JP2004071463A - リチウム二次電池用負極部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池特性に優れる上、製造性や価格の面でもより有利なリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池用負極部材を「10〜50重量%(好ましくは30〜40重量%)のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」から成るものとする。この箔から成る負極部材は、リチウム二次電池の負極材料と集電材料との機能を兼ね備えたものとなる。また、この箔部材は、10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して急冷凝固させることにより製造できる。
【選択図】 なし
【解決手段】リチウム二次電池用負極部材を「10〜50重量%(好ましくは30〜40重量%)のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」から成るものとする。この箔から成る負極部材は、リチウム二次電池の負極材料と集電材料との機能を兼ね備えたものとなる。また、この箔部材は、10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して急冷凝固させることにより製造できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池の負極材料と負極集電材料との作用を兼ね備えた金属箔から成るリチウム二次電池用負極部材並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、正極にリチウム酸化物を用いたリチウム二次電池が携帯型通信機器類の電源として使用されるようになったが、携帯型通信機器類の著しい需要増に伴ってリチウム二次電池に対して一層の高出力化,高容量化,コンパクト化,製造の容易化,低価格化が要望され、これらの要求に応えるための研究・開発が盛んに行われている。
【0003】
このリチウム二次電池は、例えば特開平4−198028号公報の第1図で模式的に示されているように、“正極材料”,“負極材料”及び両材料間に介在する“電解質を保持したセパレ−タ”の3つの基本要素によって構成される。
このうち、正極材料及び負極材料には“活物質,導電材及び結着材の混合物”が適用されおり、これらを構成材料とする各電極は、前記混合物に必要に応じて可塑剤を添加して分散媒に混合分散させてから金属箔等の集電材料に塗工することにより作製される。
【0004】
このうちの正極に適用される活物質としてはリチウム・コバルト複合酸化物等といったリチウム含有遷移金属酸化物が用いられており、負極に適用される活物質としては、金属リチウムのほか、近年ではリチウムイオンを吸蔵・放出できる物質(例えばコ−クス系炭素や黒鉛系炭素等の炭素材料)が一般に適用されるようになった。
【0005】
そして、活物質混合物が塗工される集電材料としては銅箔等が一般的に用いられており、この集電材料への活物質混合物の塗工には、グラビアコ−ト,ブレ−ドコ−ト,コンマコ−ト,ディップコ−ト等の方法が適用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、近年の通信機器類による通信情報量の加速度的な増大に対処すべく、それらの電源として用いられるリチウム二次電池には、放電容量や電池効率(=初回放電量/初回充電量)といった電池特性に優れることは勿論、これらに加えて更なる製造容易性や低価格化が強く求められている。
このようなことから、本発明が目的としたのは、電池特性に優れる上、製造性や価格の面でもより有利なリチウム二次電池を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったが、その研究を通じて以下の知見を得ることができた。
即ち、特開平10−302770号公報を見ると「化学式ABX ( 但し、 AはFe,Ni,Mn,Co,Mo,Cr,Nb,V,Cu及びWのうちの1種以上であり、 BはSi又はSiの一部をC,Ce,Sn,Pb,Al及びPの1種以上で置換したもの)で表される化合物を溶融状態から急冷凝固させて微細組織となしてから粉末状に粉砕したものを活物質として用い、これをバインダ−等と混合して金属箔等の集電材料に塗工してリチウム二次電池の負極部材とする」としたリチウム二次電池に係る新しい提案がなされているが、本発明者らの研究により、Siを含有する特定の合金にはこの提案からは伺い知れないリチウム二次電池用電極としての用途が期待できることが明らかとなった。
【0008】
この点に関する究明事項の1つは、特に「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」では、前記特開平10−302770号公報の提案技術のように粉末状に粉砕しなくても、そのままでリチウム二次電池の負極活物質として優れた電池特性を発揮する上、この「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」をそのままリチウム二次電池の負極部材として用いれば、別体としての集電材料を要することなく、従って「集電材料に負極活物質を塗工する」といった作業工程を必要とせずに電池特性の優れたリチウム二次電池を実現することが可能になるとの事実である。
つまり、「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」はリチウム二次電池の負極材料と集電材料との機能を兼ね備えた部材となることを見出すことができた。
【0009】
また、10〜50重量%ものSiを含有する銅合金又はニッケル合金は加工性が極めて悪くて通常の圧延等の方法では箔に加工することができないが、この合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して箔とする方法によれば、容易にかつ能率良く当該組成の銅合金箔又はニッケル合金箔を工業生産できることも確認した。
【0010】
本発明は、上記知見事項等を基にしてなされたもので、次の▲1▼〜▲3▼項に示すリチウム二次電池用負極部材並びにその製造方法を提供するものである。
▲1▼ 10〜50%(以降、 成分割合を示す%は重量%とする)のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔から成ることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材。
▲2▼ Si含有量が30〜40%である、前記▲1▼項記載のリチウム二次電池用負極部材。
▲3▼ 10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して箔とすることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るリチウム二次電池用負極部材を構成する銅合金又はニッケル合金は“Si含有量が10〜50%で残部が不可避不純物を含むCu又はNiから成るもの”を基本組成とするが、0.05%の範囲までならFe,Cr,V,Ca等の元素の含有は許容することができる。
なお、本発明に係るリチウム二次電池用負極部材において、Si含有量が10%未満であると十分な電池特性(放電容量,電池効率)が発揮されず、一方、Si含有量が50%を超えると箔の製造が困難となるために負極材料と負極集電材料とを兼ねた負極部材が得られず、本発明が目的とする電池のコンパクト化や低価格化を達成することができない。
【0012】
即ち、リチウム二次電池用負極部材として“10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔”を適用することによってはじめて、活物質を集電材料に塗工するために用いていた導電材,結着剤,可塑剤,分散媒等が不必要となる上、別体の集電材料を省略することもでき、しかも活物質を集電材料に塗工する作業も不要となってリチウム二次電池のコンパクト化や低価格化が実現されると共に、優れた電池特性を保持することも可能となる。
ただ、電池特性の面からは、銅合金又はニッケル合金のSi含有量は30〜40%とするのがより好ましいと言える。
また、リチウム二次電池用負極部材としての“銅合金又はニッケル合金の箔”は、薄すぎると品質の均一性を保のが難しくなって電池特性が劣化する傾向があり、逆に厚すぎても品質の均一性や機械加工性の点で難が生じがちとなるので、その厚さは5〜50μmに調整するのが良い。
【0013】
ところで、本発明に係る負極部材を適用するリチウム二次電池は、その正極,電解質を保持するセパレ−タ,電解質等についての制限はなく、これらについては公知のものが適用できる。
例えば、セパレ−タとしては、大きなイオン透過度を持つと共に絶縁性を有するオレフィン系ポリマ−(ポリプロピレンやポリエチレン等)の微多孔性薄膜やガラス繊維等から作られたシ−トや不織布を用いることができる。
セパレ−タに保持させる電解質としては、液体系,ポリマ−系あるいは固体系のものが知られているが、一般的に用いられている溶媒とその溶媒に溶解するリチウム塩とから構成される液体系のものが好ましいと言える。この場合の溶媒としては、ポリエチレンカ−ボネ−ト,エチレンカ−ボネ−ト,ジメチルスルホキシド,ブチルラクトン,スルホラン,1,2−ジメトキシエタン,テトラヒドロフラン,ジエチルカ−ボネ−ト,メチルエチルカ−ボネ−ト,ジメチルカ−ボネ−ト等の有機溶媒が適当であり、リチウム塩としては、LiCF3 SO3 ,LiAsF6 ,LiClO4 ,LiBF4 ,LiPF4 等が好ましい。
【0014】
本発明に係るリチウム二次電池用負極部材としての“10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔”を製造するための冷却ロ−ルとしては、従前から知られている急冷凝固用の水冷ロ−ルを使用することができ、冷却ロ−ルの様式は単ロ−ルタイプであっても双ロ−ルタイプであっても構わない。
【0015】
次いで、本発明を実施例によって説明する。
【実施例】
〔実施例1〕
誘導溶解炉にてSi含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%,50%及び60%のCu−Si合金を溶製した後、これら各溶湯をそれぞれ、ロ−ル寸法が外径200mmφ×幅20mmであって5000rpm で回転する単ロ−ルタイプの冷却ロ−ル(水冷銅ロ−ル)表面に35〜90g/sec の供給速度で供給し、Si含有量が60%のCu−Si合金を除いては何れも厚さが10μmの箔を製造した。
そして、これらの箔をリチウム二次電池用負極部材とした。
【0016】
ここで、Si含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%及び50%のCu−Si合金については箔を製造することができたが、Si含有量が60%のCu−Si合金の場合には箔とすることができなかったのでリチウム二次電池用負極部材の作成を行わなかった。
【0017】
一方、対極(正極)として、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を正極活物質として85%、導電材としてのアセチレンブラックを8%、そして結着材としてのポリ弗化ビニリデンを7%それぞれ計量し、これに分散媒としてアセトンを加えてスラリ−とした後、これをアルミ箔上に塗布してから溶媒を蒸発させてリチウム電池の正電極を作製した。
【0018】
次に、この正極と先に作成した負極部材(負極)とを適用し、リチウム電池であるコインセル(CR2032)を作製した。
なお、電解質としては1モルのLiPF6 を含むエチレンカ−ボネ−トとジメチルカ−ボネ−トの混合物(混合比=1:1)を用いた。
そして、このコインセルにつき、その電池特性(放電容量及び初回効率)を測定した。
この測定結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示される結果からも明らかなように、本発明に係るCu−Si合金箔製の負極部材を適用したリチウム電池は、高い放電容量を示すと共に、初回効率にも十分優れていることが分かる。
また、本発明に係る負極部材は、活物質を集電材料に塗工するための導電材,結着剤,可塑剤,分散媒を必要とせず、また負極活物質として作用するCu−Si合金箔が集電材料としての役割も担うので別体の集電材料も不要である上、負極活物質を集電材料に塗工する作業も省略できるので、リチウム二次電池のコンパクト化や著しい低価格化が実現されたことは言うまでもない。
【0021】
〔実施例2〕
誘導溶解炉にてSi含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%,50%及び60%のNi−Si合金を溶製した後、これら各溶湯をそれぞれ、ロ−ル寸法が外径200mmφ×幅20mmであって5000rpm で回転する単ロ−ルタイプの冷却ロ−ル(水冷銅ロ−ル)表面に35〜90g/sec の供給速度で供給し、Si含有量が60%のCu−Si合金を除いては何れも厚さが10μmの箔を製造した。
そして、これらの箔をリチウム二次電池用負極部材とした。
【0022】
なお、Si含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%及び50%のNi−Si合金については箔を製造することができたが、Si含有量が60%のNi−Si合金の場合には箔とすることができなかったのでリチウム二次電池用負極部材の作成を行わなかった。
【0023】
一方、対極(正極)として、実施例1と同様のリチウム・コバルト複合酸化物系正電極を作製し、この正極と前記Ni−Si合金箔から成る負極部材(負極)とを適用してリチウム電池であるコインセル(CR2032)を作製した。
電解質としては、1モルのLiPF6 を含むエチレンカ−ボネ−トとジメチルカ−ボネ−トの混合物(混合比=1:1)を用いた。
そして、このコインセルにつき、その電池特性(放電容量及び初回効率)を測定した。
この測定結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示される結果からも、本発明に係るNi−Si合金箔製の負極部材を適用したリチウム電池は、高い放電容量を示すと共に、初回効率にも十分優れていることが分かる。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明した如く、この発明によれば、負極材料と負極集電材料との作用を兼ね備えた金属箔から成る電池特性に優れるリチウム二次電池用負極部材を提供することができ、高性能でコンパクトな上に製造性や価格の面で一段と有利なリチウム二次電池を実現することが可能になるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池の負極材料と負極集電材料との作用を兼ね備えた金属箔から成るリチウム二次電池用負極部材並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、正極にリチウム酸化物を用いたリチウム二次電池が携帯型通信機器類の電源として使用されるようになったが、携帯型通信機器類の著しい需要増に伴ってリチウム二次電池に対して一層の高出力化,高容量化,コンパクト化,製造の容易化,低価格化が要望され、これらの要求に応えるための研究・開発が盛んに行われている。
【0003】
このリチウム二次電池は、例えば特開平4−198028号公報の第1図で模式的に示されているように、“正極材料”,“負極材料”及び両材料間に介在する“電解質を保持したセパレ−タ”の3つの基本要素によって構成される。
このうち、正極材料及び負極材料には“活物質,導電材及び結着材の混合物”が適用されおり、これらを構成材料とする各電極は、前記混合物に必要に応じて可塑剤を添加して分散媒に混合分散させてから金属箔等の集電材料に塗工することにより作製される。
【0004】
このうちの正極に適用される活物質としてはリチウム・コバルト複合酸化物等といったリチウム含有遷移金属酸化物が用いられており、負極に適用される活物質としては、金属リチウムのほか、近年ではリチウムイオンを吸蔵・放出できる物質(例えばコ−クス系炭素や黒鉛系炭素等の炭素材料)が一般に適用されるようになった。
【0005】
そして、活物質混合物が塗工される集電材料としては銅箔等が一般的に用いられており、この集電材料への活物質混合物の塗工には、グラビアコ−ト,ブレ−ドコ−ト,コンマコ−ト,ディップコ−ト等の方法が適用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、近年の通信機器類による通信情報量の加速度的な増大に対処すべく、それらの電源として用いられるリチウム二次電池には、放電容量や電池効率(=初回放電量/初回充電量)といった電池特性に優れることは勿論、これらに加えて更なる製造容易性や低価格化が強く求められている。
このようなことから、本発明が目的としたのは、電池特性に優れる上、製造性や価格の面でもより有利なリチウム二次電池を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったが、その研究を通じて以下の知見を得ることができた。
即ち、特開平10−302770号公報を見ると「化学式ABX ( 但し、 AはFe,Ni,Mn,Co,Mo,Cr,Nb,V,Cu及びWのうちの1種以上であり、 BはSi又はSiの一部をC,Ce,Sn,Pb,Al及びPの1種以上で置換したもの)で表される化合物を溶融状態から急冷凝固させて微細組織となしてから粉末状に粉砕したものを活物質として用い、これをバインダ−等と混合して金属箔等の集電材料に塗工してリチウム二次電池の負極部材とする」としたリチウム二次電池に係る新しい提案がなされているが、本発明者らの研究により、Siを含有する特定の合金にはこの提案からは伺い知れないリチウム二次電池用電極としての用途が期待できることが明らかとなった。
【0008】
この点に関する究明事項の1つは、特に「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」では、前記特開平10−302770号公報の提案技術のように粉末状に粉砕しなくても、そのままでリチウム二次電池の負極活物質として優れた電池特性を発揮する上、この「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」をそのままリチウム二次電池の負極部材として用いれば、別体としての集電材料を要することなく、従って「集電材料に負極活物質を塗工する」といった作業工程を必要とせずに電池特性の優れたリチウム二次電池を実現することが可能になるとの事実である。
つまり、「10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔」はリチウム二次電池の負極材料と集電材料との機能を兼ね備えた部材となることを見出すことができた。
【0009】
また、10〜50重量%ものSiを含有する銅合金又はニッケル合金は加工性が極めて悪くて通常の圧延等の方法では箔に加工することができないが、この合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して箔とする方法によれば、容易にかつ能率良く当該組成の銅合金箔又はニッケル合金箔を工業生産できることも確認した。
【0010】
本発明は、上記知見事項等を基にしてなされたもので、次の▲1▼〜▲3▼項に示すリチウム二次電池用負極部材並びにその製造方法を提供するものである。
▲1▼ 10〜50%(以降、 成分割合を示す%は重量%とする)のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔から成ることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材。
▲2▼ Si含有量が30〜40%である、前記▲1▼項記載のリチウム二次電池用負極部材。
▲3▼ 10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して箔とすることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るリチウム二次電池用負極部材を構成する銅合金又はニッケル合金は“Si含有量が10〜50%で残部が不可避不純物を含むCu又はNiから成るもの”を基本組成とするが、0.05%の範囲までならFe,Cr,V,Ca等の元素の含有は許容することができる。
なお、本発明に係るリチウム二次電池用負極部材において、Si含有量が10%未満であると十分な電池特性(放電容量,電池効率)が発揮されず、一方、Si含有量が50%を超えると箔の製造が困難となるために負極材料と負極集電材料とを兼ねた負極部材が得られず、本発明が目的とする電池のコンパクト化や低価格化を達成することができない。
【0012】
即ち、リチウム二次電池用負極部材として“10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔”を適用することによってはじめて、活物質を集電材料に塗工するために用いていた導電材,結着剤,可塑剤,分散媒等が不必要となる上、別体の集電材料を省略することもでき、しかも活物質を集電材料に塗工する作業も不要となってリチウム二次電池のコンパクト化や低価格化が実現されると共に、優れた電池特性を保持することも可能となる。
ただ、電池特性の面からは、銅合金又はニッケル合金のSi含有量は30〜40%とするのがより好ましいと言える。
また、リチウム二次電池用負極部材としての“銅合金又はニッケル合金の箔”は、薄すぎると品質の均一性を保のが難しくなって電池特性が劣化する傾向があり、逆に厚すぎても品質の均一性や機械加工性の点で難が生じがちとなるので、その厚さは5〜50μmに調整するのが良い。
【0013】
ところで、本発明に係る負極部材を適用するリチウム二次電池は、その正極,電解質を保持するセパレ−タ,電解質等についての制限はなく、これらについては公知のものが適用できる。
例えば、セパレ−タとしては、大きなイオン透過度を持つと共に絶縁性を有するオレフィン系ポリマ−(ポリプロピレンやポリエチレン等)の微多孔性薄膜やガラス繊維等から作られたシ−トや不織布を用いることができる。
セパレ−タに保持させる電解質としては、液体系,ポリマ−系あるいは固体系のものが知られているが、一般的に用いられている溶媒とその溶媒に溶解するリチウム塩とから構成される液体系のものが好ましいと言える。この場合の溶媒としては、ポリエチレンカ−ボネ−ト,エチレンカ−ボネ−ト,ジメチルスルホキシド,ブチルラクトン,スルホラン,1,2−ジメトキシエタン,テトラヒドロフラン,ジエチルカ−ボネ−ト,メチルエチルカ−ボネ−ト,ジメチルカ−ボネ−ト等の有機溶媒が適当であり、リチウム塩としては、LiCF3 SO3 ,LiAsF6 ,LiClO4 ,LiBF4 ,LiPF4 等が好ましい。
【0014】
本発明に係るリチウム二次電池用負極部材としての“10〜50%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔”を製造するための冷却ロ−ルとしては、従前から知られている急冷凝固用の水冷ロ−ルを使用することができ、冷却ロ−ルの様式は単ロ−ルタイプであっても双ロ−ルタイプであっても構わない。
【0015】
次いで、本発明を実施例によって説明する。
【実施例】
〔実施例1〕
誘導溶解炉にてSi含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%,50%及び60%のCu−Si合金を溶製した後、これら各溶湯をそれぞれ、ロ−ル寸法が外径200mmφ×幅20mmであって5000rpm で回転する単ロ−ルタイプの冷却ロ−ル(水冷銅ロ−ル)表面に35〜90g/sec の供給速度で供給し、Si含有量が60%のCu−Si合金を除いては何れも厚さが10μmの箔を製造した。
そして、これらの箔をリチウム二次電池用負極部材とした。
【0016】
ここで、Si含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%及び50%のCu−Si合金については箔を製造することができたが、Si含有量が60%のCu−Si合金の場合には箔とすることができなかったのでリチウム二次電池用負極部材の作成を行わなかった。
【0017】
一方、対極(正極)として、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を正極活物質として85%、導電材としてのアセチレンブラックを8%、そして結着材としてのポリ弗化ビニリデンを7%それぞれ計量し、これに分散媒としてアセトンを加えてスラリ−とした後、これをアルミ箔上に塗布してから溶媒を蒸発させてリチウム電池の正電極を作製した。
【0018】
次に、この正極と先に作成した負極部材(負極)とを適用し、リチウム電池であるコインセル(CR2032)を作製した。
なお、電解質としては1モルのLiPF6 を含むエチレンカ−ボネ−トとジメチルカ−ボネ−トの混合物(混合比=1:1)を用いた。
そして、このコインセルにつき、その電池特性(放電容量及び初回効率)を測定した。
この測定結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示される結果からも明らかなように、本発明に係るCu−Si合金箔製の負極部材を適用したリチウム電池は、高い放電容量を示すと共に、初回効率にも十分優れていることが分かる。
また、本発明に係る負極部材は、活物質を集電材料に塗工するための導電材,結着剤,可塑剤,分散媒を必要とせず、また負極活物質として作用するCu−Si合金箔が集電材料としての役割も担うので別体の集電材料も不要である上、負極活物質を集電材料に塗工する作業も省略できるので、リチウム二次電池のコンパクト化や著しい低価格化が実現されたことは言うまでもない。
【0021】
〔実施例2〕
誘導溶解炉にてSi含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%,50%及び60%のNi−Si合金を溶製した後、これら各溶湯をそれぞれ、ロ−ル寸法が外径200mmφ×幅20mmであって5000rpm で回転する単ロ−ルタイプの冷却ロ−ル(水冷銅ロ−ル)表面に35〜90g/sec の供給速度で供給し、Si含有量が60%のCu−Si合金を除いては何れも厚さが10μmの箔を製造した。
そして、これらの箔をリチウム二次電池用負極部材とした。
【0022】
なお、Si含有量がそれぞれ5%,10%,30%,40%及び50%のNi−Si合金については箔を製造することができたが、Si含有量が60%のNi−Si合金の場合には箔とすることができなかったのでリチウム二次電池用負極部材の作成を行わなかった。
【0023】
一方、対極(正極)として、実施例1と同様のリチウム・コバルト複合酸化物系正電極を作製し、この正極と前記Ni−Si合金箔から成る負極部材(負極)とを適用してリチウム電池であるコインセル(CR2032)を作製した。
電解質としては、1モルのLiPF6 を含むエチレンカ−ボネ−トとジメチルカ−ボネ−トの混合物(混合比=1:1)を用いた。
そして、このコインセルにつき、その電池特性(放電容量及び初回効率)を測定した。
この測定結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示される結果からも、本発明に係るNi−Si合金箔製の負極部材を適用したリチウム電池は、高い放電容量を示すと共に、初回効率にも十分優れていることが分かる。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明した如く、この発明によれば、負極材料と負極集電材料との作用を兼ね備えた金属箔から成る電池特性に優れるリチウム二次電池用負極部材を提供することができ、高性能でコンパクトな上に製造性や価格の面で一段と有利なリチウム二次電池を実現することが可能になるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
Claims (3)
- 10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の箔から成ることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材。
- Si含有量が30〜40重量%である、請求項1記載のリチウム二次電池用負極部材。
- 10〜50重量%のSiを含有する銅合金又はニッケル合金の溶融液を回転する冷却ロ−ル上に供給して箔とすることを特徴とする、リチウム二次電池用負極部材の製造方法。
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