JP2004074733A - ワイピング装置、液体噴射装置、インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ワイピング部材の開口部を介しての液滴の飛散を防止可能なワイピング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ワイピング装置20は、開口部22を有し、この開口部を介して対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドのノズル形成面より掻き取った液体を裏面に流し、ノズル形成面を払拭するワイピング部材21と、開口部22を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止部材31を備えている。
【選択図】 図4
【解決手段】ワイピング装置20は、開口部22を有し、この開口部を介して対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドのノズル形成面より掻き取った液体を裏面に流し、ノズル形成面を払拭するワイピング部材21と、開口部22を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止部材31を備えている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色剤噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、極少量の試料を噴射する精密ピペットとしての試料噴射ヘッド、被記録材にインク滴を吐出する記録ヘッド等の液体噴射ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング装置、液体噴射装置、インクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置の1つとして、インクジェット式記録装置がある。このインクジェット式記録装置は、主走査方向(被記録材の幅方向)に往復移動するキャリッジに搭載され、被記録材に向けてインク滴を噴射する記録ヘッドと、被記録材を副走査方向(主走査方向と直交する方向)に精密送りする搬送ローラなどの紙送り手段を備え、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつインク滴を噴射することによって記録(印刷)を行うように構成されている。
【0003】
記録ヘッドは、圧力発生室で所定圧に加圧したインクをノズル形成面にあるノズル開口からインク滴として被記録材に向けて吐出する。このため、インクの粘度上昇や固化、また塵埃の付着によるノズルの目詰まり、さらにはインク流路内への気泡混入等によりインク吐出特性が変動してしまい、記録精度に問題をきたすことがある。
【0004】
このために、インクジェット式記録装置においては、インクの吐出特性を一定に維持するための特性維持手段として、キャッピング手段、負圧発生手段およびワイピング手段を備えたものがある。
【0005】
キャッピング手段は、インクジェット式記録装置の非使用時にキャッピング装置でノズル形成面を封止することによって外部から隔離し、ノズル開口のインク乾燥や塵埃の付着を防いでいる。
【0006】
また、ノズルの目詰まりや、インク流路内に気泡の混入等が生じた場合に、これらを除去する負圧発生手段を備えている。この負圧発生手段は、前記キャッピング装置でノズル形成面を封止した状態で、ノズルに負圧を作用させることで該ノズル開口からインクを強制的に吸引排出させて目詰まりや気泡混入を解消する。この負圧発生手段は、通常、インクジェット式記録装置を長期間不使用であった後に使用を再開する場合や、ユーザーが記録精度の低下を認識した場合等に所定の操作により実行できるようになっている。
【0007】
上記のように目詰まりや気泡混入を解消させるためのインクの強制的な吸引排出処理を行うと、ノズル開口から排出されたインクが飛び散って記録ヘッドのノズル形成面に付着することがあるとともに、ノズル形成面に付着したインクに塵埃などの異物が吸着されやすい。このような場合にノズル形成面を払拭するワイピング手段を備えている。このワイピング手段はゴム等の弾性素材からなるワイピング部材を有し、該ワイピング部材の基端部側をホルダによって固定されて構成されている。そして、ワイピング部材の先端側(自由端部側)をノズル形成面に押し当てつつ、相対移動させて該ノズル形成面に付着したインク等を取り除いて清掃するようになっている。
【0008】
このワイピング部材によるノズル形成面の清掃動作は、「ワイピング動作」と言われている。図10は、ワイピング装置100におけるワイピング動作を示す図面である。ワイピング部材101は、通常、エラストマーなどの弾性素材により形成されており、記録ヘッド9のノズル形成面19に対して相対的に移動可能なホルダ29に支持固定されているとともに、ワイピング部材101は平行移動して記録ヘッド9の移動経路上に進退可能に構成されている。そして、記録ヘッド9の移動経路上に進出した場合にノズル形成面19を払拭する。
【0009】
ワイピング部材101は、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接するために充分な干渉量(すなわち、記録ヘッド9の移動経路上における、ワイピング部材101と記録ヘッド9との重複部分)をもって配置されており、払拭時には記録ヘッド9の移動経路上にワイピング部材101が進出して静止した状態で記録ヘッド9が移動してくることにより、弾性素材で形成されたワイピング部材101が該記録ヘッド9の端面に当接しつつ変形される。さらに記録ヘッド9が矢印方向に移動することによって、ワイピング部材101の先端部がノズル形成面19に当接して、該ノズル形成面19を払拭し付着したインク等を拭い取る。このワイピング動作によって、ノズル形成面19に付着していたインク等が取り除かれて、記録動作中に被記録材に飛散することを防止することが可能である。
【0010】
ワイピング部材の形状は様々なものが知られているが、例えば、特開2001−347678号公報においては、ノズル形成面より掻き取ったインクを裏面に逃がす開口部を有する形態のものが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
払拭時においては記録ヘッドの移動に伴いノズル形成面からインク等が拭い取られるが、特開2001−347678号公報に開示されているように掻き取ったインクを裏面に逃がす開口部を有する構成のワイピング部材においては、払拭時に前記開口部を介してワイピング部材の裏面側に流れたインクについては記載されていない。すなわち、求められる改良点としては、開口部を介してワイピング部材の裏面側に流れたインクの取扱についてである。
【0012】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであって、その課題はワイピング部材の開口部を介しての液滴の飛散を防止可能なワイピング装置を提供することにあり、特にインクジェット式記録装置においての使用が良好なワイピング装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のワイピング装置の発明は、裏面まで貫通した開口部を有し、この開口部を介して、対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドのノズル形成面より掻き取った液体を裏面に流し、ノズル形成面を払拭するワイピング部材を備えたワイピング装置であって、前記開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止手段を備えているので、ノズル形成面に付着した液体を飛散させることなく取り除くことができる。すなわち、従来、ワイピング部材に形成された開口部を介してノズル形成面から掻き取った液体が該ワイピング部材の裏面側に飛び散り、清掃後のノズル形成面や周辺部材を汚損する虞があったが、本発明においては飛散防止手段を備えているので液体が飛散することがなく、ワイピング動作によるノズル形成面の清掃が確実に行われる。
【0015】
また、請求項2に記載のワイピング装置の発明は、請求項1において、前記飛散防止手段は、前記ワイピング部材の裏面側に配置され、少なくとも前記開口部を覆うように構成された、板状体からなる飛散防止部材であることを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、飛散防止手段は、前記ワイピング部材の裏面側に配置され、少なくとも前記開口部を覆うように構成された、板状体からなる飛散防止部材であるので、簡単な構成で、開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止することが可能である。
【0017】
また、請求項3に記載のワイピング装置の発明は、請求項2において、前記飛散防止部材は、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材と接触することにより前記開口部を覆うように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、飛散防止部材は、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材と接触することにより開口部を覆うように構成されているので、開口部から飛散した液体の飛散経路を遮断することで確実に捕捉することができ、もって飛散した液体を取りのこすことがない。
【0019】
また、請求項4に記載のワイピング装置の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記ワイピング部材は、払拭時にノズル形成面に押しつけられる自由端部側である湾曲形状の払拭部と、基端部側である直線形状の支持部とから構成され、前記開口部が前記払拭部と前記支持部との境界付近の当該支持部側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、ワイピング部材は、払拭時にノズル形成面に押しつけられる自由端部側である湾曲形状の払拭部と、基端部側である直線形状の支持部とから構成され、前記開口部が前記払拭部と前記支持部との境界付近の当該支持部側の位置に設けられているので、払拭時に湾曲形状の払拭部に掻き取った液体が溜まりやすく、ある程度溜まってから開口部を介して該ワイピング部材の裏面に流れることがある。従って、開口部からの液体の飛散量が相対的に多くなることがあるが、このようなワイピング部材においても液体の飛散を確実に防ぐことができる。
【0021】
また、請求項5に記載のワイピング装置の発明は、請求項3において、前記飛散防止部材は弾性素材から形成されていることを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、飛散防止部材は弾性素材から形成されているので、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材の一部と密着して、飛散した液体の逃げ道を確実に塞ぐことができる。すなわち、ワイピング部材の開口部から裏面側に飛び散った液体の飛散経路を覆うことができ、もって飛散した液体を確実に捕捉することが可能である。
【0023】
また、請求項6に記載の液体噴射装置の発明は、対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドと、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワイピング装置を有することを特徴とする。
【0024】
この特徴によれば、液体噴射ヘッドとして、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色剤噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、極少量の試料を噴射する精密ピペットとしての試料噴射ヘッド、被記録材にインク滴を吐出する記録ヘッド等を有する液体噴射装置において、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の作用効果が得られる。
【0025】
また、請求項7に記載の液体噴射装置の発明は、請求項6において、前記液体噴射装置は、インクジェット式記録装置であることを特徴とする。この特徴によれば、インクジェット式記録装置において、請求項6に記載の作用効果が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置1の外観斜視図である。なおここでは、インクジェット式記録装置1の内部構成を現すために上カバーを外した状態を示している。図2は、同インクジェット式記録装置の要部平面図であって、キャッピング装置10の周囲を示しており、図3は図2における要部側面図である。
【0027】
キャリッジ2は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸3に支持されているとともに、駆動モータ5に接続された無端ベルトから構成されるタイミングベルト6の一部が取り付けられている。そして、タイミングベルト6の駆動によってキャリッジガイド軸3に沿って主走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ2の下面、すなわち被記録材Pと対向する面には記録ヘッド9が搭載され、該キャリッジ2に装着されたインクカートリッジ4からインクの供給を受けて、被記録材Pに向けてインク滴を吐出できるようになっている。なお、キャリッジ2には、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローなど複数色のインクカートリッジ4を着脱自在に装着できるように構成されており、カラー印刷を実行可能となっている。符号18は印刷領域において記録ヘッド9の対向する位置に主走査方向に長く配設されたプラテンを示し、被記録材Pを下から支えることによって記録ヘッド9と被記録材Pとの距離を規定している。
【0028】
非印刷領域であるキャリッジ2のホームポジション位置(図1において装置右隅)には、記録ヘッド9のノズル形成面19を封止するキャッピング装置10が配置されている。キャッピング装置10は、記録ヘッド9のノズル形成面19を封止するキャップ部材11と、負圧発生手段としての吸引装置12を有している。そして、キャリッジ2に搭載された記録ヘッド9がキャッピング装置10の直上に位置したときに、記録ヘッド9に向けて上方に移動することでノズル形成面19を封止できるように構成されている。すなわち、本実施形態においては、キャッピング装置10のキャップ部材11は、記録ヘッド9のノズル形成面19に当接し、または離間できるような高さ位置変位機構を備えている。
【0029】
また、図3に示すように、ノズル形成面19を封止した状態で必要に応じて吸引装置12によりノズルに負圧を作用させて、ノズルの目詰まりや、インク流路内の気泡混入を解消できるようになっている。すなわち、キャップ部材11が記録ヘッド9のノズル形成面19を封止した状態で、吸引口13を介して吸引装置12によって負圧を作用させてインクを強制的に吸引排出させることで記録ヘッド9のクリーニングが行われる。
【0030】
このようにキャッピング装置10により記録ヘッド9のノズル形成面19を封止することによって、インクジェット式記録装置1の非使用時にノズルの乾燥や塵埃の付着を防ぐことができるとともに、前記したように吸引装置12による負圧をノズルに作用させることでインクの吸引排出処理を行うことができるようになっている。
【0031】
キャッピング装置10の近傍の印刷領域側には、キャリッジ2の移動に伴って記録ヘッド9のノズル形成面19を払拭するワイピング装置20が配置されている。
【0032】
ワイピング装置20は、キャリッジ2が往復移動する主走査方向と直交する方向(図3において紙面表裏方向)に水平状態を保持したまま(すなわち、高さ位置を変化させずに)移動可能な機構を備え、これにより記録ヘッド9の移動経路内の所定位置に進出し、または退避できるように構成されている。ここで、ワイピング装置20の進退動作は、既知の機構により行われ、その動力源には被記録材の搬送用の紙送りモータ(図示せず)の駆動力が利用されている。
【0033】
ここで図4は、ワイピング装置20の要部を正面側、すなわち記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接する側からみた斜視図である。ワイピング装置20は、開口部22を有し、記録ヘッド9のノズル形成面19を払拭するワイピング部材21と、ワイピング部材21の開口部22を介して裏面側に飛び散るインクの飛散を防止する手段としての飛散防止部材31を備え、前記ワイピング部材21と前記飛散防止部材31とがホルダ29に固着された構成となっている。図5は、図4における、ワイピング装置20のワイピング部材21を示す図面であって、(a)は要部正面図であり、(b)は(a)における5B−5B線の要部断面図である。
【0034】
ワイピング部材21は、エラストマーなどの弾性素材から形成され、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接する際に変形できるようになっている。また、開口部22が形成され、ノズル形成面19から掻き取ったインクを裏面(すなわち、飛散防止部材31側)に流すことができるようなっている。また、該ワイピング部材21の裏面であって、開口部22の下部には、縦方向に延びる複数の溝部23が形成されており、開口部22を介して裏面に流れたインクを重力方向(すなわちホルダ29方向)に誘導することができるようになっている。なお、開口部22の形状は特に限定されないが、例えば裏面側に向けて開口面積が狭くなるように構成することも可能である。このような構成であると、掻き取ったインクをより一層速やかに裏面へと誘導することができる場合がある。また、溝部23は図6に示す如く、開口部22に接するように、すなわち開口部22と連通するように構成することもできる。
【0035】
飛散防止部材31は、ワイピング部材21の裏面側に配置されているとともに、エラストマーなどの弾性素材から形成され、ノズル形成面19に摺接して変形状態となったワイピング部材21と接触して、開口部22を覆うように構成されている。本実施形態において飛散防止部材31は、ワイピング部材21と略等しい形状に形成されているがこれに限られるわけではなく、ワイピング部材21の開口部22から飛び散ったインクを捕捉して、飛散を防止可能な形態であればよい。
【0036】
なお、ワイピング部材21と飛散防止部材31の表面を撥水処理することもできる。表面に撥水処理を施すことにより、記録ヘッド9のノズル形成面19から拭い取ったインク等を表面に滞留させることなく速やかに移送することが可能である。
【0037】
次に、図7はワイピング装置20の他の実施形態における要部側断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)はワイピング部材21が記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接した状態を示している。本実施形態におけるワイピング部材21は、自由端部側である湾曲形状の払拭部27と、基端部側である直線形状の支持部28とから構成されており、払拭部27と支持部28との境界付近の支持部28側には開口部22が設けられている。このような構成のワイピング部材21であると、図7(b)のように記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接して変形状態となった場合に、該ノズル形成面19に向けての押圧力が大きくなり、ノズル形成面19に付着しているインク40を確実に払拭して取り除くことができるとともに、ノズル形成面19に段差があった場合であってもその段差に沿って払拭する柔軟性を有することが可能である。また、湾曲形状の払拭部27を有した構成であると、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接して変形状態となった場合に払拭部27にインク40が滞留しやすくなるが、開口部22が払拭部27と支持部28との境界付近の支持部28側に形成されているため、効率的に溜まったインク40を裏面に向けて流すことが可能である。すなわち、記録ヘッド9のノズル形成面19より掻き取ったインクを裏面に流す開口部22の作用効果は、本実施形態のように湾曲形状の払拭部27を有したワイピング部材21において特に有効である。
【0038】
そして、図7(b)に示す如く、ワイピング部材21は記録ヘッド9のノズル形成面19に変形して当接して、該ノズル形成面19を払拭しインク40を拭い取る。そして、拭い取られたインク40は、開口部22を介してワイピング部材21の裏面に流れる。このとき、飛散防止部材31は、ノズル形成面19に摺接して変形状態となったワイピング部材21の上部と接触して開口部22の裏面側を覆い、インク40の飛散経路を塞いでいる。開口部22を介して飛び散ったインク40は飛散防止部材31によって捕捉されて、ワイピング部材21と飛散防止部材31との間の空間部に沿って基端部側に向けて移送される。すなわち、掻き取ったインクがワイピング部材21の開口部22を介して飛び散ったとしても、飛散防止部材31によって確実に捕捉され、清掃後のノズル形成面19に付着したり、周辺に飛散したりすることがない。
【0039】
次に図8は、ワイピング装置20におけるワイピング部材21の他の実施形態を示すものであり、(a)は要部正面図、(b)は(a)における7B−7B線の要部断面図である。本実施形態におけるワイピング部材21は、図8(a)に示す如く、幅方向に複数の開口部22を有しているとともに、図8(b)に示す如く、各開口部22に向けて前面から裏面に向けて下向き(すなわち、重力方向)の傾斜面26が形成されている。このような構成のワイピング部材21においては、記録ヘッド9のノズル形成面19より掻き取ったインクを、傾斜面26に沿って開口部22に誘導することにより、速やかに裏面に向けて流すことができる。すなわち、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接してワイピング部材21が変形状態となった場合に、傾斜面26がノズル形成面19に近づき、変形部分にインクを滞留させることなく速やかに開口部22に向けて導くことができ、もって該開口部22を介して裏面に流し去ることが可能である。つまり、ノズル形成面19から掻き取ったインクが集まって淀むことがなく、拭い取ったものから順次ワイピング部材21の裏面に逃がすことができる。なお、傾斜面26にはインクの流れを誘導するガイド溝を設けることもできる。
【0040】
また、幅方向に複数の開口部22を設けたことにより、ノズル形成面19から掻き取ったインクは傾斜面26に沿って開口部22に向けて集合しつつ流れるので、インクをワイピング部材21の裏面へ移送する作用が促進されて速やかに取り除くことができる。さらに、裏面側に飛び散るインクの飛散開始位置が当該開口部22のみに限られるので、より容易にインク等の飛散を防止することができる。
【0041】
なお、ワイピング部材21の裏面であって、各開口部22の下部に溝部を形成することにより、記録ヘッド9のノズル形成面19から掻き取ったインクを該溝部に沿って基端側に向けて誘導することも可能である。
【0042】
次に図9は、主に記録ヘッド9のノズル形成面19に付着した固体物を除去するためのラビング部材41を飛散防止手段として適用した実施例を示す要部側断面図である。なおここでは、ワイピング部材21の裏面にラビング部材41が接合された場合を示している。このような構成においては、開口部22に連通して溝部23が形成されており、記録ヘッド9のノズル形成面19から掻き取ったインクは開口部22を介して溝部23へと流れ込むようになっている。すなわち、溝部23はインクの流路として作用するようになっている。
【0043】
なお、図9においては、ワイピング部材21の裏面にラビング部材41が接合された場合を示しているが、これらを接合させずにある程度の距離をもって別々に配置してもよい。
【0044】
以上、本発明を種々の実施形態に関して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、開口部を有するワイピング部材において、該開口部を介して裏面側に飛び散るインクの飛散を防する飛散防止手段を設けたので、飛散したインクの清掃後のノズル形成面への付着や周辺への飛び散りを防ぐことができ、ノズル形成面に付着した液体を飛散させることなく取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の外観斜視図である。
【図2】同インクジェット式記録装置の要部平面図である。
【図3】図2における要部側面図である。
【図4】ワイピング装置の要部斜視図である。
【図5】図4に示すワイピング部材の説明に供する図面である。
【図6】ワイピング部材の他の実施形態を示す図面である。
【図7】ワイピング装置の他の実施形態を示す要部側断面図である。
【図8】ワイピング部材の他の実施形態を示す図面である。
【図9】ラビング部材を使用した一例を示す要部側断面図である。
【図10】ワイピング装置によるワイピング動作の説明に供する側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録装置
2 キャリッジ
3 キャリッジガイド軸
4 インクカートリッジ
5 駆動モータ
6 タイミングベルト
9 記録ヘッド
10 キャッピング装置
11 キャップ部材
12 吸引装置
18 プラテン
19 ノズル形成面
20 ワイピング装置
21 ワイピング部材
22 開口部
23 溝部
27 払拭部
28 支持部
29 ホルダ
31 飛散防止部材
40 インク
41 ラビング部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色剤噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、極少量の試料を噴射する精密ピペットとしての試料噴射ヘッド、被記録材にインク滴を吐出する記録ヘッド等の液体噴射ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング装置、液体噴射装置、インクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置の1つとして、インクジェット式記録装置がある。このインクジェット式記録装置は、主走査方向(被記録材の幅方向)に往復移動するキャリッジに搭載され、被記録材に向けてインク滴を噴射する記録ヘッドと、被記録材を副走査方向(主走査方向と直交する方向)に精密送りする搬送ローラなどの紙送り手段を備え、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつインク滴を噴射することによって記録(印刷)を行うように構成されている。
【0003】
記録ヘッドは、圧力発生室で所定圧に加圧したインクをノズル形成面にあるノズル開口からインク滴として被記録材に向けて吐出する。このため、インクの粘度上昇や固化、また塵埃の付着によるノズルの目詰まり、さらにはインク流路内への気泡混入等によりインク吐出特性が変動してしまい、記録精度に問題をきたすことがある。
【0004】
このために、インクジェット式記録装置においては、インクの吐出特性を一定に維持するための特性維持手段として、キャッピング手段、負圧発生手段およびワイピング手段を備えたものがある。
【0005】
キャッピング手段は、インクジェット式記録装置の非使用時にキャッピング装置でノズル形成面を封止することによって外部から隔離し、ノズル開口のインク乾燥や塵埃の付着を防いでいる。
【0006】
また、ノズルの目詰まりや、インク流路内に気泡の混入等が生じた場合に、これらを除去する負圧発生手段を備えている。この負圧発生手段は、前記キャッピング装置でノズル形成面を封止した状態で、ノズルに負圧を作用させることで該ノズル開口からインクを強制的に吸引排出させて目詰まりや気泡混入を解消する。この負圧発生手段は、通常、インクジェット式記録装置を長期間不使用であった後に使用を再開する場合や、ユーザーが記録精度の低下を認識した場合等に所定の操作により実行できるようになっている。
【0007】
上記のように目詰まりや気泡混入を解消させるためのインクの強制的な吸引排出処理を行うと、ノズル開口から排出されたインクが飛び散って記録ヘッドのノズル形成面に付着することがあるとともに、ノズル形成面に付着したインクに塵埃などの異物が吸着されやすい。このような場合にノズル形成面を払拭するワイピング手段を備えている。このワイピング手段はゴム等の弾性素材からなるワイピング部材を有し、該ワイピング部材の基端部側をホルダによって固定されて構成されている。そして、ワイピング部材の先端側(自由端部側)をノズル形成面に押し当てつつ、相対移動させて該ノズル形成面に付着したインク等を取り除いて清掃するようになっている。
【0008】
このワイピング部材によるノズル形成面の清掃動作は、「ワイピング動作」と言われている。図10は、ワイピング装置100におけるワイピング動作を示す図面である。ワイピング部材101は、通常、エラストマーなどの弾性素材により形成されており、記録ヘッド9のノズル形成面19に対して相対的に移動可能なホルダ29に支持固定されているとともに、ワイピング部材101は平行移動して記録ヘッド9の移動経路上に進退可能に構成されている。そして、記録ヘッド9の移動経路上に進出した場合にノズル形成面19を払拭する。
【0009】
ワイピング部材101は、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接するために充分な干渉量(すなわち、記録ヘッド9の移動経路上における、ワイピング部材101と記録ヘッド9との重複部分)をもって配置されており、払拭時には記録ヘッド9の移動経路上にワイピング部材101が進出して静止した状態で記録ヘッド9が移動してくることにより、弾性素材で形成されたワイピング部材101が該記録ヘッド9の端面に当接しつつ変形される。さらに記録ヘッド9が矢印方向に移動することによって、ワイピング部材101の先端部がノズル形成面19に当接して、該ノズル形成面19を払拭し付着したインク等を拭い取る。このワイピング動作によって、ノズル形成面19に付着していたインク等が取り除かれて、記録動作中に被記録材に飛散することを防止することが可能である。
【0010】
ワイピング部材の形状は様々なものが知られているが、例えば、特開2001−347678号公報においては、ノズル形成面より掻き取ったインクを裏面に逃がす開口部を有する形態のものが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
払拭時においては記録ヘッドの移動に伴いノズル形成面からインク等が拭い取られるが、特開2001−347678号公報に開示されているように掻き取ったインクを裏面に逃がす開口部を有する構成のワイピング部材においては、払拭時に前記開口部を介してワイピング部材の裏面側に流れたインクについては記載されていない。すなわち、求められる改良点としては、開口部を介してワイピング部材の裏面側に流れたインクの取扱についてである。
【0012】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであって、その課題はワイピング部材の開口部を介しての液滴の飛散を防止可能なワイピング装置を提供することにあり、特にインクジェット式記録装置においての使用が良好なワイピング装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のワイピング装置の発明は、裏面まで貫通した開口部を有し、この開口部を介して、対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドのノズル形成面より掻き取った液体を裏面に流し、ノズル形成面を払拭するワイピング部材を備えたワイピング装置であって、前記開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止手段を備えているので、ノズル形成面に付着した液体を飛散させることなく取り除くことができる。すなわち、従来、ワイピング部材に形成された開口部を介してノズル形成面から掻き取った液体が該ワイピング部材の裏面側に飛び散り、清掃後のノズル形成面や周辺部材を汚損する虞があったが、本発明においては飛散防止手段を備えているので液体が飛散することがなく、ワイピング動作によるノズル形成面の清掃が確実に行われる。
【0015】
また、請求項2に記載のワイピング装置の発明は、請求項1において、前記飛散防止手段は、前記ワイピング部材の裏面側に配置され、少なくとも前記開口部を覆うように構成された、板状体からなる飛散防止部材であることを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、飛散防止手段は、前記ワイピング部材の裏面側に配置され、少なくとも前記開口部を覆うように構成された、板状体からなる飛散防止部材であるので、簡単な構成で、開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止することが可能である。
【0017】
また、請求項3に記載のワイピング装置の発明は、請求項2において、前記飛散防止部材は、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材と接触することにより前記開口部を覆うように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、飛散防止部材は、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材と接触することにより開口部を覆うように構成されているので、開口部から飛散した液体の飛散経路を遮断することで確実に捕捉することができ、もって飛散した液体を取りのこすことがない。
【0019】
また、請求項4に記載のワイピング装置の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記ワイピング部材は、払拭時にノズル形成面に押しつけられる自由端部側である湾曲形状の払拭部と、基端部側である直線形状の支持部とから構成され、前記開口部が前記払拭部と前記支持部との境界付近の当該支持部側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、ワイピング部材は、払拭時にノズル形成面に押しつけられる自由端部側である湾曲形状の払拭部と、基端部側である直線形状の支持部とから構成され、前記開口部が前記払拭部と前記支持部との境界付近の当該支持部側の位置に設けられているので、払拭時に湾曲形状の払拭部に掻き取った液体が溜まりやすく、ある程度溜まってから開口部を介して該ワイピング部材の裏面に流れることがある。従って、開口部からの液体の飛散量が相対的に多くなることがあるが、このようなワイピング部材においても液体の飛散を確実に防ぐことができる。
【0021】
また、請求項5に記載のワイピング装置の発明は、請求項3において、前記飛散防止部材は弾性素材から形成されていることを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、飛散防止部材は弾性素材から形成されているので、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材の一部と密着して、飛散した液体の逃げ道を確実に塞ぐことができる。すなわち、ワイピング部材の開口部から裏面側に飛び散った液体の飛散経路を覆うことができ、もって飛散した液体を確実に捕捉することが可能である。
【0023】
また、請求項6に記載の液体噴射装置の発明は、対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドと、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワイピング装置を有することを特徴とする。
【0024】
この特徴によれば、液体噴射ヘッドとして、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色剤噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、極少量の試料を噴射する精密ピペットとしての試料噴射ヘッド、被記録材にインク滴を吐出する記録ヘッド等を有する液体噴射装置において、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の作用効果が得られる。
【0025】
また、請求項7に記載の液体噴射装置の発明は、請求項6において、前記液体噴射装置は、インクジェット式記録装置であることを特徴とする。この特徴によれば、インクジェット式記録装置において、請求項6に記載の作用効果が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置1の外観斜視図である。なおここでは、インクジェット式記録装置1の内部構成を現すために上カバーを外した状態を示している。図2は、同インクジェット式記録装置の要部平面図であって、キャッピング装置10の周囲を示しており、図3は図2における要部側面図である。
【0027】
キャリッジ2は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸3に支持されているとともに、駆動モータ5に接続された無端ベルトから構成されるタイミングベルト6の一部が取り付けられている。そして、タイミングベルト6の駆動によってキャリッジガイド軸3に沿って主走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ2の下面、すなわち被記録材Pと対向する面には記録ヘッド9が搭載され、該キャリッジ2に装着されたインクカートリッジ4からインクの供給を受けて、被記録材Pに向けてインク滴を吐出できるようになっている。なお、キャリッジ2には、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローなど複数色のインクカートリッジ4を着脱自在に装着できるように構成されており、カラー印刷を実行可能となっている。符号18は印刷領域において記録ヘッド9の対向する位置に主走査方向に長く配設されたプラテンを示し、被記録材Pを下から支えることによって記録ヘッド9と被記録材Pとの距離を規定している。
【0028】
非印刷領域であるキャリッジ2のホームポジション位置(図1において装置右隅)には、記録ヘッド9のノズル形成面19を封止するキャッピング装置10が配置されている。キャッピング装置10は、記録ヘッド9のノズル形成面19を封止するキャップ部材11と、負圧発生手段としての吸引装置12を有している。そして、キャリッジ2に搭載された記録ヘッド9がキャッピング装置10の直上に位置したときに、記録ヘッド9に向けて上方に移動することでノズル形成面19を封止できるように構成されている。すなわち、本実施形態においては、キャッピング装置10のキャップ部材11は、記録ヘッド9のノズル形成面19に当接し、または離間できるような高さ位置変位機構を備えている。
【0029】
また、図3に示すように、ノズル形成面19を封止した状態で必要に応じて吸引装置12によりノズルに負圧を作用させて、ノズルの目詰まりや、インク流路内の気泡混入を解消できるようになっている。すなわち、キャップ部材11が記録ヘッド9のノズル形成面19を封止した状態で、吸引口13を介して吸引装置12によって負圧を作用させてインクを強制的に吸引排出させることで記録ヘッド9のクリーニングが行われる。
【0030】
このようにキャッピング装置10により記録ヘッド9のノズル形成面19を封止することによって、インクジェット式記録装置1の非使用時にノズルの乾燥や塵埃の付着を防ぐことができるとともに、前記したように吸引装置12による負圧をノズルに作用させることでインクの吸引排出処理を行うことができるようになっている。
【0031】
キャッピング装置10の近傍の印刷領域側には、キャリッジ2の移動に伴って記録ヘッド9のノズル形成面19を払拭するワイピング装置20が配置されている。
【0032】
ワイピング装置20は、キャリッジ2が往復移動する主走査方向と直交する方向(図3において紙面表裏方向)に水平状態を保持したまま(すなわち、高さ位置を変化させずに)移動可能な機構を備え、これにより記録ヘッド9の移動経路内の所定位置に進出し、または退避できるように構成されている。ここで、ワイピング装置20の進退動作は、既知の機構により行われ、その動力源には被記録材の搬送用の紙送りモータ(図示せず)の駆動力が利用されている。
【0033】
ここで図4は、ワイピング装置20の要部を正面側、すなわち記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接する側からみた斜視図である。ワイピング装置20は、開口部22を有し、記録ヘッド9のノズル形成面19を払拭するワイピング部材21と、ワイピング部材21の開口部22を介して裏面側に飛び散るインクの飛散を防止する手段としての飛散防止部材31を備え、前記ワイピング部材21と前記飛散防止部材31とがホルダ29に固着された構成となっている。図5は、図4における、ワイピング装置20のワイピング部材21を示す図面であって、(a)は要部正面図であり、(b)は(a)における5B−5B線の要部断面図である。
【0034】
ワイピング部材21は、エラストマーなどの弾性素材から形成され、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接する際に変形できるようになっている。また、開口部22が形成され、ノズル形成面19から掻き取ったインクを裏面(すなわち、飛散防止部材31側)に流すことができるようなっている。また、該ワイピング部材21の裏面であって、開口部22の下部には、縦方向に延びる複数の溝部23が形成されており、開口部22を介して裏面に流れたインクを重力方向(すなわちホルダ29方向)に誘導することができるようになっている。なお、開口部22の形状は特に限定されないが、例えば裏面側に向けて開口面積が狭くなるように構成することも可能である。このような構成であると、掻き取ったインクをより一層速やかに裏面へと誘導することができる場合がある。また、溝部23は図6に示す如く、開口部22に接するように、すなわち開口部22と連通するように構成することもできる。
【0035】
飛散防止部材31は、ワイピング部材21の裏面側に配置されているとともに、エラストマーなどの弾性素材から形成され、ノズル形成面19に摺接して変形状態となったワイピング部材21と接触して、開口部22を覆うように構成されている。本実施形態において飛散防止部材31は、ワイピング部材21と略等しい形状に形成されているがこれに限られるわけではなく、ワイピング部材21の開口部22から飛び散ったインクを捕捉して、飛散を防止可能な形態であればよい。
【0036】
なお、ワイピング部材21と飛散防止部材31の表面を撥水処理することもできる。表面に撥水処理を施すことにより、記録ヘッド9のノズル形成面19から拭い取ったインク等を表面に滞留させることなく速やかに移送することが可能である。
【0037】
次に、図7はワイピング装置20の他の実施形態における要部側断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)はワイピング部材21が記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接した状態を示している。本実施形態におけるワイピング部材21は、自由端部側である湾曲形状の払拭部27と、基端部側である直線形状の支持部28とから構成されており、払拭部27と支持部28との境界付近の支持部28側には開口部22が設けられている。このような構成のワイピング部材21であると、図7(b)のように記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接して変形状態となった場合に、該ノズル形成面19に向けての押圧力が大きくなり、ノズル形成面19に付着しているインク40を確実に払拭して取り除くことができるとともに、ノズル形成面19に段差があった場合であってもその段差に沿って払拭する柔軟性を有することが可能である。また、湾曲形状の払拭部27を有した構成であると、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接して変形状態となった場合に払拭部27にインク40が滞留しやすくなるが、開口部22が払拭部27と支持部28との境界付近の支持部28側に形成されているため、効率的に溜まったインク40を裏面に向けて流すことが可能である。すなわち、記録ヘッド9のノズル形成面19より掻き取ったインクを裏面に流す開口部22の作用効果は、本実施形態のように湾曲形状の払拭部27を有したワイピング部材21において特に有効である。
【0038】
そして、図7(b)に示す如く、ワイピング部材21は記録ヘッド9のノズル形成面19に変形して当接して、該ノズル形成面19を払拭しインク40を拭い取る。そして、拭い取られたインク40は、開口部22を介してワイピング部材21の裏面に流れる。このとき、飛散防止部材31は、ノズル形成面19に摺接して変形状態となったワイピング部材21の上部と接触して開口部22の裏面側を覆い、インク40の飛散経路を塞いでいる。開口部22を介して飛び散ったインク40は飛散防止部材31によって捕捉されて、ワイピング部材21と飛散防止部材31との間の空間部に沿って基端部側に向けて移送される。すなわち、掻き取ったインクがワイピング部材21の開口部22を介して飛び散ったとしても、飛散防止部材31によって確実に捕捉され、清掃後のノズル形成面19に付着したり、周辺に飛散したりすることがない。
【0039】
次に図8は、ワイピング装置20におけるワイピング部材21の他の実施形態を示すものであり、(a)は要部正面図、(b)は(a)における7B−7B線の要部断面図である。本実施形態におけるワイピング部材21は、図8(a)に示す如く、幅方向に複数の開口部22を有しているとともに、図8(b)に示す如く、各開口部22に向けて前面から裏面に向けて下向き(すなわち、重力方向)の傾斜面26が形成されている。このような構成のワイピング部材21においては、記録ヘッド9のノズル形成面19より掻き取ったインクを、傾斜面26に沿って開口部22に誘導することにより、速やかに裏面に向けて流すことができる。すなわち、記録ヘッド9のノズル形成面19に摺接してワイピング部材21が変形状態となった場合に、傾斜面26がノズル形成面19に近づき、変形部分にインクを滞留させることなく速やかに開口部22に向けて導くことができ、もって該開口部22を介して裏面に流し去ることが可能である。つまり、ノズル形成面19から掻き取ったインクが集まって淀むことがなく、拭い取ったものから順次ワイピング部材21の裏面に逃がすことができる。なお、傾斜面26にはインクの流れを誘導するガイド溝を設けることもできる。
【0040】
また、幅方向に複数の開口部22を設けたことにより、ノズル形成面19から掻き取ったインクは傾斜面26に沿って開口部22に向けて集合しつつ流れるので、インクをワイピング部材21の裏面へ移送する作用が促進されて速やかに取り除くことができる。さらに、裏面側に飛び散るインクの飛散開始位置が当該開口部22のみに限られるので、より容易にインク等の飛散を防止することができる。
【0041】
なお、ワイピング部材21の裏面であって、各開口部22の下部に溝部を形成することにより、記録ヘッド9のノズル形成面19から掻き取ったインクを該溝部に沿って基端側に向けて誘導することも可能である。
【0042】
次に図9は、主に記録ヘッド9のノズル形成面19に付着した固体物を除去するためのラビング部材41を飛散防止手段として適用した実施例を示す要部側断面図である。なおここでは、ワイピング部材21の裏面にラビング部材41が接合された場合を示している。このような構成においては、開口部22に連通して溝部23が形成されており、記録ヘッド9のノズル形成面19から掻き取ったインクは開口部22を介して溝部23へと流れ込むようになっている。すなわち、溝部23はインクの流路として作用するようになっている。
【0043】
なお、図9においては、ワイピング部材21の裏面にラビング部材41が接合された場合を示しているが、これらを接合させずにある程度の距離をもって別々に配置してもよい。
【0044】
以上、本発明を種々の実施形態に関して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、開口部を有するワイピング部材において、該開口部を介して裏面側に飛び散るインクの飛散を防する飛散防止手段を設けたので、飛散したインクの清掃後のノズル形成面への付着や周辺への飛び散りを防ぐことができ、ノズル形成面に付着した液体を飛散させることなく取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の外観斜視図である。
【図2】同インクジェット式記録装置の要部平面図である。
【図3】図2における要部側面図である。
【図4】ワイピング装置の要部斜視図である。
【図5】図4に示すワイピング部材の説明に供する図面である。
【図6】ワイピング部材の他の実施形態を示す図面である。
【図7】ワイピング装置の他の実施形態を示す要部側断面図である。
【図8】ワイピング部材の他の実施形態を示す図面である。
【図9】ラビング部材を使用した一例を示す要部側断面図である。
【図10】ワイピング装置によるワイピング動作の説明に供する側面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録装置
2 キャリッジ
3 キャリッジガイド軸
4 インクカートリッジ
5 駆動モータ
6 タイミングベルト
9 記録ヘッド
10 キャッピング装置
11 キャップ部材
12 吸引装置
18 プラテン
19 ノズル形成面
20 ワイピング装置
21 ワイピング部材
22 開口部
23 溝部
27 払拭部
28 支持部
29 ホルダ
31 飛散防止部材
40 インク
41 ラビング部材
Claims (7)
- 裏面まで貫通した開口部を有し、この開口部を介して、対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドのノズル形成面より掻き取った液体を裏面に流し、ノズル形成面を払拭するワイピング部材を備えたワイピング装置であって、
前記開口部を介して裏面側に飛び散る液体の飛散を防止する飛散防止手段を備えていることを特徴とする、ワイピング装置。 - 請求項1において、前記飛散防止手段は、前記ワイピング部材の裏面側に配置され、少なくとも前記開口部を覆うように構成された、板状体からなる飛散防止部材であることを特徴とする、ワイピング装置。
- 請求項2において、前記飛散防止部材は、ノズル形成面に摺接して変形状態となったワイピング部材と接触することにより前記開口部を覆うように構成されていることを特徴とする、ワイピング装置。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記ワイピング部材は、払拭時にノズル形成面に押しつけられる自由端部側である湾曲形状の払拭部と、基端部側である直線形状の支持部とから構成され、前記開口部が前記払拭部と前記支持部との境界付近の当該支持部側の位置に設けられていることを特徴とする、ワイピング装置。
- 請求項3において、前記飛散防止部材は弾性素材から形成されていることを特徴とする、ワイピング装置。
- 対象物に向けてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドと、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワイピング装置を有することを特徴とする、液体噴射装置。
- 請求項6において、前記液体噴射装置は、インクジェット式記録装置であることを特徴とする、液体噴射装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009269327A (ja) * | 2008-05-09 | 2009-11-19 | Brother Ind Ltd | インクジェット記録装置 |
KR101866811B1 (ko) * | 2016-12-14 | 2018-06-19 | 주식회사 다스코포레이션 | 스크린 프린터용 스퀴즈 및 그 제조 방법 |
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-
2002
- 2002-08-22 JP JP2002241625A patent/JP2004074733A/ja active Pending
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