JP2004071329A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】アイドル発電時或いは低負荷発電時にも燃料電池スタックを安定的に発電させる。
【解決手段】冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9により検出した出力値が所定の出力値よりも低く、且つ冷却水温度センサ11により検出したスタック温度が所定温度以上の場合に、燃料電池スタック1に供給する冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御することで、燃料電池スタック1の温度を低下させる。これにより、燃料電池スタック1が低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタック1の温度が高いときには、燃料電池スタック1の温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量を減らして、循環ガス中の燃料ガスの割合を高くする。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9により検出した出力値が所定の出力値よりも低く、且つ冷却水温度センサ11により検出したスタック温度が所定温度以上の場合に、燃料電池スタック1に供給する冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御することで、燃料電池スタック1の温度を低下させる。これにより、燃料電池スタック1が低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタック1の温度が高いときには、燃料電池スタック1の温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量を減らして、循環ガス中の燃料ガスの割合を高くする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池スタックを発電させて駆動する燃料電池車両などに搭載され、燃料ガスを燃料電池スタックに供給すると共に、燃料電池スタックから排出された燃料ガスを燃料電池スタックに循環させて再度燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料ガスを燃料電池スタックに供給して発電させるに際して、燃料ガス供給流路にエゼクタポンプを配設し、このエゼクタポンプによって燃料電池スタックにて使用されずに通過した燃料ガスを再度燃料電池スタックに循環させる燃料電池システムが知られている。このような燃料電池システムは、例えば特開2001−266922号公報にて開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の燃料電池システムでは、燃料電池スタックを高負荷にて運転することで高負荷の発電をさせ続けた後に、低負荷運転或いはアイドル運転とすると、燃料電池スタックの温度が高い状態のままとなる。すなわち、燃料電池スタックを低負荷運転又はアイドル運転とするときには、燃料電池スタック内に循環させる冷却水量も少なくするので、燃料電池スタックの温度低下幅も少なくなり、高温状態が継続することになる。
【0004】
このように燃料電池スタックの温度が高い状態では、循環させている燃料ガス中の燃料ガスに対する水蒸気量の割合が高くなり、エゼクタポンプの燃料ガスの循環量が低下する。燃料ガスの循環量が低下すると、燃料電池スタックの作動が不安定な状態となってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、アイドル発電時或いは低負荷発電時にも燃料電池スタックを安定的に発電させることができる燃料電池システムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、上記燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを燃料ガス循環装置により循環させて上記燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに適用される。
【0007】
このような燃料電池システムでは、燃料電池スタックを安定して動作させるために、制御手段により、スタック出力検出手段により検出した出力値が所定の出力値よりも小さく、且つスタック温度検知手段により検出したスタック温度が所定温度以上の場合に、燃料電池スタックに供給する冷却水流量を増加させるようにスタック温度調整手段を制御することで、燃料電池スタックの温度を低下させ、上述の課題を解決する。
【0008】
すなわち、この燃料電池システムでは、燃料電池スタックが低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタックの温度が高いときには、燃料電池スタックの温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量を減らして、循環ガス中の燃料ガスの割合を高くする。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタックが低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタックの温度が高いときには、冷却水流量を増加させて速やかに燃料電池スタックの温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量に対する燃料ガスの割合を高くするので、燃料電池スタックの発電動作を安定させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した第1実施形態〜第5実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態]
[第1実施形態に係る燃料電池システムの構成]
第1実施形態に係る燃料電池システムは、図1に示すように、燃料電池スタック1を駆動源とした燃料電池車両に搭載される。燃料電池スタック1は、水素ガス等の燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを、電解質を介して電気化学的に反応し、電極間から電力が直接取り出される。なお、図1では、燃料電池スタック1に供給する酸化剤ガスの供給ラインを省略している。
【0012】
この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給するために、燃料ガス挿通管によって高圧ボンベ2、圧力調整弁3、エゼクタポンプ4、加湿器5が接続されている。また、燃料電池スタック1の燃料ガス排出側には、循環流路が設けられ、燃料電池スタック1にて排出した燃料ガスをエゼクタポンプ4に循環するように構成され、更に、パージ弁6が設けられている。
【0013】
この燃料電池システムでは、燃料ガスを高圧ボンベ2に蓄積しておき、燃料電池スタック1を発電させるに際して、高圧ボンベ2からの燃料ガスの流量や圧力を圧力調整弁3によって調整して、エゼクタポンプ4に供給する。このエゼクタポンプ4では、圧力調整弁3からの燃料ガスと燃料電池スタック1にて使用されずに通過した排出燃料ガスとが供給され、これらの燃料ガスを混合して、加湿器5に供給する。加湿器5に供給された燃料ガスは、加湿されて、燃料電池スタック1に供給される。また、燃料電池スタック1の燃料ガス排出側には、起動時の水素置換や停止時のパージ、走行中の水や窒素をパージするパージ弁6が設けられている。
【0014】
また、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1を冷却するため、冷却水を燃料電池スタック1内に循環させる冷却水配管に、冷却水ポンプ7、ラジエータ8が設けられる。この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1を発電させているときに、冷却水ポンプ7によって冷却水を燃料電池スタック1内に循環させ、冷却水ポンプ7によって冷却水温度を調整する。
【0015】
更に、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1にて発電して出力している出力電圧値を検出するスタック出力検出装置9を備える。このスタック出力検出装置9は、燃料電池スタック1の出力電力を検出すると、この出力電力値をセンサ信号として冷却水流量制御装置10に出力する。
【0016】
この冷却水流量制御装置10は、スタック出力検出装置9からのセンサ信号から出力電圧値を認識すると共に、冷却水配管に設けられた冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。冷却水流量制御装置10は、スタック出力検出装置9及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号に基づいて冷却水ポンプ7を制御し、燃料電池スタック1に供給する冷却水流量を制御する冷却水流量制御処理をする。なお、この冷却水流量制御処理の詳細な内容については後述する。また、この燃料電池システムでは、図示しないが、圧力調整弁3の開度を調整したり、パージ弁6の開閉を制御したりする制御装置を更に備える。
【0017】
[燃料電池システムの冷却水流量制御処理]
つぎに、上述した燃料電池システムにおける、冷却水流量制御装置10による冷却水流量制御処理の処理手順について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0018】
この冷却水流量制御処理は、燃料電池スタック1を発電動作させているときにおいて、冷却水流量制御装置10により例えば所定期間ごとに繰り返し実行される。
【0019】
先ず、ステップS1において、冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9からのセンサ信号を入力し、検出した出力電圧値が予め設定した所定出力値よりも低いか否かの判定をする。この所定出力値とは、燃料電池スタック1からの出力電圧値が高負荷から低負荷となったことを判定するための出力電圧値が予め燃料電池システムの設計時に設定されている。
【0020】
出力電圧値が所定出力値よりも低いと判定した場合にはステップS2に処理を進め、出力電圧値が所定出力値よりも低くないと判定した場合にはステップS3に処理を進める。
【0021】
ステップS2においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水温度センサ11からのセンサ信号を入力し、検出した冷却水温度が予め設定した所定温度よりも高いか否かの判定をする。この所定温度とは、燃料電池スタック1が高温となって冷却水流量を増加させる必要があるか否かを判断するための温度が予め燃料電池システムの設計時に設定されている。
【0022】
燃料電池スタック1内を循環した冷却水温度が所定温度よりも高い場合にはステップS4に処理を進め、燃料電池スタック1内を循環した冷却水温度が所定温度よりも高くない場合にはステップS3に処理を進める。
【0023】
ステップS3においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水ポンプ7を制御して冷却水流量を通常の設定量にして処理を終了する。すなわち、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低くなく、冷却水温度が所定温度よりも高くない場合には、冷却水流量を通常設定量にする。この通常設定値とは、燃料電池スタック1に要求される出力電圧値に応じた冷却水流量である。
【0024】
ステップS4においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水ポンプ7を制御して冷却水流量を現在の流量よりも所定量だけ増加させて処理を終了する。すなわち、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低く、且つ冷却水温度が所定温度よりも高い場合には、冷却水流量を増加させて燃料電池スタック1の温度を低下させる。
【0025】
このようなステップS1〜ステップS4の処理を繰り返して行うことにより、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定値よりも低く、冷却水温度が所定温度よりも高いという状況が継続するならば冷却水流量を段階的に増加させる。そして、出力電圧値が所定量より高くなった場合、或いは、冷却水温度が所定温度より低くなった場合には、通常の冷却水流量の設定に戻す。この時、冷却水流量制御装置10では、冷却水ポンプ7の能力等により冷却水流量の上限値を予め設定しておき、冷却水流量がこの上限値となった場合には冷却水流量の増加を停止しても良い。
【0026】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の出力電圧が低いが、燃料電池スタック1の温度が高い場合に、冷却水流量を増加させるので、燃料電池スタック1の温度を速やかに低下させることができ、燃料電池スタック1の発電動作を安定させることができる。
【0027】
通常、燃料電池スタック1を発電させる場合、燃料電池スタック1の発電状態がアイドル状態や低負荷状態では、発熱量が多くないので冷却水がラジエータ8に流れ込む流量を少なくし、高負荷状態では、発熱量が多くなるので冷却水流量を多くするように制御する。ここで、冷却水の循環にも電力を消費するために、必要以上の冷却水流量にはしないのが一般的である。
【0028】
これに対し、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の発電状態が高負荷状態から低負荷状態に変化したときには、燃料電池スタック1の耐熱性の観点からすると多少高温であっても冷却水流量を増加させる必要のなかった低負荷状態時やアイドル状態時に、冷却水流量を増加させるので、燃料電池スタック1の温度を速やかに低下させて循環ガス中の燃料ガスに対する水蒸気量の割合を低下させることができる。したがって、この燃料電池システムによれば、燃料ガスの循環量を確保し、燃料電池スタック1を安定的に発電させることができる。
【0029】
ここで、燃料電池スタック1の出力電圧及び燃料電池スタック1の温度に対する、ウェット/ドライ循環比Rdw(WET/DRY循環比)の関係を図3に示す。ここで、ウェット/ドライ循環比Rdwとは、加湿器5にて加湿しないで燃料電池スタック1に燃料ガスを供給して燃料ガスを循環させたときの循環ガス中の水蒸気の割合であるドライ循環比rdと、加湿しないで燃料電池スタック1に燃料ガスを供給していたが燃料電池スタック1の温度上昇により水蒸気を多く含んだときの循環ガス中の水蒸気の割合であるウェット循環比rwとの比である。
【0030】
図3によれば、燃料電池スタック1の出力電圧値が低く、燃料電池スタック1が高温となる程、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cよりも高くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなることが分かる。燃料ガスを循環させるエゼクタポンプ4は、循環路の温度上昇により飽和水蒸気圧が高くなり、循環ガス中の水蒸気量が増加すると、循環できる燃料ガス量が低下する特性を有する。ここで、上限循環比Rdw_cは、エゼクタポンプ4により循環させる循環ガス中の水蒸気量が多くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなって燃料電池スタック1の作動を不安定にさせるような燃料ガスと水蒸気量との比となる。
【0031】
このような特性を有することから、第1実施形態に係る燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の出力電圧が低く、燃料電池スタック1の温度が高い状態では冷却水流量を増加させることで、燃料電池スタック1の温度を低下させることで循環路の温度を低下させる。これにより、循環路中の水蒸気量を減らすことによって燃料ガスの循環量を増加させ、ウェット/ドライ循環比Rdwを低下させる。
【0032】
また、図3に示すように、高負荷領域では燃料電池スタック1の温度による循環特性の違いは少ないことから、循環特性を考慮した冷却水流量制御を行ってもあまり効果は無く、冷却水流量増加は冷却水ポンプ7の電力消費を伴う可能性もあるため、高負荷領域では発熱量に応じた冷却水流量の制御する。
【0033】
なお、燃料電池スタック1の温度を低下させすぎると、燃料電池スタック1の作動が不安定となる場合があるので、冷却水流量を増加させる場合、燃料電池スタック1の温度下限値を設定しておいても良い。
【0034】
更に、上述した実施形態では、燃料電池スタック1の冷却水出口の温度を燃料電池スタック1の温度とみなしているが、これに限らず、燃料電池スタック1の温度を直接検出するよう構成しても良い。
【0035】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0036】
第2実施形態に係る燃料電池システムは、図4に示すように、燃料電池スタック1を構成するセル電圧を検出するセル電圧検出装置21を備える点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。このセル電圧検出装置21は、燃料電池スタック1に発電動作をさせているときに、セル電圧値を検出してセンサ信号として冷却水流量制御装置10読み込まれる。
【0037】
冷却水流量制御装置10は、セル電圧検出装置21からセンサ信号を読み込んでセル電圧値から燃料電池スタック1の作動の不安定度合いを判別し、不安定であると判別した場合に、冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0038】
このような冷却水流量制御処理のフローチャートを図5に示すように、先ず、ステップS11においては、冷却水流量制御装置10により、セル電圧検出装置21をからのセンサ信号を読み込み、燃料電池スタック1が不安定な作動をしているか否かの判定をする。このとき、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の作動の不安定度合いを、複数のセル間のセル電圧値のばらつき或いは、各セルの電圧変動等から判定する。
【0039】
冷却水流量制御装置10は、セル電圧値から燃料電池スタック1が安定した作動をしていると判定した場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定値にするように冷却水ポンプ7を制御して処理を終了する。
【0040】
一方、燃料電池スタック1が不安定な作動をしていると判定した場合には、ステップS1にて燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低く、更に、ステップS2にて冷却水温度が所定温度よりも高いと判定した場合に、ステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0041】
このような第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の作動が不安定である場合に限り冷却水流量を増加させるので、第1実施形態での効果に加えて、冷却水ポンプ7による消費電力量を必要最小限にして燃費の悪化を抑制することができる。
【0042】
なお、上述の第2実施形態において、セル電圧を検出して燃料電池スタック1の不安定度合いを判定して、燃料電池スタック1の作動が不安定な場合に限り冷却水量を増加させる処理は、第1実施形態のみならず、後述の実施形態においても適用可能である。
【0043】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。また、第3実施形態に係る燃料電池システムは、その構成が第1実施形態に係る燃料電池システムと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0044】
この第3実施形態に係る燃料電池システムによる冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図6に示すように、先ず、ステップS21において、冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。そして、冷却水流量制御装置10では、冷却水温度から求めた燃料電池スタック1の温度及び燃料電池スタック1の出力電圧値から、図3の特性を用いて、ウェット/ドライ循環比Rdwを求める。
【0045】
ここで、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の出力電圧値及び燃料電池スタック1の温度に対するウェット/ドライ循環比Rdwを記述したテーブルデータを予め用意しておく。そして、冷却水流量制御装置10では、ステップS21にて読み込んだセンサ信号からテーブルデータを参照してウェット/ドライ循環比Rdwを求める。
【0046】
次のステップS22においては、冷却水流量制御装置10により、ステップS21にて求めたウェット/ドライ循環比Rdwが、予め設定しておいた所定の上限循環比Rdw_c(図3参照)を超えているか否かを判定する。この上限循環比Rdw_cは、エゼクタポンプ4により循環させる循環ガス中の水蒸気量が多くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなって燃料電池スタック1の作動を不安定にさせるような循環ガス中の水蒸気量の割合が燃料電池システムの設計時に予め設定されている。
【0047】
冷却水流量制御装置10により、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えていると判定した場合にはステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御し、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えていない場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定量にする。
【0048】
このような第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えている場合に燃料電池スタック1の温度を低下させて、ウェット/ドライ循環比Rdwを上限循環比Rdw_cより小さくして燃料ガスの循環量を回復させることができるので、燃料電池スタック1を安定して動作させることができる。
【0049】
また、この燃料電池システムによれば、直接ウェット/ドライ循環比Rdwを求めることで、燃料電池スタック1の発電が不安定になる状態を正確に判定することができ、第2実施形態と比較して、短時間にて燃料電池スタック1を安定動作させることができる。
【0050】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0051】
第4実施形態に係る燃料電池システムは、図7に示すように、燃料電池スタック1の出力電圧値を検出するスタック出力検出装置9を備えず、エゼクタポンプ4の上流の燃料ガス供給量を検出する供給量検出センサ31と、エゼクタポンプ4への燃料ガス循環量を検出する循環量検出センサ32を備えた点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0052】
このような燃料電池システムにおいて、冷却水流量制御装置10では、供給量検出センサ31及び循環量検出センサ32からセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給量及び燃料ガス循環量を取得し、冷却水流量制御処理をする。
【0053】
この冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図8に示すように、先ず、ステップS31においては、冷却水流量制御装置10により、供給量検出センサ31からのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給量Qinを取得し、この燃料ガス供給量Qinから加湿器5により加湿する前のドライ循環比rdを求めてステップS32に処理を進める。このステップS31では、予め燃料ガス供給量Qinに対するエゼクタポンプ4のドライ循環比rdの値を記述したテーブルを作成しておいて、燃料ガス供給量Qinに応じてこのテーブルを参照する。
【0054】
ステップS32においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込み、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の温度からウェット/ドライ循環比Rdwを求める。ここで、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の出力電圧値とは線形関係にあり、検出した燃料ガス供給量Qinから燃料電池スタック1の出力電圧値を求め、この出力電圧値と燃料電池スタック1の温度から図3に示した特性を用いてウェット/ドライ循環比Rdwを求める。そして、冷却水流量制御装置10では、ステップS31にて求めたドライ循環比rdとウェット/ドライ循環比Rdwとを用いて下記演算式の
ウェット/ドライ循環比Rdw=rw/rd
なる演算をすることにより、ウェット循環比rwを算出する。
【0055】
なお、燃料電池スタック1の動作が定常状態である場合には、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の出力電圧値とが線形な関係にあり、図3の横軸を供給流量として用いてウェット/ドライ循環比Rdwを求めても良い。
【0056】
次のステップS33においては、冷却水流量制御装置10により、供給量検出センサ31及び循環量検出センサ32からセンサ信号を読み込み、実際の燃料ガス供給量Qinと燃料ガス循環量とから実際の循環比reを算出してステップS34に処理を進める。
【0057】
ステップS34においては、冷却水流量制御装置10により、ステップS33にて求めた実際の循環比reとステップS32にて求めたウェット循環比rwとの差分と、所定値Δとを比較して、差分が所定値Δよりも小さいか否かを判定する。実際の循環比reがウェット循環比rwに近づいて、実際の循環比reとウェット循環比rwとの差分が小さくなり、差分が所定値Δより小さくなったと判定した場合にはステップS4に処理を進めて冷却水流量を増加させて燃料電池スタック1の温度を低下させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0058】
一方、実際の循環比reとウェット循環比rwとの差分が大きく所定値Δよりも大きい場合にはステップS3に処理を進めて、冷却水流量を通常設定値にするように冷却水ポンプ7を制御する。
【0059】
このような燃料電池システムによれば、ウェット循環比rwと実際の循環比reとの差が所定値Δに近づいたと判定した場合に、冷却水流量を増加して燃料電池スタック1の温度を低下させるようにしたので、実際の燃料ガスの循環比が小さくなったことを検出して燃料電池スタック1の温度を低下させることができ、確実に燃料電池スタック1の安定動作を維持することができる。
【0060】
なお、この第4実施形態では、燃料ガス供給量Qinを供給量検出センサ31にて実測する場合について説明したが、これに限らず、スタック出力検出装置9を配設して、実際の出力電圧値から燃料ガス供給量Qinを推定しても良い。
【0061】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0062】
第5実施形態に係る燃料電池システムは、図9に示すように、圧力調整弁3とエゼクタポンプ4とを挿通する配管に加湿器5を配設し、加湿器温度を検出する加湿器温度センサ41を備える点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0063】
このような燃料電池システムにおいて、冷却水流量制御装置10では、加湿器温度センサ41からセンサ信号を読み込んで、加湿器温度を取得し、冷却水流量制御処理をする。
【0064】
この冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図10に示すように、先ず、ステップS1にて燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低いと判定した後のステップS41において、冷却水流量制御装置10により、加湿器温度センサ41及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。
【0065】
ステップS41において、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の冷却水出口での冷却水温度T2と加湿器温度T1との温度差を算出し、この温度差が所定温度よりも大きいか否かの判定をする。温度差が所定温度よりも大きい場合にはステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御し、温度差が所定温度よりも大きくない場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定量にして処理を終了する。このとき、冷却水ポンプ7の能力等によって冷却水流量の上限を決めておき、冷却水流量がこの上限値になった場合には冷却水流量の増加を停止する。
【0066】
ここで、加湿器温度T1が冷却水温度T2よりも低い場合、すなわち加湿器温度T1と冷却水温度T2との差分が大きくなる場合には、エゼクタポンプ4の性能として燃料ガスの循環比が低くなる傾向がある。これは、エゼクタポンプ4及び燃料電池スタック1を介した燃料ガスの循環流路の温度がエゼクタポンプ4に燃料ガスを供給する供給流路の温度より高いので、循環流路の水蒸気割合が多く、循環流路の水蒸気密度が供給流路の密度よりも高い状態にあることによる。したがって、ステップS41における所定温度は、エゼクタポンプ4の燃料ガスの循環比が低くならないような供給流路と循環流路との温度差が設定されている。
【0067】
このような燃料電池システムによれば、加湿器温度T1が冷却水温度T2よりも高くなって所定温度よりも温度差が大きくなって循環流路の水蒸気密度が高くなり、燃料ガスの循環比が低くなるような場合であっても、燃料電池スタック1の温度を低下させて燃料ガスの循環比を高くするので、エゼクタポンプ4の循環性能を確保することができ、燃料電池スタック1を安定的に作動させることができる。
【0068】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】燃料電池スタックの出力電圧及び燃料電池スタックの温度に対するウェット/ドライ循環比の変化について説明するための図である。
【図4】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した第3実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した第4実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明を適用した第4実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用した第5実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用した第5実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 高圧ボンベ
3 圧力調整弁
4 エゼクタポンプ
5 加湿器
6 パージ弁
7 冷却水ポンプ
8 ラジエータ
9 スタック出力検出装置
10 冷却水流量制御装置
11 冷却水温度センサ
21 セル電圧検出装置
31 供給量検出センサ
32 循環量検出センサ
41 加湿器温度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池スタックを発電させて駆動する燃料電池車両などに搭載され、燃料ガスを燃料電池スタックに供給すると共に、燃料電池スタックから排出された燃料ガスを燃料電池スタックに循環させて再度燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料ガスを燃料電池スタックに供給して発電させるに際して、燃料ガス供給流路にエゼクタポンプを配設し、このエゼクタポンプによって燃料電池スタックにて使用されずに通過した燃料ガスを再度燃料電池スタックに循環させる燃料電池システムが知られている。このような燃料電池システムは、例えば特開2001−266922号公報にて開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の燃料電池システムでは、燃料電池スタックを高負荷にて運転することで高負荷の発電をさせ続けた後に、低負荷運転或いはアイドル運転とすると、燃料電池スタックの温度が高い状態のままとなる。すなわち、燃料電池スタックを低負荷運転又はアイドル運転とするときには、燃料電池スタック内に循環させる冷却水量も少なくするので、燃料電池スタックの温度低下幅も少なくなり、高温状態が継続することになる。
【0004】
このように燃料電池スタックの温度が高い状態では、循環させている燃料ガス中の燃料ガスに対する水蒸気量の割合が高くなり、エゼクタポンプの燃料ガスの循環量が低下する。燃料ガスの循環量が低下すると、燃料電池スタックの作動が不安定な状態となってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、アイドル発電時或いは低負荷発電時にも燃料電池スタックを安定的に発電させることができる燃料電池システムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、上記燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを燃料ガス循環装置により循環させて上記燃料電池スタックに供給する燃料電池システムに適用される。
【0007】
このような燃料電池システムでは、燃料電池スタックを安定して動作させるために、制御手段により、スタック出力検出手段により検出した出力値が所定の出力値よりも小さく、且つスタック温度検知手段により検出したスタック温度が所定温度以上の場合に、燃料電池スタックに供給する冷却水流量を増加させるようにスタック温度調整手段を制御することで、燃料電池スタックの温度を低下させ、上述の課題を解決する。
【0008】
すなわち、この燃料電池システムでは、燃料電池スタックが低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタックの温度が高いときには、燃料電池スタックの温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量を減らして、循環ガス中の燃料ガスの割合を高くする。
【0009】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタックが低負荷状態又はアイドル状態時にその出力値が小さくなった場合に、燃料電池スタックの温度が高いときには、冷却水流量を増加させて速やかに燃料電池スタックの温度を低下させて、循環ガス中の飽和水蒸気量に対する燃料ガスの割合を高くするので、燃料電池スタックの発電動作を安定させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した第1実施形態〜第5実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態]
[第1実施形態に係る燃料電池システムの構成]
第1実施形態に係る燃料電池システムは、図1に示すように、燃料電池スタック1を駆動源とした燃料電池車両に搭載される。燃料電池スタック1は、水素ガス等の燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを、電解質を介して電気化学的に反応し、電極間から電力が直接取り出される。なお、図1では、燃料電池スタック1に供給する酸化剤ガスの供給ラインを省略している。
【0012】
この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給するために、燃料ガス挿通管によって高圧ボンベ2、圧力調整弁3、エゼクタポンプ4、加湿器5が接続されている。また、燃料電池スタック1の燃料ガス排出側には、循環流路が設けられ、燃料電池スタック1にて排出した燃料ガスをエゼクタポンプ4に循環するように構成され、更に、パージ弁6が設けられている。
【0013】
この燃料電池システムでは、燃料ガスを高圧ボンベ2に蓄積しておき、燃料電池スタック1を発電させるに際して、高圧ボンベ2からの燃料ガスの流量や圧力を圧力調整弁3によって調整して、エゼクタポンプ4に供給する。このエゼクタポンプ4では、圧力調整弁3からの燃料ガスと燃料電池スタック1にて使用されずに通過した排出燃料ガスとが供給され、これらの燃料ガスを混合して、加湿器5に供給する。加湿器5に供給された燃料ガスは、加湿されて、燃料電池スタック1に供給される。また、燃料電池スタック1の燃料ガス排出側には、起動時の水素置換や停止時のパージ、走行中の水や窒素をパージするパージ弁6が設けられている。
【0014】
また、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1を冷却するため、冷却水を燃料電池スタック1内に循環させる冷却水配管に、冷却水ポンプ7、ラジエータ8が設けられる。この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1を発電させているときに、冷却水ポンプ7によって冷却水を燃料電池スタック1内に循環させ、冷却水ポンプ7によって冷却水温度を調整する。
【0015】
更に、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1にて発電して出力している出力電圧値を検出するスタック出力検出装置9を備える。このスタック出力検出装置9は、燃料電池スタック1の出力電力を検出すると、この出力電力値をセンサ信号として冷却水流量制御装置10に出力する。
【0016】
この冷却水流量制御装置10は、スタック出力検出装置9からのセンサ信号から出力電圧値を認識すると共に、冷却水配管に設けられた冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。冷却水流量制御装置10は、スタック出力検出装置9及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号に基づいて冷却水ポンプ7を制御し、燃料電池スタック1に供給する冷却水流量を制御する冷却水流量制御処理をする。なお、この冷却水流量制御処理の詳細な内容については後述する。また、この燃料電池システムでは、図示しないが、圧力調整弁3の開度を調整したり、パージ弁6の開閉を制御したりする制御装置を更に備える。
【0017】
[燃料電池システムの冷却水流量制御処理]
つぎに、上述した燃料電池システムにおける、冷却水流量制御装置10による冷却水流量制御処理の処理手順について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0018】
この冷却水流量制御処理は、燃料電池スタック1を発電動作させているときにおいて、冷却水流量制御装置10により例えば所定期間ごとに繰り返し実行される。
【0019】
先ず、ステップS1において、冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9からのセンサ信号を入力し、検出した出力電圧値が予め設定した所定出力値よりも低いか否かの判定をする。この所定出力値とは、燃料電池スタック1からの出力電圧値が高負荷から低負荷となったことを判定するための出力電圧値が予め燃料電池システムの設計時に設定されている。
【0020】
出力電圧値が所定出力値よりも低いと判定した場合にはステップS2に処理を進め、出力電圧値が所定出力値よりも低くないと判定した場合にはステップS3に処理を進める。
【0021】
ステップS2においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水温度センサ11からのセンサ信号を入力し、検出した冷却水温度が予め設定した所定温度よりも高いか否かの判定をする。この所定温度とは、燃料電池スタック1が高温となって冷却水流量を増加させる必要があるか否かを判断するための温度が予め燃料電池システムの設計時に設定されている。
【0022】
燃料電池スタック1内を循環した冷却水温度が所定温度よりも高い場合にはステップS4に処理を進め、燃料電池スタック1内を循環した冷却水温度が所定温度よりも高くない場合にはステップS3に処理を進める。
【0023】
ステップS3においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水ポンプ7を制御して冷却水流量を通常の設定量にして処理を終了する。すなわち、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低くなく、冷却水温度が所定温度よりも高くない場合には、冷却水流量を通常設定量にする。この通常設定値とは、燃料電池スタック1に要求される出力電圧値に応じた冷却水流量である。
【0024】
ステップS4においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水ポンプ7を制御して冷却水流量を現在の流量よりも所定量だけ増加させて処理を終了する。すなわち、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低く、且つ冷却水温度が所定温度よりも高い場合には、冷却水流量を増加させて燃料電池スタック1の温度を低下させる。
【0025】
このようなステップS1〜ステップS4の処理を繰り返して行うことにより、燃料電池スタック1の出力電圧値が所定値よりも低く、冷却水温度が所定温度よりも高いという状況が継続するならば冷却水流量を段階的に増加させる。そして、出力電圧値が所定量より高くなった場合、或いは、冷却水温度が所定温度より低くなった場合には、通常の冷却水流量の設定に戻す。この時、冷却水流量制御装置10では、冷却水ポンプ7の能力等により冷却水流量の上限値を予め設定しておき、冷却水流量がこの上限値となった場合には冷却水流量の増加を停止しても良い。
【0026】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の出力電圧が低いが、燃料電池スタック1の温度が高い場合に、冷却水流量を増加させるので、燃料電池スタック1の温度を速やかに低下させることができ、燃料電池スタック1の発電動作を安定させることができる。
【0027】
通常、燃料電池スタック1を発電させる場合、燃料電池スタック1の発電状態がアイドル状態や低負荷状態では、発熱量が多くないので冷却水がラジエータ8に流れ込む流量を少なくし、高負荷状態では、発熱量が多くなるので冷却水流量を多くするように制御する。ここで、冷却水の循環にも電力を消費するために、必要以上の冷却水流量にはしないのが一般的である。
【0028】
これに対し、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の発電状態が高負荷状態から低負荷状態に変化したときには、燃料電池スタック1の耐熱性の観点からすると多少高温であっても冷却水流量を増加させる必要のなかった低負荷状態時やアイドル状態時に、冷却水流量を増加させるので、燃料電池スタック1の温度を速やかに低下させて循環ガス中の燃料ガスに対する水蒸気量の割合を低下させることができる。したがって、この燃料電池システムによれば、燃料ガスの循環量を確保し、燃料電池スタック1を安定的に発電させることができる。
【0029】
ここで、燃料電池スタック1の出力電圧及び燃料電池スタック1の温度に対する、ウェット/ドライ循環比Rdw(WET/DRY循環比)の関係を図3に示す。ここで、ウェット/ドライ循環比Rdwとは、加湿器5にて加湿しないで燃料電池スタック1に燃料ガスを供給して燃料ガスを循環させたときの循環ガス中の水蒸気の割合であるドライ循環比rdと、加湿しないで燃料電池スタック1に燃料ガスを供給していたが燃料電池スタック1の温度上昇により水蒸気を多く含んだときの循環ガス中の水蒸気の割合であるウェット循環比rwとの比である。
【0030】
図3によれば、燃料電池スタック1の出力電圧値が低く、燃料電池スタック1が高温となる程、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cよりも高くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなることが分かる。燃料ガスを循環させるエゼクタポンプ4は、循環路の温度上昇により飽和水蒸気圧が高くなり、循環ガス中の水蒸気量が増加すると、循環できる燃料ガス量が低下する特性を有する。ここで、上限循環比Rdw_cは、エゼクタポンプ4により循環させる循環ガス中の水蒸気量が多くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなって燃料電池スタック1の作動を不安定にさせるような燃料ガスと水蒸気量との比となる。
【0031】
このような特性を有することから、第1実施形態に係る燃料電池システムでは、燃料電池スタック1の出力電圧が低く、燃料電池スタック1の温度が高い状態では冷却水流量を増加させることで、燃料電池スタック1の温度を低下させることで循環路の温度を低下させる。これにより、循環路中の水蒸気量を減らすことによって燃料ガスの循環量を増加させ、ウェット/ドライ循環比Rdwを低下させる。
【0032】
また、図3に示すように、高負荷領域では燃料電池スタック1の温度による循環特性の違いは少ないことから、循環特性を考慮した冷却水流量制御を行ってもあまり効果は無く、冷却水流量増加は冷却水ポンプ7の電力消費を伴う可能性もあるため、高負荷領域では発熱量に応じた冷却水流量の制御する。
【0033】
なお、燃料電池スタック1の温度を低下させすぎると、燃料電池スタック1の作動が不安定となる場合があるので、冷却水流量を増加させる場合、燃料電池スタック1の温度下限値を設定しておいても良い。
【0034】
更に、上述した実施形態では、燃料電池スタック1の冷却水出口の温度を燃料電池スタック1の温度とみなしているが、これに限らず、燃料電池スタック1の温度を直接検出するよう構成しても良い。
【0035】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0036】
第2実施形態に係る燃料電池システムは、図4に示すように、燃料電池スタック1を構成するセル電圧を検出するセル電圧検出装置21を備える点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。このセル電圧検出装置21は、燃料電池スタック1に発電動作をさせているときに、セル電圧値を検出してセンサ信号として冷却水流量制御装置10読み込まれる。
【0037】
冷却水流量制御装置10は、セル電圧検出装置21からセンサ信号を読み込んでセル電圧値から燃料電池スタック1の作動の不安定度合いを判別し、不安定であると判別した場合に、冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0038】
このような冷却水流量制御処理のフローチャートを図5に示すように、先ず、ステップS11においては、冷却水流量制御装置10により、セル電圧検出装置21をからのセンサ信号を読み込み、燃料電池スタック1が不安定な作動をしているか否かの判定をする。このとき、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の作動の不安定度合いを、複数のセル間のセル電圧値のばらつき或いは、各セルの電圧変動等から判定する。
【0039】
冷却水流量制御装置10は、セル電圧値から燃料電池スタック1が安定した作動をしていると判定した場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定値にするように冷却水ポンプ7を制御して処理を終了する。
【0040】
一方、燃料電池スタック1が不安定な作動をしていると判定した場合には、ステップS1にて燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低く、更に、ステップS2にて冷却水温度が所定温度よりも高いと判定した場合に、ステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0041】
このような第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の作動が不安定である場合に限り冷却水流量を増加させるので、第1実施形態での効果に加えて、冷却水ポンプ7による消費電力量を必要最小限にして燃費の悪化を抑制することができる。
【0042】
なお、上述の第2実施形態において、セル電圧を検出して燃料電池スタック1の不安定度合いを判定して、燃料電池スタック1の作動が不安定な場合に限り冷却水量を増加させる処理は、第1実施形態のみならず、後述の実施形態においても適用可能である。
【0043】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。また、第3実施形態に係る燃料電池システムは、その構成が第1実施形態に係る燃料電池システムと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0044】
この第3実施形態に係る燃料電池システムによる冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図6に示すように、先ず、ステップS21において、冷却水流量制御装置10により、スタック出力検出装置9及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。そして、冷却水流量制御装置10では、冷却水温度から求めた燃料電池スタック1の温度及び燃料電池スタック1の出力電圧値から、図3の特性を用いて、ウェット/ドライ循環比Rdwを求める。
【0045】
ここで、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の出力電圧値及び燃料電池スタック1の温度に対するウェット/ドライ循環比Rdwを記述したテーブルデータを予め用意しておく。そして、冷却水流量制御装置10では、ステップS21にて読み込んだセンサ信号からテーブルデータを参照してウェット/ドライ循環比Rdwを求める。
【0046】
次のステップS22においては、冷却水流量制御装置10により、ステップS21にて求めたウェット/ドライ循環比Rdwが、予め設定しておいた所定の上限循環比Rdw_c(図3参照)を超えているか否かを判定する。この上限循環比Rdw_cは、エゼクタポンプ4により循環させる循環ガス中の水蒸気量が多くなり、循環ガス中の燃料ガス量が少なくなって燃料電池スタック1の作動を不安定にさせるような循環ガス中の水蒸気量の割合が燃料電池システムの設計時に予め設定されている。
【0047】
冷却水流量制御装置10により、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えていると判定した場合にはステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御し、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えていない場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定量にする。
【0048】
このような第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、ウェット/ドライ循環比Rdwが上限循環比Rdw_cを超えている場合に燃料電池スタック1の温度を低下させて、ウェット/ドライ循環比Rdwを上限循環比Rdw_cより小さくして燃料ガスの循環量を回復させることができるので、燃料電池スタック1を安定して動作させることができる。
【0049】
また、この燃料電池システムによれば、直接ウェット/ドライ循環比Rdwを求めることで、燃料電池スタック1の発電が不安定になる状態を正確に判定することができ、第2実施形態と比較して、短時間にて燃料電池スタック1を安定動作させることができる。
【0050】
[第4実施形態]
つぎに、第4実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0051】
第4実施形態に係る燃料電池システムは、図7に示すように、燃料電池スタック1の出力電圧値を検出するスタック出力検出装置9を備えず、エゼクタポンプ4の上流の燃料ガス供給量を検出する供給量検出センサ31と、エゼクタポンプ4への燃料ガス循環量を検出する循環量検出センサ32を備えた点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0052】
このような燃料電池システムにおいて、冷却水流量制御装置10では、供給量検出センサ31及び循環量検出センサ32からセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給量及び燃料ガス循環量を取得し、冷却水流量制御処理をする。
【0053】
この冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図8に示すように、先ず、ステップS31においては、冷却水流量制御装置10により、供給量検出センサ31からのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給量Qinを取得し、この燃料ガス供給量Qinから加湿器5により加湿する前のドライ循環比rdを求めてステップS32に処理を進める。このステップS31では、予め燃料ガス供給量Qinに対するエゼクタポンプ4のドライ循環比rdの値を記述したテーブルを作成しておいて、燃料ガス供給量Qinに応じてこのテーブルを参照する。
【0054】
ステップS32においては、冷却水流量制御装置10により、冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込み、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の温度からウェット/ドライ循環比Rdwを求める。ここで、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の出力電圧値とは線形関係にあり、検出した燃料ガス供給量Qinから燃料電池スタック1の出力電圧値を求め、この出力電圧値と燃料電池スタック1の温度から図3に示した特性を用いてウェット/ドライ循環比Rdwを求める。そして、冷却水流量制御装置10では、ステップS31にて求めたドライ循環比rdとウェット/ドライ循環比Rdwとを用いて下記演算式の
ウェット/ドライ循環比Rdw=rw/rd
なる演算をすることにより、ウェット循環比rwを算出する。
【0055】
なお、燃料電池スタック1の動作が定常状態である場合には、燃料ガス供給量Qinと燃料電池スタック1の出力電圧値とが線形な関係にあり、図3の横軸を供給流量として用いてウェット/ドライ循環比Rdwを求めても良い。
【0056】
次のステップS33においては、冷却水流量制御装置10により、供給量検出センサ31及び循環量検出センサ32からセンサ信号を読み込み、実際の燃料ガス供給量Qinと燃料ガス循環量とから実際の循環比reを算出してステップS34に処理を進める。
【0057】
ステップS34においては、冷却水流量制御装置10により、ステップS33にて求めた実際の循環比reとステップS32にて求めたウェット循環比rwとの差分と、所定値Δとを比較して、差分が所定値Δよりも小さいか否かを判定する。実際の循環比reがウェット循環比rwに近づいて、実際の循環比reとウェット循環比rwとの差分が小さくなり、差分が所定値Δより小さくなったと判定した場合にはステップS4に処理を進めて冷却水流量を増加させて燃料電池スタック1の温度を低下させるように冷却水ポンプ7を制御する。
【0058】
一方、実際の循環比reとウェット循環比rwとの差分が大きく所定値Δよりも大きい場合にはステップS3に処理を進めて、冷却水流量を通常設定値にするように冷却水ポンプ7を制御する。
【0059】
このような燃料電池システムによれば、ウェット循環比rwと実際の循環比reとの差が所定値Δに近づいたと判定した場合に、冷却水流量を増加して燃料電池スタック1の温度を低下させるようにしたので、実際の燃料ガスの循環比が小さくなったことを検出して燃料電池スタック1の温度を低下させることができ、確実に燃料電池スタック1の安定動作を維持することができる。
【0060】
なお、この第4実施形態では、燃料ガス供給量Qinを供給量検出センサ31にて実測する場合について説明したが、これに限らず、スタック出力検出装置9を配設して、実際の出力電圧値から燃料ガス供給量Qinを推定しても良い。
【0061】
[第5実施形態]
つぎに、第5実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0062】
第5実施形態に係る燃料電池システムは、図9に示すように、圧力調整弁3とエゼクタポンプ4とを挿通する配管に加湿器5を配設し、加湿器温度を検出する加湿器温度センサ41を備える点で、第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0063】
このような燃料電池システムにおいて、冷却水流量制御装置10では、加湿器温度センサ41からセンサ信号を読み込んで、加湿器温度を取得し、冷却水流量制御処理をする。
【0064】
この冷却水流量制御処理では、そのフローチャートを図10に示すように、先ず、ステップS1にて燃料電池スタック1の出力電圧値が所定出力電圧値よりも低いと判定した後のステップS41において、冷却水流量制御装置10により、加湿器温度センサ41及び冷却水温度センサ11からのセンサ信号を読み込む。
【0065】
ステップS41において、冷却水流量制御装置10は、燃料電池スタック1の冷却水出口での冷却水温度T2と加湿器温度T1との温度差を算出し、この温度差が所定温度よりも大きいか否かの判定をする。温度差が所定温度よりも大きい場合にはステップS4にて冷却水流量を増加させるように冷却水ポンプ7を制御し、温度差が所定温度よりも大きくない場合にはステップS3にて冷却水流量を通常設定量にして処理を終了する。このとき、冷却水ポンプ7の能力等によって冷却水流量の上限を決めておき、冷却水流量がこの上限値になった場合には冷却水流量の増加を停止する。
【0066】
ここで、加湿器温度T1が冷却水温度T2よりも低い場合、すなわち加湿器温度T1と冷却水温度T2との差分が大きくなる場合には、エゼクタポンプ4の性能として燃料ガスの循環比が低くなる傾向がある。これは、エゼクタポンプ4及び燃料電池スタック1を介した燃料ガスの循環流路の温度がエゼクタポンプ4に燃料ガスを供給する供給流路の温度より高いので、循環流路の水蒸気割合が多く、循環流路の水蒸気密度が供給流路の密度よりも高い状態にあることによる。したがって、ステップS41における所定温度は、エゼクタポンプ4の燃料ガスの循環比が低くならないような供給流路と循環流路との温度差が設定されている。
【0067】
このような燃料電池システムによれば、加湿器温度T1が冷却水温度T2よりも高くなって所定温度よりも温度差が大きくなって循環流路の水蒸気密度が高くなり、燃料ガスの循環比が低くなるような場合であっても、燃料電池スタック1の温度を低下させて燃料ガスの循環比を高くするので、エゼクタポンプ4の循環性能を確保することができ、燃料電池スタック1を安定的に作動させることができる。
【0068】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】燃料電池スタックの出力電圧及び燃料電池スタックの温度に対するウェット/ドライ循環比の変化について説明するための図である。
【図4】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した第3実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した第4実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明を適用した第4実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用した第5実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用した第5実施形態に係る燃料電池システムの冷却水流量制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 高圧ボンベ
3 圧力調整弁
4 エゼクタポンプ
5 加湿器
6 パージ弁
7 冷却水ポンプ
8 ラジエータ
9 スタック出力検出装置
10 冷却水流量制御装置
11 冷却水温度センサ
21 セル電圧検出装置
31 供給量検出センサ
32 循環量検出センサ
41 加湿器温度センサ
Claims (9)
- 燃料ガス循環装置の下流に設けられた加湿器により燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、上記燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを上記燃料ガス循環装置により循環させて上記燃料電池スタックに供給する燃料電池システムにおいて、
上記燃料電池スタックの温度を検知するスタック温度検知手段と、
上記燃料電池スタックの出力値を検出するスタック出力検出手段と、
上記燃料電池スタックに冷却水を供給して上記燃料電池スタックの温度を調整するスタック温度調整手段と、
上記スタック出力検出手段により検出した出力値が所定の出力値よりも小さく、且つ上記スタック温度検知手段により検出したスタック温度が所定温度以上の場合に、上記燃料電池スタックに供給する冷却水流量を増加させるように上記スタック温度調整手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 上記所定の出力値は、上記燃料電池スタックからの出力値が高負荷から低負荷となったことを判定する値が設定されており、上記所定温度は、上記燃料電池スタックが高温となって冷却水流量を増加させる必要があると判定する温度値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 燃料ガス循環装置の下流に設けられた加湿器により燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、上記燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを上記燃料ガス循環装置により循環させて上記燃料電池スタックに供給する燃料電池システムにおいて、
上記燃料電池スタックの温度を検知するスタック温度検知手段と、
上記燃料電池スタックの出力値を検出するスタック出力検出手段と、
上記燃料電池スタックに冷却水を供給して上記燃料電池スタックの温度を調整するスタック温度調整手段と、
上記燃料電池スタックの出力値及び上記燃料電池スタックの温度に基づいて、加湿させていない燃料ガスを上記燃料ガス循環装置に供給し、乾燥した排出燃料ガスを循環させたと仮定した場合の、上記燃料ガス循環装置への供給量に対する循環ガス量の割合であるドライ循環比と、加湿させていない燃料ガスを上記燃料ガス循環装置に供給し、加湿した排出燃料ガスを循環させ、ドライ循環の場合と同じ水素量を循環させるために必要な供給量に対する循環ガス量の割合であるウェット循環比との循環比率を求め、この循環比率が所定値よりも大きくなった場合に冷却水流量を増加させるように上記スタック温度調整手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 上記所定値は、上記燃料電池スタックの作動を不安定にさせるような循環ガス中の水蒸気量の割合としたことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 燃料ガス循環装置の下流に設けられた加湿器により燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、上記燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを上記燃料ガス循環装置により循環させて上記燃料電池スタックに供給する燃料電池システムにおいて、
上記燃料電池スタックの温度を検知するスタック温度検知手段と、
上記燃料ガス循環装置に供給して上記燃料電池スタックに供給するガス供給流量を検出する供給流量検出手段と、
上記排出燃料ガスを上記燃料ガス循環装置に供給して上記燃料電池スタックに供給するガス循環流量を検出する循環流量検出手段と、
上記燃料電池スタックに冷却水を供給して上記燃料電池スタックの温度を調整するスタック温度調整手段と、
上記供給流量検出手段により検出したガス供給流量と上記循環流量検出手段により検出したガス循環流量とから循環比実測値を求め、上記ガス供給流量と上記燃料電池スタックの温度に基づいて、加湿させていない燃料ガスを上記燃料ガス循環装置に供給し、加湿した排出燃料ガスを循環させ、ドライ循環の場合と同じ水素量を循環させるために必要な供給量に対する循環ガス量の割合であるウェット循環比を求め、上記循環比実測値とウェット循環比との差が所定値よりも小さい場合に、冷却水流量を増加させるように上記スタック温度調整手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 上記制御手段は、上記ウェット循環比を求めるに際して、ガス供給流量から加湿させていない燃料ガスを上記燃料ガス循環装置を介して燃料電池スタックに供給したときの排出燃料ガスを循環させる場合の上記燃料ガス循環装置のドライ循環比を求め、ガス供給流量と上記燃料電池スタックの温度からドライ循環比とウェット循環比との循環比率を求めることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 燃料ガス循環装置の下流に設けられた加湿器により燃料ガスを加湿して燃料電池スタックに供給すると共に、燃料電池スタックから排出された排出燃料ガスを上記燃料ガス循環装置により循環させて燃料電池スタックに供給する燃料電池システムにおいて、
燃料ガスを加湿する加湿器の温度を検出する加湿器温度検出手段と、
上記燃料電池スタックの温度を検知するスタック温度検知手段と、
上記燃料電池スタックの出力値を検出するスタック出力検出手段と、
上記燃料電池スタックに冷却水を供給して上記燃料電池スタックの温度を調整するスタック温度調整手段と、
上記スタック出力検出手段により検出した出力値が所定の出力値よりも小さく、且つ上記加湿器温度検出手段により検出した加湿器温度が上記スタック温度検知手段により検知した上記燃料電池スタックの温度より所定温度以上高い場合に、冷却水流量を増大させるように上記スタック温度調整手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 上記所定温度は、循環ガス中の水蒸気に対する燃料ガスの循環比が低くならないような燃料ガス供給流路と燃料ガス循環流路との温度差が設定されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
- 上記燃料電池スタックを構成する燃料電池セルのセル電圧値を検出するセル電圧検出手段を更に備え、
上記制御手段は、上記セル電圧検出手段により検出したセル電圧値に基づいて上記燃料電池スタックの作動の不安定状態を判定し、上記燃料電池スタックの作動が不安定と判断した場合にのみ、冷却水流量を増加させる制御をすることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載の燃料電池システム。
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