JP2004070321A - 電気光学装置の冷却装置およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パネル冷却系Aは、同一の一対のシロッコファン51A,51Bと、吸気ダクト部52Aおよび排気ダクト部52Bを有したダクト52とを具備する。吸気ダクト部52Aは、外装ケース2の下面の吸気口および一対のシロッコファン51A,51Bの吸気側にそれぞれ連通する。排気ダクト部52Bは、一対のシロッコファン51A,51Bの排気側と光学部品の色光R,G,Bの各入射位置近傍にそれぞれ連通する。一対のシロッコファン51A,51Bを投写レンズ46の径方向の両側に配設する。光学部品の色光R,G,Bの各入射位置近傍に略同風量で吹き付けて冷却する。
【選択図】 図14
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学装置の冷却装置およびプロジェクタに関する。特に、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調して投写レンズから投写させる電気光学装置を冷却する電気光学装置の冷却装置、および、この電気光学装置の冷却装置を備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、例えば画像情報に応じて液晶パネルなどの電気光学装置で変調された色光をプリズムなどにて合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている。このプロジェクタの光学ユニットは、光源から出射された光束を、ダイクロイックミラーによって赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色の色光に分離する。さらに、光学ユニットは、電気光学装置である三枚の液晶パネルにより各色光毎に画像情報に応じて変調し、変調後の光束をクロスダイクロイックプリズムで合成する。
【0003】
このような従来のプロジェクタでは、熱に対して比較的に弱い液晶パネルを利用して色光を変調する光学ユニットを備えている。このため、従来のプロジェクタでは、光源から発生する熱などにて損傷することを防止するために、特に光学ユニットの液晶パネル近傍に送風して冷却する冷却ファンを備えている。
【0004】
ところで、単に冷却ファンを光学ユニットの液晶パネルの近傍に配設したのでは、冷却ファンによりプロジェクタが大型化する。また、投写レンズは円柱状であることから、この投写レンズの周囲に有効活用しにくい空間であるデッドスペースが生じやすい。
【0005】
そこで、従来のプロジェクタとして、例えば特開平11−160793号公報に記載の構成が知られている。この特開平11−160793号公報に記載のプロジェクタは、冷却ファンを投写レンズに隣接させて配設している。また、冷却ファンの排気側には、排気ダクトが設けられている。この排気ダクトは、冷却ファンからの排気風を光学ユニットの液晶パネル近傍に下方から送風して冷却させる。また、光学ユニットの上方には、排気ダクトから光学ユニットに送風された排気風を回収する循環ダクトが配設されている。そして、この循環ダクトは、回収した排気風を冷却用ヒートシンクにて冷却した後に冷却ファンの吸気側に送風する。そして、上記特開平11−160793号公報に記載の従来のプロジェクタは、投写レンズの周囲の空間を有効活用して小型化するとともに、光学ユニットに送風する冷却ファンからの排気風を循環させる密閉構造により外部からの塵埃の混入を防止する構成が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平11−160793号公報に記載の従来のプロジェクタでは、冷却ファンからの排気風を循環させる密閉構造であるため、構造が複雑で、さらなる小型化が図りにくい問題がある。また、1つの冷却ファンにより光学ユニットを冷却するので、光学ユニットに有る程度の風量で送風する必要があり、冷却ファンの負荷が大きくなり、騒音の低減が図れない問題も有している。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて、簡単な構造で容易に小型化できる電気光学装置の冷却装置およびプロジェクタを提供する、さらにファンの負荷を低減して騒音を低減できる電気光学装置の冷却装置およびプロジェクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置の冷却装置は、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調し、変調後の光を投写レンズによって投写する電気光学装置を冷却する電気光学装置の冷却装置であって、前記投写レンズに隣接して、両側に配設された一対のファンを具備し、前記一対のファンは、回転方向が投写レンズを中心として左右対称であることを特徴とする。
【0009】
本発明のこのような構成によれば、投写レンズに隣接して投写レンズの両側に回転方向が投写レンズを中心として左右対称に一対配設したファンにより電気光学装置を冷却するので、投写レンズの周囲の空間を有効活用して小型化を図るとともに、電気光学装置を冷却するための風量が十分に確保され、ファンの負荷が低減することから、騒音の低減が図れる。また、一対のファンがそれぞれ連通する吸気口を1つにすることが可能で、1つの吸気口を設ける簡単な構造で吸気可能で、複数の吸気口を設ける場合に比して、製造性が向上する。さらに、一対のファンの回転方向を投写レンズを中心として左右対称とすることにより、同一のファンを用いることが可能で、組立性が向上する。
【0010】
さらに、本発明の電気光学装置の冷却装置では、一対のファンは、同一のファンであることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、同一のファンを用いたので、ファンの組付けの際の方向性がなく、組立性が向上する。
【0012】
本発明のプロジェクタは、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装置と、この電気光学装置にて変調された前記光束を投写する投写レンズと、請求項1または請求項2に記載の電気光学装置の冷却装置とを具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明のこのような構成によれば、請求項1または請求項2に記載の電気光学装置の冷却装置を具備するので、簡単な構成で小型化が図れ、またファンの負荷の低減による騒音の低減が図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
〔1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本一実施の形態に係るプロジェクタ1を上方から見た全体斜視図、図2は、プロジェクタ1を下方から見た全体斜視図、図3ないし図5は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。具体的に、図3は、図1の状態からプロジェクタ1のアッパーケース21を外した図、図4は、図3の状態からシールド板80、ドライバーボード90、および上ライトガイド472を外して後方側から見た図、図5は、図4の状態から光学ユニット4を外した図である。プロジェクタを構成するこれらの部品4,21,80,90,472については、以下に詳説する。
【0016】
図1ないし図3において、プロジェクタ1は、筐体としての外装ケース2と、外装ケース2内に収容された電源ユニット3と、同じく外装ケース2内に配置された平面U字形の光学ユニット4とを備え、全体略直方体形状となっている。
【0017】
外装ケース2は、それぞれ樹脂製とされたアッパーケース21、ロアーケース23で構成されている。これらのケース21、23は、互いにネジで固定されている。
【0018】
アッパーケース21は、上面部211と、その周囲に設けられた側面部212と、背面部213と、正面部214で形成されている。
上面部211の前方側には、ランプカバー24が嵌め込み式で着脱自在に取り付けられている。また、上面部211において、ランプカバー24の側方には、投写レンズ46の上面部分が露出した切欠部211Aが設けられ、投写レンズ46のズーム操作、フォーカス操作をレバーを介して手動で行えるようになっている。この切欠部211Aの後方側には、操作パネル25が設けられている。
正面部214は、前記アッパーケース21の切欠部211Aと連続した丸孔開口212Aを備え、この丸孔開口212Aに対応して投写レンズ46が配置されている。この正面部214において、丸孔開口212Aとは反対側には、内部の電源ユニット3の前方側に位置した排気口212Bが設けられ、この排気口212Bには、冷却空気を画像投写領域から外れる方向、すなわち図1中左側へ排気するとともに、遮光を兼ねた排気用ルーバ26が設けられている(排気用ルーバ26は実際には、ロアーケース23に取り付けられている)。
【0019】
ロアーケース23は、底面部231と、その周囲に設けられた側面部232および背面部233とで形成されている。
底面部231の前方側には、プロジェクタ1全体の傾きを調整して投写画像の位置合わせを行う位置調整機構27が設けられている。また、底面部231後方側の一方の隅部には、プロジェクタ1の別方向の傾きを調整する別の位置調整機構28が設けられ、他方の隅部には、リアフット231Aが設けられている。ただし、リアフット231Aは、位置を調整することはできない。さらに、底面部231には、冷却空気の吸気口231Bが設けられている。また、この吸気口231Bには、格子状に複数の吸気用口231C1を開口するカバー体231Cが着脱可能に取り付けられている。
一方の側面部232には、コ字形のハンドル29を回動自在に取り付けるための取付部232Aが設けられている。
【0020】
このような外装ケース2の一方の側面側においては、アッパーケース21およびロアーケース23の各側面部212,232には、ハンドル29を上側にしてプロジェクタ1を立てた場合の足となるサイドフット2A(図2)が設けられている。
また、外装ケース2の背面側には、アッパーケース21の背面部213とロアーケース23の背面部233に跨って開口したインターフェース部2Bが設けられ、このインターフェース部2B内にはインターフェースカバー215が設けられ、さらに、インターフェースカバー215の内部側には、種々のコネクタが実装された図示略のインターフェース基板が配置されるようになっている。また、インターフェース部2Bの左右両側には、各背面部213,233に跨ってスピーカ孔2Cおよび吸気口2Dが設けられている。このうちの吸気口2Dは、内部の電源ユニット3の後方側に位置している。
【0021】
電源ユニット3は、図4に示すように、電源31と、電源31の側方に配置されたランプ駆動回路(バラスト)32とで構成されている。
電源31は、電源ケーブルを通して供給された電力をランプ駆動回路32やドライバーボード90(図3)等に供給するものであり、前記電源ケーブルが差し込まれるインレットコネクタ33(図2)を備えている。
ランプ駆動回路32は、電力を光学ユニット4の光源ランプ411に供給するものである。
【0022】
光学ユニット4は、図4、図6、図7に示すように、光源ランプ411から出射された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成するユニットであり、インテグレータ照明光学系41、色分離光学系42、リレー光学系43、電気光学装置44、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム45(図7)、および投写光学系としての投写レンズ46を備えている。
【0023】
これら電源ユニット3および光学ユニット4は、上下を含む周囲のアルミ製のシールド板80(図3、図5)で覆われており、これによって、電源ユニット3等から外部への電磁ノイズの漏れを防止している。
【0024】
〔2.光学系の詳細な構成〕
図4、図7において、インテグレータ照明光学系41は、電気光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bと示す)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、光源装置413と、第1レンズアレイ418と、UVフィルタを含む第2レンズアレイ414と、偏光変換素子415と、第1コンデンサレンズ416と、反射ミラー424と、第2コンデンサレンズ419とを備えている。なお、液晶パネル441R,441G,441Bは、それぞれでも電気光学装置として機能する。
【0025】
これらのうち、光源装置413は、放射状の光線を出射する放射光源としての光源ランプ411と、この光源ランプ411から出射された放射光を反射するリフレクタ412とを有する。光源ランプ411としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、または高圧水銀ランプが用いられることが多い。リフレクタ412としては、放物面鏡を用いている。放物面鏡の他、平行化レンズ(凹レンズ)と共に楕円面鏡を用いてもよい。
【0026】
第1レンズアレイ418は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ411から出射される光束を、複数の部分光束に分割している。各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。たとえば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定する。
【0027】
第2レンズアレイ414は、第1レンズアレイ418と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ414は、第1コンデンサレンズ416および第2コンデンサレンズ419とともに、第1レンズアレイ418の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有している。
【0028】
偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414と第1コンデンサレンズ416との間に配置されるとともに、第2レンズアレイ414と一体でユニット化されている。このような偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、電気光学装置44での光の利用効率が高められている。
【0029】
具体的に、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、第1コンデンサレンズ416および第2コンデンサレンズ419によって最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、他種類のランダムな偏光光を発する光源ランプ411からの光のほぼ半分が利用されない。
そこで、偏光変換素子415を用いることにより、光源ランプ411からの出射光を全て1種類の偏光光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子415は、たとえば特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0030】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から出射された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
【0031】
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光、青色光を液晶パネル441Bまで導く機能を有している。
【0032】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から出射された光束の青色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、赤色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した赤色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ417を通って赤色用の液晶パネル441Rに達する。このフィールドレンズ417は、第2レンズアレイ414から出射された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ417も同様である。
【0033】
ダイクロイックミラー421を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ417を通って緑色用の液晶パネル441Gに達する。一方、青色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ417を通って青色光用の液晶パネル441Bに達する。なお、青色光にリレー光学系43が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ417に伝えるためである。
【0034】
電気光学装置44は、3枚の光変調装置としての液晶パネル441R,441G,441Bを備え、これらは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441Bによって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0035】
クロスダイクロイックプリズム45は、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bから出射された各色光毎に変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。なお、クロスダイクロイックプリズム45には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、クロスダイクロイックプリズム45で合成されたカラー画像は、投写レンズ46から出射され、スクリーン上に拡大投写される。
【0036】
以上説明した各光学系41〜45は、図4、図6に示すように、光学ユニット用の筐体としての合成樹脂製のライトガイド47内に収容されている。
このライトガイド47は、前述の各光学素子414〜419,421〜423,431〜434を上方からスライド式に嵌め込む溝部がそれぞれ設けられた下ライトガイド471と、下ライトガイド471の上部の開口側を閉塞する蓋状の上ライトガイド472とで構成されている。
また、ライトガイド47の光出射側にはヘッド部49が形成されている。ヘッド部49の前方側に投写レンズ46が固定され、後方側に液晶パネル441R,441G,441Bが取り付けられたクロスダイクロイックプリズム45が固定されている。
【0037】
〔3.冷却構造〕
本一実施の形態のプロジェクタ1では、液晶パネル441R,441G,441Bを主に冷却する本発明に係る冷却装置であるパネル冷却系Aと、光源ランプ411を主に冷却するランプ冷却系Bと、電源31を主に冷却する電源冷却系Cとを備えている。
【0038】
図2、図4、図5において、パネル冷却系Aでは、投写レンズ46の両側に配置された一対のファンとしてのシロッコファン51A,51Bが用いられている。シロッコファン51A,51Bによって下面の吸気口231Bから吸引された冷却空気は、液晶パネル441R,441G,441Bを下方から上方に向けて冷却した後、ドライバーボード90(図3)の下面を冷却しながら前方隅部の軸流排気ファン53側に寄せられ、前面側の排気口212Bから排気される。
【0039】
すなわち、冷却装置としてのパネル冷却系Aは、図2、図4、図5および図14ないし図17に示すように、一対のブロワ型のシロッコファン51A,51Bと、これら一対のシロッコファン51A,51Bが一体的に取り付けられるダクト52とを備えている。
【0040】
そして、シロッコファン51Aは、軸方向の一端面にファン吸気孔51A1を開口し外周面に接線方向に向けてファン排気孔51A2を開口する中空略円筒状のファンケース51A3を有している。さらに、ファンケース51A3内には、電動部51A4と、この電動部51A4の図示しない出力軸に一体的に取り付けられこの出力軸の回転駆動により回転するファン翼51A5とが配設されている。なお、シロッコファン51Bも同様に、ファン吸気孔51B1およびファン排気孔51B2を開口するファンケース51B3と、このファンケース51B3内に配設される電動部51B4およびファン翼51B5とを備えている。すなわち、シロッコファン51A,51Bは、同一物すなわち形状や特性が同一の同一規格品である。
【0041】
また、ダクト52は、吸気ダクト部52Aと排気ダクト部52Bとを一体に有している。そして、吸気ダクト部52Aには、略上方に向けて円弧状に湾曲し投写レンズ46を保持するレンズ保持部52A1が設けられている。また、レンズ保持部52A1の外周面には、軸方向が略上下方向に沿った略四角筒状の連通筒部52A2が設けられている。この連通筒部52A2は、先端縁が外装ケース2の下面に設けられた吸気口231Bの開口縁近傍に係合される。この連通筒部52A2の吸気口231Bへの係合により、レンズ保持部52A1の外周側と連通筒部52A2の内周側とで吸気口231Bに連通する吸気室52A3が区画形成される。
【0042】
さらに、連通筒部52A2には、レンズ保持部52A1に保持される投写レンズ46の径方向に位置、すなわち投写レンズ46の両側に位置する面に吸気室52A3に連通するダクト連通孔52A4がそれぞれ設けられている。そして、一対のシロッコファン51A,51Bは、連通筒部52A2のダクト連通孔52A4に一対のシロッコファン51A,51Bの各吸気孔51A1,51B1が連通する状態で、ダクト52の連通筒部52A2に例えばねじ52A5などにて取り付けられる。すなわち、一対のシロッコファン51A,51Bが投写レンズ46の径方向に位置して一対取り付けられる。なお、一対のシロッコファン51A,51Bは同一であることから、回転方向が投写レンズ46を中心として左右対称となる。
【0043】
また、レンズ保持部52A1の外周面には、上下方向に沿った平面を有した整流部材としての整流板52A6が設けられている。この整流板52A6は、吸気室52A3をレンズ保持部52A1に保持される投写レンズ46の径方向に沿った方向で2分割する。すなわち、吸気室52A3は、整流板52A6によりシロッコファン51Aに連通する第1の吸気室52A31と、シロッコファン51Bに連通する第2の吸気室52A32とに2分割される。なお、第1の吸気室52A31と第2の吸気室52A32とは、風路抵抗が同等である。
【0044】
そして、吸気ダクト部52Aには、外装ケース2の吸気口231Bから各シロッコファン51A,51Bの各ファン吸気孔51A1,51B1に至る第1の吸気風路52A7および第2の吸気風路52A8が形成される。
【0045】
また、排気ダクト部52Bは、上下方向に軸方向を有する略三角形筒状に形成された胴体部52B1を有している。そして、この胴体部52B1には、略三角形板状の整流下抑え板52B2が下面を閉塞して一体的に取り付けられている。また、胴体部52B1には、略三角形板状の整流上抑え板478が上面を閉塞して一体的に取り付けられている。そして、排気ダクト部52Bは、胴体部52B1、整流下抑え板52B2および整流上抑え板478により略三角柱状に形成されている。
【0046】
さらに、整流下抑え板52B2の上面には、略中心に位置して上下方向に軸方向を有する四角筒状の整流筒部52B3が設けられている。また、胴体部52B1には、三角形の底角に対応する一方の位置に、吸気ダクト部52Aのレンズ保持部52A1の軸方向に略平行な方向に向けて開口する第1の排気連通孔52B4が開口形成されている。この第1の排気連通孔52B4には、シロッコファン51Aのファン排気孔51A2が連通する。
【0047】
また、胴体部52B1には、すなわち三角形の底部に対応する他方の位置、すなわち第1の排気連通孔52B4と反対側に位置して、上下方向に略沿った軸方向を有した案内ダクト部52B5が設けられている。そして、この案内ダクト部52B5の上端には、吸気ダクト部52Aのレンズ保持部52A1の軸方向に略平行な方向に向けて開口する第2の排気連通孔52B6が開口形成されている。この第2の排気連通孔52B6には、シロッコファン51Bのファン排気孔51B2が連通する。
【0048】
さらに、整流上抑え板478には、整流筒部52B3上端が係合可能な略四角形で、かつ整流筒部52B3の吸気ダクト部52A側以外の辺に対応する位置が略コ字状に切り欠かれた排気流出孔478Aが例えば打ち抜き形成されている。そして、この排気流出孔478Aと整流筒部52B3の外周縁とにて排気吹き出し孔478AB,478AG,478ARが形成される。これら排気吹き出し孔478AB,478AG,478ARは、外装ケース2内に組み付けられた状態で、光学ユニットの液晶パネル441B,441G,441Rにそれぞれ臨む位置となる。また、排気吹き出し孔478AB,478AG,478ARの開口縁には、上方に向けて一対の立上片478A4が切り起こし形成されている。
【0049】
また、整流下抑え板52B2の上面には、第1の分流板52B7と、一対の第2の分流板52B8とが設けられている。そして、第1の分流板52B7は、平面が上下方向かつ吸気ダクト部52Aのレンズ保持部52A1の軸方向に沿って設けられ、整流下抑え板52B2の頂角に対応する位置に設けられている。この第1の分流板52B7により、排気ダクト部52Bには、シロッコファン51Aのファン排気孔51A2が、第1の排気連通孔52B4を介して排気吹き出し孔478AG,478ARに連通する第1の排気風路52B91と、シロッコファン51Bのファン排気孔51B2が、第2の排気連通孔52B6を介して排気吹き出し孔478AB,478AGに連通する第2の排気風路52B92とが一対形成される。
【0050】
さらに、第2の分流板52B8は、平面方向が上下方向かつシロッコファン51A,51Bの対向方向に沿い、第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92内で、整流上抑え板478の排気吹き出し孔478AB,478ARに臨む位置に設けられている。すなわち、第2の分流板52B8は、第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92内を流通する空気の流れ方向に対して略直交して空気の流れを阻害する。この空気の流れを阻害する状態は、流れる空気の2/3は排気吹き出し孔478AB,478ARから流出し、残りがさらに排気吹き出し孔478AGから流出する条件である。これら第1の分流板52B7と、一対の第2の分流板52B8とにて分流部材が構成される。
【0051】
一方、ランプ冷却系Bでは、図4ないし図6に示すように、光学ユニット4の下面に設けられたシロッコファン54が用いられている。シロッコファン54によって引き寄せられたプロジェクタ1内の冷却空気は、上ライトガイド472に設けられた図示しない開口部からライトガイド47内に入り込み、ユニット化された第2レンズアレイ414および偏光変換素子415間を通ってこれらを冷却した後、下ライトガイド471の排気側開口471Aから出て該シロッコファン54に吸引され、吐き出される。吐き出された冷却空気は、下ライトガイド471の吸気側開口471Bから再度ライトガイド47内に入り、光源装置413内に入り込んで光源ランプ411を冷却し、この後、ライトガイド47から出て、前記軸流排気ファン53によって排気口212Bから排気される。
【0052】
また、電源冷却系Cでは、図4に示すように、電源31の後方に設けられた軸流吸気ファン55が用いられる。軸流吸気ファン55によって背面側の吸気口2Dから吸引された冷却空気は、電源31およびランプ駆動回路32を冷却した後、他の冷却系統A,Bと同様に、軸流排気ファン53によって排気口212Bから排気される。
【0053】
〔4.光学部品の取付構造〕
以下には、図8ないし図13をも参照し、液晶パネル441R,441G,441Bならびにクロスダイクロイックプリズム45の取付構造に付いて詳説する。
なお、本一実施の形態において、光学ユニットとは、互いに一体とされたクロスダイクロイックプリズム45および液晶パネル441R,441G,441Bをいう。また、別の光学装置としての光学ユニットとは、図4,図7に示すフィールドレンズ417、ダイクロイックミラー421,422、入射側レンズ431、リレーレンズ433等である。
【0054】
先ず、図8に示すように、各液晶パネル441R,441G,441Bは、保持枠443内に収納され、この保持枠443の四隅部分に形成される孔443Aに透明樹脂製のピン445を紫外線硬化型接着剤とともに挿入することにより、クロスダイクロイックプリズム45の側面である光束入射面側に金属製の固定用プレート446を介して接着されている(いわゆるPOP(Panel On Prism)構造によるクロスダイクロイックプリズム45への固定)。
【0055】
ここで、保持枠443には矩形状の開口部443Bが形成され、各液晶パネル441R,441G,441Bは、この開口部443Bで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、各液晶パネル441R,441G,441Bのこの部分に各色光R、G、Bが導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
【0056】
固定用プレート446は、クロスダイクロイックプリズム45の光束入射面に接着剤等で直付けされており、外周形状が当該光束入射面よりも若干大きい。そして、固定用プレート446において、クロスダイクロイックプリズム45の光束入射面からはみ出した部分に前記ピン445が接着されている。このことにより、クロスダイクロイックプリズム45自身を必要以上に大きくしなくとも、保持枠443をクロスダイクロイックプリズム45側に固定することが可能である。この固定用プレート446には、液晶パネル441R,441G,441B側からの光束がクロスダイクロイックプリズム45に入射するように、保持枠443の開口部443Bに対応した開口部446A(図12)が設けられている。
【0057】
POP構造で一体とされた液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45からなるプリズムユニットは、図9にも示すように、クロスダイクロイックプリズム45の上面(光束入射面に対して直交する面)に接着等された取付部材447を介して下ライトガイド471の取付部473に固定されている。
【0058】
この取付部材447は、平面視において、四方に延出した四つの腕部447Aを備えており、各腕部447Aに設けられた丸孔447Bのうち、ほぼ対角線上にある二つの丸孔447Bは、対応した取付部473に設けられた位置出しようの突部474(図13にも図示)に嵌合され、残る二つの丸孔447Bには、対応した取付部473に螺合されるネジ475が挿通される。また、取付部材447の中央の四角形部分には、着脱時に作業者が把持し易いように、適宜な把持部が設けられている。
なお、クロスダイクロイックプリズム45への液晶パネル441R,441G,441Bの三次元的な位置調整は、クロスダイクロイックプリズム45に取付部材447が固定された状態で予め行われる。
【0059】
一方、下ライトガイド471の取付部473は、下ライトガイド471のほぼ上下方向にわたって連続した円柱状または角柱状の四つのボス部476の上部に設けられている。従って、取付部材447が取付部473に取り付けられた状態では、液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45は、取付部材447の下面側に吊り下げられた状態に配置され、下ライトガイド471の底面から僅かに浮いた状態でライトガイド47内に収容される。
【0060】
このような下ライトガイド471において、投写レンズ46側の二つのボス部476には、投写レンズ46固定用のヘッド部49が一体に設けられており、重量の大きい投写レンズ46がヘッド部49に固定されても、ヘッド部49が傾かないようにボス部476で補強している。
投写レンズ46側から離間した二つのボス部476には、上下方向に沿った複数の保持片477(図4、図9に一部の保持片477を代表して図示)が設けられ、フィールドレンズ417、ダイクロイックミラー421,422、入射側レンズ431、リレーレンズ433を嵌め込むための溝が、近接し合う一対の保持片477間に形成されるようになっている。つまり、これらの保持片477もボス部476と一体に形成されることにより、ボス部476で補強されている。
【0061】
また、図6、図10に示すように、下ライトガイド471の底面には、液晶パネル441R,441G,441Bに対応した三箇所に吸気側開口471Cが設けられ、これらの吸気側開口471Cからライトガイド47内に流入するパネル冷却系A(図2,図5)での冷却空気で液晶パネル441R,441G,441Bが冷却される。
この際、下ライトガイド471の下面には、上述した平面略三角形の板状の整流上抑え板478が設けられ、図9ないし図12に示すように、整流上抑え板478に設けられた一対の立上片478A4(合計6枚)が吸気側開口471Cから上方側に突出するようになっている。ただし、図10では、立上片478A4を二点鎖線で示してある。これらの立上片478A4により、液晶パネル441R,441G,441Bを冷却するための冷却空気の流れが下方から上方へ整えられる。
【0062】
さらに、図10において、吸気側開口471Cの周縁のうち、クロスダイクロイックプリズム45側であって、かつその光束入射面に平行な一周縁には、固定用プレート446の辺縁が下方側に延出して形成された延出部446Bが近接しており、この延出部446Bが吸気側開口471Cの当該一周縁に沿って配置されることで、整流板としての役目を果たしている。このため、パネル冷却系Aの冷却空気の一部は延出部446Bに案内され、下ライトガイド471の底面およびクロスダイクロイックプリズム45間の隙間から漏れることなく、液晶パネル441R,441G,441Bとクロスダイクロイックプリズム45間の隙間に流入するようになっている。
そして、このような延出部446Bの裏面側(クロスダイクロイックプリズム45側)には、下ライトガイド471の底面から立ち上がった立上部471Dが位置しており、この立上部471Dと延出部446Bとが重なり合うことで、冷却空気をさらに逃げにくくしている。
【0063】
他方、上ライトガイド472には、図10に示すように、液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45に対応した部分に切欠開口472Aが設けられ、下ライトガイド471の取付部473もこの切欠開口472Aから露出している。すなわち、液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45は、予め取付部材447に固定されていることにより、下ライトガイド471に上ライトガイド472が取り付けられた状態でも、取付部473に対して取付部材447ごと着脱することが可能である。
【0064】
また特に、ヘッド部49と一体のボス部476に設けられた取付部473は、図11に示す投写レンズ46の中心軸X−Xよりも上方に位置している。このため、図13に示すように、ヘッド部49からクロスダイクロイックプリズム45側に突出した投写レンズ46の端部46Aの外周に対し、平面視では取付部材447の二本の腕部447Aが重なるが、互いの実質的な干渉が生じないようになっている。
【0065】
次に、電気光学装置44の冷却動作について説明する。
【0066】
まず、シロッコファン51A,51Bに電力を供給して駆動、すなわち電動部51A4,51B4を駆動させてファン翼51A5,51B5を回転させる。これらシロッコファン51A,51Bの駆動により、ファンケース51A3,51B3内の空気がファン排気孔51A2,51B2からそれぞれ排気ダクト部52Bに流れる。このため、ファンケース51A3,51B3内の大気圧に対する負圧が増大する。さらに、ファン吸気孔51A1,51B1に連通する吸気ダクト部52Aの第1の吸気室52A31および第2の吸気室52A32内も、大気圧に対する負圧が増大する。
【0067】
そして、第1の吸気室52A31および第2の吸気室52A32に連通する外装ケース2の吸気口231Bから、カバー体231Cの吸気用口231C1を介して外部の空気が吸気される。ここで、第1の吸気室52A31および第2の吸気室52A32は、整流板52A6により2等分されている。このことから、吸気口231Bから吸気された空気は、第1の吸気風路52A7および第2の吸気風路52A8内を半分ずつ流通して一対のシロッコファン51A1,51B1内にそれぞれ流入する。すなわち、吸気された空気は、略半分ずつ吸気ダクト部52Aの第1の吸気室52A31および第2の吸気室52A32内に流れ、ダクト連通孔52A4,52B4およびファン吸気孔51A1,51B1を介してファンケース51A3,51B3内に吸気される。
【0068】
さらに、ファンケース51A3,51B3内に吸気された空気は、それぞれ排気ダクト部52Bの第1の排気連通孔52B4および第2の排気連通孔52B6を介して第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92にそれぞれ排気される。そして、これら第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92内に排気されて流通する排気風は、まず第2の分流板52B8にて流れが阻害される。この流れの阻害により、各排気風の風量の2/3は排気吹き出し孔478AB,478ARからそれぞれ上方に向けて流出する。そして、この排気風の上方への流出により、排気風が上方に位置する液晶パネル441B,441R近傍に吹き付け、特にこれら液晶パネル441B,441R近傍が冷却される。
【0069】
また、排気風の残部である風量の1/3は、さらに第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92内を流通し、第1の分流板52B7により排気吹き出し孔478AGからそれぞれ流出する。この第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92の各排気吹き出し孔478AGからそれぞれ流出することにより、排気風は合流する。この排気風の合流により、総風量が排気吹き出し孔478AB,478ARから吹き出される風量と略同量となる。合流した排気風は、液晶パネル441G近傍に吹き付けられ、特に液晶パネル441G近傍が冷却される。
【0070】
そして、プリズムユニットを冷却した後の排気風は、プリズムユニットの上方から光学ユニット4内を流通し、最終的に外装ケース2から排気される。
【0071】
このような本一実施の形態によれば、以下のような効果がある。
(1)投写レンズ46に隣接して配設したシロッコファン51A,51Bにより外装ケース2の下面の吸気口231Bから吸気し、このシロッコファン51A,51Bから排気される排気風をダクト52の排気ダクト部52Bを介してプリズムユニットに吹き付けて冷却する。このため、投写レンズ46の周囲の利用しにくい空間を有効活用して小型化を図ることができる。そして、単に外装ケース2の下面に吸気口231Bを設ける簡単な構造で、小型化できるとともに製造性を向上できる。さらに、吸気口231Bが下方に向けて開口する状態であることから、例えば空気中の塵埃が吸気口231Bからシロッコファン51A,51Bに吸気されにくく、シロッコファン51A,51Bやダクト52内、プリズムユニットなどに塵埃が付着して、冷却効率が低下したり、プリズムユニットの特性が損なわれるなどの塵埃による影響を生じることを防止できる。
【0072】
(2)投写レンズ46に隣接して投写レンズ46の径方向に位置して一対配設したシロッコファン51A,51Bからの排気風をプリズムユニットにダクト52の排気ダクト部52Bを介して吹き付ける。このため、投写レンズ46の周囲の利用しにくい空間を有効活用して小型化を図ることができる。そして、一対のシロッコファン51A,51Bにより、プリズムユニットを冷却するための風量を十分に確保でき、シロッコファン51A,51Bの負荷を低減できることから、小型のシロッコファン51A,51Bを利用でき、小型化を図ることができるとともに回転速度の低減により騒音の低減を図ることができる。
【0073】
(3)シロッコファン51A,51Bの回転方向を投写レンズ46を中心として左右対称として、同一のファンを用いたので、シロッコファン51A,51Bの組付けの際の方向性がなく、組立性を向上できる。
【0074】
(4)電気光学装置44、投写レンズ46、一対のシロッコファン51A,51Bおよびダクト52が配設される外装ケース2に、一対のシロッコファン51A,51Bの吸気側にそれぞれ連通する1つの吸気口231Bを設ける。このため、複数のシロッコファン51A,51Bを備えた構成でも、1つの吸気口231Bを設ける簡単な構造で吸気でき、複数の吸気口231Bを設ける場合に比して、製造性を向上できるとともに、外装ケース2の強度の低下も防止できる。
【0075】
(5)一対のシロッコファン51A,51Bの吸気側に、これらシロッコファン51A,51Bが吸気する各吸気量を略同量に整流する整流部材としての整流板52A6を設ける。このため、各シロッコファン51A,51Bからそれぞれ安定して吸気でき、シロッコファン51A,51Bの負荷が安定し、冷却効率を向上できるとともに騒音を低減できる。
【0076】
(6)整流部材として板状の整流板52A6を吸気口231Bに対して略2等分する状態で設ける。このため、簡単な構成で一対のシロッコファン51A,51Bが吸気する各吸気量を略同量に整流することが容易にできる。
【0077】
(7)プリズムユニットの複数の光成分に変調された色光R,G,Bがそれぞれ入射される複数の入射面、すなわち電気光学装置44を構成する液晶パネル441R,441G,441Bの近傍に、それぞれ略同量の排気風を吹き付けさせる分流部材をダクト52に設ける。このため、プリズムユニットが偏り無く安定して冷却でき、安定したプリズムユニットの特性を得ることができ、安定して投射でき、良好な投写画像を形成できる。
【0078】
(8)分流部材は、3つの色光を合成するプリズムユニットの3つの入射面、すなわち液晶パネル441R,441G,441Bの近傍に、一対のシロッコファン51A,51Bからの排気風の風量の2/3を異なる2つの液晶パネル441R,441B近傍に吹き付け、排気風の風量の残部を他の液晶パネル441Gに合流させて吹き付ける。このため、プリズムユニットが偏り無く安定して冷却でき、安定したプリズムユニットの特性を得ることができ、安定して投射でき、良好な投写画像を形成できる。
【0079】
(9)分流部材として、一対のシロッコファン51A,51Bからの排気風をそれぞれ流通する第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92を区画する第1の分流板52B7と、第1の排気風路52B91および第2の排気風路52B92内にそれぞれ排気風の流れを阻害する状態で設けられた一対の第2の分流板52B8とにて構成する。このため、プリズムユニットを偏り無く安定して冷却できる構成を簡略化でき、製造性を向上できる。
【0080】
(10)ファンとして例えば軸流ファンなどに比して風速が速いシロッコファン51A,51Bを用いる。このため、冷却効率を向上できる。さらに、小型のものを利用でき、プロジェクタ1の小型化を図ることができる。
【0081】
(11)プロジェクタ1では、互いに一体とされた液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45からなるプリズムユニットは、取付部材447を介して下ライトガイド471に対し着脱可能に取り付けられるが、この際、そのプリズムユニットは、取付部材447に吊り下げられた状態で固定され、また、取付部材447は、そのプリズムユニットよりも着脱方向の手前側となるボス部476上部の取付部473に取り付けられているので、プリズムユニットを交換する場合には、ネジ475を外したり、再度締め付けるためのドライバーをライトガイド47の内部に差し入れる必要がない。従って、ドライバーでライトガイド47内に収容されたフィールドレンズ417等を傷付ける心配がなく、交換作業をライトガイド47の上方側から容易にできる。
【0082】
(12)また、取付部材447が手前側にあることにより、交換作業にあたっては、四方に延出した取付部材447の腕部447Aがライトガイド47内のフィールドレンズ417等にぶつかることもなく、この点でも交換作業を容易に行える。
【0083】
(13)取付部材447の腕部447Aがライトガイド47内に収容されないために、液晶パネル441R,441G,441B周辺の配置スペースを小さくでき、ライトガイド47を含む光学ユニット4の小型化を実現できる。
【0084】
(14)投写レンズ46側のボス部476は、ヘッド部49と一体に形成されているので、ヘッド部49をボス部476で補強でき、その分ヘッド部49を薄肉化しても投写レンズ46の固定による倒れ込みを防止でき、かつヘッド部49の薄肉化によってライトガイド47、ひいては光学ユニット4の小型化をより促進できる。
【0085】
(15)さらに、フィールドレンズ417、ダイクロイックミラー421,422、入射側レンズ431、リレーレンズ433等の別の光学部品を保持するための保持片477も、投写レンズ46から離間した側のボス部476に一体に設けられることで補強されるから、保持片477やその回りの肉厚を薄くでき、この点でも光学ユニット4の小型化を図ることができる。
【0086】
(16)ヘッド部49と一体のボス部476上の取付部473は、投写レンズ46の径方向の両側に位置し、かつ投写レンズ46の中心軸X−Xから離間して上方に(中心軸X−Xよりも着脱方向の手前側に)設けられているので、そのような取付部473に取付部材447を取り付けた状態では、取付部材447の腕部447Aとヘッド部49を貫通して突出した投写レンズ46の端部46Aとが干渉せず、その各腕部447Aの幅や太さを大きくでき、液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45の支持強度を向上させることができる。
また、投写レンズ46の端部46Aがヘッド部49から突出してクロスダイクロイックプリズム45により近接しているため、解像度が同じであれば、投写画像がより明るくでき、反対に同じ明るさであれば、解像度を向上させることができる。また、投写距離をより短くすることもできる。
【0087】
(17)下ライトガイド471の底面に設けられた吸気側開口471Cの一周縁には、クロスダイクロイックプリズム45に固定された固定用プレート446の延出部446Bが近接し、この延出部446Bが吸気側開口471Cのその一周縁に沿って配置されているから、延出部446Bを整流板として機能させることができる。このため、パネル冷却系Aの冷却空気の一部が延出部446Bに案内されるようになり、液晶パネル441R,441G,441Bとクロスダイクロイックプリズム45間の隙間に冷却空気を確実に流入させることができ、液晶パネル441R,441G,441Bの特に光出射側の面を効率よく冷却できる。
【0088】
(18)また、整流上抑え板478の立上片478A4が吸気側開口471Cから上方に突出しているため、冷却空気を下方から上方の液晶パネル441R,441G,441B側に確実に案内でき、冷却空気がライトガイド47内に漏れるのを抑えて液晶パネル441R,441G,441Bをより効率的に冷却できる。
【0089】
(19)さらに、取付部材447がクロスダイクロイックプリズム45の下面および下ライトガイド471の底面間に存在しないことから、液晶パネル441R,441G,441Bを吸気側開口471Cに近づけることができ、それらの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0090】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0091】
すなわち、上記一実施の形態では、ファンとしてシロッコファン51A,51Bを用いて説明したが、軸流ファンなどの他のいずれのファンを用いても対応できる。
【0092】
また、シロッコファン51A,51Bを一対配設したが、3つ以上の複数を配設することもできる。さらには、投写レンズ46の径方向で水平方向に沿って対向する状態に配設したが、上下方向など、投写レンズ46の径方向に配設すればよい。また、同一物を用いたが、回転方向が投写レンズ46を中心として対称となるようにことなる規格のものを用いてもできる。
【0093】
そして、一対のシロッコファン51A,51Bを用いる場合には、吸気口231Bは外装ケース2の下面でなくてもよい。すなわち、上面や側面に設けてもよい。なお、上面より側面の方が塵埃の落下が少ないことから好ましい。さらに、塵埃のさらなる侵入を防止するために、フィルタで吸気口231Bを覆ってもよい。
【0094】
また、シロッコファン51A,51Bに対応してそれぞれ吸気口231Bを設けてもできる。
【0095】
さらに、整流部材を設けなくてもよく、整流部材として板状の整流板52A6を用いる構成に限られず、各シロッコファン51A,51Bがそれぞれ同量で吸気できるようにするいずれの構成でもできる。
【0096】
また、分流部材を設けなくてもよく、分流部材として板状の第1の分流板52B7および一対の第2の分流板52B8を用いる構成に限らない。すなわち、いずれかの液晶パネル441B,441G,441Rが他より多い風量で冷却するなど、プリズムユニットの一部に他より多少多い風量で冷却させてもできる。
【0097】
また、光学装置を構成する電気光学装置44としては、3種類の液晶パネル441B,441G,441Rにて構成したが、3つに限らず、液晶パネルを1つのみあるいは複数備えた構成でもできる。
【0098】
一方、固定用プレート446に下方に延出した延出部46Bが設けられ、この延出部446Bが整流板の役目を果たしていたが、このような延出部446Bは適宜設けられればよく、省略可能である。そして、このような延出部446Bがない場合には、下ライトガイド471の底面に設けられた立上部471Dのみで冷却空気が案内されるようになる。ただし、実施形態のような延出部446Bにより、冷却空気の漏れをより防止できるので、延出部446Bを設けることが望ましい。
【0099】
ボス部476には、ヘッド部49や保持片477が一体に設けられていたが、それぞれを個別に設けた場合でも本発明に含まれる。
さらに、本発明に係る取付部は、ボス部476上に設けられる必要はなく、下ライトガイド471の上端面の一部に設けられるなど、設けられる位置や形状等は任意である。
また、取付部材447の形状も任意であり、前記実施形態での取付部材447の形状に限定されない。
【0100】
上記一実施の形態では、液晶パネル441R,441G,441Bとクロスダイクロイックプリズム45とからなるプリズムユニットを、取付部材447ごと上下方向に着脱させる構成であったが、本発明では、そのようなプリズムユニットの着脱方向は任意であり、着脱方向の手前側に取付部材447が設けられ、奥側にプリズムユニットが設けられる構成であればよい。従って、例えば、取付部材447がクロスダイクロイックプリズム45の下面側に設けられた場合において、液晶パネル441R,441G,441Bおよびクロスダイクロイックプリズム45を、取付部材447ごと下ライトガイド471の下面側から着脱できるように構成してもよい。
【0101】
さらに、上記一実施の形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクタ、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0102】
また、上記一実施の形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。さらに、上記一実施の形態では、光入射面と光出射面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
【0103】
さらにまた、上記一実施の形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0104】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、簡単な構造で容易に小型化できる。また、ファンの負荷を低減して騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一本実施形態に係るプロジェクタを上方から見た全体斜視図である。
【図2】前記プロジェクタを下方から見た全体斜視図である。
【図3】前記プロジェクタの内部を示す斜視図であり、具体的には、図1の状態からプロジェクタのアッパーケースを外した図である。
【図4】前記プロジェクタの内部を示す斜視図であり、具体的には、図3の状態からシールド板、ドライバーボード、および上ライトガイドを外して後方側から見た図である。
【図5】前記プロジェクタの内部を示す斜視図であり、具体的には、図4の状態から光学ユニットを外した図である。
【図6】前記光学ユニットを下方側から見た斜視図である。
【図7】前記プロジェクタの光学系を模式的に示す平面図である。
【図8】互いに一体とされた液晶パネルおよびプリズムからなる光学部品を下方側から見た斜視図である。
【図9】下ライトガイドにおける前記光学部品の取付位置を示す斜視図である。
【図10】前記光学ユニットを示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図11で示したXII部分の拡大図であある。
【図13】前記光学ユニットの要部を拡大して示す平面図である。
【図14】前記プロジェクタの冷却系の構成を示す斜視図である。
【図15】前記プロジェクタの冷却系の構成を示す底面斜視図である。
【図16】前記プロジェクタの冷却系の構成を示す分解斜視図である。
【図17】前記プロジェクタの冷却系の分流部材の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ
2 筐体である外装ケース
231C 吸気口
44 電気光学装置
441B,441G,441R 電気光学装置を構成する液晶パネル
46 投写レンズ
51A,51B ファンとしてのシロッコファン
52 ダクト
52A6 整流部材としての整流板
52B7 分流部材を構成する第1の分流板
52B8 分流部材を構成する第2の分流板
A 冷却装置としてのパネル冷却系
Claims (3)
- 光源から出射された光束を画像情報に応じて変調し、変調後の光を投写レンズによって投写する電気光学装置を冷却する電気光学装置の冷却装置であって、
前記投写レンズに隣接して、両側に配設された一対のファンを具備し、
前記一対のファンは、回転方向が投写レンズを中心として左右対称である
ことを特徴とした電気光学装置の冷却装置。 - 請求項1に記載の電気光学装置の冷却装置において、
前記一対のファンは、同一のファンである
ことを特徴とした電気光学装置の冷却装置。 - 光源から出射された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装置と、
この電気光学装置にて変調された前記光束を投写する投写レンズと、
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置の冷却装置と
を具備したことを特徴としたプロジェクタ。
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