JP2004073880A6 - 癌を含む乳房疾患の乳房流体試料を収集するための装置 - Google Patents

癌を含む乳房疾患の乳房流体試料を収集するための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 患者の乳房器官から生物学的試料を収集するための新規な試料収集装置の提供。
【解決手段】 患者の乳房器官から生物学的試料を収集するための試料収集装置であって、乳房適合メンバーと乳房の乳首又は小葉内導管との間の流体連結を確立するための、患者の乳房への適用のための乳房適合メンバー;前記乳首又は小葉内導管からの乳房流体発現を誘発するか又は促進するために、前記乳房の乳首の表面での又は小葉内導管内の圧力を変えるために前記乳房適合メンバーと連結する圧力変更手段;及び前記乳首又は小葉内導管からの発現された乳房流体の試料を受けるための前記乳房適合メンバーと流体連結して存在する固相試料収集媒体を含んで成る装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、乳房流体から生物学的試料を収集し、アッセイする方法およびキットに関する。さらに詳しくは、本発明は、哺乳動物の被検体の乳腺から流体および細胞学的試料を収集し、アッセイして、感染、前癌症状、癌の感受性および癌を包含する乳房疾患を評価し、診断し、そして管理する方法およびキットに関する。
乳癌は女性における癌の最も普通の形態であり、そしてヒトにおける癌の死亡の第2の主要な原因である。乳癌の診断および治療における多数の最近の発達にかかわらず、この疾患の増勢は1940年以来約1%/年の速度で絶えず上昇し続けている。今日、北アメリカに住む女性が寿命中に乳癌を発生する可能性は8人につき1人である。
乳房造影法の現在の広範囲に及ぶ使用は乳癌の検出を改良した。それにもかかわらず、乳癌のための死亡率は女性の100,000人につき約27人で未変化のままである。しばしば、乳癌は進行し過ぎた段階で発見されるので、治療的オプションおよび生存率は非常に制限される。したがって、乳房の小さい(直径2cmより小さい)、初期の段階の上皮内癌を検出するために、いっそう感受性で信頼性ある方法が必要である。このような方法は、頸部癌の初期の検出および治療についてのパピニコラウスミア(Papinicolou smears)の好結果の使用により示唆されるように、乳癌の生存率を有意に改良するであろう。
初期の検出の問題に加えて、悪性および良性の乳房疾患の区別、既知の乳癌の段階判定(staging)、および異なる型の乳癌(例えば、エストロゲン依存性/非エストロゲン依存性腫瘍)の識別において重大な問題が残っている。乳癌の検出、段階判定および分類の改良された方法を開発するための最近の努力は、いわゆる癌「マーカー」の有望な配列に集中されてきている。癌マーカーは、典型的には、癌細胞により特異的に発現される(例えば、細胞表面のまたは分泌されたタンパク質として)か、あるいは正常の細胞に比較して癌細胞により測定可能に増加または減少したレベルで発現されるタンパク質である。他の癌マーカーは、特定の形態の癌に関連する遺伝子の発現のパターンまたはレベルにおける有害な変化または変更をマークする特定のDNAまたはRNA配列を包含することができる。
多数の、種々の乳癌マーカーが今日まで同定されてきており、そしてこれらの多数は予後および/または治療に関係する変数を決定するために重要な価値を有することが示された。予後の変数は、疾患の結果、例えば、再発または生存の可能性を予測する働きをする変数である。治療に関係する変数は、所定の治療計画の成功または失敗の可能性を予測する変数である。ある種の乳癌マーカーは明瞭に双方の機能を働く。例えば、エストロゲンレセプターのレベルは、治療に対して独立して、乳癌患者の再発および生存を予示し、また、内分泌治療に対する応答を予示する。Pertschuk et al.、Cancer、66:1663-1670、1990;Parl およびPosey 、Hum.Pathol. 、19:960-966、1988;Kinsel et al.、Cancer Res. 、49:1052-1056、1989;AndersonおよびPoulson 、Cancer、65:1901-1980、1989。
スクリーニングおよび診断、段階判定および分類、モニターおよび/または治療の目的のために特定の乳癌マーカーを利用することは、問題のマーカーの特質および活性に依存する。乳癌マーカーの一般的概観については、下記の文献を参照のこと:Portr-Jordan et al. 、Hemotol.Oncol.Clin.North Amer.、8:73-100、1994; およびGreiner 、Pharmaceutical Tech.、May 、1993、pp.28-44。これらの概観において反映されているように、乳癌マーカーの開発についての主要な焦点は、腫瘍発生、腫瘍増殖および癌の浸潤のオーバーラップする領域に集中した。腫瘍発生および腫瘍増殖は、種々の細胞増殖マーカー(例えば、Ki67、サイクリンD1および増殖する細胞核抗原(PCNA))を使用して評価することができ、それらのいくつかはその上重要な腫瘍遺伝子であることがある。
また、腫瘍増殖は、種々の成長因子およびホルモンのマーカー(例えば、エストロゲン、表皮成長因子(EGF)、erB-2、形質転換成長因子(TGF)α)を使用して評価することができ、これらは過度に発現、過小に発現されるか、あるいは癌細胞において変更した活性を示すことがある。同様に、オートクリンまたは外分泌成長因子およびホルモンのレセプター(例えば、インスリン成長因子(IGF)レセプター、およびEGFレセプター)は、また、腫瘍増殖に関連する発現または活性の変化を示すことがある。最後に、腫瘍増殖は、新しい血管の形成(elaboration)または成長を含む血管形成、および腫瘍発生および腫瘍増殖のマーカーとして働くことができる血管形成因子の付随する発現により支持される。
腫瘍発生、増加および増殖のマーカーに加えて、癌細胞の集団における浸潤および/または転移の可能性のインジケーターとして働くことができる多数のマーカーが同定されてきている。これらのマーカーは、一般的に、癌細胞とそれらの取り囲む微小環境との間の相互作用の変更を反映する。例えば、癌細胞が浸潤または転移するとき、細胞の付着または運動の因子の発現または活性において、検出可能な変化が起こることがあり、それらの例は癌マーカー、カテプシンD、プラスミノゲンアクチベーター、コラゲナーゼおよび他の因子を包含する。さらに、いくつかの推定上の腫瘍「サプレッサー」遺伝子(例えば、nm23、p53およびrb)の発現の減少または過度の発現は、劣った疾患の結果を予示する転移の可能性の増加または増殖の調節消失に直接関連づけられた。
要約すると、他の癌マーカーの中で、増殖因子、腫瘍遺伝子、成長因子および成長因子のレセプター、血管形成因子、プロテアーゼ、付着因子および腫瘍抑制遺伝子は、患者における癌の危険、存在、状態または将来の挙動に関する重要な情報を提供することができる。これらの癌マーカーの1または2以上の発現または活性の存在またはレベルの決定は、例えば、悪性異常を良性の異常と区別することによって、不確実の臨床的異常を有する患者の分別診断を促進する。さらに、確立された悪性を示す患者において、癌マーカーは将来の再発の危険、または特定の患者における選択した治療過程に対する応答の可能性を予測するために有効であることがある。特定の薬剤または治療のオプションに対する患者の応答を予測できる、高度に特異的な癌マーカー、またはマーカーの組合わせを分析することによって、なおいっそう特定の情報を得ることができる。
癌マーカーを検出しかつ測定する方法は、最近、免疫学的アッセイの開発により、特にモノクローナル抗体の技術を利用するアッセイにより、革新された。以前においては、多数の癌マーカーは慣用の生化学的アッセイ法を使用して検出または測定できるだけであった。このような生化学的アッセイ法は一般に多量の試験試料を必要とし、したがって多くの臨床的用途において不適当であった。対照的に、現代のイムノアッセイ技術は、特に標的(targeted)マーカータンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体を使用するとき、比較的非常に小量の試料中の癌マーカーを検出しかつ測定することができる。したがって、現在、慣用の生検法を介して得られた乳房組織を免疫組織化学的に染色することによって、選択した癌マーカーの存在または非存在、レベル、または活性をアッセイすることは日常的である。
免疫組織化学的染色の高度に感受性の特質のために、これらの方法は、また、慣用の生検検体に比較して低い侵入性の試料収集手法を必要とする、より小さい、針の生検検体中の癌マーカーを検出しかつ測定するために首尾よく使用することができる。さらに、患者からの非細胞試料、例えば、血清および他の生物学的流体中の癌マーカーの検出および測定を可能とする、他の免疫学的方法が開発されてきており、現在、この分野においてよく知られている。これらの別の試料源の使用は、慣用の生検試料を使用する手法に比較して、罹患率およびアッセイのコストを実質的に減少させ、初期のスクリーニングにおける癌マーカーのアッセイの適用、および侵入的生検手法(invasive biopsy)が適用されてない低い危険のモニタープログラムを可能とする。
乳癌の評価の目的で、癌マーカーのアッセイのための慣用のまたは針の生検試料を使用することはしばしば望ましくない。なぜなら、このようなアッセイの主要な目標は、癌が触知可能なまたは乳房造影的に検出可能な腫瘍段階に進行する前に、癌を検出することであるからである。この段階の前に、生検は一般に禁忌され、このような試料を使用する初期のスクリーニングおよび低い危険のモニター手法を維持不可能とする。したがって、生検よりも低い侵入性の手段、例えば、血清の抜き出しにより、乳癌マーカーのアッセイのための試料を得ることがこの分野において一般に要求されている。
乳癌マーカーのアッセイのために血清試料を使用する努力は成功が制限された。主として、標的(targeted)マーカーは血清中で検出不可能であるか、あるいはマーカーのレベルまたは活性の示される(tall tel)変化を血清中でモニターできないからである。さらに、血清中の乳癌の存在は多分微小転移の時に起こり、転移前の疾患の検出に対する血清アッセイの有効性を低下させる。対照的に、乳腺それ自体内の流体は、特にすべての乳癌の80%〜90%が乳腺の導管内上皮内(intraductal epithelium)において生こるという事実にかんがみて、血清よりも非常に高くかついっそう生物学的に有意義なレベルの乳癌マーカーを含有することが期待される。
乳房腺管(breast duct)内の流体は、肺胞管系(alveolar-ductal system)の取り囲む細胞により分泌されるか、あるいはそれらに対して作用する流体に匹敵する、ホルモン、成長因子および他のタンパク質のマーカー集合と液濃を含有することが予想される。同様に、乳房流体の液体画分中で検出可能でないことがある細胞内または細胞表面のマーカーを評価する細胞学的または免疫学的アッセイにおいて使用できる、細胞および固体の細胞断片(debris)を乳房流体は含有することが期待される。
乳房流体試料を利用する非侵入的乳癌マーカーを開発する従来の試みは、自発的乳首排出物を示す患者から得られた乳房流体の研究を含んだ。Inaji et al.、Cancer、60:3008-3013、1987により実施された、これらの研究の1つにおいて、慣用の酵素結合免疫アッセイ(ELISA)およびサンドイッチ型モノクローナル抗体のイムノアッセイ法を使用して、乳癌マーカーの癌胎児抗原(CEA)のレベルが測定された。これらの方法は、自然に排出された乳房流体中のCEAのレベルが触知可能でない乳癌の感受性インジケータを提供することに首尾よくかつ再現可能に証明した。また、Inaji et al.、Jpn.J.Clin.Oncol. 、19:373-379、1989による、引き続く研究において、CEA測定のためにいっそう感受性の乾式化学的ドット免疫結合アッセイを使用して、これらの結果は拡張された。
この後者の研究において、評価されたCEAレベルは触知可能な乳房腫瘍をもつと試験された患者の43%において存在し、そして触知可能でない腫瘍をもつと試験された患者の73%に存在することが報告された。排出された乳房流体中のCEAレベルは腫瘍内CEAレベルと高度に相関し、乳癌細胞によりCEA発現のレベルが乳房流体のCEA含量において密接に反映されることが示された。これらの結果に基づいて、自然に排出された乳房流体中のCEAについてのイムノアッセイは触知不可能な乳癌のスクリーニングに有効であると、著者らは結論した。
乳房流体の評価は自然乳首排出を経験する女性における触知不可能な乳癌をスクリーニングする有効な方法であることが示されたが、この症状は希であるためInaji et al.の方法を初期の乳癌のスクリーニングのための候補である女性の大部分に適用することは不可能である。さらに、上に引用された最初のInajiの報告は自然乳首排出に悩まされるある種の患者が10μlより少ない乳房流体を分泌することを決定し、これはその研究において使用されるELISAおよびサンドイッチイムノアッセイのためには臨界的に低いレベルである。他の癌マーカーのアッセイに使用される他の抗体はInajiおよび共同研究者らが使用した抗CEA抗体よりもなお低い感受性を示し、したがって、自然に排出された乳房流体の小さい試料の乾式化学的イムノアッセイにおいてさえ使用するために十分に適合可能ではなく、あるいは感受性ではないことがある。
前述の事柄にかんがみて、癌を包含する乳房疾患を評価し、診断し、そして管理するために、特に初期の段階の触知不可能な乳房腫瘍をスクリーニングするために、使用するための生物学的試料を得る、いっそう広く適用可能な、非侵入的方法および材料が、この分野において非常に要求されている。乳房疾患を評価し、診断し、そして管理して、特に選択した乳癌マーカー、または乳癌マーカーのパネルを検出または測定することによって、高度に特異的な、癌の予後および/または治療に関係する情報を提供し、そして前癌症状、癌の感受性、乳房の感染、および他の乳房疾患を診断しかつ管理するために、このような容易に得られる生物学的試料を利用する方法および物質が、関係して要求されている。
したがって、本発明の目的は、乳房疾患、特に癌を評価し、診断し、そして管理するアッセイにおいて使用できる生物学的試料を得る、非侵入的方法およびキットを提供することである。 本発明の他の目的は、広い範囲の患者に広く適用可能であり、かつ初期の段階の、触知不可能な乳房腫瘍をスクリーニングするのに有効なアッセイおよびキットを包含する、アッセイ法およびキットにおいて上記目的を達成することである。
本発明のなお他の目的は、臨床医に特定の予後および/または治療に関係する情報を提供するために、選択した乳房疾患のマーカー、例えば、乳癌マーカー、または乳癌マーカーのパネルを検出および/または測定することによって、乳房疾患、好ましくは乳癌を評価し、診断し、そして管理するために前述の生物学的試料を利用する方法およびキットを提供することである。
本発明は、哺乳動物の患者の乳房器官から生物学的試料を収集する非侵入的方法を提供することによって、これらの目的および下記の説明から明らかとなるであろう他の目的および利点を達成する。詳しくは、本発明の方法は、患者の乳首からの乳房流体の発現を刺激するために有効である量のオキシトシンまたはオキシトシン類似体を投与することを含む。オキシトシンを好ましくは鼻内に投与し、乳房の標的肺胞管組織に到達さ、ここでオキシトシンが肺胞管組織の筋上皮の収縮を刺激する。また、オキシトシンの筋肉内または脈管内注射を実施して、鼻内投与の経路と同一の筋上皮の収縮の応答を発生させることができる。次いで、乳房流体のコレクター、好ましくは搾乳ポンプを乳首に適用し、そして放出(expression)された乳房流体を受容するために使用する。
搾乳ポンプの使用を含む好ましい方法において、負圧を乳房上に発生させて、オキシトシン刺激された乳房流体の放出を促進する。また、搾乳ポンプを使用しないで乳房流体を放出させ、収集することができる。これは、オキシトシンの投与量を増加するか、あるいは乳房流体が乳首から完全に放出される前に、投与後の時間を長くすることを必要とすることがある。乳房流体の放出過程の間または後に、生物学的試料を放出された乳房流体から収集し、この試料は全乳房流体、乳房流体の全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、選択した液体、細胞または他の固体の画分、ならびに乳房流体のタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド(DNAおよびRNAのポリヌクレオチドを包含する)および他の同様な生化学的および分子の構成成分から成ることができる。
本発明の関係する面において、哺乳動物の患者の乳房器官から得られた生物学的試料中の乳房疾患のマーカー、特に乳癌マーカーの存在または量を決定する方法が提供される。これらの方法は、哺乳動物の患者において乳房流体の放出を刺激するために十分な量のオキシトシンまたはオキシトシン類似体を患者に鼻内、筋肉内または脈管内投与することを含む。オキシトシンを標的肺胞管組織に到達させ、前記組織を刺激するために十分な投与後の時間がいったん経過した後、乳房流体を乳首から直接収集するか、あるいは、前述したように乳房をポンプ吸引し、放出された乳房流体から生物学的試料を収集する。試料が収集された後、バイオアッセイを実施して、試料中の乳房疾患のマーカーの存在および/または量を決定する。
これに関して適当なバイオアッセイは、乳房感染の既知のマーカーを検出するアッセイ、例えば、免疫学的プローブまたは他の適当なプローブを使用して、特異的抗原、および細菌およびウイルスの病原体を包含する、選択した病原体により発現される他のマーカーを検出するアッセイを包含する。より好ましいバイオアッセイは、良性乳房腫瘍、前癌乳房疾患、および/または乳癌の個々のマーカーまたはマーカーのパネルを検出するであろう、このようなアッセイは免疫学的プローブまたは他の適当なプローブを使用して、特異的抗原、および乳房の良性の、前癌の、および/または癌性肺胞管細胞により発現される他のマーカーを検出する。
本発明のなお他の面において、哺乳動物の患者の乳房器官から得られた生物学的試料中の乳房疾患のマーカー、特に乳癌マーカーの存在または量を決定するキットが提供される。このキットは、生物学的に適当な担体中のオキシトシンの製剤を含む。好ましくは、オキシトシン製剤は鼻内スプレーのアプリケーターの中に準備されたオキシトシン溶液である。キットは、また、発現された乳房流体から生物学的試料を収集する収集装置を含み、この収集装置は試料流体の溜から固相バイオアッセイの中に直接組込むすることができる固相媒質までの範囲であることができる。
これに関して、オキシトシンの刺激後に乳首からの乳房流体の発現を促進する負圧を乳房に加え、かつ生物学的試料の収集のために搾乳ポンプ内に組込まれた溜または固相収集装置を提供するという二重の目的を達成する、任意の搾乳ポンプを設けることもできる。本発明の特に好ましい態様において、キットは、生物学的試料中の乳房疾患のマーカーの存在または量を検出する組成物および/または装置、例えば、乳癌マーカーに結合するか、あるいはそれと反応する免疫学的プローブまたは分子プローブを含む。
前述したように、本発明は乳房流体から生物学的試料を得る方法を提供する。好ましくは、これらの方法は非侵入的であり、非外科的でありかつ針または他の侵入装置による乳房の貫通を含まないことを意味する。非侵入的試料収集方法を達成するために、特別に、本発明は、乳房流体の発現を促進するために搾乳ポンプを適用するとき、患者の乳首からの乳房流体の放出を刺激するために有効な量のペプチドホルモンのオキシトシンを哺乳動物の患者に投与ことに頼る。好ましくは、オキシトシン調製物を鼻内に投与し、そして乳首からの乳房流体の放出を刺激するために鼻内的に有効な量において投与される。
オキシトシンは脳下垂体由来のペプチドホルモンであり、吸引に応答して泌乳期の女性の血流の中に自然に放出され、そして哺乳動物の肺胞および導管の中の筋上皮細胞の収縮を刺激して乳の射出を引き起こす。Cobo、J.Perinat.Med.、21:77-85、1993。この薬剤は、また、子宮の収縮を刺激する活性を有するために、妊娠した女性における分娩を刺激するために広く使用されてきている。Satin et al.、Am.J.Obstet.Gynercol. 、166:1260-1261 、1992。これらの理由で、オキシトシンの薬理学はよく研究されてきており、有効投与量、半減期および潜在的副作用の詳細な研究を包含する。
本発明において使用するために、生物学的に適当な液状担体の中にオキシトシンを含有するオキシトシン調製物は、鼻内、筋肉内、または脈管内投与のために提供される。最も経済的なオキシトシン調製物は、種々の供給会社、例えば、サンド(Sandoz)(スイス国バーゼル)およびユナイテッド・ステイツ・ファーマコペイア(United State Pharmacopeia)から入手可能な合成オキシトシン類似体(例えば、Pitocin R またはSyntocinonR )を利用する。哺乳動物源からの天然に存在するオキシトシン、ならびに他の既知の天然に存在するオキシトシン様ペプチド類似体および肺胞管の筋上皮の収縮を刺激する同様な活性を有するそれらの合成同等物はもちろん適当である。(例えば、Amico et al.、J.Clin.Endocrinol.Metab.、60:5、1985、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる、を参照のこと)。
本発明の方法およびキットにおいて使用するために、好ましいオキシトシン調製物はほぼ40単位のオキシトシン/mlの液状担体を含有する。好ましい液状担体は、生物学的に適合性の溶液、例えば、加乳酸リンゲル溶液または他の生理学的に均衡した、無菌の、無毒および非刺激性溶液である。オキシトシンを鼻内に投与するために、標準的鼻のスクィーズボトルを使用し、このスクィーズボトルは、絞ったとき、患者の鼻の中にほぼ0.5mlのオキシトシン調製物を送出す。
オキシトシンは鼻粘膜により全身的循環系の中に吸収され、ここでオキシトシンは乳房の肺胞を取り囲みかつ乳管壁を構成する筋上皮細胞上に到達しかつ特異的に作用し、それらの平滑筋線維を収縮させ、存在する流体を大きい管または洞の中に強制的に入れ、ここで流体は乳首から試料コレクター上に自発的に放出されるか、あるいは搾乳ポンプのそれ以上の作用により発現されることができる。ヒトの血流中のオキシトシンの半減期は、腎臓、肝臓、および乳腺により血漿からの急速な除去のために、極めて短く、約10〜15分またはそれより短いと推定され、そして薬理動態および臨床的定常状態までの時間は投与のモードに依存して容易に決定される(例えば、ボーラス投与、反復投与、または定常注入)。(例えば、Gonser、Arch.Gynecol.Obstet.、256:63-66 、1955;およびOrhue 、Obstet.Gynecol. 、83:229-233、1994、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる、を参照のこと)。
したがって、搾乳ポンプの補助を使用するか、または使用しないで乳房流体の放出を引き起こすために有効な(鼻内的に有効な、静脈内的に有効な、または筋肉内的に有効な)量のオキシトシンを投与するために適当なオキシトシン調製物の濃度および投与量を決定することは日常的事柄である。(例えば、下記の文献を参照のこと:Newton、 Ann.N.Y.Acad.Sci. 、652:481-483;Mena、Neuroendocrinology、61:722-730、1995;Gonser 、Arch.Gynecol.Obstet.、256:63-66 、1995;Orhue、Obstet Gynecol. 、83:229-233、1994;Satin et al. 、Am.J.Obstet.Gynercol. 、166:1260-1261 、1992; およびSatin et al.、Obstet Gynecol. 、83:234-238、1994、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
すべての女性の患者が鼻内オキシトシンの刺激に対して応答することを期待するわけではないが、本発明の目的のためのオキシトシンの鼻内的に有効量を容易に決定することができる。本明細書において使用するとき、オキシトシンの鼻内的に有効量は、搾乳ポンプにより加えられた50〜200mmHgの乳首への負圧の助けにより、非泌乳の女性の少なくとも50%において、オキシトシンスプレーの最初の投与後45分までに、少なくとも3μlの乳房流体の放出を鼻内的に刺激するために十分な量である。低い、予備的投与量のオキシトシンを患者に投与すること、例えば、各鼻孔の中に40単位/mlのオキシトシン溶液の単一のスプレー、またはより低い濃度のオキシトシン溶液の多数回のスプレーを投与し、次いで待機して特定の患者の感受性を測定することは必要であることがあり、事実好ましい。
2〜15分、好ましくは2〜5分の投与後の短い期間後に搾乳ポンプの初期の適用で反応が存在しない場合、ブースター投与量のオキシトシンのスプレーを投与し、ポンプを再び適用することができる。このようにして、臨床医は各患者の変化する感受性に対して投与量を調節し、これにより潜在的に悪い副作用を最小にすることができる。また、鼻内の投与が失敗したか、あるいはそうでなければ好ましい投与のモードとして禁忌される患者において、筋肉内または脈管内のオキシトシンの投与を同一の投与量および投与の原理に従い使用することができる。
いったん鼻内的に有効投与量のオキシトシンが投与され、臨床医が適当な投与後の期間を経過させてオキシトシンを標的肺胞管組織に到達させ、標的肺胞管組織を刺激すると、搾乳ポンプをよく知られている手法に従い適用し、負圧を乳房上に発生させて乳房流体の放出を促進する。本発明の方法の範囲内において、50〜200mmHgの負圧は好ましく、そして個々の患者の感受性、オキシトシンの投与量および他の因子に依存して、これらの負圧を、好ましくは間欠的に、ほぼ1〜15分間維持する。また、搾乳ポンプの助けなしに、本明細書において記載するように、発現された乳房流体を受容する試料コレクターを使用して、乳房流体の発現を達成することができる。
発現された乳房流体の体積は、種々の因子、例えば、オキシトシンに対する患者の感受性、送出されるオキシトシンの投与量、搾乳ポンプ投与の時間および圧力、および他の因子に依存して変化するであろう。本発明の最小の感受性の乳房マーカーのアッセイについて、300〜500μlの放出された乳房流体の体積はアッセイを実施するための十分な物質を提供するために好ましく、そしてこれらの体積は前述の方法に従い処置された女性の実質的な比率から得ることができるであろう。
300〜500μlの乳房流体を放出させるために、幾人かの女性は反復した刺激を必要とし、多分多数回の患者の訪問の間に得られた乳房流体試料のプールを必要とするであろう。しかしながら、本発明のいっそう感受性のアッセイ、例えば、固相イムノアッセイのために、特に乳房流体の中に自然に分泌され、したがって、例えば、分泌しない乳房上皮細胞の表面抗原または細胞内抗原に比較して、非常に高い濃度で存在することが期待される乳癌マーカーの場合において、このアッセイを実施するために3μlまたはそれより少ない非常により小さい試料は適当であろう。
乳房流体の放出過程の間または後に、生物学的試料を放出された乳房流体から収集する。全乳房流体、乳房流体の選択した液体または固体の画分、乳房流体の全細胞または細胞の構成成分、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド(DNAおよびRNAのポリヌクレオチドを包含する)および他の同様な生化学的および分子の構成成分を包含する、ある範囲の適当な生物学的試料が考えられ、これらは本発明の方法の範囲内において有用であろう。試料の収集は、単に、放出された乳房流体を適当な溜、例えば、通常の試料貯蔵容器またはアッセイ容器内に入れることによって達成することができる。
また、放出された乳房流体を慣用の緩衝液、希釈剤、抽出媒質またはクロマトグラフィーの媒質、フィルター、およびその他に暴露して、それ以上のプロセシングまたは所望のアッセイの中への直接的組込みのために試料を安定化または調製することによって、試料を収集することができる。
本発明の好ましい態様において、放出された乳房流体を固相媒質、例えば、顕微鏡のガラススライド、ニトロセルロースのフィルター、アフィニティーカラム、ドット・ブロットマトリックスまたは他の同様な媒質に暴露し、このような固相媒質は、所望のアッセイの中への組込みに好都合であるように、乳房流体の所望の成分、例えば、バルクまたは精製されたタンパク質を選択的に吸収し、結合し、濾過するか、あるいはそうでなければプロセスするであろう。当業者が理解しかつ容易に実施するように、本発明の範囲内において有用である考えられる試料収集手法および材料の範囲は広く、各選択したアッセイとともに変化するであろう。
本発明の基本的実用性は乳房流体から生物学的試料を得る、新規な、非侵入的方法にあるが、これらの試料中の重要な乳房疾患のマーカーを検出および/または測定する有効なアッセイを提供する追加の方法を開示する。これに関して、本発明は、生物学的試料中の乳房疾患のマーカー、特に乳癌マーカーの存在および/または発現レベルを決定する既知の手法および試薬を組込んだ、広い範囲のアッセイ方法を提供する。
本発明の範囲内に組込むとき、これらの方法は、哺乳動物の患者にオキシトシンを、好ましくは鼻内投与を介して、前述したように、患者において乳房流体の発現を刺激するために有効量において投与することを含む。オキシトシンをターゲット肺胞管組織に到達させかつ前記組織を刺激するために十分な投与後の時間がいったん経過すると、前述したように、乳房をポンプし、生物学的試料を収集する。試料を収集した後、試料についてバイオアッセイを実施して、試料中の選択した乳房疾患のマーカー、好ましくは乳癌マーカーまたは乳癌マーカーのパネルの存在および/または量を決定する。
本明細書において使用するとき、乳房疾患のマーカーという用語は、疾患を有する乳房の細胞により特異的に発現される(例えば、細胞表面のタンパク質または分泌されたタンパク質として)か、あるいは疾患を有する乳房の細胞によるか、あるいは乳房疾患に関連して統計学的に有意に、測定可能に増加するか、あるいは減少したレベルで発現される(例えば、乳房疾患に関連する感染因子により発現されたタンパク質)か、あるいは正常の乳房の細胞に比較して疾患を有する乳房の細胞により統計学的に有意に、測定可能に増加するか、あるいは減少したレベルで発現されるか、あるいは乳房疾患に関連して非疾患の乳房の細胞により発現される(例えば、疾患を有する乳房細胞またはそれから生産された物質の存在に応答して)発現される、細胞、細胞フラグメント、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、グリコリピド、または他の分子または生物学的材料を意味する。
乳房疾患のマーカーは、また、有害な遺伝的変化、または乳房疾患に有意に関連する遺伝子の発現のパターンまたはレベルの変更をマークする、特異的DNAまたはRNA配列を包含することができる。好ましい乳房疾患のマーカーは、乳房感染、良性の新形成、悪性の新形成、前癌症状、および癌の増加した危険に関連する症状を包含する。
本明細書において使用するとき、乳癌マーカーという用語は、癌細胞により特異的に発現されるか、あるいは疾患を有する乳房の細胞によるか、あるいは正常の細胞に比較して癌細胞により統計学的に有意に、測定可能に増加するか、あるいは減少したレベルで発現されるか、あるいは癌細胞に関連して非癌細胞により発現される(例えば、癌細胞またはそれから生産された物質の存在に応答して)発現される、乳房疾患のマーカーのサブセット、すなわち、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、グリコリピド、プロテオリピド、または他の分子または生物学的材料を意味する。
乳癌マーカーは、また、有害な遺伝的変化、または乳房疾患に有意に関連する遺伝子の発現のパターンまたはレベルの変更をマークする、特異的DNAまたはRNA配列を包含することができる。さらに、乳癌マーカーは、乳房流体の中に存在する全細胞の細胞学的特徴、例えば、核の包接または細胞形質の構造、あるいは独特に癌細胞により発現されるか、あるいは癌細胞に関連する染色の属性を包含することができる。
本発明の方法の範囲内において有効な乳癌マーカーの中で、サブセットは下記の代表的な総説論文に記載されている;Porter-Jordan et al.、Hematol.Oncol.Clin.North Amer.、8:73-100、1994;およびGreiner 、Pharmaceutical Tech.、May 、1993、pp.28-44、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる。他の適当なマーカーもまた、広く知られており、文献において一般に知られているか、あるいは入手可能である情報および方法を使用して本発明の方法の中に容易に組込むことができる。
本発明の範囲内において使用するために好ましい乳癌マーカーは、女性の患者における予後および/または治療に関係する変動を決定するために重要な価値を有することが示された、より特徴づけられたマーカーを包含する。前述したように、予後の変動は、疾患の結果を予測する働きをする変動、例えば、再発または生存の尤度およびタイミングである。治療に関係する変動は、所定の治療プログラムの成功または失敗の可能性を予測する。これらのマーカーの1または2以上の発現または活性の存在またはレベルの決定は、悪性または良性の異常を有する患者の分別的診断を促進することができ、そして再発の危険または選択した治療のオプションに対する応答の尤度の予測に有用である。
しかしながら、本発明は、ヒトの患者に対する臨床的応用に直ちに許容可能とする感受性および特異性の厳しい要件を満足する乳房疾患のマーカーのみに頼らないことに注意することは重要である。反対に、本発明の範囲内において考えられる多数の乳房疾患のマーカーは、これらの厳しい基準を満たさないが、それにもかかわらず、乳癌の検出、示差的に診断または管理するとき実質的に有益である、有用な情報を提供する。
このような非臨床的に受け入れられたマーカーは、基本的研究道具として、および臨床的応用において付属的道具として、本発明の方法の範囲内において即時の応用に有用である。これらの即時の応用を越えて、多数のこのようなマーカーは、特にマーカーの組合わせを分析して、個々のマーカー単独により生ずるデータよりも大きい予測的価値の相補的データを発生するアッセイ方法において、さらに開発され、そして本発明の方法に従い直接的臨床的適用可能な点まで洗練されることが期待される。
本発明の好ましいアッセイ法は、腫瘍発生、腫瘍増殖、血管新生および癌の浸潤に関連する乳癌マーカーに特に焦点が合わされ、この関連により、患者における癌の危険、存在、状態または将来の挙動に関する重要な情報を提供する。前述したように、腫瘍発生および腫瘍増殖は種々の細胞増殖マーカー(例えば、Ki67、サイクリンD1およびPCNA)を使用して評価することができる。腫瘍増殖は、また、種々の成長因子およびホルモンのマーカー(例えば、エストロゲン、EGF、erB-2、およびTGFα)、オートクリンまたは外分泌成長因子およびホルモンのレセプター(例えば、IGFおよびEGFレセプター)、または血管形成因子を使用して評価することができる。
腫瘍発生、増殖および成長のマーカーに加えて、多数のマーカーは、例えば、細胞付着または運動性因子の発現または活性の変化を示すことによって、癌細胞における癌の浸潤または転移の潜在性に関する情報を提供する。これに関する典型的なマーカーは、カテプシンD、プラスミノゲンアクチベーターおよびコラゲナーゼを包含する。さらに、いくつかの推定上の腫瘍「サプレッサー」遺伝子、例えば、nm23、p53およびrbの発現レベルは、癌細胞の転移の潜在性または増殖調節に関する重要なデータを提供する。これらのクラスの各々における大きい数および変量の適当な乳癌マーカーが同定され、そしてこれらの多数は乳癌に関する予後および/または治療に関係する変動を決定するために重要な価値を有することが示された。
本発明の各アッセイの前またはそれと同時に、試料の起源および/または品質を確認するための予備的評価を実施することが好ましい。このような予備的評価は、発現された乳房流体から収集された試料が事実乳房起源であり、かつ他の潜在的汚染物質、例えば、乳首を取り囲む皮膚からの汗で汚染されていないことを証明することに集中される。これらの試料の証明の目的のために、哺乳動物の乳房流体の中に存在することが知られており、かつ好ましくは乳房流体に対して高度に特異的なマーカー(すなわち、典型的には乳房流体の中に常に存在しかつ他の潜在的に汚染する体液および体の組織のすべてまたは大部分を含まないマーカー)である、乳房流体のマーカーを同定する種々のアッセイは利用可能である。
しかしながら、本発明の方法の範囲内の乳房流体のマーカーに対する特異性の許容されるレベルは、乳房流体の中に存在することが単に知られているマーカーにより提供されるが、それらは他の体液の中に存在することがある。1つのこのようなマーカーは、ヒトの血清、尿、唾液、涙、鼻の分泌物、膣の切片、精液、および乳房流体の正常の成分である、酵素のリゾチームである。
リゾチーム(ムラミダーゼ)は、細胞溶解を生ずる種々の微生物のムコ多糖体の細胞壁中のベータ1,4-グリコシド結合を加水分解する酵素である。リゾチームの定量的測定はよく知られている寒天プレートの拡散方法により達成され、この拡散方法は、カレスタッド、サノフィ・ダイアグノスティクス(Kllestad,Sanofi Diagnostics )(ミネソタ州チャスタ)から入手可能なQunatiplate R リゾチーム試験キットとともに提供される使用説明書(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)詳細に記載されている。
リゾチームよりもいっそう特異的である、試料の検査のための他の乳房流体のマーカーは本発明の方法の範囲内において好ましく、そして発表され、一般に知られている情報に基づいて本発明の範囲内に容易に組込むことができる。これらのマーカーの中で最も好ましいものは、乳房流体の中に特異的に発現または濃縮されるタンパク質および他の生物学的物質である。これに関して多様な配列の適当なマーカーが特徴づけられ、特異的な抗体、例えば、アフィニティー精製された抗体およびモノクローナル抗体を開発するために既に使用されてきている。
引き続いて、これらの抗体を免疫学的プローブとして使用して、選択した乳房流体のマーカーの存在または非存在を決定し、および/または定量して、乳房流体の試料の起源および品質を検査することができる。本発明の範囲内で使用するために特に重要である乳房流体のマーカーは、正常および癌性の乳房上皮細胞により特徴的に発現されるサイトカインを包含し、これらに対して抗体プローブの特定のパネルが既に開発されている。(例えば、Nagle 、J.Histochem. Cytochem.、34:869-881、1986、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる、を参照のこと)。
また、ヒト乳脂グロブリン(HMFG)タンパク質の糖タンパク質成分に相当するヒト乳房上皮抗原(HME-Ags)は乳房流体のマーカーとして有用であり、これらに対して特異的な抗原(例えば、HMFG1、英国ユニパス)も入手可能である。(下記の文献を参照のこと:Rosner et al. 、Cancer Invest.、13:573-582、1995;Ceriani et al. 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74:582-586、1982;Ceriani et al. 、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
本発明の範囲内において提供された乳房疾患のマーカーのアッセイを実施するために、乳房流体から収集された生物学的試料を一般にプローブに暴露する。このプローブは、選択した乳房疾患または乳癌のマーカーに特異的に結合するか、あるいはそうでなければ検出可能方法においてマーカーと相互作用して、試料中の乳房疾患または乳癌のマーカーの存在または非存在、または量を示す。この目的に選択されるプローブは、一般に、乳房疾患のマーカーの特徴、すなわち、マーカーはタンパク質のポリヌクレオチドまたは他の物質であるかどうかに依存するであろう。
本発明の好ましい態様において、乳房疾患のマーカーはタンパク質、ペプチドまたは糖タンパク質であり、それらのすべては特異的免疫学的プローブを使用して乳房疾患のマーカー中で有効に標的化される。これらの免疫学的プローブを共有結合した標識で標識化してプローブを検出するシグナルを与えるか、あるいは、例えば、免疫学的プローブに結合して検出可能なシグナルを提供する標識化二次抗体により、間接的に標識化することができる。
非ヒト(例えば、ネズミ、ウサギ、ブタ、ウマ)抗血清またはモノクローナル抗体を生産する一般的方法はよく知られており、例えば、選択した乳房疾患のマーカーのタンパク質、マーカータンパク質配列の一部分を含むように合成されたペプチド、マーカータンパク質配列の一部分を含む分解産物、または異質タンパク質またはペプチドに結合したマーカータンパク質のすべてまたは一部分を含む融合タンパク質で動物を免疫化することによって、達成することができる。
種々の態様の範囲内において、モノクローナル抗体を産生する細胞を免疫化された動物から獲得し、永久分裂能化し、そしてスクリーニングするか、あるいはまず選択した乳癌マーカーのタンパク質またはペプチドに結合する抗体の産生についてスクリーニングし、次いで永久分裂能化する。非ヒト抗原の抗原結合領域(すなわち、F(ab')2 または超可変領域)をヒト抗体のフレームワークの中に組換えDNA技術により移して、実質的にヒトの分子を産生することが望ましいであろう。このような「ヒト化」分子を産生する方法は、一般によく知られており、例えば、米国特許第4,816,397号明細書(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。
また、ヒトモノクローナル抗体またはその一部分は、まずヒトB細胞のcDNAライブラリーを、Huse et al. 、Science 、246:1275-1281 、1989(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている方法に従い、選択した乳房疾患のマーカーに特異的に結合するDNA分子についてスクリーニングすることによって同定することができる。次いでDNA分子をクローニングし、増幅して、所望の特異性の抗体(または結合ドメイン)をコードする配列を得ることができる。
また、本発明の範囲内において、各免疫グロブリン分子上に独立の抗原結合部位を有する二価抗体(例えば、Thromb.Res.Suppl. 、X:83、1990 、およびThe Second Annual IBC International Conference on Antibody Engineering、A.George編、Dec.16-18 、1991;各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる、に記載されている)、ならびに異なる特異性を有する個々の抗体のパネルが考えられる。本発明の範囲内において特に使用される二価抗体および抗体のパネルは、2またはそれ以上の選択した乳房疾患のマーカーに結合して、個々のマーカー単独により生ずるデータよりも大きい予測的価値を有する相補的データを発生する抗体および抗体のパネルを包含する。
モノクローナル抗体は、選択した乳房疾患のマーカーの存在または活性を検出し、画像形成し、および/または定量するプローブとして、本発明の範囲内において特に有用である。これに関して、1または2以上のよく知られた標識化、例えば、色素、フルオレセインのタグまたは放射性標識を組込んだ、選択した乳房疾患のマーカーに特異的に結合するモノクローナル抗体が提供される。このような標識を組込むことによって、抗体を日常的アッセイにおいて使用して、乳房流体を包含するか、あるいはそれから誘導された生物学的試料中の1または2以上の選択した乳房疾患のマーカーの発現、局在化および/または活性を決定することができる。
乳房疾患について危険であるか、あるいは乳房疾患を有することが知られている特許から採った被験試料中の選択した乳房疾患のマーカーの発現、局在化および/または活性を決定する、これらのアッセイの結果を、乳房疾患について陰性の正常の患者から得られた、同一のマーカーを検出および/または定量する対照研究からの結果と比較することができる。この方法において、基線およびカットオフ値を日常的方法に従い決定して本発明のアッセイを洗練させ、それらを直接的臨床的応用のために採用することができる。
本発明の生物学的試料中の乳房疾患のマーカーの検出および/または定量は、種々の方法により達成することができる。これに関して好ましい方法は、なかでも、よく知られたELISAイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、および種々の固相イムノアッセイ、例えば、ウェスタンブロッティング、ドットブロットおよびアフィニティー精製イムノアッセイを包含する。乳房疾患のマーカーの発現および/または活性を検出および/または定量するために非抗体プローブを使用する、匹敵する方法は、本明細書において開示されるか、あるいはこの分野において何処かに開示されかつ知られている。
本発明の範囲内において使用するために適当な非抗体プローブは、例えば、標識化ヌクレオチドのプローブを包含し、このプローブは、標準的または高いストリンジェンシイにおいて、腫瘍遺伝子のDNA転写物にハイブリダイゼーションし、そして増加した乳房疾患の危険に関連するか、あるいは乳房疾患のマーカーのタンパク質をコードするRNA転写物に関連する他のDNA配列にハイブリダイゼーションする。他の適当なプローブは、標識化リガンド、結合相手および乳房疾患のマーカーのコファクター(例えば、成長因子レセプターのリガンド、または乳癌関連プロテアーゼの基質、例えば、カテプシンD)を包含する。
本発明のある種の好ましい態様において、cDNAおよびオリゴヌクレオチドのプローブをノザン、サザンおよびドットブロットのアッセイにおいて使用して、発現された乳房流体から収集された細胞試料中の選択した乳房疾患のマーカーの発現のレベルを同定しかつ定量する。これらのに従う乳房疾患のマーカーの発現レベルの測定は、広い範囲の乳房疾患、例えば、哺乳動物、特にヒトにおける癌の発生、増殖および浸潤を評価する予後および治療に関係する重要な情報を提供するであろう。例えば、オリゴヌクレオチドのプローブを利用するアッセイは、乳癌に関連する遺伝性遺伝的病変を評価し、かつ患者における前癌、初期の癌性および同様に転移性病変を区別する、初期のスクリーニングを促進するであろう。
前述の試料収集およびアッセイの方法に加えて、本発明は、また、本発明の試料収集およびアッセイの方法を実施するための試薬および成分を含んでなるキットおよび多容器のユニットを提供する。簡単に述べると、これらのキットは、乳房流体から生物学的試料を得るための基本的成分、例えば、生物学的に適当な担体の中にオキシトシンの製剤を含む。好ましくは、オキシトシン調製物は、鼻内スプレーのアプリケーターの中に準備され、ほぼ40単位のオキシトシン/mlの液状担体を含有し、前記担体は簡単な、安価な緩衝化生理食塩水である。
好ましいアプリケーターは、オキシトシンの液体スプレーを患者の鼻孔の中に向けるノズルを有する、種々の加圧エーロゾルまたはハンドポンプ溜の形態の任意のものであることができる。また、キットは、好ましくは、発現された乳房流体から生物学的試料を収集する収集装置を含み、この収集装置は簡単な液体の溜から、固相バイオアッセイの中に直接組込むことができる固相媒質の範囲であることができる。
これに関して、ヒトの乳房に負圧を適用できかつ乳首を取り囲む区域に約50〜200mmHgの間欠的または持続的負圧を発生させるようにデザインされた、任意の搾乳ポンプを提供することもできる。より好ましくは、搾乳ポンプは、オキシトシンの刺激後に乳首からの乳房流体の発現を促進する負圧を加え、かつ搾乳ポンプ内に組込まれ、生物学的試料を収集する溜または固相の収集装置を提供するという二重の目的を達成する。
本発明のアッセイ法を実施するキットは、発現された乳房流体から生物学的試料を収集する適当な容器または他の装置を包含する。発現された乳房流体から収集できる広い範囲の適当な生物学的試料に対応する、ある範囲の適当な収集装置が考えられる。例えば、全乳房流体を収集するために、簡単な無菌の容器または溜が提供される。
また、乳房流体の選択した液体または固体の画分を受容するか、あるいは分配し、乳房流体の細胞または細胞成分を受容するか、あるいは分配し、あるいは乳房流体から精製されたまたはバルクタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド(DNAおよびRNAのポリヌクレオチドを包含する)または他の同様な生化学的および分子の構成成分を受容するか、あるいは分配するために、種々の固相装置、例えば、顕微鏡のガラススライド、膜、フィルター、ビーズおよび同様な媒質が提供される。
本発明の特定の態様の範囲内において使用するために容易に採用できる、広範な種類のこのような試料収集装置は、本明細書において開示されるか、あるいは他の広く知られているか、あるいは文献に記載されている。これらの収集装置は搾乳ポンプの1成分(例えば、発現された乳房流体がポンプされるとき、それを直接的に受容するか、あるいはそれと接触するようにポンプ内に配置された、除去可能な流体溜またはフィルター)として提供するか、あるいは別々に提供することができる(例えば、アッセイの目的で生物学的試料を収集するために乳房流体および乳房流体の成分がそれに対して暴露される、非一体的膜、フィルター、アフィニティーカラムまたはブロット物質として)。
本発明のいっそう詳細な態様において、キットは、生物学的試料中の乳房疾患のマーカーの存在および/または量を検出する試薬および/または装置、例えば、乳癌マーカーと結合するか、あるいは反応する免疫学的プローブまたは分子のプローブを含む。これらの可能な試薬または装置は、生物学的試料中の乳癌マーカーの存在または量を検出する免疫学的プローブおよび非免疫学的プローブである。キットは、また、適当な緩衝剤、保存剤、例えば、プロテアーゼインヒビター、プローブを標識化する直接またはサンドイッチ型標識、および/または標識からのシグナルを検出する現像試薬を含有することができる。
1つの面において、本発明のキットは、試料中の乳癌マーカーを検出しおよび/または測定するために有用なモノクローナル抗体を含有する。このような抗体は前もって標識化するか、あるいはキットの中に必要に応じて含められた二次抗体に結合させることによって検出することができる。抗体試薬は別々の容器の中に準備するか、あるいは1系列の容器の中に組合わせて準備することができる。
本発明のなお他の面の範囲内において、キットは乳癌マーカーのタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子を検出する配列特異的オリゴヌクレオチドのプライマーを含有する。このようなプライマーは別々の容器の中に準備するか、あるいは1系列の容器の中に1または2以上のプライマーの対の組合わせで準備することができる。この分野における一般的知識および本明細書における説明に基づいて、本発明のアッセイを実施するための特定の使用説明書を含有するキットを包含する、他のキットの広い選択は本発明の範囲内においてなされる。
下記の実施例は本発明の例示であるが、本発明を限定するものと解釈すべきではない。実施例1.搾乳ポンプの適用と組合わせたオキシトシンの鼻内投与による乳房流体の放出の刺激
オキシトシンの経鼻溶液は、乳房の肺胞を取り囲み、乳管の壁を構成する筋上皮要素に特異的に作用し、それらの平滑筋線維を収縮させ、こうして流体を大きい管または洞の中に提供し、ここで搾乳ポンプの作用により流体は乳首から発現される。鼻スプレーは鼻粘膜により急速に吸収され、全身の循環系の中に入る。スプレー調製物の鼻内適用は、実際的な有効な投与法により実施される。ヒトの循環系中のオキシトシン半減期は極めて短く、ほぼ10〜15分であり、次いでオキシトシンは血漿から腎臓、肝臓、および乳腺により急速に除去される。
オキシトシンの子宮を収縮させる既知の作用のために、妊娠している女性は、早期の分娩の危険よりまさる試験の利益がないかぎり、本明細書に記載される方法により処置されない。
オキシトシンの経鼻溶液は天然または合成のオキシトシン、またはその機能的類似体を含有し、その濃度は、乳房流体の発現を促進するために搾乳ポンプを乳首に適用したとき、患者の乳首からの乳房流体の発現を刺激するために選択された体積のスプレーの投与で鼻内的に有効である濃度である。この実施例において、乳酸加リンガー溶液の1ml当たりほぼ40USP単位のオキシトシンを含有する好ましいオキシトシン調製物を鼻の中に、患者が座っている位置にあるとき、直立させて保持されたスクィーズボトルで投与する。1回または2回のスプレーを標準的な鼻のスクィーズボトルから各鼻孔の中に投与し、このスクィーズボトルは、絞ったとき、患者の鼻の中にほぼ0.5mlのオキシトシン溶液/スプレーを微細な噴霧で送出す。
投与されるスプレーの回数およびカラム、ならびに溶液中のオキシトシンの濃度は、よく知られている薬物速度論の原理に従い調節して(例えば、下記の文献を参照のこと:Newton、Ann.N.Y.Acad.Sci. 、652:481-483;Mena、Neuroendocrinology、61:722-730、1995;Gonser 、Arch.Gynecol.Obstet.、256:63-66 、1995;Orhue、Obstet Gynecol. 、83:229-233、1994;Satin et al. 、Am.J.Obstet.Gynercol. 、166:1260-1261 、1992; およびSatin et al.、Obstet Gynecol. 、83:234-238、1994、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)患者に投与されるオキシトシンの量が、搾乳ポンプの助けにより、非泌乳女性の患者の少なくとも50%において少なくとも3μlの乳房流体の発現を刺激するために鼻内的に有効な量に相当するようにする。例えば、臨床医が各患者の変化する感受性に対して投与量を変更することができ、これにより潜在的に悪い副作用を最小するために、患者に送出されるスプレーの回数、および/またはスプレーの送出のタイミングを調節することが望ましいことがある。
この実施例において、40単位/mlのオキシトシン溶液の単一のスプレーの予備的投与量を患者の各鼻孔の中に送出し、そして投与の臨床医は2〜3分の投与後の短い期間の間待機する。この期間後、搾乳ポンプを適用し、臨床医は送出されたオキシトシンの量が搾乳ポンプ促進された乳房流体の発現を刺激するために十分であったかどうかを決定する。この段階において流体が発現されない場合、オキシトシン溶液の1または2回のスプレーのブースター投与量を各鼻孔に投与し、そしてブースター投与後5〜10分に、搾乳ポンプを再び適用する。
鼻内的に有効な投与量のオキシトシンが投与され、臨床医が適当な投与後の期間を経過させてオキシトシンをターゲット肺胞管組織に到達させ、その組織を刺激させた後、よく知られている手法に従い搾乳ポンプを適用する。50〜200mmHgの負圧を乳首の区域に加え、個々の患者の感受性、オキシトシンの投与量および他の因子に依存して、間欠的または連続的に、ほぼ1〜15分間維持する。また、オキシトシンはよく知られている手段(Oxytocin Injection(synthetic) 、USP;Wyeth-Ayerst Laboratories)により筋肉内または脈管内の経路により投与して、鼻内投与と同一の応答を得ることができる。
前述の方法により、少なくとも3μlの流体を含有する乳房流体の一次的試料は、非泌乳の女性の患者の50%またはそれより多くにより発現される。乳房流体の発現の工程の間または後に、生物学的試料を発現された乳房流体から収集する。この実施例において、ニトロセルロースのフィルターを搾乳ポンプ内にそのポンプの中への発現された乳房流体の通路とインラインで配置して、発現された流体がフィルターと接触するようにする。
発現された乳房流体の一次的試料がフィルターと接触すると、乳房流体の細胞、タンパク質および他の所望の成分はフィルターに付着して、引き続く分析のためのフィルター結合生物学的試料を形成する。他の適当な生物学的試料は、全乳房流体の試料、全細胞の細胞学的試料、膜または他の細胞成分、および一次的乳房流体試料のタンパク質、糖タンパク質、ペプチド、ヌクレオチドおよび他の成分を含有する試料を包含し、よく知られている原理および方法に従い、前述の手法の適当な変法により収集することができる。
実施例2.リゾチーム分析を使用する試料起源および品質の検査
前述の方法により得られた乳房流体みら一次的試料または収集された試料が乳房起源でありかつ同様な汚染物質により汚れていないことを確認するために、正常の乳房流体の1または2以上の成分をアッセイする。この実施例において、乳房流体の中に通常存在する酵素、すなわち、リゾチームを一次的乳房流体試料中でアッセイして、試料が乳房起源であることを確証を促進する。
リゾチーム(ムラミダーゼ)は種々の微生物のムコ多糖体の細胞壁中のベータ1,4-グリコシド乳房流体を加水分解する酵素であり、その活性は日常的な、費用のかからないアッセイを使用して容易に検出し、定量することができる。リゾチームを一次的乳房流体試料中でコンティプレード・リゾザイム・テスト(Quantiplate Lysozyme Test)キット(Kallestad 、ミネソタ州チャスタ)により測定する。
このアッセイは製造業者により提供されかつ製造業者の使用説明書の中に詳細に説明されている試薬および手法を使用するが、ただし乳房流体試料を血清、尿または涙の代わりに使用する。これらの結果を分析すると、ヒトの血清、尿、唾液、涙、鼻の分泌物、膣の分泌物、精液、および乳房流体の通常の成分であるリゾチームを試料が含有することが確立される。
いっそう特定のアッセイをリゾチームのアッセイの代わりに使用するか、あるいは、特にヒトの患者の臨床的データが集められている場合、リゾチームのアッセイの結果を補充するために使用する。リゾチームよりも特異的である試料の検証のための他の乳房流体のマーカーを、発表されかつ一般的に知られている情報に基づいて、本発明の範囲内に容易に組込むことができる。1つの実施例において、カテプシンDの存在を下記の文献に記載するモノクローナル抗体および方法により実施する:Vetvicka et al. 、Biochem.Mol.Biol.Int'l. 、30:921-928、1993(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
他の実施例において、ヒトの乳脂グロブリン(HMFG)タンパク質の糖タンパク質に対応する1または2以上のヒトの乳房上皮抗原(HME-Ags)を、一次的乳房流体試料、または乳癌マーカーのアッセイにおいて使用する生物学的試料中において、下記の文献に記載されているように、特異的抗体のプローブを使用して検出する:Rosner et al. 、Cancer Invest.、13:573-582、1995;Ceriani et al. 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74:582-586、1982;Ceriani et al. 、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
多数の場合において、例えば、HME-Agsについてのアッセイ(ここでHME-Agsの発見は試料の起源/品質、およびまた試料中の特定の乳癌マーカーの存在および/または量を示す)について実施例4において後述するように、試料の検証アッセイを乳癌マーカーのアッセイの中に、単一の手法において、組込むことができる。他の実施例において、試料の検証は種々のサイトカインをターゲットとする組合わせ(すなわち、多数のマーカー)のイムノアッセイにより達成され、これらのサイトカインは乳房組織の試料において発現されたサイトカインのパネルとして検出することができる。(Nagle 、J.Histochem.Cytochem. 、34:869-881、1986、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる、を参照のこと)。
これらのサイトカイン(例えば、K5、K8、K18およびK19)の1または2以上は乳癌のアッセイに関して同時にまたは個々に測定することができ、そして主題の1または2以上のサイトカインの発現レベルは患者における乳癌の存在または状態に関する情報を発生させることができる(例えば、下記の文献を参照のこと:Focus 、Harvard University News Office、March 21、1991、pp.2-3; およびLee 、Proc.Natl.Acad.Sci. 、88:1991 、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
実施例3.乳房流体からの生物学的試料における細胞学
この実施例において、実施例1に記載するように得られた試料から乳房疾患を同定しかつ分類するために、慣用の細胞学的技術に使用することを記載する。試料コレクターの中に試料を収集した後、顕微鏡のきれいなガラススライドの中央領域を試料と接触させ、カバーガラスを試料上でスライドさせて、スライドの表面に沿って試料を広げる。このスライドを空気乾燥し、次いで、例えば、無水アルコール中で、固定し、標準的細胞学的染色試薬、例えば、メチレンブルー、ヘマトキシリンおよびロジン、および他の適当な染色試薬で染色する。
次いで、スライドを光学顕微鏡により既知の方法、例えば、下記の文献に記載されている方法に従い、細胞および細胞のかたまりの異型増殖の証拠について検査する:″Diagnosis of Non-PalpableBreast Lesions:Ultrasonographically Controlled Fine-Needle Aspiration:Diagnostic and prognostic Implications of Cytology″、Jacqueline Mouriquand 著、S.Kargr Pub.発行:July 1993 、ISBN:3805557477 ;″Breast:Guides to Clinical Aspiration Biopsy ″、Tilde S.Kline 、Irwin K.Kline 著、Igaku-Shoin MedicalPub.発行:May 1988、LSBN:0896401596 ;″Cytopathology of the Breast(Asop Theory and Practice of Cytopathology:5)″、Shahla Masood 著、American Society of Clinical Pathology:November 1998、ISBN:0981893806 ;″Fine Needle Aspiration Cytology and Its ClinicalApplications:Breast and Lung″、Philip S.Feldman著、American Society of Clinical Pathology:November 1984、ISBN:0981891846 、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
実施例4.乳房流体からの生物学的試料中の乳房上皮抗原についてのイムノアッセイ
ヒトの乳房上皮抗原(HME-Ags)は、ヒトの乳脂グロブリン(HMFG)および乳房上皮細胞の膜の糖タンパク質成分であり、これらは乳房腫瘍により放出されるが、正常の乳房組織により放出されない。(Ceriani et al.、Proc.Natl.Acad.Sci. 、74:582-586、1977、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。この実施例において、 Ceriani et al. 、Proc.Natl.Acad.Sci. 、79:5420-5425、1982(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているように製造されかつ使用された、特定の抗HMFGまたは抗ヒト哺乳動物上皮(α-HME)プローブを使用して、150、70、および45キロダルトンの分子量を有する、いくつかのHME-Agsを検出し、測定する。
このアッセイを開始するために、ニトロセルロースのフィルター上に収集された乳房流体からの生物学的試料を、標準的方法に従い、リン酸緩衝生理食塩水の中に電気泳動的に溶離して被験試料を得る。また、乳房流体から得られた全乳房流体または他の型の生物学的試料を適当な媒質または混合物中で構成して、アッセイのための被験試料を得る。こうしていったん被験試料が得られると、それを下記の文献に記載されているHME-Agsラジオイムノアッセイ(RIA)法に従いアッセイする:Ceriani et al.、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
簡単に述べると、RIAは妨害因子を分離するための生物学的試料の2つの予備的処理を含む:存在する脂肪を分離するための遠心工程、およびポリエチレングリコール(PEG)を使用する潜在的免疫複合体を沈降させる第2の沈降工程。次の工程は固有のアッセイを含み、ここで固体の支持体(マイクロタイタープレート)に結合したHMFG抗原を化学量論的量またはそれより少ない量のα-HME抗体に提示し、そして前述したように予備的に処理した乳房流体からの生物学的試料によりα-HMEの結合を完結する。最終工程において、放射性ヨウ素化、アフィニティー精製されたウサギ抗マウス免疫グロブリンによりα-HME抗体を検出することによって、固相上のHMFG抗原に結合したα-HMEの量を測定する。
このアッセイにおいて使用する溶液は下記の通りである:i)リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS):176mlの0.05MのKH2 PO4 、608mlの0.05MのNa2 HPO4 、およびH2 O(pH7.4)中で1000mlとする量の8gのNaCl、ii)RIA緩衝液:PBS中の0.3%のトリトン-X100(Research Prod.International Corp. 、イリノイ州マウントプロスペクタト)+0.05%のアジ化ナトリウム中の0.1%のBSA、iii)洗浄剤緩衝液:PBS中の0.3%のトリトン-X100+0.05%のアジ化ナトリウム、iv)緩衝化ポリエチレングリコール(PEG):PBS中の6.6%のPEG)(分子量8000)(Sigma)+0.05%のアジ化ナトリウム)報告されているようにクロラミン-T手法により放射性ヨウ素化され(Ceriani et al.、Proc.Natl.Acad.Sci. 、79:5420-5425、1982)そしてRIA緩衝液中の4×106 cpm/mlに希釈された、125 I標識化アフィニティー精製ウサギ抗マウス免疫グロブリン(Rα-マウスIg)(Antibodies,Inc. 、カリフォルニア州デイブス)。ウサギポリクローナル抗HMFG抗体またはウサギ抗ヒトの乳房上皮抗体(α-HME)を、記載されているように(同上)調製し、アッセイした。
アッセイの結果を評価するための標準曲線を作成するために、正常のヒト乳房流体からの対照試料(ニトロセルロース吸着し、溶離した被験試料と同一の方法でニトロセルロースのフィルターに暴露し、溶離するか、あるいは正常の全乳房流体または正常の乳房流体から得られた他の選択した型の試料として準備し、適当な媒質中で構成して、適当な対照アッセイ試料を調製する)を10,240rpm、0℃において7分間遠心する。試料の上部に形成した上部の白色バンド(それが存在する場合)を廃棄する。
洗浄剤緩衝液中の凍結乾燥し脱脂質したHMFGの新鮮な100μg/mlの溶液(Ceriani et al.、Proc.Natl.Acad.Sci. 、74:582-586、1977)を調製し、そして4℃においてソニファイアー・セル・ディスラプター(Sonifier Cell Disrupter)185(Branson 、Danbury 、CT) 上で25ワットにおいて二重ステップのマイクロチップを使用して10秒の間隔で合計4分間超音波処理する(10秒の超音波処理、次いで10秒のサイレント期間)。
0、10、33.3、100、333.3および1000ngのタンパク質/mlの濃度のHMFG溶液を女性のスパン(spun)血清中で調製し、そして正常の女性の血清中の各HMFGレベルの180μlの3つのアリコートを400μlのポリエチレンのマイクロフージ管(West Coast Sci.、カリフォルニア州エメリービレ)の中にピペットで入れる。150μlの6.6%のPEG溶液を各マイクロフージ管に添加し、そして管を室温において回転式震盪機上で一夜インキュベートする。
300〜350μlの溶離したニトロセルロースの濾液の溶液(あるいは、また、乳房流体または他のアッセイ試料の代替物)を400μlのマイクロフージ管中で10,240rpm、10℃において5〜7分間遠心することによって、被験試料を匹敵する方法でプロセシングする。次いでマイクロフージ管をカミソリの刃で血清により形成した白色バンド(それが存在する場合)より下において切断し、そして180μlの残りの血清を新しいマイクロフージ管の中に移す。次いで150μlの6.6%のPEG溶液を各マイクロフージ管に添加し、そして管を室温において回転式震盪機上で一夜インキュベートする。
第2日
(1)α-HMEを洗浄剤緩衝液中でその適当な濃度に希釈する。抗体溶液は6ngのHMFGタンパク質当量(タンパク質当量)に対して化学量論的量またはそれより少ない量のα-HMEを有する。下記の文献にCerianiが以前に記載しているように、メチル化BSA手法により6ngのHMFGをマイクロタイタープレートに共有結合させる:Kennet et al. 編、Monoclonal Antibodies and Functional Cell Lines 、Plenum Press、New York、1984、pp.398-402、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
(2)第2日に被験試料および対照試料をプロセシングするために、マイクロフージ管をソルバール(Sorvall )RC5C遠心機によりSHMTローター中で10,240rpm、10℃において7分間遠心する。三重反復実験において、55μlの上清を空のマイクロタイタープレートのウェル(Dynatech、Alexanderia 、VA)の中にピペットで入れ、そして沈降したペレットを混乱させずに放置する。25μlの6.6%のPEG溶液を各ウェルに添加する。また、30μlの洗浄剤緩衝液中に希釈したα-HMEを各ウェルに添加し、そして非多孔質スコッチ(ScotchR )テープをウェルの上に配置して蒸発を回避する。次いでマイクロタイタープレートを室温において回転式震盪機上で一夜インキュベートする。
第3日
(1)マイクロタイタープレートを室温において30分間遠心(3000rpm)して、懸濁した粒状物質を沈降させる。
(2)6ngのIIMFGを含有するマイクロタイタープレートのウェルに50μlのRIA緩衝液を添加し、5分間吸引する。
(3)PEGにより誘発された沈降のために取って置き、既にペレット化した1)からのマイクロタイタープレートの全体の内容物を、前述の6ngのHMFG/ウェルを含有するマイクロタイタープレートの他の組のウェルに注意して移す(第2、1日)。
(4)マイクロタイタープレートを室温において回転しながら3時間インキュベートする。
(5)ダイナテク(Dynatech)からのダイナドロップ(Dynadrop)SR-1自動ディスペンサーを使用して、プレートをRIA緩衝液で5回洗浄する。
(6)次いで50μl/ウェルのRIA緩衝液中で希釈した放射性ヨウ素化、アフィニティー精製したウサギ抗マウス免疫グロブリンを添加する。
(7)プレートをテープでカバーし、室温において回転しながら2時間インキュベートする。
(8)プレートをRIA緩衝液で5回洗浄する。
(9)ウェルを切断し、ガンマカウンターで計数する。
これらのアッセイの結果は、Ceriani et al.、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990によりHME-Ag乳癌マーカーについて実施された血清アッセイにより提供されたデータに範囲および値が匹敵する、患者における癌の存在および/または状態に関する、重要な情報を生ずるであろう。Ceriani および共同研究者らの手法に従い、患者および対照の試料を選択し、匹敵するデータを発生しかつ評価することによって、本発明のアッセイ法を、また、直接的臨床的用途において使用するために容易に採用して、乳癌の患者における予後および治療に関係する変動を測定することができるであろう。このアッセイの試薬および条件は、よく知られている免疫学的方法および原理を適用することによって、種々の予測される変動に依存して置換または調節することがもちろん可能である。
実施例5.乳房流体からの生物学的試料中の非浸透性結合タンパク質の競合ラジオイムノアッセイ
本発明の方法に従い得られた乳房流体からの生物学的試料の中に含有される乳房上皮抗原が、HMFGの中に含有される非浸透性Gタンパク質(NPGP)として知られている固相結合抗原に対するモノクローナル抗体Mc5の化学量論的量またはそれより少ない量に結合することを代わりに使用することに、この競合ラジオイムノアッセイは基づく。
HMFGを固体状支持体に結合させ、インキュベーションの間にMc5抗体に暴露させて、固相結合HMFG中のNPGP抗原に抗体を結合させる。固相結合HMFG中のNPGP抗原に対するMc5の結合について競合する能力により、生物学的試料中のNPGPの存在および/またはレベルを究極的に検査する。これは、Mc5抗体プローブに結合しかつそれを標識化する、放射性標識化ヤギ抗マウス抗体を使用して、検出および/または測定される。
この実施例における緩衝液および他の溶液および試薬は、一般に、前述の実施例4に記載するHME-Agsポリクローナル抗体ラジオイムノアッセイに使用したものと同一である。このアッセイのための被験試料を準備するために、ニトロセルロースのフィルター上に含有される乳房流体からの生物学的試料を、標準的方法に従い、リン酸塩緩衝生理食塩水の中に電気泳動的に溶離する。
また、全乳房流体または乳房流体得られた他の型の生物学的試料を適当な媒質または混合物中で構成して、アッセイのための被験試料を得ることができる。こうしていったん被験試料が準備されると、Cerianiet al.、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているNPGP/Mc5ラジオイムノアッセイ(RIA)法に従い、次のようにして、それをアッセイする:
1)400μlのプールした正常の女性の乳房流体(ニトロセルロース吸着し、溶離した被験試料と同一の方法でニトロセルロースのフィルターに暴露し、溶離するか、あるいは正常の全乳房流体または正常の乳房流体から得られた他の選択した型の試料として準備し、適当な媒質または混合物中で構成して被験試料を調製する)から適当な対照試料を準備し、これを1:6の濃度においてRIA緩衝液で2.4mlに希釈する。
2)500μg/mlの凍結乾燥HMFGの溶液を0.3%のトリトン-X100、0.05%のアジ化ナトリウムを含む1×PBS中で調製し、ソニファイアー・セル・ディスラプター(Sonifier Cell Disrupter )185(Branson 、コネチカット州ダンブリー)上で25ワットにおいて二重ステップのマイクロチップを使用して4分間超音波処理する(10秒の超音波処理、次いで10秒のサイレント期間、4℃)。
3)2.4mlの1:6の正常の女性の血清を使用し、HMFGの量を増加する(実施例4に記載するように、0、0.25、2.5、25、50μg/mlのHMFG)ことによって、標準曲線を作成するための溶液を調製する。
4)各被験アッセイ試料をRIA緩衝液で1:6に希釈して(40μlの血清/200μlのRIA緩衝液)、希釈された被験アッセイ試料を形成し、撹拌する。
5)下記の文献にCeriani が以前に記載しているように調製されたマイクロタイタープレートに共有結合したHMFGの100ngのタンパク質/ウェルに対して化学量論的量より少ない量の抗体を含有するように、Mc5貯蔵液を調製する:Kennet et al. 編、Monoclonal Antibodies and Functional Cell Lines 、Plenum Press、New York、1984 、pp.398-402 、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
6)200μlのRIA緩衝液を100ngのHMFGの各ウェルに添加し、次いで5分後に吸引する。
7)標準曲線を作成するために、30μlのHMFG標準化溶液(前述の3におけるように)四重反復実験において100ngのプローブ/ウェルのHMFGマイクロタイタートウェルに添加する。
8)30μlの希釈された被験アッセイ試料(あるいは、30μlの乳房流体または他の被験アッセイ試料の代替物)を三重反復実験において100ngのプローブ/ウェルのHMFGマイクロタイターのウェルに添加する。
9)各ウェルに、20μlのMc5貯蔵液を添加する。
10)マイクロタイタープレートを非多孔質スコッチ(ScotchR )テープでカバーし、室温において回転撹拌機上で一夜インキュベートする。
11)次の日に、ウェルを吸引し、RIA緩衝液で5回洗浄する。
12)各ウェルに、50μlの200,000cpm/50μlの125 Iヤギ抗マウス抗体を分散させる。ウェルを非多孔質テープでカバーし、回転撹拌機上に室温において3時間配置する。
13)ウェルをRIA緩衝液で5回洗浄する。
14)ウェルを切断し、ガンマカウンターで放射能を計数する。
これらのアッセイの結果は、Ceriani et al.、Breast Cancer Res.Treat.、15:161-174、1990によりNPGP乳癌マーカーについて実施された血清アッセイにより提供されたデータに範囲および値が匹敵する、患者における癌の存在および/または状態に関する、重要な情報を生ずるであろう。Ceriani および共同研究者らの手法に従い、患者および対照の試料を選択し、データを発生しかつ評価することによって、本発明のアッセイ法を、直接的臨床的用途において使用するために容易に採用して、乳癌の患者における予後および治療に関係する変動を測定することができるであろう。当業者は理解するように、このアッセイの試薬および条件は、よく知られている免疫学的方法および原理を適用することによって、種々の予測される変動に依存して置換または調節することが可能である。
実施例6.乳房流体中の粘液性癌腫関連抗原の固相イムノアッセイ
この実施例において、感受性固相イムノアッセイを使用して、本発明の方法に従い得られた乳房流体からの生物学的試料中の粘液性癌腫関連抗原(MCA)を検出する。ホフマン-ラ・ロシェ(Hoffman-La Roche)(スイス国バーゼル)により提供される抗体ビーズイムノアッセイキット使用し、かつ製造業者により提供され、さらにEskelinen et al.、Anticancer Res. 、9:437-440 、1989に詳細に記載されている試薬および手法を使用して、MCA濃度を測定する。
簡単に述べると、発現された乳房流体および標準の被験アッセイ試料をまずMCAモノクローナル抗体ビーズとインキュベートし、次いで、適当な洗浄後、酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)標識化二次抗体を添加する。第2インキュベーションの間に、抗MCA酵素複合体をビーズ上の抗体抗原複合体に取付ける。過剰の複合体を洗浄により除去し、最後に、酵素基質を添加し、発生した色を記録する。
この実施例において提供される固相アッセイのフォーマットを広い配列の他のアッセイにおいて使用するために適合させて、増強された感度で、MCAマーカーの外に、他の癌マーカーを検出および/または測定することができる。さらに、これらのアッセイの結果を異なるマーカーを検出および/または測定する相補的アッセイの結果と一緒に評価して、下記の文献に記載されている組合わせのMCA/CA15-3アッセイにより例示されるように、患者における癌の存在および/または状態に関する、いっそう正確な情報を発生させることができる:Eskeinen et al. 、Anticancer Res. 、9:437 -440、1989;また、下記の文献を参照のこと:Eskeinen et al.、Anticancer Res. 、8:665-668 、1988、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
実施例7.バソプレシンを検出するためのポリクローナルおよびモノクローナル抗体を使用するヒト乳房流体の細胞画分からのタンパク質のウェスタン分析
ヒト乳房流体からの細胞の試料に集中される種々のアッセイは、本発明により提供される。一般に、これらのアッセイは、前述の方法に従い発現された全乳房流体からの細胞、膜または他の細胞の成分の標準的分離法(例えば、遠心、スクロース勾配、およびその他)による単離に頼る。
発現された乳房流体からの全細胞を含有する生物学的試料は、患者における乳癌を検出しかつ評価する細胞学的および細胞化学的検査のために、特に有用である。ヒト乳房流体からの精製された細胞膜の画分を含有する生物学的試料は、これに関して、例えば、細胞内または膜結合タンパク質として肺胞管の細胞により発現され、したがって、分泌されたタンパク質前記乳房流体の液体画分の中に容易に検出されない、乳癌マーカーを検出および/または測定するために、特に有用である。
この実施例は、North et al.、Breast Cancer Res.Treat.、34:229-235、1995から採用された方法を使用して、乳房流体からの生物学的試料中のペプチドホルモンのバソプレシンを検出する方法に集中する。詳しくは、このアッセイにおいて、発現された乳房流体から得られた細胞のプールした試料から単離された粗製のタンパク質の被験試料を使用する。細胞を標準的方法に従い全乳房流体から分離し、そして100体積の0.1MのHCl中の超音波処理により粗製のタンパク質を細胞から抽出する。次いで得られるタンパク質懸濁液を1500×g、周囲温度において10分間遠心し、そして可溶性タンパク質を40%のTCAで沈降させる。このタンパク質を10,000×gで2分間遠心することによって沈降させる。TCAをエーテル洗浄(×2)によりペレットから除去する。
タンパク質を0.1MのTris HCl(pH8.7)の中に再懸濁させ、メルカプトエタノールで100℃において5分間還元し(そしてある場合においてN-エチルマレイミドでS-アルキル化し)、Laemeli 、Nature、227:680-685 、1970(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)の方法を使用してpH9.3において15%のSDS-PAGE電気泳動に付す。次いで分離されたタンパク質を20mMのTrisグリシン(pH8.0)でインモビロンPVDF膜(Millipore 、マサチュセッツ州ベッドフォード)に電気泳動的に移す。
これらの膜を5%の無脂肪ミルク溶液でブロックし、0.5%のトリトンを含有するPBSで洗浄し(1×15分、2×5分)、VP-HNPに対するマウスモノクローナル抗体の調製物、VPに対するウサギポリクローナル抗体、VAGに対するウサギポリクローナル抗体、または偏在するマウスまたはウサギIgG(陰性の対照)(抗体および抗体調製物の説明については、North et al.、Breast Cancer Res. Treat. 、34:229-235、1995、その全体において引用することによって本明細書の一部とされる、を参照のこと)と周囲温度において1時間インキュベートする。
PBS-Triton中の第2の洗浄(1×15分、2×5分)後、膜を、それぞれ、ヤギ抗マウスIgG-セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体またはヤギ抗ウサギIgG-セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体と1時間インキュベートし、次いでPBS-Tritonで洗浄する(1×15分、4×5分)。ECLウェスタンブロット検出システムを使用して、X線フィルムを10秒〜5分間露出して、免疫反応性タンパク質を可視化する。分子大きさマーカーとして、前もって染色されたSDS-PAGE標準タンパク質を使用する。
バソプレシンは乳癌において広く発現されることを最近の研究は示唆している。North et al.、Breast Cancer Res.Treat.、34:229-235、1995。これらの結果および他の結果が示すように、バソプレシンおよびその関係物は重要な乳癌マーカーであり、乳房腫瘍細胞から単離されたタンパク質の免疫学的アッセイにより容易に検出することができる。したがって、ヒト乳房流体から単離された細胞試料を使用する、この実施例の結果は、また、患者における癌の存在および/または状態に関する重要な情報を発生することが期待される。
実施例8.ドットイムノブロットアッセイによる乳房流体からの生物学的試料中の癌胎児性抗原の定量
低いレベルの乳癌マーカーを測定するために有用であり、かつほんの小さい体積の発現された乳房流体が入手可能であるとき、マーカーを検出するために有用である、本発明のいっそう感受性のアッセイの中の1つは、ドットイムノブロットアッセイである。この実施例において、エルモテク(Elmotech)抗CEAモノクローナル抗体キット(Mochid Pharmaceutical Co. 、日本国東京)を使用して、癌胎児性抗原(CEA)を全乳房流体中で測定する。簡単に述べると、抗CEAモノクローナル抗体を適当な濃度に希釈し、プラスチックフィルム上にコーティングする。
標準的CEA溶液(0、100、200、および500ng/ml)または発現された乳房流体のアッセイ試料のアリコート(4μl)を、免疫化フィルム上になすりつける。エルモテク(Elmotech)キットの製造業者の使用説明書に従い、精製された抗原調製物からアッセイ標準を調製する。必要に応じて、また、1000ng/mlのCEAを標準として使用する。室温において乾燥した後、フィルムをペルオキシダーゼ複合化抗CEA抗体に室温において20分間暴露する。次いで、0.5%(v/v)のツイーン20を含有する1Mの生理食塩水でフィルムをよく洗浄する。
色素形成剤としてトリメチルベンジジンを使用して、酵素反応を可視化する。現像溶液は、10%のメタノールを含有するMcllvain緩衝液(0.1%の1Mのリン酸塩-クエン酸塩緩衝液)pH5.0中の0.05mMのトリメチルベンジジンおよび0.01%の過酸化水素から成る。色成分と対応する標準とを比較することによって、乳房流体のアッセイ試料中のCEAの濃度を測定する。
この実施例に開示するアッセイ、およびCEAの外に他の腫瘍マーカーに抗体を組込む関係するアッセイは、低いレベルの乳癌マーカーを測定するために有用であり、かつ制限された体積中のマーカーを検出するために有用である。これらのアッセイの結果は、乳癌患者における予後および治療に関係する変動を決定する重要な情報を発生するであろう。当業者は理解するように、このアッセイの試薬および条件を、よく知られている免疫学的方法および原理に従い、種々の予測される変動に依存して、置換するか、あるいは調節することができる。
実施例9.乳房流体からの生物学的試料中のプロカテプシンDおよびカテプシンDの活性の検出
カテプシンDは、転移に必要な癌プロセスのためのマーカーとして集中的に研究されてきている、リソソームのアスパラギン酸プロテアーゼである。この実施例において、一般に下記の文献に記載されている方法に従い、プロカテプシンDに対するポリクローナル抗体を使用して、全乳房流体から、または乳房流体からの細胞ライゼイトからのタンパク質を免疫沈降させ、そして免疫化学的に検出する:Vetvicka et al. 、Biochem.Mol.Biol.Int'l. 、30:921-928、1993(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。別に、あるいは相補的アッセイとして、また、Vetvicka et al. (同上)に開示されている方法に従い、カテプシンDのプロテアーゼ活性を検出する。
簡単に述べると、プールした全乳房流体(好ましくは、入手可能である場合、3ml)を3mlの緩衝液A(50mMのTris HCl、5mMのCaCl2 、1mMのMgCl2 、500mMのNaCl、pH7.2)で希釈する。この懸濁液を10,000gにおいて30分間遠心する。生ずる水相を同一条件下に再び遠心する。可溶性部分(合計ほぼ4.5ml)は緩衝液A中で平衡化したコンカナバリンAセファローズ(Pharmacia、スイス国ウップサラ)の1mlのカラム上に負荷し、緩衝液Aで洗浄した後、保持されたタンパク質を0.75Mのメチルα-D-マンノピラノシドで溶離する。
下記の文献に記載されているように、14Cヘモグロビンアッセイを使用して、画分(250μl)をカテプシンD活性についてウェスタンブロットおよび銀染色電気泳動により分析する:Lin et al.、J.Biol.Chem.、264:4482-4489 、1989(その全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。メタノール中に溶解した2μlの1mMのペプスタチン(Boehringer Man nheim、ドイツ国)を反応混合物に添加することによって、ヒト乳プロカテプシンDを阻害する。
このアッセイは、乳房流体からの生物学的試料を評価して癌に関係する変動を決定するために、免疫学的アッセイに加えて、あるいはそれの補充として、既知の生化学的アッセイを組込んだ本発明の多数の可能な態様のただ1つの例を提供する。ヒト乳房流体から試料を得る本明細書において提供された基本的方法は、これらのアッセイを広範囲に及ぶ臨床的応用に容易に適合させて、非侵入的スクリーニングのプロトコールの範囲内において主題の乳癌マーカーの活性を検出および/または測定することができる。
当業者は理解するように、本明細書において記載する同一の発明的概念を使用する本発明の他の態様および変法が可能である。さらに詳しくは、広くかつ急速に拡張する配列の有用な乳癌マーカー(タンパク質、DNAおよびRNAの配列および他のマーカーを包含する)およびプローブ(免疫学的、ヌクレオチドのおよび生化学的プローブを包含する)を、本発明の方法およびキットの範囲内における適合および使用のために容易に利用可能である。これらのマーカーおよびプローブは、引用されかつ本発明の開示内の一部とされたか、あるいは文献の中の何処かに発表されているか、あるいはこの分野においてよく知られている文献に記載されているか、あるいは言及されている。
これらの既知の、出現するマーカーおよびプローブの中で、本発明の範囲内において有用な例は、Her2(また、erB-2およびneuとして知られている)を包含する。Her2は、染色体17q上に位置する遺伝子、すなわち、乳癌細胞系統中の頻繁な増幅の領域、によりコードされるEGFレセプターのファミリーの膜貫通Gタンパク質の成長因子のレセプターである。このマーカーは乳癌に対して高度に予測的であり、そして既知のヌクレオチドのプローブを使用して本発明の細胞の試料中で検出して、Her2における遺伝的欠陥を検出するか、あるいはmRNAを検出および/または測定して、癌細胞の増殖の増加に関連するHer2の過度の発現を決定することができる。
(例えば、下記の文献を参照のこと:Visscher et al. 著、Weisntein およびGraham編、Advances in Pathology and Laboratory Medicine 、Vol.5、St Louis、Mosby Yuear Book、1992、pp.123-161;Barbareschi et al. 、Am.J.Clin.Path. 、98:408-418、1992;Slamon et al.、Science 、235:177-182 、1987;各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。
また、入手可能な免疫学的プローブを使用して、Her2のタンパク質のレベルは容易に検出される。(概観について、下記の文献を参照のこと:Poter-Jordan et al.、Hematol.Oncol.Clin.North Amer.、1 8:73-100、1994およびその中の第80ページに引用された論文、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)。本発明の範囲内において使用する追加のマーカーは、EGFおよびEGFのレセプターを包含し、それらに対する本発明の範囲内に容易に適合可能な免疫学的および非免疫学的プローブおよびアッセイ法は、Poter-Jordan et al. 、Hematol. Oncol.Clin.North Amer. 、18:73-100 、1994の第80〜81ページおよびその中に引用された論文(各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる)の中にに詳細に特徴づけられている。
本発明の方法およびキットの範囲内において有用な乳癌マーカーおよびプローブを提供できる、増殖マーカー、成長因子およびレセプター、プロテアーゼ、付着因子、血管形成因子、腫瘍遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の追加の例は、下記のものを包含する:Ki67成長因子、サイクリンD1、増殖細胞核抗原、形質転換成長因子α、組織プラスミノゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、コラゲナーゼIV型、ラミニンレセプター、インテグリン、p53、rb、nm23、c-myc、熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR-14、KA1、KA14、アルファ-ラクトアルブミン、アクチン、および多数の他のもの、それらの大部分は下記の文献に概観されている本発明の範囲内に容易に適合可能な、入手可能な免疫学的および非免疫学的プローブおよびアッセイ法と一緒に記載されている:
Poter-Jordan et al. 、Hematol.Oncol.Clin.North Ame. 、18:73-100 、1994およびその中に引用された論文、各々はその全体において引用することによって本明細書の一部とされる。本発明の範囲内のこれらのマーカーおよびプローブの適合は、本明細書および引用された文献の中に提供され、この分野における知識により補充される教示に基づいて、容易に達成される。したがって、本発明は前述の記載により限定されず、下記の請求の範囲によりその範囲は決定される。

Claims (69)

  1. 患者の乳房器官から生物学的試料を収集するための試料収集装置であって、
    乳房適合メンバーと乳房の乳首又は小葉内導管との間の流体連結を確立するための、患者の乳房への適用のための乳房適合メンバー;
    前記乳首又は小葉内導管からの乳房流体発現を誘発するか又は促進するために、前記乳房の乳首の表面での又は小葉内導管内の圧力を変えるために前記乳房適合メンバーと連結する圧力変更手段;及び
    前記乳首又は小葉内導管からの発現された乳房流体の試料を受けるための前記乳房適合メンバーと流体連結して存在する固相試料収集媒体を含んで成る装置。
  2. 前記圧力変更手段が、前記乳首上に又は前記小葉内導管内に負圧を適用する前記乳房適合メンバーと気体連結して存在する真空ポンプを含んで成る請求項1記載の試料収集装置。
  3. 前記乳房適合メンバーと流体連結する前記固相試料連結媒体が、乳房患者マーカーを検出するためのアッセイ中への組み込みのための乳房流体の所望する成分を選択的に吸着し、結合し、又は他方では、処理する請求項1記載の試料収集装置。
  4. 前記固相試料収集媒体が、前記乳房適合メンバーが乳房に適用され、そして正又は負圧が前記負圧変更手段により発生される場合、前記乳首又は小葉内導管と流体接触して存在する請求項1記載の試料収集装置。
  5. 前記固相試料収集媒体が、乳房ポンプと流体連結して、一体式的に又は着脱可能的に配置される請求項1記載の試料収集装置。
  6. 前記固相試料収集媒体が、顕微鏡ガラススライド、毛細管、収集管、カラム、マイクロ−カラム、ウェル、プレート、膜、フィルター、樹脂、無機マトリックス、ビーズ、粒質クロマトグラフィー媒体、プラスチック微小粒子、ラテックス粒子、被覆された管、被覆された鋳型、被覆されたビーズ、被覆されたマトリックス、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項1記載の試料収集装置。
  7. 前記固相試料収集媒体がフィルター又は膜を含んで成る請求項1記載の試料収集装置。
  8. 前記固相試料収集媒体がニトロセルロースフィルター又は膜を含んで成る請求項1記載の試料収集装置。
  9. 前記固相試料収集媒体が、乳房流体からの細胞、細胞構成成分、精製された又はバルクタンパク質、糖タンパク質、ペプチド又はヌクレオチドを受けるか又は分割するよう機能する請求項1記載の試料収集装置。
  10. 前記生物学的試料が、全乳房流体、全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、乳房流体のヌクレオチド成分、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項1記載の試料収集装置。
  11. 前記生物学的試料が、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、糖脂質、DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、又はそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項1記載の試料収集装置。
  12. 前記生物学的試料が、Ki67成長因子、サイクリン、増殖する細胞核抗原、エストロゲン、上皮成長因子、形質転換する成長因子α、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、上皮因子成長因子レセプター、コラゲナーゼ、ラミニンレセプター、インテグリン、p53, rb, nm23, ras, c-myc, 熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR−14、KA1, KA14, アルファー−ラクトアルブミン、アクチン、CEA, HME抗原、MCA, PSA, バソプレシン及びカテプシンD、又はそれらの組合せから成る群から選択される1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項1記載の試料収集装置。
  13. 患者の乳房器官から生物学試料を得るための非侵入性方法であって、
    乳房適合メンバーと乳房の乳首又は小葉内導管との間の流体連結を確立するための、患者の乳房への適用のための乳房適合メンバー;
    前記乳首又は小葉内導管からの乳房流体発現を誘発するか又は促進するために、前記乳房の乳首の表面での又は小葉内導管内の圧力を変えるために前記乳房適合メンバーと連結する圧力変更手段;及び
    前記乳首又は小葉内導管からの発現された乳房流体の試料を受けるための前記乳房適合メンバーと流体連結して存在する固相試料収集媒体を含んで成る、前記患者からの前記生物学的試料を収集するための試料収集装置を適用し;そして
    前記乳房流体の発現と同時に、又はそれに続いて、前記発現された乳房流体、又は固相試料収集媒体上の又はその内部の1又は複数の乳房疾患マーカーを含むその成分を含んで成る生物学的試料を収集する段階を含んで成る方法。
  14. 前記圧力変更手段が、前記乳首の外部上に又は前記小葉内導管内に負圧を適用する前記乳房適合メンバー又は小葉内導管と気体連結して存在する真空ポンプを含んで成る請求項13記載の方法。
  15. 前記固相試料収集媒体が、前記乳房適合メンバーが乳房に適用され、そして正又は負圧が前記負圧変更手段により発生される場合、前記乳首又は小葉内導管と流体接触して存在する請求項13記載の方法。
  16. 前記固相試料収集媒体が、乳房ポンプと流体連結して、一体式的に又は着脱可能的に配置される請求項13記載の方法。
  17. 前記固相試料収集媒体が、顕微鏡ガラススライド、毛細管、収集管、カラム、マイクロ−カラム、ウェル、プレート、膜、フィルター、樹脂、無機マトリックス、ビーズ、粒質クロマトグラフィー媒体、プラスチック微小粒子、ラテックス粒子、被覆された管、被覆された鋳型、被覆されたビーズ、被覆されたマトリックス、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項13記載の方法。
  18. 前記固相試料収集媒体がフィルター又は膜を含んで成る請求項13記載の方法。
  19. 前記固相試料収集媒体がニトロセルロースフィルター又は膜を含んで成る請求項13記載の方法。
  20. 前記固相試料収集媒体が、乳房流体からの細胞、細胞構成成分、精製された又はバルクタンパク質、糖タンパク質、ペプチド又はヌクレオチドを受けるか又は分割するよう機能する請求項13記載の方法。
  21. 前記生物学的試料が、全乳房流体、全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、乳房流体のヌクレオチド成分、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項13記載の方法。
  22. 前記生物学的試料が、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、糖脂質、DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、又はそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項13記載の方法。
  23. 前記生物学的試料が、Ki67成長因子、サイクリン、増殖する細胞核抗原、エストロゲン、上皮成長因子、形質転換する成長因子α、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、上皮因子成長因子レセプター、コラゲナーゼ、ラミニンレセプター、インテグリン、p53, rb, nm23, ras, c-myc, 熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR−14、KA1, KA14, アルファー−ラクトアルブミン、アクチン、CEA, HME抗原、MCA, PSA, バソプレシン及びカテプシンD、又はそれらの組合せから成る群から選択される1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項13記載の方法。
  24. 前記生物学的試料を収集する前記段階が、前記発現された乳房流体からの少なくとも1又は複数の乳房疾患マーカーを保持する固相試料収集媒体と前記発現された乳房流体とを接触せしめることを包含する請求項13記載の方法。
  25. 患者の乳房器官から得られた生物学的試料における1又は複数の乳房疾患マーカーの存在又は量を決定するためのアッセイ方法であって、
    乳房適合メンバーと乳房の乳首又は小葉内導管との間の流体連結を確立するための、患者の乳房への適用のための乳房適合メンバー;
    前記乳首又は小葉内導管からの乳房流体発現を誘発するか又は促進するために、前記乳房の乳首の表面での又は小葉内導管内の圧力を変えるために前記乳房適合メンバーと連結する圧力変更手段;及び
    前記乳首又は小葉内導管からの発現された乳房流体の試料を受けるための前記乳房適合メンバーと流体連結して存在する固相試料収集媒体を含んで成る、前記患者からの前記生物学的試料を収集するための試料収集装置を適用し;そして
    前記乳房流体の発現と同時に、又はそれに続いて、前記発現された乳房流体、又は固相試料収集媒体上の又はその内部の1又は複数の乳房疾患マーカーを含むその成分を含んで成る生物学的試料を収集し;そして
    前記試料における前記1又は複数の乳房疾患マーカーの存在又は量を検出する段階を含んで成るアッセイ方法。
  26. 前記圧力変更手段が、前記乳首の外部上に又は前記小葉内導管内に負圧を適用する前記乳房適合メンバー又は小葉内導管と気体連結して存在する真空ポンプを含んで成る請求項25記載のアッセイ方法。
  27. 前記固相試料収集媒体が、前記乳房適合メンバーが乳房に適用され、そして正又は負圧が前記負圧変更手段により発生される場合、前記乳首又は小葉内導管と流体接触して存在する請求項25記載のアッセイ方法。
  28. 前記固相試料収集媒体が、乳房ポンプと流体連結して、一体式的に又は着脱可能的に配置される請求項25記載のアッセイ方法。
  29. 前記固相試料収集媒体が、顕微鏡ガラススライド、毛細管、収集管、カラム、マイクロ−カラム、ウェル、プレート、膜、フィルター、樹脂、無機マトリックス、ビーズ、粒質クロマトグラフィー媒体、プラスチック微小粒子、ラテックス粒子、被覆された管、被覆された鋳型、被覆されたビーズ、被覆されたマトリックス、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項25記載のアッセイ方法。
  30. 前記固相試料収集媒体がフィルター又は膜を含んで成る請求項25記載のアッセイ方法。
  31. 前記固相試料収集媒体がニトロセルロースフィルター又は膜を含んで成る請求項25記載のアッセイ方法。
  32. 前記固相試料収集媒体が、乳房流体からの細胞、細胞構成成分、精製された又はバルクタンパク質、糖タンパク質、ペプチド又はヌクレオチドを受けるか又は分割するよう機能する請求項25記載のアッセイ方法。
  33. 前記生物学的試料が、全乳房流体、全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、乳房流体のヌクレオチド成分、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項25記載のアッセイ方法。
  34. 前記生物学的試料が、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、糖脂質、DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、又はそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項25記載のアッセイ方法。
  35. 前記生物学的試料が、Ki67成長因子、サイクリン、増殖する細胞核抗原、エストロゲン、上皮成長因子、形質転換する成長因子α、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、上皮因子成長因子レセプター、コラゲナーゼ、ラミニンレセプター、インテグリン、p53, rb, nm23, ras, c-myc, 熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR−14、KA1, KA14, アルファー−ラクトアルブミン、アクチン、CEA, HME抗原、MCA, PSA, バソプレシン及びカテプシンD、又はそれらの組合せから成る群から選択される1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項25記載のアッセイ方法。
  36. 前記生物学的試料を収集する前記段階が、前記発現された乳房流体からの少なくとも1又は複数の乳房疾患マーカーを保持する固相試料収集媒体と前記発現された乳房流体とを接触せしめることを包含する請求項25記載のアッセイ方法。
  37. 患者の乳房器官から生物学的試料を得るための非侵入性方法であって、
    乳首又は小葉内導管からの乳房流体発現を誘発するか又は促進するために患者の乳房、乳首又は小葉内導管に正又は負圧を適用し;
    前記乳首又は小葉内導管と乳房適合メンバーとの間に流体連結を確立するために、前記患者の乳房に前記乳房適合メンバーを適用し;
    前記乳首又は小葉内導管からの発現された乳房流体の試料を受けるために前記乳房適合メンバーと流体連結して存在する固相試料収集媒体を供給し;そして
    前記乳房流体の発現と同時に、又はそれに続いて、前記発現された乳房流体、又は固相試料収集媒体上の又はその内部の1又は複数の乳房疾患マーカーを含むその成分を含んで成る生物学的試料を収集する段階を含んで成る方法。
  38. 前記乳房、乳首又は小葉内導管に正又は負圧を適用する段階が、前記乳首及び/又は小葉内導管に対して負圧を付与するために前記乳房適合メンバーと気体連結して存在する真空ポンプを活性化することを含んで成る請求項37記載の方法。
  39. 前記固相試料収集媒体が、前記乳房適合メンバーが乳房に適用され、そして正又は負圧が前記負圧変更手段により発生される場合、前記乳首又は小葉内導管と流体接触して存在する請求項37記載の方法。
  40. 前記固相試料収集媒体が、乳房ポンプと流体連結して、一体式的に又は着脱可能的に配置される請求項37記載の方法。
  41. 前記固相試料収集媒体が、顕微鏡ガラススライド、毛細管、収集管、カラム、マイクロ−カラム、ウェル、プレート、膜、フィルター、樹脂、無機マトリックス、ビーズ、粒質クロマトグラフィー媒体、プラスチック微小粒子、ラテックス粒子、被覆された管、被覆された鋳型、被覆されたビーズ、被覆されたマトリックス、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項37記載の方法。
  42. 前記固相試料収集媒体がフィルター又は膜を含んで成る請求項37記載の方法。
  43. 前記固相試料収集媒体がニトロセルロースフィルター又は膜を含んで成る請求項37記載の方法。
  44. 前記生物学的試料が、全乳房流体、全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、乳房流体のヌクレオチド成分、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項37記載の方法。
  45. 前記生物学的試料が、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、糖脂質、DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、又はそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項37記載の方法。
  46. 前記生物学的試料が、Ki67成長因子、サイクリン、増殖する細胞核抗原、エストロゲン、上皮成長因子、形質転換する成長因子α、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、上皮因子成長因子レセプター、コラゲナーゼ、ラミニンレセプター、インテグリン、p53, rb, nm23, ras, c-myc, 熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR−14、KA1, KA14, アルファー−ラクトアルブミン、アクチン、CEA, HME抗原、MCA, PSA, バソプレシン及びカテプシンD、又はそれらの組合せから成る群から選択される1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成る請求項37記載の方法。
  47. 前記生物学的試料を収集する前記段階が、前記発現された乳房流体からの少なくとも1又は複数の乳房疾患マーカーを保持する固相試料収集媒体と前記発現された乳房流体とを接触せしめることを包含する請求項31記載の方法。
  48. 乳房疾患の存在又は不在を検出し、そして/又は試料が得られる患者における前記乳房疾患に関連する、予後及び/又は処理−関連の変数を決定するために、乳房流体発現の人工的誘発により収集された乳房流体の生物学的試料における1又は複数の乳房疾患マーカーの存在又は量を決定するための組成物であって、
    乳房流体発現の人工的誘発により収集された乳房流体中の1又は複数の成分、ここで前記1又は複数の成分が全乳房流体、全細胞、細胞フラグメント、細胞膜、精製されたタンパク質、バルクタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、脂質、糖脂質、タンパク質、DNAポリヌクレオチド及びRNAポリヌクレオチドから成る群から選択され、前記乳房流体中の1又は複数の成分が検出できる量の1又は複数の乳房疾患マーカーを含んで成り、そして前記生物学的試料における前記乳房疾患マーカーの存在又は量が前記患者における前記乳房疾患の存在、不在、重症性又は危険性と相互関係し;及び
    前記1又は複数の乳房疾患マーカーの存在又は量を決定するための検出試薬を含んで成る組成物。
  49. 前記乳房流体の生物学的試料が、前記患者からの前記乳房流体の発現を誘発するのに十分な量のオキシトシン又はオキシトシン類似体の投与に続いて、収集される請求項48記載の組成物。
  50. 前記乳房流体の生物学的試料が、乳房流体収集装置を用いて収集される請求項48記載の組成物。
  51. 前記1又は複数の乳房疾患マーカーが、Ki67成長因子、サイクリン、増殖する細胞核抗原、エストロゲン、上皮成長因子、形質転換する成長因子α、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン成長因子レセプター、上皮因子成長因子レセプター、コラゲナーゼ、ラミニンレセプター、インテグリン、p53, rb, nm23, ras, c-myc, 熱ショックタンパク質、プロラクチン、ニューロン特異的エノラーゼ、IR−14、KA1, KA14, アルファー−ラクトアルブミン、アクチン、HME抗原、MCA, PSA, バソプレシン及びカテプシンD、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項48記載の組成物。
  52. 前記乳房流体の生物学的試料が、約300〜500μl又はそれ以下の初期体積の収集された材料を含んで成る請求項48記載の組成物。
  53. 前記乳房流体の生物学的試料が、約3μl又はそれ以下の初期体積の収集された材料を含んで成る請求項52記載の組成物。
  54. 前記検出手段が、乳房疾患マーカーを特異的に結合する免疫学的プローブを包含し、ここで前記免疫学的プローブ又は乳房疾患マーカー、又はそれらの組み合わせ又は結合複合体が前記乳房疾患マーカーの存在又は量を検出するか又は測定するための検出可能シグナルを提供する請求項48記載の組成物。
  55. 前記免疫学的プローブがモノクローナル抗体を含んで成る請求項54記載の組成物。
  56. 前記検出手段が、同じか又は異なった乳房疾患マーカーに結合する多くの免疫的プローブを包含する請求項54記載の組成物。
  57. 前記検出手段が、ELISAイムノアッセイ、免疫沈殿アッセイ、又はウェスターンブロット、ドットブロット及び親和性精製イムノアッセイから選択された固相イムノアッセイに組込まれ得る請求項54記載の組成物。
  58. 前記検出手段が、前記乳房疾患マーカーに対して、標準又は高い緊縮性下でハイブリダイゼーションする、ラベルされたヌクレオチドプローブを包含する請求項48記載の組成物。
  59. 前記ヌクレオチドプローブが、1又は複数の前記乳房疾患マーカーに対して、標準又は高い緊縮性下でハイブリダイゼーションするcDNA又はオリゴヌクレオチドを含んで成る請求項58記載の組成物。
  60. 前記検出手段が、ノザン、サザン又はドットーブロットアッセイに組込まれ得る請求項58記載の組成物。
  61. 前記乳房疾患マーカーが、前記乳房疾患に関連するタンパク質をコードするDNA又はmRNAポリヌクレオチドを含んで成る請求項58記載の組成物。
  62. 前記検出手段が、リガンド、結合パートナー、又は乳房疾患マーカーの補因子から選択された、ラベルされたプローブを包含する請求項48記載の組成物。
  63. 前記1又は複数の乳房疾患マーカーを検出するか又は測定するためのアッセイへの組込みのための前記乳房流体の所望する成分を、選択的に吸着し、結合し、濾過し、又は他方では、処理する固相試料収集媒体をさらに含んで成る請求項48記載の組成物。
  64. 前記固相試料収集媒体が、前記乳房流体を収集するための装置と流体連結して、一体式又は着脱しうる配置のための適合される請求項63記載の組成物。
  65. 前記固相試料収集媒体が、顕微鏡ガラススライド、毛細管、収集管、カラム、マイクロ−カラム、ウェル、プレート、膜、フィルター、樹脂、無機マトリックス、ビーズ、粒質クロマトグラフィー媒体、プラスチック微小粒子、ラテックス粒子、被覆された管、被覆された鋳型、被覆されたビーズ、被覆されたマトリックス、又はそれらの組合せから成る群から選択される請求項63記載の組成物。
  66. 前記固相試料収集媒体がフィルター又は膜を含んで成る請求項63記載の組成物。
  67. 前記固相試料収集媒体がニトロセルロースフィルター又は膜を含んで成る請求項63記載の組成物。
  68. 前記固相試料収集媒体が、乳房流体からの細胞、細胞構成成分、精製された又はバルクタンパク質、糖タンパク質、ペプチド又はヌクレオチドを受けるか又は分割するよう機能する請求項63記載の組成物。
  69. 前記固相試料収集媒体が、前記1又は複数の乳房疾患マーカーを検出するために、所望するアッセイ中への組込みのための前記乳房流体中の所望する成分を、選択的に吸着し、結合し、濾過し、又は他方では、処理するよう機能する請求項63記載の組成物。
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