JP2004074809A - 印字ヘッド及びそれを用いたインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクによって腐食されないインクジェットヘッド及びそれを用いたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 静電方式インクジェットヘッド又はピエゾ方式インクジェットヘッドにおいて、少なくとも、インクに圧力を与えて吐出するための圧力室を構成している振動板の圧力室側Si表面に、Tiからなる耐インク性薄膜が形成される。
【選択図】図1
【解決手段】 静電方式インクジェットヘッド又はピエゾ方式インクジェットヘッドにおいて、少なくとも、インクに圧力を与えて吐出するための圧力室を構成している振動板の圧力室側Si表面に、Tiからなる耐インク性薄膜が形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、インク滴を吐出して印字するための印字ヘッド(以下インクジェットヘッドという)及びそれを用いたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、高画質化・カラー化が進み、近年急速に普及している。その内、高画質化については、まずインクジェットヘッドのノズル密度の向上が果たした役割が非常に大きい。そのために様々な研究・開発が行なわれ、微細加工の容易さ、加工精度、プロセスなどの観点から、インクジェットヘッドには、従来用いられてきた金属、プラスチックのほかに、シリコン、ガラス、感光性ドライフィルム、セラミックス等も使用されるようになっている。また、高画質化、カラー化を実現するために、インクについても研究・開発が行われている。記録紙に付着した時の浸透性や発色性を最適化するために、また、長期間にわたる保存性を高めるために、インクの成分・組成についても研究・開発が行われており、その結果、隣り合った異なる色のインクが混ざることなく、鮮やかな色で印刷することができるようになっている。
このようにして、印字の高画質化・カラー化が実現されてきたが、インクジェットヘッドの材質とインク成分との組み合わせによっては、ヘッド材質がインクに溶解することが考えられる。その場合には、インクの成分・組成、或いはヘッドの材質を変更するのが一般的である。
しかしながら、ヘッドの材質を変更して、インクに対して溶解しないような材質のものを用いた場合には、次のような問題点が指摘される。
まず、インクジェットヘッドの材質を変更することは、加工精度、微細加工の容易さを犠牲にすることに繋がり、その結果、ノズル密度の低下、ひいては印字品質の低下が引き起こされる。また、材質によってはプロセスを大幅に変更する必要も出てくる。
更に、インクの成分・組成は、印字品質を高めるため記録紙に対する浸透性、発色性が最適となるように、また長期間の保存性が良くなるように調整されている。そのインク成分・組成を変更することは、記録紙に対するインク浸透性や発色性、印字品質、長期間の保存性といった単独又はいくつかのインク特性低下を引き起こす原因になる。
まず、インクジェットヘッドの材質を変更することは、加工精度、微細加工の容易さを犠牲にすることに繋がり、その結果、ノズル密度の低下、ひいては印字品質の低下が引き起こされる。また、材質によってはプロセスを大幅に変更する必要も出てくる。
更に、インクの成分・組成は、印字品質を高めるため記録紙に対する浸透性、発色性が最適となるように、また長期間の保存性が良くなるように調整されている。そのインク成分・組成を変更することは、記録紙に対するインク浸透性や発色性、印字品質、長期間の保存性といった単独又はいくつかのインク特性低下を引き起こす原因になる。
本発明の目的は、インクによって腐食されないインクジェットヘッド及びそれを用いたインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明のインクジェットヘッドは、静電方式インクジェットヘッドまたは、ピエゾ方式インクジェットヘッドにおいて、少なくとも、インクに圧力を与えて吐出するための圧力室を構成している振動板の前記圧力室側Si表面に、Tiからなる耐インク性薄膜が形成されている。圧力室の底板である振動板の厚みは極端に薄いことから腐食の影響を受けやすいが、その部分に耐インク性薄膜を形成することにより、インクによる腐食が避けられる。
また、本発明のインクジェットヘッドは、インクを溜めるインクリザーバ、該インクリザーバのインクを圧力室に導くオリフイス及び圧力室を形成する基板の凹部に、前記耐インク性薄膜が形成されている。前記の基板の厚みも比較的薄いことからその浸食による影響は大きいが、インクリザーバ、オリフイス及び圧力室を形成する凹部に耐インク性薄膜が形成されることで、インクによる浸食が避けられる。
また、本発明に係るインクジェットヘッドにおいて、前記振動板はSiから構成され、インクに接触するものである。
さらに、本発明のインクジット記録装置は、上記の何れかに記載のインクジェットヘッドが取り付けられてなる。
従って、本発明によれば、インクジェットヘッドの材質がインクによって腐食されてしまうような場合でも、ヘッドの材質及びインク成分・組成の変更が不要であり、また、変更に伴う印字品質の低下やプロセスの大幅な変更を回避しながら、インクによる腐食防止が可能となっている。
また、本発明のインクジェットヘッドは、インクを溜めるインクリザーバ、該インクリザーバのインクを圧力室に導くオリフイス及び圧力室を形成する基板の凹部に、前記耐インク性薄膜が形成されている。前記の基板の厚みも比較的薄いことからその浸食による影響は大きいが、インクリザーバ、オリフイス及び圧力室を形成する凹部に耐インク性薄膜が形成されることで、インクによる浸食が避けられる。
また、本発明に係るインクジェットヘッドにおいて、前記振動板はSiから構成され、インクに接触するものである。
さらに、本発明のインクジット記録装置は、上記の何れかに記載のインクジェットヘッドが取り付けられてなる。
従って、本発明によれば、インクジェットヘッドの材質がインクによって腐食されてしまうような場合でも、ヘッドの材質及びインク成分・組成の変更が不要であり、また、変更に伴う印字品質の低下やプロセスの大幅な変更を回避しながら、インクによる腐食防止が可能となっている。
実施形態1.
本実施形態によるインクジェットヘッド10は静電方式の駆動方法が採用されており、図1及び図2に示されるように、下記に詳述する構造を持つ3枚の基板1,2,3を重ねて接合した積層構造となっている。上側の基板1は、例えばシリコン、ガラスまたはプラスチックからなり、複数のノズル孔4(ピッチは70μm程度、直径25μm程度)が穿設されており、ノズルプレート構成している。中間の基板2は、例えばシリコン単結晶基板から構成されており、ノズル孔4に連通し、底壁を振動板5とする圧力室6を構成することになる凹部21と、凹部21の後部に設けられオリフィス7を構成することになるインク流入口のための細溝22と、各々の圧力室6にインクを供給するための共通のリザーバー8を構成することになる凹部23とを有する。
本実施形態によるインクジェットヘッド10は静電方式の駆動方法が採用されており、図1及び図2に示されるように、下記に詳述する構造を持つ3枚の基板1,2,3を重ねて接合した積層構造となっている。上側の基板1は、例えばシリコン、ガラスまたはプラスチックからなり、複数のノズル孔4(ピッチは70μm程度、直径25μm程度)が穿設されており、ノズルプレート構成している。中間の基板2は、例えばシリコン単結晶基板から構成されており、ノズル孔4に連通し、底壁を振動板5とする圧力室6を構成することになる凹部21と、凹部21の後部に設けられオリフィス7を構成することになるインク流入口のための細溝22と、各々の圧力室6にインクを供給するための共通のリザーバー8を構成することになる凹部23とを有する。
この中間の基板2は上側の基板1と接合されることにより、圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成しており、上側の基板1ともに流路ユニットを構成する。そして、リザーバー8には接続パイプ、チューブ等を介してインクタンクからのインクが供給され、インクはリザーバー8及び圧力室6を満たしている。
中間の基板2の下面に接合される下側の基板3は、例えばガラスまたはプラスチックからなり、下側の基板3の表面に前記の振動板5に対応する各々の位置にて電極31を形成する。電極31はリード部32及び端子部33を持つ。さらに端子部33を除き電極31及びリード部32の全体を絶縁膜34で被覆している。各端子部33にはリード線35がボンディングされる。
前記の基板1,2,3が接合されて組み立てられ、さらに、中間の基板2と電極31の端子部33との間にそれぞれ発振回路24を接続してインクジェットヘッド10が構成される。
中間の基板2の下面に接合される下側の基板3は、例えばガラスまたはプラスチックからなり、下側の基板3の表面に前記の振動板5に対応する各々の位置にて電極31を形成する。電極31はリード部32及び端子部33を持つ。さらに端子部33を除き電極31及びリード部32の全体を絶縁膜34で被覆している。各端子部33にはリード線35がボンディングされる。
前記の基板1,2,3が接合されて組み立てられ、さらに、中間の基板2と電極31の端子部33との間にそれぞれ発振回路24を接続してインクジェットヘッド10が構成される。
次に、図1のインクジェットヘッド10の動作を説明する。電極31に発振回路24により、例えば0V〜+電圧のパルス電圧を印加し、電極31の表面が+電位に帯電すると、対応する振動板5の下面は−電位に帯電する。したがって、振動板5は静電気の吸引作用により下方へ撓む。次に、電極31をOFFにすると、振動板5は復元する。したがって、圧力室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔4よりインク液滴を記録紙に向けて吐出する。そして、振動板5が下方へ撓むことにより、インクがリザーバー8よりオリフィス7を通じて圧力室6内に補給される。発振回路24には、上記のように0V〜+電圧間をON・OFFさせるものや交流電源等が用いられる。記録にあたっては、それぞれのノズル孔4の電極31に印加すべき電気パルスを制御すればよい。
次に、本実施形態の特徴である中間の基板2について、更に詳細に説明する。中間の基板2は、圧力室6を含めて、インクが流れる箇所(以下インク流路という)即ち、オリフィス7及リザーバー8を形成している凹部21〜23の表面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによってTiを積層して、耐インク性薄膜25が形成されている。このときの各部の寸法は、圧力室6(凹部21)の深さaが60μm、圧力室6(凹部21)の幅bが50μm、圧力室隔壁26の幅cが20μmである。中間の基板2の圧力室隔壁26の上側の基板1が貼り付けられる面27はインクが直接接触しないため、何らかの手段を用いて、その面27上に耐インク性薄膜を形成しなくても、本実施形態の効果は減じることはない。
耐インク性薄膜25の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTi膜厚(図3の寸法e)は、次の表1のように積層方法によって異なったものになる。
耐インク性薄膜25の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTi膜厚(図3の寸法e)は、次の表1のように積層方法によって異なったものになる。
なお、表1においては振動板5の表面で1000Åとしたときの上側の基板1(ノズルプレート)に接する面27の膜厚を示しているが、振動板5の表面の膜厚を測定することは難しく(図3に示されるように窪んだ箇所の測定は難しい)、そして、振動板5の表面の膜厚と面27の膜厚とは一義的な関係があることから、振動板5の表面の膜厚を把握するために、表1に示される面27の膜厚の特性が利用される。このことは後述する実施形態においても同様である。
実施形態2.
本実施形態においては、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによって窒化チタン(以下TiNという)を積層して、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
TiNの膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTiN膜厚(図3の寸法e)は、表2のように積層方法によって異なったものになる。
本実施形態においては、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによって窒化チタン(以下TiNという)を積層して、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
TiNの膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTiN膜厚(図3の寸法e)は、表2のように積層方法によって異なったものになる。
実施形態3.
本実施形態では、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、及びCVD法のいずれかによって酸化チタン(以下TiO2という)を積層し、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
TiO2 の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3中寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTiO2の膜厚(図3中寸法e)は、次の表3のように積層方法によって異なっている。
本実施形態では、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、及びCVD法のいずれかによって酸化チタン(以下TiO2という)を積層し、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
TiO2 の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3中寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのTiO2の膜厚(図3中寸法e)は、次の表3のように積層方法によって異なっている。
実施形態4.
本実施形態では、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによってAl2O3 を積層し、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
Al2O3の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのAl2O3 膜厚(図3の寸法e)は、次の表4のように積層方法によって異なっている。
本実施形態では、実施形態1と同じ形状の中間の基板2のインク流路(圧力室6、オリフィス7及びリザーバー8を構成する凹部21〜23)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによってAl2O3 を積層し、耐インク性薄膜を形成した。その断面形状は上記の実施形態1と同じく図3に示されるような形状になる。
Al2O3の膜厚は、振動板5の表面で1000Å(図3の寸法d)となるように積層したが、その時の面27でのAl2O3 膜厚(図3の寸法e)は、次の表4のように積層方法によって異なっている。
(評価試験1.)
このようにして実施形態1〜4において、シリコン製インク流路の表面に形成した耐インク性薄膜の耐インク性について評価した結果を、表5及び表6に示す。
このときの評価項目は、耐インク性薄膜の膜厚変化量とピンホール、腐食の有無である。評価方法は、耐インク性薄膜を形成したシリコン製インク流路を、有機アミン含有顔料インク及び1%KOH水溶液に70℃で7日間浸漬して、耐インク性薄膜の膜厚変化量を測定し、耐インク性薄膜のピンホールの有無、シリコン製インク流路の腐食の有無を確認した。比較のため、耐インク性薄膜を形成しないシリコン製インク流路もインクに浸漬して、外観の変化を確認した。浸漬試験をする時には、振動板5の電極基板側の面(裏側)が直接インク、KOH水溶液に触れないようにした。
このようにして実施形態1〜4において、シリコン製インク流路の表面に形成した耐インク性薄膜の耐インク性について評価した結果を、表5及び表6に示す。
このときの評価項目は、耐インク性薄膜の膜厚変化量とピンホール、腐食の有無である。評価方法は、耐インク性薄膜を形成したシリコン製インク流路を、有機アミン含有顔料インク及び1%KOH水溶液に70℃で7日間浸漬して、耐インク性薄膜の膜厚変化量を測定し、耐インク性薄膜のピンホールの有無、シリコン製インク流路の腐食の有無を確認した。比較のため、耐インク性薄膜を形成しないシリコン製インク流路もインクに浸漬して、外観の変化を確認した。浸漬試験をする時には、振動板5の電極基板側の面(裏側)が直接インク、KOH水溶液に触れないようにした。
まず、薄膜材質が金属Ti、TiN、TiO2、及びAl2O3の場合には、インク浸漬の前後で、耐インク性薄膜の膜厚はどの場合も変化が見られなかった。また、インク浸漬後に金属顕微鏡、電子顕微鏡などでピンホールの有無を確認したが、一つも観察されなかった。さらに、耐インク性薄膜を除去した後、金属顕微鏡、電子顕微鏡などで振動板において腐食された所がないか確認したが、一つも観察されなかった。これに対し、耐インク薄膜が無いシリコン製インク流路の場合(SiO2、SiN)は、インク及びKOHどちらに浸漬しても材質が腐食されてしまっており、薄膜は浸漬後ほとんど残っていなかった。
(評価試験2.)
また、上記の記載の条件(70゜Cで7日間の浸漬)をさらに厳しくして、過酷な評価を行った(80゜Cで30日の浸漬)ところ、Al2O3の薄膜については劣化が認められるようになった。しかしながら、この条件下であっても、金属Ti、TiN及びTiO2の薄膜については何等劣化が認められなかった。従って、この4種類の薄膜の中でも、金属Ti、TiN及びTiO2の薄膜がより好ましいことが分かった。
また、上記の記載の条件(70゜Cで7日間の浸漬)をさらに厳しくして、過酷な評価を行った(80゜Cで30日の浸漬)ところ、Al2O3の薄膜については劣化が認められるようになった。しかしながら、この条件下であっても、金属Ti、TiN及びTiO2の薄膜については何等劣化が認められなかった。従って、この4種類の薄膜の中でも、金属Ti、TiN及びTiO2の薄膜がより好ましいことが分かった。
実施形態5.
本実施形態によるインクジェットヘッド110は、ピエゾ方式の駆動方法が採用されており、図4に示されるように、下記に詳述する構造をもった3枚の基板101,102,103を重ねて接合した積層構造となっている。上側の基板101にはノズル孔104が多数設けられており(図の例においては2列に配置された例が示されている。)、ノズルプレートを構成している。
本実施形態によるインクジェットヘッド110は、ピエゾ方式の駆動方法が採用されており、図4に示されるように、下記に詳述する構造をもった3枚の基板101,102,103を重ねて接合した積層構造となっている。上側の基板101にはノズル孔104が多数設けられており(図の例においては2列に配置された例が示されている。)、ノズルプレートを構成している。
中間の基板102は、例えばシリコン単結晶基板から構成されており、底板を振動板とする圧力室106を構成することとなる凹部121と、この凹部121の後方に設けられ、圧力室106にインクを供給するためのオリフィスを構成するととなる凹部(詳細は図示せず)と、各圧力室106にインクを供給するためのリザーバー108を構成することとなる凹部123と、この凹部123に設けられて、後述する下側の基板103のインク供給管114からインクが供給されてそのインクをリザーバー108に溜めるためのインク供給口109を構成する孔125とを有する。そして、この中間の基板102は、上側のの基板101と接合されることにより、圧力室106、オリフィス及びリザーバー108を構成しており、上側の基板101とともに流路ユニットを構成する。
下側の基板103は、振動子ユニット113を収納するための凹部136と、インクタンク(図示せず)に接続されるインク供給管114を形成する孔137とを有し、振動子ユニット113は凹部136に収納・固定される。また、流路ユニット(基板101,102)は枠体140によってこの下側の基板103に固定してインクジェットヘッド110を構築しており、そして、そのインクジェットヘッド110を基板141を介して、キャリッジ50(図5参照)に固定している。
以上のように構成された本実施形態のインクジェット記録装置においても、実施形態1〜実施形態4の場合と同様に、中間の基板102のインク流路(圧力室106、オリフィス及びリザーバー108を構成する凹部121、123)の全面に、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法及びCVD法のいずれかによって、金属Ti、TiN、TiO2、又はAl2O3の薄膜を施すことにより同様な優れた効果が得られている。
実施形態6.
ところで、図1又は図4のインクジェットヘッド10、110は、図5に示されるようにキャリッジ50に取り付けられ、そして、このキャリッジ50はガイドレール51に移動自在に取り付けられており、ローラー52により送り出される用紙53の幅方向にその位置が制御される。この図5の機構は図6に示されるインクジェット記録装置60に装備される。
ところで、図1又は図4のインクジェットヘッド10、110は、図5に示されるようにキャリッジ50に取り付けられ、そして、このキャリッジ50はガイドレール51に移動自在に取り付けられており、ローラー52により送り出される用紙53の幅方向にその位置が制御される。この図5の機構は図6に示されるインクジェット記録装置60に装備される。
なお、上述の実施形態1〜6はいずれも本発明の一例にすぎず、例えば、インクが直接接触する箇所の耐インク薄膜の厚み及びインクが直接接触しない箇所の耐インク薄膜の厚みは、上記の数値例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更し得るものである。また、インクジェットヘッド、特に流路ユニットを構成する材料についても、シリコン単結晶基板に限定されず、ピンホールが無く、耐インク保護膜を形成することができる材質のものであれば、金属、樹脂等であってもよい。
また、上述の実施形態1〜5においては、インク流路の全面に耐インク薄膜を形成する例について説明したが、必ずしもインク流路の全面に耐インク薄膜を形成しなければならないという訳ではなく、少なくとも振動板に耐インク薄膜を形成すれば顕著な効果が得られる。インクジェットヘッドの振動板は極めて薄く、インクによる溶解の影響を最も受けやすいので、少なくともその振動板に耐インク薄膜を形成すればインクによる腐食を効果的に防止できるからである。
また、上述の実施形態1〜5においては、インクは有機アミン含有顔料インクを用いたが、その他の顔料インク、染料インクでも本発明においてはその効果は変わることはない。
また、上述の実施形態1〜5においては、インクは有機アミン含有顔料インクを用いたが、その他の顔料インク、染料インクでも本発明においてはその効果は変わることはない。
Claims (5)
- 静電方式インクジェットヘッドまたは、ピエゾ方式インクジェットヘッドにおいて、少なくとも、インクに圧力を与えて吐出するための圧力室を構成している振動板の前記圧力室側Si表面に、Tiからなる耐インク性薄膜が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
- インクを溜めるインクリザーバ、該インクリザーバのインクを圧力室に導くオリフイス及び圧力室を形成する基板の凹部に、前記耐インク性薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
- 前記振動板はSiから構成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
- 前記振動板はインクに接触するものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1〜請求項4の何れかに記載のインクジェットヘッドが取り付けられてなることを特徴とするインクジェット記録装置。
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JP2003374643A JP2004074809A (ja) | 1997-03-26 | 2003-11-04 | 印字ヘッド及びそれを用いたインクジェット記録装置 |
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- 2003-11-04 JP JP2003374643A patent/JP2004074809A/ja not_active Withdrawn
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