコランダム構造(α型結晶構造)の酸化アルミニウム皮膜が形成される旨報告している(Surf.Coat.Technol.,86−87 (1996) 640−647)。
【0008】
また特開2002−53946号には、格子定数が4.779Å以上5.000Å以下で、膜厚が少なくとも0.005μmであるコランダム構造(α型結晶構造)の酸化物皮膜を下地層とし、該下地層の上にα型結晶構造のアルミナ被膜を形成する方法が有効である旨開示されている。
【0009】
ところでPVD法は、CVD法よりも温和な条件で種々の化合物層を形成しやすく、その中でも、金属ターゲットをスパッタリングカソードとして使用し、反応性ガス雰囲気中で金属化合物を基材上に形成するスパッタリング法は、様々な種類の化合物層をより容易に形成できることから汎用されている。アルミナ膜の形成は、アルミニウム金属ターゲットを用いて、酸化性ガスを含む雰囲気中でスパッタリングさせ、基板上にアルミナ膜を形成して行われる。
【0010】
この様な成膜工程におけるスパッタリング時の放電状態は、放電電力を一定とした場合に、酸素ガス導入流量と放電電圧の関係が図1に略示する様なヒステリシス曲線を描く。詳細には、図1に示す通り、酸素流量を低流量から除々に増加させていくと、ある酸素流量で放電電圧が急激に減少し、逆に、酸素流量を高流量から除々に減少させていくと、ある酸素流量で放電電圧が急激に増加する。
【0011】
そして上記放電状態は、一般に、図1に略示するように、放電電圧が比較的高く、アルミナ形成において、スパッタリングで生じたアルミニウム原子に対し酸素が不足している状態にあるメタルモードと、放電電圧が比較的低く、導入された酸素ガスが、スパッタリングで生じたアルミニウム原子と反応してもなお過剰に存在するため、アルミニウムターゲット表面も酸化される状態にあるポイゾニングモードと、放電電圧がこれらの放電状態の中間値を示す遷移モードとに分類される。
【0012】
それぞれの放電状態でアルミナの成膜を行うと、放電状態がメタルモードの場合には、成膜速度は速いが、アルミナの原子比(Al:O=2:3)よりもAl量の比率が高く金属Alを含む皮膜が形成される。また、放電状態がポイゾニングモードの場合には、形成される皮膜に金属Alはほとんど含まれておらず、ほぼアルミナのみからなる皮膜が形成されるが、上述の通りアルミニウム金属ターゲット自体も酸化されるためAl蒸発量が少なく、成膜速度は極端に遅くなる。
【0013】
従って、メタルモードとポイゾニングモードのそれぞれの長所を活かし、金属Al含有量の少ないアルミナ主体の皮膜を、高い成膜速度で効率よく形成すべく、放電状態を遷移モードにして成膜することが試みられている。
【0014】
しかしながら遷移モードは、上記図1に示した如く、制御因子の一つである酸素流量の僅かな変化で、メタルモード側またはポイゾニングモード側へ大きく変化するため、安定した放電状態を維持することができない。そこで、安定した遷移モードを確保すべく下記のような方法が提案されている。
【0015】
その一つは、酸素流量をほぼ一定とし、放電電圧を制御する方法である。図2は、Arガスと酸素ガス(いずれも流量一定)中で電圧を変化させてアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングさせたときの、放電電圧と放電電流との関係を示したものである。この場合も、図2に略示する如く、上記3パタンの放電状態(メタルモード、遷移モード、およびポイゾニングモード)が存在するが、図1の場合と異なり、放電電圧を適切に制御すれば遷移モードの状態をほぼ安定に維持できることがわかる。
【0016】
また、遷移モードを安定に維持する他の方法として、特開平4−325680号には、デュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法を採用して成膜する際に、スパッタリングカソードの測定電圧が目標電圧となるよう酸素ガス流量を制御することで放電状態を遷移モードに調節できることが示されている。更に特開平4−136165号には、成膜室内の反応性ガスの分圧、例えば酸素の分圧を制御することで放電状態を安定させ、膜質の安定な皮膜を得ることができる旨示されている。
【0017】
しかし、この様なアルミナ皮膜形成に適した放電状態を確保できる場合であっても、α型結晶構造を主体とするアルミナの形成は難しく、γ型結晶構造のアルミナの混入を避けることができない。特に、基材等の特性を損なわないよう比較的低温域で成膜を行う場合や、生産性を確保すべく成膜速度を高めた場合には、γ型結晶構造のアルミナが形成しやすい傾向にあり、α型結晶構造を主体とするアルミナ膜を得るには、更なる検討が必要となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、基材や前記TiAlN等の硬質皮膜上に、優れた耐熱性を発揮するα型結晶構造主体のアルミナ膜を、基材や装置等に熱的負荷のかからない比較的低温域で効率よく形成することのできる、有用なα型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るα型結晶構造のアルミナ膜の製造方法とは、酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングして基板上にアルミナ膜を形成するに当たり、1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とし、基板上にアルミナ膜を複数回に分けて断続的に成膜するところに特徴を有するものであり、前記1回あたりの成膜膜厚を、成膜初期は2nm以下とし、成膜中期以降はより厚くすれば、回転機構等の装置への負荷を減少させることができるので望ましい。
【0020】
本発明を実施する際のより具体的な手法としては、
(1)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置するとともに、該回転テーブルに基材を固定して、該回転テーブルを回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法、
(2)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置するとともに、該回転テーブルに遊星回転治具を配置し、該遊星回転治具に基板を固定して、回転テーブルおよび遊星回転治具を回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法、
(3)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置し、該回転テーブルに遊星回転治具を配置するとともに、該遊星回転治具に回転部材を取り付け、該回転部材に基材を固定して、回転テーブル、遊星回転治具および回転治具を回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法、
(4)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材を、スパッタリング方向を横切るように往復動させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法、
(5)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して基材を配置すると共に、アルミニウム金属ターゲットと基材との間にシャッターを設け、該シャッターを開閉させることにより、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法、
(6)アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材に対し、アルミニウム金属ターゲットを断続的にスパッタリングすることにより、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法が挙げられる。
【0021】
尚、上記(1)〜(3)の方法で1回あたりの成膜膜厚を制御する手法としては、上記回転テーブル、遊星回転治具または回転部材の回転数を調節して断続的な成膜周期を制御すればよく、前記回転テーブルは3rpm以上の回転数で回転させることが好ましく、また、前記遊星回転治具は20rpm以上の回転数で回転させることを好ましい実施形態とする。
【0022】
また、上記(4)の方法では往復動周期、上記(5)の方法ではシャッターの開閉周期、上記(6)の方法では断続的なスパッタリング周期を適宜調節することで、断続的な成膜周期を制御することができると考えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述した様な状況の下で、酸素を導入して基材上に結晶質のアルミナ膜を形成する際に、α型結晶構造主体のアルミナ膜を、比較的低温でも効率よく製造し得る様な技術を確立すべく様々な角度から検討を行った。
【0024】
その結果、アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材に連続的にスパッタリングを行って成膜した場合には、α型結晶構造主体のアルミナ膜が得られにくいが、成膜を複数回に分けて断続的に行った場合には、α型結晶構造主体のアルミナ膜が得られ易いことを見出し、上記断続的に成膜するための具体的な手法を確立した。更に、本発明者らは、断続的に成膜を行うときの一回あたりの成膜膜厚も、α型結晶構造主体のアルミナ膜の形成に重大な影響を及ぼすことを見出した。以下、本発明でα型結晶構造主体のアルミナ膜を形成するために定めた各条件について詳述する。
【0025】
本発明者らは、Arと共に酸素ガスを含む酸化性雰囲気下で、放電状態を比較的高速でアルミナ膜を形成することのできる遷移モードに設定して次の様な実験を行った。
【0026】
まず、アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して基材を配置し、該基材に向けて連続的にスパッタリングを行って成膜した。その結果、得られたアルミナ膜の結晶構造はほぼγ型のみとなり、α型結晶構造は確認されなかった。次に、後述する図3〜5に示すように回転テーブル3等をアルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設置し、該回転テーブル3等に基板を固定し、回転テーブル3等を回転させながら、断続的に成膜を行った場合には、α型結晶構造の形成が確認された。
【0027】
この様に、断続的に成膜することでα型結晶構造のアルミナが形成される機構は定かではないが、上記実験結果や、同一の基板温度条件下では、放電状態が遷移モードである場合の方がポイゾニングモードである場合よりもアルミナが形成されにくいという事実から、次の様な機構が考えられる。
【0028】
放電状態がポイゾニングモードの場合には、スパッタリング蒸発源(ターゲット)から蒸発するアルミニウム原子の量に対して過剰量の酸素が存在するのに対し、遷移モードでは、アルミニウム原子とアルミナを形成するのに必要最小限量の酸素が存在する状態にあると考えられ、放電状態が遷移モードの場合であっても、金属アルミニウムを含まないアルミナ膜を形成できることは上述した通りである。
【0029】
しかし上記実験結果に示される通り、放電状態を遷移モードとし、スパッタリングカソードと基材を静止対向させて連続的に成膜した場合には、得られるアルミナ膜はγ型結晶構造のみとなっているのに対し、成膜を行う工程と成膜を行わない工程を交互に複数回繰り返し、断続的に成膜を行った場合には、α型結晶構造のアルミナの形成が確認されている。この様な現象が生じる理由として、ポイゾニングモードに近い成膜環境が確保されていることが考えられる。
【0030】
即ち、断続的に成膜する場合、スパッタリングカソードと基材が対面し、基材上にアルミナ膜が形成されている間は、スパッタリングカソードと基材を静止対向させて連続的に成膜しているときと同じ状態にあるが、成膜が行われていない間は、成膜直後の皮膜が装置内に供給される酸素ガスに曝され、酸素供給が行われているものと考えられる。即ち、放電状態をポイゾニングモードとした場合と類似の酸素過剰雰囲気が形成されることが、α型結晶構造のアルミナ形成に有効に作用したものと考えられる。
【0031】
本発明では、この様に成膜を行わない期間が必要であり、成膜期間に対して成膜を行わない期間を長くすれば、α型結晶構造のアルミナがより形成されやすく、成膜を行わない期間として、少なくとも成膜時間と同程度の時間を確保するのがよいことも分かった。
【0032】
更に本発明者らは、1回あたりの成膜膜厚が、得られるアルミナ膜の結晶構造に及ぼす定量的な関係を調べたところ、α型結晶構造が主体のアルミナ膜を形成するには、1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とする必要があることがわかった。1回あたりの成膜膜厚が5nmを超えると、γ型結晶構造の割合が増加しα型結晶構造主体のアルミナ膜が得られなくなる。その理由は、1回あたりの成膜膜厚が厚すぎると、非成膜時における皮膜への酸素供給が不十分になるためと考えられる。
【0033】
更に本発明者らは、平均成膜速度が同じ場合でも、1回あたりの成膜膜厚をより薄くすれば、α型結晶構造の占有率のより高いアルミナ膜を形成できることを見出した。好ましくは1回あたりの成膜膜厚を2nm以下に抑えれば、アルミナ皮膜はα型結晶構造がほぼ全域を占め、γ型結晶構造が極僅かに存在する程度となり、より好ましくは1回あたりの成膜膜厚を1nm以下とすれば、実質的にα型結晶構造のみからなるアルミナ膜を形成できることが確認された。
【0034】
この様に、1回あたりの成膜膜厚が薄いほど、実質的にα型結晶構造のみからなるアルミナ膜が形成されやすいが、1回あたりの成膜膜厚が少なすぎると、所望の膜厚のアルミナ膜を形成するのに時間がかかるため、生産性の観点からは、1回あたりの成膜膜厚は約0.3nmが下限値となる。
【0035】
次に本発明者らは、成膜初期と成膜中期以降で1回あたりの成膜膜厚を変化させる実験を行った。その結果、成膜初期における1回あたりの成膜膜厚を2nm以下に抑えて成膜を行えば、成膜中期以降における1回あたりの成膜膜厚を5nm以下の範囲内で増加させた場合でも、α型結晶構造のより高占有率なアルミナ膜を形成できることが判明した。この様に成膜中期以降の1回あたりの成膜膜厚を増加させる方法は、後述する回転機構等の装置への負荷を減少させることができるので望ましい。また、この様な方法で製造する場合、成膜中期以降の成膜速度を高めることができるため、成膜効率を高める観点からも好ましい。
【0036】
上記機構は、成膜初期における1回あたりの膜厚を薄くすればするほどα型結晶構造の占有率が増大し、当該高占有率の下地層が形成されると、その上に形成される1回あたりの成膜膜厚を増加させて断続的に成膜を続けた場合にも、既に形成されているα型構造リッチな結晶核をベースとしてα型結晶構造のアルミナが成長しやすくなるためと考えられる。
【0037】
この様に断続的にアルミナ膜を成膜する具体的な手法としては、次の様な方法が挙げられる。まず、図3〜5に示すように、アルミニウム金属ターゲット6のスパッタリング方向に対峙して設置した回転テーブル等に基材を固定し、該回転テーブル等を回転させることで、基板を回転させながらアルミナ膜を断続的に成膜する方法が挙げられる。
(1)図3は、アルミニウム金属ターゲット6のスパッタリング方向に対峙して回転テーブル3を設置するとともに、該回転テーブル3に基材2を固定して(図3では、回転テーブル3上に基材保持治具7を取り付け、該基材保持治具7に基材2を固定している)、該回転テーブル3を回転させながらスパッタリングを行って、基板2上にアルミナ膜を断続的に成膜するための装置を示している。この様にアルミニウム金属ターゲット6の前方で、基材2を回転させ、該基材2がターゲットと対面しているときのみ成膜されるようにすることで、成膜を行わない期間を設けることができ、断続的な成膜を実現できるのである。
(2)また図4は、アルミニウム金属ターゲット6のスパッタリング方向に対峙して回転テーブル3を設置するとともに該回転テーブル3に遊星回転治具4を配置し、該遊星回転治具4に基板2を固定して、回転テーブル3および遊星回転治具4を回転させながら、基板2上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法を実現するための装置を示している。図4に示す通り、回転テーブル3を回転させるとともに、遊星回転治具4を回転させれば、遊星回転治具4は自転しながら公転することになり、前記図3に示す例よりも1回あたりの成膜時間を短縮して成膜膜厚を薄くすることができる。
(3)図5は、アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブル3を設置し、該回転テーブル3に遊星回転治具4を配置するとともに、該遊星回転治具4に回転部材8を取り付け、該回転部材8に基材2を固定して、回転テーブル3、遊星回転治具4および回転治具8を回転させながら、基板2上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法を実現するための装置を示している。この方法では、図4に示す回転テーブル3と遊星回転治具4の組み合わせによる自転と公転に加えて、遊星回転治具4に取り付けた回転治具8の回転も加わるため、図4に示す例よりも、1回あたりの成膜時間を更に短縮することができ、1回あたりの成膜膜厚を極めて薄くすることが可能となる。
【0038】
尚、本発明では、上述の通り1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とすることを必須要件とするが、上記図3〜5に示す方法で断続的に成膜する場合の1回あたりの成膜膜厚は、上記回転テーブル3、遊星回転治具4、または回転部材8の回転数を調節することで容易に制御することができる。前記回転テーブル3の回転数は、3rpm以上の回転数で回転させることが好ましく、より好ましくは6rpm以上の回転数で回転させる。また、前記遊星回転治具4は、20rpm以上の回転数で回転させれば、1回あたりの成膜膜厚を薄くして、α型結晶構造のアルミナが形成されやすいので好ましい。前記遊星回転治具4のより好ましい回転数は40rpm以上である。
【0039】
尚、図3〜5に示す装置は、基板等を加熱するため、壁面に加熱用ヒーター5を2箇所に設けているが、更に該壁面ヒーターを追加して設置してもよく、また、後述する実施例で用いる装置(図7)に示すとおり、加熱装置として更に、回転テーブル3のほぼ中央にセンターヒーター5を設ければ、形成された直後のアルミナ皮膜中の原子が輻射熱により活性化され、非成膜期間中に雰囲気中の酸素等との反応が促進され、結晶化も促進されると考えられるので好ましい。
【0040】
また、図3〜5では、スパッタリングカソードを2箇所に設けているが、必要に応じて、1台のスパッタリングカソードのみを用いて成膜を行ってもよいし、更にスパッタリングカソードを設置し、3箇所以上でスパッタリングさせるようにしてもよい。
(4)断続的にアルミナ膜を形成するその他の方法として、図6に示す如く、装置(真空チャンバー)11内のアルミニウム金属ターゲット12のスパッタリング方向に対峙して設けた可動テーブル13に基材14を固定し、スパッタリング方向を横切るように可動テーブル13を往復動させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法が挙げられる。この方法は、可動テーブルがほぼ中央のスパッタリング範囲内に位置するときは、基板上に成膜されるが、スパッタリング範囲外の両端部分に移動したときは、成膜が行われず、上述した酸素ガスによる曝露効果を享受するしくみとなっており、基板をスパッタリング方向に対してほぼ垂直に繰り返し平行移動することで、成膜期間と非成膜期間を交互に繰り返すことができる。そして1回あたりの成膜膜厚の制御は、可動テーブル13の往復移動速度を変えることで自在にコントロールすることができる。
(5)また、アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材との間にシャッターを配置し、該シャッターをスパッタリング方向に垂直に開閉させながら基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法が挙げられる。該方法では、シャッターの開閉時間や開閉周期を制御することによって、1回あたりの成膜膜厚を任意に制御することができる。
(6)更に別の方法として、アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材に対し、断続的にスパッタリングさせながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する方法も有用な方法として挙げられる。この場合には、1回あたりの放電時間等を制御することによって、1回あたりの成膜膜厚を本発明の規定範囲内とすることができる。
【0041】
本発明では、その他の成膜条件について特に規定しないが、スパッタリング時の放電状態は、上述の通り、遷移モードとするのが、成膜速度を高めて金属アルミニウムの含有しないアルミナ膜を形成する上で大変有効である。放電状態を遷移モードとする方法としては、放電電圧を変化させて放電状態を制御する他、酸素流量や酸素分圧、放電電力、放電電流等のその他の因子を制御して放電状態を制御することができる。
【0042】
本発明は、金属アルミニウムを含有しないアルミナ膜の形成を目的とするのみならず、上述の通り、非成膜期間の酸素曝露効果を得るためにも、成膜を酸化性ガス含有雰囲気下で行うことを前提とするものであるが、ガス組成等の詳細についてまで限定するものでなく、Ar雰囲気中に酸素ガスを供給して酸素分圧を高める他、Ar雰囲気中にOやHを供給する方法が挙げられる。
【0043】
また、本発明法を適用することのできるスパッタリング法としては、パルスDCスパッタリング法の他、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。即ち、下記実施例ではアルミナ膜の形成を、回転テーブル等を用いて行っているが、本発明はこれに限定されるものでなく、上述したようなシャッター機構を有する装置で行ったり、断続的にスパッタリングすることで行うことも勿論含まれる。
【0045】
実施例
実施には、サイズが12.7mm×12.7mm×5mmで超硬合金製の基材を、鏡面研磨(Ra=0.02μm程度)し、アルカリ槽と純水槽中で超音波洗浄して乾燥させた後、予めアークイオンプレーティング法でCrN皮膜を形成したものを用いた。
【0046】
本実施例では、上記CrN皮膜の酸化およびα型主体アルミナ膜の形成を、図7に示す如く、マグネトロンスパッタリングカソード、ヒーター、基材回転機構等を備えた真空成膜装置( (株)神戸製鋼所製 AIP−S40複合機)を用いて、次の様にして行った。
【0047】
即ち、試料(CrN皮膜の被覆された超硬合金製基材)2を装置1内の回転テーブル3上に設けた遊星回転治具4にセットし、装置内がほぼ真空状態となるまで排気した後、ヒーター5で試料を750〜780℃となるまで加熱した。試料の温度が所定の温度となった時点で、装置1内に酸素ガスを導入し、試料表面のCrN皮膜を酸化して、α型主体アルミナ膜形成用の基板とした。
【0048】
次に、α型結晶構造を主体とするアルミナ膜を前記酸化層上に形成した。成膜に用いる図7に示す装置は、回転テーブル3が回転し、その上に配置された遊星回転治具4も回転することにより、遊星回転治具4が自転しながら公転するしくみとなっており、回転テーブル3のみを回転させて成膜する場合には、スパッタリングカソード6と対面するように基材2を遊星回転治具4に固定し、遊星回転治具4の回転を止めて成膜を行った。
【0049】
該アルミナ膜の形成は、図7に示すスパッタリングカソード6にアルミニウム金属ターゲットを装着した後、アルゴンと酸化性ガス含有雰囲気中で、パルスDCスパッタリング法で行った。尚、本実施例では、図7に示す2台のスパッタリングカソード6のうちいずれか1台を用いて成膜した。また断続的な成膜を行う場合の1回あたりの成膜膜厚や成膜時間等は、上記回転テーブル3や遊星回転治具4の回転数や放電電力を制御して調節した。
【0050】
上記スパッタリングカソード6に与える放電電力は、約3kWとし、Arガス流量は120sccmで一定とし、酸素ガス流量および放電電圧は、放電状態がいわゆる遷移モードとなるよう適宜調節した。即ち成膜中は、所定の放電状態とすべく、アルミニウム原子の蒸発するターゲット面から約20mm位置のガス組成を、プラズマ発光分光法でアルミニウムと酸素の発光強度を目安として測定し、その結果をもとに放電電圧を調節した。
【0051】
加熱は、センターヒーター5および装置壁面ヒーター5を用いて行い、成膜時の基板温度が約750〜780℃の範囲内となるようにした。回転テーブル3の回転や遊星回転治具4の回転の有無および回転数、および成膜時間は表1に示す通りである。尚、表1に示す、断続的に成膜した場合の1回あたりの成膜膜厚は、回転テーブル3のみ回転させた場合には、得られたアルミナ膜厚、前記成膜時間および回転数から算出した。
【0052】
尚、回転テーブル3の回転および遊星回転治具4の回転を同時に行った場合、遊星回転治具4は1つのターゲット前の成膜領域通過中に約1回転するが、該遊星回転治具4の1箇所に固定された基材への成膜は、このターゲット前(成膜領域)を通過するタイミングにより、1回のみ行われる場合と、2回に分けて行われる場合(成膜領域に入った直後に成膜された後、遊星回転治具4の回転でターゲットと非対面位置に移動し、その後、成膜領域を出る直前に再度成膜されるといった場合)等に分かれる。そして1回あたりの成膜膜厚は、1回で成膜したときと、2回に分かれたときの成膜前半、または成膜後半のうち、1回で成膜したときが最も厚くなることから、この値を表1に示している。
【0053】
後述するように本発明例6では、成膜途中で回転テーブル3の回転数を変化させて1回あたりの成膜膜厚を増加させた。
【0054】
この様にして形成されたアルミナ膜の膜厚を、シリコン基板上で段差を測定して求めた。また、形成された積層皮膜の表面を薄膜X線回折装置で分析し、最表面皮膜として形成されたアルミナ膜の結晶構造を特定した。即ち、X線回折測定結果から、α型結晶構造のアルミナを代表するX線回折ピークとして2θ=25.5761(°)のピーク強度Iαを選択し、γ型結晶構造のアルミナを代表するX線回折ピークとして2θ=19.4502(°)のピーク強度Iγを選択し、この強度比:Iα/Iγ値の大きさから、α型結晶構造のアルミナ形成の程度を評価した。これらの結果を表1に併記する。
【0055】
【表1】
Figure 2004076029
【0056】
表1から次のように考察することができる。比較例1は、回転テーブル3および遊星回転治具4の回転を止めて、スパッタリングカソード6と基材2を静止対向させて連続的に成膜したものである。この場合、得られたアルミナ膜はγ型結晶構造のみからなるものとなった。
【0057】
比較例2は、前記図7に示す装置で回転テーブル3のみ回転させて成膜したものである。この場合、比較例1と異なり、回転させながら成膜を行っているため、得られたアルミナ膜は、比較例1の場合よりもα型結晶構造のアルミナが多く形成していることを確認できる。しかし、1回あたりの成膜膜厚が本発明で規定する上限を超えているため、γ型結晶構造の占有率が高くなる結果となった。
【0058】
本発明例1〜3は、前記図7に示す装置で回転テーブル3のみを回転させたものであり、1回あたりの成膜膜厚が本発明範囲内となるよう、回転テーブルの回転数を調節している。本発明例1,2,3の順に回転数を増加させ、1回あたりの成膜膜厚を減少させて成膜を行った。これらの結果から、1回あたりの成膜膜厚が少ないほど、α型結晶構造のアルミナ膜が形成しやすく、本発明で規定する通り、1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とすれば、α型結晶構造が主体のアルミナ膜を成形できることがわかる。また、1回あたりの成膜膜厚を好ましくは2nm以下にすると、よりα型結晶構造の比率を増加させることができ、更に好ましくは1回あたりの成膜膜厚を1nm以下とすれば、ほぼα型結晶構造のみからなるアルミナ膜を形成できることがわかる。
【0059】
本発明例4および5は、前記図7に示す装置で回転テーブル3と遊星回転治具4を共に回転させた例であり、本発明例5では、本発明例4よりも、回転テーブル3および遊星回転治具4の回転数を増加させている。これら本発明例4および5の結果より、回転テーブル3および遊星回転治具4の回転数を増加させて、1回あたりの成膜膜厚を減少させた方がα型結晶構造のアルミナ膜が形成しやすいことがわかる。また、回転テーブル3の回転数が同じである本発明例1と本発明例4、本発明例2と本発明例5を比較すると、回転テーブル3と遊星回転治具4をともに回転させ、基材2の自転・公転を行うほうが、α型結晶構造の比率が著しく増加し、α型結晶構造主体のアルミナ膜が得られやすいことがわかる。これは、本発明例4および5のように基材を自転・公転させると、基材2が公転してスパッタリングカソード6と対面位置にきたときでも、基材2は更に回転しているので、基材2を公転させただけの場合よりも1回あたりの成膜時間が短くなる。その結果、1回あたりの成膜膜厚が少なくなり、かつ十分に酸化性ガス含有雰囲気に曝されやすくなるので、α型結晶構造が形成しやすいためと考えられる。
【0060】
本発明例6は、前記図7に示す装置で回転テーブル3のみを回転させた例であり、成膜開始から60分経過後に、回転テーブル3の回転数を6rpmから3rpmに低下させて、1回あたりの成膜膜厚を増加させた。全成膜工程で回転テーブル3の回転数を3rpmとした本発明例1と比較して、成膜初期のみ回転数を高めることによって、α型結晶構造のアルミナ膜の形成が促進されることがわかる。この様な機構は、成膜初期に回転数を高めて1回あたりの形成量の少ない成膜を行うことで、ほぼα型結晶構造のみからなるアルミナ下地層が形成され、その後に1回あたりの成膜膜厚を増加させて成膜を続けた場合にも、既に形成されているα型構造の結晶核をベースとして引き続きα型結晶構造のアルミナが成長しやすいためと考えられる。
【0061】
【発明の効果】
本発明法を採用することで、耐熱性に優れたα型結晶構造主体のアルミナ膜を、基材や装置等にかける熱的負荷の小さい800℃以下の比較低温域においても効率よく形成することができる。また、この様なα型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法の実現により、従来よりも耐摩耗性および耐熱性に優れた切削工具等を量産的に提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングしたときの、酸素導入流量と放電電圧との関係を概略的に示した図である。
【図2】酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングしたときの、放電電圧と放電電流との関係を概略的に示した図である。
【図3】本発明を実施する為に構成される装置例を示す概略説明図である。
【図4】本発明を実施する為に構成される装置の他の例を示す概略説明図である。
【図5】本発明を実施する為に構成される装置の他の例を示す概略説明図である。
【図6】本発明を実施する為に構成される装置の他の例を示す概略説明図である。
【図7】本発明の実施に用いる装置例を示す概略説明図(上面図)である。
【符号の説明】
1,11 成膜用装置
2,14 試料(基材)
3 回転テーブル
4 遊星回転治具
5 ヒーター
6,12 スパッタリングカソード(アルミニウム金属ターゲット)
7 基材保持治具
8 回転治具
13 可動テーブル

Claims (11)

  1. 酸化性ガス含有雰囲気下でアルミニウム金属ターゲットをスパッタリングして基板上にアルミナ膜を形成するに当たり、1回あたりの成膜膜厚を5nm以下とし、これを複数回に分けて断続的に成膜することを特徴とするα型結晶構造主体のアルミナ膜の製造方法。
  2. 成膜初期は1回あたりの成膜膜厚を2nm以下とし、成膜中期以降は1回あたりの膜厚を成膜初期の膜厚より厚く形成する請求項1に記載の製造方法。
  3. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置するとともに、該回転テーブルに基材を固定して、該回転テーブルを回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置するとともに、該回転テーブルに遊星回転治具を配置し、該遊星回転治具に基板を固定して、回転テーブルおよび遊星回転治具を回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
  5. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して回転テーブルを設置し、該回転テーブルに遊星回転治具を配置するとともに、該遊星回転治具に回転部材を取り付け、該回転部材に基材を固定して、回転テーブル、遊星回転治具および回転治具を回転させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
  6. 回転テーブル、遊星回転治具、または回転部材の回転数を調節して断続的な成膜周期を制御する請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記回転テーブルの回転数を3rpm以上とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記遊星回転治具の回転数を20rpm以上とする請求項6または7に記載の製造方法。
  9. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材を、スパッタリング方向を横切るように往復動させながら、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
  10. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して基材を配置すると共に、アルミニウム金属ターゲットと基材との間にシャッターを設け、該シャッターを開閉させることにより、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
  11. アルミニウム金属ターゲットのスパッタリング方向に対峙して設けられた基材に対し、アルミニウム金属ターゲットを断続的にスパッタリングすることにより、基板上にアルミナ膜を断続的に成膜する請求項1または2に記載の製造方法。
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