JP2004074526A - 版胴用スリーブ - Google Patents
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Abstract
【課題】刷版を取り扱い容易な形態で版胴に装備するための構造を提供する。
【解決手段】版胴を回転軸3と回転軸3に嵌挿されることで版胴として機能する版胴用スリーブ10とで構成し、版胴用スリーブ10の外周面に刷版を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】版胴を回転軸3と回転軸3に嵌挿されることで版胴として機能する版胴用スリーブ10とで構成し、版胴用スリーブ10の外周面に刷版を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機の版胴、特に再生式刷版を備えた版胴の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機には版胴とブランケット胴が設けられている。版胴には、印刷される絵柄(画線)を焼き付けた刷版が取り付けられており、インク供給装置によりインクが版胴に供給されると、刷版上の絵柄がブランケット胴に一旦転写され、その後、ブランケット胴に転写された絵柄が走行する紙の紙面に印刷される。
【0003】
通常、刷版は印刷する絵柄毎に用意され、印刷する絵柄を変えるたびに刷版は新たなものに交換されていたが、近年では、絵柄が書き換え可能で何度でも繰り返し使用可能な再生式刷版が開発されている。現在、提案されている再生式刷版の形態としては、通常の平板状の刷版を再生式にしたものや、版胴の外周面自体を刷版として用いそれを再生式にしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
平板状の再生式刷版の場合、絵柄の書き換え処理は印刷機外、或いは印刷機上に設けられた書き換え装置で行われる。このため、書き換えの度に版胴から刷版を取り外したり版胴に刷版を装着したりする必要があるが、刷版は極めて薄いために版胴との脱着時に刷版の母材そのものが塑性変形したり破損したりする虞がある。また、版胴との脱着作業に要する負担は従来の刷版と変わらない。
【0005】
版胴の外周面が再生式刷版の場合は、絵柄の書き換えはそのまま版胴上で行われるため、刷版の変形や破損の虞はない。しかしながら、版胴の周囲には空スペースは少なく、絵柄の書き換えに必要な装置を既存の装置と干渉することなく配置するのは難しい。さらに、使用により刷版の版面が劣化してきたときには版胴自体を交換することになるが、交換作業は容易ではなく、また、コストが高くついてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたものであり、刷版を取り扱い容易な形態で版胴に装備するための構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、外周面に刷版を備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで上記印刷機の版胴として機能することを特徴とする版胴用スリーブを提供する。この版胴用スリーブによれば、剛性が確保されるので取り扱い時に刷版の版面に変形や破損が生じることなく、また、印刷機からの取り外しや印刷機への取り付けも容易である。
【0008】
上記の版胴用スリーブにおいて、その外周面自体を刷版として構成してもよい。また、刷版を版胴用スリーブの外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレス刷版としたり、版胴用スリーブの外周面に巻きつけられた平板状の刷版としたりすることも可能である。この場合、刷版を版胴用スリーブの外周面から取り外し可能に構成してもよい。
【0009】
なお、上記の版胴用スリーブは、刷版が絵柄の書き換え可能な再生式刷版である場合に特に高い効果を得ることができる。再生式刷版であれば、機外での絵柄の書き換えにともない、繰り返し印刷機から取り外されたり印刷機へ取り付けられたりするので、上記版胴用スリーブの効果がより強く発揮されることになる。特に、刷版が版胴用スリーブの外周面から取り外し可能な場合、刷版を版胴用スリーブに装着したまま絵柄の書き換え作業を行うことで、刷版の変形を防止して刷版の再生能力の限界まで繰り返し使用することが可能になるとともに、刷版の再生能力が限界に達したときには、版胴用スリーブ自体はそのまま使用して刷版のみを交換すればよいのでコストも低減できる。また、刷版が版胴用スリーブの外周面から取り外し可能な場合には、絵柄の書き換え可能な再生式刷版と再生式でない通常版の何れも取り付け可能な構造とするのが好ましい。
【0010】
そして、本発明の印刷機は、上記のような特徴を有する版胴用スリーブと、版胴用スリーブが嵌挿されて版胴用スリーブと一体回転する回転軸とを備えたことを特徴としている。この印刷機によれば、刷版の印刷機への装着や印刷機からの取り外しは版胴用スリーブを回転軸の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、刷版は剛性のある版胴用スリーブの外周面に備えられているので、変形や破損が生じることもない。特に、刷版が再生式刷版の場合には、再生式刷版の絵柄の書き換えは版胴用スリーブを回転軸から取り外すことでスペースの制約のない印刷機外で行うことができる。
【0011】
このような構成の印刷機の運用方法として、版胴用スリーブを外径を異ならせて複数個用意しておき、複数の版胴用スリーブの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択して回転軸に取り付けるようにしてもよい。これによれば様々な印刷サイズやカットオフに対応することが可能になる。なお、版胴用スリーブの内径は外径の大小にかかわらず一定であることが好ましい。
【0012】
上記の印刷機が、回転軸に嵌挿された版胴用スリーブに接触するブランケット胴を備えたオフセット印刷機である場合には、より好ましくは、ブランケット胴を外周面にブランケットを備えたブランケット胴用スリーブと、ブランケット胴用スリーブが嵌挿されてブランケット胴用スリーブと一体回転する回転軸とから構成する。これによれば、ブランケット胴用スリーブも外径を異ならせて複数個用意しておくことで、印刷サイズやカットオフに応じて選択された版胴用スリーブの外径に応じた外径のブランケット胴用スリーブを複数のブランケット胴用スリーブの中から選択して回転軸に取り付けることも可能になる。なお、この場合、版胴の回転軸とブランケット胴の回転軸との軸間距離は可変にしておく。
上記ブランケット胴は、その外周面に備えられるブランケットが、外周面に巻きつけられた平板状のブランケットであるものでもよく、外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットであるものでもよい。後者の場合、ギャップレスブランケットの軸方向に溝が形成されているものでもよい。
【0013】
版胴用スリーブの回転軸への固定は例えば次のような構造によって行うことができる。回転軸の形状を版胴用スリーブが嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりも小さいテーパ状に形成し、版胴用スリーブを回転軸の軸方向に押し込むことで楔効果により版胴用スリーブを回転軸に固定する。回転軸或いは版胴用スリーブの一方に軸方向に延びる凸部を設けるとともに、回転軸或いは版胴用スリーブの他方に軸方向に延びる凹部を設け、凸部が凹部に嵌合させることにより版胴用スリーブの回転軸に対する相対回転を拘束するようにしてもよい。この構成は、版胴用スリーブの回転軸に対する回転位相を決める位相決め手段としても機能する。位相決め手段としては、その他、回転軸の後端に版胴用スリーブの軸方向の位置決めをする鍔を設け、この鍔と版胴用スリーブの端部側面とに正しい位相で嵌合する凹凸を設けるようにしてもよい。また、回転軸の内部から外周面に負圧を作用させる負圧手段を設け、版胴用スリーブを負圧の吸引力によって回転軸の外周面に吸着して固定してもよい。ブランケット胴がブランケット胴用スリーブと回転軸とに分かれている場合のブランケット胴用スリーブの回転軸への固定も同様の構造によって行うことができる。
【0014】
刷版が再生式刷版の場合には、版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換える再生式機側製版装置を設ける。この再生式機側製版装置には、版胴用スリーブが嵌挿されて版胴用スリーブを内側から支持する支持軸を備える。これによれば、版胴用スリーブの印刷機への脱着も再生式機側製版装置への脱着も、ともに版胴用スリーブを回転軸或いは支持軸の軸方向に沿って移動することで完了するので、絵柄の書き換えを速やかに行うことができ、また、版胴用スリーブの取り扱いが容易になって、作業効率が大幅に向上する。より好ましくは、再生式機側製版装置の支持軸と印刷機の回転軸とが同一軸線上に並ぶようにする。これによれば、版胴用スリーブを回転軸及び支持軸の軸方向に移動させるのみで版胴用スリーブの印刷機への脱着と再生式機側製版装置への着脱とを一つの動作で完了することが可能になる。もちろん、再生式機側製版装置は、必ずしも印刷ユニット毎、すなわち、版胴用スリーブが取り付けられる回転軸毎に設ける必要はなく、印刷ユニットが複数台設けられている場合には、1台の再生式機側製版装置を2台以上の印刷ユニットで共用するようにしても良い。
【0015】
このように再生式機側製版装置を備えた印刷機における版交換は、まず、回転軸から版胴用スリーブを取り外して再生式機側製版装置の支持軸に装着し、続いて、再生式機側製版装置を作動させて版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換えるとともに、新たな絵柄が書き込まれた版胴用スリーブを回転軸に装着することで完了する。なお、版胴用スリーブが複数個ある場合には、新たな絵柄が書き込まれた版胴用スリーブを別に用意しておくことで、再生式機側製版装置による絵柄の書き換えを待たなくてよい。
【0016】
また、版胴用スリーブが刷版を外周面から取り外し可能に構成されている場合には、まず、刷版の再生が可能か否か判定する。そして、刷版が再生可能と判定される場合には回転軸から版胴用スリーブを取り外し、上記手順により再生式機側製版装置で絵柄の書き換えを行う。一方、刷版が再生能力の限界を超えていると判定される場合には、刷版を版胴用スリーブの外周面から取り外して新しい刷版に交換する。再生が可能か否かは、例えば現在までのその刷版による印刷枚数と刷版の耐刷枚数限界値との比較により判定することができる。なお、刷版の交換は版胴用スリーブを回転軸に取り付けた状態で行ってもよく、版胴用スリーブを回転軸から抜き取って機外で行ってもよい。再生式機側製版装置に装着した状態で行ってもよい。
【0017】
また、本発明は、外周面にブランケットを備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで印刷機のブランケット胴として機能することを特徴とするブランケット胴用スリーブも提供する。このブランケット胴用スリーブによれば、印刷機からの取り外しや印刷機への取り付けも容易である。この場合、ブランケットをブランケット胴用スリーブの外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットとしたり、ブランケット胴用スリーブの外周面に巻きつけられた平板状のブランケットとしたりすることも可能である。特に前者の場合には、ギャップレスブランケットの軸方向に溝を形成するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる印刷機(オフセット印刷機)の構成を示す模式図である。通常、印刷機には印刷色数に合せて複数の印刷ユニットが紙の走行方向に並べて配置されるが、ここでは、説明を簡単にするために一つの印刷ユニット1のみ示している。印刷ユニット1には、ブランケット胴2と回転軸3が備えられている。なお、印刷ユニット1内には、その他複数のインキローラやインキ供給装置等が装備されているが、それらは本発明の要旨とは無関係であるので、図示は省略している。
【0019】
回転軸3はブランケット胴2に平行に配置され、ブランケット胴2と同期して回転するように構成されている。回転軸3には版胴用スリーブ10が嵌挿されるようになっており、回転軸3と版胴用スリーブ10とが一体となって版胴を構成する。版胴用スリーブ10は十分な厚みのある剛性の高い円筒状の部材である。回転軸3の形状は、版胴用スリーブ10が嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりもやや小さいテーパ状に形成されており、版胴用スリーブ10を回転軸3の軸方向に押し込むことで、版胴用スリーブ10の弾性変形とテーパ形状による楔効果により版胴用スリーブ10が回転軸3に固定されるようになっている。
【0020】
本実施形態の版胴用スリーブ10は、その外周面が刷版であり、さらに絵柄を書き換え可能な再生式刷版となっている。再生式刷版の形態としては様々な公知形態があり、版胴用スリーブ10に適用する上での限定はないが、ここでは、図2の断面図に示すように、版胴用スリーブ10上には、酸化チタンのコート層11が形成されている。このコート層11は、版胴用スリーブ10上に酸化チタンを蒸着させることにより形成することができる。酸化チタンのコート層11は、光触媒として酸化チタン光触媒を含んでおり、例えば紫外線をコート層11に照射すると酸化チタン光触媒の作用によりコート層11が高い親水性を示すようになる。コート層11の紫外線が照射されていない部分は疎水性を示すので、結果、版胴用スリーブ10の外周面には、親水性でインクの付着しない非画線部と疎水性でインクの付着する画線部とが形成され、刷版として機能することになる。
【0021】
このように版胴用スリーブ10の外周面を再生式刷版の版面とすることで、絵柄の書き換えは版胴用スリーブ10を回転軸3から取り外すことでスペースの制約のない印刷ユニット1外で行うことができる。また、再生式刷版の印刷ユニットへの装着や印刷ユニットからの取り外しは版胴用スリーブ10を回転軸3の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、剛性のある版胴用スリーブ10の外周面に再生式刷版が一体化されていることから、取り扱い時に変形や破損が生じることもない。また、版面が劣化した場合でも版胴用スリーブ10の交換は、版胴自体を交換する場合に比較して低コストで済む。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、印刷ユニット1の側部(機側)には、再生式機側製版装置(以下、単に機側製版装置という)5が設置されている。機側製版装置5は、印刷の終了した刷版11の絵柄を一旦消去(再生)して新たに絵柄を書き込む装置であって、版胴用スリーブ10を支持するための支持軸6を備え、支持軸6の周りには、絵柄を消去して版を再生するための版再生装置7と絵柄を書き込む版書込装置8とが配置されている。版胴用スリーブ10はその開口を支持軸6に嵌挿され、その内周面を支持軸6の外周面により支持される。
【0023】
版再生装置7及び版書込装置8の機能は、再生式刷版の形態により決まるが、ここでは上記のように構成されていることから、版再生装置7は、版面全面に紫外線を照射して全面を親水性表面とした後、光,電気或いは熱等のエネルギ束を版面に照射したり、或いは摩擦等の機械的刺激を版面に加えたりすることで、コート層11の光触媒の特性を親水性から疎水性へ変換する。また、版書込装置8は、紫外線領域のレーザ光を照射する書込ヘッドを有しており、画像に関するデジタルデータに基づいて版面にレーザ光を照射して画線部を形成する。
【0024】
この機側製版装置5では、印刷ユニット5の運転中に新たな版胴用スリーブ10が容易されて次回の印刷で使用される絵柄の書き込みが行なわれる。そして、絵柄の書き込みが終了すると、この版胴用スリーブ10を次の版交換時にそなえて所定の位置に待機させるようになっている。版交換時には、印刷の終了した版胴用スリーブ10が回転軸3から取り外されて機側製版装置5に取り込まれると、これと略同時に、次回印刷用の版胴用スリーブ10が回転軸3に取り付けられるようになっており、これにより版交換の作業時間の短縮が図られるようになっている。
【0025】
また、版胴用スリーブ10の印刷ユニット1への脱着は、版胴用スリーブ10を回転軸3に対して軸方向から抜き差しすることにより行なわれる。同様に、版胴用スリーブ10の機側製版装置5への脱着は、版胴用スリーブ10を支持軸6に対して軸方向から抜き差しすることにより行なわれる。これは、回転軸3に対して軸方向に着脱自在な版胴用スリーブ10の大きな特徴の一つであり、これにより版交換の作業性が大幅に向上するのである。
【0026】
また、機側製版装置5の支持軸6が印刷ユニット1の回転軸3と同一軸線上に並ぶように機側製版装置5を配設してもよい。このように機側製版装置5を配設することにより、版胴用スリーブ10を回転軸3に対して軸方向に移動させることで、版胴用スリーブ10の回転軸3からの取り外しと機側製版装置5の支持軸6への装着とを一つの動作で完了させることができる。また、これと同様に、新しい版胴用スリーブ10の印刷ユニット1への取り付け時には、機側製版装置5の支持軸6に保持された版胴用スリーブ10を軸方向に移動させることにより、版胴用スリーブ10の支持軸6からの取り外しと印刷ユニット1の回転軸3への装着とを一つの動作で完了させることができる。
【0027】
また、図1では、一つの印刷ユニット1の側部に一つの再生式機側製版装置5が設置されている構成を示しているが、これは、印刷ユニット1が複数ある場合に、必ずしも全ての印刷ユニット1にそれぞれ再生式機側製版装置5を設置しなければならないことを意味するものではない。すなわち、複数の印刷ユニット1間で一つの機側製版装置5を共用することは勿論可能である。例えば、印刷ユニット1が4台ある場合には、1台の機側製版装置5を4台の印刷ユニット1で共用したり、2台の印刷ユニット1に対して1台の機側製版装置5を割り当てたりすることも可能である。
【0028】
この場合には、印刷ユニット1とは別に再生式機側製版装置5を温度及び湿度の管理された部屋に設置して、作業者が交換を要する版を印刷ユニット1から取り外した後、機側製版装置5に取り付けるようにしてもよい。さらには、再生式機側製版装置5を移動可能に設け、版胴用スリーブ10の交換を要する各印刷ユニット1へ順次、再生式機側製版装置5を移動させさせてもよい。
【0029】
これらの場合には、各印刷ユニット1で版胴用スリーブ10の交換が実行されて旧版胴用スリーブが取り外されると、これらの複数の旧版胴用スリーブは、新たな版胴用スリーブ10での印刷中に、再生式機側製版装置5で順次書き換えが実行される。また、これらの場合には、版胴用スリーブ10の交換及び再生を全ての印刷ユニット1で同時に行うことはできないが、その反面、設備コストの低減や省スペース化を図ることができる利点があるほか、保守の繁雑さも抑制できる利点がある。
【0030】
さらには、全印刷ユニット1のうち所定数の印刷ユニット1を組にし、該印刷ユニット1の組に対して1台ずつ再生式機側製版装置5を設けるように構成してもよい。つまり、ユーザのニーズ(版交換及び再生作業の時間短縮を優先するか、設備コスト低減や省スペース化を優先するかというニーズ)に応じて、印刷ユニット1に対する再生式機側製版装置5の設置数を適宜決めることができる。
【0031】
なお、上記の版胴用スリーブ10の使用方法として、図3に示すように、外径が異なる複数個の版胴用スリーブ10A,10B,10Cを予め用意しておき、これらの版胴用スリーブ10A,10B,10Cの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択し、図1に示す機側製版装置5に装着して絵柄を書き込むようにしてもよい。これによれば様々な印刷サイズやカットオフに対応することが可能になる。なお、各版胴用スリーブ10A,10B,10Cの内径は、回転軸3や機側製版装置5の支持軸6の径に合うように外径の大小にかかわらず一定にする。
【0032】
(B)第2実施形態
図4は本発明の第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20の構成を示す断面図である。この版胴用スリーブ20も第1実施形態にかかる版胴用スリーブ10と同様、図1に示す印刷ユニット1の回転軸3に装着して回転軸3とともに版胴を構成するようになっている。
【0033】
本実施形態にかかる版胴用スリーブ20は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体21と、スリーブ本体21の外周面に巻きつけられた平板状の刷版22とから構成されている。刷版22は、弾性変形可能な材質で形成され、弾性変形領域内で曲げられてスリーブ本体21に巻きつけられている。この刷版22は再生式刷版であり、刷版22の表面には第1実施形態と同様の酸化チタン光触媒を含むコート層が形成されている。
【0034】
刷版22をスリーブ本体21に固定するための構造には限定はなく、従来、平板状の刷版を版胴に巻きつけて固定するのに用いていた構造を適用することができる。ここでは、刷版22の両端部22a,22bが内側に折り曲げられており、両端部22a,22bをスリーブ本体21に設けられたスリット溝21aに挿入されて図示しない版締め装置により固定されている。刷版22をスリーブ本体21に巻きつけて固定するための構造としては、その他、特開平3−246036号公報や特開昭58−76739号公報に開示された構造を用いることもできる。また、刷版22の両端部を折り曲げることなく、両端部に磁性体を取り付けるとともにスリーブ本体21に磁石を設けて、磁力により刷版22をスリーブ本体21に固定してもよい。また、剥離可能な接着剤や両面テープ等で固定することも可能である。
【0035】
ところで、再生式刷版には耐刷枚数(書き換える絵柄そのものの最大印刷枚数、若しくは非絵柄部分である親水性部分の最大印刷枚数)があり、使用しているうちに版面が劣化していく。したがって、いつか版面を新しいものに交換する必要が生じるが、上記構成の版胴用スリーブ20によれば、版面が劣化したときには刷版22のみを交換すればよいので、交換に伴うコストを抑えることができる。
【0036】
具体的には、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20によれば、絵柄の書き換えにおいて次のような運用が可能になる。まず、刷版22の再生が可能か否か、現在までのその刷版22による印刷枚数と刷版22の耐刷枚数限界値との比較により判定する。そして、印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えていない場合には刷版22の再生は可能と判定し、回転軸3から版胴用スリーブ20を取り外して再生式機側製版装置5で絵柄の書き換えを行う。一方、印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えた場合には刷版22が再生能力の限界を超えていると判定し、刷版22をスリーブ本体21から取り外して新しい刷版22に交換する。なお、刷版22の交換は印刷ユニット1内で版胴用スリーブ20を回転軸3に取り付けた状態で行ってもよく、版胴用スリーブ20を回転軸3から抜き取って印刷ユニット1で行ってもよい。版胴用スリーブ20を再生式機側製版装置5に装着した状態で行うことも可能である。
【0037】
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20によれば、予め1回当たりの印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えていることが分かっている場合には、再生式の刷版22の代わりに初めから再生式でない通常の刷版をスリーブ本体21に取り付けて印刷するような運用も可能である。
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20も、第1実施形態(図3に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0038】
(C)第3実施形態
図5は本発明の第3実施形態にかかる版胴用スリーブ30の構成を示す断面図である。この版胴用スリーブ30も第1,第2実施形態にかかる版胴用スリーブ10,20と同様、図1に示す印刷ユニット1の回転軸3に装着して回転軸3とともに版胴を構成するようになっている。
【0039】
本実施形態にかかる版胴用スリーブ30は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体31と、スリーブ本体31の外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレス刷版32とから構成されている。このギャップレス刷版32は、弾性変形可能な材質、例えばニッケル材により形成された、両端が開口したシームレス(ギャップレス)の円筒部材である。このギャップレス刷版32の内径は、装着されるスリーブ本体31の外径よりも僅かに小さな径に形成されており、スリーブ本体31に装着された時にはスリーブ本体31との間の摩擦力によりギャップレス刷版32がスリーブ本体31に固定されるようになっている。また、ギャップレス刷版32は再生式刷版であり、ギャップレス刷版32の表面には第1実施形態と同様の酸化チタン光触媒を含むコート層が形成されている。
【0040】
このような構成の版胴用スリーブ30によれば、第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20と同様、版面が劣化したときにはギャップレス刷版32のみを交換すればよいので、効果に伴うコストを抑えることができる。また、刷版32の耐刷枚数限界に関して、第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20と同様の運用が可能である。さらに、刷版をギャップレス刷版32とすることで、版の継ぎ目をなくすことができるので、印刷物と印刷物との間に空白部分をなくすことができ、損紙の発生をなくすことができるという利点もある。
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ30も、第1実施形態(図3に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0041】
(D)第4実施形態
図6は本発明の第4実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。本実施形態は版胴とブランケット胴との組み合わせに特徴がある。版胴は第1〜第3実施形態と同じく回転軸3と版胴用スリーブ40とに分かれて構成されている。なお、版胴用スリーブ40の構造、すなわち刷版の外周面への装備形態は、第1〜第3実施形態の何れの形態を用いてもよく、ここでは限定しない。
【0042】
本実施形態にかかるブランケット胴は、回転軸101とブランケット胴用スリーブ110とに分かれており、回転軸101にブランケット胴用スリーブ110が嵌挿されることで、回転軸101とブランケット胴用スリーブ110とが一体となってブランケット胴を構成する。回転軸101は、版胴用スリーブ40が装着される回転軸3に平行に配置され、回転軸3と同期して回転するように構成されている。
【0043】
ブランケット胴用スリーブ110は十分な厚みのある剛性の高い円筒状の部材である。回転軸101の形状は、ブランケット胴用スリーブ110が嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりもやや小さいテーパ状に形成されており、ブランケット胴用スリーブ110を回転軸101の軸方向に押し込むことで、ブランケット胴用スリーブ110の弾性変形とテーパ形状による楔効果により版胴用スリーブ10が回転軸3に固定されるようになっている。
【0044】
本実施形態のブランケット胴用スリーブ110は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体111と、スリーブ本体111の外周面に巻きつけられたブランケット112とから構成されている。ブランケット112をスリーブ本体111に巻きつけて固定するための構造には限定はなく、従来、ブランケットをブランケット胴に巻きつけて固定するのに用いていた構造を適用することができる。ここでは、ブランケット112の両端部112a,112bがスリーブ本体111に設けられたスリット溝111aに挿入されて図示しない固定装置により固定されている。
【0045】
このような構成によれば、ブランケット112を洗浄したり交換したりする場合に、ブランケット胴用スリーブ110を回転軸101から取り外すことで、スペースの制約のない印刷ユニットの外部で洗浄等の作業を行うことができる。また、ブランケット112の印刷ユニットへの装着や印刷ユニットからの取り外しはブランケット胴用スリーブ110を回転軸101の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易である。
【0046】
また、図7に示すように、外径が異なる複数個の版胴用スリーブ40A,40B,40Cが予め用意されている場合には、これら版胴用スリーブ40A,40B,40Cの外形に合わせ、外径の異なる複数個のブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを用意しておく。そして、印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブ40A,40B,40Cが選択されると、選択された版胴用スリーブ40A,40B,40Cの外径に応じた外径を有するブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを選択し、印刷ユニットの回転軸101に取り付けるようにする。
【0047】
このように版胴用スリーブ40A,40B,40Cの径に合わせてブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを選択することで、版胴用スリーブ40A,40B,40Cからブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cへの絵柄の転写位置にずれが生じることがなく、絵柄のダブリを防止することができる。なお、各ブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cの内径は、回転軸101の径に合うように外径の大小にかかわらず一定にする。また、回転軸3,101間の距離は、装着する版胴用スリーブ40A,40B,40C及びブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cの外径に合わせて調整できるようにしておく。
【0048】
(E)第5実施形態
図8は本発明の第5実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。本実施形態も第4実施形態と同様に版胴が回転軸3と版胴用スリーブ40とに分かれて構成されるともに、ブランケット胴も回転軸101とブランケット胴用スリーブ120とに分かれて構成されている。
【0049】
本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体121と、スリーブ本体121の外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット122とから構成されている。このギャップレスブランケット122は、弾性変形可能な材質、例えばニッケル材により形成された、両端が開口したシームレス(ギャップレス)の円筒部材の表面に、転写面となるゴム膜を貼りあわせた構成になっている。このギャップレスブランケット122の内径は、装着されるスリーブ本体121の外径よりも僅かに小さな径に形成されており、スリーブ本体121に装着された時にはスリーブ本体121との間の摩擦力によりギャップレスブランケット122がスリーブ本体121に固定されるようになっている。
【0050】
このような構成のブランケット胴用スリーブ120によっても、第4実施形態と同様の利点を得ることができる。また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120も、第4実施形態(図7に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0051】
(F)第6実施形態
図9は本発明の第6実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す断面図である。本実施形態は第5実施形態の変形例であり、スリーブ本体121に装着されるギャップレスブランケット123の構造に特徴がある。
本実施形態にかかるギャップレスブランケット123は、その表面に軸方向に延びる溝123aが形成されている。これは次の理由による。
【0052】
輪転機の場合、紙(帯状の連続紙)が印刷ユニットのニップ部を通過する際、紙がインキや湿し水を吸収することにより、紙にはニップ部の通過前後で伸びが生じる。この紙の伸びにより、紙のテンションはニップ部の通過前後で変動するが、テンション変動は見当ズレ等を招き印刷品質に悪影響を与えてしまう。第5実施形態のように全くギャップのないギャップレスブランケット122では、版胴用スリーブ40にもギャップがない場合には、紙は常にブランケット胴用スリーブ120′と版胴用スリーブ40との間でニップされているため、ニップ部でテンションの抜けが生じることは少なく、紙伸びを吸収することは難しい。
【0053】
これに対して、本実施形態のようにギャップレスブランケット123の表面に軸方向に延びる溝123aを形成することで、溝123aが版胴用スリーブ40とのニップ部を通過する際にニップ圧が減少或いは無くなる。これにより、ニップ部においてテンションの抜けが生じ、インキや湿し水の吸収に伴う紙伸びが吸収され、テンション変動が抑制される。
【0054】
また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120によっても、上記利点に加えて、第4,第5実施形態と同様の利点を得ることができる。また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120′も、第4実施形態(図7に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0055】
(G)その他
以上、本発明の実施形態をいくつか説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、第2,第3実施形態にかかる版胴用スリーブ20,30では、刷版22,32をスリーブ本体21,31に対して着脱できるようにしているが、刷版22,32をスリーブ本体21,31に貼り付けて一体化してもよい。
【0056】
また、版胴用スリーブ10,20,30の回転軸3への固定方法は第1実施形態で説明したのものに限定されず、他の公知の方法を適用することができる。例えば、図10に示すように回転軸3の外周面の軸方向にキー(凸部)3aを設け、版胴用スリーブ10の内周面の軸方向にキー溝(凹部)10aを形成して、版胴用スリーブ10の回転軸3への装着時にキー3aをキー溝10aに嵌合させるようにしてもよい。これによれば、版胴用スリーブ10の回転軸3に対する相対回転が拘束され、版胴用スリーブ10は回転軸3とともに一体回転するようになる。
【0057】
或いは、図11に示すように回転軸3内に空間3bを設けるとともに空間3bと外周面を連通する孔3cを設け、回転軸3内の空間3bを真空吸引装置(負圧手段)9に接続してもよい。これによれば、真空吸引装置9を作動させることで回転軸3内の空間3bから孔3cを介して版胴用スリーブ10の内周面に負圧を作用させ、版胴用スリーブ10の内周面を回転軸3の外周面に吸着して固定することができる。
【0058】
さらに、版胴用スリーブ10の回転軸3に対する位相を決める手段としては、図10に示す構造の他、図12に示すように、回転軸3の後端に版胴用スリーブ10の軸方向の位置決めをする鍔3dを設け、この鍔3dと版胴用スリーブ10の端部側面とに正しい位相で嵌合する凹凸を設けるようにしてもよい。ここでは、鍔3dに突起3eを設けるとともに版胴用スリーブ10の端部側面に孔10eを設け、正しい位相で突起3eと孔10eとが嵌合するようにしている。
【0059】
また、第4〜第6実施形態では、版胴用スリーブ40と回転軸3とから構成される版胴に、ブランケット胴用スリーブ110,120,120′と回転軸101とから構成されるブランケット胴を組み合わせる例について説明したが、もちろん、一般的な構成のブランケット胴と組み合わせることも可能である。例えば、図13に示すようにブランケット胴本体130の外周面に平板状のブランケット131を巻きつけたものや、図14に示すようにブランケット胴本体130の外周面に継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット132を嵌め込んだものや、図15に示すようにブランケット胴本体130の外周面に軸方向の溝133aを有する継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット133を嵌め込んだもの等と組み合わせてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、本発明の版胴用スリーブを再生式刷版を備えた版胴に適用した場合について説明したが、もちろん、通常の刷版(再生式でない刷版)を備えた版胴にも適用できることは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、版胴用スリーブの外周面に刷版を備えることにより、刷版の印刷機への装着や印刷機からの取り外しは版胴用スリーブを回転軸の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、また、刷版は剛性のある版胴用スリーブの外周面に備えられているので、変形や破損が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる印刷機の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図3】図2の版胴用スリーブの使用方法を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図7】図6の版胴用スリーブ及びブランケット胴用スリーブの使用方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の版胴用スリーブを回転軸に固定するための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の版胴用スリーブを回転軸に固定するための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図12】本発明の版胴用スリーブの回転軸に対する位相を決めるための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図13】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【図14】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【図15】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 印刷ユニット
2 ブランケット胴
3 回転軸
5 再生式機側製版装置
6 支持軸
7 版再生装置
8 版書込装置
9 真空吸引装置
10,10A,10B,10C,20,30,40,40A,40B,40C
版胴用スリーブ
11 コート層
21,31 スリーブ本体
22 刷版
32 ギャップレス刷版
101 回転軸
110,110A,110B,110C,120,120′ ブランケット胴用スリーブ
111,121 スリーブ本体
112 ブランケット
122 ギャップレスブランケット
123 溝付きギャップレスブランケット
123a 溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機の版胴、特に再生式刷版を備えた版胴の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷機には版胴とブランケット胴が設けられている。版胴には、印刷される絵柄(画線)を焼き付けた刷版が取り付けられており、インク供給装置によりインクが版胴に供給されると、刷版上の絵柄がブランケット胴に一旦転写され、その後、ブランケット胴に転写された絵柄が走行する紙の紙面に印刷される。
【0003】
通常、刷版は印刷する絵柄毎に用意され、印刷する絵柄を変えるたびに刷版は新たなものに交換されていたが、近年では、絵柄が書き換え可能で何度でも繰り返し使用可能な再生式刷版が開発されている。現在、提案されている再生式刷版の形態としては、通常の平板状の刷版を再生式にしたものや、版胴の外周面自体を刷版として用いそれを再生式にしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
平板状の再生式刷版の場合、絵柄の書き換え処理は印刷機外、或いは印刷機上に設けられた書き換え装置で行われる。このため、書き換えの度に版胴から刷版を取り外したり版胴に刷版を装着したりする必要があるが、刷版は極めて薄いために版胴との脱着時に刷版の母材そのものが塑性変形したり破損したりする虞がある。また、版胴との脱着作業に要する負担は従来の刷版と変わらない。
【0005】
版胴の外周面が再生式刷版の場合は、絵柄の書き換えはそのまま版胴上で行われるため、刷版の変形や破損の虞はない。しかしながら、版胴の周囲には空スペースは少なく、絵柄の書き換えに必要な装置を既存の装置と干渉することなく配置するのは難しい。さらに、使用により刷版の版面が劣化してきたときには版胴自体を交換することになるが、交換作業は容易ではなく、また、コストが高くついてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたものであり、刷版を取り扱い容易な形態で版胴に装備するための構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、外周面に刷版を備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで上記印刷機の版胴として機能することを特徴とする版胴用スリーブを提供する。この版胴用スリーブによれば、剛性が確保されるので取り扱い時に刷版の版面に変形や破損が生じることなく、また、印刷機からの取り外しや印刷機への取り付けも容易である。
【0008】
上記の版胴用スリーブにおいて、その外周面自体を刷版として構成してもよい。また、刷版を版胴用スリーブの外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレス刷版としたり、版胴用スリーブの外周面に巻きつけられた平板状の刷版としたりすることも可能である。この場合、刷版を版胴用スリーブの外周面から取り外し可能に構成してもよい。
【0009】
なお、上記の版胴用スリーブは、刷版が絵柄の書き換え可能な再生式刷版である場合に特に高い効果を得ることができる。再生式刷版であれば、機外での絵柄の書き換えにともない、繰り返し印刷機から取り外されたり印刷機へ取り付けられたりするので、上記版胴用スリーブの効果がより強く発揮されることになる。特に、刷版が版胴用スリーブの外周面から取り外し可能な場合、刷版を版胴用スリーブに装着したまま絵柄の書き換え作業を行うことで、刷版の変形を防止して刷版の再生能力の限界まで繰り返し使用することが可能になるとともに、刷版の再生能力が限界に達したときには、版胴用スリーブ自体はそのまま使用して刷版のみを交換すればよいのでコストも低減できる。また、刷版が版胴用スリーブの外周面から取り外し可能な場合には、絵柄の書き換え可能な再生式刷版と再生式でない通常版の何れも取り付け可能な構造とするのが好ましい。
【0010】
そして、本発明の印刷機は、上記のような特徴を有する版胴用スリーブと、版胴用スリーブが嵌挿されて版胴用スリーブと一体回転する回転軸とを備えたことを特徴としている。この印刷機によれば、刷版の印刷機への装着や印刷機からの取り外しは版胴用スリーブを回転軸の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、刷版は剛性のある版胴用スリーブの外周面に備えられているので、変形や破損が生じることもない。特に、刷版が再生式刷版の場合には、再生式刷版の絵柄の書き換えは版胴用スリーブを回転軸から取り外すことでスペースの制約のない印刷機外で行うことができる。
【0011】
このような構成の印刷機の運用方法として、版胴用スリーブを外径を異ならせて複数個用意しておき、複数の版胴用スリーブの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択して回転軸に取り付けるようにしてもよい。これによれば様々な印刷サイズやカットオフに対応することが可能になる。なお、版胴用スリーブの内径は外径の大小にかかわらず一定であることが好ましい。
【0012】
上記の印刷機が、回転軸に嵌挿された版胴用スリーブに接触するブランケット胴を備えたオフセット印刷機である場合には、より好ましくは、ブランケット胴を外周面にブランケットを備えたブランケット胴用スリーブと、ブランケット胴用スリーブが嵌挿されてブランケット胴用スリーブと一体回転する回転軸とから構成する。これによれば、ブランケット胴用スリーブも外径を異ならせて複数個用意しておくことで、印刷サイズやカットオフに応じて選択された版胴用スリーブの外径に応じた外径のブランケット胴用スリーブを複数のブランケット胴用スリーブの中から選択して回転軸に取り付けることも可能になる。なお、この場合、版胴の回転軸とブランケット胴の回転軸との軸間距離は可変にしておく。
上記ブランケット胴は、その外周面に備えられるブランケットが、外周面に巻きつけられた平板状のブランケットであるものでもよく、外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットであるものでもよい。後者の場合、ギャップレスブランケットの軸方向に溝が形成されているものでもよい。
【0013】
版胴用スリーブの回転軸への固定は例えば次のような構造によって行うことができる。回転軸の形状を版胴用スリーブが嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりも小さいテーパ状に形成し、版胴用スリーブを回転軸の軸方向に押し込むことで楔効果により版胴用スリーブを回転軸に固定する。回転軸或いは版胴用スリーブの一方に軸方向に延びる凸部を設けるとともに、回転軸或いは版胴用スリーブの他方に軸方向に延びる凹部を設け、凸部が凹部に嵌合させることにより版胴用スリーブの回転軸に対する相対回転を拘束するようにしてもよい。この構成は、版胴用スリーブの回転軸に対する回転位相を決める位相決め手段としても機能する。位相決め手段としては、その他、回転軸の後端に版胴用スリーブの軸方向の位置決めをする鍔を設け、この鍔と版胴用スリーブの端部側面とに正しい位相で嵌合する凹凸を設けるようにしてもよい。また、回転軸の内部から外周面に負圧を作用させる負圧手段を設け、版胴用スリーブを負圧の吸引力によって回転軸の外周面に吸着して固定してもよい。ブランケット胴がブランケット胴用スリーブと回転軸とに分かれている場合のブランケット胴用スリーブの回転軸への固定も同様の構造によって行うことができる。
【0014】
刷版が再生式刷版の場合には、版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換える再生式機側製版装置を設ける。この再生式機側製版装置には、版胴用スリーブが嵌挿されて版胴用スリーブを内側から支持する支持軸を備える。これによれば、版胴用スリーブの印刷機への脱着も再生式機側製版装置への脱着も、ともに版胴用スリーブを回転軸或いは支持軸の軸方向に沿って移動することで完了するので、絵柄の書き換えを速やかに行うことができ、また、版胴用スリーブの取り扱いが容易になって、作業効率が大幅に向上する。より好ましくは、再生式機側製版装置の支持軸と印刷機の回転軸とが同一軸線上に並ぶようにする。これによれば、版胴用スリーブを回転軸及び支持軸の軸方向に移動させるのみで版胴用スリーブの印刷機への脱着と再生式機側製版装置への着脱とを一つの動作で完了することが可能になる。もちろん、再生式機側製版装置は、必ずしも印刷ユニット毎、すなわち、版胴用スリーブが取り付けられる回転軸毎に設ける必要はなく、印刷ユニットが複数台設けられている場合には、1台の再生式機側製版装置を2台以上の印刷ユニットで共用するようにしても良い。
【0015】
このように再生式機側製版装置を備えた印刷機における版交換は、まず、回転軸から版胴用スリーブを取り外して再生式機側製版装置の支持軸に装着し、続いて、再生式機側製版装置を作動させて版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換えるとともに、新たな絵柄が書き込まれた版胴用スリーブを回転軸に装着することで完了する。なお、版胴用スリーブが複数個ある場合には、新たな絵柄が書き込まれた版胴用スリーブを別に用意しておくことで、再生式機側製版装置による絵柄の書き換えを待たなくてよい。
【0016】
また、版胴用スリーブが刷版を外周面から取り外し可能に構成されている場合には、まず、刷版の再生が可能か否か判定する。そして、刷版が再生可能と判定される場合には回転軸から版胴用スリーブを取り外し、上記手順により再生式機側製版装置で絵柄の書き換えを行う。一方、刷版が再生能力の限界を超えていると判定される場合には、刷版を版胴用スリーブの外周面から取り外して新しい刷版に交換する。再生が可能か否かは、例えば現在までのその刷版による印刷枚数と刷版の耐刷枚数限界値との比較により判定することができる。なお、刷版の交換は版胴用スリーブを回転軸に取り付けた状態で行ってもよく、版胴用スリーブを回転軸から抜き取って機外で行ってもよい。再生式機側製版装置に装着した状態で行ってもよい。
【0017】
また、本発明は、外周面にブランケットを備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで印刷機のブランケット胴として機能することを特徴とするブランケット胴用スリーブも提供する。このブランケット胴用スリーブによれば、印刷機からの取り外しや印刷機への取り付けも容易である。この場合、ブランケットをブランケット胴用スリーブの外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットとしたり、ブランケット胴用スリーブの外周面に巻きつけられた平板状のブランケットとしたりすることも可能である。特に前者の場合には、ギャップレスブランケットの軸方向に溝を形成するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる印刷機(オフセット印刷機)の構成を示す模式図である。通常、印刷機には印刷色数に合せて複数の印刷ユニットが紙の走行方向に並べて配置されるが、ここでは、説明を簡単にするために一つの印刷ユニット1のみ示している。印刷ユニット1には、ブランケット胴2と回転軸3が備えられている。なお、印刷ユニット1内には、その他複数のインキローラやインキ供給装置等が装備されているが、それらは本発明の要旨とは無関係であるので、図示は省略している。
【0019】
回転軸3はブランケット胴2に平行に配置され、ブランケット胴2と同期して回転するように構成されている。回転軸3には版胴用スリーブ10が嵌挿されるようになっており、回転軸3と版胴用スリーブ10とが一体となって版胴を構成する。版胴用スリーブ10は十分な厚みのある剛性の高い円筒状の部材である。回転軸3の形状は、版胴用スリーブ10が嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりもやや小さいテーパ状に形成されており、版胴用スリーブ10を回転軸3の軸方向に押し込むことで、版胴用スリーブ10の弾性変形とテーパ形状による楔効果により版胴用スリーブ10が回転軸3に固定されるようになっている。
【0020】
本実施形態の版胴用スリーブ10は、その外周面が刷版であり、さらに絵柄を書き換え可能な再生式刷版となっている。再生式刷版の形態としては様々な公知形態があり、版胴用スリーブ10に適用する上での限定はないが、ここでは、図2の断面図に示すように、版胴用スリーブ10上には、酸化チタンのコート層11が形成されている。このコート層11は、版胴用スリーブ10上に酸化チタンを蒸着させることにより形成することができる。酸化チタンのコート層11は、光触媒として酸化チタン光触媒を含んでおり、例えば紫外線をコート層11に照射すると酸化チタン光触媒の作用によりコート層11が高い親水性を示すようになる。コート層11の紫外線が照射されていない部分は疎水性を示すので、結果、版胴用スリーブ10の外周面には、親水性でインクの付着しない非画線部と疎水性でインクの付着する画線部とが形成され、刷版として機能することになる。
【0021】
このように版胴用スリーブ10の外周面を再生式刷版の版面とすることで、絵柄の書き換えは版胴用スリーブ10を回転軸3から取り外すことでスペースの制約のない印刷ユニット1外で行うことができる。また、再生式刷版の印刷ユニットへの装着や印刷ユニットからの取り外しは版胴用スリーブ10を回転軸3の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、剛性のある版胴用スリーブ10の外周面に再生式刷版が一体化されていることから、取り扱い時に変形や破損が生じることもない。また、版面が劣化した場合でも版胴用スリーブ10の交換は、版胴自体を交換する場合に比較して低コストで済む。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、印刷ユニット1の側部(機側)には、再生式機側製版装置(以下、単に機側製版装置という)5が設置されている。機側製版装置5は、印刷の終了した刷版11の絵柄を一旦消去(再生)して新たに絵柄を書き込む装置であって、版胴用スリーブ10を支持するための支持軸6を備え、支持軸6の周りには、絵柄を消去して版を再生するための版再生装置7と絵柄を書き込む版書込装置8とが配置されている。版胴用スリーブ10はその開口を支持軸6に嵌挿され、その内周面を支持軸6の外周面により支持される。
【0023】
版再生装置7及び版書込装置8の機能は、再生式刷版の形態により決まるが、ここでは上記のように構成されていることから、版再生装置7は、版面全面に紫外線を照射して全面を親水性表面とした後、光,電気或いは熱等のエネルギ束を版面に照射したり、或いは摩擦等の機械的刺激を版面に加えたりすることで、コート層11の光触媒の特性を親水性から疎水性へ変換する。また、版書込装置8は、紫外線領域のレーザ光を照射する書込ヘッドを有しており、画像に関するデジタルデータに基づいて版面にレーザ光を照射して画線部を形成する。
【0024】
この機側製版装置5では、印刷ユニット5の運転中に新たな版胴用スリーブ10が容易されて次回の印刷で使用される絵柄の書き込みが行なわれる。そして、絵柄の書き込みが終了すると、この版胴用スリーブ10を次の版交換時にそなえて所定の位置に待機させるようになっている。版交換時には、印刷の終了した版胴用スリーブ10が回転軸3から取り外されて機側製版装置5に取り込まれると、これと略同時に、次回印刷用の版胴用スリーブ10が回転軸3に取り付けられるようになっており、これにより版交換の作業時間の短縮が図られるようになっている。
【0025】
また、版胴用スリーブ10の印刷ユニット1への脱着は、版胴用スリーブ10を回転軸3に対して軸方向から抜き差しすることにより行なわれる。同様に、版胴用スリーブ10の機側製版装置5への脱着は、版胴用スリーブ10を支持軸6に対して軸方向から抜き差しすることにより行なわれる。これは、回転軸3に対して軸方向に着脱自在な版胴用スリーブ10の大きな特徴の一つであり、これにより版交換の作業性が大幅に向上するのである。
【0026】
また、機側製版装置5の支持軸6が印刷ユニット1の回転軸3と同一軸線上に並ぶように機側製版装置5を配設してもよい。このように機側製版装置5を配設することにより、版胴用スリーブ10を回転軸3に対して軸方向に移動させることで、版胴用スリーブ10の回転軸3からの取り外しと機側製版装置5の支持軸6への装着とを一つの動作で完了させることができる。また、これと同様に、新しい版胴用スリーブ10の印刷ユニット1への取り付け時には、機側製版装置5の支持軸6に保持された版胴用スリーブ10を軸方向に移動させることにより、版胴用スリーブ10の支持軸6からの取り外しと印刷ユニット1の回転軸3への装着とを一つの動作で完了させることができる。
【0027】
また、図1では、一つの印刷ユニット1の側部に一つの再生式機側製版装置5が設置されている構成を示しているが、これは、印刷ユニット1が複数ある場合に、必ずしも全ての印刷ユニット1にそれぞれ再生式機側製版装置5を設置しなければならないことを意味するものではない。すなわち、複数の印刷ユニット1間で一つの機側製版装置5を共用することは勿論可能である。例えば、印刷ユニット1が4台ある場合には、1台の機側製版装置5を4台の印刷ユニット1で共用したり、2台の印刷ユニット1に対して1台の機側製版装置5を割り当てたりすることも可能である。
【0028】
この場合には、印刷ユニット1とは別に再生式機側製版装置5を温度及び湿度の管理された部屋に設置して、作業者が交換を要する版を印刷ユニット1から取り外した後、機側製版装置5に取り付けるようにしてもよい。さらには、再生式機側製版装置5を移動可能に設け、版胴用スリーブ10の交換を要する各印刷ユニット1へ順次、再生式機側製版装置5を移動させさせてもよい。
【0029】
これらの場合には、各印刷ユニット1で版胴用スリーブ10の交換が実行されて旧版胴用スリーブが取り外されると、これらの複数の旧版胴用スリーブは、新たな版胴用スリーブ10での印刷中に、再生式機側製版装置5で順次書き換えが実行される。また、これらの場合には、版胴用スリーブ10の交換及び再生を全ての印刷ユニット1で同時に行うことはできないが、その反面、設備コストの低減や省スペース化を図ることができる利点があるほか、保守の繁雑さも抑制できる利点がある。
【0030】
さらには、全印刷ユニット1のうち所定数の印刷ユニット1を組にし、該印刷ユニット1の組に対して1台ずつ再生式機側製版装置5を設けるように構成してもよい。つまり、ユーザのニーズ(版交換及び再生作業の時間短縮を優先するか、設備コスト低減や省スペース化を優先するかというニーズ)に応じて、印刷ユニット1に対する再生式機側製版装置5の設置数を適宜決めることができる。
【0031】
なお、上記の版胴用スリーブ10の使用方法として、図3に示すように、外径が異なる複数個の版胴用スリーブ10A,10B,10Cを予め用意しておき、これらの版胴用スリーブ10A,10B,10Cの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択し、図1に示す機側製版装置5に装着して絵柄を書き込むようにしてもよい。これによれば様々な印刷サイズやカットオフに対応することが可能になる。なお、各版胴用スリーブ10A,10B,10Cの内径は、回転軸3や機側製版装置5の支持軸6の径に合うように外径の大小にかかわらず一定にする。
【0032】
(B)第2実施形態
図4は本発明の第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20の構成を示す断面図である。この版胴用スリーブ20も第1実施形態にかかる版胴用スリーブ10と同様、図1に示す印刷ユニット1の回転軸3に装着して回転軸3とともに版胴を構成するようになっている。
【0033】
本実施形態にかかる版胴用スリーブ20は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体21と、スリーブ本体21の外周面に巻きつけられた平板状の刷版22とから構成されている。刷版22は、弾性変形可能な材質で形成され、弾性変形領域内で曲げられてスリーブ本体21に巻きつけられている。この刷版22は再生式刷版であり、刷版22の表面には第1実施形態と同様の酸化チタン光触媒を含むコート層が形成されている。
【0034】
刷版22をスリーブ本体21に固定するための構造には限定はなく、従来、平板状の刷版を版胴に巻きつけて固定するのに用いていた構造を適用することができる。ここでは、刷版22の両端部22a,22bが内側に折り曲げられており、両端部22a,22bをスリーブ本体21に設けられたスリット溝21aに挿入されて図示しない版締め装置により固定されている。刷版22をスリーブ本体21に巻きつけて固定するための構造としては、その他、特開平3−246036号公報や特開昭58−76739号公報に開示された構造を用いることもできる。また、刷版22の両端部を折り曲げることなく、両端部に磁性体を取り付けるとともにスリーブ本体21に磁石を設けて、磁力により刷版22をスリーブ本体21に固定してもよい。また、剥離可能な接着剤や両面テープ等で固定することも可能である。
【0035】
ところで、再生式刷版には耐刷枚数(書き換える絵柄そのものの最大印刷枚数、若しくは非絵柄部分である親水性部分の最大印刷枚数)があり、使用しているうちに版面が劣化していく。したがって、いつか版面を新しいものに交換する必要が生じるが、上記構成の版胴用スリーブ20によれば、版面が劣化したときには刷版22のみを交換すればよいので、交換に伴うコストを抑えることができる。
【0036】
具体的には、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20によれば、絵柄の書き換えにおいて次のような運用が可能になる。まず、刷版22の再生が可能か否か、現在までのその刷版22による印刷枚数と刷版22の耐刷枚数限界値との比較により判定する。そして、印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えていない場合には刷版22の再生は可能と判定し、回転軸3から版胴用スリーブ20を取り外して再生式機側製版装置5で絵柄の書き換えを行う。一方、印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えた場合には刷版22が再生能力の限界を超えていると判定し、刷版22をスリーブ本体21から取り外して新しい刷版22に交換する。なお、刷版22の交換は印刷ユニット1内で版胴用スリーブ20を回転軸3に取り付けた状態で行ってもよく、版胴用スリーブ20を回転軸3から抜き取って印刷ユニット1で行ってもよい。版胴用スリーブ20を再生式機側製版装置5に装着した状態で行うことも可能である。
【0037】
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20によれば、予め1回当たりの印刷枚数が耐刷枚数限界値を超えていることが分かっている場合には、再生式の刷版22の代わりに初めから再生式でない通常の刷版をスリーブ本体21に取り付けて印刷するような運用も可能である。
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ20も、第1実施形態(図3に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0038】
(C)第3実施形態
図5は本発明の第3実施形態にかかる版胴用スリーブ30の構成を示す断面図である。この版胴用スリーブ30も第1,第2実施形態にかかる版胴用スリーブ10,20と同様、図1に示す印刷ユニット1の回転軸3に装着して回転軸3とともに版胴を構成するようになっている。
【0039】
本実施形態にかかる版胴用スリーブ30は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体31と、スリーブ本体31の外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレス刷版32とから構成されている。このギャップレス刷版32は、弾性変形可能な材質、例えばニッケル材により形成された、両端が開口したシームレス(ギャップレス)の円筒部材である。このギャップレス刷版32の内径は、装着されるスリーブ本体31の外径よりも僅かに小さな径に形成されており、スリーブ本体31に装着された時にはスリーブ本体31との間の摩擦力によりギャップレス刷版32がスリーブ本体31に固定されるようになっている。また、ギャップレス刷版32は再生式刷版であり、ギャップレス刷版32の表面には第1実施形態と同様の酸化チタン光触媒を含むコート層が形成されている。
【0040】
このような構成の版胴用スリーブ30によれば、第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20と同様、版面が劣化したときにはギャップレス刷版32のみを交換すればよいので、効果に伴うコストを抑えることができる。また、刷版32の耐刷枚数限界に関して、第2実施形態にかかる版胴用スリーブ20と同様の運用が可能である。さらに、刷版をギャップレス刷版32とすることで、版の継ぎ目をなくすことができるので、印刷物と印刷物との間に空白部分をなくすことができ、損紙の発生をなくすことができるという利点もある。
また、本実施形態にかかる版胴用スリーブ30も、第1実施形態(図3に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0041】
(D)第4実施形態
図6は本発明の第4実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。本実施形態は版胴とブランケット胴との組み合わせに特徴がある。版胴は第1〜第3実施形態と同じく回転軸3と版胴用スリーブ40とに分かれて構成されている。なお、版胴用スリーブ40の構造、すなわち刷版の外周面への装備形態は、第1〜第3実施形態の何れの形態を用いてもよく、ここでは限定しない。
【0042】
本実施形態にかかるブランケット胴は、回転軸101とブランケット胴用スリーブ110とに分かれており、回転軸101にブランケット胴用スリーブ110が嵌挿されることで、回転軸101とブランケット胴用スリーブ110とが一体となってブランケット胴を構成する。回転軸101は、版胴用スリーブ40が装着される回転軸3に平行に配置され、回転軸3と同期して回転するように構成されている。
【0043】
ブランケット胴用スリーブ110は十分な厚みのある剛性の高い円筒状の部材である。回転軸101の形状は、ブランケット胴用スリーブ110が嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりもやや小さいテーパ状に形成されており、ブランケット胴用スリーブ110を回転軸101の軸方向に押し込むことで、ブランケット胴用スリーブ110の弾性変形とテーパ形状による楔効果により版胴用スリーブ10が回転軸3に固定されるようになっている。
【0044】
本実施形態のブランケット胴用スリーブ110は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体111と、スリーブ本体111の外周面に巻きつけられたブランケット112とから構成されている。ブランケット112をスリーブ本体111に巻きつけて固定するための構造には限定はなく、従来、ブランケットをブランケット胴に巻きつけて固定するのに用いていた構造を適用することができる。ここでは、ブランケット112の両端部112a,112bがスリーブ本体111に設けられたスリット溝111aに挿入されて図示しない固定装置により固定されている。
【0045】
このような構成によれば、ブランケット112を洗浄したり交換したりする場合に、ブランケット胴用スリーブ110を回転軸101から取り外すことで、スペースの制約のない印刷ユニットの外部で洗浄等の作業を行うことができる。また、ブランケット112の印刷ユニットへの装着や印刷ユニットからの取り外しはブランケット胴用スリーブ110を回転軸101の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易である。
【0046】
また、図7に示すように、外径が異なる複数個の版胴用スリーブ40A,40B,40Cが予め用意されている場合には、これら版胴用スリーブ40A,40B,40Cの外形に合わせ、外径の異なる複数個のブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを用意しておく。そして、印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブ40A,40B,40Cが選択されると、選択された版胴用スリーブ40A,40B,40Cの外径に応じた外径を有するブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを選択し、印刷ユニットの回転軸101に取り付けるようにする。
【0047】
このように版胴用スリーブ40A,40B,40Cの径に合わせてブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cを選択することで、版胴用スリーブ40A,40B,40Cからブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cへの絵柄の転写位置にずれが生じることがなく、絵柄のダブリを防止することができる。なお、各ブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cの内径は、回転軸101の径に合うように外径の大小にかかわらず一定にする。また、回転軸3,101間の距離は、装着する版胴用スリーブ40A,40B,40C及びブランケット胴用スリーブ110A,110B,110Cの外径に合わせて調整できるようにしておく。
【0048】
(E)第5実施形態
図8は本発明の第5実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。本実施形態も第4実施形態と同様に版胴が回転軸3と版胴用スリーブ40とに分かれて構成されるともに、ブランケット胴も回転軸101とブランケット胴用スリーブ120とに分かれて構成されている。
【0049】
本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120は、厚肉で剛性の高い円筒状のスリーブ本体121と、スリーブ本体121の外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット122とから構成されている。このギャップレスブランケット122は、弾性変形可能な材質、例えばニッケル材により形成された、両端が開口したシームレス(ギャップレス)の円筒部材の表面に、転写面となるゴム膜を貼りあわせた構成になっている。このギャップレスブランケット122の内径は、装着されるスリーブ本体121の外径よりも僅かに小さな径に形成されており、スリーブ本体121に装着された時にはスリーブ本体121との間の摩擦力によりギャップレスブランケット122がスリーブ本体121に固定されるようになっている。
【0050】
このような構成のブランケット胴用スリーブ120によっても、第4実施形態と同様の利点を得ることができる。また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120も、第4実施形態(図7に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0051】
(F)第6実施形態
図9は本発明の第6実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す断面図である。本実施形態は第5実施形態の変形例であり、スリーブ本体121に装着されるギャップレスブランケット123の構造に特徴がある。
本実施形態にかかるギャップレスブランケット123は、その表面に軸方向に延びる溝123aが形成されている。これは次の理由による。
【0052】
輪転機の場合、紙(帯状の連続紙)が印刷ユニットのニップ部を通過する際、紙がインキや湿し水を吸収することにより、紙にはニップ部の通過前後で伸びが生じる。この紙の伸びにより、紙のテンションはニップ部の通過前後で変動するが、テンション変動は見当ズレ等を招き印刷品質に悪影響を与えてしまう。第5実施形態のように全くギャップのないギャップレスブランケット122では、版胴用スリーブ40にもギャップがない場合には、紙は常にブランケット胴用スリーブ120′と版胴用スリーブ40との間でニップされているため、ニップ部でテンションの抜けが生じることは少なく、紙伸びを吸収することは難しい。
【0053】
これに対して、本実施形態のようにギャップレスブランケット123の表面に軸方向に延びる溝123aを形成することで、溝123aが版胴用スリーブ40とのニップ部を通過する際にニップ圧が減少或いは無くなる。これにより、ニップ部においてテンションの抜けが生じ、インキや湿し水の吸収に伴う紙伸びが吸収され、テンション変動が抑制される。
【0054】
また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120によっても、上記利点に加えて、第4,第5実施形態と同様の利点を得ることができる。また、本実施形態にかかるブランケット胴用スリーブ120′も、第4実施形態(図7に示す)と同様に径を異ならせて複数用意しておき、印刷サイズやカットオフに応じた径のものを選択して使用することができる。
【0055】
(G)その他
以上、本発明の実施形態をいくつか説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、第2,第3実施形態にかかる版胴用スリーブ20,30では、刷版22,32をスリーブ本体21,31に対して着脱できるようにしているが、刷版22,32をスリーブ本体21,31に貼り付けて一体化してもよい。
【0056】
また、版胴用スリーブ10,20,30の回転軸3への固定方法は第1実施形態で説明したのものに限定されず、他の公知の方法を適用することができる。例えば、図10に示すように回転軸3の外周面の軸方向にキー(凸部)3aを設け、版胴用スリーブ10の内周面の軸方向にキー溝(凹部)10aを形成して、版胴用スリーブ10の回転軸3への装着時にキー3aをキー溝10aに嵌合させるようにしてもよい。これによれば、版胴用スリーブ10の回転軸3に対する相対回転が拘束され、版胴用スリーブ10は回転軸3とともに一体回転するようになる。
【0057】
或いは、図11に示すように回転軸3内に空間3bを設けるとともに空間3bと外周面を連通する孔3cを設け、回転軸3内の空間3bを真空吸引装置(負圧手段)9に接続してもよい。これによれば、真空吸引装置9を作動させることで回転軸3内の空間3bから孔3cを介して版胴用スリーブ10の内周面に負圧を作用させ、版胴用スリーブ10の内周面を回転軸3の外周面に吸着して固定することができる。
【0058】
さらに、版胴用スリーブ10の回転軸3に対する位相を決める手段としては、図10に示す構造の他、図12に示すように、回転軸3の後端に版胴用スリーブ10の軸方向の位置決めをする鍔3dを設け、この鍔3dと版胴用スリーブ10の端部側面とに正しい位相で嵌合する凹凸を設けるようにしてもよい。ここでは、鍔3dに突起3eを設けるとともに版胴用スリーブ10の端部側面に孔10eを設け、正しい位相で突起3eと孔10eとが嵌合するようにしている。
【0059】
また、第4〜第6実施形態では、版胴用スリーブ40と回転軸3とから構成される版胴に、ブランケット胴用スリーブ110,120,120′と回転軸101とから構成されるブランケット胴を組み合わせる例について説明したが、もちろん、一般的な構成のブランケット胴と組み合わせることも可能である。例えば、図13に示すようにブランケット胴本体130の外周面に平板状のブランケット131を巻きつけたものや、図14に示すようにブランケット胴本体130の外周面に継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット132を嵌め込んだものや、図15に示すようにブランケット胴本体130の外周面に軸方向の溝133aを有する継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケット133を嵌め込んだもの等と組み合わせてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、本発明の版胴用スリーブを再生式刷版を備えた版胴に適用した場合について説明したが、もちろん、通常の刷版(再生式でない刷版)を備えた版胴にも適用できることは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、版胴用スリーブの外周面に刷版を備えることにより、刷版の印刷機への装着や印刷機からの取り外しは版胴用スリーブを回転軸の軸方向に沿って移動させるだけであるので、取り扱いが容易であり、また、刷版は剛性のある版胴用スリーブの外周面に備えられているので、変形や破損が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる印刷機の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図3】図2の版胴用スリーブの使用方法を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる版胴用スリーブの模式的な断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図7】図6の版胴用スリーブ及びブランケット胴用スリーブの使用方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態にかかる印刷機の要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の版胴用スリーブを回転軸に固定するための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の版胴用スリーブを回転軸に固定するための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図12】本発明の版胴用スリーブの回転軸に対する位相を決めるための構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図13】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【図14】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【図15】本発明の版胴用スリーブとブランケット胴との組み合わせ例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 印刷ユニット
2 ブランケット胴
3 回転軸
5 再生式機側製版装置
6 支持軸
7 版再生装置
8 版書込装置
9 真空吸引装置
10,10A,10B,10C,20,30,40,40A,40B,40C
版胴用スリーブ
11 コート層
21,31 スリーブ本体
22 刷版
32 ギャップレス刷版
101 回転軸
110,110A,110B,110C,120,120′ ブランケット胴用スリーブ
111,121 スリーブ本体
112 ブランケット
122 ギャップレスブランケット
123 溝付きギャップレスブランケット
123a 溝
Claims (27)
- 外周面に刷版を備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで上記印刷機の版胴として機能することを特徴とする、版胴用スリーブ。
- 上記外周面自体が上記刷版として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の版胴用スリーブ。
- 上記刷版が上記外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレス刷版であることを特徴とする、請求項1記載の版胴用スリーブ。
- 上記刷版が上記外周面に巻きつけられた平板状の刷版であることを特徴とする、請求項1記載の版胴用スリーブ。
- 上記刷版は上記外周面から取り外し可能に構成されていることを特徴とする、請求項3又は4記載の版胴用スリーブ。
- 上記刷版が絵柄の書き換え可能な再生式刷版であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかの項に記載の版胴用スリーブ。
- 上記刷版として絵柄の書き換え可能な再生式刷版と再生式ではない通常刷版の何れも取り付け可能に構成されていることを特徴とする、請求項5記載の版胴用スリーブ。
- 請求項1〜7の何れかの項に記載の版胴用スリーブと、
上記版胴用スリーブが嵌挿されて上記版胴用スリーブと一体回転する回転軸とを備えたことを特徴とする、印刷機。 - 上記回転軸に嵌挿された版胴用スリーブに接触するブランケット胴を備え、オフセット印刷機として構成されていることを特徴とする、請求項8記載の印刷機。
- 上記ブランケット胴が、外周面にブランケットを備えたブランケット胴用スリーブと、上記ブランケット胴用スリーブが嵌挿されて上記ブランケット胴用スリーブと一体回転する回転軸とからなることを特徴とする、請求項9記載の印刷機。
- 上記ブランケット胴の外周面に備えられるブランケットが、上記外周面に巻きつけられた平板状のブランケットであることを特徴とする、請求項9記載の印刷機。
- 上記ブランケット胴の外周面に備えられるブランケットが、上記外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットであることを特徴とする、請求項9記載の印刷機。
- 上記ギャップレスブランケットの軸方向に溝が形成されていることを特徴とする、請求項12記載の印刷機。
- 上記回転軸は上記版胴用スリーブが嵌挿される先端側の外径が後端側の外径よりも小さいテーパ状に形成されていることを特徴とする、請求項8〜13の何れかの項に記載の印刷機。
- 上記版胴用スリーブの上記回転軸に対する回転位相を決める位相決め手段を備えたことを特徴とする、請求項8〜13の何れかの項に記載の印刷機。
- 上記位相決め手段が、上記回転軸或いは上記版胴用スリーブの一方に軸方向に延設された凸部と、上記回転軸或いは上記版胴用スリーブの他方に軸方向に延設された凹部とからなり、上記凸部が上記凹部に嵌合することにより上記版胴用スリーブの上記回転軸に対する相対回転が拘束されて回転位相が決められることを特徴とする、請求項15記載の印刷機。
- 上記回転軸の内部から外周面に負圧を作用させる負圧手段が設けられ、上記版胴用スリーブは負圧の吸引力によって上記回転軸の外周面に吸着されて固定されることを特徴とする、請求項8〜13の何れかの項に記載の印刷機。
- 請求6記載の版胴用スリーブと、
上記版胴用スリーブが嵌挿されて上記版胴用スリーブと一体回転する回転軸と、
上記版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換える再生式機側製版装置とを備え、
上記再生式機側製版装置は、上記版胴用スリーブが嵌挿されて上記版胴用スリーブを内側から支持する支持軸を備えていることを特徴とする、印刷機。 - 上記版胴用スリーブが嵌挿されて版胴を構成する回転軸を備えた印刷ユニットを複数備え、1台の再生式機側製版装置を2台以上の上記印刷ユニット間で共用することを特徴とする、請求項18記載の印刷機。
- 請求項18又は19記載の印刷機における版交換方法であって、
上記版胴回転軸から上記版胴用スリーブを取り外し、上記再生式機側製版装置の上記支持軸に装着する第1ステップと、
上記再生式機側製版装置を作動させ、上記版胴用スリーブの外周面に備えられた再生式刷版の絵柄を書き換える第2ステップと、
新たな絵柄が書き込まれた版胴用スリーブを上記版胴回転軸に装着する第3ステップとを備えたことを特徴とする、版交換方法。 - 上記版胴用スリーブが上記刷版を外周面から取り外し可能に構成されている場合において、
上記刷版の再生が可能か否か判定し、上記刷版が再生可能と判定される場合には上記第1ステップを実行する一方、上記刷版が再生能力の限界を超えていると判定される場合には上記刷版を上記版胴用スリーブの外周面から取り外して新しい刷版に交換することを特徴とする、請求項20記載の版交換方法。 - 請求項8記載の印刷機の運用方法であって、
上記版胴用スリーブを外径を異ならせて複数個用意しておき、上記複数の版胴用スリーブの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択して上記回転軸に取り付けることを特徴とする、印刷機の運用方法。 - 請求項10記載の印刷機の運用方法であって、
上記版胴用スリーブを外径を異ならせて複数個用意しておき、上記複数の版胴用スリーブの中から印刷サイズやカットオフに応じた外径の版胴用スリーブを選択して上記回転軸に取り付けるとともに、
上記ブランケット胴用スリーブを外径を異ならせて複数個用意しておき、上記複数のブランケット胴用スリーブの中から上記選択した版胴用スリーブの外径に応じた外径のブランケット胴用スリーブを選択して上記回転軸に取り付けることを特徴とする、印刷機の運用方法。 - 外周面にブランケットを備え、印刷機に設けられた回転軸に嵌挿されることで上記印刷機のブランケット胴として機能することを特徴とする、ブランケット胴用スリーブ。
- 上記ブランケットが上記外周面に巻きつけられた平板状のブランケットであることを特徴とする、請求項24記載のブランケット胴用スリーブ。
- 上記ブランケットが上記外周面を取り巻く継ぎ目のない筒状のギャップレスブランケットであることを特徴とする、請求項24記載のブランケット胴用スリーブ。
- 上記ギャップレスブランケットの軸方向に溝が形成されていることを特徴とする、請求項26記載のブランケット胴用スリーブ。
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