JP2004072051A - シールド構造及びその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで確実な電磁波シールドを容易に実現できるシールド構造及びその形成方法を提供すること。
【解決手段】シールド構造は、例えば携帯電話に搭載された電子機器(電子部品)1の電磁波をシールド(遮蔽)するために、プリント基板3上に設けられるものである。つまり、プリント基板3上には、電子部品1の周囲を囲む様に壁部5が形成されており、この壁部5で囲まれた領域の上部を覆うように蓋体(シールド板)7が配置されている。プリント基板3上には、壁部5を形成する箇所に沿って、アースパターン9が形成され、アースパターン9上には壁部5が形成されている。この壁部5は、導電性(従って電磁波シールド性)を有する導電性エラストマからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】シールド構造は、例えば携帯電話に搭載された電子機器(電子部品)1の電磁波をシールド(遮蔽)するために、プリント基板3上に設けられるものである。つまり、プリント基板3上には、電子部品1の周囲を囲む様に壁部5が形成されており、この壁部5で囲まれた領域の上部を覆うように蓋体(シールド板)7が配置されている。プリント基板3上には、壁部5を形成する箇所に沿って、アースパターン9が形成され、アースパターン9上には壁部5が形成されている。この壁部5は、導電性(従って電磁波シールド性)を有する導電性エラストマからなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子部品に影響を与える電磁波をシールド(遮蔽)するシールド構造及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば携帯電話等の電子機器においては、その電子部品に影響を与える電磁波をシールドするため、又は、電子部品から放射される電磁波が他の電子機器に影響を与えるのを防止するために、シールドケースが用いられている。
【0003】
このシールドケースとしては、例えば金属板を折り曲げて、一方が開口した箱状にしたものや、ポリプロピレン等の樹脂を箱状に成形し、その表面をメッキや蒸着によって導電化したものが知られている。
この様なシールドケースは、電子部品を搭載したプリント基板に対して、電子部品を覆うように配置され、プリント基板上のアースパターンとシールドケースとが接触するようにして固定されている。例えば金属板からなるシールドケースの場合には、はんだ付けにより固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したシールドケースの場合には、下記の問題点があり、一層の改善が望まれていた。
例えば、金属板を折り曲げたシールドケースの場合には、金属板を折り曲げて作成するため、その形状に制約があり、また、側壁と側壁の合わせ目に隙間ができやすく、この部分から電磁波が漏れることがある。
【0005】
また、シールドケースは、はんだ付けによりプリント基板に固定されるが、プリント基板(或いはシールドケース)が反っている場合には、はんだ付けできない箇所が発生することがある。更に、衝撃があると、はんだ付けが取れてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで確実な電磁波シールドを容易に実現できるシールド構造及びその形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、基材(例えばプリント基板)上に配置された電子部品を覆って電磁波をシールドするシールド構造において、前記電子部品の周囲を囲むように、前記基材上に導電性エラストマにより壁部を設けるとともに、少なくとも前記壁部で囲んだ領域の上部を電磁波のシールドが可能な蓋体で覆ったことを特徴とする。
【0008】
本発明では、基材の表面に、(柔軟で且つ適度な弾性を有する)導電性エラストマにより壁部を設けているので、その壁部で囲んだ領域を(導電性を有する)蓋体で覆うことにより、低コストで確実な電磁波シールドを容易に実現することができる。
【0009】
つまり、従来の様に、金属板を折り曲げてシールドケースを作成するのではないので、形状に制約がなく、設計の自由度が高いという効果がある。しかも、個々のシールドケースに対応した金型を製造する必要がなく、コスト的に有利である。
【0010】
また、基材と壁部との間には、金属板製の場合の様な隙間が無いので、電磁波の漏れや侵入を確実に防止することができる。
更に、壁部は導電性エラストマから構成されているので、プリント基板等の基材が反っている場合でも、例えばネジやファスナで押圧して固定することにより、蓋体と壁部との間に隙間が生じることを防止できる。従って、この点からも、電磁波のシールド性が高い。しかも、衝撃があっても、隙間が生じ難いという利点がある。
【0011】
(2)請求項2の発明は、前記蓋体として、金属板、樹脂層に金属層を積層したもの、及び導電布のうち、少なくとも1種を用いることを特徴とする。
本発明は、蓋体を例示したものである。例えば蓋体を金属板により形成することにより、広い面積を容易にシールドすることができる。
【0012】
また、樹脂層に金属層を積層したものを用いる場合には、蓋体(従ってシールド構造)の軽量化を図ることができる。尚、この金属層(導電層)としては、金属箔、メッキ、蒸着、又はスパッタリングにより形成された層を用いることができる。
【0013】
更に、導電布は加工が容易であり、この導電布としては、例えば金属細線又は金属コート繊維からなるマルチフィラメント糸或いはモノフィラメント糸を製織したものや、合成繊維糸を用いて製織した織布に金属コートを施したものなどが挙げられる。
【0014】
(3)請求項3の発明は、前記蓋体の外側及び/又は内側に、フェライト板、板状電磁波吸収材、及び熱伝導材のうち、少なくとも1種を備えたことを特徴とする。
つまり、蓋体の表面にフェライト板や(フェライト板ではない複合材料からなる)板状電磁波吸収材を設けた場合には、電磁波シールド性を高めることができる。尚、板状電磁波吸収材としては、例えば電磁波吸収体の形成材料となる軟磁性材料を所定の割合で含む樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、熱伝導材を設けた場合には、放熱性を向上させることができる。尚、熱伝導材としては、例えば樹脂中に熱伝導フィラーを含むもの等、各種の熱伝導性に優れた材料を採用できる。
(4)請求項4の発明では、前記蓋体として、平板な板材、曲がった形状の板材、及び一方が開放された箱状の部材のうち、いずれかを用いることを特徴とする。
【0016】
本発明は、蓋体を例示したものである。
例えば壁部の高さが均一な場合には、平板な板材を壁部の上端に載せることにより、シールドする領域(シールド領域)の上部を覆うことができる。また、電子部品の高さが様々であり、そのため、壁部の高さが位置によって異なる場合には、その高さに合わせて曲げられた形状の板材を、壁部の上端に載せることにより、シールド領域を覆うことができる。更に、板材ではなく、箱状の部材を用いても、同様にシールド領域の上部を覆うことができる。
【0017】
(5)請求項5の発明では、前記蓋体と前記壁部の上端とを密着させたことを特徴とする。
本発明では、蓋体と壁部の上端とを密着させて、隙間が無いようにしているので、一層電磁波シールド性が向上する。
【0018】
(6)請求項6の発明は、壁部により、基材表面の所定の領域を、複数の領域に区分したことを特徴とする。
これにより、各領域にて電子部品を確実にシールドすることができる。
(7)請求項7の発明では、蓋体と基材とを、ネジ又はファスナにより固定することを特徴とする。
【0019】
本発明は、蓋体と基材とを、どの様な手段で固定するかを例示したものである。これにより、確実に又容易に、蓋体を基材に固定することができる。また、蓋体は壁部に押圧されて密着するので、電磁波シールド性が向上する。
(8)請求項8の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、前記基材の表面に、前記壁部の材料を塗布することにより、前記壁部を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明では、例えばディスペンサを用いて、基材の表面の所定の箇所に壁部の材料を塗布し、その後乾燥させることにより、基材の表面に所望の形状の壁部を容易に形成することができる。
また、本発明では、壁部の材料を順次積層することにより、壁部の高さを調節することができる。例えば壁部の高さが低い場合には、例えばディスペンサを用いて壁部の材料を例えば1回塗布すればよいが、壁部が高い場合には、その作業を繰り返すことにより、所望の高さの壁部を形成することができる。
【0021】
尚、壁部の高さが部分的に異なっている場合には、必要な箇所にのみ壁部の材料を塗布することにより、壁部の高さを容易に調節することができる。
(9)請求項9の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、前記基材の表面に、射出成形又は圧縮成形を含む導電性エラストマの成形方法により、前記壁部を形成することを特徴とする。
【0022】
本発明では、壁部を形成する方法として、通常の導電エラストマの部材を形成する方法、例えば射出成形や圧縮成形などを採用することができる。
この方法により、所望の箇所に所望の形状や所望の高さの壁部を容易に形成することができる。
【0023】
尚、前記導電性エラストマは、導電性及び弾性を有する材料であり、導電性エラストマとしては、導電性シリコーン接着剤や導電性エポキシ接着剤等の導電性接着剤自身を採用できる。
また、この導電性接着剤により他の導電性エラストマを接合したものなども採用できる。例えば導電性接着剤で接合される導電性エラストマとしては、シリコーンラバー等の弾性ゴムやクロロプレン、ネオプレン、サンプトプレン、ポリウレタン等の高分子発泡体に、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、炭素、グラファイト等の微粒子を混入したものが挙げられる。また、この他にも、金属箔や金属網等によって弾性ゴムや発泡体等を被覆したもの、弾性ゴムや発泡体等に金属成分をコーティングしたもの等があり、使用環境に応じて使い分けることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシールド構造及びその形成方法の実施の形態の例(実施例)を説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例のシールド構造の構成について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0025】
図1に示す様に、本実施例のシールド構造は、例えば携帯電話に搭載された電子機器(電子部品)1に影響を及ぼす電磁波や、電子部品1から外部に放出される電磁波をシールド(遮蔽)するためのものである。
つまり、プリント基板3上には、電子部品1の周囲を囲む様に壁部5が形成されるとともに、この壁部5で囲まれた領域(シールド領域)の上部が蓋体(シールド板)7で覆われており、これにより、シールド構造が構成されている。
【0026】
以下、詳細に説明する。
プリント基板3上には、壁部5を形成する箇所に沿って、アースパターン9が形成されている。このアースパターン9は、電子部品1が配置された領域の外周を囲む様に環状に形成されているとともに、電子部品1が配置された領域を3つに区分する様に、略T字状に形成されている。
【0027】
前記アースパターン9上には、アースパターン9に沿って線状に長尺の壁部5が形成されている。従って、壁部5もアースパターン9と同様に、環状部分と略T字状の部分とから構成されている。
この壁部5は、導電性(従って電磁波シールド性)を有する導電性エラストマからなり、その上端は平坦面とされている。尚、導電性エラストマは、導電性及び弾性を有する柔軟な材料であり、この導電性エラストマとしては、導電性シリコーン接着剤や導電性エポキシ樹脂等の導電性接着剤を採用できる。
【0028】
図2にシールド構造の断面(図1のA−A断面)を示す様に、前記壁部5の上端には、電子部品1が配置された領域の上部を覆うように、蓋体7が密着されている。この蓋体7は、例えば銅やアルミニウム等の導電性(従って電磁波シールド性)を有する平板状の金属板から構成されており、従って、壁部5と蓋体7とは電気的に接続されている。
【0029】
また、図3に蓋体7を示す様に、蓋体7の表面(電子部品1側の表面)には、その四方に、ネジ止め用の硬質の樹脂(例えばポリプロピレン)からなるボス11が、接着剤等により接合されている。
このボス11には、ネジ孔13が形成されており、ボス11の高さは、ネジ締め時に壁部5を高さ方向に押圧するように、ネジ締め前の壁部5の高さより低く設定されている。
【0030】
b)次に、前記シールド構造の形成方法について、図4に基づいて説明する。尚、図4では厚み方向の寸法を拡大して示している。
まず、図4(a)に示す様に、金属板を打ち抜いて、蓋体7を製造する。
次に、図4(b)に示す様に、蓋体7のプリント基板3側の面7a上にて、壁部5の内側に位置する箇所に、ボス11を接着する。
【0031】
一方、図4(c)に示す様に、プリント基板3の上面(電子部品1の搭載側の表面)3aにて、壁部5を形成する位置(即ちアースパターン9の形成位置)に、例えば(材料を押し出して線状に塗布することが可能な)周知のディスペンサを用いて液状の導電性エラストマ(例えば導電シリコーン接着剤)を塗布し、加熱して乾燥させる。
【0032】
次に、図4(d)に示す様に、壁部5の高さに合わせて、同様な箇所に重ね合わせるようにして、同様に導電性エラストマを塗布・乾燥する作業を繰り返し、所望の高さの壁部5を形成する。
その後、図4(e)に示す様に、蓋体7によって、電子部品1を配置した領域の上方を覆うとともに、蓋体7の外周端を壁部5の上面に密着させる。
【0033】
そして、図5に一部を拡大して示す様に、プリント基板3のネジ孔15にネジ17をはめ込み、ボス11のネジ孔13に螺合させることにより、プリント基板3と蓋体7側とを一体に固定する。
d)次に、上述した構成による効果を説明する。
【0034】
▲1▼本実施例では、プリント基板3の表面に、導電性エラストマからなる壁部5を設けることにより、従来の金属製の箱体の様なつなぎ目がなく、電磁波のシールド性が向上する。
▲2▼プリント基板3の表面上に、任意のパターンで壁部5を形成できるので、設計の自由度が高いという効果がある。
【0035】
▲3▼従来の様な金型が不要であり、金型費等のコストを低減することができる。
▲4▼壁部5により、プリント基板3上をいくつかの領域に分けてシールドすることができるので、シールド性が高いという利点がある。
▲5▼壁部5は、適度な弾性及び柔軟性のある導電性エラストマから構成されているので、たとえプリント基板3等が反った場合でも、壁部5がその反りに追従でき、変形にも強いシールド構造とすることができる。
【0036】
尚、本実施例では、蓋体7として導電性を有する金属板を用いたが、それ以外に、例えばポロプロピレンなどの樹脂製の基板の表面(少なくとも壁部側の表面)に、Cu等の導電性の金属のメッキや蒸着やスパッタリングなどによって導電層を形成したり、或いは樹脂製の基板の表面に金属箔などを貼り付け、これを蓋体7としてもよい。
【0037】
また、ボス11は、蓋体7側ではなく、プリント基板3側に設けてもよく(この場合は、蓋体7側からネジ締めする)、或いは、ボス11によるネジ止めではなく、導電性接着剤を用いて、蓋体7とプリント基板3とを接合してもよい。
更に、蓋体7において、壁部5と当接する位置に、導電性を有する突起を設け、この突起を壁部5の上端に押し込むことにより、蓋体7と壁部5とを電気的に接続してもよい。
【0038】
尚、本実施例では、壁部5によりシールド構造内を複数の領域に区分したが、複数の領域に区分しなくともよい。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0039】
本実施例では、ネジではなくファスナにより固定するものである。
図6に示す様に、本実施例のシールド構造では、蓋体21とプリント基板23とを、ファスナ25により、所定間隔を保った状態で固定する。
このファスナ25は、弾性を有する樹脂から構成され、支柱27の両端に固定機構29、31を備えたものであり、この固定機構29、31は、それぞれ弾性凸部29a、31aと弾性逆止片29b、31bから構成されている。
【0040】
従って、蓋体21に設けられた貫通孔33に、ファスナ25の一方の弾性凸部29aを通すことにより、この一方の弾性凸部29aと弾性逆止片29bによって蓋体21が狭持され、ファスナ25自身が蓋体21に固定される。同様に、プリント基板23に設けられた貫通孔35に、ファスナ25の他方の弾性凸部31aを通すことにより、この他方の弾性凸部31aと弾性逆止片31bによってプリント基板35が狭持され、ファスナ25自身がプリント基板23に固定される。
【0041】
これにより、蓋体21とプリント基板23とが、所定の間隔、即ち壁部37の高さの間隔を保って互いに固定される。
尚、この所定の間隔は、壁部37を高さ方向(同図の上下方向)に押圧するように、固定前の壁部37の高さより小さく設定されている。
【0042】
また、本実施例では、ファスナ25は、壁部37で囲まれて電子部品39が配置された領域(同図左方)の外側に配置されている。従って、壁部37は、プリント基板23の外周端ではなく、それより内側に形成されている。
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、蓋体21とプリント基板23とをファスナ25で固定するので、ボス等が不要であり、しかも、その固定が簡単であるという利点がある。
【0043】
尚、ファスナ25で、蓋体21とプリント基板23とを固定する場合に、壁部37で囲まれた領域の外側の位置で固定するときには、ファスナ25の材料として導電性を有しない材料を使用できるが、壁部37で囲まれた領域の内側の位置で固定するときには、電磁波シールド性を高めるために、ファスナ25の材料として導電性を有する材料を使用することが望ましい。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0044】
本実施例のシールド構造では、図7に示す様に、壁部41を、複数の導電性エラストマ部材45から構成している。
つまり、帯状の導電性エラストマ部材45を、導電性接着剤47により接合して壁部41を形成する。
【0045】
例えば導電性接着剤47で接合される導電性エラストマ部材45としては、シリコーンラバー等の弾性ゴムやクロロプレン、ネオプレン、サンプトプレン、ポリウレタン等の高分子発泡体に、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、炭素、グラファイト等の微粒子を混入したものが挙げられる。
【0046】
また、この他にも、金属箔や金属網等によって弾性ゴムや発泡体等を被覆したもの、弾性ゴムや発泡体等に金属成分をコーティングしたもの等があり、使用環境に応じて使い分けることができる。
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、壁部41を容易に高くできるので好適である。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0047】
本実施例のシールド構造は、前記実施例1とは、壁部の形成方法が異なる。
本実施例では、図8(a)に示す様に、まず、型枠51の表面に、壁部に対応する溝53を設け、この溝53に導電性接着剤55を充填する。
そして、その溝53を覆う様に、(壁部の配置となるように)プリント基板57を載置し、この状態で導電性接着剤55を加熱し、乾燥させる。
【0048】
これにより、導電性接着剤55が、壁部の形状に凝固するとともにプリント基板57の表面に接合する。
本実施例でも、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、一度の処理で壁部を形成できるので、製造工程を簡易化できるという利点がある。
【0049】
また、上述した方法とは別に、射出成形(LIM)や圧縮成型等の通常の樹脂の成形方法により、壁部を形成してもよい。
例えば図8(b)に示す様に、まず、型枠61の表面に、壁部に対応する溝63を設け、この型枠61をプリント基板65上に配置して、導電性エラストマの材料67を注入し、加熱して溶融し、その後冷却して凝固させるようにして壁部を形成してもよい。
(実施例5)
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0050】
本実施例のシールド構造は、前記実施例1とは、蓋体及び壁部の形状が異なる。
図9に示す様に、本実施例における蓋体71は、平板状の金属板ではなく、例えば中央部で厚み方向(図の上下方向)に曲がった形状を有する金属板からなる。
【0051】
一方、壁部73は、蓋体71の曲がり形状に応じてその高さ(厚み)が変更されている。つまり、蓋体71が同図の上方に曲がってプリント基板75との間隔が大きくなって部分71aは、壁部73が高く形成され、一方、蓋体71が同図の下方に曲がってプリント基板75との間隔が小さくなって部分71bは、壁部73が低く形成されている。
【0052】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、プリント基板75上に搭載された電子部品77の高さや形状に合わせて、コンパクトで最適な形状のシールド構造とすることができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0053】
例えば導電性を有する薄膜の金属板(或いは金属箔)と+樹脂フィルムをラミネートすることにより、蓋体を形成してもよい。この場合には、金属板側に壁部を形成する。
また、蓋体の外側や内側に、熱伝導材(例えば板材)を配置してもよく、この場合には、放熱性が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のシールド構造を分解して示す斜視図である。
【図2】実施例1のシールド構造を破断して示す説明図である。
【図3】実施例1における蓋体を示す斜視図である。
【図4】実施例1のシールド構造の形成方法を示す説明図である。
【図5】実施例1の蓋体をプリント基板に固定した状態を拡大して示す説明図である。
【図6】実施例2のシールド構造を示す説明図である。
【図7】実施例3のシールド構造を示す説明図である。
【図8】(a)は実施例4のシールド構造の形成方法を示す説明図、(b)は他のシールド構造の形成方法を示す説明図である。
【図9】実施例5のシールド構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1、39、77…電子部品
3、23、57、65、75…プリント基板
5、37、41、73…壁部
7、21、71…蓋体
9…アースパターン
25…ファスナ
45…導電性エラストマ部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子部品に影響を与える電磁波をシールド(遮蔽)するシールド構造及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば携帯電話等の電子機器においては、その電子部品に影響を与える電磁波をシールドするため、又は、電子部品から放射される電磁波が他の電子機器に影響を与えるのを防止するために、シールドケースが用いられている。
【0003】
このシールドケースとしては、例えば金属板を折り曲げて、一方が開口した箱状にしたものや、ポリプロピレン等の樹脂を箱状に成形し、その表面をメッキや蒸着によって導電化したものが知られている。
この様なシールドケースは、電子部品を搭載したプリント基板に対して、電子部品を覆うように配置され、プリント基板上のアースパターンとシールドケースとが接触するようにして固定されている。例えば金属板からなるシールドケースの場合には、はんだ付けにより固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したシールドケースの場合には、下記の問題点があり、一層の改善が望まれていた。
例えば、金属板を折り曲げたシールドケースの場合には、金属板を折り曲げて作成するため、その形状に制約があり、また、側壁と側壁の合わせ目に隙間ができやすく、この部分から電磁波が漏れることがある。
【0005】
また、シールドケースは、はんだ付けによりプリント基板に固定されるが、プリント基板(或いはシールドケース)が反っている場合には、はんだ付けできない箇所が発生することがある。更に、衝撃があると、はんだ付けが取れてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで確実な電磁波シールドを容易に実現できるシールド構造及びその形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、基材(例えばプリント基板)上に配置された電子部品を覆って電磁波をシールドするシールド構造において、前記電子部品の周囲を囲むように、前記基材上に導電性エラストマにより壁部を設けるとともに、少なくとも前記壁部で囲んだ領域の上部を電磁波のシールドが可能な蓋体で覆ったことを特徴とする。
【0008】
本発明では、基材の表面に、(柔軟で且つ適度な弾性を有する)導電性エラストマにより壁部を設けているので、その壁部で囲んだ領域を(導電性を有する)蓋体で覆うことにより、低コストで確実な電磁波シールドを容易に実現することができる。
【0009】
つまり、従来の様に、金属板を折り曲げてシールドケースを作成するのではないので、形状に制約がなく、設計の自由度が高いという効果がある。しかも、個々のシールドケースに対応した金型を製造する必要がなく、コスト的に有利である。
【0010】
また、基材と壁部との間には、金属板製の場合の様な隙間が無いので、電磁波の漏れや侵入を確実に防止することができる。
更に、壁部は導電性エラストマから構成されているので、プリント基板等の基材が反っている場合でも、例えばネジやファスナで押圧して固定することにより、蓋体と壁部との間に隙間が生じることを防止できる。従って、この点からも、電磁波のシールド性が高い。しかも、衝撃があっても、隙間が生じ難いという利点がある。
【0011】
(2)請求項2の発明は、前記蓋体として、金属板、樹脂層に金属層を積層したもの、及び導電布のうち、少なくとも1種を用いることを特徴とする。
本発明は、蓋体を例示したものである。例えば蓋体を金属板により形成することにより、広い面積を容易にシールドすることができる。
【0012】
また、樹脂層に金属層を積層したものを用いる場合には、蓋体(従ってシールド構造)の軽量化を図ることができる。尚、この金属層(導電層)としては、金属箔、メッキ、蒸着、又はスパッタリングにより形成された層を用いることができる。
【0013】
更に、導電布は加工が容易であり、この導電布としては、例えば金属細線又は金属コート繊維からなるマルチフィラメント糸或いはモノフィラメント糸を製織したものや、合成繊維糸を用いて製織した織布に金属コートを施したものなどが挙げられる。
【0014】
(3)請求項3の発明は、前記蓋体の外側及び/又は内側に、フェライト板、板状電磁波吸収材、及び熱伝導材のうち、少なくとも1種を備えたことを特徴とする。
つまり、蓋体の表面にフェライト板や(フェライト板ではない複合材料からなる)板状電磁波吸収材を設けた場合には、電磁波シールド性を高めることができる。尚、板状電磁波吸収材としては、例えば電磁波吸収体の形成材料となる軟磁性材料を所定の割合で含む樹脂などが挙げられる。
【0015】
また、熱伝導材を設けた場合には、放熱性を向上させることができる。尚、熱伝導材としては、例えば樹脂中に熱伝導フィラーを含むもの等、各種の熱伝導性に優れた材料を採用できる。
(4)請求項4の発明では、前記蓋体として、平板な板材、曲がった形状の板材、及び一方が開放された箱状の部材のうち、いずれかを用いることを特徴とする。
【0016】
本発明は、蓋体を例示したものである。
例えば壁部の高さが均一な場合には、平板な板材を壁部の上端に載せることにより、シールドする領域(シールド領域)の上部を覆うことができる。また、電子部品の高さが様々であり、そのため、壁部の高さが位置によって異なる場合には、その高さに合わせて曲げられた形状の板材を、壁部の上端に載せることにより、シールド領域を覆うことができる。更に、板材ではなく、箱状の部材を用いても、同様にシールド領域の上部を覆うことができる。
【0017】
(5)請求項5の発明では、前記蓋体と前記壁部の上端とを密着させたことを特徴とする。
本発明では、蓋体と壁部の上端とを密着させて、隙間が無いようにしているので、一層電磁波シールド性が向上する。
【0018】
(6)請求項6の発明は、壁部により、基材表面の所定の領域を、複数の領域に区分したことを特徴とする。
これにより、各領域にて電子部品を確実にシールドすることができる。
(7)請求項7の発明では、蓋体と基材とを、ネジ又はファスナにより固定することを特徴とする。
【0019】
本発明は、蓋体と基材とを、どの様な手段で固定するかを例示したものである。これにより、確実に又容易に、蓋体を基材に固定することができる。また、蓋体は壁部に押圧されて密着するので、電磁波シールド性が向上する。
(8)請求項8の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、前記基材の表面に、前記壁部の材料を塗布することにより、前記壁部を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明では、例えばディスペンサを用いて、基材の表面の所定の箇所に壁部の材料を塗布し、その後乾燥させることにより、基材の表面に所望の形状の壁部を容易に形成することができる。
また、本発明では、壁部の材料を順次積層することにより、壁部の高さを調節することができる。例えば壁部の高さが低い場合には、例えばディスペンサを用いて壁部の材料を例えば1回塗布すればよいが、壁部が高い場合には、その作業を繰り返すことにより、所望の高さの壁部を形成することができる。
【0021】
尚、壁部の高さが部分的に異なっている場合には、必要な箇所にのみ壁部の材料を塗布することにより、壁部の高さを容易に調節することができる。
(9)請求項9の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、前記基材の表面に、射出成形又は圧縮成形を含む導電性エラストマの成形方法により、前記壁部を形成することを特徴とする。
【0022】
本発明では、壁部を形成する方法として、通常の導電エラストマの部材を形成する方法、例えば射出成形や圧縮成形などを採用することができる。
この方法により、所望の箇所に所望の形状や所望の高さの壁部を容易に形成することができる。
【0023】
尚、前記導電性エラストマは、導電性及び弾性を有する材料であり、導電性エラストマとしては、導電性シリコーン接着剤や導電性エポキシ接着剤等の導電性接着剤自身を採用できる。
また、この導電性接着剤により他の導電性エラストマを接合したものなども採用できる。例えば導電性接着剤で接合される導電性エラストマとしては、シリコーンラバー等の弾性ゴムやクロロプレン、ネオプレン、サンプトプレン、ポリウレタン等の高分子発泡体に、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、炭素、グラファイト等の微粒子を混入したものが挙げられる。また、この他にも、金属箔や金属網等によって弾性ゴムや発泡体等を被覆したもの、弾性ゴムや発泡体等に金属成分をコーティングしたもの等があり、使用環境に応じて使い分けることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシールド構造及びその形成方法の実施の形態の例(実施例)を説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例のシールド構造の構成について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0025】
図1に示す様に、本実施例のシールド構造は、例えば携帯電話に搭載された電子機器(電子部品)1に影響を及ぼす電磁波や、電子部品1から外部に放出される電磁波をシールド(遮蔽)するためのものである。
つまり、プリント基板3上には、電子部品1の周囲を囲む様に壁部5が形成されるとともに、この壁部5で囲まれた領域(シールド領域)の上部が蓋体(シールド板)7で覆われており、これにより、シールド構造が構成されている。
【0026】
以下、詳細に説明する。
プリント基板3上には、壁部5を形成する箇所に沿って、アースパターン9が形成されている。このアースパターン9は、電子部品1が配置された領域の外周を囲む様に環状に形成されているとともに、電子部品1が配置された領域を3つに区分する様に、略T字状に形成されている。
【0027】
前記アースパターン9上には、アースパターン9に沿って線状に長尺の壁部5が形成されている。従って、壁部5もアースパターン9と同様に、環状部分と略T字状の部分とから構成されている。
この壁部5は、導電性(従って電磁波シールド性)を有する導電性エラストマからなり、その上端は平坦面とされている。尚、導電性エラストマは、導電性及び弾性を有する柔軟な材料であり、この導電性エラストマとしては、導電性シリコーン接着剤や導電性エポキシ樹脂等の導電性接着剤を採用できる。
【0028】
図2にシールド構造の断面(図1のA−A断面)を示す様に、前記壁部5の上端には、電子部品1が配置された領域の上部を覆うように、蓋体7が密着されている。この蓋体7は、例えば銅やアルミニウム等の導電性(従って電磁波シールド性)を有する平板状の金属板から構成されており、従って、壁部5と蓋体7とは電気的に接続されている。
【0029】
また、図3に蓋体7を示す様に、蓋体7の表面(電子部品1側の表面)には、その四方に、ネジ止め用の硬質の樹脂(例えばポリプロピレン)からなるボス11が、接着剤等により接合されている。
このボス11には、ネジ孔13が形成されており、ボス11の高さは、ネジ締め時に壁部5を高さ方向に押圧するように、ネジ締め前の壁部5の高さより低く設定されている。
【0030】
b)次に、前記シールド構造の形成方法について、図4に基づいて説明する。尚、図4では厚み方向の寸法を拡大して示している。
まず、図4(a)に示す様に、金属板を打ち抜いて、蓋体7を製造する。
次に、図4(b)に示す様に、蓋体7のプリント基板3側の面7a上にて、壁部5の内側に位置する箇所に、ボス11を接着する。
【0031】
一方、図4(c)に示す様に、プリント基板3の上面(電子部品1の搭載側の表面)3aにて、壁部5を形成する位置(即ちアースパターン9の形成位置)に、例えば(材料を押し出して線状に塗布することが可能な)周知のディスペンサを用いて液状の導電性エラストマ(例えば導電シリコーン接着剤)を塗布し、加熱して乾燥させる。
【0032】
次に、図4(d)に示す様に、壁部5の高さに合わせて、同様な箇所に重ね合わせるようにして、同様に導電性エラストマを塗布・乾燥する作業を繰り返し、所望の高さの壁部5を形成する。
その後、図4(e)に示す様に、蓋体7によって、電子部品1を配置した領域の上方を覆うとともに、蓋体7の外周端を壁部5の上面に密着させる。
【0033】
そして、図5に一部を拡大して示す様に、プリント基板3のネジ孔15にネジ17をはめ込み、ボス11のネジ孔13に螺合させることにより、プリント基板3と蓋体7側とを一体に固定する。
d)次に、上述した構成による効果を説明する。
【0034】
▲1▼本実施例では、プリント基板3の表面に、導電性エラストマからなる壁部5を設けることにより、従来の金属製の箱体の様なつなぎ目がなく、電磁波のシールド性が向上する。
▲2▼プリント基板3の表面上に、任意のパターンで壁部5を形成できるので、設計の自由度が高いという効果がある。
【0035】
▲3▼従来の様な金型が不要であり、金型費等のコストを低減することができる。
▲4▼壁部5により、プリント基板3上をいくつかの領域に分けてシールドすることができるので、シールド性が高いという利点がある。
▲5▼壁部5は、適度な弾性及び柔軟性のある導電性エラストマから構成されているので、たとえプリント基板3等が反った場合でも、壁部5がその反りに追従でき、変形にも強いシールド構造とすることができる。
【0036】
尚、本実施例では、蓋体7として導電性を有する金属板を用いたが、それ以外に、例えばポロプロピレンなどの樹脂製の基板の表面(少なくとも壁部側の表面)に、Cu等の導電性の金属のメッキや蒸着やスパッタリングなどによって導電層を形成したり、或いは樹脂製の基板の表面に金属箔などを貼り付け、これを蓋体7としてもよい。
【0037】
また、ボス11は、蓋体7側ではなく、プリント基板3側に設けてもよく(この場合は、蓋体7側からネジ締めする)、或いは、ボス11によるネジ止めではなく、導電性接着剤を用いて、蓋体7とプリント基板3とを接合してもよい。
更に、蓋体7において、壁部5と当接する位置に、導電性を有する突起を設け、この突起を壁部5の上端に押し込むことにより、蓋体7と壁部5とを電気的に接続してもよい。
【0038】
尚、本実施例では、壁部5によりシールド構造内を複数の領域に区分したが、複数の領域に区分しなくともよい。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0039】
本実施例では、ネジではなくファスナにより固定するものである。
図6に示す様に、本実施例のシールド構造では、蓋体21とプリント基板23とを、ファスナ25により、所定間隔を保った状態で固定する。
このファスナ25は、弾性を有する樹脂から構成され、支柱27の両端に固定機構29、31を備えたものであり、この固定機構29、31は、それぞれ弾性凸部29a、31aと弾性逆止片29b、31bから構成されている。
【0040】
従って、蓋体21に設けられた貫通孔33に、ファスナ25の一方の弾性凸部29aを通すことにより、この一方の弾性凸部29aと弾性逆止片29bによって蓋体21が狭持され、ファスナ25自身が蓋体21に固定される。同様に、プリント基板23に設けられた貫通孔35に、ファスナ25の他方の弾性凸部31aを通すことにより、この他方の弾性凸部31aと弾性逆止片31bによってプリント基板35が狭持され、ファスナ25自身がプリント基板23に固定される。
【0041】
これにより、蓋体21とプリント基板23とが、所定の間隔、即ち壁部37の高さの間隔を保って互いに固定される。
尚、この所定の間隔は、壁部37を高さ方向(同図の上下方向)に押圧するように、固定前の壁部37の高さより小さく設定されている。
【0042】
また、本実施例では、ファスナ25は、壁部37で囲まれて電子部品39が配置された領域(同図左方)の外側に配置されている。従って、壁部37は、プリント基板23の外周端ではなく、それより内側に形成されている。
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、蓋体21とプリント基板23とをファスナ25で固定するので、ボス等が不要であり、しかも、その固定が簡単であるという利点がある。
【0043】
尚、ファスナ25で、蓋体21とプリント基板23とを固定する場合に、壁部37で囲まれた領域の外側の位置で固定するときには、ファスナ25の材料として導電性を有しない材料を使用できるが、壁部37で囲まれた領域の内側の位置で固定するときには、電磁波シールド性を高めるために、ファスナ25の材料として導電性を有する材料を使用することが望ましい。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0044】
本実施例のシールド構造では、図7に示す様に、壁部41を、複数の導電性エラストマ部材45から構成している。
つまり、帯状の導電性エラストマ部材45を、導電性接着剤47により接合して壁部41を形成する。
【0045】
例えば導電性接着剤47で接合される導電性エラストマ部材45としては、シリコーンラバー等の弾性ゴムやクロロプレン、ネオプレン、サンプトプレン、ポリウレタン等の高分子発泡体に、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、炭素、グラファイト等の微粒子を混入したものが挙げられる。
【0046】
また、この他にも、金属箔や金属網等によって弾性ゴムや発泡体等を被覆したもの、弾性ゴムや発泡体等に金属成分をコーティングしたもの等があり、使用環境に応じて使い分けることができる。
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、壁部41を容易に高くできるので好適である。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0047】
本実施例のシールド構造は、前記実施例1とは、壁部の形成方法が異なる。
本実施例では、図8(a)に示す様に、まず、型枠51の表面に、壁部に対応する溝53を設け、この溝53に導電性接着剤55を充填する。
そして、その溝53を覆う様に、(壁部の配置となるように)プリント基板57を載置し、この状態で導電性接着剤55を加熱し、乾燥させる。
【0048】
これにより、導電性接着剤55が、壁部の形状に凝固するとともにプリント基板57の表面に接合する。
本実施例でも、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、一度の処理で壁部を形成できるので、製造工程を簡易化できるという利点がある。
【0049】
また、上述した方法とは別に、射出成形(LIM)や圧縮成型等の通常の樹脂の成形方法により、壁部を形成してもよい。
例えば図8(b)に示す様に、まず、型枠61の表面に、壁部に対応する溝63を設け、この型枠61をプリント基板65上に配置して、導電性エラストマの材料67を注入し、加熱して溶融し、その後冷却して凝固させるようにして壁部を形成してもよい。
(実施例5)
次に、実施例5について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0050】
本実施例のシールド構造は、前記実施例1とは、蓋体及び壁部の形状が異なる。
図9に示す様に、本実施例における蓋体71は、平板状の金属板ではなく、例えば中央部で厚み方向(図の上下方向)に曲がった形状を有する金属板からなる。
【0051】
一方、壁部73は、蓋体71の曲がり形状に応じてその高さ(厚み)が変更されている。つまり、蓋体71が同図の上方に曲がってプリント基板75との間隔が大きくなって部分71aは、壁部73が高く形成され、一方、蓋体71が同図の下方に曲がってプリント基板75との間隔が小さくなって部分71bは、壁部73が低く形成されている。
【0052】
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、プリント基板75上に搭載された電子部品77の高さや形状に合わせて、コンパクトで最適な形状のシールド構造とすることができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0053】
例えば導電性を有する薄膜の金属板(或いは金属箔)と+樹脂フィルムをラミネートすることにより、蓋体を形成してもよい。この場合には、金属板側に壁部を形成する。
また、蓋体の外側や内側に、熱伝導材(例えば板材)を配置してもよく、この場合には、放熱性が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のシールド構造を分解して示す斜視図である。
【図2】実施例1のシールド構造を破断して示す説明図である。
【図3】実施例1における蓋体を示す斜視図である。
【図4】実施例1のシールド構造の形成方法を示す説明図である。
【図5】実施例1の蓋体をプリント基板に固定した状態を拡大して示す説明図である。
【図6】実施例2のシールド構造を示す説明図である。
【図7】実施例3のシールド構造を示す説明図である。
【図8】(a)は実施例4のシールド構造の形成方法を示す説明図、(b)は他のシールド構造の形成方法を示す説明図である。
【図9】実施例5のシールド構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1、39、77…電子部品
3、23、57、65、75…プリント基板
5、37、41、73…壁部
7、21、71…蓋体
9…アースパターン
25…ファスナ
45…導電性エラストマ部材
Claims (9)
- 基材上に配置された電子部品を覆って電磁波をシールドするシールド構造において、
前記電子部品の周囲を囲むように、前記基材上に導電性エラストマにより壁部を設けるとともに、少なくとも前記壁部で囲んだ領域の上部を電磁波のシールドが可能な蓋体で覆ったことを特徴とするシールド構造。 - 前記蓋体として、金属板、樹脂層に金属層を積層したもの、及び導電布のうち、少なくとも1種を用いることを特徴とする前記請求項1に記載のシールド構造。
- 前記蓋体の外側及び/又は内側に、フェライト板、板状電磁波吸収材、及び熱伝導材のうち、少なくとも1種を備えたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のシールド構造。
- 前記蓋体として、平板な板材、曲がった形状の板材、及び一方が開放された箱状の部材のうち、いずれかを用いることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載のシールド構造。
- 前記蓋体と前記壁部の上端とを密着させたことを特徴とする前記請求項1〜4に記載のシールド構造。
- 前記壁部により、前記基材表面の所定の領域を、複数の領域に区分したことを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載のシールド構造。
- 前記蓋体と前記基材とを、ネジ又はファスナにより固定することを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載のシールド構造。
- 前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、
前記基材の表面に、前記壁部の材料を塗布することにより、前記壁部を形成することを特徴とするシールド構造の形成方法。 - 前記請求項1〜7のいずれかに記載のシールド構造の形成方法であって、
前記基材の表面に、射出成形又は圧縮成形を含む導電性エラストマの成形方法により、前記壁部を形成することを特徴とするシールド構造の形成方法。
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