JP2004074023A - 膜エレメントの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】辺部11,12,13が閉じ、辺部14の一部が開放した袋状膜10内に流路材15が挿入され、袋状膜10に接着剤16,17,18が付着される。この袋状膜10がシャフト20の周りに巻回される。袋状膜10はPTFE等の疎水性の膜よりなる。接着剤16,17,18と接する膜面に接着剤との親和性を高めるための親和化処理が施されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密濾過装置、限外濾過装置、逆浸透膜分離装置などの膜分離装置に用いられる膜エレメントを製造する方法に係り、特に、膜がPTFEなどの疎水性膜である場合に採用される膜エレメントの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水処理用の膜分離装置の膜エレメントにあっては、原水中の微粒子の透過を阻止し水の透過のみを許容するように微細孔を有した分離膜が用いられている。この膜エレメントにあっては、膜同士を接着して原水流路と透過水流路とを隔絶することがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この膜として、フッ素樹脂例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの熱可塑性疎水性膜が用いられることがある。この疎水性膜は、接着剤とのなじみが悪く、接着剤の付きが悪い。そのため、疎水性膜同士は、熱シール法によって接着されているが、熱シールのための設備が必要であると共に、作業に手間がかかり、生産性が低い。
【0004】
本発明は、疎水性の膜同士を簡単にしかも強固に接着することができ、膜エレメントの生産性が著しく向上する膜エレメントの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の膜エレメントの製造方法は、膜分離装置の膜エレメントを製造する方法であって、疎水性の膜面同士を接着剤で接着して膜エレメントを製造する方法において、接着剤との親和性を高めるための親和化処理を接着部に施した後、前記接着剤による接着を行うことを特徴とするものである。
【0006】
かかる本発明によると、膜に接着剤との親和性を高めるための親和化処理を施しておくことにより、疎水性の膜同士も十分に強力に接着される。この方法によると、熱シールの如き設備が不要となり、また接着作業も簡単であるため、膜エレメントの生産性が著しく向上する。
【0007】
本発明は、袋状膜の内部に透過水流路材が配置され、袋状膜同士の間には原水流路材が配置されているスパイラル型膜エレメントであって、該袋状膜は第1、第2、第3及び第4の辺部を有した略方形であり、該第1、第2及び第3の辺部は封じられ、該第4の辺部は一部が開放部となり残部が閉鎖部となっており、前記第4の辺部と直交する第1の辺部をシャフトに当てて袋状膜を巻回して巻回体とし、前記第4の辺部を該巻回体の後端面に臨ませ、該第4の辺部に対向する第2の辺部を該巻回体の前端面に臨ませ、該袋状膜同士の間の原水流路は、該第3の辺部の全体が封じられると共に、第4の辺部にあっては、前記袋状膜の開放部と重なる箇所は袋状膜同士が接着剤によって接着された閉鎖部となっており、且つ前記袋状膜の閉鎖部と重なる箇所は開放部となっているスパイラル型膜エレメントの製造に適用するのに好適である。この場合、袋状膜同士の接着部に親和化処理を施した後、該袋状膜同士を接着部によって接着するのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の膜エレメントの製造方法は、疎水性膜同士を接着する工程を有するが、この疎水性膜としてはPTFE、ポリプロピレン、ポリスルホンなどが例示される。この疎水性膜同士を接着するための接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等が例示される。疎水性膜同士の接着に先行する疎水性膜の接着剤との親和化を高めるための処理法としては、界面活性剤系の親水化剤を塗布する方法や、プラズマガスを吹き付ける方法等が例示されるが、接着剤を塗布しようとする箇所のみを確実に親和化処理することができることから、前者のように親水化剤を塗布する方法が好適である。親水化剤を塗布する場合、親水化剤をメタノール、イソプロピルアルコール等の適宜の溶剤に溶解ないし希釈させて塗布するのが好ましい。
【0009】
膜は疎水性合成樹脂のみからなるものであってもよく、不織布及び/又は織布をラミネートした膜であってもよい。
【0010】
なお、PTFEよりなる疎水性膜同士をポリウレタン系接着剤により直に接着した場合と、界面活性剤系親水化剤1%含有のメタノール溶液を塗布し12Hr放置する親和化処理を行った後、上記接着剤により接着した場合とでは、後者(親和化処理)の方が前者(無処理)の約5倍の接着強度になることが認められた。
【0011】
本発明は、請求項2に記載のスパイラル型膜エレメントの製造に適用するのに好適であるので、次にこのスパイラル型膜エレメントの構成について説明する。
【0012】
図1(a)はこのスパイラル型膜エレメントに用いられる一枚の袋状膜及び該袋状膜が巻き付けられるシャフトの斜視図である。図1(b),(c)はそれぞれ図1(a)のB−B線、C−C線に沿う断面図である。図2はシャフトの周りに袋状膜を巻き付ける方法を示す断面図、図3は巻回体とソケットとの係合関係を示す斜視図、図4はスパイラル型膜エレメントの側面図である。
【0013】
この袋状膜10は、正方形又は長方形状のものであり、第1の辺部11、第2の辺部12、第3の辺部13及び第4の辺部14を有している。この袋状膜10は、長い一枚の分離膜フィルムを第2の辺部12の部分で二つに折り返し、第1の辺部11及び第3の辺部13において折り重なった分離膜フィルム同士を接着剤等によって接着し、第4の辺部14の一部については接着を行うことなく開放部とした袋状のものである。
【0014】
第4の辺部14の途中から第3の辺部13にかけて袋状膜10の分離膜フィルム同士が接着されておらず、透過水流出用の開放部30となっている。また、この第4の辺部14の該途中から第1の辺部11にかけては、袋状膜10の分離膜フィルム同士が接着されており、透過水の流出を阻止する閉鎖部31となっている。
【0015】
この袋状の膜10内に透過水流路材(例えばメッシュスペーサ等よりなる。)15が挿入配置されている。なお、袋状膜10としては、長い一枚のフィルムを第2の辺部12部分で二つに折り返したものに限らず、二枚の分離膜フィルムを重ね合わせ、第1の辺部11、第2の辺部12、第3の辺部13及び第4の辺部14の一部を接着するようにしたものであっても良い。
【0016】
この袋状膜10の一方の面には、接着剤16が付着されると共に他方の面には接着剤17,18が付着され、この袋状膜10がシャフト20の周りに巻き付けられる。接着剤16は第1の辺部16に沿って付着され、接着剤17は第3の辺部13に沿って付着されている。接着剤18は第4の辺部14の長手方向の前記途中箇所から第3の辺部13にかけて、透過水流出用の開放部30に沿って付着されている。
【0017】
袋状膜10の表面のうち、接着剤16,17,18と接する面には親和性処理が予め施されている。
【0018】
複数枚の袋状膜10をシャフト20の周囲に巻き付けることにより、重なり合った袋状膜10同士は接着剤16,17,18の部分において水密的に接合される。これにより、袋状膜10同士の間には原水(及び濃縮水)が流れる原水流路が構成される。接着剤18が硬化することにより、巻回体の後端面には、内周側に原水(濃縮水)の流出用の開放部が形成され、外周側に原水流出阻止用の閉鎖部が形成される。上記の親水化処理を施してあり、接着剤16,17,18と袋状膜10との接着力がきわめて高いので、膜エレメントの耐圧性、耐久性が良好である。また、原水圧を高くしても袋状膜10同士の接着が剥離しないので、原水圧を高くして透過水量を多くする運転も可能となる。
【0019】
この実施の形態にあっては、第4の辺部14のうち透過水流出用の開放部30と透過水流出阻止用の閉鎖部31との境界部分から、巻回体の後方に向ってフィン19が延設されている。このフィン19は、例えば合成樹脂フィルム又はシートよりなり、袋状膜10に対し接着等により接合されるのが好ましい。このフィン19の接着に際しても、予め袋状膜10及びフィン19に親和化処理を施してもよい。
【0020】
袋状膜10をシャフト20の周りに図3の如くメッシュスペーサ29を介して巻き付けることにより、図4に示すように巻回体24が形成される。この巻回体24の後端面からは、フィン19が延出する。各袋状膜10の第4の辺部14において同一箇所にフィン19を設けておくことにより、フィン19は巻回体24の軸心から等半径位上に位置し、フィン19が重なり合うことによりフィン19がリング状の突出部を形成することになる。このリング状の突出部内に円筒状のソケット25の後端を挿入し、該ソケット25とフィン19を接着剤等により接合する。なお、ソケット25をフィン19に外嵌めしても良い。また、フィン19に沿って巻回体24の後端面に旋盤で切込み溝を付け、該溝にソケット25の端部を埋め込むようにしても良い。ソケット25とフィン19との接着に際しても、両者を予め親和化処理してもよい。
【0021】
このようにソケット25とフィン19とを接合することにより、巻回体24の後端面の外周側の透過水流出領域とソケット25の内周側の濃縮水流出領域とが区画される。
【0022】
なお、袋状膜10をシャフト20の周りに巻き付けるに際しては、図3に示すように、袋状膜10同士の間に原水流路材(メッシュスペーサ)29を介在させておく。これらのメッシュスペーサ29を介在させることにより、原水流路40が構成される。
【0023】
図4に示すように、巻回体24の前縁及び後縁にそれぞれトップリング26及びエンドリング27を合成樹脂モールド等により形成し、トップリング26の外周にブラインシール28を周設する。
【0024】
このように構成されたスパイラル型膜エレメントにおいては、図4に示すように、巻回体24の前端面から原水が袋状膜10同士の間の原水流路に流入する。この原水は、巻回体24の軸心線と略平行方向に原水流路を流れ、巻回体24の後端のソケット25の内側の端面から取り出される。そして、このように原水が原水流路を流れる間に、水が袋状膜10内に透過し、透過水は巻回体24の後端面のうちソケット25の外周側から流出する。
【0025】
このスパイラル型膜エレメントにあっては、透過水が袋状膜10内を巻回体24の軸心線と平行方向に流れて後端面から取り出されるため、透過水流通抵抗が著しく小さい。
【0026】
また、シャフト20が細くて足りるので、その分だけ袋状膜10の巻回方向の長さを大きくとることができ、膜面積を大きくとることが可能である。袋状膜の巻回方向の長さを大きくしても、透過水流通抵抗は増大せず、透過水量を多くすることができる。
【0027】
特に、前記親和化処理により接着剤18と袋状膜10との接着力を高くしておくことにより、原水流路内の原水圧力を高くしても原水流路原水が巻回体24の後端面側の透過水室へリークすることを防止できる。
【0028】
なお、この膜エレメントにおいては、ソケット25の外周側に透過水流出部を配置し、ソケット25の内側に濃縮水流出部を配置しているが、逆にソケット25の内側を透過水流出部とし、ソケット25の外周側を濃縮水流出部とするように構成しても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、疎水性の膜同士を簡単にしかも強固に接着することができ、膜エレメントの生産性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)図はスパイラル型膜エレメントに用いられる袋状膜の斜視図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図、(c)図は(a)図のC−C線に沿う断面図である。
【図2】スパイラル型膜エレメントの袋状膜の巻き付け方法を示す断面図である。
【図3】巻回体とソケットとの係合関係を示す斜視図である。
【図4】スパイラル型膜エレメントの側面図である。
【符号の説明】
10 袋状膜
11 第1の辺部
12 第2の辺部
13 第3の辺部
14 第4の辺部
15 流路材
16,17,18 接着剤
19 フィン
20 シャフト
24 巻回体
25 ソケット
29 メッシュスペーサ
30 透過水流出用の開放部
31 透過水流出阻止用の閉鎖部
Claims (2)
- 膜分離装置の膜エレメントを製造する方法であって、疎水性の膜面同士を接着剤で接着して膜エレメントを製造する方法において、
接着剤との親和性を高めるための親和化処理を接着部に施した後、前記接着剤による接着を行うことを特徴とする膜エレメントの製造方法。 - 請求項1において、前記膜エレメントは、疎水性の膜よりなる袋状膜の内部に透過水流路材が配置され、袋状膜同士の間には原水流路材が配置されているスパイラル型膜エレメントであって、
該袋状膜は第1、第2、第3及び第4の辺部を有した略方形であり、該第1、第2及び第3の辺部は封じられ、該第4の辺部は一部が開放部となり残部が閉鎖部となっており、
前記第4の辺部と直交する第1の辺部をシャフトに当てて袋状膜を巻回して巻回体とし、前記第4の辺部を該巻回体の後端面に臨ませ、該第4の辺部に対向する第2の辺部を該巻回体の前端面に臨ませ、
該袋状膜同士の間の原水流路は、該第3の辺部の全体が封じられると共に、第4の辺部にあっては、前記袋状膜の開放部と重なる箇所は袋状膜同士が接着剤によって接着された閉鎖部となっており、且つ前記袋状膜の閉鎖部と重なる箇所は開放部となっており、
該接着剤による該袋状膜同士の接着部に前記親和化処理が施されていることを特徴とする膜エレメントの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002238333A JP2004074023A (ja) | 2002-08-19 | 2002-08-19 | 膜エレメントの製造方法 |
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- 2002-08-19 JP JP2002238333A patent/JP2004074023A/ja active Pending
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